【解決手段】搬送システム100は、ピッキングステーション3A〜3Eと、検出器5A〜5Eと、スタッカクレーン15と、コントローラ9と、を備える。検出器5A〜5Eは、ピッキングステーション3A〜3Eに近い第1エリアA1と、第1エリアA1よりも遠い第2エリアA2と、において、被検出物の有無を検出する。スタッカクレーン15は、ピッキングステーション3A〜3Eに荷物Wを搬送する。コントローラ9は、スタッカクレーン15がピッキングステーション3A〜3Eとの間で荷物Wの移載を行っている最中に、検出器5A〜5Eが第2エリアA2で被検出物を検出すると荷物Wの移載速度を減速させ、検出器5A〜3Eが第1エリアA1で被検出物を検出すると荷物Wの移載を停止させる。
前記コントローラは、前記搬送装置が前記ピッキングステーションとの間で荷物の移載を行う前に、前記検出器が前記第1エリア又は前記第2エリアの少なくとも一方で被検出物を検出すると前記搬送装置による荷物の移載を実行させない、請求項1に記載の搬送システム。
前記コントローラは、前記搬送装置が前記ピッキングステーションとの間で荷物の移載を行っている最中に前記検出器が第1エリアで被検出物を検出し前記搬送装置による前記荷物の移載を停止した後に、前記第1エリアにおいて前記検出器により被検出物が検出されなくなった場合、前記搬送装置に対して、現在の移載動作が完了するまでは移載速度を減速させて荷物の移載を実行させる、請求項1又は2に記載の搬送システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.第1実施形態
(1)搬送システム
図1を用いて搬送システム100を説明する。
図1は、搬送システム100の概略平面図である。
搬送システム100は、倉庫内でピッキング(荷揃え)ができるシステムである。ピッキングとは、作業者が、ピッキング用のパレットに対して他のパレットから荷物Wを移動させることで、要求された荷物Wをピッキング用パレットに積載することをいう。
搬送システム100は、主に、自動倉庫1と、ピッキングステーション3A〜3Eと、検出器5A〜5Eと、を備えている。なお、この搬送システム100は、工場の部品倉庫、一般物流倉庫等に適用可能であるが、特に、注文者の数及び商品の数及び種類が多数となるような例えば一般消費者用の通信販売用物品倉庫に最適である。
【0013】
(2)自動倉庫
図1及び
図2を用いて自動倉庫1を説明する。
図2は、自動倉庫1の正面概略図である。
自動倉庫1は、ラック11と、天井レール13と、スタッカクレーン15(搬送装置の一例)と、を有する。
【0014】
(2−1)ラック
ラック11は、荷物Wを収納する。ラック11は、
図1の第1水平方向であるX方向に延びており、第2水平方向であるY方向(X方向に直交)に並んで配置されている。
ラック11は、荷物Wを載置可能な複数の棚11Aを有する。複数の棚11Aは、第1水平方向に沿って複数の連を構成しており、上下方向に複数の段を構成している。「連」とは、第1水平方向における棚11Aの1個の単位であり、「段」とは、上下方向における棚11Aの1個の単位である。
荷物Wを載置したパレットPがラック11の各棚11Aに載置されることで、荷物Wはラック11に収納される。
【0015】
ラック11のうち背面にピッキングステーション3C〜3E(後述)が設けられた箇所においては、ラック11の下部に棚11Aを設けず、移載装置15Cのスライドフォーク161(後述)及びスライドフォーク161に支持されたパレットP及び荷物Wが通過可能な空間SPが設けられる。
【0016】
(2−2)天井レール
天井レール13は、ラック11に沿って設けられる。
図2に示すように、天井レール13は、ラック11より高い位置、すなわち、複数段の棚11Aより高い位置に設けられている。天井レール13は、
図2に示すように、ラック11の間の走行経路11Bの上方に配置されている。
図1に示すように、天井レール13は、周回軌道を有している。
【0017】
(2−3)スタッカクレーン
スタッカクレーン15は、天井レール13に沿って走行可能であり、荷物Wを複数の棚11Aとピッキングステーション3A〜3Eとの間で搬送可能である。スタッカクレーン15は、懸垂式のスタッカクレーンであって、天井レール13から懸垂した状態で走行する。
