【解決手段】吸収性本体20と、外装体10と、ファスニングテープ14とを備え、ファスニングテープ14はベース不織布15とフック材16とを有し、ベース不織布15は、 フック材16が貼り付けられる表面側で、少なくともフック材の両端部の内側領域にそれぞれを設けられた第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18を備え、ベース不織布15とフック材16との間に第1接着層33及び第2接着層34を有し、第1接着層33は、フック材16のベース不織布15との接触面31側の、フック材16の幅領域に亘って設けられ、第2接着層34は、ベース不織布15と第1接着層33間の、第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18に重ならない領域に設けられる、使い捨てテープ型おむつ1。
体液を吸収及び保持する吸収性本体と、前記吸収性本体を支持する外装体と、前記外装体の所定領域に設けられたファスニングテープと、を備える使い捨てテープ型おむつであって、
前記ファスニングテープは、ベース不織布と、前記ベース不織布に貼り付けられるフック材と、を有し、
前記ベース不織布に接着された前記フック材は、その幅方向両端部内側の所定領域にそれぞれを設けられた第1のヒートシールエンボス部と第2のヒートシールエンボス部を備え、
前記ベース不織布と前記フック材との間に設けられる第1接着層と第2接着層を有し、
前記第1接着層は、前記フック材の前記ベース不織布との接触面側であって、前記フック材の幅領域に亘って設けられ、
前記第2接着層は、前記ベース不織布と前記第1接着層間であって、前記第1のヒートシールエンボス部と前記第2のヒートシールエンボス部に重ならない領域に設けられる、使い捨てテープ型おむつ。
前記フック材の幅方向寸法を100とするとき、前記第1接着層の幅方向寸法が100であり、前記第1のヒートシールエンボス部の幅方向寸法:前記第2接着層の幅方向寸法:前記第2のヒートシールエンボス部の幅方向寸法=4:92:4以上10:80:10以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨てテープ型おむつ。
前記第1のヒートシールエンボス部及び第2のヒートシールエンボス部がそれぞれ複数存在し、前記フック材の縁辺が延びる方向に、略等間隔に配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使い捨てテープ型おむつ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7は従来のファスニングテープの製造方法の一例を示す模式平面図である。
図8〜
図10は、従来のファスニングテープの製造方法の各課題を示す模式平面図である。使い捨てテープ型おむつに用いられるファスニングテープ先端のタブテープは、例えば、
図7に示すように、帯状の基材不織布50の中央部に、基材不織布50よりも幅狭の帯状のフックテープ51を積層して貼り合わせる工程Aと、この積層体の中央部をS字カッター52で所定形状のタブテープ部53に切断する工程Bと、折り板54により左右両側のタブテープ部53を基材不織布50側に折り返す工程Cと、を含む製造方法により作製される。工程C後は、タブテープ部53と基材不織布50とを繋げたまま、幅方向に個々に切り出すことにより、ファスニングテープが得られる。
【0007】
この製造方法において、生産速度を高める上で、フックテープ51端部の基材不織布50への接着不良が問題になる。フックテープ51の基材不織布50への接着手段としてはホットメルト系接着剤56が一般的に用いられる。しかしながら、
図8に示すように、接着剤56を基材不織布50の所定位置(フックテープ51の貼り合わせ予定領域)に塗布する際に、搬送時の幅方向のブレ等が生じることから、接着剤56がはみ出す恐れがある。したがって、フックテープ51の幅方向縁辺51a、51bまで貼り合わせ予定領域全面に接着剤56を塗布することは難しく、幅方向両端に接着剤未塗布領域51xが生じがちである。
【0008】
また、
図9に示すように、フック基材55からフックテープ51をスリット(細片化)する前に、フック基材55の幅方向両端を除いてホットメルト系接着剤56を塗布すれば、スリット後のフックテープ51の全幅Dに接着剤56を塗布できる。しかしながら、
