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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-133962(P2021-133962A)
(43)【公開日】2021年9月13日
(54)【発明の名称】収容容器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20210816BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20210816BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20210816BHJP
【FI】
   B65D1/02 110
   B65D1/02 111
   B29C45/14
   B29C45/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-30976(P2020-30976)
(22)【出願日】2020年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 雄飛
(72)【発明者】
【氏名】樽野 真輔
【テーマコード(参考)】
3E033
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA14
3E033BA16
3E033BB08
3E033DA10
3E033DB02
3E033DD01
3E033DE05
3E033FA02
3E033FA03
3E033GA02
4F202AA03
4F202AD20
4F202AG03
4F202AG07
4F202AH55
4F202AR06
4F202AR12
4F202CA11
4F202CB01
4F202CB12
4F202CQ03
4F202CQ05
4F202CQ10
4F206AA03
4F206AD05
4F206AD20
4F206AG03
4F206AG07
4F206AH55
4F206AR06
4F206AR12
4F206JA07
4F206JB12
4F206JF05
4F206JL02
(57)【要約】
【課題】外観に優れた収容容器を提供する。
【解決手段】本発明によれば、内容器の外周面を被覆するように外套が一体成形されている容器本体を備え、前記外套は、射出成形体であり、前記内容器は、最外層と、前記最外層に隣接する隣接層を備え、前記最外層を構成する最外層樹脂の融点は、前記隣接層を構成する隣接層樹脂の融点よりも低い、収容容器が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容器の外周面を被覆するように外套が一体成形されている容器本体を備え、
前記外套は、射出成形体であり、
前記内容器は、最外層と、前記最外層に隣接する隣接層を備え、
前記最外層を構成する最外層樹脂の融点は、前記隣接層を構成する隣接層樹脂の融点よりも低い、収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載の収容容器であって、
前記最外層樹脂の融点と前記隣接層樹脂の融点の差は、5℃以上である、収容容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の収容容器であって、
前記内容器の肉厚に対する前記最外層の肉厚は、10%以上である、収容容器。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の収容容器であって、
前記最外層樹脂は、無変性ポリオレフィンを含む、収容容器。
【請求項5】
請求項4に記載の収容容器であって、
前記最外層樹脂は、酸変性ポリオレフィンと前記無変性ポリオレフィンを含む、収容容器。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の収容容器であって、
前記外套を構成する樹脂は、前記最外層樹脂と同一のモノマー単位を有する、収容容器。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1つに記載の収容容器であって、
前記内容器は、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮するように構成され、
前記最外層及び前記隣接層は、前記外殻に設けられる、収容容器。
【請求項8】
内容器と外套を一体成形する一体成形工程を備える、収容容器の製造方法であって、
前記一体成形工程では、前記内容器の外周面を金型内に配置した状態で前記金型のキャビティ内の前記内容器の外側の空間に樹脂を充填して前記外套を形成し、
前記内容器は、最外層と、前記最外層に隣接する隣接層を備え、
前記最外層を構成する最外層樹脂の融点は、前記隣接層を構成する隣接層樹脂の融点よりも低い、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記一体成形工程の際に前記内容器内を加圧する、方法。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の方法であって、
