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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-134150(P2021-134150A)
(43)【公開日】2021年9月13日
(54)【発明の名称】育毛用可食性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/05 20060101AFI20210816BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20210816BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210816BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20210816BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20210816BHJP
   A61K 31/4741 20060101ALI20210816BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20210816BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20210816BHJP
【FI】
   A61K31/05
   A61P17/14
   A61P43/00 121
   A61K31/352
   A61K31/165
   A61K31/4741
   A61K31/58
   A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-29280(P2020-29280)
(22)【出願日】2020年2月25日
(71)【出願人】
【識別番号】520064779
【氏名又は名称】医療法人社団名古屋Kクリニック
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 研二
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD07
4B018MD08
4B018MD18
4B018MD48
4B018MD58
4B018MD61
4B018ME14
4B018MF02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086CB22
4C086DA12
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA92
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206GA03
4C206GA28
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA92
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】高い育毛作用を有し、頭髪の脱毛症等、特に汎発性脱毛、全頭脱毛、円形脱毛症、女性型脱毛症に対して有効であり、しかも人体にやさしく副作用のない自然の成分を用いた、育毛用可食性組成物を提供する。
【解決手段】イソフラボン、カプサイシン、およびカンナビジオールを、有効成分として組み合わせてなり、さらに、デュタステリドおよびセファランチンの少なくとも一方を組み合わせる育毛用可食性組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソフラボン、カプサイシン、およびカンナビジオールを、有効成分として組み合わせてなり、さらに、デュタステリドおよびセファランチンの少なくとも一方を組み合わせることを特徴とする、育毛用可食性組成物。
【請求項2】
上記イソフラボン、カプサイシン、およびカンナビジオールを、重量比で、イソフラボン:カプサイシン:カンナビジオール=8:6:5〜80:6:50の割合で組み合わせてなる請求項1記載の育毛用可食性組成物。
【請求項3】
上記イソフラボンが、大豆由来のイソフラボンである請求項1または2記載の育毛用可食性組成物。
【請求項4】
上記カプサイシンが、唐辛子由来のカプサイシンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の育毛用可食性組成物。
【請求項5】
上記カンナビジオールが、麻由来のカンナビジオールである請求項1〜4のいずれか一項に記載の育毛用可食性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口摂取により頭髪の育毛作用が示される、育毛用可食性組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
頭髪の薄毛や抜け毛に悩む人は、男性はもとより、女性にも大勢いる。また、小児や若年層にみられる若年性脱毛症の悩みは、成人の薄毛や抜け毛の悩みよりも深刻である。そのようななか、従来行われている頭髪の薄毛や抜け毛の対処法としては、頭髪の薄毛や抜け毛に効果があるとされる、頭皮に直接塗布するタイプの薬液や化粧料を用いた対処法が、主流である(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