【0018】
図3及び
図4を用いて、スタッカクレーン15をより詳細に説明する。
図3は、スタッカクレーン15の概略斜視図である。
図4は、駆動台車15Aの概略断面図である。
図3に示すように、スタッカクレーン15は、複数の駆動台車15Aと、昇降装置15Bと、移載装置15Cと、を有している。複数の駆動台車15Aは、走行方向(白抜き矢印で示す)に並んで配置される。この実施形態では、駆動台車15Aは8台設けられている。
【0019】
図4に示すように。駆動台車15Aは、天井側に設けられた永久磁石151に対向するコイルからなるリニアモータ152を有している。具体的には、永久磁石151は、支持部材153に固定され、走行方向に延びるプレート154の下面に固定されている。また、駆動台車15Aは、天井レール13に設けられて非接触給電線155に対向する位置に受電コイル156を有している。さらに、駆動台車15Aは、走行車輪157を有している。走行車輪157は、天井レール13の走行壁13Aの上に置かれている。
【0020】
昇降装置15Bは、移載装置15Cを複数の駆動台車15Aに対して昇降可能に吊り下げた状態で昇降させるための装置である。昇降装置15Bは、マスト158に支持された昇降台159と、昇降台159を昇降させるための昇降部160とを有している。昇降部160は、モータ、ベルト、ガイドローラなどからなる公知の装置である。
【0021】
移載装置15Cは、スタッカクレーン15とピッキングステーション3A〜3E及び棚11Aとの間でパレットP(荷物W)を移載可能なダブルリーチの移載装置である。
すなわち、移載装置15Cは、昇降装置15Bから棚11A2つ分の距離まで伸縮可能なスライドフォーク161を有し、スタッカクレーン15とピッキングステーション3A〜3Eとの間で直接荷物Wの移載ができる移載装置である。これにより、移載装置15Cは、昇降装置15Bから棚11A1つ分の距離への荷物Wの移載と、昇降装置15Bから棚11A2つ分の距離への荷物Wの移載と、の両方を実行できる。
【0022】
本実施形態において、昇降装置15Bからピッキングステーション3A、3Bまでの距離は棚11A1つ分の距離に相当する。その一方、昇降装置15Bからピッキングステーション3C〜3Eまでの距離は棚11A2つ分の距離に相当する。
なお、ピッキングステーション3A、3Bの手前(スタッカクレーン15の走行経路側)に棚が配置される場合には、昇降装置15Bからピッキングステーション3A、3Bまでの距離は棚11A2つ分の距離に相当する。
【0023】
従って、具体的には、移載装置15Cは、
図5に示すように、スライドフォーク161を、ラック11の下部の空間SPを通過させてラック11の背面に設けられたピッキングステーション3C〜3Eまで棚11A2つ分伸縮させることで、ピッキングステーション3C〜3Eとスタッカクレーン15との間でパレットP(荷物W)を移載できる。
図5は、移載装置15Cによりラック11背面のピッキングステーション3C〜3EにパレットPを移載する状態の一例を示す図である。
また、移載装置15Cは、スライドフォーク161を、ピッキングステーション3A、3Bに棚11A1つ分伸縮させることで、ピッキングステーション3A、3Bとスタッカクレーン15との間でパレットP(荷物W)を移載できる。
さらに、移載装置15Cは、スライドフォーク161を、目的の棚11Aに伸縮させることで、当該棚11Aとスタッカクレーン15との間でパレットP(荷物W)を移載できる。
【0024】
なお、以下の説明では、「荷物Wの移載」は、荷物Wを載置したパレットPを移載するとの意味も含むものとする。
【0025】
(3)ピッキングステーション
ピッキングステーション3A〜3Eは、自動倉庫1から外部に出庫される荷物Wが載置される場所である。その他、ピッキングステーション3A〜3Eには、例えば、外部から自動倉庫1に入庫される荷物Wが載置されてもよい。ピッキングステーション3A〜3Eでは、作業者により荷物Wのピッキング作業が行われる。その他、いくつかのピッキングステーション3A〜3Eでは、フォークリフトを用いた荷物Wに関する作業が実行されてもよい。
