【解決手段】トンネル掘削機1は、筒状の掘削機本体10と、掘削機本体10の前端において回転可能に設けられるカッタヘッド11と、カッタヘッド11の後方に設けられる隔壁12と、カッタヘッド11および隔壁12により画成されるチャンバ17と、隔壁12に形成された排出口12aに連結される筒体22およびスクリュー羽根21を有するスクリューコンベヤ20と、スクリューコンベヤ20の筒体22の先端部内に形成され、掘削土砂に含まれる破砕対象物を収容可能な破砕スペース30と、筒体22内の破砕スペース30に対して進退可能に設けられる押圧部を有し、チャンバ17内から排出口12aを通じて破砕スペース30に移動した破砕対象物を、押圧部により押圧する少なくとも1つの押圧装置と、を備える。
前記スクリューコンベヤの前記筒体内の前記破砕スペースに対して、前記押圧装置の前記押圧部の進退方向である第1方向とは異なる第2方向に進退可能に設けられるロッドを有する削岩装置をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトンネル掘削機。
前記スクリューコンベヤにより前記掘削土砂を運搬するときには、前記スライド機構により前記スクリュー羽根を軸方向前方に前進させた状態で、前記スクリュー羽根を回転させる、請求項9に記載のトンネル掘削機。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0025】
<1.トンネル掘削機の全体構成>
本発明の一実施形態に係るトンネル掘削機は、例えば、破砕対象物を含む土砂層からなる地盤を掘削可能な土圧式(泥土圧式を含む。)のシールド掘削機である。ここで、破砕対象物は、トンネル掘削機による掘削途中に、掘削機本体内で破砕する対象となる異物である。当該異物は、例えば、掘削土砂に含まれる礫、粘土塊、流木等を含む。掘削対象の土砂層中に、大きなサイズの異物が含まれている場合、スクリューコンベヤ(排土装置)により当該異物を運搬および排出することが困難となる。
【0026】
このため、掘削土砂に含まれる異物(破砕対象物)を、スクリューコンベヤで運搬可能な小さいサイズに破砕した上で、掘削土砂とともに運搬、排出可能にすることが好ましい。そこで、本実施形態に係るトンネル掘削機は、異物(破砕対象物)を掘削機本体内の所定位置に確実に固定して破砕する機構を備えることを特徴としている。
【0027】
なお、以下の説明では、破砕対象物として主に巨礫の例を挙げて説明する。巨礫は、掘削土砂に含まれる礫のうち、トンネル掘削機が備えるスクリューコンベヤにより運搬することが不可能または困難な大きさを有する礫を意味する。
【0028】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係るトンネル掘削機1の概略構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るトンネル掘削機1を示す概略断面図である。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、[下]という表現は、トンネル延伸方向におけるトンネル掘削機1の進行方向を基準とした「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、[下]の方向を示すものとする。
【0029】
図1に示すように、本実施形態に係るトンネル掘削機1は、円筒状の掘削機本体10と、円盤状のカッタヘッド11と、カッタヘッド11の後方に配置される隔壁12と、カッタ回転軸13とを備える。
【0030】
カッタヘッド11は、掘削機本体10の前端に設けられる略円盤状の回転体である。カッタヘッド11の中心部には、カッタ回転軸13の前端が嵌入されており、カッタヘッド11は、カッタ回転軸13を中心に回転可能に軸支されている。
【0031】
カッタヘッド11は、外周リング11aと、内周リング11bと、カッタスポーク11cと、フィッシュテールカッタ11dと、カッタビット11eなどを有する。このうち、外周リング11aは、カッタヘッド11の外周部を形成しており、内周リング11bは、外周リング11aよりもカッタ径方向内側に配置されている。また、複数のカッタスポーク11cは、カッタヘッド11の前面において、カッタ回転軸13を中心として放射状に配置されている。カッタヘッド11の前面の中心部には、フィッシュテールカッタ11dが着脱可能に装着されている。さらに、カッタスポーク11cの前面には、多数のカッタビット11eが着脱可能に装着されている。
【0032】
そして、カッタヘッド11には、上記外周リング11a、内周リング11bおよびカッタスポーク11cの相互の間に、複数の開口部が形成されている。当該開口部は、カッタヘッド11によって地盤(切羽)を掘削した際に発生する掘削土砂を、掘削機本体10内(後述するチャンバ17内)に取り込むための掘削土砂取込口として機能する。
【0033】
掘削機本体10におけるカッタヘッド11よりも後方には、隔壁12が配置されている。隔壁12は、トンネル延伸方向に対して垂直に配置される円板状の壁体であり、隔壁12の外周縁は掘削機本体10の内周面10aに取り付けられる。カッタヘッド11と隔壁12は、トンネル延伸方向に所定間隔を空けて配置される。隔壁12の後方側には、トンネル掘削機1の各種設備が配置されており、隔壁12は、切羽で生じる掘削土砂から当該設備を隔離する。隔壁12の下部には、掘削土砂を排出するための開口部である排出口12aが形成されている。
【0034】
隔壁12の中心部には、カッタ回転軸13が回転可能に支持されている。さらに、隔壁12には、リング状の回転リング14が、カッタ回転軸13を中心として回転可能に支持されている。回転リング14の前部には、複数の連結ビーム15が周方向に所定の間隔で設けられている。複数の連結ビーム15は、カッタヘッド11と回転リング14を連結する。連結ビーム15の前端は、カッタヘッド11の内周リング11bとカッタスポーク11cとの接続部に連結されている。一方、回転リング14の後部には、外歯式のリングギヤ14aが設けられている。さらに、隔壁12の後方にはカッタ旋回用モータ16が設けられている。このカッタ旋回用モータ16の駆動ギヤ16aは、回転リング14のリングギヤ14aと噛み合っている。
【0035】
カッタ旋回用モータ16を駆動させることにより、その駆動ギヤ16aの回転がリングギヤ14aから回転リング14および連結ビーム15に伝達される。これにより、カッタヘッド11を、カッタ回転軸13を中心として回転させることができる。この結果、回転するカッタヘッド11の前面を地盤(切羽)に押し付けて、地盤を掘削することができる。
【0036】
カッタヘッド11と隔壁12との間には、チャンバ17が画成されている。チャンバ17は、カッタヘッド11の後面と、隔壁12の前面と、掘削機本体10の内周面10aとにより区画された、略円柱状の空間である。カッタヘッド11による地盤掘削に伴って発生する掘削土砂は、カッタヘッド11に貫通形成された上記開口部(掘削土砂取込口)を通じて、チャンバ17内に取り込まれる。チャンバ17は、掘削土砂を一時的に蓄えるための空間(室)として機能する。チャンバ17内に取り込まれた掘削土砂は、隔壁12の下部にある排出口12aを通じて、チャンバ17から後述のスクリューコンベヤ20内に排出される。
【0037】
また、掘削機本体10の隔壁12よりも後方側には、ビーム18が設けられる。ビーム18の両端は、掘削機本体10の内周面10aに取り付けられる。ビーム18の後面には、エレクタ装置(図示せず。)が設けられる。エレクタ装置は、掘削機本体10の軸方向、径方向および周方向(すなわち、トンネル延伸方向、径方向および周方向)に移動可能に設けられる。かかるエレクタ装置は、覆工部材であるセグメントSを把持可能であり、把持したセグメントSをトンネルTの内壁面(坑壁)に沿って組み立てる。
【0038】
セグメントSは、掘削されたトンネルTの内壁面に沿った湾曲形状を有する環片である。上記エレクタ装置を駆動させることにより、複数のセグメントSをトンネル周方向に沿ってリング状に組み立てることができる。これにより、トンネルTの内壁面が複数のセグメントSにより覆工され、内壁面の崩落を防止できる。
【0039】
さらに、掘削機本体10内には、複数の推進ジャッキ19が、内周面10aに沿って、トンネル延伸方向に延びるよう設けられる。複数の推進ジャッキ19は、内周面10aの周方向に所定の間隔で並設される。これらの推進ジャッキ19は、トンネル延伸方向に伸縮可能な駆動ロッド19aを有している。この駆動ロッド19aの先端は、既設のセグメントSの前端面と対向している。
【0040】
かかる推進ジャッキ19の駆動ロッド19aを、後方に向けて伸長し、セグメントSを押圧することにより、掘削機本体10に推進反力を付与することができる。すなわち、推進ジャッキ19がセグメントSを押圧したときに発生する推進反力によって、掘削機本体10は前進可能である。
【0041】
また、掘削機本体10内における隔壁12の後方側には、スクリューコンベヤ20が設けられる。スクリューコンベヤ20は、掘削機本体10内において、後方側に向かうにつれて上方に位置するように、傾斜して配置される。スクリューコンベヤ20の前端の開口部(後述する土砂取込口22a)は、上記隔壁12の排出口12aに接続されている。これにより、スクリューコンベヤ20の内部空間は、隔壁12の排出口12aおよび土砂取込口22aを通じてチャンバ17と連通する。スクリューコンベヤ20を駆動させることで、チャンバ17内に蓄えられた掘削土砂をスクリューコンベヤ20内に取り込んで、掘削機本体10の後方に向けて運搬、排出することができる。
