【実施例】
【0061】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。
【0062】
[ポリウレタン樹脂溶液の調製]
(実施例1)
まず、下記のようにしてポリエステルポリオールを調製した。多官能カルボン酸成分(以下、ジカルボン酸成分と呼ぶ)として、植物由来成分からなるダイマー酸(ダイマー純度98%)/植物由来成分からなるコハク酸=90/10(モル比)を用い、多官能アルコール成分(以下、ジオール成分と呼ぶ)として、植物由来成分からなる1,3−プロパンジオールを用いた。そして、これらの成分を、目的の分子量となる適宜な量で用いて重合して、表1−1に示した、水酸基価が37.3mgKOH/g、酸価が0.3mgKOH/g、数平均分子量が3000である、100%植物由来成分からなるポリエステルジオールPE(1)を得た。
【0063】
次に、反応容器に、上記で得たポリエステルジオールPE(1)を500部と、有機ジイソシアネートであるイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)66.4部を仕込み、窒素気流下、100℃で5時間反応させて、表2−1に示したように、NCO基含有率1.87%のウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーを希釈用有機溶剤である酢酸エチル188.8部に溶解して、不揮発分75%のウレタンプレポリマー溶液(1)とした。
【0064】
次いで、ポリアミンであるイソホロンジアミン(以下、IPDAと略記)23.6部と、酢酸エチル981.4部と、イソプロピルアルコール(以下、IPAと略記)206.5部の混合物(ジアミン溶液)を配合し、撹拌しながら、先に得たウレタンプレポリマー溶液(1)を755.2部滴下して、40℃で1時間反応した。その結果、不揮発分(固形分)30%、粘度1150mPa・s(25℃)の、末端のアミノ基濃度が樹脂固形分1g当たり42.8μg当量で、樹脂固形分中に植物由来成分を84.7%有する本実施例のポリウレタン樹脂溶液PU1を得た。表2−1に、上記で得たポリウレタン樹脂溶液PU1の配合及び性状を示した。
【0065】
(実施例2)
基本的には実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂溶液を調製した。ジカルボン酸成分として、植物由来成分からなるダイマー酸(ダイマー純度98%)/植物由来成分からなるコハク酸=60/40(モル比)を用い、ジオール成分として、植物由来成分からなる1,3−プロパンジオールを用いた。そして、これらの成分を、適宜な量を用いて重合し、表1−1に示した、水酸基価が56.0mgKOH/g、酸価が0.3mgKOH/g、数平均分子量が2000の、100%植物由来成分からなるポリエステルジオールPE(2)を得た。
【0066】
次に、反応容器に、上記で得たポリエステルジオールPE(2)500部と、IPDIを88.6部仕込み、窒素気流下、100℃で5時間反応させて、表2−1に示したように、NCO基含有率2.03%のウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーを、酢酸エチル196.2部に溶解して、不揮発分75%のウレタンプレポリマー溶液(2)とした。
【0067】
次いで、IPDAを26.6部、酢酸エチルを1024.0部、IPAを215.3部の混合物を配合し、撹拌しながら、上記で得たウレタンプレポリマー溶液(2)を784.9部滴下して、40℃で1時間反応した。その結果、不揮発分30%、粘度1020mPa・s(25℃)の、末端のアミノ基濃度が樹脂固形分1g当たり46.2μg当量で、樹脂固形分中に植物由来成分を81.3%有する本実施例のポリウレタン樹脂溶液PU2を得た。表2−1に、上記で得たポリウレタン樹脂溶液PU2の配合及び性状を示した。
【0068】
(実施例3)
