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特開2021-131503スペーサ用板状部材、スペーサの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-131503(P2021-131503A)
(43)【公開日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】スペーサ用板状部材、スペーサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/00 20060101AFI20210813BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20210813BHJP
【FI】
   G02B5/00 B
   G02B7/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-27838(P2020-27838)
(22)【出願日】2020年2月21日
(71)【出願人】
【識別番号】520061848
【氏名又は名称】ケーワイズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519137800
【氏名又は名称】岡谷精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】小井土 理
(72)【発明者】
【氏名】竹本 一喜
【テーマコード(参考)】
2H042
2H044
【Fターム(参考)】
2H042AA06
2H042AA15
2H042AA22
2H044AD01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】主にカメラに用いられる遮光性を備えた薄型スペーサにおいて、遮光性被膜を形成する際の歪み、撓み、バリを低減可能なスペーサ用板状部材およびスペーサの製造方法を提供する。
【解決手段】薄板状の基材3の表面3aにシート状のUV剥離性部材4を粘着させ、基材3の裏面3bにエッチング加工を施して所定形状のスペーサ2を形成し、スペーサ2の裏面2bに遮光性被膜6を形成し、その上にシート状の熱剥離性部材を粘着させる。次に、UV剥離性部材4に紫外光を照射して該UV剥離性部材を剥離させ、剥離面を遮光性被膜6を形成する。スペーサ2の表面および/または裏面2bに遮光性被膜を形成する際に、スペーサ2の内側面2cおよび外側面2dが遮光性被膜6により被覆される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板状のスペーサの製造に用いられるスペーサ用板状部材であって、
所定形状に形成された前記スペーサと、
前記スペーサの表面および裏面に剥離可能に粘着されたシート状部材と、
前記スペーサの裏面および側面に遮光性被膜を形成してなることを特徴とするスペーサ用板状部材。
【請求項2】
薄板状の基材の表面に第一シート状部材を剥離可能に粘着させる工程と、
前記基材の裏面にエッチング加工を施して所定形状のスペーサを形成する工程と、
前記スペーサの裏面に遮光性被膜を形成する工程と、
前記基材の裏面に第二シート状部材を剥離可能に粘着させる工程と、
前記表面から前記第一シート状部材を剥離する工程と、
前記スペーサの表面に遮光性被膜を形成する工程と、を備え、
前記スペーサの表面および/または裏面に遮光性被膜を形成する工程が、前記スペーサの側面に遮光性被膜を形成する工程を含むことを特徴とするスペーサの製造方法。
【請求項3】
前記第二シート状部材を剥離する工程をさらに含む請求項2に記載のスペーサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にカメラに用いられるスペーサに関し、特に、遮光性を有するスペーサを製造するための板状部材およびスペーサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、図6に示すように、カメラのレンズユニット50のレンズ51を好適な位置に配置するため、間隔調整用のスペーサ2が用いられている。スペーサ2は、配置する場所によって異なる厚みが要求されるが、異なる厚みのスペーサをその都度製造していると製造コストが高くなる。このため、同一の厚みを有する薄型スペーサを複数枚重ねて、所望の厚みにすることが行われている。