また、近年、頭髪の薄毛や抜け毛に効果があるとされる、経口摂取するタイプの薬剤として、フィナステリド、デュタステリド、セファランチン等も知られている。フィナステリドやデュタステリドは、男性ホルモンが、脱毛物質であるジヒドロテストステロン(DHT)に変化するのを抑制する薬剤であり、男性型脱毛症の治療に有効とされている。また、セファランチンは、円形脱毛症の治療に有効とされている。
【0004】
しかしながら、これらの薬剤の多くは、頭髪の薄毛、抜け毛の進行を抑える効果は得られても、育毛効果が著明に得られるものは少ないのが現状である。また、経口摂取するタイプの薬剤は、継続的に摂取することにより副作用を伴うことも多く、人体の健康上好ましくないものもあるため、注意が必要となる。
【0005】
そのようななか、本発明者は、イソフラボンとカプサイシンとを必須成分とし、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生および放出を有する育毛用可食性組成物を、既に開発している(特許文献4)。
イソフラボンは大豆に含まれる成分として一般的に知られており、カプサイシンは唐辛子に含まれる成分として一般的に知られている。また、これらの成分を組み合わせたものを継続的に摂取しても、人体の健康上なんら問題ないことが確認されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−92378号公報
【特許文献2】特開2003−321329号公報
【特許文献3】特開2004−224783号公報
【特許文献4】特許第4213617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、本発明者が、イソフラボンとカプサイシンを組み合わせた育毛用可食性組成物の効果について、各種症例に基づきあらためて検証したところ、上記育毛用可食性組成物は、男性型脱毛症には高い改善効果を示したものの、汎発性脱毛、全頭脱毛、円形脱毛症の改善効果は、男性型脱毛症の改善効果よりは概ね低い。そのため、本発明者は、上記育毛用可食性組成物には未だ改善の余地があることを知り、更なる研究を重ねた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高い育毛作用を有し、頭髪の脱毛症等、特に汎発性脱毛、全頭脱毛、円形脱毛症に対して有効であり、しかも人体にやさしく副作用のない自然の成分を用いた、育毛用可食性組成物の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。本発明者は、特許第4213617号において、イソフラボンとカプサイシンを組み合わせた可食性組成物が、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生および放出を著明に促進する作用を有することから、炎症性サイトカインであるTNF−αの過剰な産生を抑制するとともに、インスリン様成長因子を誘導することを見いだしている。そして、インスリン様成長因子は、毛包の成長を促進し、毛周期における休止期から成長期への移行と成長期の延長に関して重要な働きをしていると考えられることから、本発明者は、上記可食性組成物を育毛用途に適用している。
本発明者は、上記のイソフラボンとカプサイシンを組み合わせた可食性組成物において、その育毛作用をより活性化させることを目的とし、各種研究を重ねた結果、カンナビノイドの一種であるカンナビジオールを、イソフラボン、カプサイシンと併せて、患者に一定期間摂取させ続けた。その際、イソフラボンやカプサイシンと共に、デュタステリド、もしくはセファランチンの少なくとも一方を同時に摂取させた。その結果、イソフラボン、カプサイシンに加えて、デュタステリド、もしくは、セファランチンの併用では改善効果が充分ではなかった脱毛症の患者であっても、カンナビジオールの併用で、高い育毛効果が示されるようになることを突き止めた。そして、カンナビジオールも、イソフラボンやカプサイシンと同様、人体にやさしく副作用のない成分であり、また、これらを組み合わせても、人体の健康上なんら問題ないことが確認されたことから、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【0010】
しかるに、本発明は、以下の[1]〜[5]を、その要旨とする。
[1]イソフラボン、カプサイシン、およびカンナビジオールを、有効成分として組み合わせてなり、さらに、デュタステリドおよびセファランチンの少なくとも一方を組み合わせることを特徴とする、育毛用可食性組成物。
[2]上記イソフラボン、カプサイシン、およびカンナビジオールを、重量比で、イソフラボン:カプサイシン:カンナビジオール=8:6:5〜80:6:50の割合で組み合わせてなる、[1]に記載の育毛用可食性組成物。
[3]上記イソフラボンが、大豆由来のイソフラボンである、[1]または[2]に記載の育毛用可食性組成物。
[4]上記カプサイシンが、唐辛子由来のカプサイシンである、[1]〜[3]のいずれかに記載の育毛用可食性組成物。