基本的には実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂溶液を調製した。ジカルボン酸成分として、植物由来成分からなるダイマー酸(ダイマー純度98%)/植物由来成分からなるコハク酸=2/98(モル比)を用い、ジオール成分として、植物由来成分からなる1,3−プロパンジオールを用いた。そして、これらの成分を、適宜な量を用いて重合し、表1−1に示した、水酸基価が37.3mgKOH/g、酸価が0.3mgKOH/g、数平均分子量が3000の、植物由来成分を100%有するポリエステルジオールPE(3)を得た。
【0069】
次に、反応容器に、上記で得たポリエステルジオールPE(3)を500部と、IPDIを59.0部仕込み、窒素気流下、100℃で5時間反応させて、表2−1に示したように、NCO基含有率1.42%のウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーを、酢酸エチル186.4部に溶解して、不揮発分75%のウレタンプレポリマー溶液(3)とした。
【0070】
次いで、IPDAを18.2部、酢酸エチルを958.5部、IPAを202.0部の混合物を配合し、撹拌しながら、上記で得たウレタンプレポリマー溶液(3)を745.4部滴下して、40℃で1時間反応した。その結果、不揮発分30%、粘度1100mPa・s(25℃)、末端のアミノ基濃度が樹脂固形分1g当たり42.7μg当量で、樹脂固形分中に植物由来成分を86.6%有する本実施例のポリウレタン樹脂溶液PU3を得た。表2−1に、上記で得たポリウレタン樹脂溶液PU3の配合及び性状を示した。
【0071】
(実施例4)
まず、下記のようにしてポリエステルポリオールを調製した。ジカルボン酸成分として、石油由来のアジピン酸と、ジオール成分として、石油由来のネオペンチルグリコール/1,4−ブタンジオール=70/30(モル比)を用いた。そして、これらの成分を、適宜な量を用いて重合し、表1−1に示した、水酸基価が37.3mgKOH/g、酸価が0.3mgKOH/g、数平均分子量が3000の、100%石油由来成分からなるポリエステルジオールPE(4)を得た。
【0072】
次に、反応容器に、上記で得たポリエステルジオールPE(4)を250部と、実施例2で得た100%植物由来成分からなるポリエステルジオールPE(2)を250部と、IPDIを73.8部仕込み、窒素気流下、100℃で5時間反応させて、表2−1に示したように、NCO基含有率1.73%のウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーを、酢酸エチル191.3部に溶解して、不揮発分75%のウレタンプレポリマー溶液(4)とした。
【0073】
次いで、IPDAを22.4部、酢酸エチル504.3部、IPAを208.7部、MEKを486.9部の混合物を配合し、撹拌しながら、先に得たウレタンプレポリマー溶液(4)を765.1部滴下して、40℃で1時間反応した。その結果、不揮発分30%、粘度1050mPa・s(25℃)、末端のアミノ基濃度が、樹脂固形分1g当たり43.7μg当量で、樹脂固形分中に植物由来成分を41.9%有する本実施例のポリウレタン樹脂溶液PU4を得た。表2−1に、上記で得たポリウレタン樹脂溶液PU4の配合及び性状を示した。
【0074】
(実施例5)
まず、下記のようにしてポリエステルポリオールを調製した。ジカルボン酸成分として、植物由来成分からなるダイマー酸(ダイマー純度98%)/植物由来成分からなるコハク酸/石油系由来成分からなるアジピン酸=10/30/60(モル比)「注記:他のジカルボン酸/植物由来のコハク酸=70/30、ダイマー酸/植物由来のコハク酸=10/30=25/75(モル比)」と、ジオール成分として、植物由来成分からなる1,3−プロパンジオール/石油系由来成分からなるネオペンチルグリコール=30/70(モル比)を用いた。そして、これらの成分を、適宜な量を用いて重合し、表1−1に示した、水酸基価が30.2mgKOH/g、酸価が0.3mgKOH/g、数平均分子量が3710の、植物由来成分を41.2%有するポリエステルジオールPE(5)を得た。
【0075】
次に、反応容器に、上記で得られたポリエステルジオールPE(5)を500部と、IPDIを47.8部仕込み、窒素気流下、100℃で5時間反応させて、表2−1に示したように、NCO基含有率1.18%のウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーを希釈用有機溶剤である酢酸エチル182.0部に溶解して、不揮発分75%のウレタンプレポリマー溶液(5)とした。
