特開2021-135075(P2021-135075A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NSテクノロジーズの特許一覧

特開2021-135075電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法
<>
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000003
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000004
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000005
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000006
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000007
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000008
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000009
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000010
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000011
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000012
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000013
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000014
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000015
  • 特開2021135075-電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-135075(P2021-135075A)
(43)【公開日】2021年9月13日
(54)【発明の名称】電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20210816BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20210816BHJP
【FI】
   G01R31/26 Z
   G01B11/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-29124(P2020-29124)
(22)【出願日】2020年2月25日
(71)【出願人】
【識別番号】521189123
【氏名又は名称】株式会社NSテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 渓
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【弁理士】
【氏名又は名称】網盛 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100209060
【弁理士】
【氏名又は名称】冨所 剛
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 冬生
(72)【発明者】
【氏名】中村 敏
【テーマコード(参考)】
2F065
2G003
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA07
2F065AA12
2F065BB05
2F065CC25
2F065DD03
2F065FF41
2F065GG07
2F065HH04
2F065JJ01
2F065LL02
2F065MM02
2F065PP22
2F065PP25
2F065QQ03
2F065QQ08
2F065QQ28
2F065QQ29
2F065UU02
2G003AA07
2G003AG11
2G003AG16
2G003AH05
(57)【要約】
【課題】電子部品が載置されるポケットの平面方向の位置を正確に測定できる電子部品搬送装置を提供する。