薄型スペーサを扱いやすくするため、例えば、特許文献1には、剥離シートの表面に薄型の遮光部材(スペーサ)を多数形成し、使用の際には剥がして利用できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−85026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カメラレンズの近傍に配置されるスペーサは、反射光を防ぎ、ゴーストやフレアを吸収できるように、遮光性を有することが好ましい。しかし、小さく薄型のスペーサに遮光性塗料を塗布すると、歪みや撓みが生じ易く、また、側面部にバリが生じ易いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、遮光性塗料を塗布する際の歪み、撓み、バリを低減できるスペーサ用板状部材およびスペーサの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスペーサ用板状部材は、薄板状のスペーサの製造に用いられるスペーサ用板状部材であって、所定形状に形成されたスペーサと、スペーサの表面および裏面に剥離可能に粘着された微粘着性のシート状部材と、スペーサの裏面および側面に遮光性被膜を形成してなることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のスペーサの製造方法は、薄板状の基材の表面に微粘着性の第一シート状部材を剥離可能に粘着させる工程と、基材の裏面にエッチング加工を施して所定形状のスペーサを形成する工程と、スペーサの裏面に遮光性被膜を形成する工程と、基材の裏面に微粘着性の第二シート状部材を剥離可能に粘着させる工程と、表面から第一シート状部材を剥離する工程と、
スペーサの表面に遮光性被膜を形成する工程と、を備え、スペーサの表面および/または裏面に遮光性被膜を形成する工程が、スペーサの側面に遮光性被膜を形成する工程を含むことを特徴とする。このとき、本発明のスペーサの製造方法は、第二シート状部材を剥離する工程をさらに含むように構成することもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスペーサ用板状部材やスペーサの製造方法によれば、薄板状のスペーサの基材を第一シート状部材/第二シート状部材に粘着固定した状態で、基材の表面および裏面に遮光性被膜を形成するため、基材が第一シート状部材や第二シート状部材により支持され、歪みや撓みが生じにくいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のスペーサ用板状部材の(a)概略図、(b)A−A端面図である。
図2図1のスペーサ用板状部材のS部分のA−A拡大端面図である。
図3】スペーサの製造方法を、A−A端面図により示した説明図である。
図4】スペーサの製造方法を、A−A端面図により示した説明図である。
図5】スペーサのその他の製造方法を、A−A端面図により示した説明図である。
図6】スペーサの使用状態を示す、カメラのレンズユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をカメラ用のスペーサに具体化した実施形態を、図面に基づいて説明する。図1,2に示すように、スペーサ用板状部材1は、薄板状のスペーサ2と、スペーサ2の表面2aに粘着されたシート状で紫外光により剥離可能な第一シート状部材としてのUV剥離性部材4と、スペーサ2の裏面2bに粘着されたシート状で加熱により剥離可能な第二シート状部材としての熱剥離性部材5と、スペーサ2の裏面2b、内側面2c、外側面2dに形成した遮光性被膜6から構成される。スペーサ2は、図1(a)に示すように、所定のパターンとなるように互い違いにずらして形成するのが好ましい。このとき、UV剥離性部材4は第一シート状部材として機能し、熱剥離性部材5は第二シート状部材として機能する。なお、第一シート状部材を熱剥離性部材とし、第二シート状部材をUV剥離性部材とすることも、第一,二シート状部材の両方をUV剥離性部材とすることも、第一,二シート状部材の両方を熱剥離性部材とすることも可能である。
【0011】
スペーサ2は、薄板状の基材3(図3参照)にエッチング加工を施して形成したものであり、内周面2cはテーパ形状に形成されている。基材3の基材の材質は、ステンレスやリン青銅を母材とした銅合金等の金属材、ポリイミド(PI)やプラスチック等の樹脂材を選択できる。また、金属材を選択した場合の基材3の厚みは、0.01〜0.2mmであることが好ましく、樹脂材を選択した場合の基材3の厚みは、0.003〜0.2mmであることが好ましい。スペーサ2の大きさや形状は適宜変更可能であるが、例えば、外径2.0〜50mmの円板状に内径1〜49mmの穴部2eを備えたスペーサ2とすることができる。
