【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有するシステムによって達成される。本発明の有利な実施形態及び発展は従属請求項に詳細に述べられる。
【0008】
試料に磁場を供給するための本発明によるシステムは、試料と熱的に接触するための第1接触面と、少なくとも1つの磁気要素と熱的に接触する第2接触面と、を備える。さらに、今度は少なくとも1つのさらに別の磁気要素と熱的に接触する第3接触面がシステムに設けられ得る。その上、原則として、接触面及びそれらと熱的に接触する磁気要素の数は限定されない。
【0009】
磁気要素は能動的に又は受動的に磁場を生成するように形成される。特に、それは、電磁気要素として形成され又はそれを備えてもよく、例えばコイルを備えてもよい。以下でコイルに言及する場合、コイルに明示的に限定する特徴を文脈において明確に述べていない限り、異なる態様で形成された磁気要素又は電磁気要素の使用を制限することを意図していない。さらに、磁気要素は永久磁石(強磁性)材料でもよい。
【0010】
本発明において、磁気要素と試料の熱的分離が有利に達成される。磁気要素、特に電流を通すコイルの冷却は、第2接触面への直接又は間接の熱的結合を通じて行われ、従ってその必要条件に応じて調整され得るが、同時に、試料の温度は、第1接触面への直接又は間接の熱的結合を通じて調節され、従って実験の特定の必要条件に応じて選択されて任意に変更され得る。
【0011】
特に、第3接触面、及び原則として可能な全てのさらに別の接触面、並びに、それらの上に位置し、これらの接触面と熱的に接触する磁気要素は、試料から、さらに互いに熱的に分離されるように形成される。後者は、試料上に磁場を生成するための多種多様な磁気要素を組み合わせる可能性、及び、それぞれ独立に生成された磁場を加えて絶対磁場を形成し、従って場合によりそれを強める可能性を提供する。
【0012】
本発明の設計において、少なくとも1つの磁気要素は低温シールドに固定され、低温シールドは第2接触面と熱的に接触する。従って、特に、磁気要素は低温シールドを介して第2接触面と間接に熱的に接触する。有利に、磁気要素は、低温シールドへの熱的結合によって特に容易に冷却され得る。同様のことは、第3の接触面、及び原則として可能なさらに別の接触面に適用される。さらに、それは、試料に利用可能な体積を必要以上に大幅に減らすことを必要とせずに、試料の近くに非常に容易に配置され得る。さらに、比較的大きな設置空間が低温シールドの領域で磁気要素に利用可能であり、その結果、1つ以上の磁気要素が異なる態様で形成されて非常に柔軟に配置され得る。
【0013】
特に、第1及び第2接触面、場合によりさらに別の接触面、並びに、低温シールド、磁気要素、及び試料が、高真空条件下に、特に真空ベルジャーの下に配置されることが提供される。高真空によって、異なる温度の異なるオブジェクト及び領域間の断熱が達成される。
【0014】
システムは、例えば、試料が、第1接触面に熱的に結合し得る試料空間、特に試料ホルダ内に配置されるように形成され得る。これは、試料の熱的接触が、直接に、又は、さらに別の要素、例えば試料ホルダを介して間接に行われ得ることを意味する。次に、低温シールドは、試料又は試料ホルダの上に被せられ、それを、少なくとも側面で、第1及び第2接触面を有する底部表面を除いて、任意に全ての面で、囲むように形成され得る。その方法は、さらに別の磁気要素とのさらに別の接触面が存在する場合も同様である。同様に被せられた真空ベルジャーは真空領域を定め、空気がそこから吸い出され得る。低温シールドと第2接触面の熱的接触によって、シールドは特定の温度まで冷却され得る。同様に、さらに別の低温シールドとのさらに別の接触面は、典型的により高い温度まで冷却され得る。このような装置によれば、例えば、真空中で段階的に室温より低い温度まで低温シールドを冷却することで、試料の領域に特に低温を生成できる。試料に向かって、低温シールド、従って接触面及び磁気要素は、このような例において、連続的に低温に冷却され、試料ホルダ又は試料は最終的なさらに低い温度まで冷却される。
