【解決手段】温水製造装置1であって、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13および蒸発器14が冷媒循環ラインL9により環状に接続され、圧縮機11の駆動により凝縮器12で温熱を取り出す蒸気圧縮式のヒートポンプ回路10と、凝縮器12に冷水W1を導入する第1冷水ラインL1と、凝縮器12から温水W2を導出する温水ラインL2と、温水ラインL2を流通する温水W2に対し、当該温水W2よりも高温の昇温用流体を混合させる混合手段30と、を備え、この昇温用流体は、水蒸気、熱水、または水蒸気と熱水の混相流体である。
前記ヒートポンプ回路を第1筐体に収容して構成したヒートポンプユニット、および前記混合手段を第2筐体に収容して構成した混合ユニットからなる、請求項1または請求項2に記載の温水製造装置。
前記混合手段は、昇温用流体が混合された温水が設定給湯温度になるように、温水と昇温用流体の混合割合を調整するミキシングバルブである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の温水製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
以下、本発明の温水製造装置1の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0024】
図1は、第1実施形態に係る温水製造装置1の構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、温水製造装置1は、冷水W1を加温して一次温水W2を製造し、この一次温水W2をさらに昇温した二次温水W3を温水需要箇所に供給するシステムである。
【0025】
より具体的には、本実施形態の温水製造装置1は、冷水W1を加温するヒートポンプ回路10と、制御手段としての制御部100と、を備える。また、温水製造装置1は、ヒートポンプ回路10の凝縮器12に冷水W1を導入する第1冷水ラインL1と、凝縮器12から一次温水W2を導出する温水ラインL2と、昇温流体としての水蒸気Sを供給する蒸気供給ラインL3と、水蒸気Sを混合する前の一次温水W2に対し、冷水W0を合流させる第2冷水ラインL4と、ヒートポンプ回路10の蒸発器14に熱源流体としての熱源水W5を流通させる熱源流体ラインL5と、を備える。そして、本実施形態の温水製造装置1は、温水ラインL2を流通する一次温水W2に対し、蒸気供給ラインL3を通じて供給される水蒸気Sを混合させる混合手段30を備える。
【0026】
ヒートポンプ回路10は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13および蒸発器14が冷媒循環ラインL9により環状に接続され、圧縮機11の駆動により凝縮器12で温熱を取り出す蒸気圧縮式のヒートポンプ回路である。この冷媒循環ラインL9には冷媒Rが流れる。
圧縮機11は、駆動源としての電気モータ15を有しており、フロンガス等のガス状の冷媒Rを圧縮して高温高圧の冷媒Rにする。凝縮器12は、第1冷水ラインL1を通じて送られてくる冷水W1へ放熱して、圧縮機11からの冷媒Rを凝縮液化する。膨張弁13は、凝縮器12から送られた冷媒Rを通過させることで、冷媒Rの圧力と温度とを低下させる。蒸発器14は、熱源流体ラインL5を通じて送られてくる熱源水W5から吸熱して、膨張弁13から送られる冷媒Rを蒸発させる。
このように、ヒートポンプ回路10は、蒸発器14において、冷媒Rが外部から熱を奪って気化する一方、凝縮器12において、冷媒Rが外部へ放熱して凝縮している。このような原理を利用して、ヒートポンプ回路10は、蒸発器14において、熱源水W5から熱をくみ上げ、凝縮器12において、第1冷水ラインL1から導入された冷水W1を第1温度(例えば50〜70℃)まで加温する。
【0027】
ヒートポンプ回路の冷媒循環ラインL9には、圧縮機11に流入するガス冷媒Rの吸込温度を検知する吸込温度センサ17と、蒸発器14から流出するガス冷媒Rの蒸気圧力を検知する蒸気圧力センサ18と、が設けられている。
【0028】
ここで、膨張弁13は、ヒートポンプ回路10の冷媒循環ラインL9を流れる冷媒Rの流量を調整する冷媒流量調整手段を構成する。具体的には、膨張弁13は、比例制御式のニードル弁として構成され、駆動用ステッピングモータの回転数制御によりニードル弁のストロークを変え、弁開度を調節することで、冷媒Rの流量を調整することができる。
【0029】
第1冷水ラインL1は、ヒートポンプ回路10の凝縮器12に冷水W1を導入する。第1冷水ラインL1は、その上流側が不図示の補給水タンク等の給水源に接続され、その下流側がヒートポンプ回路10の凝縮器12に接続されている。そして、第1冷水ラインL1には、冷水供給ポンプ21が設けられている。
【0030】
冷水供給ポンプ21は、インバータにより回転数を制御可能とされる。冷水供給ポンプ21の回転数を変更することで、凝縮器12に導入する冷水流量を調整することができる。すなわち、この冷水供給ポンプ21は、冷水流量調整手段を構成する。
【0031】
温水ラインL2は、ヒートポンプ回路10の凝縮器12から一次温水W2を導出すると共に、温水需要箇所に対して二次温水W3を給湯する。温水ラインL2は、その上流側がヒートポンプ回路10の凝縮器12に接続されている。そして、温水ラインL2には、上流側から、出湯温度センサ23、止水弁24、混合手段30としてのミキシングバルブ31、給湯温度センサ25および給湯流量センサ26(給湯流量検知手段)が順次配置されている。
【0032】
出湯温度センサ23は、凝縮器12で生成された一次温水W2の出湯温度を検知する。
止水弁24は、メンテナンス時などにおいて温水ラインL2を流通する一次温水W2を止水するための弁であり、手動弁からなる。しかしながら、止水弁24は制御信号に基づき制御可能な制御弁により構成してもよい。
給湯温度センサ25は、ミキシングバルブ31で生成された二次温水W3の温度、すなわち温水需要箇所への給湯温度(最終出湯温度)を検知する。
給湯流量センサ26は、ミキシングバルブ31で生成された二次温水W3の流量、すなわち温水需要箇所への給湯流量を検知する。
なお、ミキシングバルブ31の詳細については後述する。
【0033】
蒸気供給ラインL3は、温水ラインL2を流通する一次温水W2に対し、昇温用流体としての水蒸気Sを供給する昇温用流体供給ラインである。蒸気供給ラインL3の上流側は、不図示のスチームヘッダ(蒸気ボイラ等で発生させた蒸気の収集・分配装置)に接続されている。蒸気供給ラインL3の下流側は、温水ラインL2に合流し、その合流部には、混合手段30としてのミキシングバルブ31が設けられている。また、蒸気供給ラインL3には、蒸気供給バルブ27が設けられている。
【0034】
混合手段30は、温水ラインL2を流通する一次温水W2に対し、一次温水W2よりも高温の水蒸気Sを混合させる。本実施形態においては、混合手段30として、ミキシングバルブ31を用いている。
ミキシングバルブ31には、温水ラインL2を流通する一次温水W2と、蒸気供給ラインL3を流通する水蒸気Sが流れ込む。そして、ミキシングバルブ31において、一次温水W2と水蒸気Sとが混合されると共に、その混合割合により、ミキシングバルブ31から流出する二次温水W3の給湯温度が設定給湯温度となるように調整される。具体的には、ミキシングバルブ31は、ヒートポンプ回路10で加温されて第1温度(例えば50〜70℃)となっている温水を、水蒸気Sを利用して第1温度よりも高い第2温度(例えば75℃〜95℃)となるように昇温する。
【0035】
このミキシングバルブ31としては、例えばバイメタル式(バイメタルサーモが膨張と収縮することで水温を調整するタイプ)のミキシングバルブを用いることができる。
なお、ミキシングバルブ31としては、温度調節レバー等の温度調節部を用いて手動で設定給湯温度を変更できるものを用いてもよい。この場合は、温水需要箇所が要求する温度に応じて、手動で設定給湯温度を調節する。また、ミキシングバルブ31として、制御信号により設定給湯温度を変更可能な電動ミキシングバルブを用いてもよい。この場合は、制御部100からの制御信号に基づいて、設定給湯温度を調整する。
ミキシングバルブ31を用いることにより、一次温水W2と水蒸気Sの混合割合が自動で調整されるので、安定した温度の給湯を実現することができる。
【0036】
なお、本実施形態においては、昇温用流体として水蒸気Sを用いているが、昇温用流体はこれに限らない。昇温用流体は、一次温水W2よりも高温の水であればよく、例えば、熱水、または水蒸気と熱水の混相流体を用いることができる。
ここで、熱水とは、大気圧以上で100℃以上の飽和水、または大気圧以上で100℃に近い温水をいう。また、混相流体とは、昇温用流体として蒸気ドレン(蒸気凝縮水)を利用する場合など、飽和水がフラッシュしながら流れてくる状態の流体をいう。
【0037】
このように、ヒートポンプ回路10で生成され、温水ラインL2を流通する一次温水W2に対してミキシングバルブ31(混合手段30)を用いて水蒸気S(昇温用流体)を混合させるように構成したので、給湯温度を高めた場合であっても、高い二酸化炭素排出量の削減効果と高いランニングコストの削減効果を得ることができる。また、温水製造装置1から所要の給湯温度に調整された二次温水W3が即時給湯される。また、ヒートポンプ回路10が起動直後で出湯温度が低い場合でも、水蒸気Sによる加温アシストにより所要の給湯温度まで直ちに加温される。この結果、温水需要箇所に対する給湯温度を安定させることができる。
【0038】
また、この構成であれば、ヒートポンプ回路10の目標出湯温度(後述する設定値)を調整しない場合、すなわち、一次温水W2を供給するヒートポンプ回路10と水蒸気Sを供給する蒸気ボイラの出力分担を調整しない場合には、ヒートポンプ回路10と温水需要箇所との間に温水タンクを設置せずに、温水需要箇所に二次温水W3を直接給湯することも可能なので、装置のイニシャルコストを抑制することもできる。また、温水タンクを設置せずに済むことから、貯留中の放熱ロスもなくなる。
なお、ヒートポンプ回路10と温水需要箇所との間に温水タンクを設置し、この温水タンク内に水蒸気Sを供給する構成とした場合、温水タンクのサイズや温水タンクへの水蒸気Sの吹込み位置によっては貯留中に温度ムラが生じ、温水需要箇所に対する給湯温度が一定にならない懸念があった。しかしながら、本実施形態の構成によれば、ヒートポンプ回路10で生成され、温水ラインL2を流通する一次温水W2を、より高温の水蒸気Sと直接熱交換させて昇温する構成であるため、温水需要箇所に対する給湯温度を安定させることができる。
