特開2021-132849(P2021-132849A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-132849(P2021-132849A)
(43)【公開日】2021年9月13日
(54)【発明の名称】シートカバー
(51)【国際特許分類】
   B68G 7/05 20060101AFI20210816BHJP
   A47C 31/11 20060101ALI20210816BHJP
   B60N 2/58 20060101ALI20210816BHJP
【FI】
   B68G7/05 B
   A47C31/11 Z
   B60N2/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-31351(P2020-31351)
(22)【出願日】2020年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 富久生
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DE03
(57)【要約】
【課題】互いにインステッチで縫合される2枚のカバーピースを、これらの両サイドに跨ってインステッチで縫合される別のカバーピースに適切に縫合すること。
【解決手段】互いにインステッチS1で縫合される第1及び第2のカバーピース11,12の両サイドに跨ってインステッチS4で縫合される第3のカバーピース13は、第1及び第2のカバーピース11,12との縫合部に、第1及び第2のカバーピース11,12の縫合による縫い足L1が更なる別の縫い足L3として折り重なる第1の嵩張り領域A1と、これらのない非嵩張り領域A2とを有する。バックカバー10は更に、非嵩張り領域A2と第1の嵩張り領域A1との厚さの違いを補う補填部材20を有する。補填部材20は、非嵩張り領域A2に積層される積層部21と、別の縫い足L3との重なりを避けて第1の嵩張り領域A1を縫い線の走る方向に延びる逃がし部22とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のカバーピースが縫い合わされて成るシートカバーであって、
互いにインステッチで縫い合わされる第1及び第2のカバーピースと、
前記第1及び第2のカバーピースに対し、これらの合わせ方向とは交差する方向にインステッチで縫い合わされる第3のカバーピースであって、前記第1及び第2のカバーピースとの縫合部に、前記第1及び第2のカバーピース同士の縫合による縫い足が更なる別の縫い足として折り返し状に倒される嵩張り領域と、前記縫い足及び前記別の縫い足のない非嵩張り領域と、が縫い線の走る方向に並ぶ構成とされる前記第3のカバーピースと、
前記非嵩張り領域に設けられて前記非嵩張り領域と前記嵩張り領域との間の厚さの違いを補う補填部材であって、前記非嵩張り領域に積層状に設けられる積層部と、前記別の縫い足との厚さ方向の重なりを避けて前記嵩張り領域を前記縫い線の走る方向に延びる逃がし部と、を有する前記補填部材と、を有するシートカバー。
【請求項2】
請求項1に記載のシートカバーであって、
前記第1及び第2のカバーピースと前記第3のカバーピースとが、互いに山折り状に角度を成して設けられるシートカバー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシートカバーであって、
前記補填部材が、前記第1及び第2のカバーピースの前記第3のカバーピースとの縫合による前記非嵩張り領域の一般縫い足の端末に縫い合わされて、前記一般縫い足と前記第1及び第2のカバーピースの一般面部との間に各面に沿って折り返し状に延びるように積層されるシートカバー。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のシートカバーであって、
前記第1及び第2のカバーピースが、シートバックの肩口に形成される上向きに膨らむ膨出部の上面に被せられ、前記第3のカバーピースが、前記膨出部の立ち上がり面に被せられるシートカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートカバーに関する。詳しくは、複数枚のカバーピースが縫い合わされて成るシートカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
