【解決手段】本発明の1実施形態に係るレーザ加工装置100は、基本波長の第1の光ビームRBを発生させる広帯域光発振素子130と、第1の光ビームRBの振動方向を制御する偏光板120と、第1の光ビームRBを狭帯化させる狭帯域光発振制御素子110と、この第1の光ビームRBを反射させる反射ミラー160,165と、反射した第1の光ビームRBから基本波長に対する高調波の波長を有する第2の光ビームGBを取り出す非線形結晶を有する波長変換部150と、波長変換された第2の光ビームGBのみを透過させて、被加工物へ出力光140を出力する出力ミラー170とから構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にて開示された技術において、固体レーザ(1μm帯)の第2高調波(SHG)変換は、1μm帯レーザの高出力化に伴う熱影響により変換効率が損なわれるという課題があった。また、ファイバーレーザ(1μm)の高調波変換は、高エネルギ密度に伴う非線形効果により変換効率が損なわれるという課題があった。
【0007】
また、特許文献2にて開示された技術では、400nm〜500nm帯の半導体レーザーダイオードを高出力化する場合、コア径100μm以下の小径ファイバーへのレーザ入射が困難であることから、高品位で生産性の高い溶接に適しないという課題もあった。
【0008】
本発明は、前記背景におけるこれらの実情に鑑みてなされたものであり、電子部品や自動車の電装部品の製造に好適な高品質・高出力のレーザ加工装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するためのレーザ加工装置である。本発明の一態様は、広帯域光発振素子と、基本波長を有する第1の光ビームを生成するために前記広帯域光発振素子を光学的に励起するとともに前記第1の光ビームを狭帯化させる狭帯域発振制御素子と、前記第1の光ビームの基本波長に対する高調波の波長を有する第2の光ビームを生成させる非線形結晶を有する波長変換部と、を備える。
【0010】
この構成は、エネルギとなる光源からレーザ媒質である広帯域光発振素子にエネルギが与えられ、レーザ媒質の原子や分子を低エネルギ準位から高エネルギ準位に励起(ポンピング)させる。そして、励起された基本波長の光ビームは狭帯域光発振制御素子を用いて狭帯域化させる。この狭帯域化は例えば30nmの広帯域利得を有するレーザ媒質をスペクトル線幅1nm以下でレーザ発振させるものである。
【0011】
前記構成によれば、狭帯域光発振制御素子によって広帯域の光ビームを狭帯域とすることで、単一波長(基本波長)のレーザ光の利得バンド幅を狭め、高効率で励起させることができる。そして、このレーザ光から波長変換部によって高調波のレーザ光を取り出すため、高調波の変換効率を向上させることができる。
【0012】
前記構成において、前記広帯域光発振素子は、直径0.1mm以上で1mm以下の棒状Yb:YAGであるように構成することができる。
【0013】
この構成は、広帯域光発振素子に固体レーザである直径0.1mm以上で1mm以下の棒状Yb:YAG系結晶を適用している。Yb:YAG系結晶を適用した固体レーザ媒質には、ファイバーレーザに使われるきわめて細径(直径10〜20μm)のもの、通常市販されているロッドレーザ(直径3mm以上)、さらに平板状に形成されたディスクレーザ(直径150mm程度)がある。
【0014】
しかし、ファイバーレーザにおいて大出力を得ようとすると、高エネルギ密度に伴う非線形効果によって変換効率を損なうとともに、ファイバーレーザ自身が壊れてしまうおそれがあった。また、ディスクレーザは大出力の達成は可能とされているが軸方向の利得が低いこと、またコストがかかるという課題があった。
【0015】
この構成に適用される直径0.1mm以上で1mm以下の棒状Yb:YAG系結晶は、大出力が可能であるとともに、形状的にYb:YAG系結晶の高い熱伝導率を有効に利用できることから熱影響にも強く、ファイバーレーザやディスクレーザの課題を解決することができる。そして、この構成によれば従来は安定的な加工が困難だった1kwオーダーまたはそれ以上の高出力での生産性の高いレーザ加工やレーザ溶接を実現させることができる。
【0016】
前記構成において、前記狭帯域光発振制御素子は、回折格子もしくは波長選択素子からなる波長安定化素子を備える構成とすることができる。
【0017】