【0039】
第2冷水ラインL4は、水蒸気Sを混合する前の一次温水W2に対し、冷水W0を合流させる冷水バイパスラインである。第2冷水ラインL4は、その上流側が、不図示の補給水タンク等の給水源に接続され、その下流側が、温水ラインL2に合流している。そして、第2冷水ラインL4には、冷水供給バルブ28が設けられている。
なお、第2冷水ラインL4と温水ラインL2の合流部は、温水ラインL2において、ミキシングバルブ31の上流側に位置している。より詳細には、第2冷水ラインL4と温水ラインL2の合流部は、温水ラインL2において、ミキシングバルブ31の上流側であって、止水弁24の下流側に位置している。
【0040】
このような構成により、出湯を止めた状態でのヒートポンプ回路10のメンテナンスが必要な場合であっても、第2冷水ラインL4からの冷水W0のバイパス供給と水蒸気Sによる直接加温により温水需要箇所に対する給湯を継続することができる。例えば、止水弁24を閉止し、冷水供給バルブ28および蒸気供給バルブ27を開弁することで、ヒートポンプ回路10のメンテナンス時においても、温水需要箇所に対する給湯を継続することができる。
【0041】
また、ヒートポンプ回路10からの出湯流量が足りない場合は、温水需要箇所からの外部要求信号等に応じて冷水供給バルブ28を開弁して、ヒートポンプ回路10で得られた一次温水W2に第2冷水ラインL4からの冷水W0を合流させることもできる。合流後の水は、その後、水蒸気Sの混合により昇温され、温水需要箇所に給湯される。
【0042】
なお、第1冷水ラインL1および第2冷水ラインL4の上流側が接続されている補給水タンク等の給水源は、共通であってもよいし、異なっていてもよい。
【0043】
熱源流体ラインL5は、ヒートポンプ回路10の熱源流体としての熱源水W5を、蒸発器14に流通させる。熱源水W5としては、例えば工場の廃温水などが用いられる。
【0044】
ここで、本実施形態の温水製造装置1における、ヒートポンプ回路10およびミキシングバルブ31(混合手段30)は、単一の筐体200に収容して構成され、一体型ユニットとして構成される。例えば、
図1において点線で示される範囲が、単一の筐体200に収容されている。
これにより、温水製造装置1の一体型ユニットに対して冷水W1を供給する給水配管、水蒸気Sを供給する蒸気配管、温水需要箇所に二次温水W3を給湯する給湯配管および、熱源水W5を流通させる熱源配管を接続するだけで据付工事が完了するので、設置費用を含めた装置のイニシャルコストを抑制することができる。
なお、本構成において、第2冷水ラインL4は、冷水供給ポンプ21と凝縮器12の間に位置する第1冷水ラインL1から分岐させ、筐体200に収容するのが好ましい。
【0045】
次に、本実施形態の温水製造装置1の制御部100(制御手段)について説明する。
図2は、本実施形態の温水製造装置1の制御部100のブロック図である。制御部100は、過熱度算出部110と、冷媒流量制御部120と、冷水流量制御部130と、冷水供給バルブ制御部140と、蒸気供給バルブ制御部150と、記憶部190と、を備える。
【0046】
なお、制御部100は、上述のように複数の機能ブロックにより構成されているが、各ブロックは必ずしも物理的に分かれている必要は無く、複数のブロックの機能を1つのCPUで実現できるように構成してもよい。また、制御部100は、制御対象機器の配置や配線を考慮するなどして、2つ以上に分かれていてもよい。
【0047】
過熱度算出部110は、圧縮機11に流入する冷媒Rの過熱度を算出する。
具体的には、過熱度算出部110は、蒸気圧力センサ18の検知圧力から液冷媒Rの蒸発温度を求めると共に、吸込温度センサ17の検知温度から蒸発温度を差し引いてガス冷媒Rの過熱度を算出する。
【0048】
冷媒流量制御部120は、算出過熱度(過熱度算出部110による算出値)が目標過熱度になるように冷媒流量制御手段を制御し、冷媒Rの流量を調整する。
具体的な制御としては、例えば、過熱度算出部110によりリアルタイムで算出される算出過熱度をフィードバック値として、この算出過熱度を目標過熱度に収束させるように膨張弁13の弁開度を調整するフィードバック制御を採用するのが好ましい。フィードバック制御は、比例制御(P制御)のほか、これに積分制御(I制御)および/または微分制御(D制御)を組み合わせた操作量の演算アルゴリズムを採用することができる。
【0049】
このように、過熱度算出部110がガス冷媒Rの過熱度を正確に算出し、さらに冷媒流量制御部120がその値を一定に保つように制御することにより、冷水W1に対する凝縮器12の熱出力が安定する。これにより、一次温水W2の出湯温度を目標出湯温度に調整する際、出湯流量の変動が少なくなる。
ここで、目標過熱度は、手動により、または装置状態等に応じて自動で設定される。
【0050】
冷水流量制御部130は、出湯温度センサ23の検知温度が目標出湯温度になるように給水流量調整手段を制御し、冷水W1(一次温水W2)の流量を調整する。
具体的な制御としては、例えば、出湯温度センサ23によりリアルタイムに検知される出湯温度をフィードバック値として、この出湯温度を目標出湯温度に収束させるように冷水供給ポンプ21の駆動周波数を調整するフィードバック制御を採用するのが好ましい。フィードバック制御は、比例制御(P制御)のほか、これに積分制御(I制御)および/または微分制御(D制御)を組み合わせた操作量の演算アルゴリズムを採用することができる。
【0051】
なお、給水流量調整手段は、インバータ制御が可能な冷水供給ポンプ21に限らず、他の態様によって構成してもよい。例えば、冷水供給ポンプ21をオンオフ制御のみ可能なポンプにより構成する場合は、冷水供給ポンプ21の下流側に流量調整弁を設けて、これを給水流量調整手段としてもよい。
【0052】
ここで、目標出湯温度は、手動により、または装置状態等に応じて自動で設定される。
目標出湯温度の自動設定では、次に概要を説明するCO2削減優先モードまたはランニングコスト削減優先モードにより行われるのが好ましい。これらのモードでは、目標出湯温度は、50〜70℃程度に設定され、それ以上の加温はミキシングバルブ31で行われる。なお、各モードの詳細な説明は、特願2019−47464に記載されている。
【0053】
<CO
2削減優先モードの目標出湯温度設定手順>
本モードでは、ミキシングバルブ31の設定給湯温度に基づいて、システム全体の総CO
2排出量が低くなるように(典型的には最もCO
2削減比が高くなるように)ヒートポンプ回路10の目標出湯温度が決定される。ミキシングバルブ31の設定給湯温度およびヒートポンプ回路10の目標出湯温度が決定されることにより、ヒートポンプ回路10と蒸気ボイラの出力分担割合(すなわち、それぞれの熱出力の受け持ち分)が決定されることになる。
システム全体の総CO
2排出量は、ヒートポンプ回路10を所定の条件下で運転した場合のCOP予測値を用いて算出されたヒートポンプCO2排出量と、蒸気ボイラを所定の条件下で運転した場合のボイラ効率予測値を用いて算出されたボイラCO
2排出量と、の合計である。
【0054】
設定給湯温度に対応させる目標出湯温度は、予め作成されたテーブル群に基づいて決定される。テーブル群は、総ランニングコストが最も低くなるような目標出湯温度を、COP予測値、ボイラ効率予測値、冷水W1の給水温度および二次温水W3の給湯温度の4つの条件変数を用いて予測計算し、その結果を反映させたものである。
COP予測値は、ヒートポンプ回路10の冷凍サイクル計算によるシミュレーションによって求められる。冷凍サイクル計算では多数の条件変数が存在するが、冷媒の劣化、蒸発器・凝縮器の汚れ、圧縮機の性能低下などが生じていなければ、COPの変動要因として特に大きいのは、冷水W1の給水温度および熱源水W5の給水温度の2つである。そのため、COP予測値に替わる条件変数として、冷水W1の給水温度および熱源水W5の給水温度の2つを採用することができる。
そして、このテーブル群を用いて、目標出湯温度を決定するときは、設定給湯温度と、ボイラ効率実測値とに基づいてテーブルを選択し、このテーブルと、センサによる冷水W1の給水温度計測値および熱源水W5の給水温度計測値に基づいて、目標出湯温度を決定する。
【0055】
また、本モードの実行中、ヒートポンプ回路10のCOP実測値の変動を検知したときは、最新のボイラ効率実測値、冷水W1の給水温度計測値および熱源水W5の給水温度計測値を用いて目標出湯温度を決定するのが望ましい。COP実測値の変動に応じて目標出湯温度を更新することで、総CO
2排出量が抑制された状態を維持することができる。
【0056】
<ランニングコスト削減優先モードの目標出湯温度設定手順>
本モードでは、ミキシングバルブ31の設定給湯温度に基づいて、システム全体の総ランニングコストが低くなるように(典型的には最もランニングコスト削減比が高くなるように)ヒートポンプ回路10の目標出湯温度が決定される。ミキシングバルブ31の設定給湯温度およびヒートポンプ回路10の目標出湯温度が決定されることにより、ヒートポンプ回路10と蒸気ボイラの出力分担割合(すなわち、それぞれの熱出力の受け持ち分)が決定されることになる。
システム全体の総ランニングコストは、ヒートポンプ回路10を所定の条件下で運転した場合のCOP予測値を用いて算出されたヒートポンプランニングコストと、蒸気ボイラを所定の条件下で運転した場合のボイラ効率予測値を用いて算出されたボイラランニングコストと、の合計である。
【0057】
設定給湯温度に対応させる目標出湯温度は、予め作成されたテーブル群に基づいて決定される。テーブル群は、総ランニングコストが最も低くなるような目標出湯温度を、COP予測値、ボイラ効率予測値、冷水W1の給水温度および二次温水W3の給湯温度の4つの条件変数を用いて予測計算し、その結果を反映させたものである。
上述したように、COP予測値に替わる条件変数として、冷水W1の給水温度および熱源水W5の給水温度の2つを採用することができる。
そして、このテーブル群を用いて、目標出湯温度を決定するときは、設定給湯温度と、ボイラ効率実測値とに基づいてテーブルを選択し、このテーブルと、センサによる冷水W1の給水温度計測値および熱源水W5の給水温度計測値に基づいて、目標出湯温度を決定する。
