【課題】相対摺動する一対の摺動部品の摺動面に供給するシールガスの摺動面における径方向の流れを制御することにより、シールガスの低圧流体側へ流れる流量を低減させ、密封性を向上させることのできるシール装置を提供すること。
【解決手段】固定側密封環2の摺動面にはシールガス供給通路21に連通する静圧溝22、回転側密封環3の摺動面には固定側密封環2の摺動面との相対摺動によりシールガスの径方向の流れを外径側の低圧流体側から内径側の高圧流体側に向けた流れに制御可能とするスパイラル溝51からなるポンピング溝5、並びに、ポンピング溝51は周方向に連続したランド部に上流側の端部51a及び下流側の端部51bを有し、
ポンピング溝51の上流側の端部51aは固定側密封環2の外周2bより外径側に位置することにより固定側密封環2の外径側に連通するとともに、ポンピング溝51の下流側の端部51bは静圧溝22とはランド部Rにより隔離される。
互いに相対摺動する一対の摺動部品を備え、一方の摺動部品は固定側密封環であり、他方の摺動部品は回転側密封環であり、これらの密封環は半径方向に形成された摺動面をそれぞれ有し、被密封流体が漏洩するのをシールするものであって、
前記固定側密封環の摺動面にはシールガス供給通路に連通する静圧溝、前記回転側密封環の摺動面には前記固定側密封環の前記摺動面との相対摺動によりシールガスの径方向の流れを外径側の低圧流体側から内径側の高圧流体側に向けた流れに制御可能とするスパイラル溝からなるポンピング溝、並びに、前記ポンピング溝は周方向に連続したランド部に上流側の端部及び下流側の端部を有し、
前記ポンピング溝の前記上流側の端部は前記固定側密封環の外周より外径側に位置することにより前記固定側密封環の外径側に連通するとともに、前記前記ポンピング溝の前記下流側の端部は前記静圧溝とはランド部により隔離されることを特徴とするシール装置。
互いに相対摺動する一対の摺動部品を備え、一方の摺動部品は固定側密封環であり、他方の摺動部品は回転側密封環であり、これらの密封環は半径方向に形成された摺動面をそれぞれ有し、被密封流体が漏洩するのをシールするものであって、
前記固定側密封環の摺動面にはシールガス供給通路に連通する静圧溝、前記回転側密封環の摺動面には前記固定側密封環の前記摺動面との相対摺動によりシールガスの径方向の流れを外径側の低圧流体側から内径側の高圧流体側に向けた流れに制御可能とするスパイラル溝からなるポンピング溝、並びに、前記ポンピング溝は周方向に連続したランド部に上流側の端部及び下流側の端部を有し、
前記ポンピング溝の前記上流側の端部は前記固定側密封環の外周側とはランド部により隔離されるとともに、前記ポンピング溝の前記下流側の端部はレイリーステップが形成されないように前記静圧溝に連通することを特徴とするシール装置。
互いに相対摺動する一対の摺動部品を備え、一方の摺動部品は固定側密封環であり、他方の摺動部品は回転側密封環であり、これらの密封環は半径方向に形成された摺動面をそれぞれ有し、被密封流体が漏洩するのをシールするものであって、
前記固定側密封環の摺動面にはシールガス供給通路に連通する静圧溝、前記回転側密封環の摺動面には前記固定側密封環の前記摺動面との相対摺動によりシールガスの径方向の流れを外径側の低圧流体側から内径側の高圧流体側に向けた流れに制御可能とするスパイラル溝からなるポンピング溝、並びに、前記ポンピング溝は周方向に連続したランド部に上流側の端部及び下流側の端部を有し、
前記ポンピング溝の前記上流側の端部は前記静圧溝とはランド部により隔離されるとともに、前記ポンピング溝の前記下流側の端部は前記固定側密封環の内周より内径側に位置して前記固定側密封環の内径側と連通することを特徴とするシール装置。
互いに相対摺動する一対の摺動部品を備え、一方の摺動部品は固定側密封環であり、他方の摺動部品は回転側密封環であり、これらの密封環は半径方向に形成された摺動面をそれぞれ有し、被密封流体が漏洩するのをシールするものであって、
前記固定側密封環の摺動面にはシールガス供給通路に連通する静圧溝、前記回転側密封環の摺動面には前記固定側密封環の前記摺動面との相対摺動によりシールガスの径方向の流れを外径側の低圧流体側から内径側の高圧流体側に向けた流れに制御可能とするスパイラル溝からなるポンピング溝、並びに、前記ポンピング溝は周方向に連続したランド部に上流側の端部及び下流側の端部を有し、
前記ポンピング溝の前記上流側の端部は前記静圧溝に連通するとともに、前記ポンピング溝の前記下流側の端部は前記固定側密封環の内周側とはランド部により隔離されることを特徴とするシール装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1及び2に記載の従来技術においては、摺動面にシールガス供給通路と動圧発生溝が設けられているのみなので、高圧流体側の圧力よりも高圧のシールガスは高圧流体側及び低圧流体側の双方に流れる。その際、低圧流体側にはより多くのシールガスが流れるため、高圧流体側の被密封流体が低圧流体側に漏洩しやすく、シール性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、相対摺動する一対の摺動部品の摺動面に供給するシールガスの摺動面における径方向の流れを制御することにより、シールガスの低圧流体側へ流れる流量を低減させ、密封性を向上させることのできるシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明のシール装置は、第1に、
