【解決手段】ゲートバルブ1は、ゲート開口2を開閉する弁板4と、弁板4に固定された弁シャフト5と、駆動ロッド21を有するエアシリンダ20と、駆動ロッド21の伸縮動に応じて、弁板4を、ゲート開口2を閉塞する密閉位置とゲート開口2を全開する全開位置P1との間を往復動させる弁移動機構29と、を備える。エアシリンダ20のシリンダハウジング22は、密閉位置に移動した弁板4をロックするロック機構と、弁板4がロック状態を検出するロック検出部を有する。ロック機構はシリンダハウジング22に進退可能に設けられたロックピストンを有する。駆動ロッド21に固定されたカムフレーム32はロックピストンを係合させる係合穴部32cを有し、ロック検出部は、ロックピストンが係合穴部32cに対して係合状態にあるか否かを検出する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態に係るゲートバルブについて説明する。本実施形態では、弁箱に形成されたゲート開口に対して弁板が上下方向に移動可能であるとともに、弁板が、ゲート開口を気密に閉塞する密閉位置と、ゲート開口を全開する全開位置との間を、ゲート開口と離間して対向する中間位置を通じて往復移動可能なゲートバルブを例にして説明する。また、以下の説明において、各構成を説明するために、実際の構造と各構造における縮尺等を異ならせる場合がある。
【0020】
また、本明細書において、
図1に示すゲートバルブの上下方向を単に「上下方向」と記述し、ゲートバルブの正面視において左右方向を単に「左右方向」と記述し、ゲートバルブの左右方向に対して直交する方向を「前後方向」と記述する。
【0021】
<全体構成>
図1、
図2(a)、
図2(b)、
図3に示すように、本発明の一実施形態に係るゲートバルブ1は、図示しない真空処理チャンバに連通させるためのゲート開口2を有する弁箱3(
図6参照)と、弁箱3内に収容された弁板4と、弁板4に取り付けられた弁シャフト5と、駆動ロッド21を有するエアシリンダ20と、弁板4を、ゲート開口2を密閉する密閉位置P3(
図8参照)とゲート開口2を全開にする全開位置P1(
図1,
図6参照)との間で、ゲート開口2と離間して対向する中間位置P2(
図7参照)を通じて往復移動させる弁移動機構29と、を有する。
【0022】
更に、ゲートバルブ1は、密閉位置P3において弁板4をロックするロック機構50(
図10参照)と、ロック機構50によって弁板4がロックされた状態にあるか否かを検出可能なロック検出部60(
図11(a)参照)とを有する。以下、構成部材ごとに詳細に説明する。
【0023】
(弁板)
弁板4は、
図1及び
図6に示すように、左右方向に長い略矩形のプレート状に形成される。弁板4の前側の面は、略平坦なシール面4aが形成され、シール面4aの外周部には、環状のシール溝4bが形成される。シール溝内4b内には、Oリング等の弾性材から成る環状のシール部材9が、その一部をシール面4aから突出させて装着されている。
【0024】
(弁箱)
弁箱3は、内部が中空な箱状に形成され、前後方向に離間して互いに対向する一対の側壁3a,3bを有する。前側に配置された側壁3aの上部には、ゲート開口2が設けられ、後側の側壁3bの上部には、ゲート開口2と同じ高さ位置に、ゲート開口2と略同形同大の背面側開口2aが設けられている。ゲート開口2は、弁板4と同様に左右方向に長い略矩形で、弁板4よりも少し小さく形成される。側壁3aの内面におけるゲート開口2の外周部には、ゲート開口2を取り囲むように、平坦面から成る環状の弁シート8が設けられる。この弁シート8に対して弁板4の移動に伴うシール部材9を接離させて、ゲート開口2が開閉する。
【0025】
弁箱3の底部には、
図1及び
図6に示すように、一対の側壁3a,3bの夫々の下端部間に延びて側壁3a,3bに対して固定されたボンネット10が気密に設けられている。ボンネット10の左右方向の中央部には、上下方向に貫通する貫通孔10aが設けられ、貫通孔10aには、弁シャフト5が上下方向(軸線L1方向(
図2(a)参照))及び前後方向に移動可能に挿通されている。本実施形態では、貫通孔10aは、平面視において円形である。
【0026】
(弁シャフト)
弁シャフト5は、
図1、
図2(a)、
図2(b)に示すように、弁板4の下面の左右方向中央部に接続されて下方へ延びる棒状部材であり、ボンネット10の下面10bよりも下方へ延びる部分の上部は、弁シャフト5の上下方向への移動に伴って伸縮する筒状の図示しないベローズにより覆われている。ベローズの上端は、貫通孔10aを取り囲むようにボンネット10の下面10bに対して気密に接続され、ベローズの下端は、第2ブロック40(後述するレバー部材41)に対して気密に接続されている。なお、本実施形態では、弁シャフト5の上側は横断面形状が矩形に形成され、弁シャフト5の下側は横断面形状が円形に形成されている。
【0027】
(エアシリンダ)
エアシリンダ20,20は、
図2(a)及び
図3に示すように、弁シャフト5を挟んで左右両側に対向して配置される。エアシリンダ20は、後述する第1ブロック30の一部を構成する一対のカムフレーム32,32の夫々の左右方向外側に対向配置されるとともに、ボンネット10の下面10bに対して直交する方向(上下方向)に延びて固定された中空のシリンダハウジング22と、シリンダハウジング22内に配置されてボンネット10と直交する方向(弁シート8の面と平行な方向)に延びる駆動ロッド21と、シリンダハウジング22内に配置されて駆動ロッド21の上端部に固定され、駆動ロッド21の上下動に伴って往復動可能な駆動ピストン23と、を有する。