【0058】
また、本モードの実行中、ヒートポンプ回路10のCOP実測値の変動を検知したときは、最新のボイラ効率実測値、冷水W1の給水温度計測値および熱源水W5の給水温度計測値を用いて目標出湯温度を決定するのが望ましい。COP実測値の変動に応じて目標出湯温度を更新することで、総ランニングコストが抑制された状態を維持することができる。
【0059】
このように、一次温水W2を目標出湯温度一定に調整することで、一次温水W2と水蒸気Sの混合割合の変動が抑制される。そのため、温水需要箇所に対する給湯温度をより安定させることができる。
【0060】
冷水供給バルブ制御部140は、例えば、オペレータによって入力部に入力された入力信号に基づき、冷水供給バルブ28を開閉する。例えば、オペレータは、ヒートポンプ回路10のメンテナンス時に、止水弁24を閉止した上で、冷水供給バルブ28を開弁するよう、入力部への入力を行う。
【0061】
また、冷水供給バルブ制御部140は、ヒートポンプ回路10のメンテナンス関連信号を取得し、取得したメンテナンス関連信号に基づき、冷水供給バルブ28を開閉する制御を行ってもよい。例えば、メンテナンス状態を示す信号を取得したときに、冷水供給バルブ28を開弁する制御を行ってもよい。このとき、メンテナンス状態を示す信号として、止水弁24の開閉情報を用いてもよい。或いは、止水弁24が制御信号により制御可能な弁によって構成されているときは、冷水供給バルブ制御部140は、メンテナンスを指示する信号を取得したときに、止水弁24を閉止すると共に、冷水供給バルブ28を開弁する制御を行ってもよい。
また、冷水供給バルブ制御部140は、温水需要箇所からの外部要求信号等に基づいて、冷水供給バルブ28を開閉する制御を行ってもよい。
【0062】
蒸気供給バルブ制御部150は、例えば、オペレータによって入力部に入力された入力信号に基づき、蒸気供給バルブ27を開閉する。例えば、オペレータは、蒸気ボイラ等のメンテナンス時に、蒸気供給バルブ27を閉弁するよう、入力部への入力を行う。
【0063】
なお、ミキシングバルブ31として、制御信号により設定給湯温度を変更可能な電動ミキシングバルブを用いる場合は、制御部100にミキシングバルブ制御部(不図示)を機能ブロックとして設け、ミキシングバルブ制御部からの制御信号に基づいて、ミキシングバルブ31の設定給湯温度を調整してもよい。この設定給湯温度は、例えば75℃〜95℃とすることができる。
【0064】
記憶部190は、制御に必要な種々の情報を記憶する。
【0065】
なお、温水製造装置1が製造した温水が給湯される温水需要箇所の例としては、食品・飲料・薬品用の容器洗浄や、パストライザー殺菌(瓶詰の殺菌)等が挙げられる。この場合は、常に、75℃〜95℃程度の高温域の温水の供給が求められることがある。このような高温域の温水を必要とする場合において、本実施形態の温水製造装置1は特に好適に利用可能である。
但し、本実施形態の温水製造装置は、洗浄用や殺菌用に限らず、各種の用途に使用することができる。例えば、食品・飲料分野における温水利用であれば、原材料・加工品の加温、洗びん、製造機器の定置洗浄(CIP)などの用途に利用することができる。そして、機械分野における温水利用であれば、湯洗・脱脂などの用途に利用することができる。
これらの用途においても、75℃〜95℃程度の高温域の温水が求められることがあり、このような高温域の温水を必要とする場合において、本実施形態の温水製造装置1は特に好適に利用可能である。
【0066】
以上のように、ヒートポンプ回路10の凝縮器12に接続されている温水ラインL2を流通する一次温水W2に対し、一次温水W2よりも高温の昇温用流体を混合させる構成を採用することにより、温水需要箇所に給湯する二次温水W3の給湯温度を高める場合であっても、二酸化炭素排出量の削減効果を高めることができ、ランニングコストも削減することができる。
【0067】
また、このような温水製造装置1であれば、ヒートポンプ回路10が高効率で運転できる温度帯まで、例えば70℃まで冷水W1を加温し、このように加温された一次温水W2を、水蒸気S等の昇温用流体を利用して高温域まで、例えば90℃まで昇温することが可能であり、高温域の二次温水W3を高効率で製造することができる。
【0068】
そして、昇温用流体として水蒸気Sを利用する場合は、水蒸気Sの全熱(顕熱および潜熱)が利用されることにより、ヒートポンプ回路10により加温された一次温水W2は迅速に昇温する。よって、出湯温度の制御応答性も向上する。
【0069】
なお、このような効果を得る上で、電気駆動の圧縮機11を有するヒートポンプ回路10を用い、蒸気ボイラとして、ガス燃焼または油燃焼のバーナを有する蒸気ボイラを用いることが特に好ましい。
そして、ヒートポンプ回路10により第1の温度として50〜85℃まで加温し、混合手段30により第1の温度よりも高い温度である第2温度として、75℃〜95℃とすることで、本実施形態の効果を適切に得ることができる。好ましくは、第1温度を50〜80℃とし、第2温度を、第1の温度よりも高い温度であって、75〜95℃とする。さらに好ましくは、第1温度を50〜70℃とし、前記第2温度を75〜95℃とする。
このように、電気駆動の圧縮機11を有するヒートポンプ回路10と、化石燃料を燃焼させるバーナを有する蒸気ボイラを組み合わせることで、ヒートポンプ式給湯器単独で、或いは蒸気ボイラ単独で高温水を製造する場合に比べて、高い二酸化炭素排出量の削減効果と高いランニングコストの削減効果を得ることができる。
【0070】
例えば、冷水W1をヒートポンプで70℃まで加温した後、水蒸気Sを利用して90℃まで昇温すれば、水蒸気Sのみで90℃まで加温する場合と比べて、20%以上の二酸化炭素削減効果およびランニングコスト削減効果を得ることができる。また、ヒートポンプ回路のみで加温する場合と比べても、10%以上の二酸化炭素削減効果およびランニングコスト削減効果を得ることができる。
【0071】
図3は、本実施形態の温水製造装置1の第1変形例を模式的に示す図である。
本変形例においては、混合手段30として、ミキシングバルブ31に代えて、蒸気供給バルブ27および給湯温度センサ25を用いる。
【0072】
本変形例においては、蒸気供給ラインL3は、温水ラインL2に直接合流している。この温水ラインL2と蒸気供給ラインL3の合流部には、T字管を設けてもよいし、インラインミキサーを設けてもよい。
給湯温度センサ25は、温水ラインL2に設けられており、蒸気供給ラインL3から供給される水蒸気Sが合流した後の二次温水W3の温度を測定するセンサである。すなわち、給湯温度センサ25は、温水需要箇に供給される二次温水W3の温度を測定するセンサである。
蒸気供給バルブ27は、蒸気供給ラインL3に設けられており、好ましくは開度調整可能な制御弁を用いる。
【0073】
蒸気供給バルブ制御部150は、給湯温度センサ25の検知温度が目標給湯温度になるように蒸気供給バルブ27を制御し、水蒸気Sの流量を調整する。
具体的な制御としては、例えば、給湯温度センサ25によりリアルタイムに検知される給湯温度をフィードバック値として、この給湯温度を目標給湯温度に収束させるように蒸気供給バルブ27の開度を調整するフィードバック制御を採用するのが好ましい。フィードバック制御は、比例制御(P制御)のほか、これに積分制御(I制御)および/または微分制御(D制御)を組み合わせた操作量の演算アルゴリズムを採用することができる。
【0074】
このような混合手段30であっても、温水ラインL2を流れている最中の一次温水W2と、昇温用の水蒸気Sを混合させることが可能であり、安定した温度の給湯を実現することができる。
【0075】
図4は、本実施形態の温水製造装置1の第2変形例を模式的に示す図である。
本変形例においては、ヒートポンプユニット2と混合ユニット3により温水製造装置1を構成している。具体的には、本変形例の温水製造装置1は、ヒートポンプ回路10を第1筐体210に収容して構成したヒートポンプユニット2と、混合手段30を第2筐体220に収容して構成した混合ユニット3を有する。
【0076】
例えば、
図4において符号210で示される点線の範囲が第1筐体210に収容されてヒートポンプユニット2を構成し、
図4において符号220で示される点線の範囲が第2筐体220に収容されて混合ユニット3を構成する。
これにより、既存のヒートポンプユニット2に対しても、混合ユニット3を追加設置することで、温水製造装置1を構成することができる。
【0077】
なお、冷水W0を合流させる第2冷水ラインL4は、混合ユニット3内の温水ラインL2に合流していることが好ましい。但し、ヒートポンプユニット2内の温水ラインL2に合流する構成としてもよいし、ヒートポンプユニット2と混合ユニット3の間の温水ラインL2に合流する構成としてもよい。
【0078】
図5は、本変形例の応用例であり、複数のヒートポンプユニット2A、2B、2Cから流出する温水W2を合流させて、ひとつの混合ユニット3に供給する態様の温水製造装置1を模式的に示す図である。
図5に示すように、複数のヒートポンプユニット2A、2B、2Cそれぞれの温水ラインL2A、L2B、L2Cが合流しており、合流後の温水ラインL2が、混合ユニット3に接続されている。複数のヒートポンプユニット2A、2B、2Cによって生成された一次温水W2は、合流後、混合ユニット3において水蒸気Sと混合される。これにより、温水需要箇所に対する二次温水W3の給湯温度を高めることができる。
【0079】
このように、複数台のヒートポンプユニット2に対して1台の混合ユニット3を設置することにより、装置のイニシャルコストを抑制しつつ、設備の給湯能力を高めることができる。また、このような構成であれば、複数のヒートポンプユニット2A、2B、2Cのうち、いずれかのヒートポンプユニットがメンテナンス等で停止している場合であっても、1台以上のヒートポンプユニット2が運転状態にあれば、温水需要箇所への給湯を継続することができる。
【0080】
図6は、本実施形態の温水製造装置1の第3変形例を模式的に示す図である。
本変形例においては、ヒートポンプ回路の構成が異なっている。また、熱回収用熱交換器40が追加されている。
【0081】