【解決手段】電子部品搬送装置2は、ICデバイス13が載置されるポケット53を有するトレイ24と、ICデバイス13を保持してポケット53に搬送する第1デバイス搬送ヘッド31と、を備え、第1デバイス搬送ヘッド31は、ポケット53に光を発する発光部66と、発光部66が発した光のスポット径を調整する集光部55aと、ポケット53で反射した光を受ける受光部68と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が載置されるポケットを有する電子部品載置部と、
前記電子部品を保持して前記ポケットに搬送する搬送部と、を備え、
前記搬送部は、
前記ポケットに光を発する発光部と、
前記発光部が発した光のスポット径を調整する集光部と、
前記ポケットで反射した光を受ける受光部と、を備えることを特徴とする電子部品搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品搬送装置であって、
前記集光部は、前記発光部と前記ポケットとの間に設けられ、前記ポケット側の端が集光部支持部に支持されることを特徴とする電子部品搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子部品搬送装置であって、
前記発光部、前記集光部及び前記受光部が1つのケースに収納されることを特徴とする電子部品搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品搬送装置であって、
前記搬送部は、前記電子部品を着脱可能に保持する第1保持部及び第2保持部を備え、
前記集光部は前記第1保持部と前記第2保持部との間に配置されることを特徴とする電子部品搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子部品搬送装置であって、
前記電子部品載置部は前記ポケットの周りにマーカー部を有し、
前記マーカー部は、前記集光部から射出される光の光軸に直交する第1面と、前記第1面に対して傾斜する第2面との組み合わせ、または、反射率の異なる部位の組み合わせを有することを特徴とする電子部品搬送装置。
【請求項6】
電子部品を検査する検査部と、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子部品搬送装置と、を備えることを特徴とする電子部品検査装置。
【請求項7】
電子部品が載置されるポケットを有する電子部品載置部を備えた電子部品搬送装置におけるポケット位置検出方法であって、
集光された光が当たる場所を前記ポケットの位置へ向かって移動し、
前記電子部品載置部で反射する光の光量である反射光量を検出し、前記反射光量が、所定値以上変化したときの位置を第1位置とし、
前記第1位置に基づいて、前記ポケットの位置を検出することを特徴とするポケット位置検出方法。
【請求項8】
請求項7に記載のポケット位置検出方法であって、
前記所定値以上変化したときの位置は、
第1時点での前記反射光量と、前記第1時点より後である第2時点での前記反射光量との差分の絶対値が所定値以上変化したときの位置であることを特徴とするポケット位置検出方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載のポケット位置検出方法であって、
前記反射光量が所定値以上変化したときの位置で、前記第1位置とは異なる位置を第2位置とし、
前記第1位置と前記第2位置とに基づいて前記ポケットの位置を検出することを特徴とするポケット位置検出方法。
【請求項10】
請求項9に記載のポケット位置検出方法であって、
前記ポケットの平面形状は四角形であり、
第1方向における前記第1位置と前記第2位置との中間位置である第1中間位置を検出し、
前記第1中間位置を通り前記第1方向と直交する第2方向における前記第1位置と前記第2位置との中間位置である第2中間位置を検出し、
前記第2中間位置をポケットの位置として検出することを特徴とするポケット位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品搬送装置、電子部品検査装置およびポケット位置検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)や、半導体デバイス等の電子部品の電気特性検査において、良品、不良品の検査結果に応じて電子部品を分類して収納する電子部品搬送装置がある。
【0003】
