【解決手段】広告表示装置は、自動車C11の後方から接近する自動車(後方自動車C12)との車間距離L1が所定距離とである車間距離L2となったことが近接センサ42と検知手段とにより検知されると、自動車C11の後方に向けられたプロジェクタと、リアウインドウRWに貼られたスクリーン41bとによりに広告映像を表示することで、確実に、後方自動車C12に広告を見せることができるので、広告主は費用に見合った効果が期待できる。
前記広告主検索手段は、前記1領域に広告希望地が検索できないとき、前記第1領域から第2領域に検索領域を広げて広告希望地を検索する請求項4記載の広告表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
「実施の形態1」
[広告表示装置10の構成の説明]
本発明の実施の形態1に係る広告表示装置を図面に基づいて説明する。
図1に示す広告表示装置10は、自動車C11の管理会社が、自動車C11に広告ADを表示することで広告主から広告費を徴収し、この広告費によって自動車C11の維持費を賄い、無償で利用者にリースすることを支援するものである。維持費とは、税金や保険、車検、修理・点検費などである。従って、利用者は、燃料費と駐車代とを負担するだけでよい。
【0022】
広告表示装置10は、車載装置20と、制御装置30とを備えている。車載装置20は、利用者が運転する自動車C11に搭載されたコンピュータである。制御装置30は、自動車C11を所有する管理会社に設置されたり、管理会社が運営を委託した会社に設置されたりするコンピュータである。
車載装置20は、無線通信により中継局Rと通信することで、電気通信回線の一例であるインターネットWを介して制御装置30と通信する。
【0023】
図2(A)に示すように自動車C11の側面には、シールまたはラッピング、塗装などにより広告ADが表示されている。本実施の形態1では、広告ADが自動車C11の側面に表示されているが、自動車C11全体であっても、後面であってもよい。
図2(B)に示すように、自動車C11の室内には、車載装置20が搭載されている。車載装置20は、シートの下や天井、トランク、荷台などに設置することができる。
【0024】
車載装置20には、表示装置41が接続されている。本実施の形態1では、表示装置41は、プロジェクタ41aとスクリーン41bとにより構成される。プロジェクタ41aは、追走する後方の自動車のために、リアウインドウRWに貼られたスクリーン41bに映像を投影するものである。スクリーン41bは、映像が投影されてないときは透けて見える透過型スクリーンである。
【0025】
また、車載装置20には、近接センサ42が接続されている。近接センサ42は、自動車C11の後部に設置されている。近接センサ42は、後方を走行する自動車との距離を測定するものである。本実施の形態1では、後部バンパーに埋設されている。近接センサ42は、レーザや赤外線などの光学式や電波式、音波式とすることができる。
更に、車載装置20には、自動車C11の後方を撮影するためのカメラ43が接続されている。カメラ43は、自動車C11の後部に設置されている。
【0026】
(車載装置20の構成の説明)
次に、車載装置20の構成について、図面に基づいて説明する。
図3に示すように、車載装置20は、通信手段21と、測位手段22と、検知手段23と、映像送信手段24と、広告出力手段25と、記憶手段26とを備えている。
【0027】
通信手段21は、無線通信により、携帯電話会社の中継局R(
図1参照)と通信して、インターネットWから受信したデータを、車載装置20の各手段に出力したり、各手段からのデータを入力してインターネットW(
図1参照)に送信したりする。
測位手段22は、測位衛星からの信号に基づいて現在地を位置情報として測位する機能を有する。位置情報は、経度および経度などで、高さも含めることができる。また、測位手段22は、測位の際に使用される現時刻を示す時間情報を出力する機能も有する。
検知手段23は、近接センサ42からの信号に基づいて、後方から接近する自動車が所定距離以内となったことを検知する。
映像送信手段24は、後方を撮影するカメラ43からの映像を制御装置30へ送信する。