第1実施形態におけるヒートポンプ回路10の凝縮器12は、冷媒Rの凝縮および過冷却の機能を担っていた。しかしながら、本変形例のヒートポンプ回路10Bの凝縮器は、主に冷媒Rの凝縮の機能を担う凝縮器12Aと、主に冷媒Rの過冷却の機能を担う過冷却器12Bとに分かれている。この場合、ヒートポンプ回路10の冷媒Rは、好適には、凝縮器12Aにおいて潜熱を放出し、過冷却器12Bにおいて顕熱を放出する。すなわち、凝縮器12Aにおいて、ガス冷媒Rは凝縮して液冷媒Rとなり、その液冷媒Rが過冷却器12Bに供給されて、過冷却器12Bにおいて、液冷媒Rはさらに冷却(過冷却)される。
【0082】
過冷却器12Bは、凝縮器12Aに送られる冷水W1と、凝縮器12Aから膨張弁13に流れる冷媒Rとの間の熱交換を行う間接熱交換器である。過冷却器12Bにより、凝縮器12Aへの冷水W1を用いて凝縮器12Aから膨張弁13への冷媒Rの過冷却を行うことができると共に、凝縮器12Aから膨張弁13への冷媒Rを用いて凝縮器12Aへの冷水W1を加温することができる。
このように、冷媒Rの凝縮用と過冷却用とで熱交換器を分けることで、熱交換器の設計が容易となり、コスト削減を図ることができる。また、汎用の熱交換器の利用も可能となる。
【0083】
熱回収用熱交換器40は、第1冷水ラインL1を流れる冷水W1と、熱源流体ラインL5を流れる熱源水W5との間の間接熱交換を行う間接熱交換器である。より詳細には、熱回収用熱交換器40は、ヒートポンプ回路10の凝縮器12を通過する前の冷水W1と、ヒートポンプ回路10の蒸発器14を通過する前の熱源水W5との間の熱交換を行う。
第1冷水ラインL1の冷水W1は、熱回収用熱交換器40、過冷却器12Bおよび凝縮器12Aの順に通過し、熱源流体ラインL5の熱源水W5は、熱回収用熱交換器40および蒸発器14の順に通過する。
【0084】
なお、上述のとおり、熱源流体ラインL5は、熱回収用熱交換器40および蒸発器14の順に熱源水W5を流通させる接続構成となっている。
このように、熱源水W5を先に熱回収用熱交換器40に流すことで冷水W1の予熱量を増やし、熱回収用熱交換器40の熱出力をアップさせることができる。なお、熱源水W5の温度が高いほど熱出力を高める効果が大きい。
【0085】
また、熱源流体ラインL5は、
図6に示すとおり、熱回収用熱交換器40で熱源水W5と冷水W1をカウンターフローで熱交換させた後、蒸発器14で熱源水W5と液冷媒Rをカウンターフローで熱交換させる接続構成となっている。
このように、熱回収用熱交換器40および蒸発器14の順に熱源水W5を流し、かつ熱回収用熱交換器40と蒸発器14のそれぞれで冷水W1の流れ方向に対してカウンターフローで流すことにより、熱回収量の最大化を図ることができる。
【0086】
なお、熱源流体ラインL5は、上述のように、熱回収用熱交換器40および蒸発器14の順に熱源流体を流通させる接続構成であることが好ましいが、その他の接続構成であってもよい。例えば、蒸発器14および熱回収用熱交換器40の順に熱源流体を流通させる接続構成であってもよいし、蒸発器14および熱回収用熱交換器40に並列に熱源流体を流通させる接続構成であってもよい。
【0087】
このように、過冷却器12Bおよび熱回収用熱交換器40を備えることにより冷水W1の加温能力(熱出力)を増強し、温水製造のCOPを向上させることができる。更に、熱源流体を流通させる順序を、熱回収用熱交換器40および蒸発器14の順に設定することで、さらに高いCOPを得ることができる。
【0088】
なお、本実施形態においては、ヒートポンプ回路10の熱源流体として熱源水W5を用いているが、熱源流体としては、熱源水W5に限らず、空気や排ガスなど各種の流体を用いることができる。
例えば、熱源流体は、熱回収用熱交換器40において冷水W1に熱(顕熱)を与えつつ自身は温度低下し、蒸発器14においてヒートポンプ回路10の冷媒Rに熱(顕熱)を与えつつ自身は温度低下する流体とすることが好ましい。
【0089】
なお、ヒートポンプ回路10の圧縮機11の駆動源は、二酸化炭素排出量やランニングコストの削減効果を高めることを考慮すれば電気モータであることが好ましい。但し、電気モータに限らず、例えば、圧縮機11は、蒸気を用いて動力を起こすスチームモータによって駆動されてもよいし、ガスエンジンによって駆動されてもよい。この場合は、スチームモータへの給蒸量や、ガスエンジンへの供給ガス量を調整するなどして圧縮機11の出力を調整し、冷媒流量を調整してもよい。
【0090】
なお、本実施形態においては、
図1,
図3で説明したミキシングバルブ31等の混合手段30を用いているが、混合手段30はこれらの例に限らない。混合手段30は、温水ラインL2を流れている最中の一次温水W2と、昇温用流体を混合させるものであればよい。すなわち、一次温水W2は貯留されていない状態で、流れながら、昇温用流体と混合される態様となっていればよい。これにより、一次温水W2と昇温用流体がより確実に混合され、混合後の二次温水W3の温度ムラが生じにくくなる。
【0091】
なお、本実施形態の温水製造装置1には第2冷水ラインL4が設けられているが、第2冷水ラインL4は省略してもよい。
【0092】
以上説明した第1実施形態の温水製造装置1によれば、以下のような効果を奏する。
【0093】
(1)本実施形態の温水製造装置1は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13および蒸発器14が冷媒循環ラインL9により環状に接続され、圧縮機11の駆動により凝縮器12で温熱を取り出す蒸気圧縮式のヒートポンプ回路10と、凝縮器12に冷水W1を導入する第1冷水ラインL1と、凝縮器12から一次温水W2を導出する温水ラインL2と、温水ラインL2を流通する一次温水W2に対し、当該一次温水W2よりも高温の昇温用流体を混合させる混合手段30と、を備え、昇温用流体は、水蒸気、熱水、または水蒸気と熱水の混相流体である。
このように、ヒートポンプ回路10で生成され、温水ラインL2を流通する一次温水W2に対して混合手段30を用いて昇温用流体を混合させるように構成したので、温水需要箇所への給湯温度(最終出湯温度)を高めた場合であっても、高い二酸化炭素排出量の削減効果と高いランニングコストの削減効果を得ることができる。また、温水製造装置1から所要の給湯温度に調整された二次温水W3が即時給湯される。また、ヒートポンプ回路10が起動直後で出湯温度が低い場合でも、昇温用流体による加温アシストにより所要の給湯温度まで直ちに加温される。この結果、温水需要箇所に対する給湯温度を安定させることができる。
【0094】
(2)本実施形態の温水製造装置1は、昇温用流体を混合する前の一次温水W2に対し、冷水W0を合流させる第2冷水ラインL4と、第2冷水ラインL4に設けた冷水供給バルブ28と、を備える。
このような構成により、出湯を止めた状態でのヒートポンプ回路10のメンテナンスが必要な場合であっても、第2冷水ラインL4からの冷水W0のバイパス供給と昇温用流体である水蒸気Sによる直接加温により温水需要箇所に対する給湯を継続することができる。
【0095】
(3)本実施形態の温水製造装置1は、ヒートポンプ回路10および混合手段30を単一の筐体200に収容して構成した一体型ユニットからなる。
これにより、温水製造装置1の一体型ユニットに対して冷水W1を供給する給水配管、水蒸気Sを供給する蒸気配管、温水需要箇所に二次温水W3を給湯する給湯配管および、熱源水W5を流通させる熱源配管を接続するだけで据付工事が完了するので、設置費用を含めた装置のイニシャルコストを抑制することができる。
【0096】
(4)本実施形態の温水製造装置1は、ヒートポンプ回路10を第1筐体210に収容して構成したヒートポンプユニット2、および混合手段30を第2筐体220に収容して構成した混合ユニット3からなる。
これにより、設備の給湯能力を高める場合に、複数台のヒートポンプユニット2に対して1台の混合ユニット3を設置すればよいので、装置のイニシャルコストを抑制することができる。
【0097】
(5)本実施形態の混合手段30は、昇温用流体が混合された一次温水W2が設定給湯温度になるように、一次温水W2と昇温用流体の混合割合を調整するミキシングバルブ31である。
このように、ミキシングバルブ31を用いることにより、一次温水W2と昇温用流体の混合割合が自動で調整されるので、より安定した温度の給湯を実現することができる。
【0098】
(6)本実施形態の温水製造装置1は、凝縮器12Aから膨張弁13に向かう冷媒循環ラインL9に設けられた過冷却器12Bと、蒸発器14に熱源流体を流通させる熱源流体ラインL5と、熱回収用熱交換器40と、を備え、第1冷水ラインL1は、熱回収用熱交換器40、過冷却器12Bおよび凝縮器12Aの順に冷水W1を流通させる接続構成であり、熱源流体ラインL5は、次の(a)〜(c)いずれかの接続構成である。
(a)熱回収用熱交換器40および蒸発器14の順に熱源流体を流通
(b)蒸発器14および熱回収用熱交換器40の順に熱源流体を流通
(c)蒸発器14および熱回収用熱交換器40に並列に熱源流体を流通
このように、過冷却器12Bおよび熱回収用熱交換器40を備えることにより冷水W1の加温能力(熱出力)を増強し、温水製造のCOPを向上させることができる。更に、熱源流体を流通させる順序を設定することで、(a)>(b)>(c)の順位で高いCOPを得ることができる。特に(a)の場合は、熱源流体を先に熱回収用熱交換器40に流すことで冷水W1の予熱量を増やし、熱回収用熱交換器40の熱出力をアップさせることができる。
【0099】
(7)本実施形態の温水製造装置1は、圧縮機11に流入するガス冷媒Rの過熱度に基づいて制御され、冷媒流量を調整する冷媒流量調整手段と、圧縮機11に流入するガス冷媒Rの吸込温度を検知する吸込温度センサ17と、蒸発器14から流出するガス冷媒Rの蒸気圧力を検知する蒸気圧力センサ18と、冷媒流量調整手段を制御する制御部100と、を備え、制御部100は、蒸気圧力センサ18の検知圧力から液冷媒Rの蒸発温度を求めると共に、吸込温度センサ17の検知温度から蒸発温度を差し引いてガス冷媒Rの過熱度を算出し、当該算出過熱度が目標過熱度になるように冷媒流量調整手段を制御する。
このように、過熱度算出部110がガス冷媒Rの過熱度を正確に算出し、さらに制御部100がその値を一定に保つように制御することにより、冷水W1に対する凝縮器12の熱出力が安定する。これにより、一次温水W2の出湯温度を目標出湯温度に調整する際、出湯流量の変動が少なくなる。
【0100】
(8)本実施形態の温水製造装置1は、凝縮器12に導入する冷水流量を調整する冷水流量調整手段と、凝縮器12で生成された一次温水W2の出湯温度を検知する出湯温度センサ23と、出湯温度センサ23の検知温度が目標出湯温度になるように冷水流量調整手段を制御する制御部100と、を備える。
