特開2021-133427(P2021-133427A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三光合成株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2021133427-ロボットアーム 図000003
  • 特開2021133427-ロボットアーム 図000004
  • 特開2021133427-ロボットアーム 図000005
  • 特開2021133427-ロボットアーム 図000006
  • 特開2021133427-ロボットアーム 図000007
  • 特開2021133427-ロボットアーム 図000008
  • 特開2021133427-ロボットアーム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-133427(P2021-133427A)
(43)【公開日】2021年9月13日
(54)【発明の名称】ロボットアーム
(51)【国際特許分類】
   B25J 18/00 20060101AFI20210816BHJP
【FI】
   B25J18/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-28516(P2020-28516)
(22)【出願日】2020年2月21日
(71)【出願人】
【識別番号】391006083
【氏名又は名称】三光合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095740
【弁理士】
【氏名又は名称】開口 宗昭
(72)【発明者】
【氏名】安田 満雄
(72)【発明者】
【氏名】小西 勉
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CU01
3C707CU08
3C707CY36
3C707CY37
3C707MS27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】必要とされる高い捩り強度を確保しつつ、充分に軽量でしかも人間の間で、人間と共にあるいは人間を補助して動作する機械装置として安全性が高いロボットアームを提供する。
【解決手段】FRP製円筒体2と金属製フランジ3a、3bとの接合部のFRP製円筒体2内側には、FRP製円筒体2と圧縮弾性率が同等以上である金属製リングが装着される。その状態で金属製フランジ3a、3bでFRP製円筒体2外周を締め付ける。これによって、FRP製円筒体2の側壁が金属製フランジ3a、3bと金属製リングとの間に挟持される態様でFRP製円筒体2と金属製フランジ3a、3bとが接合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FRP製筒体と金属製フランジとの接合部の前記FRP製筒体内側に、前記FRP製筒体と圧縮弾性率が同等以上である金属製リングを装着し、金属製フランジで前記FRP製筒体外周を締め付けて、前記FRP製筒体と前記金属製フランジとが接合されてなることを特徴とするロボットアーム。
【請求項2】
前記金属製フランジと前記FRP製筒体間に接着材を介在させてなる請求項1に記載のロボットアーム。
【請求項3】
前記金属製リングの常温における外径が前記FRP製筒体内径より大である請求項1又は請求項2に記載のロボットアーム。
【請求項4】
前記金属製リングが冷却して装着されてなる請求項3に記載のロボットアーム。
【請求項5】
前記FRP製筒体と前記金属製フランジと前記金属製リングとが貫通ネジで締結される請求項1〜4のいずれか一に記載のロボットアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FRP(繊維強化プラスチックス)製の筒体を金属製フランジと接合してなるロボットアームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に例えばレーザー加工等に用いる工業用ロボットは1/100mm程度の先端精度が必要であり、そのためには高い剛性が必要であった。これに対して近年、少子高齢化の進展と共に人間の間で、人間と共にあるいは人間を補助して動作する工業用ロボットの必要性が高まって来ている。この様な工業用ロボットには従来の工業用ロボットの様な高い剛性は必要ではなくむしろ省エネルギーの観点や地球環境保全の観点等から、軽量化が強く望まれている。その一つの手段としてロボットアームの本体部分をFRP製筒体に代替させることが検討されてきた。その際、使用する強化繊維にも種々あり、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が検討されているが、この中で特に、比強度、比弾性率の面で優れた炭素繊維を強化繊維とするCFRP(炭素繊維強化プラスチックス)が有力とされている。
【0003】
この本体部分をFRP製筒体としてなるロボットアームは本体部分に機能部分を装着して各種機能を果たすことが可能となるようにする必要がある。このFRP製筒体からなる本体部分への機能部分の装着には、FRP製筒体の捩り強度とバランスが採れた接合法が必要とされている。
【0004】
特許文献1にはFRP製円筒体の端部に金属製の継ぎ手が圧入される機械装置部品において、必要とされる高い捩り強度を確保しつつ、金属製継ぎ手の圧入接合操作に伴うFRP製円筒体端部からの損傷の発生を防止し、かつ、その部分の劣化進行も防止し得る構造を提供することを課題としてFRP製円筒体と、該FRP製円筒体の端部に圧入された金属製継ぎ手との機械装置部品であって、FRP製円筒体の端面から軸方向にスリット加工が施されていることを特徴とする機械装置部品が開示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−103032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし特許文献1に開示された機械装置部品はFRP製円筒体の端部に金属製継ぎ手と一体な凸起リングを圧入してなるものであり、十分な接合強度が得られないという問題がある。また十分な接合強度を得るためにはFRP製円筒体に圧入される凸起リングの長さを大きくする必要がありその場合には金属製継ぎ手全体の重量が過大になり十分に軽量化できないという問題もある。