【0076】
次いで、IPDAを14.7部、酢酸エチル933.6部、IPAを197.0部の混合物を配合し、撹拌しながら、上記で得たウレタンプレポリマー溶液(5)を730.4部滴下して、40℃で1時間反応した。その結果、不揮発分30%、粘度1200mPa・s(25℃)、末端のアミノ基濃度が、樹脂固形分1g当たり40.9μg当量で、樹脂固形分中に植物由来成分を36.6%有する本実施例のポリウレタン樹脂溶液PU5を得た。表2−1に、上記で得たポリウレタン樹脂溶液PU5の配合及び性状を示した。
【0077】
(実施例6〜13)
それぞれ表1−2に示した合成原料を用い、実施例1と同様にして、ポリエステルポリオールPE(6)〜PE(12)をそれぞれ調製した。表1−2に、調製したポリエステルジオールPE(6)〜PE(12)の、水酸基価、酸価、数平均分子量及び植物由来成分比率をそれぞれ示した。
【0078】
次に、反応容器に、上記でそれぞれ得たポリエステルジオールPE(6)〜PE(12)と、IPDIを表2−2の配合で、実施例1と同様に反応させて、ウレタンプレポリマーをそれぞれ得た。表2−1に、各ウレタンプレポリマーのNCO%を示した。そして、上記で得たそれぞれのウレタンプレポリマーを所定量の酢酸エチルに溶解して、不揮発分75%のウレタンプレポリマー溶液(6)〜(13)とした。
【0079】
次いで、表2−2に示した質量比でIPDA、酢酸エチル、IPAの混合物を配合し、撹拌しながら、上記で得たウレタンプレポリマー溶液の全量を滴下して、40℃で1時間反応した。その結果、本実施例のポリウレタン樹脂溶液PU6〜PU13をそれぞれ得た。表2−2に、上記で得た各ポリウレタン樹脂溶液PU6〜PU13の配合及び性状をまとめて示した。なお、表2−2に示したように、ポリウレタン樹脂溶液PU13は、ポリウレタン樹脂溶液PU6と同様に、原料にポリエステルジオールPE(6)を用いているが、ポリウレタン樹脂溶液PU6の製造の場合と、IPDIの量と、IPDAの使用量を変化させたことで、アミノ基当量が大きく異なるものになっている。
【0080】
【0081】
【0082】
表1−1及び表1−2中の略号は下記の通りである。
NPG:ネオペンチルグリコール
EG:エチレングリコール
1,4−BD:1,4−ブタンジオール
1,2−PD:1,2−プロパンジオール
1,3−PD:1,3−プロパンジオール
【0083】
【0084】
【0085】
表2−1及び表2−2中の略号は下記の通りである。
IPDI:イソホロンジイソシアネート
IPDA:イソホロンジアミン
IPA:イソプロピルアルコール
MEK:メチルエチルケトン
【0086】
(比較例1)
ポリエステルポリオールの重合において、本発明で必須とする植物由来成分からなるコハク酸を原料に使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、本比較例のポリウレタン樹脂溶液を調製した。まず、ジカルボン酸成分として、植物由来成分からなるダイマー酸(ダイマー純度98%)のみを用い、ジオール成分として、植物由来成分からなる1,3−プロパンジオールを用いた。そして、これらの成分を、適宜な量を用いて重合し、表3に示した、水酸基価が37.3mgKOH/g、酸価が0.3mgKOH/g、数平均分子量が3000の、100%植物由来成分からなるポリエステルジオールPE(13)を得た。
【0087】
次に、反応容器に、上記で得たポリエステルジオールPE(13)を500部と、IPDIを66.4部仕込み、窒素気流下、100℃で5時間反応させて、表4に示したように、NCO基含有率1.87%のウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーを、酢酸エチル188.8部に溶解して、不揮発分75%のウレタンプレポリマー比較溶液(C1)とした。
【0088】