図10に示すように、接着剤56は基材不織布50との相性により工程Bや工程Cにおける高速加工時の負荷に耐えきれず剥離部分57が生じてしまう事例が後を絶たない。したがって、安定して高速な生産時の負荷に耐えられるフックテープ51の基材不織布50への貼り付け手段が課題の1つになっている。特に大人用テープ止め型紙おむつはサイズが大きくなるため、子供用等のサイズの小さい製品より生産効率が低くなる。コストを抑制するためにも生産速度は高い状態を維持するのが望ましい。
【0009】
このように、ファスニングテープの耐久性や製造方法が原因となって、テープ止め型紙おむつの高速生産が妨げられることが多く、ファスニングテープの耐久性の向上が求められている。
【0010】
本発明の目的は、生産性に優れ、コスト面で競争力のある、大人用の使い捨てテープ型おむつ及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、フック材とベース不織布との間に所定の接着構造を設けたファスニングテープが高速生産の負荷に耐えうる耐久性を有すること、及び該ファスニングテープを備える使い捨てテープ型おむつが生産性に優れ、コスト面で競争力のあるものとなり得ることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、好ましい実施形態として、例えば下記(1)〜(7)の使い捨てテープ型おむつ、及び下記(8)の使い捨てテープ型おむつの製造方法を提供する。
【0012】
(1)体液を吸収及び保持する吸収性本体と、前記吸収性本体を支持する外装体と、前記外装体の所定領域に設けられたファスニングテープと、を備える使い捨てテープ型おむつであって、前記ファスニングテープは、ベース不織布と、前記ベース不織布に貼り付けられるフック材と、を有し、前記ベース不織布に接着された前記フック材は、その幅方向両端部内側の所定領域にそれぞれ設けられた第1のヒートシールエンボス部と第2のヒートシールエンボス部とを備え、前記ベース不織布と前記フック材との間に設けられる第1接着層と第2接着層とを有し、前記第1接着層は、前記フック材の前記ベース不織布との接面側であって、前記フック材の幅領域に亘って設けられ、前記第2接着層は、前記ベース不織布と前記第1接着層間であって、前記第1のヒートシールエンボス部と前記第2のヒートシールエンボス部に重ならない領域に設けられる、使い捨てテープ型おむつ。
(2)前記第1のヒートシールエンボス部及び第2のヒートシールエンボス部は、前記フック材の幅方向縁辺を跨いで前記フック材から前記ベース不織布に及ぶ1.0mm以上2.5mm以下の幅領域に設けられ、かつ前記フック材の表面が、前記第1のヒートシールエンボス部及び第2のヒートシールエンボス部の表面領域Aと、それ以外の表面領域Bと、を含み、前記表面領域Aは前記表面領域Bよりも厚み方向に凹む、上記(1)の使い捨てテープ型おむつ。
(3)前記ベース基材は、坪量50g/m
2以上120g/m
2以上のスパンボンド不織布である、上記(1)又は(2)の使い捨てテープ型おむつ。
(4)前記フック材の幅方向寸法を100とするとき、前記第1接着層の幅方向寸法が100であり、前記第1のヒートシールエンボス部の幅方向寸法:前記第2接着層の幅方向寸法:前記第2のヒートシールエンボス部の幅方向寸法=4:92:4以上10:80:10以下である、上記(1)〜(3)のいずれかの使い捨てテープ型おむつ。
(5)前記フック材の坪量が90g/m
2以上120g/m
2以下であり、前記第1接着層の坪量が10g/m
2以上25g/m
2以下である、上記(1)〜(4)のいずれかの使い捨てテープ型おむつ。
(6)前記第1のヒートシールエンボス部及び第2のヒートシールエンボス部がそれぞれ複数存在し、前記フック材の縁辺が延びる方向に、略等間隔に配置されている、上記(1)〜(5)のいずれかの使い捨てテープ型おむつ。
(7)前記ベース不織布は、表面と裏面にエンボスが形成されている、上記(1)〜(6)のいずれかの使い捨てテープ型おむつ。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかの使い捨てテープ型おむつの製造方法であって、