互いに相対摺動する一対の摺動部品を備え、一方の摺動部品は固定側密封環であり、他方の摺動部品は回転側密封環であり、これらの密封環は半径方向に形成された摺動面をそれぞれ有し、被密封流体が漏洩するのをシールするものであって、
前記固定側密封環の摺動面にはシールガス供給通路に連通する静圧溝、前記回転側密封環の摺動面には前記固定側密封環の前記摺動面との相対摺動によりシールガスの径方向の流れを外径側の低圧流体側から内径側の高圧流体側に向けた流れに制御可能とするスパイラル溝からなるポンピング溝、並びに、前記ポンピング溝は周方向に連続したランド部に上流側の端部及び下流側の端部を有し、
前記ポンピング溝の前記上流側の端部は前記固定側密封環の外周より外径側に位置することにより前記固定側密封環の外径側に連通するとともに、前記前記ポンピング溝の前記下流側の端部は前記静圧溝とはランド部により隔離されることを特徴としている。
この特徴によれば、シールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。また、スパイラル溝の下流側の端部のレイリーステップにおいて動圧(正圧)が発生されるため、固定側密封環の摺動面と回転側密封環の摺動面との間の隙間が広げられ、シールガスの供給量を少なくしても、非接触型の静圧シール機能を保持することができる。
【0008】
また、本発明のシール装置は、第2に、
互いに相対摺動する一対の摺動部品を備え、一方の摺動部品は固定側密封環であり、他方の摺動部品は回転側密封環であり、これらの密封環は半径方向に形成された摺動面をそれぞれ有し、被密封流体が漏洩するのをシールするものであって、
前記固定側密封環の摺動面にはシールガス供給通路に連通する静圧溝、前記回転側密封環の摺動面には前記固定側密封環の前記摺動面との相対摺動によりシールガスの径方向の流れを外径側の低圧流体側から内径側の高圧流体側に向けた流れに制御可能とするスパイラル溝からなるポンピング溝、並びに、前記ポンピング溝は周方向に連続したランド部に上流側の端部及び下流側の端部を有し、
前記ポンピング溝の前記上流側の端部は前記固定側密封環の外周側とはランド部により隔離されるとともに、前記ポンピング溝の前記下流側の端部はレイリーステップが形成されないように前記静圧溝に連通することを特徴としている。
この特徴によれば、シールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。また、摺動面の外径近傍においてランド部が連続して存在するため、より一層、密封性を高めることができる。
【0009】
また、本発明のシール装置は、第3に、
互いに相対摺動する一対の摺動部品を備え、一方の摺動部品は固定側密封環であり、他方の摺動部品は回転側密封環であり、これらの密封環は半径方向に形成された摺動面をそれぞれ有し、被密封流体が漏洩するのをシールするものであって、
前記固定側密封環の摺動面にはシールガス供給通路に連通する静圧溝、前記回転側密封環の摺動面には前記固定側密封環の前記摺動面との相対摺動によりシールガスの径方向の流れを外径側の低圧流体側から内径側の高圧流体側に向けた流れに制御可能とするスパイラル溝からなるポンピング溝、並びに、前記ポンピング溝は周方向に連続したランド部に上流側の端部及び下流側の端部を有し、
前記ポンピング溝の前記上流側の端部は前記静圧溝とはランド部により隔離されるとともに、前記ポンピング溝の前記下流側の端部は前記固定側密封環の内周より内径側に位置して前記固定側密封環の内径側と連通することを特徴としている。
この特徴によれば、静圧溝から内周側へ流れ出るシールガスの圧力流れが増加し、その増加分だけ外周側へ流れるシールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明のシール装置は、第4に、
互いに相対摺動する一対の摺動部品を備え、一方の摺動部品は固定側密封環であり、他方の摺動部品は回転側密封環であり、これらの密封環は半径方向に形成された摺動面をそれぞれ有し、被密封流体が漏洩するのをシールするものであって、
前記固定側密封環の摺動面にはシールガス供給通路に連通する静圧溝、前記回転側密封環の摺動面には前記固定側密封環の前記摺動面との相対摺動によりシールガスの径方向の流れを外径側の低圧流体側から内径側の高圧流体側に向けた流れに制御可能とするスパイラル溝からなるポンピング溝、並びに、前記ポンピング溝は周方向に連続したランド部に上流側の端部及び下流側の端部を有し、