【0028】
広告出力手段25は、広告映像をプロジェクタ41a(
図2参照)への出力信号に変換して出力する。出力信号は、例えば、VGA(Video Graphics Array)やUSB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標:High-Definition Multimedia Interface)で使用される信号とすることができる。
記憶手段26は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリとすることができる。記憶手段26には、OSやアプリケーションソフト、各種の設定が格納されている。
【0029】
(制御装置30の構成の説明)
次に、制御装置30の構成について、図面に基づいて説明する。
図4に示すように、制御装置30は、通信手段31と、広告費演算手段32と、広告主検索手段33と、判別手段34と、広告選択手段35と、広告送信手段36と、記憶手段37とを備えている。
【0030】
通信手段31は、有線通信によりインターネットWから受信したデータを、制御装置30の各手段に出力したり、各手段からのデータを入力してインターネットW(
図1参照)に送信したりする。
広告費演算手段32は、車載装置20からの位置情報と時間情報とに基づいて、走行エリアの時間帯別の人口と、走行エリアの滞在時間と、走行速度と、交通量などにより広告主に請求する広告費を演算する。また、広告費演算手段32は、車載装置20の検知手段23から信号に基づいて広告映像が表示された回数を計数して広告主ごとの広告費を演算する。
【0031】
広告主検索手段33は、車載装置20からの位置情報に基づいて、位置情報が示す位置を含む所定領域内に、広告を希望する場所(広告希望地)が含まれる広告主を記憶手段37に格納された広告主情報に基づいて検索する。本実施の形態1では、所定領域を、自動車C11を中心とした所定半径の円形としている。
【0032】
判別手段34は、車載装置20のカメラ43による後方映像から後方を走行する自動車の属性を判別すると共に、後方を走行する自動車の搭乗者の属性を判別する。
広告選択手段35は、搭乗者の属性に基づいて、好適な広告映像を選択して指示する。また、広告選択手段35は、車載装置20の測位手段22からの位置情報に基づいて走行場所に近隣する広告希望地を登録した広告主の広告映像を指定する。
広告送信手段36が、広告選択手段35により指定された広告映像を、通信手段31を介して車載装置20へ送信する。
【0033】
記憶手段37は、ハードディスクドライブとしたり、フラッシュメモリとしたりすることができる。記憶手段37には、OSやアプリケーションソフト、各種の設定の他に、広告主情報と、広告映像と、広告費演算用データベースと、車両データベースと、顔認識データベースと、統計情報が格納される。
【0034】
広告主情報には、広告主を示す広告主名情報、広告主が広告を希望する場所を示す広告希望地、広告主が広告を見て欲しい搭乗者の属性を示す搭乗者属性情報などが含まれる。
広告映像は、広告主を広告するための画像であり、動画とするだけなく、静止画とすることもできる。
【0035】
広告費演算用データベースは、時間帯別エリア人口密度に対応させた第1係数が設定されている。時間帯別エリア人口密度は、各エリアにおける時間帯ごとの人口である。各エリアは、例えば、1kmメッシュ、500mメッシュ、100mメッシュ、50mメッシュとすることができる。また、広告費演算用データベースには、滞在時間に応じた第2係数、走行速度に応じた第3係数、交通量に応じた第4係数が格納されている。
【0036】
車両データベースは、映像から自動車の属性を特定するために、自動車の特徴点をデータベース化したもので、搭乗者の属性と関連付けられている。
顔認識データベースは、映像から自動車に搭乗する搭乗者の属性を推定するために、顔の輪郭、顔の部位の配置、髪の特徴、服の特徴などの特徴点をデータベース化したものである。
【0037】
[広告表示装置10の動作および使用状態の説明]
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る広告表示装置10の動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。