【0015】
さらに、個々の低温シールドが互いに及び真空ベルジャーに対して真空気密に設計されることが提供され得る。その進展において、真空ベルジャーと低温シールドは少なくとも2つの異なる空間の境界を定める。そこには、例えば、異なる圧力条件が生成され得、任意に異なるガス及びガス混合物が存在し得る。
【0016】
さらに、熱的分離は、特に、第1及び第2接触面、並びに原則として可能なさらに別の接触面を互いに分離することで達成され、その結果、異なる温度が設定され得る。第1、第2、及び原則として可能なさらに別の接触面に熱的に結合された要素間の熱的結合は、任意に必要な機械的結合を形成するために、例えば低い熱伝導率の材料を用いることで、可能な限り回避される。これにより、結果として生じる熱流は最小限にされる。さらに、真空は、試料と低温シールドを、同様に低温シールド同士を熱的に分離することに寄与する。
【0017】
そのシステムは数ある中でも次の点で公知の方法と異なる。即ち、室温で試料から遠く離れた真空ベルジャーの外側にも、試料のごく周囲の領域にも、特に試料と同じ温度ステージに、特に試料に磁場を印加するための少なくとも1つの磁気要素は設けられず、それぞれ少なくとも磁気要素と熱的に接触する、少なくとも1つのさらに別の接触面、同様に原則として可能なさらに別の接触面が設けられる。何よりも、磁気要素又は複数の磁気要素のそれぞれが試料のすぐ隣に配置されず及び/又は前述の第1接触面に熱的に接触しないので、例えば磁気要素を一定に冷却しながら特定の可変の温度範囲で試料の測定を行うために、試料と磁気要素の温度は別々に調整され得る。特に、その進展において、生成される磁場は、一定のままであり、温度変動による悪影響を受けない。これは、試料と要素の熱的分離を利用して、可能な実験の範囲を広げられることを意味する。
【0018】
その進展において、第1接触面によって、25Kより低い、好ましくは15Kより低い、さらに好ましくは10Kより低い、さらに好ましくは4Kまでの温度まで、試料、又は第1接触面と熱的に接触するさらに別のオブジェクトの冷却を達成できることが提供され得る。さらに、第1接触面によって、高々1.5K、好ましくは、高々1K、高々100mK、又は高々10mKの温度までの冷却を達成できる。その進展において、本発明は一般に特定の温度範囲に限定されない。有利に、その結果、非常に高感度の測定に対する熱的干渉源が大幅に低減され得る。
【0019】
さらに、第1接触面の熱的接触によって到達される温度が特定の値に調整され得ることが提供され得る。例えば、第1接触面の温度、従って同様に特にそれと熱的に接触する試料の温度は、100Kまで、好ましくは200Kまで、さらに好ましくは300Kまで、さらに好ましくは350Kまでの値に調節可能であり得る。特に、試料の温度はそれによって調節され得る。第1接触面は特に低温プレートとして形成され、それによって温度が特に特定の間隔内で調節され得る。
【0020】
さらに、その進展において、第2接触面によって、150Kより低い、好ましくは100Kより低い、さらに好ましくは70Kより低い、さらに好ましくは50Kまでの温度まで、低温シールド、従って同様に特にそれと熱的に接触する磁気要素の冷却を達成できることが提供され得る。特に、第2接触面は、特に磁場が生成されるときの電流による入熱がある場合に、磁気要素のこの温度がさらにその動作中に達成可能であるように、冷却ユニットによって冷却される。また、この冷却は、特に、第1接触面と熱的に接触する要素、特に試料が、100Kまで、好ましくは200Kまで、さらに好ましくは300Kまで、さらに好ましくは350Kまでの範囲の温度を有する場合に達成される。さらに、可能性のある第3接触面、及び原則として可能なさら別の接触面も、同様に、述べられた温度又は任意の所望の中間の温度まで冷却され得、その結果、調節された温度はそれぞれの磁気要素の動作条件を満たす。
【0021】