前記ポンピング溝の前記上流側の端部は前記静圧溝に連通するとともに、前記ポンピング溝の前記下流側の端部は前記固定側密封環の内周側とはランド部により隔離されることを特徴としている。
この特徴によれば、低圧流体側ポンピング溝を構成するスパイラル溝により静圧溝から供給されて低圧流体側に流れて漏れようとするシールガスを高圧流体側に押し戻すとともに、高圧流体側ポンピング溝を構成するスパイラル溝により摺動面の内周側の圧力が低下して静圧溝から内周側へ流れ出るシールガスの圧力流れが増加し、その増加分だけ外周側へ流れるシールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減されるため、被密封流体の漏れを、より一層、低減でき、密封性をさらに向上させることができる。
また、高圧流体側ポンピング溝を構成するスパイラル溝の下流側の端部のレイリーステップにおいて動圧(正圧)が発生されるため、固定側密封環の摺動面と回転側密封環の摺動面との間の隙間が広げられ、シールガスの供給量を少なくしても、非接触型の静圧シール機能を保持することができる。
【0011】
また、本発明のシール装置は、第5に第1及び第4のシール装置において、前記ポンピング溝の前記下流側の端部はレイリーステップを構成することを特徴としている。
この特徴によれば、ポンピング溝の下流側の端部のレイリーステップにおいて動圧(正
圧)が発生されるため、固定側密封環の摺動面と回転側密封環の摺動面との間の隙間が広
げられ、シールガスの供給量を少なくしても、非接触型の静圧シール機能を保持すること
ができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以下のような優れた効果を奏する。
(1)一対の摺動部品の摺動面には、シールガス供給通路に連通する静圧溝、及び、両摺動面の相対摺動によりシールガスの径方向の流れを低圧流体側から高圧流体側に向けた流れに制御可能のポンピング溝が設けられることにより、シールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。
【0013】
(2)ポンピング溝は、静圧溝よりも低圧流体側に位置し、上流側の端部が低圧流体側に連通するとともに下流側の端部が静圧溝とはランド部により隔離されるように配設されたスパイラル溝であることにより、シールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができるに加えて、スパイラル溝の下流側の端部のレイリーステップにおいて動圧(正圧)が発生されるため、固定側密封環の摺動面と回転側密封環の摺動面との間の隙間が広げられ、シールガスの供給量を少なくしても、非接触型の静圧シール機能を保持することができる。
【0014】
(3)ポンピング溝は、静圧溝よりも低圧流体側に位置し、上流側の端部が低圧流体側とはランド部により隔離されるとともに下流側の端部が静圧溝と連通するように配設されたスパイラル溝であることにより、シールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。また、摺動面の外径近傍においてランド部が連続して存在するため、より一層、密封性を高めることができる。
【0015】
(4)ポンピング溝は、静圧溝よりも高圧流体側に位置し、上流側の端部が静圧溝とはランド部により隔離されるとともに下流側の端部が高圧流体側と連通するように配設されたスパイラル溝であることにより、静圧溝から内周側へ流れ出るシールガスの圧力流れが増加し、その増加分だけ外周側へ流れるシールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。
【0016】
(5)ポンピング溝は、静圧溝よりも高圧流体側に位置し、上流側の端部が静圧溝に連通するとともに下流側の端部が高圧流体側とはランド部により隔離されるように配設されたスパイラル溝であることにより、静圧溝から内周側へ流れ出るシールガスの圧力流れが増加し、その増加分だけ外周側へ流れるシールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。
また、スパイラル溝の下流側の端部のレイリーステップにおいて動圧(正圧)が発生されるため、固定側密封環の摺動面と回転側密封環の摺動面との間の隙間が広げられ、シールガスの供給量を少なくしても、非接触型の静圧シール機能を保持することができる。
【0017】