前記一体成形工程では、前記内容器内に挿入された支持棒で、前記内容器の底面の内面を押圧した状態で前記樹脂の充填が行われる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容可能な収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物の減少に伴って内袋が収縮することによって容器の内部に空気が入り込むことを抑制する積層剥離容器が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−163531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の積層剥離容器は、ブロー成形で形成した容器の外周面をシュリンクフィルムで覆って構成されているが、より高級感を醸し出す外観が求められる場合がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、外観に優れた収容容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、内容器の外周面を被覆するように外套が一体成形されている容器本体を備え、前記外套は、射出成形体であり、前記内容器は、最外層と、前記最外層に隣接する隣接層を備え、前記最外層を構成する最外層樹脂の融点は、前記隣接層を構成する隣接層樹脂の融点よりも低い、収容容器が提供される。
【0007】
本発明の収容容器は、内容器の外周面に、射出成形体からなる外套が一体成形されているので、外観に優れている。また、最外層樹脂の融点が隣接層樹脂の融点よりも低いので、外套を射出成形するための溶融樹脂の熱エネルギーが内容器に伝わりにくく、内容器の変形が抑制される。さらに、最外層樹脂の融点が隣接層樹脂の融点よりも低いので、外套と最外層の接着性が向上し、落下等の衝撃により、内容器の外周面と外套の接着面が剥がれることが抑制される。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記最外層樹脂の融点と前記隣接層樹脂の融点の差は、5℃以上である、収容容器である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記内容器の肉厚に対する前記最外層の肉厚は、10%以上である、収容容器である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記最外層樹脂は、無変性ポリオレフィンを含む、収容容器である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記最外層樹脂は、酸変性ポリオレフィンと前記無変性ポリオレフィンを含む、収容容器である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記外套を構成する樹脂は、前記最外層樹脂と同一のモノマー単位を有する、収容容器である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記内容器は、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮するように構成され、前記最外層及び前記隣接層は、前記外殻に設けられる、収容容器である。
好ましくは、内容器と外套を一体成形する一体成形工程を備える、収容容器の製造方法であって、前記一体成形工程では、前記内容器の外周面を金型内に配置した状態で前記金型のキャビティ内の前記内容器の外側の空間に樹脂を充填して前記外套を形成し、前記内容器は、最外層と、前記最外層に隣接する隣接層を備え、前記最外層を構成する最外層樹脂の融点は、前記隣接層を構成する隣接層樹脂の融点よりも低い、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記一体成形工程の際に前記内容器内を加圧する、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記一体成形工程では、前記内容器内に挿入された支持棒で、前記内容器の底面の内面を押圧した状態で前記樹脂の充填が行われる、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の収容容器1の斜視図である。
図2】容器本体2の斜視図である。
図3】容器本体2の断面図である。
図4図3中の領域A内の容器本体2の層構成である。
図5】内容器4の斜視図である。
図6】内容器4の断面図である。
図7】一体成形工程を説明するための断面図である。
図8図7中の領域B内の拡大図である。
図9図9A図9Bは、第2実施形態の収容容器1を別々の方向から見た斜視図である。
図10図9Aの容器本体2の断面図である。
図11図10中の領域C内の容器本体2の層構成である。
図12図10中の内容器4のみの断面図である。
図13】ポンプ12の斜視図である。