前記フック材の前記ベース不織布との接触面に第1接着層を形成する第1工程と、前記ベース不織布の前記フック材との接触面に第2接着層を形成する第2工程と、前記フック材と前記ベース不織布とを、前記第1接着層及び第2接着層が重なるように貼り合わせ、前記フック材と前記ベース不織布との接着体を得る第3工程と、前記ベース不織布の前記フック材を貼り合わせた表面に、ヒートシールエンボス加工により第1のヒートシールエンボス部及び第2のヒートシールエンボス部を形成する第4工程と、前記第1のヒートシールエンボス部及び第2のヒートシールエンボス部を有する前記接着体を長手方向にS字状に切断し、先端にタブテープ部分を有するファスニングテープの集合体を得る第5工程と、前記タブテープ部分を前記ベース不織布側に折り返す第6工程と、前記集合体を前記タブテープ毎に幅方向に切断し、ファスニングテープを得る第7工程と、を含む、使い捨てテープ型おむつの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、生産性に優れ、コスト面で競争力のある、大人用の使い捨てテープ型おむつ及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、第1実施形態に係る使い捨てテープ型おむつ1について、図面を参照しつつ説明する。本明細書では次のように定義する。使い捨てテープ型おむつ1の着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、使い捨てテープ型おむつ1を身体に装着した状態をいう。長手方向は、使い捨てテープ型おむつ1を着用したときに着用者の前後にわたる方向であり、幅方向は長手方向に対して直交する方向であり、厚み方向とは長手方向及び幅方向を含む一平面に対して略垂直な方向である。使い捨てテープ型おむつ1を身体に着用したときに、着用者の肌に当接するか又は該肌を臨む表面を肌側面、着用者の衣類に接触するか又は該衣類を臨む表面を非肌側面、とする。体液とは、尿、血液や軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0016】
<使い捨てテープ型おむつ>
図1は使い捨てテープ型おむつ1の模式展開平面図であり、
図2は、
図1のX−X’切断線における使い捨てテープ型おむつ1の幅方向の模式断面図である。これらの図面は、使い捨てテープ型おむつ1の外装体10や吸収性本体20等の各構成部材の形状、寸法やその大小関係を規定するものではない。各構成部材の寸法は、使い捨てテープ型おむつ1の用途、着用者の年齢や体形等に応じてそれぞれ広い範囲から適宜選択できる。
【0017】
本実施形態の使い捨てテープ型おむつ1は、その外形形状を構成する外装体10と、外装体10の所定領域で支持され、着用者の股間部を前後から覆う前後方向に略帯状の形態を有する吸収性本体20と、を備える。吸収性本体20は、着用者の体液を吸収及び保持する。なお、本実施形態では、使い捨てテープ型おむつ1が吸収性本体20を備えているが、これに限定されず、吸収性本体20を有しない本実施形態の使い捨てテープ型おむつをアウターとし、かつ市販の尿取りパッド等の各種吸収性物品をインナーとし、両者を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
外装体10は、着用者の腹部に主に当接する腹側部11と、着用者の背部に主に当接する背側部12と、腹側部11と背側部12との間に位置して着用者の股間部に主に当接する股下部13と、を含む。外装体10は、主に股下部13の肌側面において吸収性本体20を支持し、股下部13には吸収性本体20の一部又は全部が重なるように配置されている。背側部12の股下部13と離反する長手方向の端部近傍において、幅方向両端部には側縁部としてサイドフラップ27がそれぞれ設けられ、各サイドフラップ27には複数のファスニングテープ14が略等間隔で幅方向外側に延在するように設けられている。本実施形態のファスニングテープ14は、幅方向の各端部に2個ずつ設けられているが、これに限定されず、1個でも又は3個以上でもよい。また、腹側部11の表面には、ファスニングテープ14に係合及び/又は止着可能なターゲットテープ(不図示)が設けられている。ターゲットテープとしてはこの分野で常用されるものをいずれも使用でき、例えば、面ファスナー等が挙げられる。例えば、股下部13を着用者の股間部に当接し、腹側部11及び背側部12を身体に沿って折り曲げ、ファスニングテープ14とターゲットテープとを係合及び/又は止着することにより、使い捨てテープ型おむつ1を着用できる。
【0019】
使い捨てテープ型おむつ1の
図1に示す展開時の長手方向寸法は例えば600mm以上1000mm以下の範囲であり、幅方向寸法は例えば450mm以上900mm以下の範囲である。この展開時寸法を有する使い捨てテープ型おむつ1は、必要に応じて所定領域に弾性伸縮部材を配設した後、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ等の各種サイズの成人用の使い捨てテープ型おむつ1とすることができる。
以下、本実施形態の使い捨てテープ型おむつ1の各構成部材について、吸収性本体20、及び外装体10の順でさらに詳細に説明する。