ピッキングステーション3Aは、スタッカクレーン15の走行経路11Bにおいて、方向を転換するために湾曲した部分(歪曲部分と呼ぶ)の外周側に配置される。一方、ピッキングステーション3Bは、スタッカクレーン15の走行経路11Bにおいて、2つの歪曲部分に挟まれた直線部分の外周側でかつラック11が配置されていない箇所に配置される。
【0026】
スタッカクレーン15の走行経路11Bの外周側に配置されることで、ピッキングステーション3A、3Bは、作業者又は作業者が使用するフォークリフトによるアクセスが容易となる。
なお、ピッキングステーション3Aとピッキングステーション3Bとの間には、安全柵7が設けられる。
【0027】
一方、
図1に示すように、ピッキングステーション3C〜3Eは、スタッカクレーン15の走行経路11Bの外周側に設けられたラック11のさらに背面に設けられる。ここで、「ラック11の背面」とは、第2水平方向(Y方向)において、ラック11のスタッカクレーン15の走行経路11Bと対向した側とは反対側のことをいう。
ラック11の背面に配置されることで、作業者は、ピッキングステーション3C〜3Eにおいて、ラック11の背面側でのピッキング作業(背面ピッキング)が可能となる。
【0028】
(4)検出器
検出器5A〜5Eは、ピッキングステーション3A〜3Eに接近する作業者又はフォークリフト(被検出物の一例)を検出するセンサである。検出器5A〜5Eは、それぞれ、対応するピッキングステーション3A〜3Eのスタッカクレーン15の走行経路側に設けられる。これにより、検出器5Aは、ピッキングステーション3Aに接近する被検出物を検出できる。検出器5Bは、ピッキングステーション3Bに接近する被検出物を検出できる。検出器5Cは、ピッキングステーション3Cに接近する被検出物を検出できる。検出器5Dは、ピッキングステーション3Dに接近する被検出物を検出できる。検出器5Eは、ピッキングステーション3Eに接近する被検出物を検出できる。
【0029】
本実施形態において、検出器5A〜5Eは、対応するピッキングステーション3A〜3Eに近い第1エリアA1内に被検出物が存在するか否かと、ピッキングステーション3A〜3Eに対して第1エリア(第1検出領域)A1より遠い第2エリア(第2検出領域)A2内に被検出物が存在するか否かと、を検出する。
【0030】
例えば、
図6A〜
図6Eに示すように、検出器5A〜5Eの端部(スタッカクレーン15の走行経路に対向する側とは反対側の端部)から第1距離d1までの領域の内部を第1エリアA1とし、検出器5A〜5Eの端部(スタッカクレーン15の走行経路に対向する側とは反対側の端部)から第2距離d2までの領域の内部であって上記第1エリアA1を除く部分を第2エリアA2とできる。例えば、第1距離d1を1m、第2距離d2を2mと決定できる。
図6Aは、検出器5Aについての第1エリアA1及び第2エリアA2の一例を示す図である。
図6Bは、検出器5Bについての第1エリアA1及び第2エリアA2の一例を示す図である。
図6Cは、検出器5Cについての第1エリアA1及び第2エリアA2の一例を示す図である。
図6Dは、検出器5Dについての第1エリアA1及び第2エリアA2の一例を示す図である。
図6Eは、検出器5Eについての第1エリアA1及び第2エリアA2の一例を示す図である。
【0031】
上記のようなエリア内に被検出物が存在するか否かを検出可能な検出器5A〜5Eとしては、例えば、所定の角度範囲でスキャンされたレーザ光の反射を用いて被検出物を検出するスキャンセンサ、レーザレンジファインダ(LRF)などの測距センサを用いることができる。または、検出器5A〜5Eとして、例えば、カメラを用いることができる。
【0032】
搬送システム100は、検出器5A〜5Eにより被検出物を検出したときに警告音を発生する装置(図示せず)を備えている。警告音は、例えば、ブザー、音声アナウンスなどである。
【0033】
(5)制御構成
図7を用いて、搬送システム100の制御構成を説明する。
図7は、搬送システム100の制御構成を示すブロック図である。