特許文献1に開示されている電子部品搬送装置はロボットアームを備える。ロボットアームは電子部品を吸着して保持するコンタクトヘッドと、ソケットの載置面に対して垂直方向にレーザービームを発射して、この垂直方向における距離を測定する非接触変位計とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/037844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の非接触変位計は、ソケットの載置面に垂直な方向の距離を測定するために、レーザービームのスポット径を大きくする必要がある。そのため、平面方向の分解能を向上させることは難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電子部品搬送装置は、電子部品が載置されるポケットを有する電子部品載置部と、前記電子部品を保持して前記ポケットに搬送する搬送部と、を備え、前記搬送部は、前記ポケットに光を発する発光部と、前記発光部が発した光のスポット径を調整する集光部と、前記ポケットで反射した光を受ける受光部と、を備える。
【0007】
電子部品検査装置は、電子部品を検査する検査部と、上記に記載の電子部品搬送装置と、を備える。
【0008】
ポケット位置検出方法は、電子部品が載置されるポケットを有する電子部品載置部を備えた電子部品搬送装置におけるポケット位置検出方法であって、集光された光が当たる場所を前記ポケットの位置へ向かって移動し、前記電子部品載置部で反射する光の光量である反射光量を検出し、前記反射光量が、所定値以上変化したときの位置を第1位置とし、前記第1位置に基づいて、前記ポケットの位置を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態にかかわる電子部品検査装置を正面側から見た概略斜視図。
図2】電子部品検査装置の動作状態を示す概略平面図。
図3】ロボットの配置を示す模式平面図。
図4】第1デバイス搬送ヘッドの構成を示す模式平面図。
図5】第1デバイス搬送ヘッドの構成を示す模式側面図。
図6】第1センサーの構成を示す模式側断面図。
図7】制御装置の構成を示す電気ブロック図。
図8】ポケットの検出方法のフローチャート。
図9】ポケットの検出方法を説明するための模式側断面図。
図10】ポケットの検出方法を説明するための模式側断面図。
図11】ポケットの検出方法を説明するための図。
図12】ポケットの検出方法を説明するための模式平面図。
図13】第2実施形態にかかわるマーカー部を説明するための模式側断面図。
図14】マーカー部を説明するための模式側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1実施形態
図1に示すように、互いに直交する3軸をX軸、Y軸及びZ軸とする。また、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直方向となっている。また、X軸に平行な方向をX方向とする。Y軸に平行な方向をY方向とする。Z軸に平行な方向をZ方向とする。各方向の矢印が向いた方向を「正」、その反対方向を「負」とする。
【0011】
「水平」とは、完全な水平に限定されず、電子部品の搬送が阻害されない限り、水平に対して若干傾いた状態も含む。「鉛直」とは、完全な鉛直に限定されず、電子部品の搬送が阻害されない限り、鉛直に対して若干傾いた状態も含む。若干傾いた状態の傾き角度は5°未満である。
【0012】
図1中の上側、すなわち、Z方向正側を「上」または「上方」、下側、すなわち、Z方向負側を「下」または「下方」と言うことがある。
【0013】
電子部品搬送装置2を備える電子部品検査装置1は、例えばBGA(Ball Grid Array)パッケージであるIC(Integrated Circuit)デバイス等の電子部品の電気的特性を検査・試験する装置である。電気的特性の検査を電特検査とする。図1に示すように、電子部品検査装置1は内部に電子部品搬送装置2を備える。電子部品搬送装置2は電子部品を搬送する装置である。
【0014】
電子部品搬送装置2はカバー3に覆われている。電子部品検査装置1はY方向負側且つX方向負側に制御部4を備える。制御部4は電子部品検査装置1の動作を制御する。制御部4の近くにはスピーカー5が配置される。電子部品検査装置1はY方向負側且つX方向正側にモニター6、操作パネル7及びマウス台8が配置される。モニター6の表示画面6aには各種の情報が表示される。モニター6は、例えば液晶画面で構成された表示画面6aを有し、電子部品検査装置1の正面側上部に配置されている。トレイ除去領域12の図1中右側には、マウスを載置するマウス台8が設けられている。操作者はマウス台8上のマウス及び操作パネル7を操作して、電子部品検査装置1の動作条件等を設定し、指示内容を入力する。操作パネル7は電子部品検査装置1に所望の動作を命令するインターフェイスである。
【0015】
電子部品検査装置1はY方向負側且つX方向負側にシグナルランプ9を備える。シグナルランプ9及びスピーカー5は電子部品検査装置1の動作状態等を報知する。シグナルランプ9は、発光する色の組み合わせにより、電子部品検査装置1の動作状態等を報知する。シグナルランプ9は電子部品検査装置1の上部に配置される。