【0028】
本実施形態では、シリンダハウジング22は、
図3、
図4(a)、
図4(b)に示すように、エアシリンダ20に接続された第1ブロック30のカムフレーム32と対向するシリンダハウジング22の側壁が、後述する第1ガイドローラ27a及び第2ガイドローラ27bを取り付けるための対向壁(ローラフレーム)26を兼ねている。従って、以下の説明において、シリンダハウジング22における第1ガイドローラ27a及び第2ガイドローラ27bが取り付けられる側壁を「ローラフレーム26」と記述する。なお、このローラフレーム26は、エアシリンダ20のシリンダハウジング22と固定的な関係にありさえすれば良く、例えば、シリンダハウジング22と別体に形成することもできる。
【0029】
シリンダハウジング22の内部には、
図3及び
図9に示すように、駆動ピストン23を挟んだ上下両側に、ロッド側(駆動ピストン23よりも下側)の第1圧力室24aとヘッド側(駆動ピストン23よりも上側)の第2圧力室24bとがそれぞれ設けられている。そして、シリンダハウジング22のロッド側の端部内には、駆動ロッド21を気密かつ摺動自在に支持すると共に、駆動ピストン23の下端部を当接させるカラー部材24dが気密に嵌合されている。一方、シリンダハウジング22のヘッド側の端部には、駆動ピストン23を駆動ロッド21の後退端で当接させる当接部24cが設けられている。
【0030】
また、シリンダハウジング22の外周には、第1圧力室24aに対し圧縮空気を給排するための第1ポート25aと、第2圧力室24bに対し圧縮空気を給排するための第2ポート25bとが設けられている。本実施形態では、第1ポート25aは第2ポート25bよりも下側に配置されている。これら第1ポート25a及び第2ポート25bは、シリンダハウジング22やカラー部材24dに設けられた給排気流路を通じて、第1圧力室24a及び第2圧力室24bに対してそれぞれ接続されている。給排気流路の詳細については後述する。
【0031】
(弁移動機構)
次に、弁移動機構29について具体的に説明する。弁移動機構29は、
図2(a)、
図2(b)、
図3に示すように、駆動ロッド21に固定された第1ブロック30と、弁箱3から延出する弁シャフト5に固定された第2ブロック40と、第2ブロック40を第1ブロック30に対し相対的に移動可能に連結する連結部材6と、を有する。
【0032】
(第1ブロック、連結部材)
本実施形態において、第1ブロック30は、左右方向に延びて板状であって駆動ロッド21,21の下端部を左右両側に固定するロッドアーム31と、第2ブロック40とローラフレーム26との間に配置され、ロッドアーム31の上面に固定されて駆動ロッド21の軸線L2と平行に上方へ延びる板状の左右一対のカムフレーム32,32と、を有する。ロッドアーム31は、第2ブロック40よりも下方に配置されて、ボンネット10と平行に延びる。また、ロッドアーム31の第2ブロック40と対向する面の左右方向中央部には、下方へ窪む凹状のばね座31aが形成される。ばね座31aと第2ブロック40との間には、連結部材6としての圧縮バネ6’が介設されている。カムフレーム32については後述する。
【0033】
(第2ブロック)
本実施形態において、第2ブロック40は、
図2(a)及び
図3に示すように、弁シャフト5の下部5bに固定されたレバー部材41により構成される。レバー部材41は、裏面視において略H形のブロック状に形成されて、ボンネット10を臨む上側端面の左右方向中央部に下方へ窪んだ第1凹部41aと、第1凹部41aの左右両側に形成されて第1凹部41aの側壁を形成する一対の第1肩部41cと、下側端面の左右方向中央に上方へ窪んだ第2凹部41bと、第2凹部41bを挟んで左右両側に形成されて第2凹部41bの側壁を形成する一対の第2肩部41dと、を有する。
【0034】
第1凹部41aと第2凹部41bとの間を上下方向に貫通する弁シャフト5にレバー部材41が固定され、さらに、第1凹部41aには、ボンネット10に上端が接続された図示しないベローズの下端が接続されている。一方、第2凹部41bには、ロッドアーム31のばね座31aに下端が固定された圧縮バネ6’の上端が固定されている。
【0035】
このように、第1ブロック30のロッドアーム31と第2ブロック40のレバー部材41との間を、圧縮バネ6’で連結することにより、第2ブロック40を第1ブロック30に対して、圧縮バネ6’の伸縮方向、すなわち弁シャフト5の軸線L1方向であって弁シート8の面と平行を成す上下方向と、それと直交する方向すなわち、弁シート8の面と直交する前後方向に相対的に移動させることができる。
【0036】