次いで、IPDAを23.8部、酢酸エチルを981.9部、IPAを206.6部の混合物を配合し、撹拌しながら、上記で得たウレタンプレポリマー比較溶液(C1)を755.2部滴下して、40℃で1時間反応した。その結果、不揮発分30%、粘度1090mPa・s(25℃)、末端のアミノ基濃度が、樹脂固形分1g当たり47.1μg当量で、樹脂固形分中に植物由来成分を84.7%有する、本比較例のポリウレタン樹脂溶液PU−C1を得た。表4に、上記で得たポリウレタン樹脂溶液PU−C1の配合及び性状を示した。
【0089】
(比較例2)
ポリエステルポリオールの重合において、ジカルボン酸成分として、ダイマー酸等のその他のジカルボン酸を使用せずに、植物由来成分からなるコハク酸をのみを使用してコハク酸100%としたこと以外は、実施例1と同様にして、本比較例のポリウレタン樹脂溶液を調製した。まず、ジカルボン酸成分として、植物由来成分からなるコハク酸のみを用い、ジオール成分として植物由来成分からなる1,3−プロパンジオールを用いた。そして、これらの成分を、適宜な量を用いて重合し、表3に示した、水酸基価が37.3mgKOH/g、酸価が0.3mgKOH/g、数平均分子量が3000の、100%植物由来成分からなるポリエステルジオールPE(14)を得た。
【0090】
次に、反応容器に、上記で得たポリエステルジオールPE(14)を500部と、IPDIを62.7部仕込み、窒素気流下、100℃で5時間反応させて、表4に示したように、NCO基含有率1.65%のウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーを、酢酸エチル187.6部に溶解して、不揮発分75%のウレタンプレポリマー比較溶液(C2)とした。
【0091】
次いで、IPDAを20.9部、酢酸エチルを969.9部、IPAを204.3部の混合物を配合し、撹拌しながら、上記で得たウレタンプレポリマー比較溶液(C2)を750.3部滴下して、40℃で1時間反応した。その結果、不揮発分30%、粘度1180mPa・s(25℃)、末端のアミノ基濃度が、樹脂固形分1g当たり41.7μg当量で、樹脂固形分中に植物由来成分を85.7%有する、本比較例のポリウレタン樹脂溶液PU−C2を得た。表4に、上記で得たポリウレタン樹脂溶液PU−C2の配合及び性状を示した。
【0092】
(比較例3)
反応容器に、実施例2で使用した100%植物由来成分からなるポリエステルジオールPE(2)を180部と、実施例4で使用した100%石油由来成分からなるポリエステルジオールPE(4)を320部と、IPDIを59.0部仕込み、窒素気流下、100℃で5時間反応させて、表4に示したように、NCO基含有率1.42%のウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーを、酢酸エチル186.4部に溶解して、石油由来成分が多く用いられている不揮発分75%のウレタンプレポリマー比較溶液(C3)を得た。
【0093】
次いで、IPDAを18.2部、酢酸エチルを958.5部、IPAを202.0部の混合物を配合し、撹拌しながら、上記で得たウレタンプレポリマー比較溶液(C3)を745.4部滴下して、40℃で1時間反応した。その結果、不揮発分30%、粘度1100mPa・s(25℃)、末端のアミノ基濃度が、樹脂固形分1g当たり42.7μg当量で、樹脂固形分中に植物由来成分を31.2%有する、本比較例のバイオマス度が低いポリウレタン樹脂溶液PU−C3を得た。表4に、上記で得たポリウレタン樹脂溶液PU−C3の配合及び性状を示した。
【0094】
(比較例4)
ポリエステルポリオールの調製において、本発明で必須とするコハク酸と、ジオール成分として、本発明で規定する1,3−プロパンジオール等の成分を使用しなかったこと以外は、基本的には実施例と同様にして、本比較例のポリウレタン樹脂溶液を調製した。なお、本比較例の樹脂は、前記した特許文献1の製造例9に記載された樹脂に該当する。
【0095】