このように、一次温水W2を目標出湯温度一定に調整することで、一次温水W2と昇温用流体の混合割合の変動が抑制される。そのため、温水需要箇所に対する給湯温度をより安定させることができる。
【0101】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
図7は、本実施形態における温水製造装置1と、温水製造装置1および温水タンク300とによって構成される本実施形態における温水製造システム5を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0102】
図7に示すように、本実施形態の温水製造システム5は、温水製造装置1の温水ラインL2の下流側に、温水タンク300が設置されている。この温水タンク300は、ミキシングバルブ31(混合手段30)で生成された二次温水W3を貯留するタンクである。
図8に示すように、温水タンク300には、貯留された二次温水W3の水位を検知する水位センサ310(水位検知手段)が設けられている。この水位センサ310は、二次温水W3の需要量の増加および減少を検知する温水需要量検知手段として機能する。
【0103】
本実施形態においては、水位センサ310は、複数の電極棒を備える電極式水位検出器により構成されている。具体的には、長さの異なる6本の電極棒311〜316が、その下端部の高さ位置を互いに異ならせて差し込まれて保持されている。本実施形態においては、
図8に示すように、各電極棒は、下端部の高さ位置が低い方から順に、電極棒311,電極棒312,電極棒313,…となるように、温水タンク300に挿入されている。
各電極棒は、その下端部が水に浸かるか否かにより、下端部における水位の有無を検出する。ここで、第1電極棒311〜第6電極棒316が検出する水位を、それぞれLs1〜Ls6とする。
本実施形態においては、温水需要量検知手段としての水位センサ310の検知結果を用いるなどして、制御部100Bが、各種の制御を行う。この制御内容については、追って詳細に説明する。
【0104】
温水タンク300内の二次温水W3は、給湯ラインL6を通じて、温水需要箇所に給湯される。給湯ラインL6には、給湯ポンプ320が設けられている。
【0105】
このように、温水需要箇所に二次温水W3を給湯するための温水タンク300に、水位センサ310(温水需要量検知手段)を設けることにより、複数の温水需要箇所に配水される場合であっても、需要量の変化を一元的に把握することができる。
【0106】
なお、混合手段30は、温水タンク300に流入する前の、温水ラインL2を流れている状態の一次温水W2に対して水蒸気Sを混合させている。これにより、一次温水W2と水蒸気Sがより確実に混合されるため、温水タンク300内の二次温水W3の温度が均一になる。また、温水タンク300内に水蒸気Sを直接供給しないため、温水タンク300内の液面の揺らぎが少なく、水位の検知を正確に行うことができる。
【0107】
なお、本実施形態のように温水タンク300を設ける構成においては、ミキシングバルブ31で生成された二次温水W3の温度を測定するセンサ(給湯温度センサ25)は、温水タンク300に設けてもよい。
【0108】
次に、本実施形態の温水製造装置1の制御部100B(制御手段)について説明する。
図8は、本実施形態の温水製造装置1の制御部100Bのブロック図である。本実施形態の制御部100Bは、過熱度算出部110と、冷媒流量制御部120と、冷水流量制御部130と、冷水供給バルブ制御部140と、蒸気供給バルブ制御部150と、目標出湯温度設定部160と、目標給湯流量設定部170と、記憶部190と、を備える。
【0109】
冷水流量制御部130は、第1実施形態と同様、出湯温度センサ23の検知温度が目標出湯温度になるように給水流量調整手段を制御し、冷水W1(一次温水W2)の流量を調整する。
そして、本実施形態においては、目標出湯温度は、目標出湯温度設定部160によって設定される。
【0110】
冷水供給バルブ制御部140は、本実施形態においては、温水需要量検知手段としての水位センサ310の検知結果等に基づき、冷水供給バルブ28を開閉する。
【0111】
目標出湯温度設定部160は、温水需要量検知手段としての水位センサ310の検知結果や、給湯流量センサ26の検知結果等に基づき、ヒートポンプ回路10から出湯する一次温水W2の目標出湯温度を設定する。
【0112】
目標給湯流量設定部170は、温水需要量検知手段としての水位センサ310の検知結果等に基づき、温水需要箇所への目標給湯流量を設定する。
【0113】
記憶部190は、各種の目標値等、制御に必要な種々の情報を記憶する。
【0114】
制御部100Bは、複数の制御方法から、所望の制御方法を選択して実行することが可能である。以下、
図10の給湯状態遷移図を参照しながら、制御例1〜制御例3について説明する。
【0115】
[第1制御例]
本制御例が適用される温水製造装置1は、次の制御動作を含んでいる。
(1−1)制御部100Bは、温水需要量検知手段により温水需要がある状態が検知された場合に、二次温水W3の供給を開始する。また、制御部100Bは、温水需要量検知手段により温水需要がない状態が検知された場合に、二次温水W3の供給を停止する。
(1−2)二次温水W3の供給中、冷水流量制御部130は、出湯温度センサ23の検知温度Tdが目標出湯温度Taになるように冷水供給ポンプ21を制御し、冷水W1(一次温水W2)の流量を調整する。
(1−3)二次温水W3の供給中、冷水供給バルブ制御部140は、温水需要量検知手段により第1所定量を超える需要量の増加が検知された場合に、冷水供給バルブ28を開弁する。また、冷水供給バルブ28の開弁後、冷水供給バルブ制御部140は、温水需要量検知手段により需要量が減少に転じたことが検知された場合に、冷水供給バルブ28を閉弁する。
【0116】
(給湯状態A1)
後述する給湯状態A2で温水タンク300の水位が上昇し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ld≧Ls6]となった場合、制御部100Bは、温水需要がない状態が検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態A1に移行させる。給湯状態A1では、各制御部120〜150は、圧縮機11および冷水供給ポンプ21を停止し、蒸気供給バルブ27および冷水供給バルブ28を閉弁する。これにより、温水タンク300に対する二次温水W3の供給が停止される。
【0117】
(給湯状態A2)
給湯状態A1で温水タンク300の水位が下降し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls5>Ld≧Ls4]となった場合、制御部100Bは、温水需要がある状態が検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態A2に移行させる。給湯状態A2では、各制御部120〜150は、圧縮機11および冷水供給ポンプ21を駆動し、蒸気供給バルブ27を開弁し、冷水供給バルブ28を閉弁する。
移行前が給湯状態A1である場合、目標出湯温度設定部160は、目標出湯温度を規定値のTaに設定する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Taに調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては標準的な第1給湯流量で二次温水W3が供給される。
【0118】
また、後述する給湯状態A3で温水タンク300の水位が上昇し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls3>Ld≧Ls2]となった場合、制御部100Bは、増加した二次温水W3の需要量が減少に転じたことが検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態A2に移行させる。
移行前が給湯状態A3である場合、目標出湯温度設定部160は、目標出湯温度を規定値のTaまま維持する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Taに調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態A3の第2給湯流量よりも少ない第1給湯流量で二次温水W3が供給される。
【0119】
(給湯状態A3)
給湯状態A2で温水タンク300の水位が下降し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls1>Ld]となった場合、制御部100Bは、第1所定量(目標出湯温度Ta<設定給湯温度Tbで運転したときにミキシングバルブ31で製造される二次温水W3の標準給湯流量)を超える需要量の増加が検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態A3に移行させる。給湯状態A3では、各制御部120〜150は、圧縮機11および冷水供給ポンプ21を駆動し、蒸気供給バルブ27を開弁し、さらに冷水供給バルブ28を開弁する。
目標出湯温度設定部160は、目標出湯温度を規定値のTaまま維持する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Taに調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態A2の第1給湯流量よりも多い第2給湯流量で二次温水W3が供給される。
【0120】
このように、二次温水W3の需要量の急増時に第2冷水ラインL4から冷水W0を供給すると、ミキシングバルブ31に流入する一次温水W2の流量は増加し、かつその温度は目標出湯温度Taよりも低下する。この変化に追従して蒸気供給ラインL3から供給される水蒸気Sの流量も増えるので、ミキシングバルブ31から流出する二次温水W3の流量も増加し、かつその温度はミキシングバルブ31の設定給湯温度Tbに調節される。
【0121】