【0042】
<2.スクリューコンベヤの構成>
次に、
図1を参照して、本実施形態に係るスクリューコンベヤ20およびその周辺構成について詳述する。
【0043】
図1に示すように、スクリューコンベヤ20は、スクリュー羽根21と、筒体22(前方筒体23および後方筒体24)と、駆動部25と、スライド機構26とを備える。
【0044】
スクリュー羽根21は、螺旋状の羽根を備えたスクリュー状の回転体であり、筒体22内に回転可能に設けられる。スクリュー羽根21の先端21aは自由端であり、スクリュー羽根21の後端は駆動部25に連結されている。駆動部25は、筒体22の後端に固定されている。当該駆動部25により、スクリュー羽根21が筒体22内で回転可能に支持される。
【0045】
スクリュー羽根21は、例えば、
図1に示すようなリボンタイプのスクリュー羽根であってもよいし、または、軸付タイプのスクリュー羽根(図示せず。)であってもよい。軸付タイプのスクリュー羽根は、回転中心に配置される軸と、当該軸周りに配置された螺旋状の羽根とを有する。この軸付タイプのスクリュー羽根は、螺旋状の羽根の面積を比較的広くできるので、掘削土砂の運搬効率に優れるという利点がある。一方、リボンタイプのスクリュー羽根は、回転中心に軸を有さず、螺旋状の羽根のみを有する。このリボンタイプのスクリュー羽根は、回転中心に軸がないので、比較的大きなサイズの礫等を取り込んで、運搬可能であるという利点がある。本実施形態のように、巨礫2等の異物を含む土砂層を掘削する場合には、できるだけ大きなサイズの異物を運搬可能にするために、スクリュー羽根21として、リボンタイプのスクリュー羽根を用いることが好ましい。
【0046】
筒体22は、スクリュー羽根21を内包する略円筒状のケーシングである。上述したように、スクリューコンベヤ20の筒体22は、掘削機本体10の後方側に向かうにつれ上方に位置するように、傾斜して配置されている。かかる筒体22内でスクリュー羽根21を回転させることにより、掘削土砂は、筒体22の内部空間を通じて、掘削機本体10の後方側、かつ斜め上方に向けて運搬される。このように運搬される掘削土砂は、筒体22により全周を囲まれた空間を移動するので、スクリューコンベヤ20外にこぼれ出すことがない。
【0047】
筒体22の前端の開口部である土砂取込口22aは、隔壁12に形成された排出口12aに連結されている。この土砂取込口22aは、チャンバ17内に蓄えられた掘削土砂を筒体22内に取り込むための開口部である。一方、筒体22の後端は、駆動部25に連結されている。さらに、筒体22の後部の周面(駆動部25の前方付近)の下部側には、土砂排出口22bが設けられる。この土砂排出口22bは、スクリュー羽根21により筒体22内の後方側に運搬された掘削土砂を、筒体22の外部に排出するための開口部である。土砂排出口22bから排出された掘削土砂等は、例えば、ベルトコンベヤ、運搬車等の別途の運搬装置(図示せず。)により、掘削機本体10のさらに後方に向けて運搬される。
【0048】
駆動部25は、スクリュー羽根21を回転駆動させるモータ等の駆動装置で構成される。駆動部25は、筒体22の後端に取り付けられ、スクリュー羽根21を回転可能に支持する。駆動部25によりスクリュー羽根21を回転させることで、スクリュー羽根21によって掘削土砂が筒体22内の前方側から後方側に向けて運搬される。
【0049】
ここで、
図1〜
図3を参照して、スクリューコンベヤ20に設けられるスライド機構26について詳述する。
図2は、本実施形態に係るスライド機構26によりスクリュー羽根21を前進させた状態を示す断面図である。
図3は、本実施形態に係るスライド機構26によりスクリュー羽根21を後退させた状態を示す断面図である。
【0050】
図1〜
図3に示すように、スライド機構26は、筒体22内でスクリュー羽根21を軸方向にスライドさせるための機構である。スライド機構26は、前方筒体23と、後方筒体24と、スライド用ジャッキ27と、回り止め装置28と、スペーサ29とを備える。
【0051】
本実施形態に係るスクリューコンベヤ20においては、スライド機構26を構成するために、筒体22が前方筒体23と後方筒体24とに分割されている。前方筒体23および後方筒体24はそれぞれ、両端が開口された略円筒状の部材である。そして、前方筒体23の後部と後方筒体24の前部が相互に重なり合うようにして、前方筒体23と後方筒体24とが軸方向にスライド可能に連結されている。すなわち、前方筒体23と後方筒体24とが重なり合う部分は、二重筒構造となっている。当該二重筒構造の部分では、例えば、前方筒体23よりも後方筒体24の方が大径である。前方筒体23の後部が内筒となり、後方筒体24の前部が外筒となるようにして、前方筒体23と後方筒体24とが相互に重なり合っている。
【0052】
そして、前方筒体23の前端の開口部が、上記隔壁12の排出口12aに連結される土砂取込口22aとなる。前方筒体23は、当該土砂取込口22aを通じてチャンバ17と連通している。また、後方筒体24の後端に上記駆動部25が装着されており、後方筒体24の後部の周面に上記土砂排出口22bが設けられている。
【0053】
前方筒体23は、掘削機本体10に固定された固定部材であるのに対し、後方筒体24は、軸方向にスライド可能に設けられた可動部材である。前方筒体23は、掘削機本体10に対して直接的に固定されてもよいし、隔壁12を介して間接的に掘削機本体10に対して固定されてもよい。本実施形態に係るスライド機構26は、前方筒体23(固定部材)と後方筒体24(可動部材)とが軸方向に伸縮可能に連結され、後方筒体24およびスクリュー羽根21が前方筒体23に対して軸方向に相対的にスライド可能な構造を有する。かかるスライド機構26を実現するために、筒体22の外周面にスライド用ジャッキ27および回り止め装置28が設置されている。さらに、必要に応じて、前方筒体23と後方筒体24との相対移動を制限するためのスペーサ29が、筒体22の外周面に対して着脱可能に装着される。
【0054】
スライド用ジャッキ27は、例えば、筒体22の外周面に、筒体22の軸方向(長手方向)に延びるように配置される。
図1〜
図3の例では、説明の便宜上、筒体22の上側に1つのスライド用ジャッキ27が設けられた状態を図示しているが、筒体22の周方向に間隔を空けて複数のスライド用ジャッキ27が設けられてもよい。スライド用ジャッキ27の設置数や配置は、図示の例に限定されず、適宜変更可能である。
【0055】
スライド用ジャッキ27は、
図1〜
図3に示すように、シリンダ27aと、当該シリンダ27aに対して伸縮可能なピストンロッド27bとを備える。スライド用ジャッキ27のシリンダ27aの前端は、前方筒体23の外周面に固定され、スライド用ジャッキ27のピストンロッド27bの後端は、後方筒体24の外周面に固定される。かかる構成により、スライド用ジャッキ27の伸長/収縮に応じて、前方筒体23に対して後方筒体24を軸方向に相対移動(すなわち、スライド)させることができる。
【0056】
回り止め装置28は、前方筒体23と後方筒体24とが相対的に回転することを防止するための装置である。回り止め装置28は、例えば、筒体22の外周面の下部側において、前方筒体23と後方筒体24との間に跨って配置される。ただし、回り止め装置28の設置数や配置は、図示の例に限定されず、適宜変更可能である。
【0057】
回り止め装置28は、
図1〜
図3に示すように、固定部28aと、レール部28bと、可動部28cとを備える。固定部28aは、前方筒体23の外周面に固定される。レール部28bは、筒体22の軸方向に延伸して配置され、固定部28aにより支持される。レール部28bの前端は、固定部28aに固定される。可動部28cは、後方筒体24の外周面に固定されるとともに、レール部28bに対して軸方向にスライド可能に取り付けられる。上記スライド用ジャッキ27の伸縮に応じて、前方筒体23に対して後方筒体24を軸方向にスライドさせたときに、可動部28cはレール部28bに沿って軸方向にスライドする。かかる構成を有する回り止め装置28によって、前方筒体23に対して後方筒体24を軸方向にスライドさせるときに、前方筒体23と後方筒体24とが相互に周方向に回転することを防止できる。
【0058】
スペーサ29は、
図3に示すように、筒体22の外周面に着脱可能に取り付けられる環状部材である。スペーサ29は、前方筒体23と後方筒体24との軸方向の相対移動を制限する機能を有する。詳細には、前方筒体23の後部側の外周面には、環状のフランジ23aが突設されており、後方筒体24の前端部の外周面にも、環状のフランジ24aが突設されている。
図3に示すように、後方筒体24を後方にスライドさせたときに、スペーサ29は、前方筒体23のフランジ23aと後方筒体24のフランジ24aとの間に挟持されるように装着される。かかるスペーサ29を装着することにより、後方筒体24が、スクリューコンベヤ20の振動等により、前方筒体23側に向けて斜め下向きにずれ落ちることを防止できる。
【0059】
<3.スクリュー羽根のスライド動作>
ここで、
図2および
図3を参照して、上記構成のスライド機構26の動作とスクリュー羽根21の配置について、より詳細に説明する。
【0060】
スライド機構26のスライド用ジャッキ27を収縮させることにより、
図2に示すように、後方筒体24が前方筒体23に対して軸方向前方にスライドする。この結果、筒体22は全体として軸方向に収縮する。このとき、前方筒体23のフランジ23aと後方筒体24のフランジ24aとが当接するため、前方筒体23に対する後方筒体24の軸方向前方へのさらなる移動が制限される。