まず、ジカルボン酸成分として、植物由来成分からなるダイマー酸(ダイマー純度98%)のみと、ジオール成分として、石油由来成分からなる1,6−ヘキサンジオールとを用い、これらの成分を、適宜な量を用いて重合し、表3に示した、重水酸基価が57.0mgKOH/g、酸価が0.4mgKOH/g、数平均分子量が2000で、植物由来成分を81.1%有するポリエステルジオールPE(15)を得た。そして、反応容器に、得られたポリエステルジオールPE(15)を500部と、IPDIを111.0部仕込み、窒素気流下、100℃で5時間反応させて、表4に示したように、NCO基含有率3.36%のウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーを、酢酸エチル203.7部に溶解して、不揮発分75%のウレタンプレポリマー比較溶液(C4)を得た。
【0096】
次いで、IPDAを38.8部、酢酸エチルを1100.6部、IPAを230.2部の混合物を配合し、撹拌しながら、上記で得たウレタンプレポリマー比較溶液(C4)を814.7部滴下して、40℃で1時間反応した。その結果、不揮発分30%、粘度1020mPa・s(25℃)、末端のアミノ基濃度が、樹脂固形分1g当たり42.5μg当量で、樹脂固形分中に植物由来成分を61.6%有する、本比較例のポリウレタン樹脂溶液PU−C4を得た。表4に、上記で得たポリウレタン樹脂溶液PU−C4の配合及び性状を示した。
【0097】
(比較例5〜8)
実施例1と同様にして、表3に示したジカルボン酸成分とジオール成分とを、適宜な量を用いて重合し、表3に示した水酸基価、酸価、数平均分子量及び植物由来成分比率の、100%石油由来成分からなるポリエステルジオールPE(16)と、100%植物由来成分からなるポリエステルジオールPE(17)をそれぞれ調製した。
【0098】
次に、反応容器に、先に実施例6及び実施例13で使用したポリエステルジオールPE(6)、上記で得たポリエステルジオールPE(16)及びポリエステルジオールPE(17)をそれぞれに用い、IPDIを表4の配合で実施例と同様に反応させて、表4に示したNCO%のウレタンプレポリマーをそれぞれ得た。得られた各ウレタンプレポリマーを所定量の酢酸エチルに溶解して、不揮発分75%のウレタンプレポリマー比較溶液(C5)〜(C8)を得た。
【0099】
次いで、表4に示した質量比で、IPDA、酢酸エチル、IPAの混合物を配合し、撹拌しながら上記で得た各ウレタンプレポリマー溶液の全量を滴下して、40℃で1時間反応した。その結果、比較例5〜8のポリウレタン樹脂溶液PU−C5〜PU−C8をそれぞれ得た。表4に、上記で得たポリウレタン樹脂溶液PU−C5〜PU−C8の配合及び性状を示した。
【0100】
【0101】
表3中の略号は下記の通りである。
NPG:ネオペンチルグリコール
1,6−HD:1,6−ヘキサンジオール
1,3−PD:1,3−プロパンジオール
【0102】
【0103】
表4中の略号は下記の通りである。
IPDI:イソホロンジイソシアネート
IPDA:イソホロンジアミン
IPA:イソプロピルアルコール
【0104】
<評価>
実施例及び比較例の各ポリウレタン樹脂溶液の性能評価は、以下のようにして、各樹脂溶液をそれぞれに配合した印刷インキを調製し、得られた印刷インキを用いて行った。
【0105】
[印刷インキの調製:実施例1−I〜13−I及び比較例1−I〜8−I]
実施例1〜13及び比較例1〜8のポリウレタン樹脂溶液を、それぞれ40部を用い、下記のようにして、実施例及び比較例の印刷インキをそれぞれ調製した。具体的には、顔料として酸化チタン白を30部、ポリウレタン樹脂溶液を40部、酢酸n−プロピル15部及びイソプロピルアルコール15部からなる組成の混合物を、ペイントシェーカーで1時間混練して、白インキを調製した。さらに、得られた白インキを、希釈用の酢酸エチル/IPAの混合溶剤(質量比50/50)で、#3ザーンカップ18秒に粘度調整して、実施例1−I〜13−I及び比較例1−I〜8−Iの印刷インキをそれぞれ得た。なお、実施例1〜13及び比較例1〜8のポリウレタン樹脂溶液を用いて調製した各印刷インキは、それぞれの、実施例又は比較例の番号に−Iを付けた形で表記した。
【0106】
(印刷インキの評価方法及び評価基準)
上記で調製した実施例1−I〜13−I、比較例1−I〜8−Iの各印刷インキを用いて、下記の試験方法及び基準でそれぞれ評価し、その結果を表5にまとめて示した。
【0107】
(1)バイオマス成分量
実施例及び比較例の各印刷インキの固形分中における、バイオマスウレタン樹脂中のバイオマス成分の含有量(質量%)を算出して求め、以下の基準にて評価した。