シートバックの左右の肩口に、ヘッドレストの左右の側部に向かって立ち上がる膨出部が形成された構成が知られている(特許文献1)。上記膨出部に被せられるバックカバーは、膨出部の上面に被せられる上面カバーピースと、膨出部の立ち上がり面に被せられる側面カバーピースと、がインステッチで縫い合わされた構成とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−63169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上面カバーピースを意匠性向上のために2枚のカバーピースをインステッチで縫い合わせる構成とする場合、これらと側面カバーピースとのインステッチによる縫合部において、先の縫い合わせにより生じる縫い足が、側面カバーピースとの縫合部において更なる縫い足として折り返し状に倒される構成となる。それにより、縫い足の嵩張る領域とそうでない領域とが生じ、これらの全体厚さや剛性の違いにより縫い線が蛇行するおそれがある。そこで、本発明は、互いにインステッチで縫い合わされる第1及び第2のカバーピースを、これらの合わせ方向とは交差する方向にインステッチで縫い合わされる第3のカバーピースに対して、適切に縫い合わせることができるシートカバーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のシートカバーは次の手段をとる。
【0006】
すなわち、本発明のシートカバーは、複数枚のカバーピースが縫い合わされて成るシートカバーである。このシートカバーは、互いにインステッチで縫い合わされる第1及び第2のカバーピースと、第1及び第2のカバーピースに対し、これらの合わせ方向とは交差する方向にインステッチで縫い合わされる第3のカバーピースと、を有する。第3のカバーピースは、第1及び第2のカバーピースとの縫合部に、第1及び第2のカバーピース同士の縫合による縫い足が更なる別の縫い足として折り返し状に倒される嵩張り領域と、縫い足及び別の縫い足のない非嵩張り領域と、が縫い線の走る方向に並ぶ構成とされる。
【0007】
シートカバーは、更に、非嵩張り領域に設けられて非嵩張り領域と嵩張り領域との間の厚さの違いを補う補填部材を有する。補填部材は、非嵩張り領域に積層状に設けられる積層部と、上記別の縫い足との厚さ方向の重なりを避けて嵩張り領域を縫い線の走る方向に延びる逃がし部と、を有する。
【0008】
上記構成によれば、補填部材により、互いに縫い合わされた第1及び第2のカバーピースと第3のカバーピースとの縫合部における嵩張り領域と非嵩張り領域との間の厚さの差異が補われる。それにより、上記縫合部の縫い線の蛇行を抑制し、縫合部を見栄え良く縫い合わせることができる。また、嵩張り領域がハイライト線として外部に露出することを抑制することができる。
【0009】
また、本発明のシートカバーは、更に次のように構成されていても良い。第1及び第2のカバーピースと第3のカバーピースとが、互いに山折り状に角度を成して設けられる。
【0010】
上記構成によれば、シートカバーが山折り状の角度を成して設けられる構成では、嵩張り領域がより顕著にハイライト線として外部に露出しやすくなる。しかし、補填部材により、嵩張り領域がハイライト線として外部に露出することを効果的に抑制することができる。
【0011】
また、本発明のシートカバーは、更に次のように構成されていても良い。補填部材が、第1及び第2のカバーピースの第3のカバーピースとの縫合による非嵩張り領域の一般縫い足の端末に縫い合わされて、一般縫い足と第1及び第2のカバーピースの一般面部との間に各面に沿って折り返し状に延びるように積層される。
【0012】
上記構成によれば、補填部材を折り返し状に設けることで、補填部材を別の縫い足の嵩張り形状に即して厚さの違いを適切に補うように設けることができる。
【0013】
また、本発明のシートカバーは、更に次のように構成されていても良い。第1及び第2のカバーピースが、シートバックの肩口に形成される上向きに膨らむ膨出部の上面に被せられる。また、第3のカバーピースが、膨出部の立ち上がり面に被せられる。
【0014】