図14】第3実施形態において、内容器4の口部8に外気導入部15が設けられた状態を示す、図5の口部8の近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0011】
1.第1実施形態
図1に示すように、本発明の第1実施形態の収容容器1は、容器本体2と、平キャップなどの開栓部材3を備える。開栓部材3は、ポンプやヒンジキャップなどでも良い。図3に示すように、容器本体2は、内容器4と、これと一体化された外套5を備える。以下、各構成について説明する。
【0012】
<内容器4>
図5図6に示す内容器4は、任意の製法で形成された容器であり、好ましくはパリソンのブロー成形によって形成されたブロー成形容器である。ブロー成形は、ダイレクトブロー成形であってもよく、インジェクションブロー成形であってもよい。ダイレクトブロー成形では、押出機から押し出された溶融状態のパリソンを一対の分割金型で挟んでパリソン内部にエアーを吹き込むことによって容器を製造する。パリソンは、筒状であっても、シート状であってもよい。インジェクションブロー成形では、プリフォームと呼ばれる試験管状の有底パリソンを射出成形によって形成し、このパリソンを用いてブロー成形を行うことによって容器を製造する。
【0013】
多層構成の射出成形容器は製造が容易ではないので、多層構成である内容器4に本発明を適用する意義が特に大きい。多層構成の内容器4を形成する場合、パリソンも多層構成とする。多層構成のパリソン(多層パリソン)は、共押出成形によって形成可能である。
【0014】
内容器4は、有底筒状であり、内容物を収容する収容部7と、収容部7から内容物を吐出する口部8を備える。収容部7は、胴部7aと、底部7bを備える。口部8には係合部(雄ねじ部)8aが設けられており、開栓部材3を装着可能になっている。
【0015】
ところで、ダイレクトブロー成形によって内容器4を形成する場合、内容器4には、一対の分割金型でパリソンを押し潰して形成した喰切部7c(図6に図示)が存在している。喰切部7cは内容器4の底部7bに設けられており、喰切部7cにパリソンの対向する面同士が溶着されることよって内容器4の底が閉じられている。収容部7の形状は、円筒状、多角柱状、多角錐状、球状等、様々な形状をとることができる。
【0016】
図4に示すように、内容器4は、内容器4の外側から順に、最外層4c1と、隣接層4c2と、その他層4c3を備える。内容器4の構成原料として例えば、無変性ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、EVOHなどが挙げられる。ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、及びその混合物などが挙げられる。
【0017】
最外層4c1を構成する最外層樹脂の融点は、隣接層4c2を構成する隣接層樹脂の融点よりも低い。外套5を射出成形する際の溶融樹脂の熱エネルギーによって内容器4が軟化して変形してしまう虞があるが、最外層樹脂の融点が隣接層樹脂の融点よりも低い場合、溶融樹脂の熱エネルギーによって最外層樹脂が溶融され、この際に最外層樹脂によって熱エネルギーが吸収されるので、内容器4に伝わる熱エネルギーが低減されて、射出圧による内容器4の変形が抑制される。また、最外層4c1が溶融されやすいので、外套5と最外層4c1の接着性が向上し、落下等の衝撃により、内容器4の外周面と外套5の接着面が剥がれることが抑制される。なお、本明細書において、「融点」は、JIS K 7121:2012に従って測定した融解ピーク温度Tpmを意味する。
【0018】
最外層樹脂の融点と隣接層樹脂の融点の差は、5℃以上が好ましく、10℃以上がさらに好ましく、20℃以上がさらに好ましい。この場合、上記の変形抑制及び接着性向上効果が顕著であるからである。この融点の差は、例えば5〜50℃であり、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0019】
最外層樹脂の融点は、例えば90〜130℃であり、100〜120℃が好ましい。この融点は、具体的には例えば、90、95、100、105、110、115、120、125、130℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0020】
内容器4の肉厚に対する最外層4c1の肉厚は、10%以上が好ましく、15%以上が好ましく、20%以上がさらに好ましい。この場合、上記の変形抑制及び接着性向上効果が顕著であるからである。内容器4の肉厚に対する最外層4c1の肉厚は、例えば10〜50%であり、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0021】
最外層樹脂は、ポリオレフィンを含有することが好ましい。ポリオレフィンは、無変性ポリオレフィンであっても、変性ポリオレフィン(例:酸変性ポリオレフィン)であってもよい。
【0022】
最外層樹脂は、無変性ポリオレフィンを含有することが好ましい。最外層樹脂が変性ポリオレフィンのみで構成されていると、最外層4c1がベタついて内容器4の取り扱い性が悪くなる場合があるからである。無変性ポリオレフィンとしては、ポリエチレンが好ましく、LDPEとLLDPEの一方又は両方を含むものがさらに好ましい。この場合に、最外層樹脂の融点が低くなりやすいからである。
