(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-130885(P2021-130885A)
(43)【公開日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】上衣
(51)【国際特許分類】
A41B 1/18 20060101AFI20210813BHJP
A41B 1/10 20060101ALI20210813BHJP
A41B 1/00 20060101ALN20210813BHJP
【FI】
A41B1/18 Z
A41B1/10
A41B1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-25638(P2020-25638)
(22)【出願日】2020年2月18日
(71)【出願人】
【識別番号】501231897
【氏名又は名称】株式会社ネイルズサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100114764
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100178124
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏佳
(57)【要約】
【課題】腹部の出たメタボ体型の者が着用した場合であっても、着用者の腹部に対応する位置において下着や肌が露出することを抑制することができる上衣を提供する。
【解決手段】上前身頃22と下前身頃21が前立て部210、220において複数の留め部により留められる上衣1である。留め部は、前立て部210、220に沿って縦方向に並んで設けられた主留め部23と、着用者の腹部に対応する位置において隣り合う主留め部23の間に設けられた補助留め部24とを備えている。補助留め部24は、上衣1が着用されたときに着用者の腹部に対応する位置において上前身頃22と下前身頃21の前立て部210、220が互いに開くことを規制する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上前身頃と下前身頃が前立て部において複数の留め部により留められる上衣であって、
前記留め部は、前記前立て部に沿って縦方向に並んで設けられた主留め部と、着用者の腹部に対応する位置において隣り合う前記主留め部の間に設けられた補助留め部とを備え、
前記補助留め部は、上衣が着用されたときに着用者の腹部に対応する位置において上前身頃と下前身頃の前立て部が互いに開くことを規制することを特徴とする上衣。
【請求項2】
前記補助留め部は、着用者の腹部に対応する位置において隣り合う前記主留め部の中央部に設けられている請求項1に記載の上衣。
【請求項3】
前記主留め部および補助留め部は、前記下前身頃の前立て部に設けられたボタンと、前記上前身頃の前立て部に設けられたボタンホールからなり、前記ボタンが前記ボタンホールに留められる請求項1または請求項2に記載の上衣。
【請求項4】
前記前立て部は、前記上前身頃と前記下前身頃の重なり合う部分の幅より幅広の見返しが形成されるとともに、該見返しの内部に幅広の中芯が設けられている請求項1から請求項3のいずれかに記載の上衣。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上半身に着用されるワイシャツやブラウス等の上衣に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ビジネス等の場面において上半身に着用されるワイシャツやブラウス等の上衣が知られている。この上衣は、上前身頃と下前身頃を備え、下前身頃の前立て部に沿って等間隔に並んで設けられたボタンが、上前身頃の前立て部に沿って縦方向に等間隔に並んで設けられたボタンホールにより留められることにより、前側が閉じられた状態で上半身に着用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3212261号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の上衣では、腹部の出たメタボ体型の者が着用した場合、腹部に対応する位置において、上前身頃と下前身頃の前立て部が両側に引っ張られながらボタンの間で大きく開いてしまい、その結果、ボタンの間で大きく開いた箇所から上衣の内側の下着や肌が露出し、他者に不快な印象を与える虞があるという問題があった。この問題は、特にメタボ体型の者が座ったときに頻発し、一般に着席して行われるミーティングや顧客対応において深刻な問題となっていた。