【0016】
電子部品検査装置1はY方向負側にトレイ供給領域11及びトレイ除去領域12が設けられる。操作者は電子部品が配列されたトレイをトレイ供給領域11に供給する。電子部品検査装置1はトレイ供給領域11からトレイを取り込んで、電特検査を行う。電子部品検査装置1は電特検査が終了した電子部品が配列するトレイをトレイ除去領域12に排出する。
【0017】
図2に示すように、説明の便宜上、電子部品としてのICデバイス13を用いる場合について代表して説明する。ICデバイス13は平板状をなす。ICデバイス13の下面には半球状の複数の端子が配置されている。
【0018】
ICデバイス13としては、例えば、LSI(Large Scale Integration)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)、複数のモジュールがパッケージ化されたモジュールIC、水晶デバイス、圧力センサー、慣性センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、指紋センサー等が挙げられる。
【0019】
電子部品搬送装置2は、トレイ供給領域11と、デバイス供給領域14と、検査領域15と、デバイス回収領域16と、トレイ除去領域12とを備える。これらの各領域は壁で分けられている。ICデバイス13は、トレイ供給領域11からトレイ除去領域12まで前記各領域を第1矢印17方向に順に経由し、途中の検査領域15で検査が行われる。電子部品検査装置1は、各領域を経由するようにICデバイス13を搬送する搬送部18を有する電子部品搬送装置2と、検査領域15内で検査を行なう検査部19と、産業用コンピューターで構成された制御部4とを備えたものとなっている。
【0020】
電子部品検査装置1は、トレイ供給領域11及びトレイ除去領域12が配置された方が正面側となり、検査領域15が配された方が背面側として使用される。
【0021】
電子部品検査装置1は、ICデバイス13の種類ごとに交換される「チェンジキット」と呼ばれるものを予め搭載して用いられる。チェンジキットには、例えば、温度調整部21と、デバイス供給部22と、デバイス回収部23とがある。チェンジキットとは別に、ICデバイス13の種類ごとに交換されるものとしては、例えば、電子部品載置部としてのトレイ24と、回収用トレイ25と、検査部19とがある。トレイ24はICデバイス13が搭載される容器である。
【0022】
トレイ供給領域11は、未検査状態の複数のICデバイス13が配列されたトレイ24が供給される給材部である。トレイ供給領域11ではトレイ24が複数積み重ねて搭載される。各トレイ24には複数の凹部が行列状に配置されている。各凹部にはICデバイス13が1つずつ収納される。
【0023】
デバイス供給領域14では、トレイ供給領域11から搬送されたトレイ24上の複数のICデバイス13がそれぞれデバイス供給部22まで搬送される。デバイス供給部22によりデバイス供給領域14から検査領域15へICデバイス13が搬送される。トレイ供給領域11とデバイス供給領域14とをまたぐように、トレイ24を1枚ずつ水平方向に搬送する第1トレイ搬送機構26、第2トレイ搬送機構27が設けられている。第1トレイ搬送機構26は搬送部18の一部である。第1トレイ搬送機構26はICデバイス13を搭載したトレイ24をY方向正側、すなわち、図2中の第2矢印28方向に移動する。これにより、ICデバイス13はデバイス供給領域14に送り込まれる。また、第2トレイ搬送機構27は空のトレイ24をY方向負側、すなわち、図2中の第3矢印29方向に移動する。第2トレイ搬送機構27は空のトレイ24をデバイス供給領域14からトレイ供給領域11に移動する。
【0024】
デバイス供給領域14には、温度調整部21、搬送部としての第1デバイス搬送ヘッド31、トレイ搬送機構32及びデバイス供給部22が設けられている。温度調整部21はソークプレート(英語表記:soak plate、中国語表記:均温板)ともいう。デバイス供給部22はデバイス供給領域14と検査領域15とをまたぐように移動する。
【0025】
温度調整部21には複数のICデバイス13が載置される。温度調整部21は載置されたICデバイス13を一括して加熱または冷却できる。温度調整部21はICデバイス13を予め加熱または冷却して、電特検査に適した温度に調整する。
【0026】
本実施形態では、例えば、温度調整部21はY方向に2つ配置されている。そして、第1トレイ搬送機構26によってトレイ供給領域11から搬入されたトレイ24上のICデバイス13は、いずれかの温度調整部21に搬送される。
【0027】
