【解決手段】発泡ポリウレタン樹脂からなる中間層A4と、繊維基材2上にポリウレタン樹脂層1を有する表層B3と、を有する加飾シート6であって、前記中間層A4は、その少なくとも一方の面の表面及び/又はその近傍にポリ塩化ビニル系樹脂部5を有し、前記中間層A4の前記ポリ塩化ビニル系樹脂部5が前記表層B3の繊維基材2と接触していることを特徴とする加飾シート6。
前記繊維基材がレーヨン繊維とポリエステル繊維との織布であり、前記レーヨン繊維と前記ポリエステル繊維の混合比(質量比)が5:1〜12:1である、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明について詳述するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
尚、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
【0013】
実施態様1の加飾シート
図1(a)に示すように本発明の1つの態様は、発泡ポリウレタン樹脂からなる中間層Aと、繊維基材上にウレタン樹脂層を有する表層Bと、を有する加飾シートであって、前記中間層Aは、少なくとも一方の面の表面及び/又はその近傍にポリ塩化ビニル系樹脂部(以下、「PVC部」ともいう。)を有し、前記中間層Aの前記PVC部が前記表層Bの繊維基材と接触していることを特徴とする加飾シートである(以下「実施態様1」とも言う)。
図1(a)において、1はポリウレタン樹脂層を、2は繊維基材を、3は表層Bを、4は中間層Aを、5はポリ塩化ビニル系樹脂部を、6は加飾シートを表す。
【0014】
<中間層A>
本発明における中間層Aは、主な構成成分として発泡ポリウレタン樹脂からなる。
【0015】
発泡ポリウレタン樹脂からなる中間層Aは、ワンショット法、モールド法、スラブ法等の製法で形成された発泡ポリウレタン樹脂による膜であり、連続気泡を有している。連続気泡とは、気泡を隔てるポリウレタン樹脂の壁に孔が空いており、複数の気泡が繋がっている状態を指す。中間層Aが連続気泡を有することにより、空気又は水蒸気等の気体は、中間層Aを上下方向に通り抜けることが可能である。
【0016】
中間層Aの厚みは、好ましくは、0.5mm〜10mmである。ここで、中間層Aの厚みとは、発泡ポリウレタン樹脂からなる中間層Aを意味し、後述するポリ塩化ビニル系樹脂を含む塗布層が中間層Aの表面上にある場合における当該塗布層の厚みは含まない。
中間層Aの最小の厚みは、より好ましくは1mm以上であり、さらに好ましくは2mm以上である。中間層Aの最小の厚みが0.5mm以上であると、発泡ポリウレタン樹脂からなる中間層Aを形成する際に、発泡ポリウレタン層を構成する気泡の形状を均一にすることが容易である。また、中間層Aの最小の厚みが0.5mm以上である場合、発泡ポリウレタン樹脂からなる中間層Aの耐摩耗性などの機械的強度が良好であり、耐久性が低下しにくい。
【0017】
中間層Aの最大の厚みは10mm、より好ましくは5mm以下である。中間層Aの厚みが10mm以下である場合には、加飾シート全体としてのウェルダー加工性が良好である。
【0018】
中間層Aの発泡ポリウレタンは、好ましくはポリエーテル系ポリウレタンである。ポリエーテル系ポリウレタンは加水分解しにくいため、本発明の加飾シートの表面を水で拭いた場合等に表層Bから中間層Aに水が浸み込んでも耐久性が損なわれにくく好ましい。
【0019】
実施態様1においては、発泡ポリウレタン樹脂からなる中間層Aは、その少なくとも一方の面の表面及び/又はその近傍にPVC部を有する。
図1の(a)では、中間層Aは、表層B側の表面の近傍にPVC部を有することが示されている。ここで、中間層Aは、表層B側の反対側の表面及び/又はその近傍にPVC部を有していてもよい。
【0020】
本発明における中間層Aの好適な例を
図2に示す。
図2に示すように、発泡ポリウレタン樹脂からなる中間層Aが表面から深さ(厚み)方向にPVC部を有している。
中間層AがこのようなPVC部を有することにより、中間層AのPVC部を有する面と表層Bの繊維基材とを接触させた時に十分な接着強度を有する。
【0021】
PVC部は、中間層Aの少なくとも一方の面の全面に亘って存在していても、部分的に均一又は不均一に存在していてもよい。
中間層Aと表層Bとを全面的にラミネートする場合は、PVC部が中間層Aの少なくとも一方の面の全面に亘って存在するのが好ましい。
一方、表層Bの表面に一定のパターンや形状を形成させる場合(例えば、高周波ウェルダー型で溶着させる場合等)は、パターンや形状を形成させようとする部位にのみPVC部を設けることもできる。
【0022】