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、腹部の出たメタボ体型の者が着用した場合であっても、着用者の腹部に対応する位置において下着や肌が露出することを抑制することができる上衣を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、上前身頃と下前身頃が前立て部において複数の留め部により留められる上衣であって、前記留め部は、前記前立て部に沿って縦方向に並んで設けられた主留め部と、着用者の腹部に対応する位置において隣り合う前記主留め部の間に設けられた補助留め部とを備え、前記補助留め部は、上衣が着用されたときに着用者の腹部に対応する位置において上前身頃と下前身頃の前立て部が互いに開くことを規制することを特徴とする。
【0007】
これによれば、上衣が着用されたときに着用者の腹部に対応する位置において、主留め部の間に設けられた補助留め部により上前身頃と下前身頃の前立て部が互いに開くことを規制するため、腹部の出たメタボ体型の着用者が着用した場合であっても、着用者の腹部に対応する位置において下着や肌が露出することを抑制することができる。
【0008】
また、前記補助留め部は、着用者の腹部に対応する位置において隣り合う前記主留め部の中央部に設けられているのが好ましい。これによれば、上衣が着用されたときに着用者の腹部に対応する位置において、上前身頃と下前身頃の前立て部が互いに開くことを確実に規制することができる。
【0009】
また、前記主留め部および補助留め部は、前記下前身頃の前立て部に設けられたボタンと、前記上前身頃の前立て部に設けられたボタンホールからなり、前記ボタンが前記ボタンホールに留められてもよい。これによれば、ボタンとボタンホールの簡易な構成により上前身頃と下前身頃を簡単かつ確実に留めたり、外したりすることができる。
【0010】
また、前記前立て部は、前記上前身頃と前記下前身頃の重なり合う部分の幅より幅広の見返しが形成されるとともに、該見返しの内部に幅広の中芯が設けられてもよい。これによれば、前立て部の剛性が高くなることにより折れ曲がりにくくなるため、上前身頃と下前身頃の前立て部が互いに開くことをより確実に規制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上衣が着用されたときに着用者の腹部に対応する位置において、主留め部の間に設けられた補助留め部により上前身頃と下前身頃の前立て部が互いに開くことを規制するため、腹部の出たメタボ体型の着用者が着用した場合であっても、着用者の腹部に対応する位置において下着や肌が露出することを抑制することができ、ひいてはミーティングや顧客対応において着用者の清潔感を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】上衣の前身頃を一部開いた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態に係る上衣について
図1〜
図4を参照しつつ説明する。
【0014】
前記上衣1は、ビジネスの場面において上半身に着用されるワイシャツやブラウス等の上衣である。この上衣1は、
図1に示すように、前側に配置される生地により構成される前身頃2と、後側に配置される生地により構成される後身頃3と、上側に配置される生地により構成される衿部4と、前身頃2および後身頃3の上部両側に配置される生地により構成される袖部5を備えている。前記後身頃3は着用者の後上半身を覆う平面状に形成され、前記衿部4は着用者の首元を覆う筒状に形成され、前記袖部5は着用者の腕を覆う筒状に形成されている。
【0015】
なお、本明細書において「前」とは上衣1が着用されたときの着用者から見た前をいい、「後」とは着用者から見た後ろをいい、「右」とは着用者から見た右をいい「左」とは着用者から見た左をいう。
【0016】
前記前身頃2は、着用者の右上半身を覆う下前身頃21と、左上半身を覆う上前身頃22からなる。この下前身頃21は、前端部の前立て部210が開放されている一方、後端部が後身頃3の右前端部に接続されている。また、上前身頃22は、前端部の前立て部220が開放されている一方、上前身頃22の後端部は後身頃3の左前端部に接続されている。なお、上前身頃22は、着用者の左胸に対応する位置にポケットPが設けられている。
【0017】
また、前記前身頃2は、下前身頃21と上前身頃22が着用者の前側の前立て部210、220において複数の留め部23により留められる。この留め部23は、前立て部210、220を全体的に留める主留め部23と、前立て部210、220を部分的に留める補助留め部24とを備えている。
【0018】