【0020】
(吸収性本体)
本実施形態の吸収性本体20は、相対的に肌側に配置された、液透過性のトップシート21と、トップシート21に対向して相対的に非肌側に配置された、液不透過性のバックシート22と、トップシート21とバックシート22との間に配置された吸収体23と、立体ギャザー24と、を含み、吸収体23がトップシート21とバックシート22の間に挟まれた構造を有する。吸収性本体20は、外装体10の主に股間部13の肌側面に、腹側部11から背側部12に向けて延びるように配置されている。吸収性本体20は、ホットメルト等の接着剤、熱融着、超音波接着等により、外装体10に固着されている。
【0021】
(トップシート)
トップシート21としては、体液が吸収体23へと移動するような液透過性を有する基材を使用でき、例えば、サーマルボンド不織布等の不織布、サーマルボンド不織布/スパンボンド不織布の積層体、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、これらの2種以上を積層した複層シート等が挙げられる。トップシート21には、液透過性の観点から、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。肌への刺激を低減させるために、トップシート21に、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。強度及び加工性の観点から、トップシート21の坪量は、例えば、14g/m
2以上40g/m
2以下の範囲である。トップシート21の形状は、尿等の液体を吸収体23に誘導することから、例えば、吸収体23を覆う形状であればよい。
【0022】
(バックシート)
バックシート22としては、吸収体23が保持する体液が漏れない液不透過性の基材を使用でき、例えば、不織布、樹脂フィルム、これらの2種以上の積層体である複層シート等が挙げられる。不織布には、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等がある。樹脂フィルムには、例えば、ポリエステルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合シート等がある。着用時の蒸れを防止するために、バックシート22は、透湿性を有することが好ましい。透湿性を付与する方法としては、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合することや、バックシート22に穿孔のためのエンボス加工を施すことが挙げられる。
【0023】
(吸収体)
吸収体23は、例えば、吸収基材と、吸収基材に担持される吸収成分と、を含む。吸収基材には、例えば、生理用ナプキンやおむつ、尿パッド等に含まれる吸収基材を使用でき、例えば、フラップパルプ、親水性シート等がある。フラップパルプには、例えば、木材パルプ、合成繊維や、合成樹脂繊維等の非木材パルプ等の綿状の解繊物等がある。親水性シートには、例えば、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等がある。また、アセテートトウの開繊体を吸収基材として使用できる。吸収成分には、例えば、高吸収性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下「SAP」ともいう)等がある。高吸収性ポリマーとしては各種のものを使用でき、それらの中でも面積当たりの体液吸収量等の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。
【0024】
吸収体23は、上記の吸収基材及び吸収成分を用いて、単層又は複層のシート状に構成される。これらの中でも、木材パルプフラッフのような、フラッフパルプのウェブの親水性繊維マトリックスをSAP粒子と混合して形成したものが好ましい。また、SAP粒子の漏洩防止や吸収体23の形状を安定させるために、吸収体23をティシュー等の親水性シート(図示せず)で包んでもよい。吸収体23の表面にエンボス加工を施すと、例えば、体液の拡散をコントロールし、使用者の体型に応じて吸収体23が容易に変形する。
【0025】
(立体ギャザー)
立体ギャザー24は、例えば、体液の横漏れ等を防止するために設けられる。本実施形態の立体ギャザー24は、幅方向一端がバックシート22の肌側面の幅方向両端付近に長手方向に沿って固定され、幅方向途中部がトップシート21の肌側面の幅方向両端付近に長手方向に沿って固定され、幅方向他端が自由端である立体ギャザーシート24bと、前記幅方向他端(自由端)付近に長手方向に沿って配設され、前記幅方向他端に起立性を付与する立体ギャザー用弾性伸縮部材24aと、を含む。起立性を有する幅方向他端は、着用者の体型に合わせて伸縮自在かつ変形可能である。
