本発明に係る情報処理装置は、他車両から受信した画像または路側機から受信した所定の案内予定地点が含まれる画像を表示する映像生成部と、案内予定地点に関する情報を取得する案内予定地点取得部と、自車両の位置に関する情報を取得する位置情報取得部と、自車両の位置を基準とする第一の範囲内に案内予定地点が存在する場合、他車両から受信した画像を表示するよう判断し、自車両の位置を基準とする第二の範囲内に案内予定地点が存在する場合、他車両から受信した画像に代えて路側機から受信した画像を表示するよう判断する外部映像取得制御部と、を備え、第二の範囲は、第一の範囲内にあって第一の範囲よりも狭い。
前記外部映像取得制御部は、前記第二の範囲内に前記案内予定地点が存在する場合において、前記案内予定地点における退出方向を撮像する路側機を優先的に選択して前記画像を受信する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
前記外部映像取得制御部は、前記案内予定地点における退出方向を撮像する路側機のうち、前記自車両の位置から近い距離の路側機を優先的に選択して前記画像を受信する、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
前記外部映像取得制御部は、前記第一の範囲内に前記案内予定地点が存在する場合において、前記自車両と同一の進行方向を撮像する他車両を優先的に選択して前記画像を受信する、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
前記外部映像取得制御部は、前記自車両と同一の進行方向を撮像する他車両のうち、前記自車両の位置から前記案内予定地点までの間を走行しており、前記自車両の位置から所定以上遠い距離にある車両を優先的に選択して前記画像を受信する、
ことを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る情報処理装置を含む情報処理システム1について、図面を参照して説明する。なお、
図1〜
図10は、情報処理システム1の全ての構成を示すものではなく、理解容易のため、適宜、構成の一部を省略して描いている。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。また、本実施の形態において「画像」は「映像」と同一の意味を有し、光学的に撮像した平面像の一つ、あるいは複数の集合体のいずれも含むものとする。
【0022】
一般に、車両に搭載されて利用される車載装置やカーナビゲーション装置では、インターネット等の通信以外にも、車車間通信と呼ばれる車両同士の直接の無線通信および路車間通信と呼ばれる車両と道路や交差点等に付随する路側機との間の直接の無線通信等の近距離通信が用いられ始めている。とくに自動運転等において、車両間の進行制御等に用いられる予定がある。
【0023】
また、このような車車間通信、路車間通信は、互いの位置を把握する目的以外にも、各種のコミュニケーションに用いることも検討されつつある。
【0024】
ところで、運転手は、未知の道路を走行する場合や、混雑が予測される道路を走行する場合には、自身の進行方向を定めるにあたり、分岐点の状況、とくに混雑状況や車線変更の自由度を到着前に、つまり早めに知りたいことが多くある。
【0025】
例えば、そのような運転手は、車車間通信を用いて、先行する位置にある他車において取得したドライブレコーダー等の光学的な手段を用いて取得した映像を事前に閲覧できるものであれば、事前に交通状況を把握できて安心できる。それだけでなく、事前に交通状況を知ることで余裕を持った運転を実現でき、経路の逸脱やパニックによる事故につながる行動を未然に防ぐ可能性もある。あるいは、路車間通信を用いて、分岐の進行方向の映像を事前に閲覧することも可能であればより安心できる。とくに、路側機の光学的な手段を用いて取得した映像は視点となる地上高を車載のドライブレコーダーより高く設置可能な可能性があるため、見通しのよい映像をとらえている可能性が高く、利用価値が高いと考えられる。
【0026】
一方で、路車間通信により路側機から映像情報を周囲の車載装置等の情報処理装置に提供する場合には、対象の受信装置の台数(量)によっては路側機の処理能力の不足やそれに伴う処理遅延等が想定されるため、必要な情報処理装置に必要なだけ情報を送信する仕組みが実現されることが望ましい。
【0027】
路側機は、道路の周囲の所定の位置に取り付けられる装置であって、無線通信等により道路を通過する車両等との間で情報の交換を行う。例えば、路側機は、渋滞情報、気象情報、緊急避難情報等を車両に提供する。本発明における路側機は、道路の交通状況について光学的な手段を用いて取得した映像の撮像を行い、要求のあった車両に提供する。また、路側機は、車両から車速や進行方向等の情報を得て、交通量を把握し、信号機の時間制御等を行ってもよい。