PVC部は中間層Aの深さ方向に一定の厚みを有する層として形成させても、発泡ポリウレタン樹脂の表面の一部に形成させてもよい。PVC部の最小の厚みは中間層Aの層方向を基準として中間層Aの全体の厚みの1/6以上、好ましくは1/4以上、さらに好ましくは1/3以上である。
PVC部が中間層Aの層方向に中間層Aの1/6以上の厚みを有することにより、表層Bの繊維基材と所定の強度以上で接合することができる。
【0023】
PVC部は、主にポリ塩化ビニル系樹脂からなる。
ポリ塩化ビニル系樹脂とは、ポリ塩化ビニルのほか、塩化ビニルが主成分を占める共重合体をいう。塩化ビニルと共重合しうる単量体化合物としては、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等が挙げられる。これら塩化ビニル系樹脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の従来公知の製造法のうち、いずれの方法によって製造されたものであってもよい。
【0024】
また、本発明においては、ポリ塩化ビニル系樹脂として、平均重合度が2500以下、好ましくは2000以下のものを用いることができるが、異なる平均重合度のものを用いて2種混合してもよい。平均重合度が2500以下であれば、高周波ウェルダー溶着性を良好に保つことができる。
【0025】
PVC部は、その効果を損なわない範囲においてポリ塩化ビニル系樹脂以外の他の成分、例えば、難燃剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、充填剤等を含んでいてもよい。
【0026】
中間層AにPVC部を形成させる方法として、ポリ塩化ビニル系樹脂の溶液、分散液又は懸濁液を発泡ポリウレタン樹脂からなる中間層Aに塗工する。塗工法としては、ディッピングコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法、コンマコーター法、バーコーター法、ナイフコーター法、ホットメルトコート法などが挙げられ、いずれの方法によって塗工されたものであってもよい。
ポリ塩化ビニル系樹脂の塗工量は、加飾シートの用途等に応じて適宜定めることができるが、通常30〜120g/m
2、好ましくは50〜100g/m
2である。
【0027】
<表層B>
本発明の表層Bは、繊維基材上にポリウレタン樹脂層を有する構成を有する。
【0028】
表層Bにおける繊維基材の形態は特に限定されないが、不織布、織布、編物等が用いられ、好ましくは織布が用いられる。また、繊維基材層の厚さは、特に限定されないが、通常、0.1〜1.0mm、好ましくは0.2〜0.6mm程度である。この範囲であればウェルダー溶着性が良好である。
【0029】
繊維基材を形成する繊維の種類としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリトリエチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等の芳香族ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート-ポリヒドロキシバリレート共重合体等の脂肪族ポリエステル系樹脂等のポリエステル繊維;レーヨン繊維;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6-12等のポリアミド系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、塩素系ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンエチレン共重合体、などのポリオレフィン系樹脂;エチレン単位を25〜70モル%含有する変性ポリビニルアルコール等から形成される変性ポリビニルアルコール系樹脂;及び、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどの結晶性エラストマー等が挙げられる。
本発明に用いる繊維基材としては、レーヨン繊維とポリエステル繊維との織布であることが好ましく、レーヨン繊維とポリエステル繊維の混合比(質量比)が5:1〜12:1であることが好ましく、6:1〜11:1であることが更に好ましく、7:1〜10:1であることが特に好ましい。レーヨン繊維とポリエステル繊維をこの範囲で混合することにより、レーヨン繊維の触感を維持しつつ、繊維基材にポリエステル繊維の耐久性を付与することが可能となる。
【0030】