【0061】
このように後方筒体24を軸方向前方にスライドさせた場合、後方筒体24に固定された駆動部25に連結されているスクリュー羽根21は、後方筒体24とともに軸方向前方にスライドし、筒体22内を前進する。この結果、
図2に示すように、スクリュー羽根21は前進位置に配置され、スクリュー羽根21の先端21aは、筒体22の前端の排出口12aから突出して、チャンバ17内に配置される。
【0062】
このようにスクリュー羽根21が前進位置に配置されているときに、スクリュー羽根21を回転させることで、チャンバ17内に蓄えられている掘削土砂を、効率的に筒体22内に取り込んで、後方に運搬することができる。したがって、スクリューコンベヤ20により掘削土砂を運搬するときには、
図2に示すように、スライド機構26によりスクリュー羽根21を前進させて、前進位置に配置することが好ましい。
【0063】
一方、スライド用ジャッキ27を伸長させることにより、
図3に示すように、前方筒体23に対して後方筒体24が軸方向後方にスライドする。この結果、筒体22は全体として軸方向に伸長する。この伸長状態で、上記スペーサ29を筒体22の外周面に取り付けることによって、前方筒体23に対する後方筒体24の軸方向前方への移動を制限して、筒体22の伸長状態を維持できる。
【0064】
このように後方筒体24を軸方向後方にスライドさせた場合、スクリュー羽根21は、後方筒体24とともに軸方向後方にスライドし、筒体22内を後退する。この結果、
図3に示すように、スクリュー羽根21は後退位置に配置され、スクリュー羽根21の先端21aは、筒体22(前方筒体23)の先端部内に引き込まれて、排出口12aおよび土砂取込口22aから後方に所定距離だけ後退した位置に配置される。
【0065】
このように、スクリュー羽根21を後退位置まで後退させたときには、筒体22(前方筒体23)の先端部内に、スクリュー羽根21が存在しない中空のスペース30が形成される。このスペース30は、巨礫2等の破砕対象物をチャンバ17以外の所定位置に固定して破砕するための破砕スペース(以下、破砕スペース30と称する。)として有効活用することができる。破砕スペース30は、
図3の一点鎖線で示すように、スクリューコンベヤ20の筒体22の先端部の内部空間のうち、筒体22の前端の土砂取込口22aから後方側に所定距離だけ離れた位置までの中空空間を指す。破砕スペース30は、筒体22の内径以下のサイズの巨礫2等の破砕対象物を収容可能である。
【0066】
したがって、掘削土砂に含まれる巨礫2等の破砕対象物を破砕するときには、スクリュー羽根21の回転を停止させ、
図3に示すようにスクリュー羽根21を軸方向後方に後退させて、後退位置に配置し、筒体22の先端部内にスクリュー羽根21が存在しない破砕スペース30を形成することが好ましい。筒体22の先端部内に破砕スペース30を確保することにより、筒体22の内径以下のサイズの巨礫2等の破砕対象物を、チャンバ17から筒体22の先端部内に導入することができる。この破砕スペース30に破砕対象物を配置すれば、後述する押圧装置により破砕対象物を押圧して所定位置に確実に固定した状態で、当該押圧装置または後述する削岩装置により破砕対象物を好適に破砕できるようになる。
【0067】
なお、上記のようなスライド機構26を設けなくても、筒体22の先端部内に破砕スペース30を確保することは可能である。スライド機構26を設けない場合には、スライド機構26を設ける場合と比べてスクリュー羽根21の全長を短くし、筒体22の先端部内においてスクリュー羽根21の先端21aが破砕スペース30よりも後方側に位置するように、スクリュー羽根21を配置する構造にすればよい。これにより、スライド機構26を設けなくても、筒体22の先端部内に破砕スペース30を確保することができる。
【0068】
次に、チャンバ17内に存在する巨礫2等の破砕対象物を、筒体22の先端部内の破砕スペース30に移動させる方法例について説明する。
【0069】
図2に示すようにスクリュー羽根21を前進させた状態から、
図3に示すようにスクリュー羽根21を後退させて筒体22内に引き込むことにより、筒体22の先端部内に、スクリュー羽根21が存在しない破砕スペース30が生じる。この状態で、カッタヘッド11を回転させることにより、カッタヘッド11の後面に設けられた撹拌翼(図示せず。)により、チャンバ17内に堆積している掘削土砂を撹拌する。このとき、チャンバ17内の下部に存在する巨礫2を、当該撹拌翼により筒体22内の破砕スペース30に押し込むことができる。
【0070】
また、スクリュー羽根21を後退させて筒体22内に引き込むことにより、それに引き連れられて、チャンバ17内の掘削土砂が排出口12aを通じて筒体22内に流動する。この掘削土砂の流動とともに巨礫2も、チャンバ17内から筒体22内の破砕スペース30に移動させることができる場合もある。
【0071】
さらに、トンネル掘削機1では、チャンバ17内の掘削土砂には土圧、泥土圧が作用している。また、当該土圧等が小さい場合でも、掘削土砂の自重により、チャンバ17下部の排出口12a付近の掘削土砂には圧力が作用している。これらの土圧等や自重による圧力によっても、掘削土砂とともに巨礫2をチャンバ17内から筒体22内の破砕スペース30に移動させることができる。
【0072】
また、チャンバ17内の巨礫2を、排出口12aを通じて筒体22内に強制的に移動させるために、別途の追加装置(例えば押し込み装置)をチャンバ17または隔壁12等に設けてもよい。この追加装置により、チャンバ17内の巨礫2を筒体22内の破砕スペース30に確実に移動させることができる。
【0073】
<4.ゲート装置の構成と動作>
次に、
図4、
図5を参照して、本実施形態に係るゲート装置31について説明する。
図4は、本実施形態に係るスクリューコンベヤ20の先端部周辺を示す拡大断面図である。
図5は、
図4のA−A矢視図である。なお、
図4では、スクリュー羽根21の図示は省略している。
【0074】
図4に示すように、スクリューコンベヤ20の筒体22(前方筒体23)の先端と隔壁12との連結箇所において、筒体22の前端の土砂取込口22aと、隔壁12に形成された排出口12aとが連続して配置されている。当該排出口12a(土砂取込口22a)を通じて、隔壁12の前方にあるチャンバ17と、隔壁12の後方にある筒体22の内部空間とが連通している。
【0075】
かかる排出口12aに、ゲート装置31が設けられる。ゲート装置31は、チャンバ17と筒体22の内部空間とを連通する排出口12a(土砂取込口22a)を開閉するための装置である。
【0076】
図5に示すように、ゲート装置31は、左右一対のゲート板32、33と、上下一対のガイド部34、35と、左右一対のゲート用ジャッキ36、37とを備える。
【0077】
ゲート板32、33は、例えば矩形状の板体からなり、略左右両側にスライド可能に設けられる。
【0078】
ガイド部34、35は、互いに上下方向に離間して配置される。ガイド部34の下面側のレール面34aと、ガイド部35の上面側のレール面35aは、相互に対向しており、ともにV字状に形成されている。ゲート板32、33の上面および下面は、ガイド部34、35のレール面34a、35aに嵌合可能な形状を有する。また、ゲート板32、33は、ガイド部34、35に嵌合しつつ、ゲート板32、33の正対する内側面が互いに隙間なく接触可能な形状を有する。ゲート板32、33は、ガイド部34、35によりガイドされながら、所定方向(例えば、V字状に形成されたガイド部34、35のレール面34a、35aの傾き方向)にスライド可能である。
【0079】
ゲート用ジャッキ36、37はそれぞれ、ゲート板32、33に対応して設けられる。ゲート用ジャッキ36、37は、例えば、油圧、空圧または電動式のアクチュエータで構成され、ゲート板32、33をスライドさせるための駆動力を発生させる。図示の例では、一側のゲート板32に対応して2つのゲート用ジャッキ36、36が設置され、他側のゲート板33に対応して2つのゲート用ジャッキ37、37が設置されている。なお、ゲート用ジャッキ36、37の設置数は、かかる例に限定されず、1つまたは3つ以上であってもよい。また、ゲート板32、33をスライド移動させるための移動機構は、本実施形態に係るゲート用ジャッキ36、37の例に限定されず、例えば、他の種類のアクチュエータ、ボールねじ機構とモータとの組合せなど、任意の移動機構を用いることができる。
【0080】
ゲート用ジャッキ36、37はそれぞれ、シリンダ36a、37aと、当該シリンダ36a、37aに対して伸縮自在なピストンロッド36b、37bとを備える。シリンダ36a、37aは、例えば隔壁12に固定されている。ピストンロッド36b、37bの先端は、ゲート板32、33に取り付けられている。ピストンロッド36b、37bの伸縮方向は、ゲート板32、33のスライド方向と一致している。
【0081】
かかる構成により、ゲート用ジャッキ36、37によりゲート板32、33をガイド部34、35に沿ってスライドさせて、ゲート装置31を開閉することができる。ゲート装置31を開閉することで、排出口12a(土砂取込口22a)が開放または閉塞される。
【0082】
詳細には、ゲート板32、33が
図5の実線で示す位置にある場合は、ゲート装置31が閉状態となり、排出口12aがゲート板32、33により閉塞される。これにより、チャンバ17と筒体22の内部空間とが遮断された状態となる。一方、ゲート板32、33が