【0026】
立体ギャザーシート24bには例えば各種不織布を使用でき、立体ギャザー用弾性伸縮部材24aには例えば糸ゴム等の一般的な弾性伸縮部材を使用できる。立体ギャザーシート24bの幅方向一端(固定端)は、バックシート22の肌側面の幅方向両端付近、トップシート21の周縁とバックシート22の周縁とを接着し、吸収体23を内包する袋体の幅方向両端付近、トップシート21の肌側面の幅方向両端付近、バックシート22の非肌側面の幅方向両端付近のいずれかに、長手方向に沿って固定してもよい。本実施形態の吸収性本体20は、立体ギャザー24を含まない実施形態をも包含する。
【0027】
<外装体>
外装体10は、主に着用者の腹側に当接する腹側部11と、主に着用者の背側に当接する背側部12と、腹側部11と背側部12との間に介在し、主に着用者の股間部に当接する股下部13と、を有し、主に股下部13の肌面側で吸収性本体20を支持する。さらに、本実施形態の外装体10は、幅方向端部に沿って腹側部11から股下部13を経て背側部12に及ぶ、左右一対のレッグギャザー26を備えている。本実施形態は、レッグギャザー26を含まない実施形態をも含む。
【0028】
外装体10を構成する素材は特に制限されず、例えば、従来と同様の不織布、2種以上の不織布の積層体等を使用できる。股下部分の資材厚みによる着用時のもたつきを低減するために,資材厚みを可能な限り薄くするという観点からは、股下部13には、例えば、不織布が使用される。不織布の種類としては特に限定されず、例えば、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等であり,ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる繊維を構成繊維として含むことが好ましい。
【0029】
(ファスニングテープ)
図3は、ファスニングテープ14におけるエンボス加工部17、18の構成を示す模式平面図である。
図4は、ファスニングテープ14におけるエンボス加工部17、18の立体構造を示す図面であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図5は、ファスニングテープ14の接着構造を拡大して示す模式展開断面図である。
図6は、別の実施形態のファスニングテープ28の構造を模式的に示す平面図である。なお、
図5において、「X」は、フック材16の全幅、かつ第1接着層の幅であり、フック材幅方向のヒートシールエンボス領域外の幅であり、かつ第2接着層の幅であるYに、第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18の各全幅Z1、Z2を足したものである。
【0030】
図1に示すように、外装体10の背側部12は、長手方向の腹側部11から離反する側の端部側の、幅方向両端部のサイドフラップ27にそれぞれ複数のファスニングテープ14を有している。各ファスニングテープ14は、一端が背側部12の非肌側面に接着され、他端(又は外方に突出する先端部)であるタブテープ部分が幅方向外側に延びるように設けられている。背側部12の腹側部11から離反する側の端部側には、幅方向に沿って弾性伸縮部材30が配設されていてもよい。
【0031】
本実施形態のファスニングテープ14は、ベース不織布15と、ベース不織布15の一面に接着されたフック材16と、フック材16が貼り付けられるベース不織布15の表面に、少なくともフック材16の両端部内側の所定領域にそれぞれを設けられた第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18(一実施形態として、例えば、フック材16の幅方向両端部近傍又は周辺からフック材16の幅方向縁辺16a、16bを跨いでベース不織布15に及ぶ幅方向領域W(
図3)に設けられた第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18)と、フック材16のベース不織布15への接着面31と、ベース不織布15のフック材16との接触面32との間に介在してこれらを接着する第1接着層33及び第2接着層34と、を備えている。
【0032】