(評価基準)
○:バイオマス成分含量が10%以上である。
×:バイオマス成分含量が10%未満である。
【0108】
(2)相溶性
石油由来の標準的な印刷インキとの相溶性を評価するため、下記のようにして標準的なインキを評価用に調製した。まず、反応容器に、石油由来成分を100%有するポリエステルジオールPE(4)を500部と、IPDIを66.4部仕込み、窒素気流下、100℃で5時間反応させて、NCO基含有率1.87%のウレタンプレポリマーを得た。次に、得られたウレタンプレポリマーを希釈用有機溶剤である酢酸エチル188.8部に溶解して、不揮発分75%のウレタンプレポリマー溶液とした。次いで、IPDAを23.6部と、酢酸エチルを981.4部、IPAを206.5部の混合物(ジアミン溶液)を配合し、撹拌しながら、上記で得たウレタンプレポリマー溶液を755.2部滴下して、40℃で1時間反応した。その結果、不揮発分30%、粘度1150mPa・s(25℃)の、末端のアミノ基濃度が樹脂固形分1g当たり42.8μg当量で、樹脂固形分中に植物由来成分を有しないポリウレタン樹脂溶液を得た。
【0109】
そして、得られたポリウレタン樹脂溶液を40部、酸化チタン白を30部、酢酸n−プロピルを15部及びIPAを15部からなる組成の混合物を、ペイントシェーカーで1時間混練して、白インキを調製した。さらに、得られた白インキを、希釈用の酢酸エチル/イソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比50/50)で、#3ザーンカップ18秒に粘度調整して、相溶性評価用の標準印刷インキ(100%石油由来)を得た。
【0110】
上記で調製した相溶性評価用の標準印刷インキを100部カップにとり、実施例のインキ1−I〜13−I及び比較例のインキ1−I〜8−Iをそれぞれ100部カップにとって、標準印刷インキに注ぎ込み、その際の状態を目視観察して、標準的な印刷インキとの相溶性を下記の基準で評価した。
【0111】
(評価基準)
◎:混合しただけで均一になった。
○:混合しただけでは不均一だが撹拌すれば均一になった。
×:撹拌しても均一にならなかった。
【0112】
(3)顔料分散性
実施例及び比較例の各印刷インキをそれぞれ、黒帯付きの白い展色紙に少量垂らし、垂らしたインキを金属へらを用いて展色し、顔料分散の均一さと発色性を目視にて観察し、以下の規準で評価した。
【0113】
(評価基準)
○:顔料分散が均一で、発色も良好である。
△:顔料分散がやや不均一で、発色がやや不良である。
×:顔料分散が不均一で、発色が明らかに劣る。
【0114】
(4)印刷適性
実施例及び比較例の各印刷インキをそれぞれ、版深35μmのグラビア版を装着したグラビア印刷機にセットし、ドクター刃を版に当てながら、25℃環境下、30分間輪転させた前後での1回印刷物における発色の変化を、目視にて観察し、以下の規準で評価した。印刷物の基材は、コロナ放電処理した厚さ12μmの2軸延伸バイオマスPETとした。
【0115】
(評価基準)
○:グラビア印刷機30分間輪転前後での印刷の発色に、差がなかった。
△:グラビア印刷機30分間輪転後での印刷の発色が、輪転開始時と比較し、やや劣る。
×:グラビア印刷機30分間輪転後での印刷の発色が、輪転開始時と比較し、明らかに劣る。
【0116】
(5)接着性(テープ密着性試験)
実施例及び比較例の各印刷インキをそれぞれ、版深35μmのグラビア版を装着したグラビア印刷機にセットし、コロナ放電処理した厚さ12μmの2軸延伸バイオマスPETフィルム基材に対して、各2回重ね印刷し、50℃で乾燥して、評価用の白印刷フィルムをそれぞれ得た。
【0117】
そして、得られた白印刷フィルムの1日放置後のインキの密着性を、セロファンテープ(ニチバン製、セロテープ(登録商標)、24mm)を用いて行う、テープ密着性試験により評価した。具体的には、各白印刷フィルムの印刷面に、上記セロファンテープを貼り付け、角度90度で一気に引き剥がした時の印刷面の状態を目視にて観察し、印刷面に残ったインキの残存率で印刷インキの接着性の良否を判定した。上記テープ密着性試験において、印刷インキの残存率が90%以上であれば、十分に実用性がある。
【0118】