[5]上記カンナビジオールが、麻由来のカンナビジオールである、[1]〜[4]のいずれかに記載の育毛用可食性組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の育毛用可食性組成物は、イソフラボン、カプサイシン、およびカンナビジオールを、有効成分として組み合わせたものであり、さらに、デュタステリドおよびセファランチンの少なくとも一方を組み合わせたものである。そのため、育毛効果が高く、しかも人体にやさしく副作用もない。また、上記各成分には、大豆、唐辛子、麻といった天然物に由来の成分を用いることができる。そして、本発明の育毛用可食性組成物は、男性型脱毛症をはじめ、汎発性脱毛、全頭脱毛、円形脱毛症等に対しても、高い改善効果が認められる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の症例における、患者の頭髪の状態の経緯を示す写真である。
図2】実施例2の症例における、患者の頭髪の状態の経緯を示す写真である。
図3】実施例3の症例における、患者の頭髪の状態の経緯を示す写真である。
図4】実施例4の症例における、患者の頭髪の状態の経緯を示す写真である。
図5】実施例5の症例における、患者の頭髪の状態の経緯を示す写真である。
図6】実施例6の症例における、患者の頭髪の状態の経緯を示す写真である。
図7】実施例7の症例における、患者の頭髪の状態の経緯を示す写真である。
図8】実施例8の症例における、患者の頭髪の状態の経緯を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0014】
本発明の育毛用可食性組成物は、先に述べたように、イソフラボン、カプサイシン、およびカンナビジオールを、有効成分として組み合わせたものであり、さらに、従来から使用されている、デュタステリドおよびセファランチンの少なくとも一方を組み合わせたものである。特に、本発明の育毛用可食性組成物は、上記各成分をすべて一つの可食性組成物中に含むように組み合わせたものであることが好ましい。このように上記各成分をすべて一つの可食性組成物中に含むよう組み合わせると、患者が、各有効成分を最適な用量・割合で摂取することが容易になるからである。なお、本発明の育毛用可食性組成物が、上記各成分を別々に含む可食性組成物を組み合わせたものであると、患者の症状によって各成分の用量・割合を変更することが容易となる。
【0015】
本発明に用いるイソフラボンの由来は、特に限定されるものではなく、たとえば大豆種子、葛根およびそれらを用いた食品などがあげられる。なかでも大豆の胚軸にはイソフラボンが多量に含まれるため都合がよい。また、納豆などの食品を用いることも可能である。
【0016】
上記イソフラボンには、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン、ダイズイン、ゲニスチン、グリシチン、6”−O−マロニルダイズイン、6”−O−マロニルゲニスチン、6”−O−マロニルグリシチン、6”−O−アセチルダイズイン、6”−O−アセチルゲニスチン、6”−O−アセチルグリシチンや納豆にみられる6”−O−サクシニルダイズイン、6”−O−サクシニルゲニスチン、6”−O−サクシニルグリシチンおよびプエラリンが含まれる。なお、上記の各種イソフラボンは、本発明において、単独であるいは二種以上併せて用いられる。
【0017】
濃度の高いイソフラボンを使用するため、大豆,大豆食品,大豆胚軸,葛根等の抽出物や、その精製物を用いることも可能である。イソフラボンを抽出する溶媒は、特に限定されるものではないが、水又はエタノールなどのアルコールを用いるのが好ましい。また、精製の方法は、合成吸着剤やイオン交換樹脂、限外ろ過などを使用することが可能であるが、特に限定されるものではない。抽出液又は精製液は、そのまま使用してもよいが、それらを濃縮した濃縮液、もしくは、抽出液又は精製液を乾燥したあと粉末化したものを使用してもよい。
【0018】
本発明に用いるカプサイシンの由来は、特に限定されるものではないが、唐辛子を用いることが望ましい。
【0019】
唐辛子に含まれるカプサイシン類としてカプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシンが知られている。なお、上記の各種カプサイシン類は、本発明において、単独であるいは二種以上併せて用いられる。
【0020】
唐辛子は粉砕、粉末化したものをそのまま使用することができるが、濃度の高いカプサイシンを使用するため工業的に製造された唐辛子抽出物を使用することも可能である。唐辛子を含水エタノールで抽出したトウガラシエキストラクト、ヘキサンやエーテルなどの主として非極性から中間極性有機溶剤で抽出したトウガラシオレオレジン、さらにトウガラシオレオレジンをエタノールで再抽出し、不溶物をろ別したトウガラシアブソリュートなどをその特性に応じて使用することができる。
【0021】
本発明に用いるカンナビジオールとしては、例えば、植物性カンナビジオールや、合成カンナビジオールがあげられる。そして、原料として豊富で、抽出方法も確立されており、さらに適正な抽出方法で抽出すれば人体に害のない安全性の高い製品が得られる等の観点から、大麻等の麻から抽出されるカンナビノイドの一種である、麻由来のカンナビジオールを用いることが望ましい。
上記カンナビジオールは、下記の化学式で示される。