レバー部材41の上部にはストッパ機構70が設けられる。ストッパ機構70は、レバー部材41の一対の第1肩部41cにおけるボンネット10と対向する面にそれぞれ設けられた停止ローラ71と、ボンネット10の下面10bにおける停止ローラ71と対向する位置にそれぞれ設けられた停止部72とを有する。停止ローラ71は、第1肩部41c上において、弁シート8の面と直交する方向(左右方向)に延びる中心軸回りに回転可能に支持される。また、停止部72は、停止ローラ71を当接させて、レバー部材41がさらに軸線L1に沿って弁シャフト5の先端方向(上方)へ移動するのを阻止すると同時に、停止ローラ71を弁シート8の面と直交する前後方向へ転動させて、レバー部材41が前後方向へ移動するのを許容する。
【0037】
(カムフレーム)
カムフレーム32は、
図1、
図3、
図5(a)、
図5(b)、
図5(c)、
図5(d)に示すように、上下方向に延びる直方体状に形成され、ローラフレーム26と対向する側の外側面32a及びこの外側面32aと反対側の内側面32bには、凹状に窪んだ複数の溝が形成される。本実施形態では、カムフレーム32の外側面32aの後側には、外側面32aの上下両端部間に渡って上下方向に連続的に延びて前後方向に所定幅を有したガイド溝33が形成される。また、カムフレーム32の内側面32bの前側の上部及び下部には、左右方向に貫通する第1カム溝34a及び第2カム溝34bが形成されている。なお、第1カム溝34a及び第2カム溝34bは、必ずしも本実施形態のようにカムフレーム32を貫通している必要性はなく、第2ブロック40側が塞がる有底の凹溝であっても良い。
【0038】
ガイド溝33は、底面が平坦な底壁33cを有して形成され、ガイド溝33の上側には、前後方向に幅広に形成されて上下方向に直線状に延びる幅広部33aが形成され、ガイド溝33の下側には、幅広部33aの下端に繋がって下方へ直線状に延びて幅広部33aよりも幅狭に形成された幅狭部33bが形成される。幅広部33a及び幅狭部33bは同軸上に連結されている。また、ガイド溝33は、駆動ロッド21の軸線L2(
図2(a)参照)に対して平行に延びて、幅広部33aの上側端部はボンネット10に向かって開口している。
【0039】
ローラフレーム26におけるガイド溝33に対応する位置には、
図4(a)及び
図5(b)に示すように、ガイド溝33に対して摺動自在に嵌合させるための第1ガイドローラ27a及び第2ガイドローラ27bが設けられている。第1ガイドローラ27aは、ローラフレーム26の後側上部に設けられ、第2ガイドローラ27bは、ローラフレーム26の後側下部に設けられる。そして、第1ガイドローラ27aが幅広部33aに嵌合され、第1ガイドローラ27aよりも小径の第2ガイドローラ27bが幅狭部33bに嵌合されて、カムフレーム32が弁シート8の面に対して平行にガイドされる。なお、ガイド時のがたつきを抑制するため、第1ガイドローラ27aの径と幅広部33aの溝幅とは略等しく、第2ガイドローラ27bの径と幅狭部33bの溝幅とは略等しく形成されていることが望ましい。
【0040】
これらガイド溝33、第1ガイドローラ27a、第2ガイドローラ27bは、弁移動機構29のうち、弁板4を
図1及び
図6に示す全開位置P1と
図7に示す中間位置P2との間で上下方向に平行移動させる平行移動機構を構成している。この平行移動機構は、第1ブロック30と第2ブロック40とが相対運動することなく一体を成して弁シャフト5の軸線L1方向に移動することにより、弁板4が、そのシール面4aに装着されたシール部材9が弁箱3の内面に接触することなく、弁シート8の面に対し平行に移動可能である。
【0041】
一方、第1カム溝34a及び第2カム溝34bは、
図3及び
図5(d)に示すように、第2ブロック40(レバー部材41)に設けられた第1カムローラ42a及び第2カムローラ42bをそれぞれ嵌合させるためのものである。左右両側に設けられた一対のカムフレーム32には、カムフレーム32の前側上部に第1カム溝34aが設けられ、カムフレーム32の前側下部に第2カム溝34bが設けられているが、第2ブロック40の左右側面には、これら第1カム溝34a及び第2カム溝34bに対応する位置に第1カムローラ42a及び第2カムローラ42bがそれぞれ取り付けられている。これら第1カム溝34a及び第2カム溝34bは、第1カムローラ42a及び第2カムローラ42bと共に、弁移動機構のうち、弁板4を
図7に示す中間位置P2と
図8に示す密閉位置P3との間で移動させる鉛直移動機構を構成している。
【0042】
この鉛直移動機構により、弁板4を弁シート8の面に対して直交する方向に移動させて弁シート8にシール部材9を押し当てることで、ゲート開口2を気密に密閉したり、弁シート8からシール部材9を離間させて弁板4を中間位置P2へと戻したりすることができる。また、鉛直移動機構によれば、シール部材9と弁シート8とを均一な接触圧で当接させることが可能となるばかりでなく、シール部材9が弁シート8の面上を摺動することによる塵の発生や、シール部材9の劣化や捩じれ等によるシール不良の発生などを防止することができる。
【0043】
カムフレーム32には、弁板4が密閉位置P3に移動した状態で、カムフレーム32側に進出した後述するロック機構50(
図10参照)のロックピストン51を係合させるための係合穴部32cが設けられる。本実施形態では、
図1、
図5(b)、
図10に示すように、係合穴部32cは、カムフレーム32の外側面32aの前側下部に設けられる。
【0044】
以下に、弁移動機構29についてより具体的に説明する。
第1カム溝34aは、
図1及び