【0023】
最外層樹脂は、酸変性ポリオレフィンと無変性ポリオレフィンを含むものであってもよい。酸変性ポリオレフィンは接着性に優れているので、最外層樹脂に酸変性ポリオレフィンと無変性ポリオレフィンを含有させることによって、過度のベタつきを抑制しつつ、外套5と内容器4の接着性を向上させることができる。最外層樹脂中の酸変性ポリオレフィンの割合は、例えば5〜95質量%であり、30〜70質量%が好ましい。この割合は、具体的には例えば、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0024】
隣接層4c2は、最外層4c1に隣接する層である。隣接層4c2を構成する隣接層樹脂は、最外層樹脂よりも融点が高い任意の樹脂とすることができる。例えば、最外層樹脂がLDPEである場合、隣接層樹脂としては、LDPEよりも融点が高いHDPEやPPなどを利用することができる。また、隣接層樹脂として、以前のサイクルで発生したバリをリサイクルして得られた再生樹脂を用いることができる。内容器4を構成する何れかの層を構成する樹脂の融点が最外層4c1よりも高い場合、通常、再生樹脂の融点も最外層樹脂の融点よりも高くなる。
【0025】
内容器4の肉厚に対する隣接層4c2の肉厚は、例えば5〜70%であり、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0026】
その他層4c3は、隣接層4c2よりも、内容器4の内側に存在する層である。その他層4c3は、ポリプロピレンなど耐熱性や剛性に優れる樹脂で構成することが好ましい。その他層4c3は、不要な場合には省略可能である。内容器4の肉厚に対する隣接層4c2の肉厚は、20%以上が好ましい。この場合、その他層4c3によって内容器4の耐熱性や剛性を高めやすい。内容器4の肉厚に対する隣接層4c2の肉厚は、例えば0〜70%であり、具体的には例えば、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0027】
内容器4は、例えば5種6層の多層容器であり、具体的な層構成例は以下の通りである。接着層は、酸変性ポリプロピレンなどの接着性の樹脂で構成された層である
【表1】
【0028】
また、表2に示すように、隣接層4c2は、再生樹脂層であってもよい。再生樹脂には、最外層4c1及びその他層4c3を構成する各種樹脂が含まれ、その他層4c3を構成する樹脂の融点が最外層樹脂の融点よりも高いので、再生樹脂の融点も最外層樹脂の融点よりも高くなる。
【表2】
【0029】
<外套5>
図2図3に示すように、外套5は、内容器4の外周面4a(好ましくは外周面4a及び底面4b)を被覆するように一体成形されており、射出成形体である。外套5は、筒部5aと、底部5bを備える。筒部5a及び底部5bがそれぞれ、外周面4a及び底面4bを被覆する。外套5は、収容部7を少なくとも被覆し、口部8は被覆してもしていなくてもよい。
【0030】
外套5を構成する樹脂は、最外層4c1を構成する最外層樹脂と同一のモノマー単位を有することが好ましい。この場合、落下の際に、外套5と外周面4aの接着面が剥離することが抑制される。例えば内容器4の最外層4c1にポリエチレン、外套5にエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂を使用することができる。この場合、どちらの樹脂にもエチレン単位が含まれる。
【0031】
容器本体2は、内容器4と外套5を一体成形する一体成形工程を備える方法によって製造可能である。図7図8に示すように、一体成形工程では、開口部10aを有する固定部10に口部8を固定し、内容器4の外周面4a(好ましくは外周面4a及び底面4b)を射出成形用の金型9内に配置した状態で、支持棒11を内容器4内に挿入して、支持棒11を底面4bの内面に押し付ける。これによって、射出成形の際に内容器4の収容部7が変位することが抑制される。
【0032】
この状態で、金型9のキャビティ9a内の内容器4の外側の空間に樹脂を充填して外套5を形成する。この際に、樹脂圧によって内容器4が変形しないように、内容器4の内部を加圧することが好ましい。加圧は、水やエアーを吹き込むことによって行うことができる。樹脂は、ゲート9bからキャビティ9a内に充填される。ゲート9bは、内容器4の底面4b(好ましくは喰切部7c)に対向する位置に配置することが好ましい。この場合、内容器4の周囲の全体に樹脂が均一に充填されやすいからである。
【0033】
射出成形用の樹脂は、内容器4の最外層4c1を構成する樹脂の融点より低い温度で、射出成形に必要な流動性を有するものが好ましい。射出成形用の樹脂の融点は、例えば60〜100℃であり、70〜90℃が好ましい。この融点は、具体的には例えば、60、65、70、75、80、85、90、95、100℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0034】