上記構成によれば、シートバックの肩口の膨出部は、外部から見えやすいく、ハイライト線が生じると見栄えが損なわれやすい。しかし、補填部材により、上記膨出部の上面と立ち上がり面とに被せられるシートカバーにハイライト線が露出することを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係るシートカバーの概略構成を表した斜視図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3図1のIII部をカバー裏側から見た拡大図である。
図4】補填部材の単体図である。
図5図3のV−V線断面図である。
図6図3のVI−VI線断面図である。
図7図3のVII−VII線断面図である。
図8図1のVIII部のカバー形状を模式的に表した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
《第1の実施形態》
(シートカバーの概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係るシートカバーの構成について、図1図8を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、「シート幅方向」と示す場合には、後述するシート1の左右方向を指すものとする。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係るシートカバーは、自動車のシート1のシートバック2の表面を覆うバックカバー10として構成されている。上記シート1は、着座乗員の背凭れ部を成すシートバック2と、着座部を成す不図示のシートクッションと、頭凭れ部を成すヘッドレスト3と、を備える。シートバック2は、上記不図示のシートクッションの後部に連結されている。また、ヘッドレスト3は、シートバック2の上部に装着されている。
【0019】
具体的には、ヘッドレスト3は、その下面部から垂下する左右一対の丸棒状のヘッドレストステー3Aが、シートバック2の上部に差し込まれて固定されることで、シートバック2の上部に装着されている。シートバック2の左右の両肩口には、それらの間に装着されるヘッドレスト3の左右の側部に向かって斜めに立ち上がる膨らみ形状の膨出部2Aが形成されている。これら膨出部2Aにより、シートバック2は、その上部に装着されるヘッドレスト3を一体感のある形に見栄え良く装着することができる構成とされる。
【0020】
バックカバー10は、袋状に縫い合わされた合成皮革製の複数枚のカバーピースから成る。上記バックカバー10は、次のようにシートバック2に被せられている。先ず、シートバック2の骨組みを成すバックフレーム2Fに、クッション材を成すバックパッド2P等の周辺部品を組み付ける。次に、これらを内部に包み込むようにバックカバー10を上方から被せ、バックフレーム2Fに固定する。それにより、バックカバー10が、バックパッド2Pをバックフレーム2Fに押さえ付けて位置固定した状態として、シートバック2の表面全体に被せられた状態となる。
【0021】
上記バックカバー10は、そのシートバック2の各膨出部2Aを覆う部分が、第1のカバーピース11と、前後2枚の第2のカバーピース12と、第3のカバーピース13と、を立体形状に縫い合わせたカバー構造から成る。第1のカバーピース11は、膨出部2Aの上面を頂点側の縁からシート幅方向の外側へと落ち込むように延びる帯形状とされる。第2のカバーピース12は、第1のカバーピース11の前側と後側とにそれぞれ1枚ずつ縫い合わされ、第1のカバーピース11と共に膨出部2Aの上面を頂点側の縁からシート幅方向の外側へと落ち込むように延びる帯形状とされる。
【0022】
第3のカバーピース13は、第1のカバーピース11と各第2のカバーピース12とに跨ってこれらのシート幅方向の内側の縁部に縫い合わされ、膨出部2Aの内側の立ち上がり面全体を覆うように設けられる。第3のカバーピース13は、第1のカバーピース11と各第2のカバーピース12とが互いに縫い合わされた後、これらのシート幅方向の内側の縁部に合わされて縫い合わされている。
【0023】