(6)ポンピング溝は、静圧溝の低圧流体側に位置する低圧流体側ポンピング溝と静圧溝の高圧流体側に位置する高圧流体側ポンピング溝から構成され、低圧流体側ポンピング溝は上流側の端部が低圧流体側とはランド部により隔離されるとともに下流側の端部が静圧溝と連通するように配設されたスパイラル溝であり、高圧流体側ポンピング溝は上流側の端部が静圧溝に連通するとともに下流側の端部が高圧流体側とはランド部により隔離されるように配設されたスパイラル溝であることにより、低圧流体側ポンピング溝を構成するスパイラル溝により静圧溝から供給されて低圧流体側に流れて漏れようとするシールガスを高圧流体側に押し戻すとともに、高圧流体側ポンピング溝を構成するスパイラル溝により摺動面の内周側の圧力が低下して静圧溝から内周側へ流れ出るシールガスの圧力流れが増加し、その増加分だけ外周側へ流れるシールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減されるため、被密封流体の漏れを、より一層、低減でき、密封性をさらに向上させることができる。
また、高圧流体側ポンピング溝を構成するスパイラル溝の下流側の端部のレイリーステップにおいて動圧(正圧)が発生されるため、固定側密封環の摺動面と回転側密封環の摺動面との間の隙間が広げられ、シールガスの供給量を少なくしても、非接触型の静圧シール機能を保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置などは、特に明示的な記載がない限り、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0020】
図1及び
図2を参照して、本発明の実施例1に係るシール装置について説明する。
なお、以下の実施例においては、シール装置を構成する摺動部品の外周側を低圧流体側、内周側を高圧流体側とするアウトサイド形シールについて説明するが、本発明はこれに限定されることなく、外周側が高圧流体側、内周側が低圧流体側とするインサイド形シールである場合も適用可能である。また、固定側密封環の摺動面に静圧溝が形成され、回転側密封環の摺動面にポンピング溝が形成される場合について説明するが、本発明はこれに限定されることなく、静圧溝及びポンピング溝は固定側密封環及び回転側密封環の少なくともいずれか一方に形成されればよい。
【0021】
図1において、シール装置1は回転軸50とハウジング60との間に取り付けられる。ハウジング60の段部状孔に断面L形のリング状の保持部40が嵌着され、並列状の2個のOリング62によりシールされる。更に、この保持部40の内周孔の周面には固定側密封環2が軸方向に移動自在に配設され、2個のOリング32によりシ−ルされる。また、固定側密封環2が内周孔から抜け出さないようにスナップリング45が設けられる。
また、保持部40の内周孔側に沿って等配に複数の穴41が設けられ、この各穴41には、ばね42が配設される。そして、ばね42により固定側密封環2を回転側密封環3側へ弾発的に押圧する。尚、図示は省略するが、固定側密封環2は保持部40に回り止めピンにより係止されている。
【0022】
回転軸50にはスリーブ46がOリング33を介して固着されている。このスリーブ46の段部に回転側密封環3が嵌着され、側周面に設けられるOリング31によりシールされる。また、回転側密封環3は、第1抑え部47によりスリーブ46の段部に固定される。さらに、スリーブ46と第1抑え部47は回転軸50に第2抑え部48を介して固定される。この第2抑え部48は回転軸50と互いに螺合してスリーブ46と第1抑え部47とを締め付け固定する。
【0023】
固定側密封環2及び回転側密封環3の材質は、耐摩耗性に優れた炭化ケイ素(SiC)及び自己潤滑性に優れたカーボンなどから選定されるが、例えば、両者がSiC、あるいは、いずれか一方がSiCであって他方がカーボンの組合せが可能である。
【0024】
また、本例では、固定側密封環2の外径より回転側密封環3の外径が大きく、また、固定側密封環2の内径より回転側密封環3の内径が小さく設定されており、固定側密封環2の摺動面S2の幅より回転側密封環3の摺動面S3の幅が大きい。このため、固定側密封環2の摺動面S2と回転側密封環3の摺動面S3とが実際に相対摺動する摺動面の幅は固定側密封環2の摺動面S2の幅となる。
以下において、実際に相対摺動する摺動面を「摺動面S」と呼ぶ。
なお、密封環2及び3の外径及び内径の相対的な大きさは上記と逆でもよい。
【0025】
ハウジング60及び保持部40には、それぞれ、互いに連通した連通路61及び43が設けられ、この連通路61、43は、固定側密封環2に設けられる略直角に曲げられたシールガス供給通路21に連通される。また、ハウジング60の連通路61には図示省略のシールガス供給源に接続するシールガス供給配管が接続される。さらに、シールガス供給通路21は、固定側密封環2の摺動面S2に形成される静圧溝22に連通される。静圧溝22は、断面形状が矩形で、摺動面Sの径方向の略中心に位置するようにして全周に連続して設けられる。
なお、静圧溝22は、全周に連続的設けられる場合に限らず、複数の円弧状溝が均等長さで周方向に等間隔で配設されるものでもよい。
また、静圧溝22の形成される位置は、摺動面Sの径方向の略中心の他、低圧流体側あるいは高圧流体側のいずれかに片寄って配置されてもよい。