第1実施形態に係る搬送システム100は、制御構成として、コントローラ9を備えている。コントローラ9は、スタッカクレーン15の駆動台車15A、昇降装置15B、移載装置15Cを制御する。特に、スタッカクレーン15による荷物Wの移載と搬送を制御する。コントローラ9は、スタッカクレーン15を管理し、これらに搬送指令を割り付ける割り付け機能を有している。「搬送指令」は、駆動台車15Aに対する走行指令、昇降装置15Bに対する昇降指令、及び、荷つかみ位置と荷おろし位置を含む移載装置15Cに対する移載指令を含んでいる。
【0034】
コントローラ9は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。上記のコントローラは、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0035】
上記のコントローラは、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
上記のコントローラの各要素の機能は、一部又は全てが、コントローラを構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、コントローラの各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0036】
コントローラ9は、ピッキングステーション3A〜3Eに対応して設けられた検出器5A〜5Eから、被検出物の検出結果を受信する。コントローラ9と検出器5A〜5Eとは、例えば、ネットワークを介して、通信可能に接続されている。
【0037】
また、コントローラ9は、スタッカクレーン15の駆動台車15A、昇降装置15B、及び移載装置15Cを制御する制御信号を出力する。
具体的には、コントローラ9は、駆動台車15Aに対して走行指令を出力して、スタッカクレーン15の走行を制御する。
コントローラ9は、昇降装置15Bに対して昇降指令を出力して、ラック11に含まれる複数の棚11Aのうち荷物Wの移載を行う対象の棚11Aの位置に、昇降装置15Bを昇降させる制御を行う。
さらに、コントローラ9は、昇降装置15Bを上記の棚11Aの位置に昇降させた後に、移載装置15Cに対して移載指令を出力して、移載装置15Cに対してスタッカクレーン15(昇降装置15B)から棚11Aへ、又は、棚11Aからスタッカクレーン15へ荷物Wの移載をさせる制御を行う。
【0038】
(6)搬送システムの動作
以下、
図8を用いて、上記の構成を有する搬送システム100の動作を説明する。
図8は、搬送システム100の動作を示すフローチャートである。
図8のフローチャートで示す動作は、1つの搬送指令を開始から終了までの動作であり、搬送システム100では搬送指令毎に
図8のフローチャートで示す動作が繰り返し実行される。
コントローラ9は、ステップS1において、実行を開始する搬送指令に含まれる走行指令に基づいて駆動台車15Aを制御し、スタッカクレーン15を走行させる。
【0039】
スタッカクレーン15の走行中に、コントローラ9は、ステップS2において、スタッカクレーン15の走行時において検出器5A〜5Eのいずれかで被検出物が検出されたか否かを判定し、被検出物の検出に応じた処理を実行する。
スタッカクレーン15が荷物Wの移載を行う目的位置に到達するまで(ステップS3が「Yes」となるまで)、ステップS2の被検出物の検出に関する動作が繰り返し実行される。
【0040】
以下、
図9を用いて、ステップS2にて実行される、スタッカクレーン15が走行中の被検出物の検出動作を説明する。
図9は、スタッカクレーン15が走行中の被検出物の検出動作を示すフローチャートである。
スタッカクレーン15の走行中、コントローラ9は、ステップS21において、検出器5A〜5Eにより被検出物が検出されたか否かを判定する。検出器5A〜5Eのいずれも被検出物を検出していない場合(ステップS21で「No」)、コントローラ9は、ステップS22において、現在の走行指令に従ってスタッカクレーン15を走行させる。
【0041】