図5(d)に示すように、上側から下側に向かうにしたがって徐々に弁シート8の面側(前側)に接近する方向に傾斜するように形成され、上側の端部がボンネット10に向かって開口する。
【0045】
そして、弁板4が全開位置P1(
図1及び
図6参照)及び中間位置P2(
図7参照)に在る時には、第1カムローラ42aは第1カム溝34aの上側の領域の第1位置C1に配置される。また、弁板4が密閉位置P3(
図8参照)に在る時には、第1カムローラ42aは第1カム溝34aの下側の領域の第2位置C2に配置される。
【0046】
一方、第2カム溝34bは、ボンネット10側(上側)からロッドアーム31側(下側)に向かうにしたがって徐々に弁シート8の面側(前側)へ接近する方向に傾斜したロッドアーム31側の領域と、ボンネット10側(上側)からロッドアーム31側(下側)に向かうにしたがって弁シート8の面と平行もしくは弁シート8と離反する方向に延びる領域とを有する。第2カム溝34bは、これら2つの領域が互いに連結されている。
【0047】
この第2カム溝34bは、第1カム溝34aと同様に、第1位置C1及び第2位置C2を有し、第2カムローラ42bが、第1カム溝34aに嵌合する第1カムローラ42aと同じタイミングで、これら第1位置C1及び第2位置C2に配置される。
【0048】
ところで、このようなゲートバルブ1において、
図8及び
図9に示すように、密閉位置P3における弁板4の位置保持は、通常、エアシリンダ20内の第1圧力室24aの圧力を一定に保持することにより行われる。そのため、弁板4が密閉位置P3に在る時に、エアシリンダ20内の第1圧力室24aの圧力が何らかの事情によって失われた場合、ゲート開口2の適切な密閉状態を維持できなくなる虞がある。そのため、本発明のゲートバルブ1には、弁板4を密閉位置P3でロックするためのロック機構50が設けられている。
【0049】
(ロック機構)
ロック機構50は、
図4(a)、
図9、
図10に示すように、エアシリンダ20のシリンダハウジング22(ローラフレーム26)に設けられている。ロック機構50は、カムフレーム32(第1ブロック30)と対向するローラフレーム26にカムフレーム32に対して進退可能に設けられたロックピストン51を有する。ロックピストン51は、ローラフレーム26に設けられた収容体52の内部に収容される。
【0050】
本実施形態では、収容体52は、ローラフレーム26の前側下部の縁部に形成された切り欠き部22aにボルト等の締結手段を介して着脱可能に取り付けられる。収容体52のカムフレーム32側に面する対向面52aは、ローラフレーム26の対向面26aと同一面上に配置される。
【0051】
収容体52は、
図10に示すように、対向面52aにおいて開口してシリンダハウジング22の内側へ延びる有底筒状の収容穴部53を有する。収容穴部53内にロックピストン51が収容される。収容穴部53は、対向面52a側からエアシリンダ20の軸線L2(
図2(a)参照)に対して直交する方向(左側方向)へ向かって、大径穴部53a及び大径穴部53aよりも小径の小径穴部53bが連続して形成される。大径穴部53a及び小径穴部53bは同軸上に形成され、大径穴部53aには、ロックピストン51の進退方向進出側(先端側)への移動を規制するための移動規制部材55が嵌合する。移動規制部材55の径方向中央部には、ロックピストン51の進退方向に沿って貫通する貫通孔55aが設けられる。この貫通孔55a内にはロックピストン51の先端側の軸部51aが移動可能に挿入される。
【0052】
収容穴部53の底面には、径方向内側へ突出する円環状のストッパ面53cが形成される。このストッパ面53cにロックピストン51の進退方向退避側(基端側)の端部が当接してロックピストン51の進退方向退避側への移動が規制される。ストッパ面53cの中央部には、左側方向へ向かって延びる案内穴部56が形成される。案内穴部56は、有底筒状に形成されて、収容穴部53と同軸上に延びる。案内穴部56の内径は、小径穴部53bの内径よりも小さい。案内穴部56には、ロックピストン51に繋がる被検出体61が進退動可能に挿入される。被検出体61の詳細については後述する。
【0053】
ロックピストン51は、
図10に示すように、軸線L3に沿って先端側に円柱状の軸部51aが形成され、基端側に軸部51aよりも大径で円柱状のピストン本体部51bが形成される。軸部51aの基端にピストン本体部51bの先端が繋がって、軸部51a及びピストン本体部51bは、同軸上に形成される。
【0054】
軸部51aは、ピストン本体部51bの先端側端部が移動規制部材55の基端側端部に接触すると、軸部51aの先端が収容体52の対向面52aから突出し、ピストン本体部51bの基端側端部が収容穴部53のストッパ面53cに接触すると、軸部51aの先端が収容体52の対向面52aと略同一平面上に位置する長さを有する。すなわち、ロックピストン51は、ピストン本体部51bが移動規制部材55に接触して軸部51aの先端がカムフレーム32側へ突出するロック位置Pr(
図11(b)参照)と、ピストン本体部51bが収容穴部53の底面に接触して軸部51aの先端が収容体52の対向面52aと略同一平面上に位置する非ロック位置Ph(
図11(a)参照)との間を移動可能である。
【0055】