【0026】
機内の被密封流体の圧力、すなわち、高圧流体側の圧力をP1、シール装置1より機外の低圧流体側の圧力をP2、シールガスの圧力をP3とすると、シールガスの圧力P3は、高圧流体側の圧力P1と同等か、それより高くされ、また、低圧流体側の圧力P2より高く設定される。
シールガスとしては、例えば、窒素ガスが採用される。
【0027】
このような構成においては、連通路61、43から供給されたシールガスは、シールガス供給通路21を経て静圧溝22に供給され、固定側密封環2と回転側密封環3との間の隙間を通り静圧溝22から内周側および外周側へ向って流出するとともに、ばね42の弾発力により、固定側密封環2が回転側密封環3に向けて押圧付勢される状態で回転軸50が回転する。その結果、ばね42による付勢力とシールガス噴出による押し退け圧力とがバランスし、両密封環2、3間の隙間が自動調整され、かつ、シールガスがシール潤滑膜となり、非接触型の静圧シール機能が発揮される。
【0028】
図2は、
図1のシール装置の回転側密封環3の摺動面S3を実線で示したものであって、固定側密封環2の摺動面S2に形成された静圧溝22、シールガス供給通路21の開口部21a、固定側密封環2の内径2a及び外径2bが点線で示されている。
図2に示すように、本例では、静圧溝22は全周にわたって連続して形成された全周溝であり、静圧溝22の任意の1個所にシールガス供給通路21の開口部21aが連通され、開口部21aから供給されたシールガスは、静圧溝22を介して相対摺動する摺動面Sの全周に供給され、内周側(高圧流体側)および外周側(低圧流体側)へ向って流出しようとする。
【0029】
回転側密封環3の摺動面S3には、両摺動面S2及びS3の相対摺動により静圧溝22から供給されたシールガスの径方向の流れを低圧流体側から高圧流体側に向けた流れに制御するためのポンピング溝5が設けられている。
【0030】
図2において、相手側摺動面は矢印で示すように、反時計方向に回転するものとする。ポンピング溝5は、スパイラル形状の溝である(以下、「スパイラル溝」という。)。ポンピング溝5を構成するスパイラル溝51は、静圧溝22よりも径方向において低圧流体側に位置し、上流側の端部51aが低圧流体側に連通するとともに下流側の端部51bが静圧溝22とはランド部(摺動面の平滑部)Rにより隔離されるように配設され、相対摺動により、摺動面に存在するシールガスを低圧流体側から高圧流体側に押し戻すように傾斜された溝である。
【0031】
図2では、ポンピング溝5を構成するスパイラル溝51は、周方向に36等配で設けられているが、これに限定されることなく、1以上であればよい。
また、スパイラル溝51の幅、深さ、スパイラル角度及び長さは、摺動面の径、幅、相対摺動速度及びシールガスの性状を考慮して設計的に決められる。
【0032】
今、静圧溝22からシールガスが供給され、回転軸50が回転駆動されると、回転側密封環3が回転し、固定側密封環2の摺動面S2と回転側密封環3の摺動面S3とが相対摺動する。この相対摺動により、スパイラル溝51はスパイラル溝51内に流入する流体を高圧流体側に運搬するように作用するため、静圧溝22から供給されて低圧流体側に流れて漏れようとするシールガスを高圧流体側に押し戻す。このため、シールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。
また、その際、スパイラル溝51の下流側の端部51bのレイリーステップにおいて動圧(正圧)が発生されるため、固定側密封環2の摺動面S2と回転側密封環3の摺動面S3との間の隙間が広げられる。このため、シールガスの供給量を少なくしても、非接触型の静圧シール機能を保持することができる。
なお、シール装置の静止時においては、摺動面Sの静圧溝22よりも高圧流体側には連続したランド部Rが形成されているため、被密封流体が漏洩することはない。
【0033】
以上説明した実施例1の構成によれば、以下のような効果を奏する。
(1)互いに相対摺動する一対の摺動部品を備え、一方の摺動部品は固定側密封環2であり、他方の摺動部品は回転側密封環3であり、これらの密封環2、3は半径方向に形成された摺動面S2、S3をそれぞれ有し、被密封流体が漏洩するのをシールするものであって、一対の摺動部品2、3の摺動面S2、S3には、シールガス供給通路に連通する静圧溝22、及び、両摺動面S2、S3の相対摺動によりシールガスの径方向の流れを低圧流体側から高圧流体側に向けた流れに制御可能のポンピング溝5が設けられることにより、シールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。
(2)ポンピング溝5は、静圧溝22よりも低圧流体側に位置し、上流側の端部51aが低圧流体側に連通するとともに下流側の端部51bが静圧溝22とはランド部Rにより隔離されるように配設されたスパイラル溝51であることにより、スパイラル溝51の下流側の端部51bのレイリーステップにおいて動圧(正圧)が発生されるため、固定側密封環2の摺動面S2と回転側密封環3の摺動面S3との間の隙間が広げられ、シールガスの供給量を少なくしても、非接触型の静圧シール機能を保持することができる。