前記主留め部23は、前記前立て部210、220に沿って縦方向に並んで設けられており、前立て部210、220の上部から下部の縦方向にかけて第1主留め部231、第2主留め部232、第3主留め部233、第4主留め部234、第5主留め部235、第6主留め部236および第7主留め部237の7つの留め部が一列に等間隔で並んで設けられている。
【0019】
また、前記主留め部23は、各主留め部231〜237において、下前身頃21の前立て部210に設けられたボタン24aと、上前身頃22の前立て部220に設けられたボタンホール24bからなり、ボタン24aがボタンホール24bに通されて留められる。各主留め部231〜237のボタン24aがボタンホール24b留められることにより、下前身頃21の前立て部210と上前身頃22のの前立て部220とが全体的に留められる。
【0020】
前記補助留め部24は、着用者の腹部に対応する位置において隣り合う主留め部23の間に一つ設けられている。ここで、着用者の腹部に対応する位置とは、上衣が着用されたときに着用者の腹部を覆う位置をいい、より具体的には、第5主留め部235と第6主留め部236の間の位置をいう。
【0021】
前記補助留め部24は、下前身頃21の前立て部210に設けられたボタン24aと、上前身頃22の前立て部220に設けられたボタンホール24bとからなり、ボタン24aがボタンホール24bに通されて留められる。
【0022】
また、前記補助留め部24は、ボタン24aがボタンホール24bに留められることにより、上衣が着用されたときに着用者の腹部に対応する位置において、上前身頃22と下前身頃21の前立て部210、220が互いに開くことを規制する。なお、本実施形態では、前記補助留め部24は、主留め部23の並ぶライン上に設けられている。
【0023】
また、前記補助留め部24は、
図4に示すように、着用者の腹部に対応する位置において隣り合う主留め部23の中央部に設けられている。具体的には、該補助留め部24は、隣の第5主留め部235との間隔W1が第5主留め部235と第6主留め部236の間隔W2の40%〜60%となされている。好ましくは間隔W1が間隔W2の45%〜55%となされている。より好ましくは間隔W1が間隔W2の50%となされている。これによれば、上衣1が着用されたときに着用者の腹部に対応する位置において、上前身頃22と下前身頃21の前立て部210、220が互いに開くことを確実に規制することができる。
【0024】
而して、
図3に示すように、上衣1が着用されたときに着用者の腹部に対応する位置において、主留め部23の間に設けられた補助留め部24により上前身頃22と下前身頃21の前立て部210、220が互いに開くことを規制するため、腹部の出たメタボ体型の着用者が着用した場合であっても、着用者の腹部に対応する位置において下着や肌が露出することを抑制することができ、ひいては、ミーティングや顧客対応において着用者の清潔感を向上させることが可能となる。
【0025】
なお、上記実施形態において、上衣1は、ワイシャツであるものとして説明したが、これに限られず、ブラウス等のその他の上衣であってもよい。
【0026】
また、前記主留め部23は、ボタン23aとボタンホール23bからなるものとして説明したが、これに限られず、面状ファスナー等のその他の留め具であってもよい。同様に、補助留め部24は、ボタン24aとボタンホール24bからなるものとして説明したが、これに限られず、面状ファスナー等のその他の留め具であってもよい。
【0027】
また、前記補助留め部24は、主留め部23の並ぶライン上に設けられるものとして説明したが、これに限られず、主留め部23の並ぶラインの右側あるいは左側にずれて設けられてもよい。
【0028】
また、前記補助留め部24は、隣り合う主留め部23の間に一つ設けられるものとして説明したが、これに限られず、隣り合う主留め部23の間に複数設けられてもよい。
【0029】
また、上衣1は、
図5に示すように、前記前立て部220は、前記上前身頃22と前記下前身頃21の重なり合う部分の幅より幅広(例えば、80mm)の見返し25が形成されるとともに、該見返し25の内部に幅広の中芯が設けられてもよい。これによれば、前立て部220の剛性が高くなることにより折れ曲がりにくくなるため、上前身頃22と下前身頃21の前立て部210、220が互いに開くことをより確実に規制することができる。
【0030】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1…上衣
2…前身頃
21…下前身頃
210…前立て部
22…上前身頃
220…前立て部
23…主留め部
23a…ボタン
23b…ボタンホール
231…第1主留め部
232…第2主留め部
233…第3主留め部
234…第4主留め部
235…第5主留め部
236…第6主留め部
237…第7主留め部
24…補助留め部
24a…ボタン
24b…ボタンホール
25…見返し
3…後身頃
4…衿部
5…袖部