【0028】
図1は、本発明に係る実施形態を適用した情報処理装置の構造例を示す図である。情報処理装置100は、上記のような背景課題を認識した上で、運用負荷および処理負荷を抑えて遅延の少ない交差点を案内する情報を提供するための情報処理システム1を構成する情報処理装置の構造例である。
【0029】
車両には、情報処理装置100として、車載装置が搭載されている。車載装置は、CAN(Controller Area Network)等の車両ネットワーク50を介して位置情報出力装置10や撮像装置20と通信可能に接続されている。
【0030】
位置情報出力装置10は、GPS(Global Positioning System)等の衛星からの信号を受信し移動体と衛星間の距離と距離の変化率とを3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在地、進行速度および進行方位を測定し出力するものである。なお、位置情報出力装置10は、GPSに限られず、GLONASS(Global Navigation Satellite System)等の他の衛星による位置情報受信装置であってもよい。なお、位置情報出力装置10は、車載装置に実装される(車載装置の一部として動作する)ものであってもよい。
【0031】
撮像装置20は、ドライブレコーダー等の、車両の周囲の所定の範囲の光学的な手段を用いて取得した映像を取得し、映像情報を出力する装置である。なお、撮像装置20は、車載装置に実装される(車載装置の一部として動作する)ものであってもよいし、車両に複数搭載されるものであってもよい。
【0032】
車両ネットワーク50は、CAN等の規格に限られるものではなく、例えばMOST(Media Oriented Systems Transport)、LIN(Local Interconnect Network)等のネットワークであってもよい。なお、情報処理装置100は、車両ネットワーク50を介して位置情報出力装置10および撮像装置20と通信するものに限られず、専用線等により位置情報出力装置10および撮像装置20から情報を受け付けるものであってもよい。
【0033】
情報処理装置100には、記憶部110と、処理部120と、車両通信部140と、外部通信部150と、が含まれる。記憶部110には、プロフィール記憶部111と、ローカル映像記憶部112と、リモート映像記憶部113と、が含まれる。なお、情報処理装置100が車両ネットワーク50を介するのではなく専用線等によりあるいは直接位置情報出力装置10および撮像装置20から情報を受け付けるものである場合、車両通信部140は必ずしも必要ではない。
【0034】
図2は、プロフィール記憶部のデータ構造例を示す図である。プロフィール記憶部111は、車車間通信および路車間通信において他の装置に提供する自装置の情報であるプロフィール情報を記憶する。主として、項目111aについて保持する値111bを記憶するキーバリュー形式でプロフィール情報を記憶するが、これに限られるものではなく、例えばXML(eXtensible Markup Language)等の各種のフォーマットにより情報を記憶するものであってもよい。
【0035】
例えば、項目111aと値111bの組み合わせには、情報処理装置100を識別する装置ID、情報処理装置100および位置情報出力装置10の緯度経度等の座標、情報処理装置100が搭載されている車両についての、進行方向、車両サイズ、走行速度等の情報、他者への映像提供の可否を示す情報等が含まれる。ただし、これらの例示に限られるものではなく、その他の情報を含むことも可能である。
【0036】
図3は、ローカル映像記憶部のデータ構造例を示す図である。ローカル映像記憶部112には、情報処理装置100が搭載された車両において用いられる撮像装置20において撮像した映像情報が格納される。
【0037】
具体的には、ローカル映像記憶部112には、撮像された映像ごとに、撮影開始日時112aと、撮影終了日時112bと、撮像装置ID112cと、外部送信先112dと、映像情報112eと、が関連付けられて格納される。
【0038】
撮影開始日時112aと、撮影終了日時112bとは、それぞれ、撮像装置20において撮像を開始した日時および終了した日時を特定する情報である。撮像装置ID112cは、撮像装置20を特定する情報である。外部送信先112dは、車車間通信により他車に映像を送信した場合にその映像の提供先の他車の装置を特定する情報である。映像情報112eは、撮像された映像が再生可能に記録された情報、もしくはその情報を特定するアドレス、ファイル名、URI(Uniform Resource Identifier)等の情報である。
【0039】