この構成によれば、利得バンド幅が広いレーザに代表的かつ実績のある回折格子、波長選択素子からなる波長安定化素子を付加することで著しい狭帯域化を実現することができる。
【0018】
前記構成において、前記非線形結晶は、LBOもしくはKTPを適用することができる。LBOは広帯域で高出力のレーザに好適な非線形結晶であり、KTPは広帯域に対応して費用効果も高い非線形結晶である。これらの非線形結晶を適用することで、コストがかからず、複雑な構成とならず、確実に第2高調波となる第2の光ビームを生成することができる。
【0019】
前記構成によるレーザ加工装置は金属溶接用レーザ溶接機とすることができる。この構成によれば、電子部品や電装部品の溶接において、溶接中に飛散する溶融金属の微粒子であるスパッタの発生を極力少なくする溶接を実現させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、高出力が可能な広帯域光発振素子と狭帯域光発振制御素子を組み合わせることで、電子部品や自動車の電装部品の接合材料として主に使用される金・銅の加工や溶接における好適な高品質・高出力のレーザ加工装置、レーザ溶接機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、
図1〜
図3を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ加工装置の全体構成図である。
図2は、本発明に好適なYb:YAGレーザの形態についての説明図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係る狭帯域光発振制御素子のレーザ発振スペクトルの一例である。以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
【0023】
本発明に係るレーザ加工装置は、広帯域光発振素子と、基本波長を有する第1の光ビームを生成するために前記広帯域光発振素子を光学的に励起するとともに前記第1の光ビームを狭帯化させる狭帯域発振制御素子と、前記第1の光ビームの基本波長に対する高調波の波長を有する第2の光ビームを生成させる非線形結晶を有する波長変換部と、を備える構成であれば、その具体的態様はいかなるものであっても構わない。
【0024】
<第1実施形態の説明>
[全体構成について]
図1を参照すると、第1実施形態に係るレーザ加工装置100は、基本波長の第1の光ビームRBを発生させる広帯域光発振素子130と、第1の光ビームRBの振動方向を制御する偏光板120と、第1の光ビームRBを狭帯化させる狭帯域光発振制御素子110と、この第1の光ビームRBを反射させる反射ミラー160,165と、反射した第1の光ビームRBから基本波長に対する高調波の波長を有する第2の光ビームGBを取り出す非線形結晶を有する波長変換部150と、波長変換された第2の光ビームGBのみを透過させて、図示しない被加工物へ出力光140を出力する出力ミラー170とから構成されている。なお、図示しない励起用の光源については、例えばレーザ・ダイオード(900nm帯高出力半導体レーザ)を適用することができる。
【0025】
[各構成の説明]
第1実施形態の各構成について説明する。広帯域光発振素子130は、レーザ媒質であり、固体レーザ媒質、特にYb:YAG結晶が好適である。以下の説明ではYb:YAGレーザについて説明するが、このレーザに限定されることはなく、例えば、固体レーザ媒質であるルビーレーザ、Nd:YAGレーザ、チタンサファイヤレーザ等も適用できることは言うまでもない。
【0026】
Yb:YAGレーザは、励起波長が940nm、レーザ発振波長が1030nmであり、励起量子効率が91.4%にも達する。ファイバーレーザの材料として多く使用され、大量生産されていることからコストもNd:YAGレーザと比べても低い。
【0027】
Yb:YAGレーザは、Nd:YAGレーザと比べて、次のようないくつかの利点を有している。(1)Yb:YAGレーザは、励起波長の光子エネルギとレーザ波長の光子エネルギとのエネルギ差が小さく、発熱損失が少ない。(2)吸収波長帯域幅がNd:YAGレーザに比べて数倍広く、また蛍光寿命も約1msと4倍ほど長いため,励起光源への負担が緩和できる。(3)エネルギ準位の構造が単純で、レーザ発振始準位からさらに上の準位への吸収(ESA:excited state absorption)やクロス緩和が生じないため、強励起しても励起に無駄がなく、効率が劣化しない。
【0028】
図2を参照して、Yb:YAGレーザのいくつかの形態について説明する。