例えば、第1及び第2接触面は2つの温度ステージを提供する冷凍機に熱的に接続され得る。従って、第1及び第2接触面で到達される温度は、特に冷凍機によって提供され得る温度ステージに相当する。本発明において、第1及び第2接触面は、特に所謂「閉サイクルクライオクーラ」又は「閉サイクル冷凍機」(CCR)によって冷却され得る。第3接触面、及び原則として可能なさら別の接触面は、同様に、閉サイクル冷凍機によって、第3温度ステージ、又は原則として可能なさら別の温度ステージと熱的に接続され得る。その進展において、特に、真空ベルジャー、低温シールド、並びに、CCRによって冷却された、第1、第2、及び原則として可能なさら別の接触面を備える全体システムは、所謂「閉サイクルクライオスタット」を形成する。ここで、接触面は、熱伝導で冷却され、特に液体で又は類似の方法では冷却されない。
【0022】
さらに、閉サイクル冷凍機は、互いに熱的に絶縁された多数の接触面を提供する多数の他の冷却可能な手段と組み合わせられ得る。ここで、CCRと、ヘリウム4蒸発冷凍機、ヘリウムジュールトムソン減圧冷凍機、ヘリウム3/ヘリウム4希釈冷凍機、又は断熱消磁冷凍の原理を用いる磁気冷凍機との組み合わせが好ましい。熱的な機能上の原理、及び冷凍機同士の原則として可能なさらに別の組み合わせによって、少なくとも1つの磁気要素の熱的接触に使用され得る多数の接触面が本質的に可能となる。
【0023】
磁気要素は、例えば、低温シールドに直接に取り付けられてもよく、又は例えば固定装置によって間接に固定されてもよい。さらに、磁気要素と低温シールドは統合されたユニットとして形成され得る。さらに、それは、例えば電磁気要素として形成されてもよく、又はそれを備えてもよい。それは例えばコイル及び/又はコアを備え、それぞれの電磁気要素は原則として個別に又は一緒に低温シールドに固定され得る。特に、低温シールドは、磁気要素が、例えば固定されて取り付けられた磁気要素として、それと統合されるように形成される。この場合、システムを全体として組み立てるために、磁気要素と共に低温シールドを取り扱うことができるので、システムを有利に特に容易に形成できる。
【0024】
さらに、磁気要素は低温シールドに着脱可能に又は固定されて接続され得る。また、それは、例えば低温シールドの凹所又は開口への挿入によって、低温シールドに統合され得る。
【0025】
さらに別の設計において、磁気要素は制御ユニットに結合され、制御ユニットは、所定の磁場パラメータに応じて磁気要素に電流を印加することで、試料に供給された磁場が所定の磁場パラメータを有するように設けられる。特に、ここで、制御ユニットによって作動され得る複数の磁気要素が提供され得る。それにより、有利に、特に正確に定められた磁場に試料をさらすことができる。
【0026】
磁場パラメータは、例えば、特に特定の位置、特に試料の位置、又は定められた試料空間内における、磁場の方向、強さ及び/又は時間的変化に関連し得る。磁場は、時間と共に変化し得る、1、2又は3次元のベクトルとみなし得る。特に、複数の磁気要素の作動を通じて、試料に作用する磁場を定める特定の磁場ベクトルに対応する1つの磁場が、別々に生成及び調整され得る磁場のベクトルの重ね合わせによって生成され得る。所定の磁場パラメータは、様々な方法で、例えばユーザ入力を通じて取得されてもよく、又は、例えば所定の型の測定が行われている間、自動で決定されてもよい。
【0027】
さらに別の設計において、所定の温度値が、試料、磁気要素、及び/又は低温シールドに対してさらに調節される。このために、制御信号が、特に上述の制御ユニット又はさらに別の制御ユニットによって生成され、第1及び/又は第2接触面に接続されてそれぞれの接触面を介して温度制御又は冷却を提供する装置に送信される。その方法は、第3接触面、及び原則としてさらに別の接触面、並びにそれらと熱的に接触する磁気要素について同様であり得る。
【0028】
システムの実施形態において、特に、冷却が、所謂「閉サイクル」冷凍機(CCR)によって、第1及び/又は第2接触面を介して行われることが提供される。ここで、接触面の冷却は、冷媒を用いずに、熱伝導によって行われる。
【0029】