具体的には、図2に示すように、第1のカバーピース11と各第2のカバーピース12とは、それぞれ、互いの縁部同士がインステッチS1(縫い目が意匠面に見えない縫い合わせ)により縫い合わされている。そして、第1のカバーピース11と前側の第2のカバーピース12とは、互いの縫合された各縫い足L1が、第1のカバーピース11の裏側と前側の第2のカバーピース12の裏側とに分かれて折り重ねられるように倒されて、ダブルステッチS2(縫い目が意匠面に見える縫い合わせ)により第1のカバーピース11の裏側と前側の第2のカバーピース12の裏側とに分かれて縫い合わされている。
【0024】
また、第1のカバーピース11と後側の第2のカバーピース12とは、互いの縫合された各縫い足L1が、後側の第2のカバーピース12の裏側に折り重ねられるように倒されて、シングルステッチS3(縫い目が意匠面に見える縫い合わせ)により後側の第2のカバーピース12の裏側に縫い合わされている。
【0025】
また、図3に示すように、第3のカバーピース13は、上記縫い合わされた第1のカバーピース11と前後の第2のカバーピース12とに跨って、その上縁部がこれらのシート幅方向の内側の縁部にインステッチS4(縫い目が意匠面に見えない縫い合わせ)により縫い合わされている。そして、図5図6に示すように、上記インステッチS4により縫合された縫い足(一般縫い足L2)は、第1のカバーピース11及び前後の第2のカバーピース12の裏側に折り重ねられるように倒されて、膨出部2Aを構成するバックパッド2P上に寝かされた状態にセットされる。
【0026】
上記インステッチS4において、図6図7に示すように、第1のカバーピース11と前側の第2のカバーピース12との縫合された縫い足L1がある部分では、ダブルステッチS2により縫合された縫い足L1が、インステッチS4の縫合により更に別の縫い足L3となって折り返し状に倒されることとなる。したがって、この別の縫い足L3が形成される部分は、別の縫い足L3と縫い足L1とが第1のカバーピース11の一般面部11Aと一般縫い足L2との間、或いは前側の第2のカバーピース12の一般面部12Aと一般縫い足L2との間にそれぞれ積層状に介在して総厚が嵩張る嵩張り領域(第1の嵩張り領域A1)となる。
【0027】
一方、上記インステッチS4において、図5及び図7に示すように、上記縫い足L1のない一般部分は、第1のカバーピース11の一般面部11Aと一般縫い足L2との間、或いは前後の第2のカバーピース12の一般面部12Aと一般縫い足L2との間に縫い足L1や別の縫い足L3(図6参照)が形成されない非嵩張り領域A2となる。
【0028】
また、図7図8に示すように、第1のカバーピース11と後側の第2のカバーピース12との縫合された縫い足L1がある部分では、その第3のカバーピース13(図3参照)と縫合される端末側の足部分がカット部Cによりカットされていることにより、縫い足L1が短くなって嵩張らないようになっている。すなわち、図2で前述したように、第1のカバーピース11と後側の第2のカバーピース12との縫合された縫い足L1は、シングルステッチS3によって後側の第2のカバーピース12の裏側に重ね合わせ状に倒された構成となっている。
【0029】
しかし、これら2層に重なる縫い足L1は、図7に示すように、その端末側の足部分が、カット部Cにより短くカットされると共に、第2のカバーピース12の裏側に倒されることなく短く張り出す形に設けられる構成とされる。そして、上記カット部Cにより短くカットされた縫い足L1は、第1及び後側の第2のカバーピース11,12の一般面部11A,12Aと、これらの一般縫い足L2と、の間で互いに上下に向かい合わされる形に設けられる。
【0030】
具体的には、上記カット部Cにより短くカットされた縫い足L1が設けられる部分では、これら短い縫い足L1と、これら短い縫い足L1がインステッチS4の縫合により更に折り返されて形成される短い別の縫い足L3とが、上下に向かい合わせ状に張り出す形となる。それにより、上記短くカットされた縫い足L1と別の縫い足L3とが重なる部分は、第1及び後側の第2のカバーピース11,12の一般面部11A,12Aと、これらの一般縫い足L2と、の間の総厚が嵩張る嵩張り領域(第2の嵩張り領域A3)となる。上記第2の嵩張り領域A3は、カット部Cによる縫い足L1及び別の縫い足L3の足の長さ調整により、第1の嵩張り領域A1と同程度の総厚となるように設定されている。
【0031】