【0022】
【化1】
【0023】
上記の、麻由来のカンナビジオールは、麻の、種子、茎、葉、花穂等の部位から、各種手法により抽出することができる。なお、大麻を原材料とするものであっても、大麻の種子や茎から抽出されるカンナビジオールは、日本法における規制対象物質には含まれない。カンナビジオールの抽出は、例えば、含水エタノール、ヘキサン、エーテル等を用いた液体抽出や、CO2を用いた超臨界流体抽出(SFE)等により行われる。
【0024】
本発明の育毛用可食性組成物は、上述のようにして得られたイソフラボン、カプサイシン、およびカンナビジオールを有効成分とするものであるが、一般には、これらを、適当な液状担体に溶解あるいは分散させたり、適当な粉末担体に混合させたりしたものとする。
【0025】
そして、本発明の育毛用可食性組成物全体に対し、上記イソフラボンが有効成分となり得るための含有割合は、液剤では0.001〜0.5重量%(以下、「%」と略す)の範囲であると好適であり、粉剤の場合は0.01〜80%の範囲であると好適であり、粒剤の場合は0.01〜40%の範囲であると好適である。また、本発明の育毛用可食性組成物全体に対し、上記カプサイシンが有効成分となり得るための含有割合は、液剤では0.0001〜0.05%の範囲であると好適であり、粉剤の場合は0.001〜5%の範囲であると好適であり、粒剤の場合は0.001〜5%の範囲であると好適である。また、本発明の育毛用可食性組成物全体に対し、上記カンナビジオールが有効成分となり得るための含有割合は、液剤では0.0003〜0.15%の範囲であると好適であり、粉剤の場合は0.003〜15%の範囲であると好適であり、粒剤の場合は0.003〜15%の範囲であると好適である。なお、本発明の育毛用可食性組成物を、上記各有効成分を別々に含む可食性組成物を組み合わせたものとする場合、服用する可食性組成物全体に対し上記に示す含有割合となるよう、組み合わせることが望ましい。また、上記のように、本発明の育毛用可食性組成物を、上記各有効成分を別々に含む可食性組成物を組み合わせたものとする場合、それらを全て同時に服用することが望ましい。
【0026】
また、本発明の育毛用可食性組成物全体に対する、上記イソフラボン、カプサイシン、およびカンナビジオールの比率は重要であり、重量比で、イソフラボン:カプサイシン:カンナビジオール=8:6:5〜80:6:50の割合で組み合わせることが好ましく、より好ましくは、イソフラボン:カプサイシン:カンナビジオール=15:6:10〜75:6:40、さらに好ましくは、イソフラボン:カプサイシン:カンナビジオール=20:6:10〜60:6:30、特に好ましくは、イソフラボン:カプサイシン:カンナビジオール=30:6:12〜40:6:20の割合で、組み合わせることである。すなわち、このような比率で含有していると、各有効成分の相乗作用により、カルシトニン遺伝子関連ペプチド産生および放出促進作用等が、効果的に得られるからである。
【0027】
本発明の育毛用可食性組成物の投与量は、投与される者の性別、体重、年齢等の条件に応じて適宜設定されるが、例えば、成人男性および成人女性に対し、1日当たりのイソフラボンの摂取量が、8〜80mgとなるようにすることが好ましく、15〜75mgとなるようにすることがより好ましく、20〜60mgとなるようにすることがさらに好ましい。また、成人男性および成人女性に対し、1日当たりのカプサイシンの摂取量が、2〜30mgとなるようにすることが好ましく、3〜20mgとなるようにすることがより好ましく、4〜10mgとなるようにすることがさらに好ましい。また、成人男性および成人女性に対し、1日当たりのカンナビジオールの摂取量が、5〜50mgとなるようにすることが好ましく、10〜40mgとなるようにすることがより好ましく、15〜30mgとなるようにすることがさらに好ましい。
【0028】
また、本発明の育毛用可食性組成物においては、イソフラボン、カプサイシン、カンナビジオールの他、デュタステリドおよびセファランチンの少なくとも一方も組み合わせて使用される。すなわち、イソフラボン、カプサイシン、カンナビジオールに対し、デュタステリドおよびセファランチンは、単独で使用しても併用してもよい。そして、デュタステリドを使用する場合、例えば、成人男性および成人女性に対し、1日当たりのデュタステリドの摂取量が、0.2〜3mgとなるようにすることが好ましく、0.3〜2mgとなるようにすることがより好ましく、0.4〜1mgとなるようにすることがさらに好ましい。また、セファランチンを使用する場合、1日当たりのセファランチンの摂取量が、40〜600mgとなるようにすることが好ましく、60〜400mgとなるようにすることがより好ましく、80〜200mgとなるようにすることがさらに好ましい。
【0029】
本発明の育毛用可食性組成物は、1日あたりの各成分の投与量が上記のような範囲となるよう、数回に分けて投与することができる。本発明の育毛用可食性組成物は、頭髪の薄毛、抜け毛の進行を抑えるだけではなく、その摂取から1〜3カ月程度で、頭髪のつやが改善され、髪の毛一本一本が、太さが増すことによりこしが出るようになり、場合によっては、地肌(頭皮)が隠れるほどの育毛効果が得られるようになる。さらに、摂取を続けることにより、新たな毛髪の発毛も促されるようになる。そして、本発明の育毛用可食性組成物は、男性型脱毛症をはじめ、汎発性脱毛、全頭脱毛、円形脱毛症等に対しても、高い改善効果が認められる。また、本発明の育毛用可食性組成物は、脱毛症の治療だけでなく、脱毛症の予防にも効果を示す。本発明の育毛用可食性組成物は、人体にやさしく副作用もないことから、上記のような予防のために継続して摂取しても、健康上何ら問題ない。