図10に示すように、ピストン本体部51bの基端側の端面の径方向中央部には、先端側に向かって窪んだ有底筒状のバネ用凹部57が形成される。このバネ用凹部57内には、ロックピストン51を軸線L3に沿って先端側に向けて付勢するための付勢バネ58が収容される。本実施形態では、付勢バネ58は、例えば圧縮コイルバネであり、付勢バネ58の先端部がバネ用凹部57の底面に接触し、付勢バネ58の基端部が収容穴部53の底面に接触した状態でバネ用凹部57内に収容されている。付勢バネ58は、ロックピストン51がロック位置Pr(
図11(b)参照)に移動した状態でもロックピストン51をカムフレーム32側へ付勢するように形成されている。
【0056】
ピストン本体部51bは、その基端側が先端側よりも外径が大きく形成され、この外径が大きく形成された部分の外周には径方向内側へ窪んだ凹部が環状に形成され、この凹部内にOリング54aが装着されている。このOリング54aによって、ピストン本体部51bを収容穴部53に対して軸線L3方向に摺動自在かつ気密に支持する。ロックピストン51の進退方向進出側には、ロックピストン51を退避させるためのロック解除用圧力室59が形成される。すなわち、ロックピストン51の進退方向進出側と収容穴部53との間にロック解除用圧力室59が形成される。このロック解除用圧力室59は、エアシリンダ20の第2圧力室24bに対して圧縮空気を供給する第1ポート25aに繋がるロックエア流路80(
図13参照)に連通する。ロック機構50の動作については後述する。
【0057】
このようなロック機構50がゲートバルブ1に設けられている場合でも、付勢バネ58が故障した場合には、ロックピストン51が係合穴部32cに対して係合した状態にすることができなくなる虞が生じる。従って、弁板4が移動可能な状態となって、ゲート開口2を通じてチャンバを気密に閉塞することができなくなる場合が生じる。この場合、付勢バネ58は収容体52内に設けられているため、ロック機構50が係合穴部32cに対して係合状態にあるか否かの判断は困難である。そこで、本実施形態に係わるゲートバルブ1には、ロック機構50が係合穴部32cに対して係合状態にあるか否かを確認可能なロック検出部60が設けられている。
【0058】
(ロック検出部)
ロック検出部60は、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、ロックピストン51の基端側端部に設けられて案内穴部56内に延びる被検出体61と、ロックピストン51が係合穴部32cに係合された状態に在るときに被検出体61を検出可能な検出本体部63と、を有する。被検出体61は、磁性体の金属材料製であって円柱状に形成される。
【0059】
このように、検出本体部63は、ロックピストン51が係合穴部32cに係合された状態に在るときに、ロックピストン51に設けられた被検出体61を検出することで、検出本体部63がロックピストン51を直接に検出する必要がない。このため、ロックピストン51に対する検出本体部63の配置の自由度を向上することができる。
【0060】
本実施形態では、被検出体61は、ロックピストン51と同軸上に延びて、ロックピストン51に連結された先端側から後端側に向かって螺合部61a、連結部61b、小径部61c、大径部61dを有する。螺合部61aは円柱状に形成され、螺合部61aの外周面には雄ねじ部が設けられる。螺合部61aは、ロックピストン51のバネ用凹部57の底面に設けられた雌ネジ部に螺合される。連結部61bは、螺合部61aの基端部に繋がって螺合部61aよりも大径の円柱状に形成される。連結部61bは、その外径がバネ用凹部57の内径よりも小さく、雌ネジ部の内径よりも大きい。
【0061】
このため、螺合部61aをロックピストン51の雌ねじ部に螺合させた状態で、連結部61bの先端部をバネ用凹部57の底面に接触させると、ロックピストン51に対して被検出体61をロックピストン51の軸方向に位置決めすることができる。また、連結部61bの外面とバネ用凹部57の内面と間には、付勢バネ58を収容可能な空間部62が形成され、この空間部62内に付勢バネ58が収容される。さらに、連結部61bの外径は、付勢バネ58の内径よりも小さい。このため、付勢バネ58の内側に連結部61bを軸線L3方向に沿って挿通することができる。
【0062】
小径部61cは、連結部61bの基端側の端部から案内穴部56内へ延び、案内穴部56の内径よりも小さい外径を有する。このため、ロックピストン51の進退動に伴って小径部61cが案内穴部56の内面に接触する虞はない。
【0063】
大径部61dは、小径部61cの基端側端部に繋がり、小径部61cよりも大径であるとともに、案内穴部56の内径よりも僅かに小さい外径を有する。このため、大径部61dは、ロックピストン51の進退動に伴って案内穴部56内を移動可能である。大径部61dは、ロックピストン51が係合穴部32c内に移動時に、検出本体部63によって検出される。なお、被検出体61は、円柱状に形成されているが、これに限るものではなく、小径部61c及び大径部61dは、断面視において矩形状に形成されて軸線L3方向に直方体状に形成されたものでもよい。
【0064】
(検出本体部)