1つの発展において、システムは、第2接触面と熱的に接触し、磁気要素と対をなして配置された少なくとも1つのさらに別の磁気要素を備える。対をなして配置された磁気要素は、それらによって生成され得る磁場が共通の軸を有するように、試料に関して反対側に配置される。それにより、有利に、均一で強い磁場を特に容易に生成できる。
【0030】
さらに別の磁気要素は特に低温シールドと熱的に接触し得、第2接触面との熱的接触は特に低温シールドを介して間接に生成される。磁気要素は、特に低温シールドに関して反対側に配置され、それに固定され、及び/又はそれと熱的に接触する。
【0031】
特に、磁気要素は、例えば同心円状に又はヘルムホルツ構成で配置され得る2つのコイルを備える。従って、特に、コイル対のコイルによって生成された磁場は、同じ方向に進み、互いに強め合い、その結果、本質的に均一な磁場がコイル間に生成される。その進展において、特に、対をなして配置された2つの磁気要素が、試料に関して反対側に等距離に配置され、仮想の完全な円柱の側面上に本質的に置かれたコイルを備えることが提供され得る。特に、コイル軸は、例えばヘルムホルツ構成又は同心配置で上下に置かれた場合、試料を通って延びる。
【0032】
さらに、例えば試料の近くに大きな磁場勾配を生成するために、磁場が互いに反対方向に進むように生成されることが提供され得る。特に、上述のように配置されたコイル対は、コイルを通る電流によって生成された磁場が互いに向かい合うように作動され得る。これは特にアンチヘルムホルツ構成で達成される。
【0033】
磁気要素、及び任意にそれらに含まれるコイルの他の構成、特に、コイル径、磁気要素の整列、及び互いに対してずらされた配置のさらに別の組み合わせも同様に本発明に含まれる。
【0034】
1つの設計において、対をなして配置された磁気要素の2つの対は、第2接触面と熱的に接触し、それぞれ互いに対をなして配置された磁気要素によって生成され得る磁場の軸が互いに垂直に延びるように配置される。正確には、1つの対又は少なくとも2つの対が設けられてもよく、その結果、3つ以上の対も本発明に含まれる。それにより、有利に、生成される磁場を大きさ及び方向に関して特に容易に定めて調節できる。
【0035】
特に、磁気要素の2つの対は、低温シールドと熱的に接触し、及び/又はそれに固定される。
【0036】
特に、互いに対をなして配置された磁気要素は、均一な磁場が、要素間の領域、特に試料領域に生成されるように一緒に作動される。さらに、正確には、それぞれ互いに対をなして配置された磁気要素の2つの対が、それぞれ、特に共通のコイル軸と一致し得る磁気軸を定め得る。2つの対の磁気軸は、特に直角に互いに交差し得、従って平面を張り、その平面内で、ベクトル的にパラメータで表され得る様々な磁場が生成され得る。張られた平面は、特に、水平に、即ち特に低温シールドの軸に垂直に広がり得る。
【0037】
特に、互いに対をなして配置された磁気要素の少なくとも1つのさらに別の対が設けられ、さらに別の対によって生成され得る磁場の軸は磁気要素の2つの対の2つの軸に垂直に延びる。これは、さらに別の対によって定められた軸が、磁気要素の2つの対の磁気軸によって張られた平面に垂直に延び得ることを意味する。特に、述べられた軸は、x軸、y軸、及びz軸を表し得る。それらは、特に互いに垂直に配置され、直交座標系として理解される三次元座標系の軸を形成する。特に、磁気要素の2つの対の互いに垂直に延びる磁気軸によって張られた水平なx−y平面が定められる。その上、さらに別の磁気要素の対の磁気軸に沿って延びる鉛直なz軸が定められる。ここで、「鉛直」及び「水平」は地球の重力場に対して定義される。さらに、「水平」は、システムが配置されるテーブル面に平行であると定義され得る。さらに、「鉛直」は、試料ホルダ及び/又は低温シールドの長手方向軸に平行であると定義され得る。
【0038】
さらに、特に垂直に延びる磁気軸が割り当てられ得る少なくとも1つのさらに別の磁気要素は、第1接触面と熱的に接触する。それにより、さらに別の磁気要素は、有利に、試料と共に冷却され、とりわけ特に低い温度に到達し得る。
【0039】