本発明は以上の従来技術における問題点に鑑み、必要とされる高い捩り強度を確保しつつ、本体部分をFRP製筒体としてなるロボットアームの本体部分に機能部分を装着して充分に軽量でしかも人間の間で、人間と共にあるいは人間を補助して動作するロボットアームとして安全性が高いロボットアームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係るロボットアームは、FRP製筒体と金属製フランジとの接合部の前記FRP製筒体内側に、前記FRP製筒体と圧縮弾性率が同等以上である金属製リングを装着し、金属製フランジで前記FRP製筒体外周を締め付けて、前記FRP製筒体と前記金属製フランジとが接合されてなることを特徴とする。
このように金属製フランジをFRP製筒体外周部で締結すると、金属製フランジのFRP製筒体軸方向の長さを小さくすることができ、軽量化することができる。
【0008】
前記金属製フランジと前記FRP製筒体間に接着材を塗布して金属製フランジをFRP製筒体外周部で締結することによって相互の締結力を強化することができる。
【0009】
前記金属製リングの常温における外径が前記FRP製筒体内径より大であるようにすることによりFRP製筒体外周方向に作用する応力大きくすることができ結果としてFRP製筒体と金属製フランジとの締結力が大きくなる。
【0010】
さらに前記金属製リングが冷却して装着されてなる様にすることによって大きな圧力で機械的に圧入する場合のようなFRP製筒体の損傷を防ぐことができる。
【0011】
前記FRP製筒体と前記金属製フランジと前記金属製リングとが貫通ネジで締結されることにより捩り強度を大きくすることができる。
【0012】
FRP製筒体としては、とくに強化繊維が少なくとも比強度、比弾性率に優れた炭素繊維を含むものであることが、高い強度や捩りトルク伝達特性発現の点から好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のロボットアームによれば、必要とされる高い捩り強度を確保しつつ、充分に軽量でしかも人間の間で、人間と共にあるいは人間を補助して動作する機械装置として安全性が高いロボットアームとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態のロボットアームの斜視図である。
図2図1のロボットアームの部分断面図である。
図3図2の部分断面図におけるA−A断面図である。
図4図1のロボットアームの部分分解斜視図である。
図5図1のロボットアームの他の部分分解斜視図である。
図6図1のロボットアームの別の部分分解斜視図である。
図7図1のロボットアームのさらに別の部分分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態のロボットアーム1を示す。
ロボットアーム1はFRP製筒体の一態様であるFRP製円筒体2にアルミ合金よりなる金属製フランジ3a、3bを装着して成る。金属製フランジ3a、3bは例えば図示しない動作部、把持部、関節部等との継ぎ手として機能する。
【0016】
図2図7に示されるようにFRP製円筒体2と金属製フランジ3a、3bとの接合部のFRP製円筒体2内側には、FRP製円筒体2と圧縮弾性率が同等以上である金属製リング4が装着される。その状態で金属製フランジ3a、3bでFRP製円筒体2外周を締め付ける。これによって、FRP製円筒体2の側壁が金属製フランジ3a、3bと金属製リング4との間に挟持される態様でFRP製円筒体2と金属製フランジ3a、3bとが接合される。その際、予め金属製フランジ3a、3bとFRP製円筒体2外周間に市販の接着材を介在させて金属製フランジ3a、3bによってFRP製円筒体2外周部を締め付けて締結することによって相互の締結力を強化することができる。接着材を介在させる態様としては流動性のある接着剤を塗布する、あるいはシート状の接着剤を配置するなどが可能である。
このように金属製フランジ3a、3bをFRP製円筒体2外周部で締結すると、従来の特許文献1に示すFRP製円筒体2の端部に金属製継ぎ手と一体な凸起リングを圧入する接合態様に比し、金属製フランジ3a、3bのFRP製円筒体2軸方向の長さを小さくすることができ、軽量化することができる。
【0017】
金属製リング4の常温における外径はFRP製円筒体2内径より大であるようにする。これにより金属製リング4からFRP製円筒体2外周方向に作用する応力を大きくすることができ、結果としてFRP製円筒体2と金属製フランジ3a、3bとの締結力が大きくなる。
【0018】
また金属製リング4の常温における外径をFRP製円筒体2内径より大であるようにしても金属製リング4を冷却してFRP製円筒体2内側に装着する様にすることによって大きな圧力で機械的に圧入する場合に生じるFRP製円筒体2の損傷を防ぐことができる。
【0019】
FRP製円筒体2と金属製フランジ3a、3bと記金属製リング4とは貫通ネジ5、5・・・で締結される。これにより捩り強度を大きくすることができる。
【0020】
FRP製円筒体2としては、とくに強化繊維が少なくとも比強度、比弾性率に優れた炭素繊維を含むものであることが、高い強度や捩りトルク伝達特性発現の点から好ましい。
【0021】
なお以上の実施の形態ではFRP製円筒体2を用いる場合を説明したが、FRP製筒体は円筒体に限られず実施の態様によって楕円筒体、角筒の角頂部を面取りする態様等を採用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1・・・ロボットアーム、2・・・FRP製円筒体、3a、3b・・・金属製フランジ、4・・・金属製リング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7