一方、いずれかの検出器5A〜5Eで被検出物が検出された場合(ステップS21で「Yes」)、コントローラ9は、ステップS23において、ラック11の背面に配置されたピッキングステーション3C〜3Eに被検出物が近づいているか否かを判定する。具体的には、コントローラ9は、検出器5C〜5Eのいずれかが被検出物を検出したか否かを判定する。
【0042】
検出器5C〜5Eのいずれかが被検出物を検出した場合(ステップS23で「Yes」)、すなわち、ラック11の背面のピッキングステーション3C〜3Eに被検出物が近づいている場合、被検出物の検出動作は、ステップS22に進む。すなわち、コントローラ9は、現在のスタッカクレーン15の走行を継続させる。
【0043】
ピッキングステーション3C〜3Eに被検出物が近づいても走行を継続させるのは、ラック11の背面に配置されるピッキングステーション3C〜3Eが、スタッカクレーン15の走行経路11Bから十分に離れており、ピッキングステーション3C〜3Eに被検出物が接近したとしても、スタッカクレーン15を安全に走行させることができるからである。
また、ピッキングステーション3C〜3Eがスタッカクレーン15の走行経路11Bから十分に離れているため、ピッキングステーション3C〜3Eをスタッカクレーン15が通過中にピッキングステーション3C〜3Eで作業をしている作業者が検出器5C〜5Eに検出されても、この作業者の安全は十分に確保できるからである。
【0044】
このように、ラック11の背面のピッキングステーション3C〜3Eに被検出物が近づいてもスタッカクレーン15に走行指令を実行させることにより、荷物Wの搬送効率の低下を防止できる。
【0045】
一方、ピッキングステーション3A、3Bにて被検出物が検出された場合(ステップS23で「No」)、コントローラ9は、ステップS24において、被検出物が検出されたピッキングステーション3A、3Bとスタッカクレーン15とが十分に離れているか否かを判定する。
被検出物が検出されたピッキングステーション3A、3Bの近くにスタッカクレーン15が存在しているか否かの判断は、例えば、スタッカクレーン15の位置情報、荷物Wの搬送指令に基づいて実行できる。
【0046】
被検出物が検出されたピッキングステーション3A、3Bとスタッカクレーン15とが十分に離れている場合(ステップS24で「Yes」)、被検出物の検出動作は、ステップS22に進む。すなわち、コントローラ9は、現在のスタッカクレーン15の走行を継続させる。
【0047】
一方、被検出物が検出されたピッキングステーション3A、3Bの近くにスタッカクレーン15が存在している場合(ステップS24で「No」)、コントローラ9は、ステップS25において、スタッカクレーン15の走行を中断させる。
なお、被検出物が検出されたピッキングステーション3A、3Bが、荷物Wの移載を実行するピッキングステーションとして荷物Wの搬送指令に含まれる場合、コントローラ9は、スタッカクレーン15が当該ピッキングステーション3A、3Bの近傍に到達したときに、スタッカクレーン15の走行を中断させる。また、コントローラ9は、スタッカクレーン15が当該ピッキングステーション3A、3Bの近傍に既に到達しているときには、即座にスタッカクレーン15の走行を中断させる。
【0048】
また、被検出物が検出されたピッキングステーション3A、3Bの近くにスタッカクレーン15が存在している場合であっても、当該ピッキングステーション3A、3Bがスタッカクレーン15の走行方向の後方に存在する場合には、コントローラ9は、スタッカクレーン15の走行を継続させてもよい。
【0049】
このように、ピッキングステーション3A〜3Eとの間で荷物Wの移載を行う前に、検出器5A、5Bが第1エリアA1又は第2エリアA2の少なくとも一方で被検出物を検出し、被検出物を検出したピッキングステーション3A、3Bの近くにスタッカクレーン15が存在している場合には、スタッカクレーン15の走行を中断している。
【0050】
図8のフローチャートに戻り、スタッカクレーン15が目的の移載位置に到達すると(ステップS3で「Yes」)、コントローラ9は、ステップS4において、スタッカクレーン15の近傍の荷物Wの移載を実行するピッキングステーション3A〜3Eの検出器5A〜5Eにより被検出物が検出されているか否かを判定する。