この場合、低温シールドから熱的に分離されたさらに別の磁気要素は、それと熱的に結合された磁気要素に加えて、システムに設けられる。このため、第1接触面との熱的な接触状態での冷却によって、例えば、10Kより低い、好ましくは約4K以下、例えば高々1.5K、高々1K、高々100mK、又は高々10mKの温度が達成され得る。その進展において、本発明は一般に特定の温度範囲に限定されない。
【0040】
特に、さらに別の磁気要素は、それぞれ互いに対をなして配置された磁気要素によって生成され得る磁場に垂直な磁場を生成するように形成及び配置され得る。それにより、有利に、大きさ及び方向を有する所定の磁場ベクトルを表すことができる。
【0041】
特に、さらに別の磁気要素の対、例えばコイル対が設けられ得、その共通の軸は低温シールドと熱的に接触する1つ又は2つのコイル対の軸に垂直である。例えば、z軸に沿った磁場は第1接触面と接触する磁気要素によって生成され得るが、x−y平面内の磁場は特に低温シールドと熱的に接触するさらに別の磁気要素によって生成される。
【0042】
磁気要素の熱的接触は非常に低い温度まで冷却を可能にする。それに対応した低い温度が第1接触面との熱的接触によって到達される場合、例えば40Kより低い温度まで冷却を要する転移温度を有する超伝導体がこのために使用され得る。
【0043】
1つの発展において、磁気要素は、超伝導材料、特に高温超伝導体を備える。特に、超伝導材料は、低温シールドの動作温度より高い転移温度を有するように形成される。この場合、低温シールドをその動作温度まで冷却したときに超伝導状態に到達する。それにより、有利に、高磁場を生成できる。
【0044】
特に転移温度より低く冷却することで超伝導状態に至った超伝導体の場合、例えば超伝導コイル内の非常に大きな電流でさえ、電気抵抗によって引き起こされるだろうオーム加熱による強い発熱をもたらさない。従って、磁気要素、例えばコイルは、より小さく、特に電流強度に対してより小さい導体断面積を有するように設計され得る。さらに、望ましくない追加の入熱を最小限にし、電流によって引き起こされる発熱による損傷を回避するために、コイルのための追加の冷却の必要性はない。
【0045】
例えば、低温超伝導体(LTS)、例えばニオブチタン超伝導体が使用され得る。例えば、NbTi、Nb
3Sn、Nb
3Al、Nb
3Ge、又はMgB
2が超伝導体として使用され得る。それらの転移温度は、それぞれ、約9.25K、18.3K、18K、23.2K、及び39Kである。それぞれの材料の超伝導状態には転移温度より低い温度で到達する。MgB
2は、その高い転移温度にもかかわらず、通常はLTSとみなされる。対照的に、高温超伝導体は、一般に、材料の転移温度が、約30K以上、例えば70K又は90Kより高く140Kまでの範囲にある場合に言及される。特に、第2世代の高温超伝導体が設けられ得る。
【0046】
さらに、1つの設計において、半導体材料が使用され得る。ここで、特に、所謂ワイル及びディラック半金属が本発明で利用され得る。ワイル半金属の一群からの材料の例は、NbP、TaP、NbAs、及びTaAsである。これらは、既に様々なやり方で、例えば、光素子、熱電材料として、又は他の状況で使用されている。
【0047】
特に、転移温度より低い温度まで磁気要素を冷却することは、第2接触面によって達成され得る。即ち、要素は、その材料が超伝導特性を帯びるように冷却され得る。
【0048】
1つの設計において、磁気要素は金属又は半金属を備える。それにより、有利に、低温シールドとの熱的接触、その結果として第2接触面との間接の熱的接触は、電流が大きい場合に生じる熱を散逸させ、それによって従来の電磁石で高磁場を生成できるように利用される。特に、公知の冷却装置の高い冷却能力がこの目的のために利用される。
【0049】
特に、非常に低い比抵抗及び非常に高い熱伝導率を有する材料が提供される。これは、例えば、銅、アルミニウム、白金、又は銀のような金属であり得る。しかし、ワイル及びディラック半金属も、例えば知られており、そのような利用に対して議論され得る。
【0050】