上記構成により、バックカバー10は、図3及び図7に示すように、上記インステッチS4の縫い線の走る方向に、第1の嵩張り領域A1と非嵩張り領域A2と第2の嵩張り領域A3とが並ぶ構成とされる。上記のように縫い足L1が介在するところと介在しないところとがあると、これらに跨ってインステッチS4の縫合を行った際に、通る部位の厚さ(及び剛性)の違いによって縫い線に蛇行が生じるおそれがある。
【0032】
そこで、上記バックカバー10には、上記インステッチS4の縫合箇所に、非嵩張り領域A2と第1の嵩張り領域A1及び第2の嵩張り領域A3との間の厚さ(及び剛性)の違いを補って縫い線の蛇行を抑制する補填部材20が設けられている。上記補填部材20は、バックカバー10を構成する他のカバーピースと略同一の厚さ及びしなやかさを備える1枚の面状部材から成る。
【0033】
上記補填部材20は、上記インステッチS4の縫合箇所において、非嵩張り領域A2には介在する(一般縫い足L2と厚さ方向に重なるように介在する)が、第1の嵩張り領域A1及び第2の嵩張り領域A3には介在しない(一般縫い足L2と厚さ方向に重なるようには介在しない)形状とされる。それにより、補填部材20は、非嵩張り領域A2の厚さ(及び剛性)を第1の嵩張り領域A1及び第2の嵩張り領域A3と略同一となるように補う構成とされる。具体的には、図4に示すように、補填部材20は、略帯状にカットされた1枚の面状部材から成る。
【0034】
上記補填部材20は、その図4に示す帯形状の長手方向の両端部と中間部との3箇所の部位が、それぞれ、積層部21として、図7に示す各非嵩張り領域A2に積層状に設けられる構成とされる。また、補填部材20は、上記図4に示す各積層部21の間の2箇所の部位が、それぞれ、短手方向の一方側の縁から略矩形状の切り込みが入れられて帯幅の狭い形状とされた逃がし部22とされる。これら逃がし部22は、図7に示す第1の嵩張り領域A1及び第2の嵩張り領域A3に対して、これらの一般縫い足L2との厚さ方向の重なりを避けて縫い線の走る方向に延びるように設けられる構成とされる(図6参照)。
【0035】
具体的には、補填部材20は、図3で前述した第1及び各第2のカバーピース11,12を第3のカバーピース13とインステッチS4で縫合する際に、第1及び各第2のカバーピース11,12の裏側に互いの縁部を合わせるように重ね合わせ状にセットされ、インステッチS4及びこれに沿った別のインステッチS5により、これら(第1のカバーピース11、第2のカバーピース12及び第3のカバーピース13)とひとまとめに縫い合わされている(図5図6参照)。
【0036】
それにより、補填部材20は、図5に示すように、非嵩張り領域A2では、積層部21が第1のカバーピース11の一般面部11Aと一般縫い足L2との間、或いは第2のカバーピース12の一般面部12Aと一般縫い足L2との間で、これらの裏面に沿って2つ折り状に積層された状態として設けられる。また、補填部材20は、図6に示すように、第1の嵩張り領域A1においては、逃がし部22が、一般縫い足L2と別の縫い足L3とが重なる部分の右側の領域を縫い線の走る方向に延びるように設けられる。
【0037】
また、補填部材20は、図7に示すように、第2の嵩張り領域A3においても、逃がし部22が、カット部Cにより短くカットされた縫い足L1及び別の縫い足L3が重なる部分の右側(図示奥側)の領域を縫い線の走る方向に延びるように設けられる。以上により、非嵩張り領域A2の厚さ(及び剛性)が、第1の嵩張り領域A1及び第2の嵩張り領域A3と略同一となるよう補われる。
【0038】
上記補填部材20は、図5図6に示すように、第1及び各第2のカバーピース11,12を第3のカバーピース13とインステッチS4で縫合する際、これらとひとまとめに縫合(図5参照)される。それにより、インステッチS4の縫い糸が略均一な厚さ(及び剛性)の領域を通ることとなるため、縫い線が蛇行しにくくなる。また、補填部材20により、縫い合わせ後の厚さ(及び剛性)を略均一にすることができるため、一般縫い足L2及び別の縫い足L3を、波打ち状にうねらせることなく、第1及び各第2のカバーピース11,12の一般面部11A,12Aの裏側に重ね合わせ状に揃えて倒すことができる。
【0039】
なお、上記のように補填部材20をインステッチS4により各カバーピース(第1のカバーピース11、第2のカバーピース12及び第3のカバーピース13)とひとまとめに縫合する構成とする場合には、別のインステッチS5を省略することも可能である。また、補填部材20をインステッチS4での縫合時には縫合せずに、インステッチS5でのみ縫合するようにしても良い。