第1デバイス搬送ヘッド31はICデバイス13を保持する機構を備える。第1デバイス搬送ヘッド31はデバイス供給領域14内でX方向、Y方向及びZ方向にICデバイス13を移動する。第1デバイス搬送ヘッド31は搬送部18の一部である。第1デバイス搬送ヘッド31はトレイ供給領域11から搬入されたトレイ24と温度調整部21との間のICデバイス13の搬送を行う。第1デバイス搬送ヘッド31は温度調整部21とデバイス供給部22との間のICデバイス13の搬送を行う。尚、図2中では、第1デバイス搬送ヘッド31のX方向の移動を第4矢印33で示し、第1デバイス搬送ヘッド31のY方向の移動を第5矢印34で示す。
【0028】
デバイス供給部22には温度調整部21で温度調整されたICデバイス13が載置される。デバイス供給部22はICデバイス13を検査部19近傍まで搬送する。デバイス供給部22は「供給用シャトルプレート」または「供給シャトル」という。デバイス供給部22も、搬送部18の一部である。デバイス供給部22は、ICデバイス13が収納、載置される凹部を有する。
【0029】
デバイス供給部22はデバイス供給領域14と検査領域15との間をX方向、すなわち、第6矢印35方向に往復移動する。これにより、デバイス供給部22は、ICデバイス13をデバイス供給領域14から検査領域15の検査部19の近傍まで搬送する。検査領域15でICデバイス13が第2デバイス搬送ヘッド36によって取り去られた後、デバイス供給部22は再度デバイス供給領域14に戻る。
【0030】
デバイス供給部22はY方向に2つ配置されている。Y方向正側のデバイス供給部22を第1デバイス供給部22aとする。Y方向負側のデバイス供給部22を第2デバイス供給部22bとする。そして、温度調整部21上のICデバイス13は、第1デバイス搬送ヘッド31によりデバイス供給領域14内で第1デバイス供給部22aまたは第2デバイス供給部22bまで搬送される。デバイス供給部22はデバイス供給部22に載置されたICデバイス13を加熱または冷却可能である。温度調整部21で温度調整されたICデバイス13は、温度調整状態を維持して検査領域15の検査部19近傍まで搬送される。また、デバイス供給部22及び温度調整部21はシャーシへ電気的に接地されている。
【0031】
トレイ搬送機構32は、すべてのICデバイス13が除去された状態の空のトレイ24をデバイス供給領域14内でX方向正側、すなわち、第7矢印32a方向に搬送する機構である。第7矢印32a方向への搬送後、空のトレイ24は、第2トレイ搬送機構27によってデバイス供給領域14からトレイ供給領域11に戻される。
【0032】
検査領域15は、ICデバイス13を検査する領域である。検査領域15にはICデバイス13を検査する検査部19と、第2デバイス搬送ヘッド36とが設けられている。
【0033】
第2デバイス搬送ヘッド36は、搬送部18の一部であり、保持したICデバイス13を加熱または冷却可能である。検査領域15内で温度調整状態を維持したまま、第2デバイス搬送ヘッド36はICデバイス13を搬送する。
【0034】
第2デバイス搬送ヘッド36は、検査領域15内でY方向及びZ方向に往復移動可能に支持され、「インデックスアーム」と呼ばれる機構の一部となっている。第2デバイス搬送ヘッド36はICデバイス13を持ち上げてデバイス供給部22から検査部19上に搬送し、載置する。
【0035】
図2中では、第2デバイス搬送ヘッド36のY方向の往復移動を第8矢印36cで示している。第2デバイス搬送ヘッド36は、検査領域15内で、ICデバイス13の第1デバイス供給部22aから検査部19への搬送と、ICデバイス13の第2デバイス供給部22bから検査部19への搬送とを担う。また、第2デバイス搬送ヘッド36は、Y方向に往復移動可能に支持されている。
【0036】
第2デバイス搬送ヘッド36は、Y方向に2つ配置されている。Y方向正側の第2デバイス搬送ヘッド36を第3デバイス搬送ヘッド36aとする。Y方向負側の第2デバイス搬送ヘッド36を第4デバイス搬送ヘッド36bとする。第3デバイス搬送ヘッド36aはICデバイス13を第1デバイス供給部22aから検査部19への搬送を担う。第4デバイス搬送ヘッド36bはICデバイス13を第2デバイス供給部22bから検査部19への搬送を担う。第3デバイス搬送ヘッド36aは、ICデバイス13の検査部19から第1デバイス回収部23aへの搬送を担う。第4デバイス搬送ヘッド36bは検査部19から第2デバイス回収部23bへの搬送を担う。
【0037】