そのような磁気要素は一般に超伝導体よりも小さな磁場しか生成できないが、しかし、これらは利用の範囲に対して既に十分であり得る。さらに、そのような磁気要素は実質的により高い費用効率で製造され得る。
【0051】
さらに、一部に超伝導素子を備え、一部に従来の非超伝導素子を備える磁気要素の組み合わせが使用され得る。さらに、異なる超伝導素子、例えばLTSとHTSの組み合わせは、好ましくは、異なる接触面で実現され得る。
【0052】
さらに別の設計において、低温シールドは、試料を囲み、光学的アクセス開口を設けられ得る周壁を備える。壁は特に円筒状に形成され得る。さらに、それは、異なる形状の断面、例えば長方形状又は正方形状の断面を有し得る。それにより、有利に、低温シールドによって、特に、より高い温度で動作するさらに別の低温シールド、又はシステムを囲む室温の熱放射からの遮蔽効果を得ることができる。
【0053】
システムの内部、特に試料領域への光学的アクセスは、様々な方法で行われ得る。対物レンズ又はレンズを有する別の光学系が信号を内部及び/又は外部に結合できるように設けられ得る。従って、光信号及び光場は、例えば、試料にもたらされ、又は試料から到来するのを検出され得る。代替的に又は付加的に、様々な光学的アクセスが自由空間によって又はファイバを基にして実現され得る。
【0054】
1つの発展において、システムは第1接触面と熱的に接触するためのモジュールを備える。特に、モジュールは、例えば試料キャリアがその上に被せられ又は置かれることによって、試料キャリアを受け取るように設けられる。さらに、それは、例えば、試料キャリアがモジュールに統合されるという点で、試料キャリアに固定されて接続され得る。
【0055】
このモジュールは第1接触面に熱的に結合される。それが、特に低温を有するステージ、例えば4Kステージである場合、モジュールはそれに応じて冷却される。4Kステージを以下で議論する場合、これが特定の温度への限定を意味することを意図していない。特に、モジュールによって、例えば、高々1.5K、好ましくは高々1K、高々100mK、又は高々10mKのより低い温度に到達できる。さらに、モジュールは、磁気要素、例えば超伝導磁石を備え得る。その転移温度は、それがシステムに配置された場合に、その温度がその転移温度を下回るように選択される。さらに、モジュールの温度、従って同様に試料の温度は、例えば異なる温度での試料の特性を観察するために可変であることが提供され得る。
【0056】
システムのさらに別の設計では、低温シールドは、システムの他の要素、例えば試料キャリアを有するモジュールから離れて形成され、システム内でそれから熱的に絶縁されたモジュールとして形成され得る。このさらに別のモジュールは特に第2接触面と熱的に接触する。
【0057】
低温シールドを有するモジュールは例えば対物レンズ要素を備え得る。その結果、対物レンズ要素は同様に第1接触面に直接又は間接に熱的に結合される。例えば、光信号は対物レンズ要素を通って試料に及び/又は試料から測定センサに伝達され得るので、対物レンズ要素は、特に、試料への光学的アクセスを可能にするように形成及び配置される。
【0058】
モジュールへの対物レンズ要素の統合は特に試料に近い配置を可能にする。その結果、特に高い分解能も高い開口数により達成され得る。さらに、試料に近い配置は、特に高い集光効率が達成されるという利点を有する。即ち、特に多数の光子が試料から対物レンズ要素に到達して検出され得る。これは、特に、例えば単一光子源からの弱い信号の検出において重要である。公知のシステムにおいて、真空チャンバ内に配置され、場合により、さらに別の要素、例えば電磁石で囲まれた試料からの短い距離を、対物レンズに対して、外側から得ることはしばしば困難である。対物レンズ要素はモジュール内に配置されるので、対物レンズは、真空チャンバ内に配置され、必要かもしれない任意のさらに別の装置と共に収容され得る。
【0059】
対物レンズ要素に代えて又は加えて、試料への電磁放射の供給及び/又は試料からの電磁放射の検出のための光学的アクセスを可能にする他の装置が存在し得る。例えば、自由空間光学系又はファイバを基にした光学的アクセスが設けられ得る。