(広告費用の演算の説明)
例えば、
図5に示すように、自動車C11が、A地点からB地点まで走行したとする。
車載装置20は、A地点からB地点へ移動する間、測位手段22が、位置情報と時間情報とを通信手段21を介して制御装置30へ送信する。
【0038】
制御装置30では、広告費演算手段32が、車載装置20から定期的に送信される位置情報と時間情報とから広告エリアごとの広告費を演算し、移動した広告エリアの広告費を積算する。定期的は、例えば、30秒ごと、1分ごと、3分ごととすることができる。
【0039】
まず、広告費演算手段32は、時間帯別エリア人口密度に応じた第1係数を読み出す。時間帯別エリア人口密度は、時間帯ごとの走行エリア別の人口密度である。広告費演算手段32が、位置情報から走行エリアを割り出し、時間情報から走行時間帯を割り出す。次に、広告費演算手段32が、走行エリアと走行時間帯とから、記憶手段37の広告費演算用データベースを参照して、時間帯別エリア人口密度に対応させた第1係数を読み出す。この第1係数は、走行エリア(メッシュ当たり)の人口が多ければ多いほど高い値となる。
【0040】
次に、広告費演算手段32は、位置情報から割り出した走行エリアにおける滞在時間に応じた第2係数を読み出す。滞在時間は、位置情報が変わり、走行エリアが変わるまでの時間である。第2係数は、1分ごとの滞在時間で決めることができる。例えば、滞在時間が1分から3分までは高い値となり、3分を超え、4分以上となると低くなる値とすることができる。
これは、少しの滞在時間であれば広告を見る人が増えるが、滞在時間が長すぎると多く人に見て貰う機会が減るからである。
【0041】
次に、広告費演算手段32は、走行速度に応じた第3係数を読み出す。走行速度は、位置情報の変化分を時間情報の変化分で除算することで算出することができる。
走行速度によっては広告が目に留まりやすいか否かが異なる。走行速度が早ければ、広告が目に留まりにくい。反対に、走行速度が遅ければ、広告が目に留まりやすい。従って、第3係数は、走行速度が遅いほど高い値となる係数である。
【0042】
次に、広告費演算手段32は、交通量に応じた第4係数を読み出す。交通量は、例えば、公益財団法人日本道路交通情報センターが提供する断面交通量情報の断面交通量から得ることができる。広告費演算手段32は、位置情報に基づいて、断面交通量情報を参照して、位置情報が示す位置の断面交通量を得ることで、交通量に対応した第4係数を読み出す。この第4係数は、交通量が多ければ多いほど高い値となる。
【0043】
そして、広告費演算手段32は、時間帯別エリア人口密度に対応させた第1係数と、滞在時間に応じた第2係数と、走行速度に応じた第3係数と、交通量に応じた第4係数とを、基本料金に乗算して、走行エリアごとの広告費を算出する。そして、走行エリアごとの広告費を積算することで、全体の広告費を算出する。
【0044】
繁華街を走行した場合と郊外を走行した場合とでは、自動車の交通量や歩行者量が異なり、また、走行時間帯でも交通量や歩行者量が異なる。また、遅い走行速度であれば広告が目に留まりやすく、少ない滞在時間であれば効果的に広告でき、更に、交通量が多ければ、広告が多くの人の目に留まりやすい。従って、走行エリアと走行時間帯と滞在時間と、走行速度と、交通量とに基づいて広告費を演算することで、広告効果を正確に広告費に反映させることができる。
【0045】
なお、本実施の形態1では、広告費演算用データベースが、時間帯別エリア人口密度に対応させた第1係数を有している。
しかし、時間帯別エリア人口密度についての情報は、ビッグデータと称される膨大な情報となることから、時間帯別エリア人口密度が、記憶手段37に格納されること以外に、外部サーバに格納されており、この外部サーバに、時間情報と位置情報とにより問い合わせすることで、外部サーバから該当メッシュの人口が返信されるため、この人口に応じた第1係数を割り当てるようにしてもよい。
また、断面交通量情報についても、ビッグデータと称される膨大な情報となることから、記憶手段37に格納されること以外に、外部サーバに格納されるようにしてもよい。