本実施形態では、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、検出本体部63は、例えば誘導型の近接センサ63’であるが、他の検出手法(例えば、静電容量型の近接センサ、磁気型の近接センサ)により被検出体の大径部61dを検知可能なものでもよい。近接センサ63’は、外形が円柱状に形成されて、被検出体61に対して直交する方向に配置される。近接センサ63’は、収容体52に形成された装着穴部52b内に装着される。
【0065】
装着穴部52bは、被検出体61が挿入される案内穴部56に対して、直交する方向に延びる。装着穴部52bの長手方向一端側は開口し、装着穴部52bの長手方向他端側は案内穴部56を超えた位置まで延びる。装着穴部52bの内径は近接センサ63’の外径よりも僅かに大きい。また、装着穴部52bの長手方向長さは、近接センサ63’のそれよりも短い。このため、装着穴部52bの開口から近接センサ63’を挿入すると、装着穴部52bの開口から近接センサ63’の基端側が開口から突出した状態で、装着穴部52b内に近接センサ63’を装着することができる。
【0066】
また、近接センサ63’を装着穴部52bに挿入した状態で、近接センサ63’の先端側の周囲には、空間部が形成される。このため、近接センサ63’の先端側が収容体52によって覆われることがなくなり、近接センサ63’の先端から発生する磁界の範囲が狭くなる虞を防止することができる。従って、近接センサ63’の感度を向上させることができる。
【0067】
また、装着穴部52bの長手方向中間部には、装着穴部52bに対して直交する方向に延びる止めねじ用のネジ孔部52cが設けられる。このため、装着穴部52b内に近接センサ63’を挿入した状態で、ネジ孔部52cに図示しない止めねじを螺合することで、装着穴部52b内に近接センサ63’を固定することができる。
【0068】
本実施形態の近接センサ63’は、その長手方向他端(先端)に対して僅かな隙間を有した位置に大径部61dが接近すると、この大径部61dを検出した検出信号を出力し、近接センサ63’の先端に対して小径部61cが接近すると、前記検出信号を出力しないように構成される。このため、ロックピストン51が係合穴部32c内に移動すると同時に、近接センサ63’の先端に対して大径部61dが接近移動して、近接センサ63’が検出信号を出力するので、ロックピストン51が係合穴部32cに対して係合された状態にあることを確認することができる。また、近接センサ63’から検出信号が出力されない場合には、ロックピストン51が係合穴部32cに対して係合された状態にないことが確認できる。
【0069】
このように、被検出体61は小径部61cと大径部61dとを有してなり、近接センサ63’は、ロックピストン51が係合穴部32cに係合された状態にあるときに、大径部61dを検出し、ロックピストン51が係合穴部32cに係合されていない状態にあるときに、大径部61dを検出しないので、ロックピストン51が係合穴部32cに対して係合状態にあるか否かを、簡易な構成で検出することができる。
【0070】
また、検出本体部63は、ロックピストン51が係合穴部32cに係合された状態にあるときに、ロックピストン51に設けられた被検出体61を検出するので、検出本体部63がロックピストン51を直接に検出する必要がない。このため、ロックピストン51に対する検出本体部63の配置の自由度を向上することができる。
【0071】
なお、近接センサ63’は、大径部61dとの間の隙間が所定値よりも大きくなると、検出信号を出力しない虞がある。このため、近接センサ63’の先端と大径部61dとの間の隙間が所定値になるようにする必要がある。そこで、
図12に示すように、収容穴部53内からロックピストン51、付勢バネ58を取り除き、位置調整用ピン66を、案内穴部56に挿入する。位置調整用ピン66の直径φは、被検出体61の大径部61dの半径に前記した隙間を加算した半径を2倍した値を有する。
【0072】
そして、案内穴部56に位置調整用ピン66を挿入し、装着穴部52b内に近接センサ63’を挿入して、近接センサ63’の先端を位置調整用ピン66の側面に突き当てることで、近接センサ63’の装着穴部52bに対する軸方向の位置決めをすることができる。そして、近接センサ63’を位置調整用ピン66に突き当てた状態のままで、近接センサ63’を図示しない止めねじを介して装着穴部52bに固定することで、近接センサ63’を装着穴部52b内の所定位置に固定することができる。
【0073】
また、ロックピストン51、被検出体61、及び近接センサ63’は、シリンダハウジング22に着脱可能な収容体52の内部に設けられるので、近接センサ63’の位置調整を行う場合には、収容体52をシリンダハウジング22から取り外して行うことができる。また、付勢バネ58や近接センサ63’等が故障した場合には、収容体52から故障した付勢バネ58や近接センサ63’を取り外して交換すればよい。このため、コストの上昇を抑制することができる。
【0074】
また、前述したように近接センサ63’は、誘導型であるが、この場合、収容体52は、非磁性材料で形成され、被検出体61は、導電性を有した磁性材料で形成されてもよい。収容体52を非磁性材料で形成することで、近接センサ63’から生じる磁界が収容体52内を通る虞を防止して、被検出体61内を通る磁界の強度の低下を抑制することができる。また、被検出体61が導電性を有した磁性材料で形成されることで、被検出体61の大径部61dに発生する渦電流の大きさを増大させることができる。その結果、渦電流から生じる熱量が増大して、誘導型の近接センサ63’の感度をより向上させることができる。