【0060】
本発明の設計において、冷却が第2接触面によって行われ、第1接触面の場合より高い温度レベルに到達し得る。特に、第1接触面が、それによって第2接触面の場合より強い冷却を達成できるように設けられることが提供され得る。例えば、さらに別のモジュールは40K又は50Kステージとして形成される。それは、4Kステージとして形成されたモジュールを囲み、1つには周囲の室温からそれを遮蔽し、もう1つには熱的に分離される。40Kステージ又は50Kステージとしての記載も限定であることを意図しておらず、むしろ、様々な温度レベルに到達し得る。これは、異なるモジュール又はステージの温度が、実質的に、又は少なくとも特定の温度範囲内で、互いに無関係に調節及び変更され得ることを意味する。例えば、低温シールドと熱的に接触する超伝導磁気要素は、転移温度より低い温度に不変に保たれ得るが、低温シールド内に配置されたモジュールの温度、特に試料キャリア又は試料の温度は変更される。
【0061】
さらに、システムは、完全に又は部分的に、固定されて又は着脱可能に組み立てられた要素として形成され得る。その結果、有利に、高い統合度が達成される。特に、運転中に周囲に面し、例えば周囲温度を有する真空ベルジャーと、低温シールドとが互いに接続された、組み立てられた要素が設けられ得る。そして、この組み立てられた要素を例えば試料ホルダの上に載置することでシステムを得ることができる。さらに、組み立てられた要素は、真空ベルジャー内に配置されたシステムの構成要素を備え得る。運転のために、そのような組み立てられた要素は、例えば、対応する構成要素が正しい接触面と熱的に接触するように、第1及び第2接触面上に配置される。
【0062】
本発明によるテーブルは上記に従って形成されたシステムを備え、第1接触面及び第2接触面がテーブルのテーブルトップの領域に形成される。それにより、有利に、磁気光学実験のさらに別の構成要素とのシステムの特に高い統合度を得ることができる。さらに、特に容易で安全な運転がこれによって可能となり、環境からの振動及び他の妨害をさらに防止できる。
【0063】
テーブルにおける統合は、特に、テーブル上のオブジェクト、例えば実験装置の部品が位置及び整列について接触面に対して調整及び調節され得るように行われる。
【0064】
テーブルは特に光学テーブルとして形成される。それは、テーブル周囲の振動の、テーブル脚を経由した、テーブルトップ及び/又はテーブルトップに配置されたオブジェクトへの伝搬を減衰させる少なくとも1つの減衰装置を設けられ得る。光学テーブルのテーブルトップは、一般に、実験で使用される要素のための固定点を備え、システムは1つ以上のそのような固定点に固定され得る。
【0065】
さらに、テーブル、特にテーブルトップには、開口が形成され得る。システムはそれに挿入される。
【0066】
本発明の発展において、システムは少なくとも部分的にテーブルに統合される。例えば、特に光学テーブルのテーブルトップは、第1及び第2接触面、又は原則として可能なさらに別の接触面が配置された開口を有し得る。システムのさらに別の要素、特に真空ベルジャー、低温シールド、及び試料ホルダは、相応に第1又は第2接触面と熱的に接触し、特に例えばネジによってテーブルトップに着脱可能に固定される。
【0067】
試料に磁場を供給するための本発明によるシステムを運転する方法において、試料と熱的に接触する第1接触面は第1温度に冷却される。低温シールドと熱的に接触する第2接触面は第2温度に冷却される。特に、第1及び第2温度は周囲温度より低く、例えば、第1温度は、10Kより低く、好ましくは4Kであり、例えば、第2温度は、70Kより低く、好ましくは50K又は40Kである。その進展において、低温シールドは磁気要素と熱的に接触する。特に、磁気要素は、所定の磁気パラメータを有する磁場が試料の領域に生成されるように制御ユニットによって作動される。
【0068】
その方法は、特に上で説明された本発明によるシステムを運転するために使用され、従って同様の利点を有する。
【0069】
本発明は、添付された図面を参照して以下でより詳細に説明される。