図5の二点鎖線で示す位置にある場合は、ゲート装置31が開状態となり、排出口12aが開放される。これにより、チャンバ17と筒体22の内部空間とが連通した状態となる。
【0083】
スクリューコンベヤ20により掘削土砂を運搬するときには、ゲート装置31を開状態にして、排出口12aを開けて、スクリュー羽根21を回転させる。これにより、チャンバ17内の掘削土砂が、排出口12aを通じてスクリューコンベヤ20の筒体22内に取り込まれ、その後、筒体22内の後方に運搬される。
【0084】
一方、掘削土砂を運搬しないときや、掘削土砂に含まれる巨礫2等の破砕対象物を破砕するときには、ゲート装置31により排出口12aを閉めて、スクリュー羽根21の回転を停止させることが好ましい。これにより、スクリューコンベヤ20の筒体22内の掘削土砂や巨礫2がチャンバ17側に逆流しないようにできる。したがって、筒体22の先端部内の破砕スペース30に収容した巨礫2等の破砕対象物が、チャンバ17側に逃げないように、その移動を制限できる。このため、筒体22内の破砕スペース30において巨礫2等の破砕対象物を好適に破砕できるようになる。
【0085】
<5.押圧装置の構成>
次に、
図6、
図7を参照して、本実施形態に係る押圧装置40について説明する。
図6は、
図4のB−B断面図である。
図7は、
図4のC−C断面図である。なお、
図6、
図7では、スクリュー羽根21の図示は省略してある。
【0086】
図6および
図7に示すように、本実施形態に係るトンネル掘削機1は、例えば、2つの押圧装置40A、40B(以下、押圧装置40と総称する場合もある。)を備える。押圧装置40は、筒体22内の破砕スペース30において巨礫2等の破砕対象物を押圧する。押圧装置40は、かかる押圧動作により、破砕スペース30の所定位置に巨礫2を固定する固定装置としての機能と、当該巨礫2に圧縮力を負荷して破砕する破砕装置としての機能とを有する。
【0087】
本実施形態に係る押圧装置40は、例えば、対象物を押圧することより破砕可能な破砕装置(クラッシャー)、より具体的には、油圧式のクラッシャージャッキで構成することができる。しかし、押圧装置40は、かかる例に限定されず、電動式または空圧式の破砕装置(クラッシャー)などで構成されてもよい。あるいは、押圧装置40は、破砕対象物を少なくとも一方向から押圧可能な装置であれば、公知の各種の押圧装置で構成されてもよい。
【0088】
本実施形態に係る押圧装置40A、40Bはそれぞれ、ベース部41A、41Bと、シリンダ42A、42Bと、ピストンロッド43A、43Bと、押圧部44A、44Bと、ケーシング45A、45Bとを備える。なお、以下の説明では、これら各部をそれぞれ、ベース部41、シリンダ42、ピストンロッド43、押圧部44、ケーシング45と総称する場合もある。
【0089】
ベース部41は、掘削機本体10に取り付けられ、押圧装置40全体を支持する。例えば、ベース部41は、前方筒体23を介して間接的に掘削機本体10に取り付けられてもよいし、直接的に掘削機本体10に取り付けられてもよい。ベース部41を間接的または直接的に掘削機本体10に固定することにより、押圧装置40により巨礫2を押圧するための反力を得ることができる。
【0090】
シリンダ42およびピストンロッド43は、例えば、油圧、空圧または電動式のアクチュエータで構成され、押圧部44を進退させるための駆動力を発生させる。シリンダ42内に設けられた油圧機構等の駆動力により、シリンダ42はピストンロッド43に対して軸方向に伸縮する。ピストンロッド43の一端はベース部41に固定され、ピストンロッド43の他端はシリンダ42内に配置される。シリンダ42がピストンロッド43に対して伸縮することにより、シリンダ42がベース部41に対して軸方向に相対移動する。
【0091】
シリンダ42の前方筒体23側の先端には、押圧部44が設けられている。押圧部44は、押圧装置40の先端に設けられ、巨礫2等の破砕対象物に押し当てられる押圧部材(押圧ヘッド)である。
【0092】
押圧部44は、例えば、シリンダ42よりも拡径された円板状の部材で構成してもよい。このように押圧部44を円板状にして押圧面の面積を広くすれば、巨礫2等の破砕対象物を押圧および挟持しやすくなるので好ましい。しかし、押圧部44の形状は、図示の例に限定されず、破砕対象物に当接して押圧可能な形状であれば、矩形板状、ロッド状、錘状、鉤状など、任意の形状であってもよい。また、押圧部44の先端の押圧面(破砕対象物に当接する面)は、平坦面であってもよいが、塊状の巨礫2等の形状に合わせて、中央部が凹んだ湾曲面、略球面などであってもよい。
【0093】
押圧部44は、前方筒体23内の破砕スペース30に向けて進退可能に設けられ、破砕スペース30に配置された巨礫2を押圧する。シリンダ42の伸縮方向と、押圧部44の進退方向とは同一であり、当該方向が、破砕対象物を押圧する押圧方向(第1方向)となる。ピストンロッド43に対してシリンダ42を伸長させれば、押圧部44は、押圧方向に沿って、前方筒体23内の破砕スペース30に向けて前進し、破砕スペース30内の押圧位置(
図6、
図7の二点鎖線で示す位置)に配置される。一方、ピストンロッド43に対してシリンダ42を収縮させれば、押圧部44は、押圧方向に沿って、破砕スペース30から前方筒体23の外部に向けて後退し、退避位置(
図6、
図7の実線で示す位置)に配置される。
【0094】
なお、2つの押圧部44A、44Bが相互に接触しないように、当該押圧部44A、44Bの押圧位置(
図6、
図7の二点鎖線で示す位置)を調整することが好ましい。押圧部44A、44Bを進退させる目的は巨礫2等の破砕対象物を破砕するためであり、この目的のためには、2つの押圧部44A、44Bが相互に接触する必要はない。また、2つの押圧部44A、44Bが相互に接触する構造であると、破砕対象物の破砕とは無関係なときでも、押圧装置40に無駄に押圧負荷をかけることになるので、2つの押圧部44A、44Bが相互に接触しない構造であることが好ましい。
【0095】
なお、押圧部44の進退方向(押圧方向)の進退量(ストローク)を検出する検出装置(ストロークセンサなど)を、押圧装置40に設けてもよい。そして、押圧部44の進退量(具体的には、ピストンロッド43及びベース部41に対するシリンダ42の移動量)をストロークセンサなどで計測することが好ましい。これにより、破砕対象物を押圧したときの押圧部44のストローク値を確認することによって、破砕対象物の破砕直前の大きさや、破砕対象物の破砕後の大きさ、破砕対象物を破砕できたかどうかなどの破砕状況を確認することができる。
【0096】
例えば、押圧部44が装着されているシリンダ42を動かしている油圧圧力と、押圧部44のストロークとを関係付けて計測してもよい。これにより、油圧圧力が上昇し始めたときが、押圧部44が破砕対象物に当たり始めたときであると分かるので、そのときのストローク値に基づいて、破砕対象物の破砕直前の大きさを把握することができる。また、、押圧部44を押圧方向に移動させて破砕対象物に押圧力を作用させている状態で、押圧部44が停止した位置(当該停止時の押圧部44のストローク値)が確認できれば、破砕対象物の破砕後(押圧力作用時)の大きさが分かるので、破砕対象物を破砕できたかどうかを確認することができる。
【0097】
ここで、上記のように破砕対象物の破砕直前の大きさを把握することができれば、例えば、破砕対象物の大きさが、押圧装置40を稼働させなくてもスクリューコンベヤ20により排出できるサイズである場合に、押圧装置40を稼働させる必要がないと判断することができようになるというメリットがある。また、上記のように破砕対象物の破砕後(押圧力作用時)の大きさを確認することができれば、例えば、スクリューコンベヤ20により排出できるサイズまで破砕対象物を破砕できたかどうかを確認でき、また、破砕対象物のサイズがまだ大きいため、押圧装置40の稼働を継続する必要があるかどうかや、後述する削岩装置60による対応の要否などを判断できる、というメリットもある。
【0098】
ケーシング45は、前方筒体23の外部に取り付けられ、上記の押圧部44、シリンダ42およびピストンロッド43の一部または全部を覆う。
【0099】
図6および
図7に示すように、本実施形態では、スクリューコンベヤ20の前方筒体23の外側に、当該前方筒体23に隣接して、2つの押圧装置40A、40Bが配置されている。押圧装置40A(第1押圧装置)は、前方筒体23の先端部の破砕スペース30の一側(例えば、前方筒体23の左側)に配置されている。押圧装置40B(第2押圧装置)は、当該破砕スペース30の他側(例えば、前方筒体23の右側)に配置されている。このように、押圧装置40Aと押圧装置40Bは、前方筒体23の先端部の左右両側に、水平方向に相互に正対するように配置される。
【0100】
そして、押圧装置40A、40Bの押圧部44A、44Bはそれぞれ、前方筒体23の内部の破砕スペース30に向けて進退可能である。押圧部44A、44Bを前方筒体23の内部に挿入可能にするために、前方筒体23の周面には、2つの挿入口50A、50B(第1挿入口)が貫通形成されている。
【0101】
挿入口50A、50Bはそれぞれ、前方筒体23の外部から内部に押圧部44A、44Bを挿入するための開口部である。挿入口50A、50Bは、押圧部44A、44Bを挿入可能な大きさおよび形状を有している。挿入口50A、50Bの形状は、押圧部44A、44Bの形状に合わせて、例えば円形であるが、楕円形など任意の形状に変更可能である。
【0102】
図6および