【0046】
例えば、自動車C11の側面に貼られた広告ADが、広告主N1によって提供されたものとする。広告主N1からの広告ADが、自動車C11が走行している道路の近くに所在している店舗を紹介するものであれば効果的である。従って、広告主N1による広告主情報の広告希望地としては、
図5に示される広告希望地P1が登録される。
【0047】
そこで、まず、広告主検索手段33は、位置情報が示す自動車C11の位置を中心とした第1半径による円形内に、広告希望地を登録した広告主の有無を、記憶手段37に格納された広告主情報から検索する。
このとき、自動車C11がC地点を走行していれば、自動車C11を中心として、所定半径(第1半径)による円形S1(第1領域)内に、広告希望地P1が含まれることが、自動車C11からの位置情報から判る。
従って、第1半径による円形内に広告希望地P1が含まれれば、広告費演算手段32は、更に、第5係数を乗算して、広告費を増額することができる。
【0048】
このように、広告希望地の近くを走行すると、広告希望地を登録した広告主の広告ADを周囲に見せることができるので、広告効果が高いと判断できる。従って、対費用効果が向上した広告であるといえるため、広告費が増額されても満足のいく広告とすることができる。
【0049】
ここで、第1領域は、広告主の商圏とすることができる。例えば、広告主がコンビニエンスストアであれば、自社の他店舗との距離は数百メートルであることが多い。従って、所定の領域の半径を数百メートルとすることができる。また、広告主がショッピングモールであれば、商圏は数十キロメートルに設定されている場合がある。その場合には、所定の領域の半径を数十キロメートルとすることができる。
【0050】
なお、本実施の形態1では、第1領域を、自動車C11を中心した第1半径による円形S1としたが、所定の形状の領域とすることができ、多角形状としたり、異形状としたりすることができる。
【0051】
所定半径は、例えば、広告を観察する広告対象者が多い繁華街(第1範囲)であれば100mとすることができる。また、所定半径は、第1範囲より広告対象者が少ない郊外(第2範囲)であれば、第1範囲より広い500mとすることができる。郊外であれば交通信号機や自動車が少ないため、自動車による移動も容易である。従って、広告映像が店舗の所在をアピールすることを含むものであれば、位置情報に応じて第1範囲より広げた第2範囲としても、広告映像により店舗の来訪を誘引させることができる。
【0052】
例えば、広告ADが広告主N4によるものであり、自動車C11がD地点を走行しているときには、第1半径による円形S1内では、広告希望地P2が含まれない。そこで、広告主検索手段33は、第1半径より長い第2半径(第2領域)による円形S2に検索領域を広げる。そうすることで、広告希望地P2を登録した広告主N4を発見することができる。
その場合には、広告費演算手段32は、第5係数より小さい値とした第6係数を乗算することができる。
このように、増額するにしても、第1半径による円形S1(第1領域)の際の増額より小さい増額を行うことで、対費用効果を考慮した広告費とすることができる。
【0053】
(後方自動車への広告)
次に、自動車C11の後方を走行する自動車(後方自動車)に広告することを図面に基づいて説明する。
図6(A)に示すように、自動車C11が、例えば、30km/h〜60km/hの速度で走行しているときには、後方を走行する自動車は、追突を回避できる程度に、所定の車間距離L1を空けて走行する。このとき、近接センサ42からの信号は、後方自動車C12に届かないため、検知手段23(
図2参照)は、後方自動車C12を検知することができない。
【0054】
しかし、
図6(B)に示すように、自動車C11が、交差点や踏切、前方の自動車の減速、渋滞などにより、減速または停止すると、後方自動車C12も徐々に減速しながら自動車C11に接近する。
そうすると、
図3に示す検知手段23は、近接センサ42からの信号により、
図6(B)に示すように、後方自動車C12との車間距離L2以内となったことを検知する。例えば、車間距離L2は8mとすることができる。検知手段23は、後方自動車C12を検知したことを、制御装置30へ送信する。