【実施例2】
【0034】
図3を参照して、本発明の実施例2に係るシール装置について説明する。
実施例2に係るシール装置は、ポンピング溝5を構成するスパイラル溝の配設される位置が実施例1のシール装置と相違するが、その他の基本構成は実施例1と同じであり、同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0035】
図3において、ポンピング溝5を構成するスパイラル溝52は、静圧溝22よりも低圧流体側に位置し、上流側の端部52aが低圧流体側とはランド部Rにより隔離されるとともに下流側の端部52bが静圧溝22と連通するように配設されている。
【0036】
図3では、ポンピング溝5を構成するスパイラル溝52は、周方向に36等配で設けられているが、これに限定されることなく、1以上であればよい。
また、スパイラル溝52の幅、深さ、スパイラル角度及び長さは、摺動面の径、幅、相対摺動速度及びシールガスの性状を考慮して設計的に決められる。
【0037】
今、静圧溝22からシールガスが供給され、回転軸50が回転駆動されると、回転側密封環3が回転し、固定側密封環2の摺動面S2と回転側密封環3の摺動面S3とが相対摺動する。この相対摺動により、スパイラル溝52はスパイラル溝52内に流入する流体を高圧流体側に運搬するように作用するため、静圧溝22から供給されて低圧流体側に流れて漏れようとするシールガスを高圧流体側に押し戻す。このため、シールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。
また、その際、下流側の端部52bではレイリーステップが形成されないことから動圧(正圧)が発生しない。このため、シールガスの供給量を実施例1の場合より多くする必要があるが、シールガスの存在に加えて、相対摺動する摺動面の外径近傍においてランド部Rが周方向に連続して存在するため、実施例1の場合よりも密封性は高い。
なお、シール装置の静止時においては、摺動面Sの静圧溝22よりも高圧流体側には連続したランド部Rが形成されているため、被密封流体が漏洩することはない。
【0038】
以上説明した実施例2の構成によれば、以下のような効果を奏する。
ポンピング溝5は、静圧溝22よりも低圧流体側に位置し、上流側の端部52aが低圧流体側とはランド部Rにより隔離されるとともに下流側の端部52bが静圧溝22と連通するように配設されたスパイラル溝52であることにより、シールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。また、摺動面の外径近傍においてランド部Rが連続して存在するため、より一層、密封性を高めることができる。
【実施例3】
【0039】
図4を参照して、本発明の実施例2に係るシール装置について説明する。
実施例3に係るシール装置は、ポンピング溝5を構成するスパイラル溝の配設される位置が実施例1のシール装置と相違するが、その他の基本構成は実施例1と同じであり、同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
図4において、ポンピング溝5を構成するスパイラル溝53は、静圧溝22よりも高圧流体側に位置し、上流側の端部53aが静圧溝22とはランド部Rにより隔離されるとともに下流側の端部53bが高圧流体側と連通するように配設されている。
【0041】
図4では、ポンピング溝5を構成するスパイラル溝53は、周方向に36等配で設けられているが、これに限定されることなく、1以上であればよい。
スパイラル溝53の幅、深さ、スパイラル角度及び長さは、摺動面の径、幅、相対摺動速度及びシールガスの性状を考慮して設計的に決められる。
【0042】
今、静圧溝22からシールガスが供給され、回転軸50が回転駆動されると、回転側密封環3が回転し、固定側密封環2の摺動面S2と回転側密封環3の摺動面S3とが相対摺動する。この相対摺動により、スパイラル溝53はスパイラル溝53内に流入する流体を高圧流体側に運搬するように作用するため、スパイラル溝53の配設された摺動面S2、S3の内周側の圧力は低下する。このため、静圧溝22から内周側へ流れ出るシールガスの圧力流れが増加し、その増加分だけ外周側へ流れるシールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。
また、その際、スパイラル溝53の下流側の端部53bにおいてはレイリーステップが形成されないことから動圧(正圧)が発生しない。このため、シールガスの供給量を実施例1の場合より多くする必要があるが、シールガスの存在に加えて、相対摺動する摺動面の外径側においてランド部Rが周方向に連続して存在するため、実施例1の場合よりも密封性は高い。