図4は、リモート映像記憶部のデータ構造例を示す図である。リモート映像記憶部113には、情報処理装置100が搭載された車両とは異なる他車あるいは路側機において撮像された映像情報を受信した情報が格納される。
【0040】
具体的には、リモート映像記憶部113には、撮像された映像ごとに、提供元113aと、受信日時113bと、撮影日時113cと、撮像装置ID113dと、映像情報113eと、が関連付けられて格納される。
【0041】
提供元113aは、映像情報の提供元となる車載装置の車両あるいは路側機を特定する車車間通信あるいは路車間通信の送信元を示す情報である。受信日時113bは、車車間通信あるいは路車間通信により映像情報の送信が開始された日時および終了した日時を特定する情報である。撮影日時113cは、映像情報の提供元となる車載装置の車両あるいは路側機が撮像を開始した日時および終了した日時を特定する情報である。撮像装置ID113dは、映像情報の提供元となる車載装置の車両あるいは路側機の撮像装置を特定する情報である。映像情報113eは、撮像された映像が再生可能に記録された情報、もしくはその情報を特定するアドレス、ファイル名、URI等の情報である。
【0042】
処理部120には、位置情報取得部121と、映像取得部122と、経路探索部123と、経路誘導部124と、案内予定地点取得部125と、外部映像取得制御部126と、走行レーン判定部127と、映像生成部128と、映像提供制御部129と、が含まれる。
【0043】
位置情報取得部121は、車両通信部140を介して、位置情報出力装置10から出力される位置情報を取得する。すなわち、位置情報取得部121は、自車両の位置に関する情報を取得する。なお、車載装置が専用線等により、あるいは直接位置情報出力装置10から情報を受け付けるものである場合、位置情報取得部121は、位置情報出力装置10から出力される位置情報を取得する。
【0044】
映像取得部122は、車両通信部140を介して、撮像装置20から出力される映像情報を取得する。なお、車載装置が専用線等により、あるいは直接撮像装置20から情報を受け付けるものである場合、映像取得部122は、撮像装置20から出力される映像情報を取得する。
【0045】
経路探索部123は、図示しない地図情報等を用いて、所定の2点間の経路の探索をダイクストラ法等の各種の経路探索アルゴリズムを用いて行う。例えば、経路探索部123は、位置情報取得部121が取得した位置情報を出発地点として設定し、電話番号や住所、施設名等の施設情報の入力を受け付けて目的地点として設定し、出発地点から目的地点までの最短ルートや最速ルート、料金が最安となるルート、あるいはその他の指標値を優先した経路を探索する。
【0046】
経路誘導部124は、経路探索部123が探索した経路のいずれかを推奨経路として設定し、位置情報取得部121が取得した位置情報が推奨経路上から逸脱しないように経路を誘導する。例えば、経路誘導部124は、推奨経路において高速道路の分岐点や交差点がある場合には、その通過前に経路から逸脱しない進行方向を音声あるいは表示により示す。
【0047】
案内予定地点取得部125は、経路誘導部124が進行方向を音声あるいは表示により示す基準となる分岐等のうち、位置情報取得部121が取得した位置情報から最寄りの地点を案内予定地点として特定し、その案内地点の座標等を取得する。
【0048】
外部映像取得制御部126は、外部通信部150を介して他の装置あるいは路側機から映像情報を取得する。さらに、外部映像取得制御部126は、処理時点での位置情報取得部121が取得した位置情報を自車両の位置として、その位置を基準とする第一の範囲内(例えば、一般道においては100mより遠く500m未満、高速道路等においては500mより遠く2km未満等)に案内予定地点が存在する場合、他車両から受信した画像を表示するよう判断する。自車両の位置を基準とする第一の範囲よりも狭い第二の範囲内(例えば、一般道においては100m以内、高速道路等においては500m以内等)に案内予定地点が存在する場合、他車両から受信した画像に代えて路側機から受信した画像を表示するよう判断する。
【0049】
また、外部映像取得制御部126は、自車両の位置から第一の範囲内に案内予定地点が存在するとき、他車両から受信した画像を表示するよう判断し、自車両の位置から第一の範囲よりも狭い第二の範囲内に案内予定地点が存在するとき、走行中の車線が案内予定の内容に沿っているか否かに応じて他車両から受信した画像に代えて路側機から受信した画像を表示するか否かを判断する。
【0050】
また、外部映像取得制御部126は、自車両の位置から第二の範囲内に案内予定地点が存在する場合において、走行中の車線が案内予定の内容(経路)に沿っていない、例えば走行レーンが異なる場合には、映像生成部128に、路側機から受信した画像表示を中止するか否かについての乗員からの指示を受付可能なメッセージを表示させることもできる。