荷物Wの移載を実行するピッキングステーション3A〜3Eの検出器5A〜5Eにより被検出物が検出されている場合(ステップS4で「Yes」)、コントローラ9は、当該ピッキングステーションの検出器により被検出物が検出されなくなるまで待機する。
【0051】
一方、スタッカクレーン15の近傍のピッキングステーション3A〜3Eにおいて被検出物が検出されていないか、又はされなくなった場合(ステップS4で「No」)、コントローラ9は、ステップS5において、移載指令に基づいて移載装置15Cを制御して、荷物Wの移載を開始する。
なお、昇降指令に基づいて昇降装置15Bを制御して、荷物Wを移載する棚11Aの上下方向の位置に昇降台159(移載装置15C)を移動させる動作は、スタッカクレーン15の走行中に行われる。
【0052】
上記のステップS2(S21〜S25)〜S4を実行することにより、ピッキングステーション3A〜3Eとの間で荷物Wの移載を行う前に、検出器5A、5Bが第1エリアA1又は第2エリアA2の少なくとも一方で被検出物を検出し、被検出物を検出したピッキングステーション3A、3Bの近くにスタッカクレーン15が存在している場合に、スタッカクレーン15の走行を中断させることができる。
また、スタッカクレーン15が移載位置に到達した後に被検出物を検出した場合、被検出物が検出されなくなるまで移載装置15Cによる当該ピッキングステーション3A〜3Eとの荷物Wの移載を中断できる。その結果、荷物Wの移載時に被検出物が第1エリアA1又は第2エリアA2に存在する可能性を考慮して、荷物Wの移載を中断して安全をより確実に確保できる。
【0053】
荷物Wの移載中に、コントローラ9は、ステップS6において、荷物Wの移載中に検出器5A〜5Eのいずれかで被検出物が検出されたか否かを判定し、被検出物の検出に応じた処理を実行しつつ荷物Wの移載動作を実行する。
【0054】
なお、以下に説明するステップS6の処理は、荷物Wの移載がピッキングステーション3A〜3Eのいずれかとスタッカクレーン15との間で実行される場合のみ実行され、その他の荷物Wの移載(例えば、棚11Aとスタッカクレーン15との間の移載)の場合はスキップされてもよい。
【0055】
以下、
図10を用いて、ステップS6にて実行される、荷物Wの移載中における被検出物の検出動作を説明する。
図10は、荷物Wの移載動作中における被検出物の検出動作を示すフローチャートである。
荷物Wの移載中、コントローラ9は、ステップS601において、荷物Wの移載を実行するピッキングステーション3A〜3Eにて被検出物が検出されたか否かを判定する。荷物Wの移載を実行するピッキングステーション3A〜3Eにて被検出物が検出されていない場合(ステップS601で「No」)、ステップS610に進む。すなわち、荷物Wの移載が完了している場合(ステップS610で「Yes」)にはステップS6の動作を終了し、荷物Wの移載が完了していない場合(ステップS610で「No」)にはステップS601に戻り、荷物Wの移載動作を継続する。
【0056】
一方、荷物Wの移載を実行するピッキングステーション3A〜3Eにて被検出物が検出されている場合(ステップS602で「Yes」)、ステップS602において、コントローラ9は、上記ピッキングステーション3A〜3Eのいずれのエリア(第1エリアA1、第2エリアA2)のいずれで被検出物が検出されたかを判定する。
【0057】
被検出物が第1エリアA1おいて検出された場合(ステップS602で「第1エリア」)、コントローラ9は、ステップS603において、移載装置15Cを停止させて、現在の荷物Wの移載を中断する。
一方、被検出物が第2エリアA2において検出された場合(ステップS602で「第2エリア」)、コントローラ9は、ステップS604において、移載装置15Cによる荷物Wの移載速度を減速させる。すなわち、荷物Wの移載速度を通常時(正常時)よりも遅くする。具体的には、コントローラ9は、荷物Wの移載時におけるスライドフォーク161の伸縮速度を通常時(正常時)よりも減少させる。
【0058】
なお、被検出物が検出され、荷物Wの移載速度を減速させた状態で当該荷物Wの移載が終了した場合(ステップS605で「Yes」)、ステップS6を終了する。