図2に示すようにYb:YAGレーザには、主に4種の形状を有するものが存在している。(A)は、ファイバーレーザと呼ばれるもので、直径D1が約10〜20μm、長さL1は数メートル、数十メートルに及ぶものもある。(B)は、本実施形態に好適としているいわゆるシン・ロッドレーザと呼ばれるもので、直径D2がおおよそ0.1mm以上、1mm以下で、長さL2は数十mmである。(C)は、ロッドレーザと呼ばれる一般的かつ汎用的なレーザであり、直径D3が約1mm、長さL3が約100mmである。そして、(D)は、ディスクレーザと呼ばれ、直径D4が約15mm、長さ(厚さ)L4が約100μmである。
【0029】
(A)のファイバーレーザにおいて大出力を得ようとすると、高エネルギ密度に伴う非線形効果によって変換効率を損なうとともに、ファイバーレーザ自身が壊れてしまうおそれがあった。
【0030】
(C)のロッドレーザにおいては、励起されたレーザロッドには中心部の温度が高くなる軸対象(パラボリック)な温度分布が生じるため、屈折率の温度変化や熱応力による光弾性効果などによりレーザロッドには熱レンズ効果や熱誘起複屈折が生じる場合がある。熱レンズ効果を有するレーザ媒質を含んだレーザ共振器では、励起入力を大きくすると共振器が不安定条件になり、レーザ発振出力が飽和し、さらにはレーザ発振が停止する等の課題があった。
【0031】
(D)のディスクレーザは大出力の達成が可能とされているが、軸方向の利得が低いこと、またコストがかかること等の課題を有していた。そして、アクティブミラー型のディスクYb:YAGレーザは、構成が複雑で、結晶温度を冷却する必要があった。
【0032】
一方、本実施形態に好適な(B)のシン・ロッドレーザには、前記のような課題はなく、高出力化に伴う熱影響を軽減することができる。このように本実施形態において選択されたシン・ロッドレーザをレーザ加工装置に適用することで基本波(1μm帯)の光ビーム品質の向上を図ることができる。
【0033】
偏光板120は、光学異方性を持つ非線型結晶にて基本波と高調波の屈折率整合を得るために、第1の光ビームRBに適用されるYb:YAGレーザ光の振動方向を制御している。
【0034】
偏光板120は、偏光方向による屈折角の違いを利用した偏光分離型を適用することができ、例えば、グラントムソンプリズム、グランレーザープリズム、ウォーラストンプリズム、ローションプリズム、サヴァール板、偏光分離板、ノマルスキープリズムなどをシステム、レーザビームの種類に応じて適宜選択することができる。
【0035】
狭帯域光発振制御素子110は、例えば、高機能回折格子、体積型ホログラフィック回折格子(Volume Bragg Grating:VBG)であり、高出力レーザのスペクトル狭帯域化を行う。VBGは、PTRガラス(Photo Thermal Refractive Glass)と呼ばれる特殊なガラスにUV照射と熱処理により恒久的な屈折率変化で体積型ホログラムを記録した回折格子で、セントラルフロリダ大学で開発されたものである。VBGは、高い損傷閾値と回折効率を有すため、高出力半導体レーザやチタンサファイヤレーザのスペクトル幅狭線化、パルス圧縮など様々な用途に使用されている。
【0036】
図3を参照すると、狭帯域光発振制御素子110による基本波と高調波の位相整合(屈折率整合)及び基本波のスペクトル線幅の狭帯域化の例を示している。本実施形態は、レーザ共振器内にプリズムやエタロンまたは回折格子などの波長選択素子を挿入するレーザ共振器によって、広帯域利得を持つYb(約30nm)を狭い線幅(1nm以下)のレーザ発振を実現させている。
【0037】
図3(A)は、狭帯域(誘電体)ミラーによる狭帯域化を示しており、縦軸はレーザ光強度(A.U.)であり、横軸は発振波長(nm)としている。ここで、A.U.は、任意単位であり、相対発光強度を表している。ここで、実線は定格出力での領域、破線は低出力での領域、一点鎖線は最大出力での領域を示している。
図3(A)は、一般的なレーザ共振器ミラーに用いられる高反射率を有する誘電体ミラーを用いた場合の各出力領域における発振スペクトルであり、スペクトル幅は、ほぼ一定であるが、中心波長は出力に応じて変化している。
【0038】
次に
図3(B)は、VBGミラーによる狭帯域発振を示す発振スペクトルであり、各軸および各線は(A)と同じ表現としている。