【0051】
また、外部映像取得制御部126は、自車両の位置から第二の範囲内に案内予定地点が存在する場合であっても、走行中の車線が案内予定地点において複数の方向に進行可能な車線であるか否かに応じて他車両から受信した画像に代えて路側機から受信した画像を表示するか否かを判断する。
【0052】
走行レーン判定部127は、自車両が走行中の車線を判定する。具体的には、走行レーン判定部127は、位置情報および白線認識技術等により、自車両の走行中の車線を特定する。走行レーン判定部127は、車線判定部ともいえる。
【0053】
映像生成部128は、他車両から受信した画像または路側機から受信した所定の案内予定地点が含まれる画像を生成する。この画像は、動画、静止画のいずれでもよく、モノクロであってもよい。また、映像生成部128により生成された画像は、不図示の表示部(例えば、ディスプレイ)に表示される。
【0054】
映像提供制御部129は、外部通信部150を介して他の装置あるいは路側機へ映像情報を提供する。なお、映像提供制御部129は、プロフィール記憶部111の他車映像提供の項目が許可しない設定値となっている場合には、映像情報を提供しない。映像情報を提供する設定となっている場合には、映像提供制御部129は、撮像装置20により撮像した映像情報を、外部通信部150を介して、要求のあった路側機あるいは他車にネットワーク200を介して随時送信する。
【0055】
車両通信部140は、車両ネットワーク50に通信可能に接続して、情報処理装置100である車載装置を位置情報出力装置10、撮像装置20等の各種の装置との通信を制御する。
【0056】
外部通信部150は、車車間通信あるいは路車間通信を実現するネットワーク200に通信可能に接続して、情報処理装置100である車載装置を、他の車両に搭載された車載装置100´、路側機250等の他の装置との通信を制御する。例えば、外部通信部150は、2.4GHz(ギガヘルツ)や5GHz帯等の802.11p(車車間通信用無線規格)とLTE−V2X(携帯電話のM2M用規格)等のネットワーク200において通信を実現する。なお、外部通信部150は、公衆網や所定の携帯電話網に接続してインターネット等を介して他の装置と通信を行うものであってもよい。
【0057】
車載装置100´は、情報処理装置100と同様の構成を備える、他車に搭載された車載装置である。路側機250は、交差点の一部や、高速道路の分岐点等に設けられる電柱やゲート、看板等の構造物に設けられる装置であり、基本的には情報処理装置100と同様の構成を備える。ただし、通常は移動しないものである想定のため、プロフィールとして保持する座標は固定的な座標であり、走行速度はゼロ、進行方向もない。その一方で、撮像範囲を一部特定する撮像方向についての情報を進行方向の代わりに保持する。したがって、路車間通信により路側機250が周囲の装置に送信するプロフィール情報によれば、路車間通信が可能な他の装置は、路側機250がどの位置からどの方向を撮像しているかを特定することができる。
【0058】
図5は、情報処理装置のハードウェア構造例を示す図である。情報処理装置100は、少なくとも、車載通信装置101と、演算装置102と、メモリ103と、外部通信装置104と、記憶装置105と、これらを相互に接続するバス109と、を含んで構成される。
【0059】
車載通信装置101は、CAN、MOST、LIN等の車載ネットワーク等を介して、他の装置と通信経路を確立し情報を送受信するネットワークモジュール等の装置である。
【0060】
演算装置102は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算装置である。
【0061】
メモリ103は、例えばRAM(Random Access Memory)などの主記憶装置である。
【0062】
外部通信装置104は、例えば所定の周波数帯の無線通信網を介して他の装置と通信経路を確立し情報を送受信するネットワークモジュール等の装置である。
【0063】
記憶装置105は、例えばハードディスクやSSD(Solid State Drive)、その他各種の不揮発性記憶媒体に情報を書き込み、あるいは不揮発性記憶媒体から所定の情報を読み出す装置である。
【0064】
上記した処理部120の各機能部、すなわち位置情報取得部121、映像取得部122、経路探索部123、経路誘導部124、案内予定地点取得部125、外部映像取得制御部126、走行レーン判定部127、映像生成部128、映像提供制御部129は、演算装置102が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、メモリ103には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0065】