ベース不織布15としては、フック材16の形態、材質、使用するホットメルト系接着剤の種類等に応じて、各種不織布を適宜選択して使用できるが、耐久性や強度、柔軟性、風合い等の観点から、スパンボンド不織布が好ましい。スパンボンド不織布は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる繊維の1種又は2種以上から構成されているものが好ましい。スパンボンド不織布の坪量は、例えば、坪量50g/m
2以上120g/m
2以上の範囲である。また、ベース不織布15は両面にエンボス加工が施されている。このエンボス加工は、第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18を形成するためのヒートシールエンボス加工とは別のものである。
【0033】
ベース不織布15にフック材16を接着したときに、ベース不織布15のフック材16との接触面32には、第2接着層34(
図5)が形成されている。第2接着層34は、製造過程において接触面32に塗布されるものである。第2接着層34は、例えばホットメルト系接着剤を含有する。第2接着層34は、ベース不織布15とフック材16とを接着したときに、フック材16の幅方向において、フック材16の全幅Xから、第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18のフック材16側の全幅(Z1、Z2)を除いた、フック材16の所定幅Yに対面する領域に存在する(
図5)。第2接着層34の坪量は、例えば、5g/m
2以上30g/m
2以下の範囲である。
【0034】
フック材16は、例えば、基材と、基材の一方の表面に設けられ、ターゲットテープ等のターゲット材に対して係合可能な起毛部(係合部)と、を含むものである。
図4(b)では起毛部は線状に記載され、
図5では断面視略T字状に記載されているが、
図5は
図4(b)を更に拡大して示す図面であることから、
図4(b)及び
図5には不整合はない。このようなフック材16としては、この分野で常用されるものをいずれも使用でき、例えば、マジックテープ、面ファスナー等が挙げられる。
【0035】
フック材16のベース不織布15との接着面31は、フック材16の全幅Xに設けられた、第1接着層33を有している。第1接着層33は、製造過程において接着面31に塗布されたものである。第2接着層34は、ホットメルト系接着剤を含有する。フック材16の坪量は、例えば、90g/m
2以上120g/m
2以下の範囲であり、第1接着層33の坪量は、例えば、10g/m
2以上25g/m
2以下の範囲である。
【0036】
本実施形態の一局面では、ベース不織布15とフック材16とは、これらの間に介在する第1接着層33及び第2接着層34により接着されている。接着は、製造過程で第1接着層33及び第2接着層34の少なくとも一部を重ね合わせ、例えば加熱により第1接着層33及び第2接着層34を一体化することで生じる。
【0037】
本実施形態の他の局面では、ベース不織布15とフック材16とは、第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18により接着されている。第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18は、ヒートシールエンボス加工により形成された、無地の平坦なヒートシールエンボス面である。ここで、無地の平坦な平面とは、ベタパターンで、線等の模様を有しない面である。第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18は、例えば、
図3等に示すように、フック材16の幅方向両端部近傍又は周辺からフック材16の幅方向縁辺16a、16bを跨いでベース不織布15に及ぶ幅方向領域Wに設けられる。Wの幅方向寸法は特に限定されないが、例えば1.0mm以上2.5mm以下の範囲である。ここで、Wの幅方向寸法が1.0mm未満では、加工時の幅ブレにより所定の位置から外れる箇所が発生する傾向があり、2.5mmを超えると、フック材16の起毛部を広く圧締し、潰しすぎてしまうことで係合力が不足する傾向がある。なお、第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18は、幅Wが同一でも又は異なっていてもよい。
【0038】
また、第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18は、