【0055】
図4に示す制御装置30では、広告選択手段35が広告主の広告映像を指定する。この広告主の指定は、決められた広告主としたり、広告主を順番に選択したりすることができる。
そして、広告送信手段36は、広告選択手段35により指定された広告主の広告映像を記憶手段37から読み出し、車載装置20へ送信する。
図3に示す車載装置20では、広告出力手段25が広告映像の信号をプロジェクタ41aに出力する。そして、プロジェクタ41aが広告映像をスクリーン41bに投影する。
【0056】
このように、
図6(B)に示す後方自動車C12が所定の車間距離L2内となったことを近接センサ42からの信号に基づいて検知手段23が検知するため、確実に、後方自動車C12に広告を見せることができるので、広告主は費用に見合った効果が期待できる。よって、広告表示装置10は、対費用効果を向上させることができる。
【0057】
この場合、広告費演算手段32は、広告選択手段35により指示された広告映像が表示された回数を計数して、広告費を算出することにより、広告頻度に応じた広告費が決定されるため、費用に見合った効果が期待できる。
【0058】
ここで、自動車C11が30km/h〜60km/hの速度で走行していても、後方自動車C12が接近した状態で追走する場合がある。例えば、煽り運転や、危険運転と称される運転である。
このとき、広告選択手段35は、時間情報と位置情報とから単位時間当たりの移動距離を算出することで走行速度を割り出した結果、所定速度以上である場合には、広告送信手段36に、危険運転を注意する映像を指示する。
そうすることで、広告送信手段36により危険運転を注意する映像が車載装置20へ送信され、車載装置20からプロジェクタ41aの出力されることで、スクリーン41bに投影することができるので、後方自動車C12に注意喚起することができる。
なお、本実施の形態1では、測位手段22からの時間情報と位置情報とから走行速度を算出していたが、自動車C11から走行速度を直接入力するようにしてもよい。
【0059】
(位置情報に基づく広告映像の指定の説明)
次に、位置情報に基づいて広告選択手段35が広告映像を指定することについて説明する。
広告費を演算するときと同様に、
図5に示す自動車C11がA地点からB地点へ移動する間、広告主検索手段33は、位置情報が示す自動車C11の位置を中心とした第1半径による円形(第1領域)内に、広告希望地を登録した広告主の有無を、記憶手段37に格納された広告主情報から検索する。
【0060】
第1半径による円形内に広告希望地が含まれていれば、この広告主の広告映像を送信するよう広告送信手段36に指示する。広告送信手段36は、広告選択手段35により指定された広告映像を、記憶手段37から読み出して車載装置20へ送信する。
【0061】
例えば、自動車C11がC地点を走行していれば、円形S1内に含まれる広告希望地P1の広告主N1が選択される。従って、自動車C11がC地点を走行しているときに、
図6(C)のように、C地点の近くの広告主N1が提供した広告映像を後方自動車に見せることができる。この広告映像が、自動車C11が走行している道路の近くに所在している店舗を紹介するものであれば、効果的な広告とすることができる。
また、自動車C11を運転する利用者(運転手を含む搭乗者)の運転傾向(走行道路の傾向)に応じて広告(広告映像)を決めておけば、自動車C11が走行する際の円形S1に含まれる広告希望地の広告主を増やすことも可能である。
【0062】
しかし、自動車C11がD地点を走行しているときには、第1半径の円形S1内に広告希望地P2が含まれない。ここでも、広告主検索手段33は、第1半径より長い第2半径による円形S2(第2領域)に検索領域を広げる。そうすることで、少し遠くなるが、近隣に所在する、または近隣のエリアを広告対象とする広告主N4を発見することができる。そうすることで、D地点の自動車C11の後方を走行する後方自動車に、広告主N4による広告映像を見せることができる。
【0063】
(後方自動車に基づく広告映像の選択の説明)
制御装置30では、自動車C11の現在地だけでなく、後方自動車に応じて、広告映像を選択することができる。