なお、シール装置の静止時においては、摺動面Sの静圧溝22よりも低圧流体側には連続したランド部Rが形成されているため、被密封流体が漏洩することはない。
【0043】
以上説明した実施例3の構成によれば、以下のような効果を奏する。
ポンピング溝5は、静圧溝22よりも高圧流体側に位置し、上流側の端部53aが静圧溝22とはランド部Rにより隔離されるとともに下流側の端部53bが高圧流体側と連通するように配設されたスパイラル溝53であることにより、静圧溝22から内周側へ流れ出るシールガスの圧力流れが増加し、その増加分だけ外周側へ流れるシールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。
なお、シール装置の静止時においては、摺動面Sの静圧溝22よりも低圧流体側には連続したランド部Rが形成されているため、被密封流体が漏洩することはない。
【実施例4】
【0044】
図5を参照して、本発明の実施例4に係るシール装置について説明する。
実施例4に係るシール装置は、ポンピング溝5を構成するスパイラル溝の配設される位置が実施例1のシール装置と相違するが、その他の基本構成は実施例1と同じであり、同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0045】
図5において、ポンピング溝5を構成するスパイラル溝54は、静圧溝22よりも高圧流体側に位置し、上流側の端部54aが静圧溝22に連通するとともに下流側の端部54bが高圧流体側とはランド部Rにより隔離されるように配設されている。
【0046】
図5では、ポンピング溝5を構成するスパイラル溝54は、周方向に36等配で設けられているが、これに限定されることなく、1以上であればよい。
また、スパイラル溝54の幅、深さ、スパイラル角度及び長さは、摺動面の径、幅、相対摺動速度及びシールガスの性状を考慮して設計的に決められる。
【0047】
今、静圧溝22からシールガスが供給され、回転軸50が回転駆動されると、回転側密封環3が回転し、固定側密封環2の摺動面S2と回転側密封環3の摺動面S3とが相対摺動する。この相対摺動により、スパイラル溝54はスパイラル溝54内に流入する流体を高圧流体側に運搬するように作用するため、スパイラル溝54の配設された摺動面S2、S3の外周側の圧力は低下する。このため、静圧溝22から内周側へ流れ出るシールガスの圧力流れが増加し、その増加分だけ外周側へ流れるシールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。
また、相対摺動する摺動面の外径側においてランド部Rが周方向に連続して存在するため、実施例1の場合よりも密封性は高い。
さらに、その際、スパイラル溝54の下流側の端部54bのレイリーステップにおいて動圧(正圧)が発生されるため、固定側密封環2の摺動面S2と回転側密封環3の摺動面S3との間の隙間が広げられる。このため、シールガスの供給量を少なくしても、非接触型の静圧シール機能を保持することができる。
なお、シール装置の静止時においては、摺動面Sの静圧溝22よりも低圧流体側には連続したランド部Rが形成されているため、被密封流体が漏洩することはない。
【0048】
以上説明した実施例4の構成によれば、以下のような効果を奏する。
(1)ポンピング溝5は、静圧溝22よりも高圧流体側に位置し、上流側の端部54aが静圧溝22に連通するとともに下流側の端部54bが前記高圧流体側とはランド部Rにより隔離されるように配設されたスパイラル溝54であることにより、静圧溝22から内周側へ流れ出るシールガスの圧力流れが増加し、その増加分だけ外周側へ流れるシールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。また、相対摺動する摺動面の外径側においてランド部Rが周方向に連続して存在するため、実施例1の場合よりも密封性は高い。
(2)スパイラル溝54の下流側の端部54bのレイリーステップにおいて動圧(正圧)が発生されるため、固定側密封環2の摺動面S2と回転側密封環3の摺動面S3との間の隙間が広げられ、シールガスの供給量を少なくしても、非接触型の静圧シール機能を保持することができる。
【実施例5】
【0049】
図6を参照して、本発明の実施例5に係るシール装置について説明する。
実施例5に係るシール装置は、ポンピング溝5が低圧流体側ポンピング溝と高圧流体側ポンピング溝から構成される点で実施例1のシール装置と相違するが、その他の基本構成は実施例1と同じであり、同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0050】