図4に示すように、幅方向領域Wにおいてフック材16の表面が領域W以外(Z1、Z2以外)のフック材16側の表面に比べて凹んでいる。すなわち、フック材16の表面は、第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18の表面領域A(不図示)と、それ以外の表面領域B(不図示)と、を含む。そして、表面領域Aは、表面領域Bに比べて厚み方向に凹んでいる。本実施形態のファスニングテープ14は、加工後の凹みが、領域W上のベース不織布15には外観上見られず、フック材16のみに見られる実施形態を含んでいる。さらに本実施形態は、ヒートシールエンボスの加工条件によっては、フック材16の第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18の表面領域Aだけでなく、凹みが表面領域Aに隣接するベース不織布15の表面にも及ぶことがある。前述のような凹みは、ヒートシールエンボス加工の条件を適宜選択することにより、容易に形成できる。第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18を前述のように構成することで、ベース不織布15とフック材16との接着強度が顕著に向上し、高速生産に耐え得る耐久性を有するものとなり得る。
【0039】
本実施形態によれば、フック材16の幅方向端部は、第1接着層33と第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18とにより、また、フック材16の幅方向中央部は、第1接着層33及び第2接着層34により、それぞれ接着されている。このように、それぞれの領域で複合的に2種の接着手段が発現することで、高速生産時における加工負荷へも十分な付着性及び耐久性を有し、コスト面で競争力のある大人用テープ止め製品1が得られる。また、両面エンボスのベース不織布15を用いることで、高速搬送時の摩擦抵抗がフラット面の不織布より高くなり、安定した加工性が得られ、コスト面で優位となる。
【0040】
本実施形態では、フック材16の幅方向寸法(フック材16の全幅寸法X)を100とするとき、第1接着層33の幅方向寸法が100であり、第1のエンボス部17の幅方向寸法(Z1):第2接着層34の幅方向寸法(Y):第2のヒートシールエンボス部18の幅方向寸法(Z2)=4:92:4以上10:80:10以下の範囲である。これにより、例えば、第1接着層33及び第2接着層34によるベース不織布15とフック材16との接着、並びに第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18によるベース不織布15とフック材16との接着がいずれも高水準のものとなり、ベース不織布15とフック材16との接着が、高速生産により一層耐え得るものになる。
【0041】
図6に示すファスニングテープ28は、ファスニングテープ14に類似の構造を有し、共通部分については同一の参照符号を付し、説明を省略する。ファスニングテープ28は、第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18に代えて第1のヒートシールエンボス部35及び第2のヒートシールエンボス部36を有する以外は、ファスニングテープ14と同じ構成である。第1のヒートシールエンボス部35及び第2のヒートシールエンボス部36は、それぞれ複数存在し、フック材16の幅方向両端部近傍又は周辺からフック材16の幅方向縁辺16a、16bを跨いでベース不織布15に及ぶ幅方向領域Wにおいて、複数の第1のヒートシールエンボス部35は所定幅を有し、フック材16の長手方向の相対的上方側からベース不織布15の長手方向の相対的下方側に向けて
図6の紙面中左斜め方向に帯状に延び、所定の間隔を空けて設けられている。同様に、複数の第2のヒートシールエンボス部36も所定幅を有し、フック材16の長手方向の相対的上方側からベース不織布15の長手方向の相対的下方側に向けて
図6の紙面中右斜め方向に帯状に延び、所定の間隔を空けて設けられている。幅方向に略同位置に対向する第1のヒートシールエンボス部35及び第2のヒートシールエンボス部36は、略「八」の字状を呈している。
【0042】
第1のヒートシールエンボス部35及び第2のヒートシールエンボス部36の平面形状、個数、幅寸法、長さ寸法、及び間隔寸法は、例えば、ベース不織布15及びフック材16の各種類や各坪量、使用されるホットメルト系接着剤の種類や使用量等に応じて、ベース不織布15とフック材16との接着強度試験を繰り返すことにより、広い範囲から適宜選択できる。第1のヒートシールエンボス部35及び第2のヒートシールエンボス部36によっても、第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18と同様の効果が得られる。
【0043】