図3(B)は、VBGによる波長選択性を有する共振器ミラーを用いた場合の各出力領域における発振スペクトルであり、(A)と比べて、スペクトル幅、中心波長は出力に依存せず一定となっている。
【0039】
図3(C)は、
図3(A)、(B)の定格出力における発振スペクトルを比較したものであり、実線はVBGミラーを使用した場合、破線は狭帯域(誘電体)ミラーを使用した場合である。
図3(C)に示すように、定格出力領域における一般的なレーザ共振器ミラーである狭帯域(誘電体)ミラーとVBGミラーとを比較すると、VBGミラーにおけるスペクトル幅は、狭帯域(誘電体)ミラーと比べ1/3(幅約2nmから幅約0.7nm)程度になっており、挟帯域化が実現できることが示されており、本実施形態の構成が妥当であることが示されている。なお、狭帯域光発振制御素子110は、使用用途に応じて透過型のVBG、反射型のVBGを適宜選択・適用することができ、
図1では反射型のVBGを適用した例を示している。
【0040】
以上からVBGミラーにより次の作用効果が得られる。1)基本波の出力に依存せずに、発振波長(中心波長)、スペクトル形状が一定となることから、安定した第2高調波変換を得ることができる。2)広帯域利得レーザ媒質から1nm以下の挟帯域スペクトルを得ることが可能となることから、高効率な波長変換を得ることができる。
【0041】
反射ミラー160,165は、光学機器で一般的に用いられるものであり、高精度に研磨されたガラス基板に、真空蒸着装置で金属や誘電体の膜をコーティングしたものを選択・適用することができる。
【0042】
波長変換部150は、第1の光ビームRBから基本波長に対する高調波の波長を有する第2の光ビームGBを取り出す非線形結晶(非線形光学結晶(nonlinear optical crystal))を適用することができる。非線形光学結晶とは、入射光に対して結晶中が非線形的に応答し、かつ複屈折が存在する結晶のことをいう。
【0043】
電子が非線形的に応答するためには、分極の存在が不可欠である。非線形光学結晶では、この分極は相転移によって生じるものと、もともと結晶構造的に分極を生じているものとがある。相転移によって分極を生じる結晶にはGaAs,GaP,ZnTe,KDP,BBO,LiNbO3,KTP,LBOなどがあり、本実施形態では光学的異方性が二軸性のKTP,LBOが好適な構成として適用できる。
【0044】
出力ミラー170は、いわゆるダイクロイックミラーであり、一般的に基本波の反射率が100%、高調波の反射率が0%となっている。共振器内部では、狭帯域発振制御素子110、曲率のついた出力ミラー170と反射ミラー160,165との間で、第1の光ビームRBは共振し増幅され、波長変換部150にて基本波の往復過程で高調波に変換され、出力ミラー170から共振器外部に出力される。
【0045】
[光ビームの励起・発振・共振についての説明]
再び
図1を参照すると、図示しない励起用の光源、例えばレーザ・ダイオード(900nm帯高出力半導体レーザ)によって、広帯域発振が可能なレーザ媒質・素子である広帯域光発振素子130が励起され、広帯域(30nm〜100nm程度)の第1の光ビームRBが発振される。発振された第1の光ビームRBは、このレーザ発振光の偏光を選択する偏光板120を通過し、狭帯域光発振制御素子110に至る。
【0046】
狭帯域光発振制御素子110は、広帯域光発振を有するレーザ媒質からの第1の光ビームRBを挟帯域(波長半値幅1nm以下)へと発振を制御する。狭帯域化された第1の光ビームRBは、偏光板120、広帯域光発振素子130を通過して、反射ミラー160によって反射されて、出力ミラー170に至る。出力ミラー170は、ダイクロイックミラーであり、基本波(約1μm)である第1の光ビームRBを反射し、第1の光ビームRBは非線形結晶を有する波長変換部150に至る。波長変換部150は、基本波(約1μm)を高調波(約500nm)に変換することで第2の光ビームGBを取り出す。
【0047】
波長変換部150からの第1の光ビームRB及び第2の光ビームGBは、2波長(基本波、高調波)の全反射ミラーである反射ミラー165に反射され、これらの光ビームは再度波長変換部150に至る。波長変換部150では、第1の光ビームRBから高調波である第2の光ビームGBを取り出すとともに、既に高調波となった第2の光ビームGBを透過させる。
【0048】
波長変換部150から出た第1の光ビームRB及び第2の光ビームGBは、出力ミラー170に至り、ここで高調波となった第2の光ビームGBは透過され、基本波の第1の光ビームRBは反射され、共振させてさらに高出力化を図る。