【0059】
このように、本実施形態では、移載装置15Cによりスタッカクレーン15とピッキングステーション3A〜3Eとの間で荷物Wの移載を行っている最中に、被検出物のピッキングステーションへの距離に応じて搬送装置の制御を変更している。
具体的には、被検出物がピッキングステーション3A〜3Eに近いときには荷物Wの移載を停止する一方、被検出物とピッキングステーション3A〜3Eとが比較的離れている場合には荷物Wの移載速度を減少させて荷物Wの移載を継続している。これにより、搬送システム100における安全を確保しつつ搬送効率の低下を防止できる。
【0060】
第1エリアA1で被検出物が検出されて移載装置15Cを停止中、又は、荷物Wの移載速度を減速させた状態で荷物Wの移載が継続中(ステップS605で「No」)に、ステップS606において、コントローラ9は、荷物Wの移載を実行するピッキングステーション3A〜3Eにおける被検出物の検出が継続しているか否かを判定する。
被検出物の検出が継続している場合(ステップS606で「Yes」)、ステップS6の動作はステップS602に戻り、被検出物の検出が継続している限り(すなわち、ステップS606が「Yes」である限り)、上記のステップS602〜S605が継続して実行される。
【0061】
一方、荷物Wの移載を実行するピッキングステーション3A〜3Eにて被検出物が検出されなくなった場合(ステップS606で「No」)、ステップS607において、コントローラ9は、さらに、荷物Wの移載を実行するピッキングステーション3A〜3Eの検出器5A〜5Eが第1エリアA1で被検出物を検出して移載装置15Cによる荷物Wの移載を停止した後、第1エリアA1及び第2エリアA2において当該検出器5A〜5Eにより被検出物が検出されなくなったか否かを判定する。
第1エリアA1にて被検出物が検出されて移載が停止した後に第1エリアA1及び第2エリアA2において被検出物が検出されなくなった場合(ステップS607で「Yes」)、コントローラ9は、ステップS608において、移載装置15Cに対して、通常よりも低速にて荷物Wの移載を再開するよう指令する。
【0062】
なお、上記のステップS607においては、現在の移載動作が完了するまでに一度でも第1エリアA1にて被検出物が検出され、その後、第1エリアA1及び第2エリアA2において被検出物が検出されなくなった場合には、ステップS607は「Yes」とする。
例えば、最初に第1エリアA1で被検出物が検出された後に第2エリアA2で被検出物が検出され、その後いずれのエリアにおいても被検出物が検出されなくなった場合であっても、コントローラ9は、移載装置15Cに対して、通常よりも低速にて荷物Wの移載を再開するよう指令する(すなわち、ステップS608を実行する)。
【0063】
また、上記の「現在の移載動作が完了するまでに一度でも第1エリアA1にて被検出物がされた場合」に、荷物Wの移載前(スタッカクレーン15の走行の中断前、スタッカクレーン15の走行の中断から荷物Wの移載開始前の間)に第1エリアA1で被検出物を検出した場合を含めてもよいし含めなくてもよい。
【0064】
このように、移載装置15Cがピッキングステーション3A〜3Eとの間で荷物Wの移載を行っている最中に、検出器5A〜5Eが第1エリアA1で被検出物を検出し移載装置15Cによる荷物Wの移載を停止した後に、第1エリアA1及び第2エリアA2において被検出物が検出されなくなった場合、移載装置15Cに対して、移載速度を減速させて荷物Wの移載を実行させることで、被検出物が第1エリアA1又は第2エリアA2に再度戻ってくる可能性を考慮して移載速度を減速できる。その結果、搬送システム100における安全をより確実に確保できる。
【0065】
その一方、上記以外の場合(ステップS607で「No」)、例えば、第2エリアA2で被検出物を検出後に当該被検出物を検出しなくなった場合、コントローラ9は、ステップS609において、移載装置15Cに対して、通常の移載速度で荷物Wの移載を実行するよう指令する。
これにより、搬送システム100において十分に安全が確保されている場合には、通常の移載速度にて荷物Wの移載を実行して、効率よく移載動作を実行できる。