<使い捨てテープ型おむつの製造方法>
本実施形態の使い捨てテープ型おむつ1は、従来のファスニングテープに代えて本実施形態のファスニングテープを用いる以外は、公知の方法に従って作製できる。例えば、複数の不織布を積層した不織布接着体を用いて外装体の腹側部、背側部、及び股下部を作製した後、これらを接着して外装体を作製し、外装体の股下部に吸収性本体を接着し、外装体の背側部における腹側部に離反する方向の端部付近において、背側部の非肌側面の幅方向両端部に、該幅方向に延びるように1又は複数のファスニングテープを接着し、また、腹側部の非肌側面の所定位置にターゲットテープを接着する。こうして得られた使い捨てテープ型おむつ1を所定の形状に折り畳み、包装体に収納することにより、市販用製品を得ることができる。
【0044】
すなわち、本実施形態の使い捨てテープ型おむつ1の製造方法は、ファスニングテープの従来の製造方法に代えて本実施形態のファスニングテープの製造方法を用いる以外は、使い捨てテープ型おむつの従来の製造方法と同じである。ただし、本実施形態の製造方法によれば、ベース不織布のベルトコンベアによる搬送速度等の生産速度を従来よりも高めることができ、例えば、時間当たりの製品生産数が従来に比べて5%程度以上向上する。
【0045】
本実施形態のファスニングテープの製造方法は、例えば、下記第1工程〜第7工程を含んでいる。
【0046】
第1工程では、複数のフック材16に切断される前のフック基材(不図示)を用意する。該フック基材の幅方向両端の不要領域(フック材16にならない領域)を残して、切断後のフック材16のベース不織布15との当接予定面(後に「接着面31」になる)全面にホットメルト系接着剤を塗布する。次いで、フック基材を所定幅に切断し、ベース不織布15との当接予定面の全幅に接着層(後に「第1接着層33」になる)を有するフック材16を得る。
【0047】
第2工程では、ベース不織布15のフック材16との当接予定面(後に「当接論32」になる)の所定領域にホットメルト系接着剤を塗布し、接着層(後に「第2接着層34」になる)を設ける。
【0048】
第3工程では、第1工程で得られたフック材16と、第2工程で得られたベース不織布15とを、第1接着層及び第2接着層が接触するように好ましくは加圧下に貼り合わせ、第1接着層及び第2接着層を固化させてそれぞれ第1接着層33及び第2接着層34とし、フック材16とベース不織布15とが接着された長尺の接着体を連続的に得る。このとき、フック材16とベース不織布15との貼合わせ時のプレス圧は、例えば、0.4Mpa以上0.6Mpa以下の範囲である。
【0049】
第4工程では、第3工程で得られた長尺の接着体の、フック材16がベース不織布15に接着された表面において、フック材16の少なくとも幅方向両端部近傍又はフック材16の幅方向両端部近傍からフック材の幅方向縁辺16a、16bを跨いでベース不織布15に及ぶ1.0mm以上2.5mm以下の幅方向領域Wを圧縮(ヒートシールエンボス)することにより、例えば、2つのヒートシールエンボス面を有し、該幅方向領域Wのフック材(表面領域A)が該幅方向領域W以外のフック材16部分(表面領域B)よりも凹んだ第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18を形成する。ヒートシールエンボスは、例えば、55℃以上85℃以下の範囲の温度下に施される、温度が低すぎると、第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18の融着が弱くなる傾向にあり、温度が高すぎるとベース不織布15やフック材16等が破損して強度が低下する傾向にある。
【0050】
第5〜第7工程は、従来のファスニングテープの製造方法と同様である。第5工程では、第4工程で得られた第1のヒートシールエンボス部17及び第2のヒートシールエンボス部18を有する長尺の接着体を長手方向に搬送し、S字カッターにより幅方向にS字状に切断し、幅方向両側に複数のファスニングテープ前駆体が所定の間隔を空けて長手方向に配列された2つの集合体を得る。第6工程では、第5工程で得られたファスニングテープの集合体において、先端のタブテープ部分をベース不織布16側に折り返す。第7工程では、タブテープ部分毎に幅方向に切断し、ファスニングテープ14を得る。こうして得られたファスニングテープ14を外装体10の背側部12の所定位置に接着することにより、本実施形態の使い捨てテープ型おむつ1を作製できる。
【0051】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。