【0030】
なお、本発明の育毛用可食性組成物は、人間のみでなく、ペットや家畜等の動物においても、人間に投与した際にみられる育毛効果と同様の効果が期待されるものである。そして、その投与量も、投与対象とする動物の種類、体重、年齢等の条件に応じて適宜設定されるが、動物用飼料に本発明の育毛用可食性組成物を0.001〜5%の範囲で含有させ、1日当たり1〜500mg/kg体重の範囲で上記育毛用可食性組成物を摂取するよう投与することが好ましい。
【0031】
本発明の育毛用可食性組成物は、上記各成分の他、必要に応じ、フィナステリド、ポラプレジンク等の薬剤を組み合わせて用いてもよい。なお、上記薬剤は、単独であるいは二種以上併せて用いられる。
【0032】
また、本発明の育毛用可食性組成物には、任意成分として、甘味料、塩味料、酸味料、うまみ料などの調味料、乳化剤、分散剤、抗酸化剤、防腐剤、増粘剤、結合剤、香料等を含有させてもよい。さらに、本発明の育毛用可食性組成物を、錠剤、粉剤、顆粒剤等にする場合、本発明の育毛用可食性組成物に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、皮膜剤、滑沢剤、増量剤、希釈剤、pH調整剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、嬌味嬌臭剤、着色剤等を含有させてもよい。
【0033】
本発明の育毛用可食性組成物の剤形は、液剤、粉剤、顆粒剤、錠剤等、特に限定されるものではない。また、清涼飲料水等の飲料や、デザート、菓子、乳製品、麺類、パン類等の一般的な食品に、本発明の育毛用可食性組成物の有効成分を全て含有するようにして、本発明を適用させてもよい。
【実施例】
【0034】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
なお、以下の実施例における、パネラーによる育毛効果の点数評価は、次のようにして行った。すなわち、パネラー5人が、患者の頭髪の状態を実際に目視し、頭髪のつやが改善されているか、髪の毛一本一本が、太さが増すことによりこしが出るようになったか、地肌(頭皮)の隠れ具合が改善されているか、といったことを評価することにより、育毛効果がどの程度得られているかを、以下の基準に従い点数化し、その点数の平均を評価結果とした。
0点:育毛効果が全くみられない。
1点:よく見ると育毛効果がみられる。
2点:一見して育毛効果がわかる。
【0036】
〔実施例1〕
<男性型脱毛症の男性患者(40代)における症例>
図1の(a)に示すような状態の男性型脱毛症を患う、40代の男性患者に対し、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、デュタステリド摂取量が0.5mgとなるよう調製したサプリメントを投与した。なお、1日あたりの上記サプリメントは、3回に分けて、朝昼晩の食事の後に患者が摂取するようにした。
上記サプリメントの投与を6カ月行った結果、図1の(b)に示すように、殆ど男性型脱毛症の改善効果は認められなかった。なお、図1の(a)のときの頭髪の状態に比べ、図1の(b)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「1点」であった。
そこで、男性型脱毛症の改善効果を期待し、上記サプリメントに代えて、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、カンナビジオール摂取量が18.3mg、デュタステリド摂取量が0.5mgとなるよう調製したサプリメントを、上記と同様に、引き続き患者に6カ月投与した。
その結果、図1の(c)に示すような頭髪の状態になり、男性型脱毛症の明らかな改善効果が認められた。なお、図1の(b)のときの頭髪の状態に比べ、図1の(c)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「2点」であった。
【0037】
〔実施例2〕
<円形脱毛症の男性患者(20代)における症例>
図2の(a)に示すような状態の円形脱毛症を患う、20代の男性患者に対し、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを投与した。なお、1日あたりの上記サプリメントは、3回に分けて、朝昼晩の食事の後に患者が摂取するようにした。
上記サプリメントの投与を2カ月行った結果、図2の(b)に示すように、殆ど円形脱毛症の改善効果は認められなかった。なお、図2の(a)のときの頭髪の状態に比べ、図2の(b)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「1点」であった。
そこで、円形脱毛症の改善効果を期待し、上記サプリメントに代えて、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、カンナビジオール摂取量が18.3mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを、上記と同様に、引き続き患者に2カ月投与した。