【0075】
次に、弁板4が密閉位置P3から全開位置P1側へ移動する際の圧縮空気の流路及び弁板4が全開位置P1側から密閉位置P3側へ移動する際の圧縮空気の流路、を概略的に説明する。
【0076】
前述したように第1ポート25aは、
図13に示すように、エアシリンダ20のヘッド側の第2圧力室24bに対して圧縮空気を給排するためのものであり、カラー部材24dの外周の凹溝とシリンダハウジング22の内周面とで区画された環状流路81に接続されている。また、環状流路81は、シリンダハウジング22内に形成された給排気流路82を通じて第2圧力室24bに接続されている。
【0077】
さらに、環状流路81は、ロック解除用圧力室59(
図11(a)参照)に対し圧縮空気を給排するためにシリンダハウジング22内に形成されたロックエア流路80に接続されている。また、給排気流路82は、ボンネット10内をさらに延びて他のエアシリンダ20のシリンダハウジング22内に形成された給排気流路82に接続されている。
【0078】
一方、第2ポート25bは、
図14に示すように、エアシリンダ20のロッド側の第1圧力室24aに対して圧縮空気を給排するためのものであり、カラー部材24dの外周の凹溝とシリンダハウジング22の内周面とで区画された環状流路83に接続されている。また、環状流路83は、シリンダハウジング22内に形成された給排気流路84を通じて第1圧力室24aに接続されている。なお、ロック機構50のロック解除用圧力室59と反対側の圧力室は、図示しない連通路を介して大気に開放されている。
【0079】
このため、第1ポート25aに圧縮空気が供給されると、
図13に示すように、ロックピストン51が退避方向に移動して弁板4のロックが解除されて、エアシリンダ20が伸長動する。一方、第2ポート25bに圧縮空気が供給されると、
図14に示すように、ロックピストン51は、ロック解除用圧力室59への圧縮空気の供給がなくなって、付勢バネ58によってカムフレーム32の内側面32bに接触した状態になる。従って、エアシリンダ20が縮小動する。
【0080】
次に、ゲートバルブ1の基本的な動作について具体的に説明する。
まず、
図13に示すように、エアシリンダ20の第1ポート25aから圧縮空気を第2圧力室24bに供給すると共に、第2ポート25bから第1圧力室24aの圧縮空気を排気することにより、駆動ピストン23がロッド側(下側)へ移動するに伴って駆動ロッド21(
図2(a)参照)が伸長動する。駆動ピストン23がカラー部材24dに当接すると、
図1及び
図2(a)に示すように、第1ブロック30(ロッドアーム31及びカムフレーム32)と第2ブロック40(レバー部材41)とが、弁箱3及びボンネット10に対して最も離間した下方位置に移動する。それに伴って、弁板4はゲート開口2から弁シャフト5の軸線L1方向に完全に退避した全開位置P1に移動し、ゲート開口2と背面側開口2aとの間に通路が形成される(
図6参照)。その結果、この通路を通じてチャンバ内に対しワークを出し入れすることができる。
【0081】
このとき、
図5(b)及び
図5(d)に示すように、カムフレーム32のガイド溝33には、矢印Aが示す第2ガイドローラ27bのみが嵌合し、他方の第1ガイドローラ27aは未だ嵌合していない。また、第1カム溝34a及び第2カム溝34bにおいては、それぞれの第1位置C1に第1カムローラ42a及び第2カムローラ42bが移動する。
【0082】
次に、
図14に示すように、エアシリンダ20の第2ポート25bから圧縮空気を第1圧力室24aに供給すると共に、第1ポート25aから第2圧力室24bの圧縮空気を排気することにより、駆動ピストン23がヘッド方向(上方)に移動して、駆動ロッド21がその軸線L2に沿ってリンダハウジング22内へと縮小動する。これと同時に、ロッドアーム31、カムフレーム32及びレバー部材41とが、圧縮バネ6’の変形(伸縮や屈曲等)による相対移動を伴うことなく一体となって、駆動ロッド21の移動方向と同じ方向(弁シャフト5の軸線L1の上側方向)へ移動する。
【0083】
それに伴って、弁板4は、
図7及び
図14に示すように、弁シャフト5の軸線L1に沿ってゲート開口2側へ移動する。その間、弁板4は弁シート8の面に対して平行移動する。そして、レバー部材41の停止ローラ71がボンネット10の下面10bの停止部72に当接してレバー部材41の軸線L1方向への移動が停止されると、弁板4はゲート開口2と離間して対向する(すなわち、シール部材9が弁シート8と離間して対向する)中間位置P2に移動し、弁板4の弁シート8の面に対する平行移動が停止される。
【0084】
なお、このとき、
図5(b)に示すように、カムフレーム32のガイド溝33には、矢印Bが示す第1ガイドローラ27a及び第2ガイドローラ27bの双方が嵌合している。また、依然として、第1カム溝34a及び第2カム溝34bの第1位置C1に第1カムローラ及び第2カムローラ42bがそれぞれ配置されている。
【0085】
そして、