ポリウレタン樹脂層は、湿式製膜法により形成することができる。その非限定的な調製例としては、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒に溶解又は分散させて調製した湿式凝固するポリウレタン樹脂の溶液又は分散液を繊維基材に塗布して製膜し、これを水系の凝固液中に浸漬して、溶媒を水と置換して凝固させることにより形成させることができる。このようにして得られるポリウレタン樹脂層は、低比重で、連通孔を有するスポンジ状の層である。
本発明の加飾シートの表層Bの非限定的な例について、その上面から見た写真図を
図3に示す。同図では、表層Bの表面が連通孔を有するスポンジ状の層であることが示されている。
【0031】
ポリウレタン樹脂の溶液又は分散液に含まれるポリウレタンの具体例としては、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリカプロラクトン、ポリメチルバレロラクトン等をポリオール成分とするポリエステルグリコール系ポリウレタン、ポリプロピレングリコール系ポリウレタン、ポリテトラメチレングリコール系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリテトラメチレングリコール-ポリカーボネート共重合体系ポリウレタン等が挙げられるが、耐久性に優れるという点でポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂の溶液又は分散液に含まれる溶媒としては、親水性溶媒である、例えばジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。
【0032】
表層Bのポリウレタン樹脂層は、好ましくは0.1mm以下の孔、更に好ましくは0.09mm以下の孔、特に好ましくは0.08mm以下の孔を有する。ポリウレタン層が0.1mm以下の孔を有すると、触感、弾力をもたらすことができる。ここで、孔のサイズは、平均の円相当径であり、光学顕微鏡や電子顕微鏡(SEMやTEM)等により測定される。
【0033】
表層Bのポリウレタン樹脂層は、必要に応じて、着色剤、抗菌剤、伝導性物質等の添加剤を混合することや、エンボス、つや、バフィング、防汚処理等の表面加工により機能性や意匠性を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して付与することができる。
【0034】
表層Bのポリウレタン樹脂層の厚さは、特に限定されないが、0.1〜1.0mmが好ましい。この範囲であれば外観意匠性が良好である。
【0035】
<粘着層>
実施形態1の1つの側面においては、中間層Aと表層Bとが接触している面とは反対側の中間層Aの面に、粘着層を有する離型媒体を有する。
【0036】
粘着層としては、特に限定されないが、成形体、用途に合わせて適宜な接着剤を選択することができる。その非限定的な例としては、天然ゴム、合成ゴム、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂などを用いることができる。また、粘着剤はその他の成分を含んでいてもよく、イソシアネート化合物等の架橋剤、粘着付与剤、各種界面活性剤、シランカップリング剤などが含まれていてもよい。粘着剤層として、粘着物性のコントロールがしやすく、透明性・耐候性・耐熱性が良好である点からアクリル系樹脂が好ましい。
【0037】
粘着層の厚みは、通常、10μm以上60μm以下であり、好ましくは、20μm以上50μm以下である。この範囲であれば、接着力、耐反発性を保つことができる。
【0038】
粘着層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法、グラビアコーター法、ダイコーター法、コンマコーター法、バーコーター法、ナイフコーター法、ホットメルトコート法などのコート法が挙げられる。
【0039】
粘着層を有する離型媒体としては、紙、プラスチックフィルム(PETフィルム等)等を用いることができる。
これら離型媒体の粘着層と接する面の表面には、離型を容易にするために、シリカ粒子などのサイズコート層を設けてもよい。
【0040】
実施態様2の加飾シート
図1(b)に示す通り、本発明のもう1つの態様は、発泡ポリウレタン樹脂からなる中間層Aと、繊維基材上にウレタン樹脂層を有する表層Bと、粘着層を有する離型媒体とを有する加飾シートであって、前記中間層Aの一方の面が前記表層Bの繊維基材と接触しており、かつ、前記表層Bが前記中間層Aと接触している面とは反対側の面に前記離型媒体の粘着層が接触していることを特徴とする加飾シートである。
図1(b)において、1はポリウレタン樹脂層を、2は繊維基材を、3は表層Bを、4は中間層Aを、6は加飾シートを、7は粘着層を、8は離型媒体を表す。
【0041】