【0066】
被検出物を検出しなくなった後に移載装置15Cを通常動作又は低速動作させて荷物Wの移載が終了するまで(すなわち、ステップS610又はステップS605で「Yes」となるまで)、上記のステップS601〜S609が繰り返し実行される。
【0067】
2.本実施形態の特徴
前記実施形態は下記のようにも説明できる。
搬送システム100(搬送システムの一例)は、ピッキングステーション3A〜3E(ピッキングステーションの一例)と、スタッカクレーン15(移載装置の一例)と、コントローラ9(コントローラの一例)と、を備えている。ピッキングステーション3A〜3Eでは、荷物W(荷物の一例)がピッキングされる。スタッカクレーン15は、ピッキングステーション3A〜3Eに荷物Wを搬送する。コントローラ9は、スタッカクレーン15を制御する。
ピッキングステーション3A〜3Eは、それぞれ、検出器5A〜5E(検出器の一例)を有する。検出器5A〜5Eは、ピッキングステーション3A〜3Eに近い第1エリアA1(第1エリアの一例)と、ピッキングステーション3A〜3Eに対して第1エリアA1よりも遠い位置に位置する第2エリアA2(第2エリアの一例)と、において、被検出物の有無を検出する。
コントローラ9は、スタッカクレーン15がピッキングステーション3A〜3Eとの間で荷物Wの移載を行っている最中に、検出器5A〜5Eが第2エリアA2で被検出物を検出するとスタッカクレーン15による荷物Wの移載速度を減速させ、検出器5A〜3Eが第1エリアA1で被検出物を検出するとスタッカクレーン15による荷物Wの移載を停止させるように制御する。
【0068】
この搬送システム100では、被検出物のピッキングステーション3A〜3Eへの距離に応じてスタッカクレーン15の制御を変更している。具体的には、被検出物とピッキングステーション3A〜3Eとの距離が近い場合には荷物Wの移載を停止する一方、この距離が比較的遠い場合には移載速度を減速させて荷物Wの移載を継続している。これにより、搬送システム100においては、安全を確保しつつ搬送効率の低下を防止できる。
【0069】
3.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
図8〜
図10に示したフローチャートの各ステップの実行順、及び/又は、各ステップの処理内容は、発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更できる。
【0070】
(A)上記の第1実施形態では、搬送装置は、天井に設置された天井レール13から懸垂されるスタッカクレーン15であったが、地上に設置されその上を搬送装置が走行する地上レール式の搬送装置であってもよい。
(B)上記の第1実施形態では、搬送システム100はラック11を備えていたが、これに限られず、ラック11を備えず、搬送装置とステーションとの間で荷物Wの移載をするシステムに対しても上記の第1実施形態で説明した移載装置の動作を適用できる。
【0071】
(C)ピッキングステーション3A〜3Eのそれぞれについて、被検出物の接近を検出するか否かを切り替え可能としてもよい。
【0072】
(D)上記の第1実施形態では、スタッカクレーン15が目標の移載位置に到達後に第1エリアA1及び第2エリアA2の両方で被検出物が検出されなくなるまでは荷物Wの移載が開始されなかった。
しかし、これに限られず、スタッカクレーン15が目標の移載位置に到達後、第1エリアA1で被検出物を検出している間は荷物Wの移載を開始しない一方、第2エリアA2で被検出物が検出されている場合には移載装置15Cを低速動作させて荷物Wの移載を開始してもよい。
【0073】
(E)上記の第1実施形態においては、作業効率の低下を防止するために、各検出器5A〜5Eについての第1エリアA1及び第2エリアA2は、他の検出器についての第1エリアA1及び第2エリアA2と重複しないように設定されていた。
しかし、これに限られず、作業効率の低下が大きくなければ、各検出器5A〜5Eについての第1エリアA1及び第2エリアA2の一部と、他の検出器についての第1エリアA1及び第2エリアA2の一部とが重複していてもよい。