図14に示すように、さらにエアシリンダ20の第1圧力室24aに圧縮空気を供給することにより、駆動ピストン23をヘッド側方向(上方)に移動させて、さらに駆動ロッド21(
図2(b)参照)を縮小動させると、上述のように、レバー部材41から成る第2ブロック40は、ストッパ機構70(停止ローラ71及び停止部72)により軸線L1方向(上方)への移動が規制されているため、ロッドアーム31及びカムフレーム32から成る第1ブロック30のみが、圧縮バネ6’を圧縮しながら軸線L1方向(上方)に移動する。それに伴って、レバー部材41は、鉛直移動機構により、弁シート8側に向かって軸線L1に対して直交する方向へ移動する。
【0086】
その結果、弁板4は、中間位置P2から、
図8に示すように、密閉位置P3に移動する。なお、チャンバでの通常の真空処理においては、この位置が密閉位置として使用される。
【0087】
なお、
図5(b)及び
図5(d)に示すように、弁板4がこの密閉位置P3に在るときは、カムフレーム32のガイド溝33には、第1ガイドローラ27aと第2ガイドローラ27bとの双方が嵌合している。また、第1カムローラ42a及び第2カムローラ42bは、第2位置C2にそれぞれ配置される。
【0088】
次に、ロック機構50及びロック検出部60の動作について具体的に説明する。弁板4が密閉位置P3に移動すると、
図10に示すように、カムフレーム32に設けられた係合穴部32cとロック機構50のロックピストン51が対向する位置に移動して、付勢バネ58によってロックピストン51が進出して係合穴部32cに係合される。このため、弁板4を密閉位置P3においてロックすることができる。
【0089】
ここで、ロック機構50によって弁板4がロックされた状態では、
図11(b)に示すように、ロック検出部60の被検出体61の大径部61dが近接センサ63’の長手方向先端に対して近接した位置に移動している。このため、近接センサ63’は大径部61dを検出した検出信号を既に出力している。よって、この検出信号によって、ロックピストン51が係合穴部32cに対して係合された状態にあることを確認することができる。
【0090】
ここで、
図11(a)に示した状態において、付勢バネ58が故障した場合には、ロックピストン51を係合穴部32c側に進出させることができなくなる。従って、弁板4は密閉位置P3においてロックされない状態となる。しかしながら、ロックピストン51は係合穴部32c側へ進出していない状態では、被検出体61の小径部61cが近接センサ63’の長手方向先端に近接するので、近接センサ63’は、検出信号を出力しない。このため、ロックピストン51が係合穴部32cに対して係合された状態にないことを確認することができる。
【0091】
よって、ロック機構50のロックピストン51が係合穴部32cに対して係合された状態にあるか否かを確認可能なゲートバルブ1を提供することができる。
【0092】
以上、本発明に係るゲートバルブ1の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な設計変更が可能であることは言うまでもない。
【0093】
例えば、前述した実施形態では、弁移動機構29は、弁板4を、密閉位置P3と全開位置P1との間を、中間位置P2を通じて往復移動可能な場合を記載したが、弁移動機構は、弁板4を、中間位置P2を設けずに密閉位置P3と全開位置P1との間を往復移動可能にしてもよい。この場合には、連結部材6を取り外して弁シャフト5の下端部をロッドアーム31に接続し、カムフレーム32の上端をボンネット10の下面10bに接続するとともにカムフレーム32の下端をロッドアーム31から取り外す。また、カムフレーム32の第1カム溝34a及び第2カム溝34bは、上側から下側に進むに従って弁シート8側(前側)に傾斜するように形成される。従って、エアシリンダ20の駆動ロッド21が伸縮動すると、レバー部材41が上下方向に移動するとともに、前後方向に移動して、弁板4を全開位置P1と密閉位置P3との間で往復移動させることができる。
【0094】
また、ロック機構50はロックピストン51の軸部51aの長さを長く形成し、弁板4が密閉位置P3に移動した状態で、軸部51aの先端に対向するカムフレーム32に左右方向に貫通する貫通孔を設けるとともに、貫通孔に対向するレバー部材41の側面に係合穴部32cを設ける。このため、軸部51aは、弁板4が密閉位置P3に移動した状態で、貫通孔を通って係合穴部32cに対して進退可能である。従って、軸部51aが係合穴部32cに係合すると、弁板4をロックすることができる。
【0095】
また、前述した実施形態では、近接センサ63’は、ロックピストン51が係合穴部32cに対して係合された状態にあるときに検出信号を出力し、係合穴部32cに対して係合された状態にないときに検出信号を出力しない場合を示したが、これに限るものではない。例えば、近接センサ63’は、ロックピストン51が係合穴部32cに対して係合された状態にあるときに検出信号を出力せず、ロックピストン51が係合穴部32cに対して係合された状態にないときに検出信号を出力するようにしてもよい。この場合には、前述した被検出体61の大径部61dの外径の大きさを小径部61cの外径と等しくし、小径部61cの外径を大径部61dの外径と等しくする。