図7に示すように、挿入口50A、50Bは、前方筒体23の周面において、破砕スペース30の左右両側に対向する位置に形成される。各挿入口50A、50Bに対応する位置に、押圧装置40A、40Bが配置される。
【0103】
さらに、挿入口50A、50B(以下、挿入口50と総称する場合もある。)を開閉する開閉装置(第1開閉装置)を設置することが好ましい。挿入口50の開閉装置としては、例えば、ゲート装置、バルブ、シャッター装置など、任意の開閉装置を使用することができる。
【0104】
ここで、
図8、
図9を参照して、本実施形態に係る挿入口50の開閉装置の具体例について詳述する。
図8は、本実施形態に係る開閉装置51A、51Bにより挿入口50A、50Bを閉めた状態で、スクリューコンベヤ20により掘削土砂を運搬する動作を示す模式図である。
図9は、本実施形態に係る開閉装置51A、51Bにより挿入口50A、50Bを開けた状態で、押圧装置40により巨礫2を破砕する動作を示す模式図である。
【0105】
図8、
図9に示すように、スクリューコンベヤ20の前方筒体23の先端部の周面に、2つの挿入口50A、50Bをそれぞれ開閉する2つの開閉装置51A、51B(以下、開閉装置51と総称する場合もある。)が設けられている。開閉装置51A、51Bは、例えば、スライド式のゲート装置で構成される。
【0106】
開閉装置51A、51Bはそれぞれ、ゲート板52A、52Bと、開閉用ジャッキ53A、53Bとを備える。開閉用ジャッキ53A、53Bはそれぞれ、シリンダ54A、54Bと、当該シリンダ54A、54Bに対して伸縮自在なピストンロッド55A、55Bとを備える。なお、以下の説明では、これら各部を、ゲート板52、開閉用ジャッキ53、シリンダ54、ピストンロッド55と総称する場合もある。
【0107】
ゲート板52は、例えば、挿入口50に対応する形状を有する板体からなる。ゲート板52は、挿入口50の周辺に配置され、例えば、スクリューコンベヤ20の軸方向にスライド可能に設けられる。ゲート板52は、挿入口50を閉塞する蓋体として機能する。
【0108】
開閉用ジャッキ53は、ゲート板52に対応して設けられる。開閉用ジャッキ53は、例えば、油圧、空圧または電動式のアクチュエータで構成され、ゲート板52をスライドさせるための駆動力を発生させる。開閉用ジャッキ53は、シリンダ54と、当該シリンダ54に対して伸縮自在なピストンロッド55とを備える。シリンダ54は、例えば前方筒体23の外周面に固定されている。ピストンロッド55の先端は、ゲート板52に固定されている。
図8に示すように、ピストンロッド55を伸長すれば、ゲート板52が軸方向前方にスライドし、挿入口50を閉塞する位置に配置される。一方、
図9に示すように、ピストンロッド55を収縮すれば、ゲート板52が軸方向後方にスライドし、挿入口50を開放する位置に配置される。
【0109】
かかる構成の開閉装置51は、開閉用ジャッキ53によりゲート板52をスクリューコンベヤ20の軸方向にスライドさせて、挿入口50を開閉可能である。ここで、開閉装置51は、トンネル掘削機1やスクリューコンベヤ20の動作状態に応じて挿入口50を開閉することができる。
【0110】
詳細には、
図8に示すように、スクリューコンベヤ20により掘削土砂を運搬するときには、押圧装置40の押圧部44を前方筒体23外に退避させた状態で、開閉装置51のゲート板52により挿入口50を閉める。これにより、スクリューコンベヤ20内を運搬される掘削土砂が、挿入口50を通じて外部に流出することを防止できる。
【0111】
一方、
図9に示すように、前方筒体23内の破砕スペース30において巨礫2等の破砕対象物を破砕するときには、開閉装置51のゲート板52をスライドさせて挿入口50を開ける。これにより、押圧装置40の押圧部44を、前方筒体23の外部から挿入口50を通じて前方筒体23の内部に挿入して、破砕スペース30に進入させることが可能になる。そして、押圧装置40の押圧部44を、挿入口50を通じて押圧方向に前進させて、破砕スペース30に配置された巨礫2等の破砕対象物に押し当てる。この結果、左右一対の押圧装置40A、40Bの押圧部44A、44Bにより、巨礫2等の破砕対象物を両側から挟持するように押圧して、破砕できる。
【0112】
ここで、押圧装置40は、左右両側から挟み込むようにして巨礫2等の破砕対象物に圧縮応力を付与することにより、破砕対象物を破砕(すなわち、圧縮破壊)する。例えば、破砕対象物が礫である場合、押圧装置40は、押圧により礫を押し割ることができる。また、破砕対象物が土塊である場合、押圧装置40は、押圧により土塊を押し崩すことができる。ただし、破砕対象物が硬質、高強度の礫などの異物である場合などには、押圧装置40の押圧力より破砕対象物を破砕できないこともありうる。この場合には、押圧装置40により破砕対象物を両側より挟持して固定した状態で、後述する削岩装置により破砕対象物に打撃を付与することにより、破砕対象物を破砕することも可能である。
【0113】
なお、
図8および
図9に示す例では、ゲート板52を機械的に移動させるために開閉用ジャッキ53等の駆動機構が設けられているが、かかる例に限定されない。例えば、
図6および
図7に示すように、当該駆動機構を設けずに、ゲート板52を手動で移動させることで、挿入口50を開閉するようにしてもよい。
【0114】
次に、
図10〜
図12を参照して、本実施形態に係る押圧装置40の押圧部44の好ましい形状について説明する。
図10は、本実施形態に係る押圧装置40を示す模式図である。
図11は、本実施形態に係る押圧装置40の押圧部44に形成された複数の突起部の一例を示す斜視図である。
図12は、本実施形態に係る押圧装置40の押圧部44に形成された複数の突起部の別の例を示す斜視図である。
【0115】
図10に示すように、押圧装置40A、40Bの押圧部44A、44Bの前面(破砕対象物に当接する当接面)には、硬質材料からなる複数の突起部46が形成されていることが好ましい。
【0116】
例えば、
図11に示すように、突起部46は、鋸刃状の突起部46Aで構成されてもよい。
図11の例では、押圧部44の前面において、一方向に波打つような鋸刃状の複数の突起部46Aが形成されている。また、
図12に示すように、突起部46は、錐体状の突起部46Bで構成されてもよい。
図12の例では、押圧部44の前面において、縦横に多数の四角錐状の突起部46Bが形成されている。なお、錐体状の突起部46Bは、
図12に示すような四角錐状以外にも、三角錐状、多角錐状、円錐状などであってもよい。
【0117】
このような突起部46を設けることにより、押圧装置40の押圧部44を巨礫2等の破砕対象物に押圧したときに、押圧部44の複数の突起部46の先端を破砕対象物に食い込ませることができる。したがって、押圧部44に対して破砕対象物が滑って逃げにくいので、押圧部44により破砕対象物を確実に押圧および挟持することができる。さらに、押圧部44に突起部46を形成し、破砕対象物に対する当たり始めの面積を小さくすることで、破砕対象物に局所的に集中荷重を作用させることができる。この結果、突起部46が破砕対象物に食い込むことにより、破砕対象物に亀裂を発生させて破壊の起点を形成できるので、破砕対象物をより確実に破砕できるようになる。
【0118】
<6.削岩装置の構成>
次に、
図13、
図14を参照して、本実施形態に係る削岩装置60について説明する。
図13は、本実施形態に係る削岩装置60が退避した状態で、掘削土砂を運搬する動作を示す模式図である。
図14は、本実施形態に係る削岩装置60が前進した状態で、削岩装置60により巨礫2を破砕する動作を示す模式図である。
【0119】
巨礫2等の破砕対象物が硬質である場合には、上述した押圧装置40の押圧動作によっては、破砕対象物を破砕できない場合がある。そこで、本実施形態に係るトンネル掘削機1は、例えば、巨礫2の破砕対象物を確実に破砕するための予備的な補助装置として、削岩装置60を備える。なお、押圧装置40により破砕対象物を破砕可能である場合には、削岩装置60を設けなくてもよい。
【0120】
削岩装置60は、巨礫2等の破砕対象物に対して打撃を加えることにより、当該破砕対象物に対して衝撃力を付与して破砕する破砕装置として機能する。本実施形態に係る削岩装置60は、
図14に示すように、筒体22内の破砕スペース30に配置された巨礫2等の破砕対象物に対して、所定の打撃方向(第2方向)に衝撃力(打撃)を付与して破砕する。このとき、削岩装置60により打撃される巨礫2等の破砕対象物は、筒体22内の破砕スペース30において2つの押圧装置40A、40Bにより押圧方向(第1方向)に押圧されて、左右両側から挟持された状態(
図9参照。)である。このように、削岩装置60は、押圧装置40A、40Bにより挟持された状態の破砕対象物に対して、押圧方向(第1方向)とは異なる打撃方向(第2方向)に衝撃力を付与して破砕する。本実施形態では、例えば、押圧装置40による押圧方向(第1方向)は左右方向であり(
図9参照。)、削岩装置60による打撃方向(第2方向)は前側斜め下方(
図14参照。)であり、第1方向と第2方向は相互に異なる方向である。以下に、削岩装置60の構成と破砕動作について詳述する。
【0121】
削岩装置60は、巨礫2等の破砕対象物に衝撃力を付与することにより、破砕対象物を破砕(すなわち、衝撃破壊)する。削岩装置60は、例えば、油圧式の削岩機(ブレーカー)で構成される。しかし、削岩装置は、かかる例に限定されず、例えば、電動式または空圧式の削岩機(ブレーカー)などで構成されてもよい。あるいは、削岩装置は、破砕対象物に対して衝撃力を付与可能な装置であれば、例えば、公知の各種のブレーカー、打撃装置、回転式打撃装置、ドリル装置などで構成されてもよい。