射出成形用の樹脂の融点と最外層樹脂の融点の差は、5℃以上が好ましく、10℃以上がさらに好ましく、20℃以上がさらに好ましい。この融点の差は、例えば5〜50℃であり、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0035】
射出成形の際の樹脂温度は、180〜230℃であることが好ましい。温度が低すぎると射出時の圧力が高くなってしまう場合があり、温度が高すぎると射出時に空気を巻き込みやすくなる場合がある。この樹脂温度は、具体的には例えば、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0036】
2.第2実施形態
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、内容器4が、図11図12に示すように外殻13と内袋14とを有し且つ内容物の減少に伴って内袋14が収縮する、いわゆる積層剥離容器にて構成される点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0037】
本実施形態では、積層剥離容器が内容物の減少に伴って内袋14が外殻13から離れることによって、内袋14が外殻13から離れて収縮する。このような容器では、内袋14内に外気が侵入しにくいので、内容物の劣化が抑制される。
【0038】
図11に示すように、外殻13は、例えば、最外層13c1と、隣接層13c2と、その他層13c3で構成される。内袋14は、例えば、最外層14c1と、接着層14c2と、内面層14c3を備える。最外層13c1及び隣接層13c2が第1実施形態の最外層4c1及び隣接層4c2に対応し、その構成及び作用効果も、第1実施形態と同様である。
【0039】
その他層13c3と、最外層14c1と、接着層14c2と、内面層14c3が第1実施形態のその他層4c3に対応する。その他層13c3と内面層14c3は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。最外層14c1は、その他層13c3との剥離性に優れた層であり、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂などで構成されることが好ましい。接着層14c2は、酸変性ポリオレフィンなどの接着性樹脂で構成されることが好ましい。
【0040】
図12に示すように、喰切部7cは、外殻13と内袋14のそれぞれの底部を閉塞させているが、外殻13では喰切部7cの強度が特に弱いので、外殻13に衝撃を加えることによって外殻13において喰切部7cを開いて外気導入部15を形成することができる。外気導入部15を通じて外殻13と内袋14の間に外気を導入することができる。外気導入部15は、外殻13を穿孔することによって形成してもよい。外気導入部15は、収容部7に設けてもよく、口部8に設けてもよい。
【0041】
内容器4の外気導入部15が外套5で被覆されてしまうと、外気導入部15を通じて外気が導入されなくなる。このため、外套5には、収容容器1の外側の空間と外気導入部15を連通する通気部5cを備える。通気部5cは貫通孔であってもよく、溝であってもよい。通気部5cは、射出成形の際に形成してもよく、射出成形後の後加工によって形成してもよい。
【0042】
外套5が口部8を被覆しない場合、口部8に外気導入部15を設けると、通気部5cが不要になる。
【0043】
射出成形の際に通気部5cを形成する場合には、例えば、通気部5cに相当する部位にピンを配置しておき、金型9から容器本体2を取り出す際に、外套5からピンを抜く方法が採用可能である。
【0044】
内容器4は、一体成形工程の前に、内袋14を予備剥離しておくことが好ましい。内容器4に外套5を一体成形する前の方が予備剥離が容易であるからである。
【0045】
<ポンプ12>
ポンプ12は、内容物を内容器4から排出させるように構成されている。内容器4が積層剥離容器である場合には、ポンプ12は、内容器4内へ外気を導入させないように構成されていることが好ましい。
【0046】
図13に示すように、ポンプ12は、本体部12aと、ピストン部12bと、ノズル12cと、チューブ12dを備える。本体部12aは、筒部12a1と、シリンダ部12a2と、上壁部12a3を備える。筒部12a1の内面には、係合部(雄ねじ部)108aに係合される係合部(雌ねじ部)(不図示)が設けられている。シリンダ部12a2は、口部8内に挿入される。シリンダ部12a2の外径は、口部8の内径とほぼ一致している。シリンダ部12a2は、筒状であり、ピストン部12bがシリンダ部12a2内で摺動可能になっている。シリンダ部12a2の内部空間は、ノズル12c及びチューブ12dに連通されている。シリンダ部12a2の内部空間には、弾性部材と弁で構成されるポンプ機構が内蔵されている。ピストン部12bを摺動させてポンプ機構を作動させることによって、チューブ12dを通じて吸い上げた内容物をノズル12cから排出することが可能になっている。
【0047】
3.第3実施形態
図14を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に類似しており、外気導入部15が内容器4の口部8に設けられている点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0048】