すなわち、本制御例では、二次温水W3の需要量が急増したときに、ヒートポンプ回路10で製造された一次温水W2に第2冷水ラインL4からの冷水W0を合流させている。合流後の一次温水W2は、水蒸気Sにより昇温された後、二次温水W3として温水タンク300に貯留される。これにより、一次温水W2をベースにしてミキシングバルブ31で製造可能な標準給湯流量を超える需要量が発生した場合にも、冷水W0のバイパス供給により給湯流量を増強しつつ、給湯温度も安定させることができる。
【0122】
[第2制御例]
本制御例が適用される温水製造装置1は、次の制御動作を含んでいる。
(2−1)制御部100Bは、温水需要量検知手段により温水需要がある状態が検知された場合に、二次温水W3の供給を開始する。また、制御部100Bは、温水需要量検知手段により温水需要がない状態が検知された場合に、二次温水W3の供給を停止する。
(2−2)二次温水W3の供給中、冷水流量制御部130は、出湯温度センサ23の検知温度Tdが目標出湯温度Ta1(後述するTa2やTa3に変更後はこの温度)になるように冷水供給ポンプ21を制御し、冷水W1(一次温水W2)の流量を調整する。
(2−3)二次温水W3の供給中、目標出湯温度設定部160は、温水需要量検知手段により需要量の増加が検知された場合に、目標出湯温度Ta1,Ta2を下降側に調整する。また、目標出湯温度設定部160は、温水需要量検知手段により需要量の減少が検知された場合に、目標出湯温度Ta3,Ta2を上昇側に調整する。
(2−4)二次温水W3の供給中、冷水供給バルブ制御部140は、目標出湯温度を下限値Ta3に調整した状態で、温水需要量検知手段により第2所定量を超える需要量の増加が検知された場合に、冷水供給バルブ28を開弁する。また、冷水供給バルブ28の開弁後、冷水供給バルブ制御部140は、温水需要量検知手段により需要量が減少に転じたことが検知された場合に、冷水供給バルブ28を閉弁する。
【0123】
(給湯状態B1)
後述する給湯状態B2で温水タンク300の水位が上昇し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ld≧Ls6]となった場合、制御部100Bは、温水需要がない状態が検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態B1に移行させる。給湯状態B1では、各制御部120〜150は、圧縮機11および冷水供給ポンプ21を停止し、蒸気供給バルブ27および冷水供給バルブ28を閉弁する。これにより、温水タンク300に対する二次温水W3の供給が停止される。
【0124】
(給湯状態B2)
給湯状態B1で温水タンク300の水位が下降し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls5>Ld≧Ls4]となった場合、制御部100Bは、温水需要がある状態が検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態B2に移行させる。給湯状態B2では、各制御部120〜150は、圧縮機11および冷水供給ポンプ21を駆動し、蒸気供給バルブ27を開弁し、冷水供給バルブ28を閉弁する。
移行前が給湯状態B1である場合、目標出湯温度設定部160は、目標出湯温度を上限値のTa1(初期値)に設定する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Ta1に調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては標準的な第1給湯流量で二次温水W3が供給される。
【0125】
また、後述する給湯状態B3で温水タンク300の水位が上昇し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls5>Ld≧Ls4]となった場合、制御部100Bは、増加した二次温水W3の需要量が減少に転じたことが検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態B2に移行させる。
移行前が給湯状態B3である場合、目標出湯温度設定部160は、目標出湯温度を中間値のTa2から上昇側に調整し、上限値のTa1を設定する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Ta1に調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態B3の第2給湯流量よりも少ない第1給湯流量で二次温水W3が供給される。
【0126】
(給湯状態B3)
給湯状態B2で温水タンク300の水位が下降し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls4>Ld≧Ls3]となった場合、制御部100Bは、二次温水W3の需要量の増加が検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態B3に移行させる。給湯状態B3では、給湯状態B2と同様に、各制御部120〜150は、圧縮機11および冷水供給ポンプ21を駆動し、蒸気供給バルブ27を開弁し、冷水供給バルブ28を閉弁する。
移行前が給湯状態B2である場合、目標出湯温度設定部160は、目標出湯温度を上限値のTa1から下降側に調整し、中間値のTa2を設定する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Ta2に調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態B2の第1給湯流量よりも多い第2給湯流量で二次温水W3が供給される。
【0127】
また、後述する給湯状態B4で温水タンク300の水位が上昇し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls4>Ld≧Ls3]となった場合、制御部100Bは、増加した二次温水W3の需要量が減少に転じたことが検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態B3に移行させる。
移行前が給湯状態B4である場合、目標出湯温度設定部160は、目標出湯温度を下限値のTa3から上昇側に調整し、中間値のTa2を設定する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Ta2に調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態B4の第3給湯流量よりも少ない第2給湯流量で二次温水W3が供給される。
【0128】
(給湯状態B4)
給湯状態B3で温水タンク300の水位が下降し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls3>Ld≧Ls2]となった場合、制御部100Bは、二次温水W3の需要量の増加が検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態B4に移行させる。給湯状態B4では、給湯状態B2,B3と同様に、各制御部120〜150は、圧縮機11および冷水供給ポンプ21を駆動し、蒸気供給バルブ27を開弁し、冷水供給バルブ28を閉弁する。
移行前が給湯状態B3である場合、目標出湯温度設定部160は、目標出湯温度を中間値のTa2から下降側に調整し、下限値のTa3を設定する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Ta3に調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態B3の第2給湯流量よりも多い第3給湯流量で二次温水W3が供給される。
【0129】
また、後述する給湯状態B5で温水タンク300の水位が上昇し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls3>Ld≧Ls2]となった場合、制御部100Bは、増加した二次温水W3の需要量が減少に転じたことが検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態B4に移行させる。
移行前が給湯状態B5である場合、目標出湯温度設定部160は、目標出湯温度を下限値のTa3のまま維持する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Ta3に調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態B5の第4給湯流量よりも少ない第3給湯流量で二次温水W3が供給される。
【0130】
給湯状態B2から給湯状態B3への移行、或いは給湯状態B3から給湯状態B4への移行のように、二次温水W3の需要量の増加に伴って目標出湯温度Taを下げると、ヒートポンプ回路10で製造される一次温水W2の流量が増加する。この変化に追従して蒸気供給ラインL3から供給される水蒸気Sの流量が増えるので、ミキシングバルブ31から流出する二次温水W3の流量は増加し、かつその温度はミキシングバルブ31の設定給湯温度Tbに調節される。逆に、給湯状態B4から給湯状態B3への移行、或いは給湯状態B3から給湯状態B2への移行のように、二次温水W3の需要量の減少に伴って目標出湯温度Taを上げると、ヒートポンプ回路10で製造される一次温水W2の流量が減少する。この変化に追従して蒸気供給ラインL3から供給される水蒸気Sの流量が減るので、ミキシングバルブ31から流出する二次温水W3の流量は減少し、かつその温度はミキシングバルブ31の設定給湯温度Tbに調節される。これにより、二次温水W3の需要量の増減に応答して、温水需要箇所への給湯流量を増減させながら、給湯温度も安定させることができる。
【0131】
(給湯状態B5)
給湯状態B4(目標出湯温度を下限値Ta3に調整した状態)で温水タンク300の水位が下降し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls1>Ld]となった場合、制御部100Bは、第2所定量(目標出湯温度Ta3<設定給湯温度Tbで運転したときにミキシングバルブ31で製造される二次温水W3の最大給湯流量)を超える需要量の増加が検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態B5に移行させる。給湯状態B5では、各制御部120〜150は、圧縮機11および冷水供給ポンプ21を駆動し、蒸気供給バルブ27を開弁し、さらに冷水供給バルブ28を開弁する。