【0122】
図13、
図14に示すように、本実施形態に係る削岩装置60は、ロッド61と、削岩装置本体62と、削岩装置用アクチュエータ63とを備える。
【0123】
ロッド61は、削岩装置本体62に取り付けられる棒状の部材である。ロッド61は、破砕対象物に対して当接し、削岩装置本体62で生成された衝撃力(打撃力)を破砕対象物に伝達する機能を有する。ロッド61の材質は、例えば、スチール、鉄等の硬質な金属材料であることが好ましい。ロッド61の後端は、削岩装置本体62に装着される。ロッド61の先端には、硬質なビットが設けられてもよい。本実施形態に係るロッド61の先端は、例えば、鋭利な錘状であり、破砕対象物に貫入しやすい形状である。しかし、かかる例に限定されず、ロッド61の先端形状は、平坦状、曲面状など、他の形状に変更されてもよい。
【0124】
削岩装置本体62は、例えば、油圧ブレーカーなどで構成され、油圧機構によりピストンを高速で移動させて衝撃力(打撃力)を生成する。削岩装置本体62によりロッド61の後端を打撃することにより、その打撃力(衝撃力)がロッド61を伝達して、ロッド61の先端に当接する破砕対象物に付与される。
【0125】
削岩装置用アクチュエータ63は、上記のロッド61および削岩装置本体62を、所定の進退方向(第2方向)に移動(前進/後退)させる機能を有する。削岩装置用アクチュエータ63は、例えば、油圧、空圧または電動式のアクチュエータで構成され、ロッド61および削岩装置本体62を移動させるための駆動力を発生させる。例えば、削岩装置用アクチュエータ63は、シリンダと、当該シリンダに対して伸縮可能なピストンロッドを備える。当該シリンダは、例えば、掘削機本体10のビーム18に固定されており、当該ピストンロッドには削岩装置本体62が装着されている。削岩装置用アクチュエータ63の伸縮方向がロッド61の進退方向(第2方向:打撃方向)と一致するように、削岩装置用アクチュエータ63は、所定の傾斜角度で傾斜配置されている。
【0126】
かかる削岩装置用アクチュエータ63を伸長させることにより、削岩装置60のロッド61を、筒体22の先端部内の破砕スペース30に向けて第2方向に前進させることができる。一方、削岩装置用アクチュエータ63を収縮させることにより、削岩装置60のロッド61を、破砕スペース30から第2方向に後退させることができる。なお、本実施形態では、削岩装置60に削岩装置用アクチュエータ63を設けることにより、ロッド61および削岩装置本体62を機械的に進退させることが可能である。しかし、かかる例に限定されず、例えば、削岩装置用アクチュエータ63等の移動機構を設置せずに、ロッド61および削岩装置本体62を支持する支持部材を手動で伸縮させることにより、ロッド61を第2方向に移動させてもよい。
【0127】
スクリューコンベヤ20の筒体22の周面には、ロッド61を筒体22の外部から内部に挿入するための挿入口70(第2挿入口)が設けられている。詳細には、スクリューコンベヤ20の前方筒体23の周面の上部側に、1つの挿入口70が貫通形成されている(
図4参照。)。挿入口70は、削岩装置60のロッド61が挿通可能な大きさの径と形状を有する。かかる挿入口70を設けることにより、削岩装置60のロッド61は、破砕スペース30に向けて第2方向に進退可能になる。
【0128】
かかる挿入口70(第2挿入口)は、前方筒体23の周面において、上記押圧装置40用の2つの挿入口50A、50B(第1挿入口)とは異なる位置に形成されている。例えば、本実施形態では、押圧装置40A、40Bは、スクリューコンベヤ20の前方筒体23の左右両側に対向配置され、削岩装置60は、前方筒体23の上側に傾斜配置される。このため、押圧装置40用の2つの挿入口50A、50B(第1挿入口)は、押圧装置40A、40Bの配置に対応して、破砕スペース30の左右両側の位置に形成される。一方、削岩装置60用の1つの挿入口70(第2挿入口)は、削岩装置60の配置に対応して、破砕スペース30の上側の位置に形成されている。
【0129】
さらに、押圧装置40A、40Bの押圧部44A、44Bの進退方向は、上記のように破砕スペース30を基準として左右方向(第1方向)である(
図7、
図9等参照。)。これに対し、削岩装置60のロッド61の進退方向は、破砕スペース30を基準として、掘削機本体10の後側に傾斜した傾斜方向(第2方向)である(
図13、
図14参照。)。このように、押圧装置40の押圧部44の進退方向(第1方向)と、削岩装置60のロッド61の進退方向(第2方向)とが、相互に異なる方向になるように、押圧装置40および削岩装置60の配置が調整されている。
【0130】
以上のように、本実施形態では、押圧装置40用の挿入口50(第1挿入口)と削岩装置60用の挿入口70(第2挿入口)とが、スクリューコンベヤ20の筒体22の周面上において異なる位置に配置され、かつ、押圧装置40の押圧部44の進退方向(第1方向)と、削岩装置60のロッド61の進退方向(第2方向)とが、相互に異なる方向になるように調整されている。これに加えて、2つの押圧部44A、44Bが破砕スペース30内の押圧位置(
図6、
図7の二点鎖線で示す位置)に移動したときでも、2つの押圧部44A、44Bの隙間に削岩装置60のロッド61の進入できるように、当該隙間が調整されている。かかる構成により、押圧装置40の押圧部44および削岩装置60のロッド61の双方を破砕スペース30に向けて前進させたときに、両者が相互に干渉することがない。したがって、押圧装置40の2つの押圧部44により、破砕スペース30に配置された巨礫2等の破砕対象物を、第1方向の両側から押圧して挟持した状態(
図9参照。)で、削岩装置60のロッド61を、第2方向から破砕対象物に当接させることが可能になる(
図4および
図14参照。)。よって、押圧装置40による押圧動作と、削岩装置60による破砕動作を同時に実行できる。
【0131】
さらに、本実施形態では、
図13および
図14に示すように、削岩装置60用の挿入口70(第2挿入口)を開閉する開閉装置71(第2開閉装置)が設けられている。
【0132】
開閉装置71は、例えば、ボールバルブで構成することができる。この場合、開閉装置71は、挿入口70に取り付けられる前方管72と、ロッド61の挿入口となる後方管73と、当該前方管72と後方管73との間に設置されるボールバルブ74とを備える。ボールバルブ74を開ければ、前方管72と後方管73とが連通し、この結果、当該前方管72、後方管73および挿入口70を通じて、前方筒体23の内部空間が外部と連通する。一方、ボールバルブ74を閉めれば、前方管72と後方管73とが遮断されて、挿入口70が閉じられるため、前方筒体23の内部空間は外部と連通しない。
【0133】
かかる構成の開閉装置71は、ボールバルブ74により挿入口70を開閉可能である。開閉装置71のボールバルブ74は、通常は閉状態であるが、削岩装置60のロッド61を筒体22内に挿入するときには開状態となる。ここで、開閉装置71は、トンネル掘削機1やスクリューコンベヤ20の動作状態に応じて挿入口70を開閉することができる。
【0134】
詳細には、
図13に示すように、スクリューコンベヤ20により掘削土砂を運搬するときには、削岩装置60のロッド61を後側斜め上方に移動させて、前方筒体23の外部に退避させた状態で、開閉装置71のボールバルブ74により挿入口70を閉める。これにより、スクリューコンベヤ20内を運搬される掘削土砂が、挿入口70を通じて外部に流出することを防止できる。
【0135】
一方、
図14に示すように、前方筒体23内の破砕スペース30において巨礫2等の破砕対象物を破砕するときには、開閉装置71のボールバルブ74により挿入口70を開ける。これにより、削岩装置60のロッド61を、前方筒体23の外部から後方管73、前方管72および挿入口70を通じて前方筒体23の内部に挿入して、破砕スペース30に進入させることが可能となる。そして、削岩装置60のロッド61を前側斜め下方に移動させて、挿入口70を通じて前方筒体23内に挿入し、破砕スペース30に配置された巨礫2等の破砕対象物に当接させる。これにより、削岩装置60のロッド61により巨礫2等の破砕対象物を打撃し、衝撃力を付与して破砕できる。
【0136】
なお、
図13および
図14に示す例では、挿入口70の開閉装置71としてボールバルブ74を用いたが、かかる例に限定されない。ボールバルブ74等のバルブ装置以外にも、例えば、上記挿入口50の開閉装置51と同様なスライド式のゲート装置、またはシャッター装置など、任意の開閉装置を使用することができる。また、開閉装置71の開閉動作は、駆動機構を用いて機械的に行ってもよいし、作業員により手動で行ってもよい。
【0137】
<7.トンネル掘進機によるトンネル施工方法>
以上、本実施形態に係るトンネル掘削機1の構成について詳述した。次に、本実施形態に係るトンネル掘削機1を用いたトンネル施工方法と、トンネル掘削機1の動作について説明する。
【0138】
本実施形態に係るトンネル掘削機1を用いてトンネル構造体を施工する場合、
図1に示すように、まず、カッタヘッド11を回転させながら、複数の推進ジャッキ19を伸長させて既設のセグメントSに押し付ける。これにより、掘削機本体10がその既設のセグメントSから推進反力を得て前進すると共に、回転するカッタヘッド11によりトンネル掘削機1の前方の切羽の地盤が掘削されて、トンネルTの掘削が進行する。
【0139】