実施態様2の加飾シートは、表層Bと中間層Aとが接触している面とは反対側の面に離型媒体の粘着層を有するものであるが、表層Bと中間層Aを熱溶融等で積層させると、粘着剤が発泡ポリウレタン樹脂の中間層Aに浸み込むことで粘着層がある面と反対側にある表層Bとの接着に寄与するため、実施態様1の加飾シートのようにPVC部を必ずしも必要としない。
なお、実施態様2の加飾シートにおいても、発泡ポリウレタン樹脂からなる中間層Aは、粘着層を設けた面と反対側の面の表面及び/又はその近傍にPVC部を有していてもよい。
【0042】
加飾シート及びその製造方法
本発明の加飾シートは、表層Bと中間層Aを熱ラミネートにより製造することができる。また、実施態様2の加飾シートは、表層B、中間層A、離形媒体を熱ラミネートにより製造することができる。
また、本発明の加飾シートは、表層Bと中間層Aを、高周波ウェルダー型を用いて高周波接着することにより製造することができる。また、実施態様2の加飾シートは、表層B、中間層A、離形媒体を、高周波ウェルダー型を用いて高周波接着することにより製造することができる。
【0043】
また、高周波接着により製造する場合に、ウェルダーパターン型を用いることで、様々な模様、例えば、菱形、瓢形、格子柄、ストライプ等の模様を表面に形成させることができる。この場合、非接着部は表層Bが中間層から浮き上がった状態となるため、弾力性があり、キルト生地の様な風合いを付与することができる。
本発明の加飾シートの表層Bの模様の非限定的な一例を
図4に示す。
図4において、表層Bはその表面に菱形の模様が形成されており、菱形の鋭角部は曲部を有している。
【0044】
本発明の加飾シートの1つの側面は、表層Bが菱形の模様を有する加飾シートである。
また、菱形の鋭角部は曲率半径0.5〜2.0mm、好ましくは0.7〜1.2mmの曲部を有することが好ましい。
菱形の鋭角部がこのような曲部を有すると、形状に柔らか味を与え、意匠性が高まる。
【0045】
本発明の加飾シートは、その辺端部が加工処理されていてもよい。辺端部を加工処理する場合は、通常、溶断機を用いて端部を切断するが、シートを溶断補助具で固定し、刃先の鋭い(刃角が鋭角)溶断刃で切断すると端部は開き、基布の解れが発生する。これに対して、溶断補助具の幅を大きくし、刃角を大きくする(45°〜100°程度)ことにより、端部をほぼ限界まで圧縮でき、解れ止めが可能になる。
【0046】
本発明の加飾シートの1つの側面は、加飾シートの辺端部が加工処理されており、辺端部の厚みが0.60mm以下である加飾シートである。
【0047】
本発明の加飾用シートは、該シートを成形品表面に貼合し、そのまま加飾層とすることができる。
本発明の加飾シートは、例えば、ベッド(例えば、介護用ベッド)の周囲、車両の内装、椅子、スポーツ用品、グリップ材等、装飾用途全般に使用することができる。
【実施例】
【0048】
以下に本発明における実施例を示すが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0049】
以下に示される方法によって製作された実施例1〜4、比較例1〜3の加飾シートを(1)溶着性、(2)辺端部解れ性、(3)外観の3項目で判定した。
【0050】
(1)溶着性
高周波ウェルダーで溶着できた場合は「○」、溶着できなかった場合を「×」とした。
(2)辺端部解れ性
辺端部の圧縮が十分で繊維基材の解れが無い場合を「○」、辺端部の圧縮が不足しており繊維基材の解れがある場合を「×」とした。
(3)外観
ウェルダーパターン型を用いて加飾シート表面に形成した菱形模様の鋭角部が曲率半径により柔らかな形状になっている場合を「○」、鋭角部が曲線になっておらず、菱形のパターンが繋がって見える場合を「×」とした。
(4)総合評価
溶着性、辺端部解れ性、外観の3項目すべてが「○」判定の場合を「○」、ひとつでも「×」判定があるものは「×」とした。
【0051】
(実施例1)
織布の基材上にポリカーボネート系ポリウレタン樹脂層を有するシート(商品名:パーミア、東洋クロス社製)を表層Bとした。
厚さ2mmのポリエーテル系ポリウレタンの発泡ポリウレタン樹脂シート(商品名:クララフォーム、倉敷紡績社製)に、ポリ塩化ビニルを塗布量70g/m
2となるように溶融滴下塗布して、中間層Aを作成した。
離形媒体を有する粘着シート(商品名:#7000FS、恵比寿化成社製)を粘着層とした。
これらの表層Bと、中間層Aと、離形媒体を有する粘着層を重ねて、菱形の鈍角の曲率半径が0.9mmのウェルダーパターン型を用いて、高周波ウェルダー溶着し、溶断刃角度が90°の溶断機を用いて端部を切断して、辺端部の厚さが0.38mmとなる実施例1の加飾シートを得た。
【0052】
(実施例2)
織布の基材上にポリカーボネート系ポリウレタン樹脂層を有するシート(商品名:パーミア、東洋クロス社製)を表層Bとした。