目標出湯温度設定部160は、目標出湯温度を下限値のTa3まま維持する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Ta3に調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態B4の第3給湯流量よりも多い第4給湯流量で二次温水W3が供給される。
【0132】
これにより、一次温水W2をベースにしてミキシングバルブ31で製造可能な最大給湯流量を超える需要量が発生した場合にも、冷水W0のバイパス供給により給湯流量を増強しつつ、給湯温度も安定させることができる。
【0133】
[第3制御例]
本制御例が適用される温水製造装置1は、次の制御動作を含んでいる。
(3−1)制御部100Bは、温水需要量検知手段により温水需要がある状態が検知された場合に、二次温水W3の供給を開始する。また、制御部100Bは、温水需要量検知手段により温水需要がない状態が検知された場合に、二次温水W3の供給を停止する。
(3−2)二次温水W3の供給中、冷水流量制御部130は、出湯温度センサ23の検知温度Tdが目標出湯温度Ta(目標給湯流量Qt1〜Qt3に対する調整値)になるように冷水供給ポンプ21を制御し、冷水W1(一次温水W2)の流量を調整する。
(3−3)二次温水W3の供給中、目標給湯流量設定部170は、温水需要量検知手段により需要量の増加が検知された場合に、目標給湯流量Qt1,Qt2を増加側に調整する。また、目標給湯流量設定部170は、温水需要量検知手段により需要量の減少が検知された場合に、目標給湯流量Qt3,Qt2を減少側に調整する。
(3−4)二次温水W3の供給中、冷水供給バルブ制御部140は、目標給湯流量を上限値Qt3に調整した状態で、温水需要量検知手段により第3所定量を超える需要量の増加が検知された場合に、冷水供給バルブ28を開弁する。また、冷水供給バルブ28の開弁後、冷水供給バルブ制御部140は、温水需要量検知手段により需要量が減少に転じたことが検知された場合に、冷水供給バルブ28を閉弁する。
【0134】
(給湯状態C1)
後述する給湯状態C2で温水タンク300の水位が上昇し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ld≧Ls6]となった場合、制御部100Bは、温水需要がない状態が検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態C1に移行させる。給湯状態C1では、各制御部120〜150は、圧縮機11および冷水供給ポンプ21を停止し、蒸気供給バルブ27および冷水供給バルブ28を閉弁する。これにより、温水タンク300に対する二次温水W3の供給が停止される。
【0135】
(給湯状態C2)
給湯状態C1で温水タンク300の水位が下降し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls5>Ld≧Ls4]となった場合、制御部100Bは、温水需要がある状態が検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態C2に移行させる。給湯状態C2では、各制御部120〜150は、圧縮機11および冷水供給ポンプ21を駆動し、蒸気供給バルブ27を開弁し、冷水供給バルブ28を閉弁する。
移行前が給湯状態C1である場合、目標給湯流量設定部170は、目標給湯流量を下限値のQt1(初期値)に設定する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Taに調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては第1目標給湯流量Qt1に調整された二次温水W3が供給される。
【0136】
また、後述する給湯状態C3で温水タンク300の水位が上昇し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls5>Ld≧Ls4]となった場合、制御部100Bは、増加した二次温水W3の需要量が減少に転じたことが検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態C2に移行させる。
移行前が給湯状態C3である場合、目標給湯流量設定部170は、目標給湯流量を第1中間値のQt2から減少側に調整し、下限値のQt1を設定する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Taに調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態C3の第2目標給湯流量Qt2よりも少ない第1目標給湯流量Qt1に調整された二次温水W3が供給される。
【0137】
給湯状態C2の実行中、目標出湯温度設定部160は、給湯流量センサ26の検知流量Qdが目標給湯流量Qt1になるように、目標出湯温度Taを調整する。具体的には、検知流量Qd<目標給湯流量Qt1のときは、目標出湯温度Taを段階的(例えば、1℃刻み)に下降させることによりヒートポンプ回路10の出湯流量を増やし、検知流量Qdを目標給湯流量Qt1に近付ける。逆に、検知流量Qd>目標給湯流量Qt1のときは、目標出湯温度Taを段階的に上昇させることによりヒートポンプ回路10の出湯流量を減らし、検知流量Qdを目標給湯流量Qt1に近付ける。また、検知流量Qd=目標給湯流量Qt1のときは、目標出湯温度Taを変更せずに維持する。
【0138】
ここで、目標出湯温度Taの調整によって、ミキシングバルブ31で製造される二次温水W3の給湯流量(給湯流量センサ26の検知流量Qd)を目標給湯流量Qt1に収束させる仕組みを説明する。
温水製造装置1の運転中にヒートポンプ回路10に供給する冷水W1および/または熱源水W5の温度が上昇すると、出湯温度センサ23の検知温度Tdを目標出湯温度Taに収束させるべく、冷水W1の流量が増加される。この変化に追従して蒸気供給ラインL3から供給される水蒸気Sの流量が増えるので、ミキシングバルブ31から流出する二次温水W3の流量は増加する。このとき、目標出湯温度Taを上げて冷水W1の流量を減らしていくと同時に水蒸気Sの流量も減るので、二次温水W3の流量増加分を減らして目標給湯流量Qt1に近付けることができる。
逆に、温水製造装置1の運転中にヒートポンプ回路10に供給する冷水W1および/または熱源水W5の温度が下降すると、出湯温度センサ23の検知温度Tdを目標出湯温度Taに収束させるべく、冷水W1の流量が減少される。この変化に追従して蒸気供給ラインL3から供給される水蒸気Sの流量が減るので、ミキシングバルブ31から流出する二次温水W3の流量は減少する。このとき、目標出湯温度Taを下げて冷水W1の流量を増やしていくと同時に水蒸気Sの流量も増えるので、二次温水W3の流量減少分を増やして目標給湯流量Qt1に近付けることができる。
これにより、ヒートポンプ回路10の運転条件の変化に応答して、温水需要箇所への給湯流量を一定に保ちながら、給湯温度も安定させることができる。
【0139】
(給湯状態C3)
給湯状態C2で温水タンク300の水位が下降し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls4>Ld≧Ls3]となった場合、制御部100Bは、二次温水W3の需要量の増加が検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態C3に移行させる。給湯状態C3では、各制御部120〜150は、圧縮機11および冷水供給ポンプ21を駆動し、蒸気供給バルブ27を開弁し、冷水供給バルブ28を閉弁する。
移行前が給湯状態C2である場合、目標給湯流量設定部170は、目標給湯流量を下限値のQt1から増加側に調整し、第1中間値のQt2を設定する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Taに調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態C2の第1目標給湯流量Qt1よりも多い第2目標給湯流量Qt2に調整された二次温水W3が供給される。
【0140】
また、後述する給湯状態C4で温水タンク300の水位が上昇し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls4>Ld≧Ls3]となった場合、制御部100Bは、増加した二次温水W3の需要量が減少に転じたことが検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態C3に移行させる。
移行前が給湯状態C4である場合、目標給湯流量設定部170は、目標給湯流量を第2中間値のQt3から減少側に調整し、第1中間値のQt2を設定する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Taに調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態C4の目標給湯流量Qt3よりも少ない目標給湯流量Qt2に調整された二次温水W3が供給される。
【0141】
給湯状態C3の実行中、目標出湯温度設定部160は、給湯流量センサ26の検知流量Qdが目標給湯流量Qt2になるように、目標出湯温度Taを調整する。具体的には、検知流量Qd<目標給湯流量Qt2のときは、目標出湯温度Taを段階的(例えば、1℃刻み)に下降させることによりヒートポンプ回路10の出湯流量を増やし、検知流量Qdを目標給湯流量Qt2に近付ける。逆に、検知流量Qd>目標給湯流量Qt2のときは、目標出湯温度Taを段階的に上昇させることによりヒートポンプ回路10の出湯流量を減らし、検知流量Qdを目標給湯流量Qt2に近付ける。また、検知流量Qd=目標給湯流量Qt2のときは、目標出湯温度Taを変更せずに維持する。
【0142】
(給湯状態C4)
給湯状態C3で温水タンク300の水位が下降し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls3>Ld≧Ls2]となった場合、制御部100Bは、二次温水W3の需要量の増加が検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態C4に移行させる。給湯状態C4では、各制御部120〜150は、圧縮機11および冷水供給ポンプ21を駆動し、蒸気供給バルブ27を開弁し、冷水供給バルブ28を閉弁する。