その結果、図2の(c)に示すような頭髪の状態になり、特に丸印で囲った箇所に、円形脱毛症の明らかな改善効果が認められた。なお、図2の(b)のときの頭髪の状態に比べ、図2の(c)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「2点」であった。
【0038】
〔実施例3〕
<汎発性脱毛の女性患者(20代)における症例>
図3の(a)に示すような状態の汎発性脱毛を患う、20代の女性患者に対し、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを投与した。なお、1日あたりの上記サプリメントは、3回に分けて、朝昼晩の食事の後に患者が摂取するようにした。
上記サプリメントの投与を6カ月行った結果、図3の(b)に示すように、殆ど汎発性脱毛の改善効果は認められなかった。なお、図3の(a)のときの頭髪の状態に比べ、図3の(b)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「1点」であった。
そこで、汎発性脱毛の改善効果を期待し、上記サプリメントに代えて、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、カンナビジオール摂取量が18.3mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを、上記と同様に、引き続き患者に6カ月投与した。
その結果、図3の(c)に示すような頭髪の状態になり、汎発性脱毛の明らかな改善効果が認められた。なお、図3の(b)のときの頭髪の状態に比べ、図3の(c)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「2点」であった。
【0039】
〔実施例4〕
<汎発性脱毛の女性患者(50代)における症例>
図4の(a)に示すような状態の汎発性脱毛を患う、50代の女性患者に対し、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを投与した。なお、1日あたりの上記サプリメントは、3回に分けて、朝昼晩の食事の後に患者が摂取するようにした。
上記サプリメントの投与を3カ月行った結果、図4の(b)に示すように、殆ど汎発性脱毛の改善効果は認められなかった。なお、図4の(a)のときの頭髪の状態に比べ、図4の(b)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「1点」であった。
そこで、汎発性脱毛の改善効果を期待し、上記サプリメントに代えて、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、カンナビジオール摂取量が18.3mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを、上記と同様に、引き続き患者に3カ月投与した。
その結果、図3の(c)に示すような頭髪の状態になり、汎発性脱毛の明らかな改善効果が認められた。なお、図3の(b)のときの頭髪の状態に比べ、図3の(c)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「2点」であった。
【0040】
〔実施例5〕
<円形脱毛症の女性患者(10代)における症例>
図5の(a)に示すような状態の円形脱毛症を患う、10代の女性患者に対し、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを投与した。なお、1日あたりの上記サプリメントは、3回に分けて、朝昼晩の食事の後に患者が摂取するようにした。
上記サプリメントの投与を2カ月行った結果、図5の(b)に示すように、殆ど円形脱毛症の改善効果は認められなかった。なお、図5の(a)のときの頭髪の状態に比べ、図5の(b)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「1点」であった。
そこで、円形脱毛症の改善効果を期待し、上記サプリメントに代えて、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、カンナビジオール摂取量が18.3mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを、上記と同様に、引き続き患者に2カ月投与した。
その結果、図5の(c)に示すような頭髪の状態になり、円形脱毛症の明らかな改善効果が認められた。なお、図5の(b)のときの頭髪の状態に比べ、図5の(c)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「2点」であった。
【0041】
〔実施例6〕
<円形脱毛症の女性患者(30代)における症例>
図6の(a)に示すような状態の円形脱毛症を患う、30代の女性患者に対し、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを投与した。なお、1日あたりの上記サプリメントは、3回に分けて、朝昼晩の食事の後に患者が摂取するようにした。