この掘削時に、地盤掘削によって発生した掘削土砂は、カッタヘッド11の開口部(掘削土砂取込口)を通じてチャンバ17内に取り込まれて蓄積される。チャンバ17は、蓄積された掘削土砂によって所定の内圧に維持される。そして、チャンバ17内に蓄積された掘削土砂は、隔壁12の下部の排出口12aを通じて、スクリューコンベヤ20の筒体22の先端部内に移動する。
【0140】
そして、掘削土砂は、駆動部25により回転するスクリュー羽根21によって、スクリューコンベヤ20の筒体22内を後方側に向けて運搬されて、後部側の土砂排出口22bから排出される。このようなスクリューコンベヤ20による掘削土砂の運搬中は、
図2および
図8に示したように、前述のスライド機構26によりスクリュー羽根21は前進位置に配置され、スクリュー羽根21の先端21aは、筒体22の前端の土砂取込口22a(排出口12a)からチャンバ17内に突出した位置に配置される。この状態で、前進位置にあるスクリュー羽根21を回転させることで、チャンバ17内に蓄積されている掘削土砂を、筒体22内に効率的に取り込んで、後方に運搬することができる。
【0141】
さらに、かかるスクリューコンベヤ20による掘削土砂の運搬中は、
図8に示すように、筒体22の先端にあるゲート装置31のゲート板32、33により、スクリューコンベヤ20の先端の土砂取込口22a(排出口12a)は開放された状態である。かつ、
図8および
図13に示すように、スクリューコンベヤ20の筒体22の周面において、複数の押圧装置40A、40B用の挿入口50A、50B、および削岩装置60用の挿入口70は、開閉装置51および開閉装置71より閉められた状態である。これにより、スクリューコンベヤ20内の掘削土砂が挿入口50、70から外部に漏れ出すことを防止して、掘削土砂を効率的に後方に運搬できる。
【0142】
また、上記のような通常の掘削および排土動作と同時に、収縮させた推進ジャッキ19の後方側において、エレクタ装置によって、セグメントSがトンネルTの内壁面に沿ってリング状に順次組み立てられる。
【0143】
以上のようにして、トンネル掘削機1は、カッタヘッド11の掘削量に見合う土砂量を、スクリューコンベヤ20によって円滑に排出して、チャンバ17内を常に掘削土砂によって充満させることにより、切羽の安定化を図りつつ、トンネルTを連続的に掘削する。これと同時に、推進ジャッキ19の伸長によって、既設のセグメントSから推進反力を得て掘進しながら、推進ジャッキ19の後方側において、新設のセグメントSを組み立てる。
【0144】
ところで、上記のような通常の掘削および排土動作中に、スクリューコンベヤ20による運搬が困難または不可能なサイズの破砕対象物(例えば、巨礫2、粘土塊、流木等の異物)が掘削土砂中に存在する場合がある。この場合には、上記の押圧装置40および削岩装置60を用いて、破砕対象物の破砕動作が実行される。
【0145】
ここで、掘削土砂中に破砕対象物が存在するか否かの判断は、例えば、トンネル掘削機1の各部の動作の変化(例えば、カッタヘッド11を回転させるカッタ旋回用モータ16のトルク変化、スクリューコンベヤ20のスクリュー羽根21を回転させる駆動部25のトルク変化、スクリューコンベヤ20からの掘削土砂の排出状態の変化など)に基づいて、実行可能である。
【0146】
例えば、チャンバ17内の掘削土砂中に破砕対象物が存在する場合、破砕対象物がカッタヘッド11の裏側の構造物(例えば、チャンバ17内の掘削土砂を撹拌する撹拌翼等)に接触することによって、カッタ旋回用モータ16のトルクが変化する。したがって、カッタ旋回用モータ16のトルク変化を検出することにより、掘削土砂中に破砕対象物が存在するか否かを判断することが可能である。なお、掘削土砂中に破砕対象物が存在するか否かの判断は、トンネル掘削機1に設けられた各種センサの検出結果や、カッタヘッド11による掘削状況、スクリューコンベヤ20による運搬状況等に基づいて、トンネル掘削機1の制御装置(図示せず。)が行ってもよいし、作業者が行ってもよい。
【0147】
掘削土砂中に破砕対象物が存在すると判断された場合、カッタ旋回用モータ16を停止して、カッタヘッド11による掘削動作を一時停止するとともに、スクリューコンベヤ20のスクリュー羽根21の回転を停止して、スクリューコンベヤ20による掘削土砂の運搬動作を一時停止する。次いで、
図3に示すように、スクリューコンベヤ20のスライド機構26によってスクリュー羽根21を後方にスライドさせて、後退位置まで後退させ、筒体22内に引き込む。これにより、スクリューコンベヤ20の筒体22の先端部内に、巨礫2等の破砕対象物を収容するための破砕スペース30を確保できる。さらに、
図5および
図7に示すように、チャンバ17から筒体22内の破砕スペース30に巨礫2等の破砕対象物が移動した後に、スクリューコンベヤ20の先端のゲート装置31を開状態から閉状態にして、土砂取込口22a(隔壁12の排出口12a)を閉じる。
【0148】
前述のように破砕動作を行わない通常時(掘削および掘削土砂の運搬時)には、回転するスクリュー羽根21は、その先端21aが前方筒体23からチャンバ17内に突出した前進位置にある(
図2、
図8参照。)ため、ゲート装置31が開いた状態になっている。これに対し、破砕対象物を破砕するときには、スクリュー羽根21を前方筒体23内に引き込むことによって、スクリュー羽根21の先端21aが後方に後退し、前方筒体23内に収納される(
図3、
図9参照。)。これにより、筒体22内の破砕スペース30に破砕対象物を取り込めるとともに、筒体22の先端にあるゲート装置31を閉じることができるようになる。
【0149】
この状態において、
図9に示すように、開閉装置51により押圧装置40用の挿入口50を開けるとともに、押圧装置40の押圧部44を、前方筒体23内の破砕スペース30に向けて前進させる。これにより、破砕スペース30に配置された巨礫2等の破砕対象物を、押圧装置40の押圧部44により左右両側から挟み込むように押圧して、押圧力(圧縮応力)により破砕する。
【0150】
より詳細には、破砕動作を行わない通常時(掘削および掘削土砂の運搬時)には、
図8に示すように、左右一対の押圧部44A、44Bは、前方筒体23の外部の退避位置に配置されている。一方、破砕対象物を破砕するときには、
図9に示すように、押圧部44A、44Bを、開放された挿入口50A、50Bを通じて前方筒体23内の破砕スペース30に向けて前進させ、巨礫2等の破砕対象物に当接させる。これにより、破砕スペース30に位置する巨礫2等の破砕対象物は、押圧部44A、44Bにより左右両側から挟持されて押圧される。当該押圧動作により破砕対象物に作用する押圧方向の圧縮応力が、破砕対象物の圧縮強度よりも大きければ、破砕対象物は破砕(圧縮破壊)される。
【0151】
ここで、破砕対象物が硬質であるため、押圧部44A、44Bにより押圧しただけでは破砕されない場合がある。この場合であっても、押圧部44A、44Bにより破砕対象物を挟持することにより、破砕対象物を破砕スペース30内の所定位置に固定することができる。
【0152】
さらに、かかる場合には、上述した削岩装置60を利用して破砕対象物を破砕することができる。詳細には、破砕動作を行わない通常時(掘削および掘削土砂の運搬時)には、
図13に示すように、削岩装置60のロッド61は、筒体22の外部に退避しており、開閉装置71により挿入口70も閉じられている。この通常状態から破砕対象物を破砕するときには、
図14に示すように、まず、開閉装置71により削岩装置60用の挿入口70を開け、次いで、削岩装置60の削岩装置本体62の動作を開始させる。その後、削岩装置用アクチュエータ63を伸長させることにより、削岩装置60のロッド61を、前方筒体23内の破砕スペース30に向けて前側斜め下方に前進させ、挿入口70に挿入する。
【0153】
これにより、破砕スペース30において押圧部44A、44Bにより左右両側から挟持された状態の破砕対象物に対して、削岩装置60のロッド61の先端を当接させる。この結果、削岩装置60のロッド61により破砕対象物を打撃して、衝撃力を付与することで、破砕対象物は衝撃力により破砕(衝撃破壊)される。特に、削岩装置60を用いた破砕時には、破砕対象物は押圧部44A、44Bにより両側から挟持されているため、所定位置に安定的に固定されている。したがって、削岩装置60のロッド61から破砕対象物が逃げることがないので、削岩装置60により破砕対象物を確実に破砕することができる。
【0154】
<8.まとめ>
以上、本実施形態に係るトンネル掘削機1と、当該トンネル掘削機1を用いたトンネル施工方法について詳述した。
【0155】
本実施形態によれば、従来技術のようにチャンバ内において削岩機により破砕対象物を破砕するのではなく、スクリューコンベヤ20の筒体22の先端部内の破砕スペース30に破砕対象物を導入し、当該破砕スペース30において押圧装置40により破砕対象物を押圧して破砕(圧縮破壊)する。大空間であるチャンバ17と比べて、スクリューコンベヤ20内の破砕スペース30は、筒体22により周囲を囲まれた狭い閉鎖空間である。このため、破砕スペース30において破砕対象物を所定位置に固定しやすく、押圧装置40により破砕対象物を確実に押圧することができる。さらに、押圧装置40により破砕対象物を押圧することで、破砕スペース30において破砕対象物が逃げることを防止し、破砕対象物を所定位置に確実に固定しながら、好適に破砕することができる。よって、本実施形態に係るトンネル掘削機1によれば、巨礫2等の異物(破砕対象物)をチャンバ17以外の所定位置に確実に固定して破砕可能にし、当該破砕対象物を含む地盤を円滑に掘削可能である。