移行前が給湯状態C3である場合、目標給湯流量設定部170は、目標給湯流量を第1中間値のQt2から増加側に調整し、第2中間値のQt3を設定する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Taに調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態C2の第2目標給湯流量Qt2よりも多い第3目標給湯流量Qt3に調整された二次温水W3が供給される。
【0143】
また、後述する給湯状態C5で温水タンク300の水位が上昇し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls3>Ld≧Ls2]となった場合、制御部100Bは、増加した二次温水W3の需要量が減少に転じたことが検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態C4に移行させる。
移行前が給湯状態C5である場合、目標給湯流量設定部170は、目標給湯流量を上限値のQt4から減少側に調整し、第2中間値のQt3を設定する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Taに調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態C5の第4目標給湯流量Qt4よりも少ない第3目標給湯流量Qt3に調整された二次温水W3が供給される。
【0144】
給湯状態C4の実行中、目標出湯温度設定部160は、給湯流量センサ26の検知流量Qdが目標給湯流量Qt3になるように、目標出湯温度Taを調整する。具体的には、検知流量Qd<目標給湯流量Qt3のときは、目標出湯温度Taを段階的(例えば、1℃刻み)に下降させることによりヒートポンプ回路10の出湯流量を増やし、検知流量Qdを目標給湯流量Qt3に近付ける。逆に、検知流量Qd>目標給湯流量Qt3のときは、目標出湯温度Taを段階的に上昇させることによりヒートポンプ回路10の出湯流量を減らし、検知流量Qdを目標給湯流量Qt3に近付ける。また、検知流量Qd=目標給湯流量Qt3のときは、目標出湯温度Taを変更せずに維持する。
【0145】
給湯状態C2から給湯状態C3への移行、或いは給湯状態C3から給湯状態C4への移行のように、二次温水W3の需要量の増加に伴って目標給湯流量Qtを増やすと、目標出湯温度Taが下降側に調整されて、ヒートポンプ回路10で製造される一次温水W2の流量が増加する。この変化に追従して蒸気供給ラインL3から供給される水蒸気Sの流量が増えるので、ミキシングバルブ31から流出する二次温水W3の流量は増加し、かつその温度はミキシングバルブ31の設定給湯温度Tbに調節される。逆に、給湯状態C4から給湯状態C3への移行、或いは給湯状態C3から給湯状態C2への移行のように、二次温水W3の需要量の増加に伴って目標給湯流量Qtを減らすと、目標出湯温度Taが上昇側に調整されて、ヒートポンプ回路10で製造される一次温水W2の流量が減少する。この変化に追従して蒸気供給ラインL3から供給される水蒸気Sの流量が減るので、ミキシングバルブ31から流出する二次温水W3の流量は減少し、かつその温度はミキシングバルブ31の設定給湯温度Tbに調節される。これにより、二次温水W3の需要量の増減に応答して、温水需要箇所への給湯流量を増減させながら、給湯温度も安定させることができる。
【0146】
(給湯状態C5)
給湯状態C4(目標給湯流量を上限値Qt3に調整した状態)で温水タンク300の水位が下降し、水位センサ310の検知水位Ldが[Ls1>Ld]となった場合、制御部100Bは、第3所定量(目標出湯温度Ta<設定給湯温度Tbで運転したときにミキシングバルブ31で製造される二次温水W3の最大給湯流量)を超える需要量の増加が検知されたと判定して、温水製造装置1を給湯状態C5に移行させる。給湯状態C5では、各制御部120〜150は、圧縮機11および冷水供給ポンプ21を駆動し、蒸気供給バルブ27を開弁し、さらに冷水供給バルブ28を開弁する。
目標給湯流量設定部170は、目標給湯流量を第2中間値のQt3から増加側に調整し、上限値のQt4を設定する。これにより、ヒートポンプ回路10では目標出湯温度Taに調整された一次温水W2が製造され、温水タンク300に対しては給湯状態C4の第3目標給湯流量Qt3よりも多い給湯流量で二次温水W3が供給される。
また、給湯状態C5の実行中、目標出湯温度設定部160は、給湯流量センサ26の検知流量Qdが目標給湯流量Qt4になるように、目標出湯温度Taを調整する。
【0147】
これにより、ヒートポンプ回路10の一次温水W2のみをベースとしてミキシングバルブ31で製造可能な最大給湯流量を超える需要量が発生した場合にも、冷水W0のバイパス供給により給湯流量を増強しつつ、給湯温度も安定させることができる。
【0148】
なお、本実施形態においても、過熱度算出部110と、冷媒流量制御部120は、第1実施形態と同様の制御を行う。
本実施形態においては、温水需要量の増加に応答してヒートポンプ回路10に流入する冷水W1の流量が増えると、蒸発器14に還流する液冷媒Rの温度が下がるので、ガス冷媒Rの過熱度を維持するように冷媒循環量が増加側に調整される。これにより、液圧縮による圧縮機11の破損を防止しつつ、冷水W1の流量増加に対応して凝縮器12での熱出力を高めることができる。
【0149】
なお、本実施形態においては、温水需要量検知手段として、混合手段30の下流側に設置された温水タンク300(一次温水タンク)に付随する水位センサ310を用いているが、温水需要量検知手段はこれに限らない。例えば、工場内に分散する温水需要箇所ごとに設置された二次温水タンクに付随する水位センサを用いてもよい。また、工場内に分散する温水需要箇所ごとに設置された給湯流量センサを用いてもよい。また、これらのセンサを組み合わせて使用してもよい。この場合、温水タンク300を設けることなく、温水需要量検知手段に基づく本実施形態の制御を行うこともできる。
【0150】
以上説明した第2実施形態の温水製造装置1および温水製造システム5によれば、(1)〜(8)に加えて、以下のような効果を奏する。
【0151】
(9)本実施形態の温水製造装置1は、混合手段30で生成された二次温水W3の需要量を検知する温水需要量検知手段と、冷水供給バルブ28を制御する制御部100Bと、を備え、制御部100Bは、温水需要量検知手段により所定量を超える温水需要量の増加が検知された場合に、冷水供給バルブ28を開弁し、冷水供給バルブ28の開弁後、温水需要量検知手段により温水需要量が減少に転じたことが検知された場合に、冷水供給バルブ28を閉弁する。
これにより、混合手段30の標準給湯流量を超える需要量が発生した場合にも、冷水W0のバイパス供給により給湯流量を増強しつつ、給湯温度も安定させることができる。
【0152】
(10)本実施形態の温水製造装置1は、混合手段30で生成された二次温水W3の需要量を検知する温水需要量検知手段を備え、制御部100Bは、温水需要量検知手段により需要量の増加が検知された場合に、目標出湯温度を下降側に調整し、温水需要量検知手段により需要量の減少が検知された場合に、目標出湯温度を上昇側に調整する。
これにより、二次温水W3の需要量の増減に応答して、温水需要箇所への給湯流量を増減させながら、給湯温度も安定させることができる。
【0153】
(11)本実施形態の温水製造装置1は、水蒸気Sを混合する前の一次温水W2に対し、冷水W0を合流させる第2冷水ラインL4と、第2冷水ラインL4に設けた冷水供給バルブ28と、を備え、制御部100Bは、目標出湯温度を下限値に調整した状態で、温水需要量検知手段により所定量を超える需要量の増加が検知された場合に、冷水供給バルブ28を開弁し、冷水供給バルブ28の開弁後、温水需要量検知手段により需要量が減少に転じたことが検知された場合に、冷水供給バルブ28を閉弁する。
これにより、混合手段30からの最大給湯流量を超える需要量が発生した場合にも、冷水W0のバイパス供給により給湯流量を増強しつつ、給湯温度も安定させることができる。
【0154】
(12)本実施形態の温水製造装置1は、混合手段30で生成された二次温水W3の給湯流量を検知する給湯流量センサ26を備え、制御部100Bは、給湯流量センサ26の検知流量が目標給湯流量になるように目標出湯温度を調整する。
これにより、ヒートポンプ回路10の運転条件の変化に応答して、温水需要箇所への給湯流量を一定に保ちながら、給湯温度も安定させることができる。
【0155】
(13)本実施形態の温水製造装置1は、混合手段30で生成された二次温水W3の需要量を検知する温水需要量検知手段を備え、制御部100Bは、温水需要量検知手段により温水需要量の増加を検知した場合に、目標給湯流量を増加側に調整し、温水需要量検知手段により需要量の減少を検知した場合に、目標給湯流量を減少側に調整する。
これにより、二次温水W3の需要量の増減に応答して、温水需要箇所への給湯流量を増減させながら、給湯温度も安定させることができる。
【0156】
(14)本実施形態の温水製造装置1は、水蒸気Sを混合する前の一次温水W2に対し、冷水W0を合流させる第2冷水ラインL4と、第2冷水ラインL4に設けた冷水供給バルブ28と、を備え、制御部100Bは、目標給湯流量を上限値に調整した状態で、温水需要量検知手段により所定量を超える需要量の増加が検知された場合に、冷水供給バルブ28を開弁し、冷水供給バルブ28の開弁後、温水需要量検知手段により需要量が減少に転じたことが検知された場合に、冷水供給バルブ28を閉弁する。
これにより、混合手段30からの最大給湯流量を超える需要量が発生した場合にも、冷水W0のバイパス供給により給湯流量を増強しつつ、給湯温度も安定させることができる。
【0157】
(15)本実施形態の温水製造システム5は、温水製造装置1と、混合手段30で生成された二次温水W3を貯留する温水タンク300と、温水需要量検知手段として使用され、温水タンク300内の水位を検知する水位センサ310と、を備える。
これにより、複数の温水需要箇所に配水される場合であっても、需要量の変化を一元的に把握することができる。
【0158】
以上、本発明の温水製造装置および温水製造システムの好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。