【0049】
出力ミラー170を透過した出力光140は、被加工物への切断・溶接等のレーザ加工用の光ビームとして使われる。そして、出力ミラー170によって反射された第1の光ビームRBは、ここで説明した光ビームの経路を繰り返し辿ることで高出力化され、最終的に高調波(第2の光ビームGB)となって、出力光140となる。
【0050】
かかる構成によって、ビーム品質が高く、高い光エネルギを有する基本波を入射し、基本波の偏光制御に伴う損失を小さくし、発振波長幅を狭くすることを具現化することができ、基本波における第2高調波を高効率(変換効率)に得ることができる。
【0051】
<第2実施形態の説明>
次に
図4を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係るレーザ加工装置の全体体構成図である。第2実施形態は第1実施形態に対して、光学素子の配置を一部変更している。以下は、第1実施形態と異なる構成・作用のみを説明する。さらに第3、第4実施形態についても同様な説明を行う。
【0052】
図4に示すように第2実施形態に係るレーザ加工装置200は、
図1に示す第1実施形態の構成の狭帯域光発振制御素子110の位置に反射ミラー260を配置し、一方反射ミラー160の位置に反射型の狭帯域光発振素子210を配置している。光ビームの進み方、反射等については、第1実施形態での説明と同様であるので、説明を省略している。
【0053】
本実施形態は、反射型のVBGを用いた実施形態である。ここで反射ミラー260は基本波100%反射ミラーとし、反射型回折格子は210とすることで第1実施形態と同様な機能を有するレーザ加工装置を構成することができる。
【0054】
<第3実施形態の説明>
次に
図5を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の第3実施形態に係るレーザ加工装置の全体体構成図である。第3実施形態は第1実施形態、第2実施形態に対して、光学素子の配置を一部変更し、透過型の狭帯域光発振制御素子を適用している。
【0055】
広帯域光発振素子130が励起され、発振された第1の光ビームRBは、偏光板120を通過し、反射ミラー260で反射された後、波長版380を通過する。波長板380は、直線偏光(Linear Polarized Light)の光に所定の位相差 (Retardation)を与える光学機能素子であり、レーザ加工装置において円偏光でよりきれいで均一な切断が行うことができる。
【0056】
その後第1の光ビームRBは、透過型の狭帯域光発振制御素子310に至る。狭帯域光発振制御素子310を通過し、狭帯域化された第1の光ビームRBは、出力ミラー170に至る。出力ミラー170は、基本波(約1μm)である第1の光ビームRBを反射し、第1の光ビームRBは非線形結晶を有する波長変換部150に至る。波長変換部150は、基本波(約1μm)を高調波(約500nm)に変換することで第2の光ビームGBを取り出す。
【0057】
本実施形態は、透過型のVBGまたは透過型回折格子を用いた実施形態であり、第1,2実施形態と同様な機能を有するレーザ加工装置を構成することができる。
【0058】
<第4実施形態の説明>
次に
図6を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第4実施形態に係るレーザ加工装置の全体体構成図である。第4実施形態は第3実施形態に対して、光学素子の配置を一部変更している。
【0059】
図6を参照すると、本実施形態は、透過及び反射機能を有する狭帯域光発振制御素子410を配置し、透過もしくは反射した第1の光ビームRBを反射ミラー462,464で反射させる。
【0060】
本実施形態によれば、光路内で第1の光ビームRBを反復させることで、励起状態を挙げて、出力の向上を図る構成としている。本実施形態では、透過型回折格子を用いることによって、回折格子における損失をミラー462およびミラー464で補うことができ、高効率化を図ることができる。
【0061】
以上説明したように、本発明は、広帯域光発振素子と狭帯域光発振制御素子を組み合わせることで、電子部品や自動車の電装部品の接合材料として主に使用される金・銅の加工や溶接における好適な高品質・高出力のレーザ加工装置、レーザ溶接機を提供するものである。光学素子の選択や配置については、いくつかの実施形態について説明したが、これらに限定されるものではない。