上記サプリメントの投与を2カ月行った結果、図6の(b)に示すように、殆ど円形脱毛症の改善効果は認められなかった。なお、図6の(a)のときの頭髪の状態に比べ、図6の(b)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「1点」であった。
そこで、円形脱毛症の改善効果を期待し、上記サプリメントに代えて、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、カンナビジオール摂取量が18.3mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを、上記と同様に、引き続き患者に2カ月投与した。
その結果、図6の(c)に示すような頭髪の状態になり、特に丸印で囲った箇所に、円形脱毛症の明らかな改善効果が認められた。なお、図6の(b)のときの頭髪の状態に比べ、図6の(c)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「2点」であった。
【0042】
〔実施例7〕
<汎発性脱毛の女児患者(8歳)における症例>
図7の(a)に示すような状態の汎発性脱毛を患う、8歳の女児患者に対し、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを投与した。なお、1日あたりの上記サプリメントは、3回に分けて、朝昼晩の食事の後に患者が摂取するようにした。
上記サプリメントの投与を4カ月行った結果、図7の(b)に示すように、殆ど汎発性脱毛の改善効果は認められなかった。なお、図7の(a)のときの頭髪の状態に比べ、図7の(b)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「1点」であった。
そこで、汎発性脱毛の改善効果を期待し、上記サプリメントに代えて、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、カンナビジオール摂取量が18.3mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを、上記と同様に、引き続き患者に4カ月投与した。
その結果、図7の(c)に示すような頭髪の状態になり、特に丸印で囲った箇所に、汎発性脱毛の明らかな改善効果が認められた。なお、図7の(b)のときの頭髪の状態に比べ、図7の(c)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「2点」であった。
【0043】
〔実施例8〕
<全頭脱毛の女児患者(10歳)における症例>
図8の(a)に示すような状態の全頭脱毛を患う、10歳の女児患者に対し、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを投与した。なお、1日あたりの上記サプリメントは、3回に分けて、朝昼晩の食事の後に患者が摂取するようにした。
上記サプリメントの投与を4カ月行った結果、図8の(b)に示すように、殆ど全頭脱毛の改善効果は認められなかった。なお、図8の(a)のときの頭髪の状態に比べ、図8の(b)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「1点」であった。
そこで、全頭脱毛の改善効果を期待し、上記サプリメントに代えて、1日あたり、カプサイシン摂取量が6mg、イソフラボン摂取量が37.5mg、カンナビジオール摂取量が18.3mg、セファランチン摂取量が150mgとなるよう調製したサプリメントを、上記と同様に、引き続き患者に4カ月投与した。
その結果、図8の(c)に示すような頭髪の状態になり、特に丸印で囲った箇所に、全頭脱毛の明らかな改善効果が認められた。なお、図8の(b)のときの頭髪の状態に比べ、図8の(c)のときの頭髪の状態を、パネラー5人により実際に目視して、育毛効果を点数評価した結果、「2点」であった。
【0044】
以上のことから、いずれの実施例においても、イソフラボンとカプサイシンとカンナビジオールとを摂取したときに、著明な育毛効果が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の育毛用可食性組成物は、イソフラボンとカプサイシンとカンナビジオールを有効成分としており、インスリン様成長因子を誘導する働きを持つカルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生を促進することにより、頭髪等の育毛効果を奏する。そして、本発明の育毛用可食性組成物は、脱毛症の治療だけでなく、脱毛症の予防にも利用することができる。また、本発明の育毛用可食性組成物は、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの産生を促進することにより、インスリン様成長因子を誘導する働きを持つとともに、TNF−αなどの炎症性サイトカインの産生を抑える働きも示すことから、経口摂取により、生活習慣病等の疾病の予防や治療に利用することができる可能性もある。
図1
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