【0012】
遮光性被膜6は、光を吸収する黒色などの塗料が好ましく、特に、スーパーブラック塗料を好ましく選択できる。その他、黒色、暗色の遮光性を備えたインクやレジストによる印刷も好適に採用できる。遮光性被膜6の膜厚は、5〜10μmが好ましい。
【0013】
UV剥離性部材4、熱剥離性部材5は、PETフィルム等の樹脂フィルムにUV剥離性粘着剤または熱剥離性粘着剤を塗布したものである。このとき、樹脂フィルムの厚みは0.05〜0.2mm、UV剥離性粘着剤や熱剥離性粘着剤の膜厚は0.01〜0.05mmである。なお、UV剥離性粘着剤や熱剥離性粘着剤により形成される粘着面は、使用前には0.01〜0.2mmの剥離フィルムで保護されている。使用時には、剥離フィルムを剥がして粘着面を基材3に粘着させる。
【0014】
以下、図3,4に基づいて、スペーサの製造方法を説明する。
まず、薄板状の基材3を用意し(図3(a))、基材3の表面3aに、シート状のUV剥離性部材4を粘着させる(図3(b))。次に、基材3に裏面3b側からエッチング加工を施し、所定形状のスペーサ2を形成する(図3(c))。そして、形成されたスペーサ2について、裏面2bに遮光性塗料を塗るか、遮光性インキ等で印刷することにより遮光性被膜6を形成し、乾燥させる(図3(d))。このとき、スペーサ2は薄型であるため、内側面2cおよび外側面2dにも遮光性被膜6が形成される。その後、裏面2bに熱剥離性部材5を粘着させると、スペーサ用板状部材1となる(図3(e))。
【0015】
続いて、スペーサ用板状部材1のUV剥離性部材4に紫外光を照射し(図4(f))、UV剥離性部材4を剥離する(図4(g))。そして、スペーサ2について、表面2aに遮光性被膜6を形成し、乾燥させる(図3(h))。このとき、内側面2cおよび外側面2dも遮光性被膜6により被覆される。スペーサ用板状部材1の熱剥離性部材5を加熱することにより(図4(j))、熱剥離性部材5を剥離すると、表面2a、裏面2b、内側面2c、外側面2dに遮光性被膜6が形成されたスペーサ2が製造される(図4(k))。なお、図4(h)の状態で販売し、購入者がスペーサ2を利用する際に、加熱して取り外すこととしても良い。
【0016】
以上の構成のスペーサ用板状部材およびスペーサの製造方法によれば、スペーサ2の基材3をシート状のUV剥離性部材4や熱剥離性部材5に粘着固定した状態で、基材3の裏面3bやスペーサ2の表面2aに遮光性被膜6を形成するため、歪みや撓みが生じにくい。また、余分な塗料や印刷インクがUV剥離性部材4や熱剥離性部材5に粘着し、除去されるため、バリを削減することも可能である。
【0017】
次に、図5に基づいて、その他の例によるスペーサの製造方法を説明する。
まず、基材3の表面3aに遮光性被膜6を形成し、乾燥させる(図5(a))。次に、遮光性被膜6を形成した表面3aに、UV剥離性部材4を粘着させる(図5(b))。基材3に裏面3b側からエッチング加工を施し、所定形状のスペーサ2を形成する(図5(c))。そして、形成されたスペーサ2について、裏面2bに遮光性被膜6を形成し、乾燥させる(図5(d))。スペーサ用板状部材1のUV剥離性部材4に紫外光を照射し(図5(e))、UV剥離性部材4を剥離すると、表面2a、裏面2b、内側面2c、外側面2dが遮光性被膜6により被覆されたスペーサ2が製造される(図5(f))。この例のスペーサの製造方法によれば、熱剥離性部材5を粘着させる工程および剥離する工程を省略できるため、さらに、製造の手間とコストを削減できるという効果を有する。なお、この例においても、図5(d)の状態で販売し、購入者がスペーサ2を利用する際に、紫外光を照射して取り外すこととしても良い。また、この例では、UV剥離性部材4の代わりに熱剥離性部材5を採用することも可能である。
【0018】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の構成を任意に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 スペーサ用板状部材
2 スペーサ
3 基材
4 UV剥離性部材
5 熱剥離性部材
6 遮光性塗料
51 カメラ
52 レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6