また、上記した記憶部110は、メモリ103あるいは記憶装置105により、車両通信部140は、車載通信装置101により、外部通信部150は、外部通信装置104により、それぞれ実現される。
【0066】
なお、上記した各構成要素は、情報処理装置100の構成を、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。そのため、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。情報処理装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0067】
また、処理部120の各機能部は、CPUに限らずハードウェア(ASIC、GPU(Graphics Processing Unit)など)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0068】
図6は、分岐接近処理の流れの例を示す図である。分岐接近処理は、情報処理装置100の起動後、所定の間隔(例えば、1秒間隔)で開始される。
【0069】
まず、位置情報取得部121は、位置情報を取得する(ステップS001)。そして、案内予定地点取得部125は、誘導中の経路情報を取得する(ステップS002)。
【0070】
そして、外部映像取得制御部126は、現在位置は経路誘導予定の分岐付近であるか否か判定する(ステップS003)。具体的には、案内予定地点取得部125は、ステップS001にて取得した位置情報を用いてステップS002にて取得した経路情報上の直近の案内地点の座標を案内予定地点として特定する。外部映像取得制御部126は、位置情報で特定される位置が案内予定地点の位置から所定の範囲内(進行方向かつ所定距離内、例えば一般道を走行中であれば100m未満、高速道路を走行中であれば1000m未満)にあるか否か判定する。
【0071】
現在位置は経路誘導予定の分岐付近でない場合(ステップS003にて「No」の場合)には、外部映像取得制御部126は、後述する他車映像表示制御処理を行う(ステップS004)。そして、外部映像取得制御部126は、分岐接近処理を終了させる。
【0072】
現在位置は経路誘導予定の分岐付近である場合(ステップS003にて「Yes」の場合)には、外部映像取得制御部126は、周辺の路側機の発信情報を受信する(ステップS005)。具体的には、外部映像取得制御部126は、路車間通信を介して、周囲の路側機が発する電波を受信し、路側機ごとにプロフィール情報から座標の項目を取得する。
【0073】
外部映像取得制御部126は、路側機が分岐に設置されているか否か判定する(ステップS006)。路側機が分岐に設置されていない場合(ステップS006にて「No」の場合)には、外部映像取得制御部126は、分岐接近処理を終了させる。
【0074】
路側機が分岐に設置されている場合(ステップS006にて「Yes」の場合)には、外部映像取得制御部126は、他車からの映像表示中であれば路側機の映像に切り替える旨を通知する(ステップS007)。なお、外部映像取得制御部126は、他車からの映像を表示中でない場合、通知を行わずステップS008へ制御を進める。
【0075】
そして、外部映像取得制御部126は、他車からの映像を路側機の映像に切り替える許可を得たか否か判定する(ステップS008)。他車からの映像を路側機の映像に切り替える許可を得られない場合(ステップS008にて「No」の場合)には、外部映像取得制御部126は、分岐接近処理を終了させる。
【0076】
他車からの映像を路側機の映像に切り替える許可を得られた場合(ステップS008にて「Yes」の場合)には、外部映像取得制御部126は、後述する路側機映像表示制御処理を行う(ステップS009)。そして、外部映像取得制御部126は、分岐接近処理を終了させる。
【0077】
以上が、分岐接近処理の流れの例である。分岐接近処理によれば、前方の案内予定地点から所定の範囲内(一般道を走行中であれば100m未満、高速道路を走行中であれば1000m未満)であれば、案内予定地点付近の路側機から発せられる映像を表示する処理を開始し、そうでない場合には周囲の車両の車載装置から発せられる映像を表示する処理を開始する。すなわち、案内予定地点にほぼ到着している場合には、路側機からの映像を表示させ、まだ到着していないが近時に到着する場合には、他車からの映像を表示させることで、周囲の交通状況を予め知ることができる。
【0078】
なお、後述する説明では、便宜上、この所定の範囲内を第二の範囲と表現する。第二の範囲は、後述する第一の範囲よりも狭い範囲を指すものとする。また、第二の範囲よりも外側の所定の範囲を第一の範囲と表現する。しかし、これに限られず、現在位置を含む楕円の領域を設定してこれを第二の範囲、それよりも外側の所定の範囲を第一の範囲としてもよい。このようにすることで、楕円の長軸を進行方向に設定すれば、並走道路の情報を拾い難くすることができ、有用な情報のみを利用することができるようになる。