【0040】
また、補填部材20は、第3のカバーピース13とは共縫いされず、第1及び各第2のカバーピース11,12の一般面部11A,12Aとのみ縫合される構成であっても良い。そのような構成であっても、補填部材20により、縫い合わせ後の厚さ(及び剛性)を略均一にすることができるため、一般縫い足L2及び別の縫い足L3を、波打ち状にうねらせることなく、第1及び各第2のカバーピース11,12の一般面部11A,12Aの裏側に重ね合わせ状に揃えて倒すことができる。
【0041】
したがって、バックカバー10を、上記インステッチS4により外部から見える折り返しラインが、図3で前述した膨出部2Aの立ち上がり面の上縁に沿って、シート上方側に波打ち状にうねることなく、シート幅方向の内側を向いて延びるように、膨出部2A上に見栄え良く被せ付けることができる。また、補填部材20により、非嵩張り領域A2と第1の嵩張り領域A1及び第2の嵩張り領域A3との間の厚さ(及び剛性)の違いが補われることで、第1の嵩張り領域A1及び第2の嵩張り領域A3がハイライト線として外部に露出することを抑制することができる。なお、図5図7の各図では、補填部材20の構成を分かりやすくするため、太線で示している。
【0042】
(まとめ)
以上をまとめると、本実施形態に係るバックカバー10は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0043】
すなわち、シートカバー(10)は、互いにインステッチ(S1)で縫い合わされる第1及び第2のカバーピース(11,12)と、第1及び第2のカバーピース(11,12)に対し、これらの合わせ方向とは交差する方向にインステッチ(S4)で縫い合わされる第3のカバーピース(13)と、を有する。第3のカバーピース(13)は、第1及び第2のカバーピース(11,12)との縫合部に、第1及び第2のカバーピース(11,12)同士の縫合による縫い足(L1)が更なる別の縫い足(L3)として折り返し状に倒される嵩張り領域(A1,A3)と、縫い足(L1)及び別の縫い足(L3)のない非嵩張り領域(A2)と、が縫い線の走る方向に並ぶ構成とされる。
【0044】
シートカバー(10)は、更に、非嵩張り領域(A2)に設けられて非嵩張り領域(A2)と嵩張り領域(A1,A3)との間の厚さの違いを補う補填部材(20)を有する。補填部材(20)は、非嵩張り領域(A2)に積層状に設けられる積層部(21)と、上記別の縫い足(L3)との厚さ方向の重なりを避けて嵩張り領域(A1,A3)を縫い線の走る方向に延びる逃がし部(22)と、を有する。
【0045】
上記構成によれば、補填部材(20)により、互いに縫い合わされた第1及び第2のカバーピース(11,12)と第3のカバーピース(13)との縫合部における嵩張り領域(A1,A3)と非嵩張り領域(A2)との間の厚さの差異が補われる。それにより、上記縫合部の縫い線の蛇行を抑制し、縫合部を見栄え良く縫い合わせることができる。また、嵩張り領域(A1,A3)がハイライト線として外部に露出することを抑制することができる。
【0046】
また、第1及び第2のカバーピース(11,12)と第3のカバーピース(13)とが、互いに山折り状に角度を成して設けられる。上記構成によれば、シートカバー(10)が山折り状の角度を成して設けられる構成では、嵩張り領域(A1,A3)がより顕著にハイライト線として外部に露出しやすくなる。しかし、補填部材(20)により、嵩張り領域(A1,A3)がハイライト線として外部に露出することを効果的に抑制することができる。
【0047】
また、補填部材(20)が、第1及び第2のカバーピース(11,12)の第3のカバーピース(13)との縫合による非嵩張り領域(A2)の一般縫い足(L2)の端末に縫い合わされて、一般縫い足(L2)と第1及び第2のカバーピース(11,12)の一般面部(11A,12A)との間に各面に沿って折り返し状に延びるように積層される。上記構成によれば、補填部材(20)を折り返し状に設けることで、補填部材(20)を別の縫い足(L3)の嵩張り形状に即して厚さの違いを適切に補うように設けることができる。