(車種に基づく広告映像の選択の説明)
まず、広告する自動車C11の後方を走行する自動車(後方自動車)をカメラ43(
図2(B)参照)により撮影した映像(後方映像)が、車載装置20の映像送信手段24(
図3参照)により、制御装置30へ送信される。
制御装置30では、判別手段34が、後方映像に写り込んだ後方自動車の前面映像から、記憶手段37の車両データベースを参照して自動車の属性を特定する。
例えば、判別手段34は、自動車の属性として、車種や色、自動車の名称を特定する。そして、判別手段34は、自動車の属性から搭乗者の属性を推定する。
【0064】
広告選択手段35は、判別手段34により推定された搭乗者の属性に基づいて、記憶手段37から、広告主が広告を見て欲しい搭乗者の属性を示す搭乗者属性情報を検索する。そして、広告選択手段35は、合致した搭乗者属性情報を登録した広告主を指定する。
例えば、車種が、セダンやワンボックスカーと称されるタイプであればファミリー層、クーペと称されるタイプであればヤング層などが想定される。ステーションワゴンと称されるタイプでは社用車が多く、またはトラックも通常企業が使用するものである。
従って、広告主が提供する広告映像として、ファミリー層向けであったり、ヤング層向けであったり、また、企業向けであったりするものが選択されることで、搭乗者の年齢層やライフスタイルにあった広告映像を選択することができる。
【0065】
また、判別手段34は、車種だけでなく、車種と色とに基づいて、搭乗者の属性を推定することができる。例えば、車種が軽自動車で色が赤色系であれば運転手は女性が多いと推定できる。従って、搭乗者属性情報として、女性向けであることが登録されていれば、広告選択手段35は、この女性向けの広告映像を選択することができる。
【0066】
また、自動車の名称により広告映像を決めることができる。自動車の名称から自動車の価格が推定できることから、搭乗者(運転手)の所得が推定できるため、広告主は、広告主が広告を見て欲しい搭乗者の所得を搭乗者属性情報にて指定し、判別手段34により特定された自動車の名称から搭乗者の所得を推定して、広告選択手段35が搭乗者属性情報を検索することで、搭乗者の所得に見合った広告映像を指示することができる。
【0067】
広告送信手段36は、広告選択手段35により指定された広告主による広告映像を記憶手段37から読み出し、車載装置20へ送信する。
そうすることで、車載装置20では、後方自動車の搭乗者に好適な広告主の広告映像を、表示装置41により、後方自動車の搭乗者に向けて見せることができる。
【0068】
(運転者に基づく広告映像の選択の説明)
また、広告選択手段35は、後方自動車の搭乗者の属性を直接推定することによっても、広告映像を指定することができる。
まず、判別手段34が、後方映像に写り込んだ後方自動車の映像から、記憶手段37の顔認識データベースを参照して、搭乗者の属性を推定する。搭乗者の属性としては、性別や年齢層、会社員か否かの他、運転席および助手席との両方に2人座っている場合には、若年から中年までの夫婦、老夫婦、家族、恋人など、更に、後部座席も搭乗者が座っている場合には、家族連れ、家族構成が推定される。
広告選択手段35は、推定された搭乗者の属性に基づいて、記憶手段37から広告主情報を検索して、搭乗者属性情報を登録している広告主を指定する。
【0069】
そして、広告送信手段36は、広告選択手段35により指定された広告主による広告映像を記憶手段37から読み出し、車載装置20へ送信する。
そうすることで、車載装置20では、後方自動車に搭乗した搭乗者の年齢層を顔認識により推定することで、搭乗者に好適な広告主の広告映像を、表示装置41により、後方自動車に向けて見せることができる。
【0070】
位置情報に基づいて広告映像を表示したり、後方自動車の車種に基づいて広告映像を表示したり、後方自動車の搭乗者に基づいて広告映像を表示したりしたときに、広告費演算手段32は、広告選択手段35により指示された広告映像が表示された回数を計数して、広告費を算出することができる。これにより、利用者と広告主との位置関係により選択された広告映像により広告費が決定されたり、後方自動車の搭乗者に見合った広告映像により広告費が決定されたりするため、費用に見合った効果が期待できる。