【0079】
図7は、他車映像表示制御処理の流れの例を示す図である。他車映像表示制御処理は、分岐接近処理のステップS004にて実行される。
【0080】
まず、外部映像取得制御部126は、現在位置は経路誘導予定の分岐まで100m以上500m未満であるか否か判定する(ステップS101)。具体的には、外部映像取得制御部126は、位置情報で特定される位置が案内予定地点の位置から所定の範囲内(進行方向かつ所定距離内、例えば一般道を走行中であれば100m以上500m未満、高速道路を走行中であれば1000m以上2000m未満)にあるか否か判定する。なお、この距離はこれに限られるものではなく、走行環境に応じて変動するものであってもよい。例えば、都市部ではこれよりも短い距離として、都市部ではない地域ではこれよりも長い距離とするようにしてもよい。
【0081】
現在位置は経路誘導予定の分岐まで100m以上500m未満でない場合(ステップS101にて「No」の場合)には、外部映像取得制御部126は、他車映像表示制御処理を終了させる。
【0082】
現在位置は経路誘導予定の分岐まで100m以上500m未満である場合(ステップS101にて「Yes」の場合)には、外部映像取得制御部126は、周辺の車両の発信情報を受信する(ステップS102)。具体的には、外部映像取得制御部126は、車車間通信を介して、周囲の車両の車載装置が発する電波を受信し、車載装置ごとにプロフィール情報から座標の項目を取得する。
【0083】
そして、外部映像取得制御部126は、同進行方向の分岐通過前の先行車両のうち映像提供を許可する車載装置を抽出する(ステップS103)。具体的には、外部映像取得制御部126は、ステップS102にて取得したプロフィール情報を用いて、進行方向が自車の進行方向と同じであって、案内予定地点に到着しておらず、他車映像提供の項目が許可を示す情報である車載装置を抽出する。
【0084】
そして、外部映像取得制御部126は、ステップS103において抽出した車載装置が複数ある場合には、抽出車両のうち優先条件に合致する車両を優先的に選択して映像送信を要求する(ステップS104)。具体的には、外部映像取得制御部126は、ステップS103において抽出した車載装置が搭載された車両のうち、1.自車両の現在位置から案内予定地点までの間を走行しており、自車両の位置から所定以上(例えば、一般道であれば100m以上、高速道路であれば500m以上)遠い距離にある車両、2.車両サイズが大きい車両、3.直近の先行車両との車間距離が広い車両、のいずれかまたはこれらの組み合わせを優先する条件として設定し車両を抽出する。
【0085】
なお、外部映像取得制御部126は、この順に優先条件に優先順位を持たせて車載装置を抽出するが、これに限られず、これらの条件を総合的に判定して抽出するようにしてもよい。これらの優先条件は、車載のドライブレコーダー等の映像において、より見通しやすく交通状況を理解しやすい映像を得られるための条件という観点で設定している。そのため、例えば、映像の画質が高いこと、すなわち画素数が大きい、フレームレートが高い、所定の製造元の装置である、等が優先条件に含まれるものであってもよい。
【0086】
外部映像取得制御部126は、映像を得られたか否か判定する(ステップS105)。映像を得られなかった場合(ステップS105にて「No」の場合)には、外部映像取得制御部126は、他車映像表示制御処理を終了させる。
【0087】
映像を得られた場合(ステップS105にて「Yes」の場合)には、外部映像取得制御部126は、他車から得た映像、標識情報、混雑情報等を表示するよう映像生成部128に指示する(ステップS106)。具体的には、外部映像取得制御部126は、他車から得た映像と、映像に加えて通行にあたって注意するべき標識情報やVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)等により得た混雑情報を併せて画面を構成し表示するよう映像生成部128に指示する。
【0088】
以上が、他車映像表示制御処理の流れの例である。他車映像表示制御処理によれば、自車よりも先行する車両から撮影した映像を表示することで、案内予定の分岐における交通状況を予め知ることができる。
【0089】
図8は、路側機映像表示制御処理の流れの例を示す図である。路側機映像表示制御処理は、分岐接近処理のステップS009にて実行される。
【0090】