図6において、ポンピング溝5は、静圧溝22の低圧流体側に位置する低圧流体側ポンピング溝5Aと静圧溝22の高圧流体側に位置する高圧流体側ポンピング溝5Bから構成され、低圧流体側ポンピング溝5Aを構成するスパイラル溝55は上流側の端部55aが低圧流体側とはランド部Rにより隔離されるとともに下流側の端部55bが静圧溝22と連通するように配設され、高圧流体側ポンピング溝5Bを構成するスパイラル溝56は上流側の端部56aが静圧溝22に連通するとともに下流側の端部56bが高圧流体側とはランド部Rにより隔離されるように配設されている。
【0051】
図6では、低圧流体側ポンピング溝5A及び高圧流体側ポンピング溝5Bをそれぞれ構成するスパイラル溝55及び56は、周方向に36等配で設けられているが、これに限定されることなく、1以上であればよい。
また、スパイラル溝55及び56の幅、深さ、スパイラル角度及び長さは、摺動面の径、幅、相対摺動速度及びシールガスの性状を考慮して設計的に決められる。
【0052】
今、静圧溝22からシールガスが供給され、回転軸50が回転駆動されると、回転側密封環3が回転し、固定側密封環2の摺動面S2と回転側密封環3の摺動面S3とが相対摺動する。この相対摺動により、低圧流体側ポンピング溝5A構成するスパイラル溝55はスパイラル溝55内に流入する流体を高圧流体側に運搬するように作用するため、静圧溝22から供給されて低圧流体側に流れて漏れようとするシールガスを高圧流体側に押し戻す。このため、シールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。
また、同時に、高圧流体側ポンピング溝5Bを構成するスパイラル溝56はスパイラル溝56内に流入する流体を高圧流体側に運搬するように作用するため、スパイラル溝56の配設された摺動面S2、S3の内周側の圧力は低下する。このため、静圧溝22から内周側へ流れ出るシールガスの圧力流れが増加し、その増加分だけ外周側へ流れるシールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減され、被密封流体の漏れを低減でき、密封性を向上させることができる。
また、その際、スパイラル溝56の下流側の端部56bのレイリーステップにおいて動圧(正圧)が発生されるため、固定側密封環2の摺動面S2と回転側密封環3の摺動面S3との間の隙間が広げられる。このため、シールガスの供給量を少なくしても、非接触型の静圧シール機能を保持することができる。
なお、シール装置の静止時においては、摺動面Sの内径の近傍及び外径の近傍には連続したランド部Rが形成されているため、被密封流体が漏洩することはない。
【0053】
以上説明した実施例5の構成によれば、以下のような効果を奏する。
(1)ポンピング溝5は、静圧溝22の低圧流体側に位置する低圧流体側ポンピング溝5Aと静圧溝22の高圧流体側に位置する高圧流体側ポンピング溝5Bから構成され、低圧流体側ポンピング溝5Aは上流側の端部55aが低圧流体側とはランド部Rにより隔離されるとともに下流側の端部55bが静圧溝22と連通するように配設されたスパイラル溝55であり高圧流体側ポンピング溝5Bは上流側の端部56aが静圧溝22に連通するとともに下流側の端部56bが高圧流体側とはランド部Rにより隔離されるように配設されたスパイラル溝56であることにより、スパイラル溝55により静圧溝22から供給されて低圧流体側に流れて漏れようとするシールガスを高圧流体側に押し戻すとともに、スパイラル溝56により摺動面Sの内周側の圧力が低下して静圧溝22から内周側へ流れ出るシールガスの圧力流れが増加し、その増加分だけ外周側へ流れるシールガスの低圧流体側へ流れる流量は低減されるため、被密封流体の漏れを、より一層、低減でき、密封性をさらに向上させることができる。
(2)スパイラル溝56の下流側の端部56bのレイリーステップにおいて動圧(正圧)が発生されるため、固定側密封環2の摺動面S2と回転側密封環3の摺動面S3との間の隙間が広げられ、シールガスの供給量を少なくしても、非接触型の静圧シール機能を保持することができる。
【0054】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0055】
例えば、前記実施例では、摺動部品の外周側が低圧流体側(例えば、大気側)、内周側を高圧流体側であるアウトサイド形として説明したが、本発明はこれに限定されることなく、外周側が高圧流体側、内周側が低圧流体側であるインサイド形である場合も適用可能である。
【0056】
また、例えば、前記実施例では、固定側密封環2に静圧溝22が形成され、回転側密封環3にポンピング溝5が形成される場合について説明したが、これに限定されることなく、固定側密封環2にポンピング溝5が形成され、回転側密封環3に静圧溝22が形成されてもよく、また、いずれか一方の密封環に静圧溝22及びポンピング溝5が形成されてもよい。
【0057】
また、例えば、前記実施例では、静圧溝22の形成される位置は、摺動面Sの径方向の略中心である場合について説明したが、これに限定されることなく、静圧溝22の径方向の位置は低圧流体側あるいは高圧流体側のいずれかに片寄って配置されてもよい。