【0048】
また、第1及び第2のカバーピース(11,12)が、シートバック(2)の肩口に形成される上向きに膨らむ膨出部(2A)の上面に被せられる。また、第3のカバーピース(13)が、膨出部(2A)の立ち上がり面に被せられる。上記構成によれば、シートバック(2)の肩口の膨出部(2A)は、外部から見えやすいく、ハイライト線が生じると見栄えが損なわれやすい。しかし、補填部材(20)により、上記膨出部(2A)の上面と立ち上がり面とに被せられるシートカバー(10)にハイライト線が露出することを効果的に抑制することができる。
【0049】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0050】
1.本発明のシートカバーは、自動車のシートの他、鉄道等の自動車以外の車両や、航空機、船舶等の他の乗物用のシートに適用されるものであっても良い。また、シートカバーは、乗物用シートの他、スポーツ施設や、劇場、コンサート会場、イベント会場等の様々な施設に設置される観覧席や、マッサージシート等の非乗物用のシートに適用されるものであっても良い。
【0051】
2.また、シートカバーを構成する第1のカバーピース、第2のカバーピース及び第3のカバーピースは、シートバックにおける肩口の膨出部以外の箇所に被せられる構成であっても良い。具体的には、上記各カバーピースは、シートバックの天板部や框部、背面部、上面部等の箇所に被せられる構成であっても良い。また、各カバーピースは、ヘッドレストやシートクッション、オットマン、アームレスト等のシートバック以外のシート構成部材に被せられる構成であっても良い。
【0052】
3.シートカバーは、合成皮革以外の皮革材の他、ファブリック材から成るものであっても良い。補填部材も同様に、各種皮革材の他、ファブリック材から成るものであっても良い。補填部材は、必ずしもシートカバーを構成する各カバーピースと同一の素材から成るものでなくても良く、異なる素材から成るものであっても良い。また、補填部材は、複数枚を積層した構成から成るものであっても良い。
【0053】
また、第1のカバーピース、第2のカバーピース及び第3のカバーピースは、これらのうちのいずれかの組み合わせが他と異なる素材から成るものや、各々が異なる素材から成るものであっても良い。
【0054】
4.第1及び第2のカバーピースと第3のカバーピースとは、互いに谷折り状に角度を成すように縫い合わされるものや、面一状に縫い合わされるものであっても良い。第1のカバーピースと第2のカバーピースも同様に、互いに谷折り状に角度を成すように縫い合わされるものや、面一状に縫い合わされるものであっても良い。
【0055】
5.第1及び第2のカバーピースのインステッチの縫合に伴う縫い足は、第3のカバーピースとのインステッチによる縫合により更なる別の縫い足として第3のカバーピースの裏側に重ねられるように折り返される構成であっても良い。そのような場合には、補填部材も、第3のカバーピースの裏側に重ねられるように設けられることとなる。
【0056】
6.上記実施形態では、補填部材が、ダブルステッチの縫い足が更なる別の縫い足として折り返し状に倒される2層分の厚みを補填するものとして設けられる構成を例示した。しかし、補填部材は、シングルステッチの縫い足(2層)が更なる別の縫い足として折り返し状に倒される4層分の厚みを補填するものとして設けられる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 シート
2 シートバック
2A 膨出部
2P バックパッド
2F バックフレーム
3 ヘッドレスト
3A ヘッドレストステー
10 バックカバー(シートカバー)
11 第1のカバーピース
11A 一般面部
12 第2のカバーピース
12A 一般面部
13 第3のカバーピース
20 補填部材
21 積層部
22 逃がし部
S1 インステッチ
S2 ダブルステッチ
S3 シングルステッチ
S4 インステッチ
S5 インステッチ
L1 縫い足
L2 一般縫い足
L3 別の縫い足
A1 第1の嵩張り領域(嵩張り領域)
A2 非嵩張り領域
A3 第2の嵩張り領域(嵩張り領域)
C カット部
図1
図2
図3
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図8