まず、走行レーン判定部127は、走行レーンを特定する(ステップS201)。そして、外部映像取得制御部126は、走行レーンは誘導経路のとおりか否か判定する(ステップS202)。具体的には、外部映像取得制御部126は、経路誘導を予定している交差点における案内予定の走行レーンが、走行レーン判定部127により判定された走行レーンと同一であるか否か判定する。
【0091】
走行レーンは誘導経路のとおりである場合(ステップS202にて「Yes」)の場合には、外部映像取得制御部126は、経路誘導予定の交差点(分岐)に設置された路側機のうち退出リンクを撮像している路側機を優先して、該路側機に映像送信を要求する(ステップS203)。
【0092】
具体的には、外部映像取得制御部126は、推奨経路上、誘導を予定している交差点からの退出方向のリンク(道路)が映像に含まれる路側機を特定して映像送信を要求する。なお、退出側のリンク(道路)が映像に含まれる路側機が複数存在する場合には、外部映像取得制御部126は、交差点手前側、すなわち自車両の位置に近い路側機を優先的に選択して映像送信を要求するようにしてもよい。
【0093】
さらに路側機を絞り込む条件としては、ほかに、案内地点へ進入する側の進入リンクと、退出側のリンクと、の両方が画角に収まっている路側機を優先的に選択するようにしてもよい。なお、これに限られず、退出側のリンクが映像に含まれる路側機のうち、より早く応答を返した路側機を特定して映像送信を要求してもよい。応答速度が速いということは、処理能力に余裕がある可能性が高いため、他に処理負荷がかかっている路側機を避けて負荷分散の効果を得られるためである。
【0094】
外部映像取得制御部126は、映像を得られたか否か判定する(ステップS204)。映像を得られなかった場合(ステップS204にて「No」の場合)には、外部映像取得制御部126は、路側機映像表示制御処理を終了させる。
【0095】
映像を得られた場合(ステップS204にて「Yes」の場合)には、外部映像取得制御部126は、路側機から得た映像、標識情報、混雑情報等を表示するよう映像生成部128に指示する(ステップS205)。具体的には、外部映像取得制御部126は、路側機から得た映像と、映像に加えて通行にあたって注意するべき標識情報やVICS等により得た混雑情報を併せて画面を構成し表示するよう映像生成部128に指示する。
【0096】
そして、位置情報取得部121は、位置情報を取得する(ステップS206)。外部映像取得制御部126は、位置情報を用いて、案内予定地点である分岐を通過したか否か判定する(ステップS207)。具体的には、外部映像取得制御部126は、位置情報取得部121が得た位置情報にて特定される位置が、案内予定地点である分岐を通過後10m以上離れたか否か判定する。分岐を通過していない場合(ステップS207にて「No」の場合)には、外部映像取得制御部126は、そのまま映像等の受信および表示を維持したまま、路側機映像表示制御処理を終了させる。
【0097】
分岐を通過した場合(ステップS207にて「Yes」の場合)には、外部映像取得制御部126は、路側機から得た映像等の表示を終了させる(ステップS208)。そして、外部映像取得制御部126は、路側機映像表示制御処理を終了させる。
【0098】
ステップS202において、走行レーンは誘導経路のとおりでない場合(ステップS202にて「No」の場合)には、外部映像取得制御部126は、路側機から得た映像を表示中か否か判定する(ステップS209)。路側機から得た映像を表示中でない場合(ステップS209において「No」の場合)には、外部映像取得制御部126は、路側機映像表示制御処理を終了させる。
【0099】
路側機から得た映像を表示中である場合(ステップS209において「Yes」の場合)には、外部映像取得制御部126は、路側機から得た映像を終了させる旨を乗員に知らせ、確認入力を受け付ける(ステップS210)。これは、走行レーンが誘導経路に沿っていない場合に確認入力を受け付けるため、突然の映像終了による乗員の混乱を避ける目的の処理である。路側機から得た映像の終了の確認入力を一定時間受け付けなかった場合(ステップS210において「No」の場合)には、外部映像取得制御部126は、路側機から映像等の受信および表示を維持したまま、路側機映像表示制御処理を終了させる。路側機から得た映像の終了の確認入力を受け付けた場合(ステップS210において「Yes」の場合)には、外部映像取得制御部126は、制御をステップS208に進める。
【0100】
以上が、路側機映像表示制御処理の流れの例である。路側機映像表示制御処理によれば、経路案内予定の分岐または交差点の路側機から撮影した映像を表示することで、案内予定の分岐における交通状況を予め知ることができる。さらに、走行レーンが誘導経路に沿わない場合には、路側機から映像を得て表示する処理を中止するため、路側機の処理負荷を軽減させ、通信帯域の圧迫を軽減することができる。
【0101】
図9は、本発明の利用状況の例を示す図である。