【0156】
さらに、スクリューコンベヤ20の先端の開口部に設けられたゲート装置31を閉じれば、破砕スペース30の軸方向の一側の開口部も閉鎖することができるので、破砕スペース30において破砕対象物を所定位置により確実に固定して、破砕できるようになる。
【0157】
また、従来技術のようにチャンバ内で削岩機により破砕対象物を破砕する場合には、チャンバやカッタヘッドに破砕用の追加設備を設置する必要があった。このため、通常掘削時に、チャンバ内における掘削土砂の流れが阻害されてしまうという問題や、カッタヘッド周辺の装置構成が複雑になってしまうという問題があった。これに対し、本実施形態によれば、スクリューコンベヤ20内の破砕スペース30にて破砕対象物を破砕するので、チャンバ17やカッタヘッド11に破砕用の追加設備を設置する必要がない。したがって、通常掘削時に、チャンバ17内における掘削土砂の流れが阻害されるという問題を解消でき、カッタヘッド11周辺の装置構成が複雑になるという問題も解消できる。
【0158】
さらに、本実施形態によれば、2つの押圧装置40A、40B(第1押圧装置、第2押圧装置)を設けて、破砕スペース30において破砕対象物を両側から挟んで押圧する。これにより、2つの押圧装置40A、40Bにより破砕対象物を両側から挟持して、より確実に所定位置に固定できるので、押圧装置40A、40Bや削岩装置60による破砕動作を安定的かつ円滑に実行できる。
【0159】
また、本実施形態によれば、押圧装置40による押圧方向(第1方向)とは異なる第2方向に進退可能なロッド61を有する削岩装置60が設けられている。この削岩装置60は、押圧装置40により破砕対象物を破砕できない場合の補助的な破砕装置として利用される。かかる削岩装置60のロッド61により破砕対象物に衝撃力を付与することにより、破砕対象物を確実に破砕できる。さらに、破砕スペース30において押圧装置40により破砕対象物を両側から挟持して固定した状態で、削岩装置60のロッド61により破砕対象物に衝撃力を付与する。これにより、破砕対象物が逃げることを防止して、削岩装置60により破砕対象物を確実に破砕できる。
【0160】
さらに、本実施形態によれば、上記押圧装置40の押圧部44および削岩装置60のロッド61を、スクリューコンベヤ20の筒体22内の破砕スペース30に進入可能とするために、筒体22の周面に挿入口50(第1挿入口)および挿入口70(第2挿入口)が貫通形成されている。加えて、当該挿入口50、70を開閉する開閉装置51(第1開閉装置)および開閉装置71(第2開閉装置)も設置されている。これにより、通常の掘削および運搬動作時には、押圧装置40および削岩装置60をスクリューコンベヤ20の外部に退避させ、開閉装置51、71により挿入口50、70を閉めることができる。よって、通常掘削時に、スクリューコンベヤ20による掘削土砂の運搬動作に支障を与えることがない。一方、破砕対象物の破砕時には、開閉装置51、71により挿入口50、70を開けて、押圧装置40の押圧部44および削岩装置60のロッド61を破砕スペース30に進入させ、破砕対象物を破砕する。したがって、破砕対象物が存在する時にだけ必要に応じて、押圧装置40および削岩装置60を筒体22内の破砕スペース30に進入させて、破砕動作を実行することが可能となる。
【0161】
また、本実施形態によれば、スクリューコンベヤ20にスライド機構26を設けることにより、スクリュー羽根21を軸方向に前進または後退させることができる。これにより、通常の掘削および運搬動作時には、スクリュー羽根21を前進させた状態で回転させることで、チャンバ17内の掘削土砂を効率的に運搬できる。一方、破砕動作時には、スクリュー羽根21の回転を停止した状態で後退させることで、筒体22の先端部内に、スクリュー羽根21が存在しない大きな破砕スペース30を好適に形成でき、当該破砕スペース30において大きなサイズの破砕対象物を破砕できる。
【0162】
また、本実施形態によれば、スクリューコンベヤ20のスクリュー羽根21として、軸が設けられていないリボンタイプのスクリュー羽根を用いている。これにより、スクリューコンベヤ20の筒体22の先端部内に破砕対象物を導入し易くすることができ、当該筒体22の先端部内に、できるだけ大きな破砕スペース30を確保できる。
【0163】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0164】
例えば、上記実施形態では、破砕対象物として巨礫2の例を挙げて説明したが、本発明の破砕対象物は、巨礫2の例に限定されない。掘削対象物は、掘削土砂に含まれる異物であって、スクリューコンベヤによる運搬が困難な大きさのものであれば、例えば、粘土塊、流木、人工の地中残置物(例えば、コンクリート塊)等であってもよいし、これらの組合せであってもよい。
【0165】
また、上記実施形態では、2つの押圧装置40A、40Bを設置したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、スクリューコンベヤ20の筒体22の先端部に隣接して、押圧装置40を1つだけ設置し、当該1つの押圧装置40の押圧部44により破砕対象物を押圧する構成にしてもよい。この場合、当該1つの押圧部44と、スクリューコンベヤ20の筒体22の内周面との間で、破砕対象物を挟み込んで押圧してもよい。あるいは、当該1つの押圧部44と、別途設置した固定部材(例えば、スクリューコンベヤ20内に設置された固定板)との間で、破砕対象物を挟み込んで押圧してもよい。
【0166】
また、上記実施形態では、左右方向に正対する2つの押圧装置40A、40Bを配置し、双方の押圧装置40A、40Bの押圧方向を同一方向(左右方向)としたが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、2つの押圧装置40、40が対向する方向は、破砕スペース30を間に挟んで対向する方向であれば、上記の左右方向以外にも、上下方向または傾斜方向など、任意の方向であってもよい。
【0167】
また、2つの押圧装置40、40を、正対させずに、斜めに対向するように配置してもよい。この場合、例えば、2つの押圧装置40、40は平面視でハの字型に配置され、当該2つの押圧装置40、40の押圧方向は交差する方向となり、その交差角度は180°未満となる。この場合であっても、傾斜して対向配置された2つの押圧装置40、40の押圧部44、44により、破砕対象物を挟持して所定位置に固定することは可能である。また、斜めに対向配置された2つの押圧装置40、40の押圧部44、44と、閉じられたゲート装置31との3点で、破砕対象物を保持して所定位置に固定することも可能である。ただし、この場合には、押圧装置40による押圧力が付与される破砕対象物を保持できるように、ゲート装置31の強度を高めることが好ましい。
【0168】
また、以上の説明では、1つまたは2つの押圧装置40を設置する例について説明したが、3つ以上の押圧装置40を設置してもよい。これにより、押圧装置40により押圧する方向(軸数)を増やすことができるので、押圧に際して、荷重点(荷重作用点)が増えて、破砕対象物の当該位置への固定の確実性が増すことや、1か所当たりの押圧荷重を減らすことができ、押圧装置40のコンパクト化につながるというメリットがある。
【0169】
例えば、前述のように2つの押圧装置40、40を設置して、正対する2方向に押圧する場合においては、破砕対象物が押圧方向以外の方向に移動してしまう(逃げてしまう)可能性もある。また、上述のハの字型に配置する場合は、ゲート装置など、荷重を受ける部分の強度を確保する必要がある。これに対し、押圧装置40の設置数を3つ以上に増やしていくことで、破砕対象物が移動可能な方向(逃げられる方向)をなくしていくことが可能になるので、より確実に押圧できるようになる。
【0170】
また、押圧装置40の設置数が1つ又は2つ以上のいずれの場合においても、押圧部44の進退量(ストローク)を、ストロークセンサなどの検出装置で計測することが好ましい。これにより、押圧部44により破砕対象物を押圧したときのストローク値を確認することで、破砕対象物の破砕直前の大きさや破砕後の大きさ、破砕対象物を破砕できたかどうかなどを、確認できる。
【0171】
また、押圧装置40用の挿入口50の開閉装置51は、設置しなくてもよい。例えば、当該開閉装置51に替えて、押圧装置40の押圧部44をスクリューコンベヤ20の筒体22とほぼ面一となるよう配置して、押圧部44により挿入口50を閉塞できるように構成してもよい。ただし、スクリューコンベヤ20の筒体22内における掘削土砂の流動性を高める観点からは、挿入口50を閉塞する部材は、筒体22の内周面とできるだけ面一であることが好ましいため、当該面一な閉塞部材(例えば、湾曲板状のゲート板など)を備えた開閉装置を設けることが好ましい。
【0172】
また、上記実施形態では、
図2および
図8に示すように、スライド機構26により前進させたスクリュー羽根21の先端21aは、筒体22の先端の土砂取込口22a(排出口12a)から前方に突出して、チャンバ17内まで達する位置に配置されていた。しかし、本発明は、かかる例に限定されず、例えば、前進させたスクリュー羽根21の先端21aは、チャンバ17内まで突出せずに、筒体22の先端部内に配置されてもよい。
【0173】
また、スクリュー羽根21の先端21aが、破砕スペース30よりも後方側に位置する構成であれば、必ずしもスクリュー羽根21を軸方向に進退可能にする必要はなく、スクリューコンベヤ20にスライド機構26を設けなくてもよい。