【0071】
利用者が自動車を運転した走行エリア、走行時間帯、滞在時間、そして、表示装置41に表示された広告映像を識別する情報は、記憶手段37に格納され、広告主への統計情報として提供することができる。
【0072】
以上、本実施の形態1を説明した。本実施の形態1では、近接センサ42からの信号に基づいて検知手段23が後方自動車の接近を検知したが、カメラ43からの映像に基づいて検知手段が後方自動車の接近を検知するようにしてもよい。
また、本実施の形態1では、表示装置41がプロジェクタ41aとスクリーン41bとによるものであったが、後方自動車から広告映像が視認できれば、表示装置をLCDや有機ELディスプレイなどのディスプレイを、屋根に載せたり、リアウインドウに設けたり、後面に設けたりしてもよい。
また、本実施の形態1では、広告映像が制御装置30の記憶手段37に格納されていたが、車載装置20の記憶手段26に格納されていてもよい。その場合には、広告選択手段35により指定された広告主を車載装置20へ送信すれば、広告出力手段25が記憶手段26から該当する広告主の広告映像を読み出し、表示装置41へ出力することができる。
更に、本実施の形態1では、広告表示装置10が車載装置20と制御装置30とに分かれていたが、制御装置30の機能を車載装置20に含めてもよい。
【0073】
「実施の形態2」
本発明の実施の形態2に係る広告表示装置を図面に基づいて説明する。
図7に示す広告表示装置11は、利用者が個人所有する自動車C21に広告を表示した状態で、タイムシェアリングにより仲介会社に貸し出した貸出期間中の貸出費用を、広告主からの広告費に基づいて仲介者が利用者に支払うことにより、利用者が利益をあげることができることを管理するものである。
なお、
図7および
図8においては、
図1から
図4と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0074】
利用者は、端末装置T1を有している。また、仲介会社は、端末装置T2を有している。端末装置T1は、閲覧ソフトが動作する、スマートフォンやタブレットのような携帯端末装置とすることができるが、自宅で操作するのであればデスクトップ型やノートブック型のコンピュータとすることができる。また、端末装置T2も同様に、閲覧ソフトが動作する、デスクトップ型やノートブック型のコンピュータとすることができる他、携帯端末装置とすることができる。
【0075】
図8に示す制御装置30xは、時間管理手段38と、報酬付与手段39とを備えている。時間管理手段38は、利用者が所有する自動車C21(
図7参照)における使用状態のスケジュールを管理するものである。報酬付与手段39は、他の使用者に貸し出した貸出期間に応じた報酬を利用者に付与するものである。
【0076】
例えば、
図7に示す端末装置T1により制御装置30xにアクセスすると、
図8に示す時間管理手段38によりスケジュール画面が送信され、端末装置T1に表示される。
図9に示すスケジュール画面Pでは、時間ごとの予定が表示されている。例えば、利用者が自動車C21(
図7参照)を使用する場合には、「使用予定」と表示されている。また、利用者による使用予定が無く、他の使用予定も無い場合には、利用者が貸し出しを許可することを示す「予約可」と表示されている。更に、仲介会社(他の使用者)による使用が予定され、予約が完了していることを示す「予約済」と表示されている。
【0077】
利用者は、このスケジュール画面Pに、使用の予定をしており、貸し出しを禁止する期間や、貸し出しが予約できる期間を設定することができる。
仲介会社は、端末装置T2を操作して制御装置30xにアクセスすることで、スケジュール画面Pを端末装置T2に表示させ、貸し出しの予約を取る。
【0078】
報酬付与手段39では、この予約済の期間(貸出期間)の広告費を合計することで、利用者への報酬を演算する。この広告費は、実施の形態1における演算方法に従って演算することが可能である。
このように、利用者は、個人所有の自動車C21(
図7参照)であっても、他の使用者から報酬を得ることができるので、収益を上げることができる。