図9には、利用状況300として、自車位置310と、先行車両位置320と、案内予定の交差点330と、交差点330に付帯している路側機340と、の位置関係の例が示されている。
【0102】
自車は、推奨経路311に沿って交差点330を左折するものとする。先行車両は、ドライブレコーダーを搭載しており、先行車両撮像範囲321を撮像する。通常は、先行車両撮像範囲321は、先行車両の進行方向前方にむけた所定の画角の撮像範囲である。
【0103】
路側機340は、路側機撮像範囲341を撮像する。路側機撮像範囲341には、交差点330の二方向の道路および車両が撮像される。そして、自車の交差点330からの退出リンクとなる道路は路側機撮像範囲341に映る。
【0104】
ここで、車車間通信による他車撮影映像を表示する第一の距離351Dで特定される第一の範囲351Aには、交差点330が含まれる。また、路車間通信による路側機撮影映像を表示する第二の距離352Dで特定される第一の範囲よりも狭い第二の範囲352Aには、交差点330は含まれない。すなわち、自車は、交差点に接近中ではあるが、まだ到着までには距離がある状態であるといえる。
【0105】
この場合、自車に搭載された情報処理装置100は、分岐接近処理のステップS003において「No」の判定を行い、他車映像表示制御処理S004を開始する。他車映像表示制御処理のステップS101においては「Yes」となるため、ステップS102〜S106を実行して先行車両から車車間通信による映像取得を試み、成功すれば表示する。
【0106】
この後さらに自車が進行して交差点330が第二の範囲352Aに含まれる距離に至ると、自車に搭載された情報処理装置100は、分岐接近処理のステップS003において「Yes」の判定を行い、路側機映像表示制御処理S009を開始する。路側機映像表示制御処理のステップS202においては「Yes」となるため、ステップS203〜S208を実行して路側機から路車間通信による映像取得を試み、成功すれば表示する。
【0107】
図10は、外部映像表示画面の例を示す図である。外部映像表示画面400の例では、画面分割が行われ、左側画面において経路誘導を行うサブ画面410が表示され、右側画面において同一方向他車の映像を表示するサブ画面420が表示される。なお、路側機から得た映像をサブ画面420に表示する場合には、路側機で取得した映像が表示されている旨の表示メッセージを併せて表示する。
【0108】
以上が、本発明に係る第一の実施形態を適用した情報処理装置100である。情報処理装置100によれば、運用負荷および処理負荷を抑えて遅延の少ない交差点を案内する情報を提供することが可能となる。ただし、情報処理装置100は、車載の状態で使用される専用の装置に限られず、パーソナルコンピューターやスマートフォン、タブレット端末等の各種の独立動作可能な装置であってもよい。
【0109】
ただし、本発明は、上記の実施形態に制限されない。上記の実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記の実施形態では、路側機映像表示制御処理のステップS202において、走行レーンが誘導経路のとおりか否か判定して、誘導経路のとおりでない場合には路側機から得た映像を表示中であれば映像の表示を終了させるか否かの指示をステップS210にて受け付けるものとしている。しかし、走行レーンの進行可能な方向に応じて、路側機から得た映像を表示しないものとしてもよい。例えば、走行レーンが直進のみ許可するレーンである場合には、案内は必要ないので路側機から得た映像を表示しないようにしてもよい。すなわち、すでに映像を表示している場合であっても、表示を終了させるか、または表示を終了の指示を受け付けるようにしてもよい。いいかえると、走行レーンが複数の方向への進行を許可するレーンである場合には、路側機から得た映像を表示させるようにしてもよい。このようにすることで、乗員は直進の強い意志を有しているとみなせる場合には無駄な操作を避けることができるようになる。
【0110】
あるいは、路側機映像表示制御処理のステップS202において、走行レーンが誘導経路のレーンと異なる場合には、路側機から得た映像を終了させるか一定時間確認入力させることができるが、一定時間内に確認入力がなかった場合には、表示を維持するのではなく表示を終了させる、あるいはメッセージを出力後に表示を終了させるようにすることもできる。この表示によって、乗員は経路案内のとおりに走行する意思があるにも関わらず走行レーンを誤っていた場合に、走行レーンの誤りを暗に示して気づかせることができる。また、確認入力がない場合には、表示を望んでいない、すなわち誘導経路とは異なる経路を走行したい希望があると判定して表示を消し、処理負荷の軽減およびユーザビリティの向上のいずれも実現することが可能といえる。