特開2021-132434(P2021-132434A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-132434(P2021-132434A)
(43)【公開日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】積層鉄心の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20210813BHJP
   H02K 15/12 20060101ALI20210813BHJP
【FI】
   H02K15/02 F
   H02K15/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-25359(P2020-25359)
(22)【出願日】2020年2月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】竹本 雅昭
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB02
5H615BB05
5H615BB15
5H615PP01
5H615PP06
5H615SS05
5H615SS10
5H615SS19
5H615SS25
5H615SS41
5H615TT32
(57)【要約】
【課題】生産性を高めることができる積層鉄心の製造方法を提供する。
【解決手段】ステータコアの製造方法は、複数の鋼板11を積層することで積層体10Aを形成する積層工程と、積層体10Aの上面に錘を載置する載置工程と、錘が載置された積層体10Aを焼鈍する焼鈍工程と、カルプレート40を介して積層体10Aの貫通孔16内に樹脂20を充填することで、複数の鋼板11同士を互いに接合する接合工程とを備える。載置工程では、錘として、カルプレート40を用いる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鋼板を積層することにより構成された積層鉄心の製造方法であって、
前記複数の鋼板を積層することで積層体を形成する積層工程と、
前記積層体の上面に錘を載置する載置工程と、
前記錘が載置された前記積層体を焼鈍する焼鈍工程と、
前記積層体に設けられた貫通孔に連なる注入口を有するカルプレートを介して、前記貫通孔内に樹脂を充填することで、前記複数の鋼板同士を互いに接合する接合工程と、を備え、
前記載置工程では、前記錘として、前記カルプレートを用いる、
積層鉄心の製造方法。
【請求項2】
前記接合工程を前記焼鈍工程における冷却時に行う、
請求項1に記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項3】
前記積層工程では、隣接する前記鋼板同士を互いにかしめることで結合する、
請求項1または請求項2に記載の積層鉄心の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層鉄心の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転電機のステータなどの電機子は、複数の鋼板を積層することにより構成された積層鉄心を備えている。鋼板は、プレス加工により形成されているため、残留応力に伴う歪みが生じていることがある。こうした歪みを除去する方法として、積層鉄心を焼鈍することが知られている。
【0003】
特許文献1には、積層鉄心の焼鈍時に積層鉄心の上面に錘を載置することで、焼鈍時の熱によって積層鉄心の形状が変化することを抑制する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−150457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の方法では、錘を準備する必要があるため、積層鉄心の製造においては手間を要するものとなっている。
本発明の目的は、生産性を高めることができる積層鉄心の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための積層鉄心の製造方法は、複数の鋼板を積層することにより構成された積層鉄心の製造方法であって、前記複数の鋼板を積層することで積層体を形成する積層工程と、前記積層体の上面に錘を載置する載置工程と、前記錘が載置された前記積層体を焼鈍する焼鈍工程と、前記積層体に設けられた貫通孔に連なる注入口を有するカルプレートを介して、前記貫通孔内に樹脂を充填することで、前記複数の鋼板同士を互いに接合する接合工程と、を備え、前記載置工程では、前記錘として、前記カルプレートを用いる。
【0007】
同方法によれば、載置工程において、積層体の貫通孔内に樹脂を充填するためのカルプレートを錘として用いるため、積層体の上面に載置するための専用の錘を別途準備する必要がない。また、接合工程においては、積層体の上面にカルプレートを載置したまま貫通孔内に樹脂を充填することができる。したがって、積層鉄心の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態におけるステータコアの斜視図。
図2図1の2−2線に沿った断面図。
図3】ステータコアの一部を示す拡大断面図。
図4】積層工程を示すステータコアの断面図。
図5】載置工程及び焼鈍工程を示すステータコアの断面図。
図6】接合工程を示すステータコアの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図6を参照して、積層鉄心の製造方法を回転電機のステータコアの製造方法として具体化した一実施形態について説明する。なお、各図面において、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。
【0010】
図1に示すように、ステータコア10は、中心孔10aを有する筒状をなしている。ステータコア10は、複数の鋼板11が積層されることにより構成されている。鋼板11は、例えば、珪素鋼板を打ち抜くことにより形成されている。
【0011】
以降において、ステータコア10の軸線方向を単に軸線方向と称し、ステータコア10の軸線を中心とするステータコア10の周方向を単に周方向と称し、同軸線を中心とするステータコア10の径方向を単に径方向と称する。なお、鋼板11の積層方向は、軸線方向と一致している。
【0012】
ステータコア10は、円環状のヨーク12、及びヨーク12からヨーク12の径方向の内側に向かって延在するとともにヨーク12の周方向に互いに間隔をおいて形成された複数のティース13を有している。
【0013】
周方向において互いに隣り合うティース13同士の間には、径方向の内側に開口するとともに径方向に沿って延びるスロット14が形成されている。本実施形態のステータコア10は、都合48個のスロット14を有している。
【0014】