外殻13がシールされている場合、喰切部7cに外気導入部15が設けられないので、外殻13に貫通孔を設けて外気導入部15を構成することが好ましい。この場合、外気導入部15は、内容器4が外套5で覆われていない部位に設けることが好ましい。この場合、外套5に通気部5cを設けることが不要になるからである。
【0049】
外気導入部15は、図14に示すように、口部8に設けることが好ましく、図12に示すポンプ12の筒部12a1で覆われる位置に設けることが特に好ましい。この場合、ポンプ12を装着した状態では、外気導入部15が視認されないので、美観に優れている。外気導入部15は、ピストン部12bと筒部12a1の間の隙間や、筒部12a1の下端と内容器4の間の隙間等の通気路を通じて、外部に通気可能になっている。
【0050】
また、外気導入部15は、口部8に設けた平坦部8bに設けることが好ましい。この場合、ドリルなどの穿孔工具を用いて外気導入部15を形成しやすいからである。平坦部8bは、係合部8aより収容部7に近い位置に設けてもよく、係合部8aを分断するように設けてもよい。後者の場合、平坦部8bを設けるために口部8を長くする必要がないという利点がある。
【実施例】
【0051】
1.容器本体2の製造
<実施例1>
ダイレクトブロー成形によって、表3の層構成にて図12に示す構成の内容器4を作製した。内容器4の収容部7の高さ方向の中央での肉厚は、1500μmであった。
【表3】
【0052】
表3中の各層は、以下の材料で作製した。
LDPE/LLDPE層:LDPE(融点110℃、旭化成社製、型式:F2206)とLLDPE(融点120℃、日本ポリエチレン社製、型式:NF325N)の質量比50:50での混合樹脂
PP層:ポリプロピレン(住友化学社製、型式:FH3315)
EVOH層:EVOH(三菱ケミカル社製、型式:SF7503B)
酸変性PE/LDPE層:酸変性ポリエチレン(三菱ケミカル社製、型式:L522)とLDPE(融点110℃、旭化成社製、型式:F2206)の質量比50:50での混合樹脂
LDPE層:LDPE(旭化成社製、型式:F2206)
【0053】
次に、第1実施形態で説明した方法に従って、内容器4の外周面及び底面を被覆するように外套5を樹脂温度220℃の射出成形によって形成することによって、容器本体2を作製した。射出成形は、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂(三井・ダウポリケミカル社製、型式:PC2000、融点80℃)を用いて行った。
【0054】
<実施例2>
外殻13の最外層13c1として、LDPE/LLDPE層の代わりに、LDPE/ADH層を用いた以外は、実施例1と同様の方法で容器本体2を作製した。
【0055】
LDPE/ADH層は、LDPE(融点110℃、旭化成社製、型式:F2206)と接着樹脂(融点120℃、三菱ケミカル社製、型式:L522)の質量比50:50での混合樹脂であり、混合樹脂の融点は、115℃であった。
【0056】
<比較例1>
外殻13の最外層13c1として、LDPE/LLDPE層の代わりに、PP層を用いた以外は、実施例1と同様の方法で容器本体2を作製した。
【0057】
PP層は、ポリプロピレン(住友化学社製、型式:FH3315)で構成され、融点は140℃であった。
【0058】
2.評価
上記実施例・比較例について以下の評価を行った。その結果を表4に示す。表4に示すように、実施例では、変形性及び接着性が良好であった。一方、比較例では、変形性及び接着性が良好でなかった。
【0059】
【表4】
【0060】
<変形性>
外套5内の内容器4が変形しているか目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:変形なし
×:変形あり
【0061】
<接着性>
容器本体2を縦に切断して内容器4が外套5から手で剥離できるか確認し、以下の基準で評価した。
○:手で強く引っ張っても剥離できない
△:手で強く引っ張ると剥離可能
×:手で簡単に剥離可能
【符号の説明】
【0062】
1 :収容容器
2 :容器本体
3 :開栓部材
4 :内容器
4a :外周面
4b :底面
4c1 :最外層
4c2 :隣接層
4c3 :その他層
5 :外套
5a :筒部
5b :底部
5c :通気部
7 :収容部
7a :胴部
7b :底部
7c :喰切部
8 :口部
8a :係合部
8b :平坦部
9 :金型
9a :キャビティ
9b :ゲート
10 :固定部
10a :開口部
11 :支持棒
12 :ポンプ
12a :本体部
12a1 :筒部
12a2 :シリンダ部
12a3 :上壁部
12b :ピストン部
12c :ノズル
12d :チューブ
13 :外殻
13c1 :最外層
13c2 :隣接層
13c3 :他層
14 :内袋
14c1 :最外層
14c2 :接着層
14c3 :内面層
15 :外気導入部
図1
図2
図3
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