厚さ2mmのポリエーテル系ポリウレタンの発泡ポリウレタン樹脂シート(商品名:クララフォーム、倉敷紡績社製)に、ポリ塩化ビニルを塗布量70g/m
2となるように溶融滴下塗布して、中間層Aを作成した。
離形媒体を有する粘着シート(商品名:#7000FS、恵比寿化成社製)を粘着層とした。
これらの表層Bと、中間層Aと、離形媒体を有する粘着層を重ねて、菱形の鈍角の曲率半径が1.5mmのウェルダーパターン型を用いて、高周波ウェルダー溶着し、溶断刃角度が90°の溶断機を用いて端部を切断して、辺端部の厚さが0.38mmとなる実施例2の加飾シートを得た。
【0053】
(実施例3)
織布の基材上にポリカーボネート系ポリウレタン樹脂層を有するシート(商品名:パーミア、東洋クロス社製)を表層Bとした。
厚さ2mmのポリエーテル系ポリウレタンの発泡ポリウレタン樹脂シート(商品名:クララフォーム、倉敷紡績社製)に、ポリ塩化ビニルを塗布量70g/m
2となるように溶融滴下塗布して、中間層Aを作成した。
離形媒体を有する粘着シート(商品名:#7000FS、恵比寿化成社製)を粘着層とした。
これらの表層Bと、中間層Aと、離形媒体を有する粘着層を重ねて、菱形の鈍角の曲率半径が0.9mmのウェルダーパターン型を用いて、高周波ウェルダー溶着し、溶断刃角度が60°の溶断機を用いて端部を切断して、辺端部の厚さが0.46mmとなる実施例3の加飾シートを得た。
【0054】
(実施例4)
織布の基材上にポリカーボネート系ポリウレタン樹脂層を有するシート(商品名:パーミア、東洋クロス社製)を表層Bとした。
厚さ2mmのポリエーテル系ポリウレタンの発泡ポリウレタン樹脂シート(商品名:クララフォーム、倉敷紡績社製)を中間層Aとした。
離形媒体を有する粘着シート(商品名:#7000FS、恵比寿化成社製)を粘着層とした。
これらの表層Bと、中間層Aと、離形媒体を有する粘着層を重ねて、菱形の鈍角の曲率半径が0.9mmのウェルダーパターン型を用いて、高周波ウェルダー溶着し、溶断刃角度が90°の溶断機を用いて端部を切断して、辺端部の厚さが0.38mmとなる実施例4の加飾シートを得た。
【0055】
(参考例1)
織布の基材上にポリカーボネート系ポリウレタン樹脂層を有するシート(商品名:パーミア、東洋クロス社製)を表層Bとした。
厚さ2mmのポリエーテル系ポリウレタンの発泡ポリウレタン樹脂シート(商品名:クララフォーム、倉敷紡績社製)に、ポリ塩化ビニルを塗布量70g/m
2となるように溶融滴下塗布して、中間層Aを作成した。
離形媒体を有する粘着シート(商品名:#7000FS、恵比寿化成社製)を粘着層とした。
これらの表層Bと、中間層Aと、離形媒体を有する粘着層を重ねて、菱形の鈍角の曲率半径が0.9mmのウェルダーパターン型を用いて、高周波ウェルダー溶着し、溶断刃角度が42°の溶断機を用いて端部を切断して、辺端部の厚さが0.79mmとなる参考例1の加飾シートを得た。
【0056】
(参考例2)
織布の基材上にポリカーボネート系ポリウレタン樹脂層を有するシート(商品名:パーミア、東洋クロス社製)を表層Bとした。
厚さ2mmのポリエーテル系ポリウレタンの発泡ポリウレタン樹脂シート(商品名:クララフォーム、倉敷紡績社製)に、ポリ塩化ビニルを塗布量70g/m
2となるように溶融滴下塗布して、中間層Aを作成した。
離形媒体を有する粘着シート(商品名:#7000FS、恵比寿化成社製)を粘着層とした。
これらの表層Bと、中間層Aと、離形媒体を有する粘着層を重ねて、菱形の鈍角が曲率半径を有しないウェルダーパターン型を用いて、高周波ウェルダー溶着し、溶断刃角度が90°の溶断機を用いて端部を切断して、辺端部の厚さが0.38mmとなる参考例2の加飾シートを得た。
【0057】
(比較例1)
織布の基材上にポリカーボネート系ポリウレタン樹脂層を有するシート(商品名:パーミア、東洋クロス社製)を表層Bとした。
厚さ2mmのポリエーテル系ポリウレタンの発泡ポリウレタン樹脂シート(商品名:クララフォーム、倉敷紡績社製)を中間層Aとした。
これらの表層Bと、中間層Aを重ねて、菱形の鈍角が曲率半径を有しないウェルダーパターン型を用いて、高周波ウェルダー溶着して、比較例1の加飾シートを得た。
【0058】
実施例1〜4、参考例1、2及び比較例1の評価結果を表1に示す。
【表1】
【0059】
表1に示されるように、実施例1〜4の加飾シートは、全ての試験項目において良好な結果であり、総合評価は「〇」であった。
参考例1の加飾シートは実施例1〜4と比べて辺端部解れ性が劣っている。参考例2の加飾シートは実施例1〜4と比べて外観が劣っている。
比較例1の加飾シートは高周波ウェルダーで溶着することができず、加飾シートとしての態様を満たしていない。