ステータコア10の外周面には、ステータコア10を図示しない回転電機のケースに固定するための複数の取付部15が設けられている。取付部15は、ステータコア10の外周面から径方向の外側に向かって突出するとともに、周方向に互いに間隔をおいて設けられている。本実施形態のステータコア10には、3つの取付部15が設けられている。取付部15には、軸線方向に貫通する取付孔15aが形成されている。各取付孔15aに挿通される図示しないボルトによってステータコア10と上記ケースとが固定される。
【0015】
ヨーク12のうちスロット14よりも径方向の外側の部分には、軸線方向に貫通する複数の貫通孔16が周方向に互いに間隔をおいて設けられている。本実施形態では、8つの貫通孔16が周方向に等間隔にて設けられている。
【0016】
図2に示すように、貫通孔16内には、例えば、熱硬化性の樹脂20が充填されている。熱硬化された樹脂20により、鋼板11同士が互いに接合されている。
図3に示すように、所定の鋼板11には、所謂ダボ加工により軸線方向の一方側に向けて膨出された突起11aが設けられている。軸線方向において隣接する鋼板11同士は、突起11a同士が凹凸の関係により互いにかしめられることで結合されている。
【0017】
図示は省略するが、本実施形態のステータコア10は、複数枚の鋼板11同士が突起11aにより互いにかしめられてなるコアブロックが複数積層されることにより構成されている。したがって、コアブロック内の鋼板11同士は、貫通孔16内の樹脂20により互いに接合されているとともに、各突起11aにより互いにかしめられることで結合されている。なお、コアブロック同士は、貫通孔16内の樹脂20を介して互いに接合されている。
【0018】
次に、ステータコア10の製造方法について説明する。
図4に示すように、まず、鋼板11を積層することで、鋼板11同士を互いにかしめることで結合して複数のコアブロックを形成する。そして、これらコアブロックを積層することで、積層体10Aを形成する(積層工程)。
【0019】
図5に示すように、次に、積層体10Aをパレット30に載置するとともに、積層体10Aの上面に錘を載置する(載置工程)。同錘は、後述する接合工程において用いられるカルプレート40である。
【0020】
ここで、カルプレート40は、積層体10Aよりも外形が大きい板状をなすものである。カルプレート40には、積層体10Aの貫通孔16に連なり、樹脂20が注入される複数の注入口41が設けられている。載置工程では、注入口41の位置が貫通孔16に対応した位置となるようにカルプレート40を積層体10Aの上面に載置する。
【0021】
次に、カルプレート40が載置された状態の積層体10Aを図示しない焼鈍炉内にて焼鈍する(焼鈍工程)。このとき、積層体10Aは、例えば800℃程度まで加熱された後に、焼鈍炉内において徐冷される。これにより、鋼板11に生じていた残留応力に伴う歪みが除去される。
【0022】
図6に示すように、次に、焼鈍工程における冷却時、より詳しくは、積層体10Aが樹脂20の熱硬化温度よりも若干高い温度まで冷却された段階で、積層体10Aを焼鈍炉内から取り出す。なお、本実施形態の樹脂20の熱硬化温度は、例えば200℃である。
【0023】
そして、注入口41に樹脂20を注入することで、カルプレート40を介して積層体10Aの貫通孔16内に樹脂20を充填する。これにより、樹脂20を熱硬化させて、鋼板11同士を互いに接合する(接合工程)。このように、本実施形態における接合工程では、焼鈍工程における余熱を利用して樹脂20を熱硬化する。
【0024】
最後に、積層体10Aからカルプレート40を取り除くことで、ステータコア10が製造される。
本実施形態の作用について説明する。
【0025】
載置工程において、積層体10Aの貫通孔16内に樹脂20を充填するためのカルプレート40を錘として用いるため、積層体10Aの上面に載置するための専用の錘を別途準備する必要がない。また、接合工程においては、積層体10Aの上面にカルプレート40を載置したまま貫通孔16内に樹脂20を充填することができる。
【0026】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ステータコア10の製造方法は、複数の鋼板11を積層することで積層体10Aを形成する積層工程と、積層体10Aの上面に錘を載置する載置工程と、錘が載置された積層体10Aを焼鈍する焼鈍工程と、カルプレート40を介して積層体10Aの貫通孔16内に樹脂20を充填することで、複数の鋼板11同士を互いに接合する接合工程とを備える。載置工程では、錘として、カルプレート40を用いる。
【0027】
こうした方法によれば、上述した作用を奏することから、ステータコア10の生産性を向上させることができる。
(2)接合工程を焼鈍工程における冷却時に行う。
【0028】
こうした方法によれば、焼鈍工程における余熱を利用して、接合工程を行うことができるため、ステータコア10の生産性を一層向上させることができる。
(3)積層工程では、隣接する鋼板11同士を互いにかしめることで結合する。
【0029】
鋼板11同士が互いにかしめられていない積層体においては、各鋼板11の貫通孔16の周方向における位置がずれるおそれがある。
この点、上記方法によれば、鋼板11同士が互いに位置決めされるため、各鋼板11の貫通孔16の周方向における位置が揃いやすくなる。これにより、接合工程において、貫通孔16の全体に樹脂20が充填されやすくなる。したがって、ステータコア10の生産性をより一層向上させることができる。
【0030】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0031】
・本実施形態のステータコア10は、複数のコアブロックが積層されて構成されるものであったが、突起11aを省略するとともに、鋼板11同士を樹脂20のみにより互いに接合することもできる。この場合、突起11aを通じて鋼板11同士が短絡することでステータコア10の鉄損が増加することを抑制できる。
【0032】
・接合工程では、焼鈍工程における余熱を利用しなくてもよい。この場合、樹脂20の熱硬化温度よりも低い温度まで冷却された積層体10Aを、上記熱硬化温度まで加熱するとともに貫通孔16内に樹脂20を充填すればよい。
【0033】
・貫通孔16の数や位置は適宜変更できる。
・本実施形態の樹脂20は熱硬化性の樹脂であったが、これに代えて、熱可塑性の樹脂を用いることもできる。
【0034】
・本実施形態では、積層鉄心の製造方法の一例として回転電機のステータコアの製造方法を例示したが、同様の方法を回転電機のロータコアの製造方法に対して適用することも可能である。
【符号の説明】
【0035】
10…ステータコア
10a…中心孔
10A…積層体
11…鋼板
11a…突起
12…ヨーク
13…ティース
14…スロット
15…取付部
15a…取付孔
16…貫通孔
20…樹脂
30…パレット
40…カルプレート
41…注入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6