検査部19にはICデバイス13が載置され、検査部19はICデバイス13の電気的特性を検査する。検査部19にはICデバイス13の端子と電気的に接続される複数のプローブピンが設けられている。そして、ICデバイス13の端子とプローブピンとが電気的に接続される。そして、検査部19はICデバイス13の検査を行なう。ICデバイス13の検査は検査部19と電気的に接続されるテスターが備える検査制御部に記憶されているプログラムに基づいて行われる。検査部19でもICデバイス13を加熱または冷却して、ICデバイス13を検査に適した温度に調整できる。
【0038】
デバイス回収領域16は検査が終了した複数のICデバイス13が回収される領域である。デバイス回収領域16には、回収用トレイ25と、第5デバイス搬送ヘッド37と、第3トレイ搬送機構38とが設けられている。検査領域15とデバイス回収領域16とをまたぐように移動するデバイス回収部23も設けられている。デバイス回収領域16には空のトレイ24も用意されている。
【0039】
デバイス回収部23には検査が終了したICデバイス13が載置される。デバイス回収部23はICデバイス13をデバイス回収領域16まで搬送する。デバイス回収部23は「回収用シャトルプレート」または単に「回収シャトル」ともいう。デバイス回収部23も搬送部18の一部である。
【0040】
デバイス回収部23は、検査領域15とデバイス回収領域16との間をX方向、すなわち、第9矢印23c方向に沿って往復移動可能に支持されている。デバイス回収部23はY方向に2つ配置されている。Y方向正側のデバイス回収部23が第1デバイス回収部23aである。Y方向負側のデバイス回収部23が第2デバイス回収部23bである。検査部19上のICデバイス13は第1デバイス回収部23aまたは第2デバイス回収部23bに搬送され、載置される。第2デバイス搬送ヘッド36はICデバイス13の検査部19から第1デバイス回収部23aへの搬送と、ICデバイス13の検査部19から第2デバイス回収部23bへの搬送とを担う。また、デバイス回収部23はシャーシへ電気的に接地されている。
【0041】
回収用トレイ25には検査部19で検査されたICデバイス13が載置される。ICデバイス13はデバイス回収領域16内で移動しないよう回収用トレイ25に固定されている。第5デバイス搬送ヘッド37等の各種可動部が比較的多く配置されたデバイス回収領域16であっても、回収用トレイ25上では検査済みのICデバイス13が安定して載置される。回収用トレイ25は、X方向に沿って3つ配置されている。
【0042】
空のトレイ24もX方向に沿って4つ配置されている。空のトレイ24に検査されたICデバイス13が載置される。デバイス回収部23上のICデバイス13は回収用トレイ25または空のトレイ24のうちのいずれかに搬送され、載置される。ICデバイス13は検査結果ごとに分類されて、回収される。
【0043】
第5デバイス搬送ヘッド37は、デバイス回収領域16内でX方向及びY方向に移動可能に支持される。第5デバイス搬送ヘッド37はZ方向にも移動可能な部分を有している。第5デバイス搬送ヘッド37は搬送部18の一部である。第5デバイス搬送ヘッド37はICデバイス13をデバイス回収部23から回収用トレイ25や空のトレイ24に搬送する。図2中では、第5デバイス搬送ヘッド37のX方向の移動を第10矢印37aで示し、第5デバイス搬送ヘッド37のY方向の移動を第11矢印37bで示す。
【0044】
第3トレイ搬送機構38は、トレイ除去領域12から搬入された空のトレイ24をデバイス回収領域16内でX方向、すなわち、第12矢印38a方向に搬送する機構である。搬送後に空のトレイ24はICデバイス13が回収される位置に配置される。
【0045】
トレイ除去領域12では検査済み状態の複数のICデバイス13が配列されたトレイ24が回収され、除去される。トレイ除去領域12には多数のトレイ24が積み重ねられる。
【0046】
デバイス回収領域16とトレイ除去領域12とをまたぐようにトレイ24を1枚ずつY方向に搬送する第4トレイ搬送機構39及び第5トレイ搬送機構41が設けられている。第4トレイ搬送機構39は搬送部18の一部でありトレイ24をY方向、すなわち、第13矢印39a方向に往復移動する。第4トレイ搬送機構39は、検査済みのICデバイス13をデバイス回収領域16からトレイ除去領域12に搬送する。第5トレイ搬送機構41はICデバイス13を回収するための空のトレイ24をY方向正側、すなわち、第14矢印41a方向に移動する。第5トレイ搬送機構41は空のトレイ24をトレイ除去領域12からデバイス回収領域16に移動する。
【0047】
制御部4は第1トレイ搬送機構26と、第2トレイ搬送機構27と、温度調整部21と、第1デバイス搬送ヘッド31と、デバイス供給部22と、トレイ搬送機構32と、検査部19と、第2デバイス搬送ヘッド36と、デバイス回収部23と、第5デバイス搬送ヘッド37と、第3トレイ搬送機構38と、第4トレイ搬送機構39と、第5トレイ搬送機構41の各部の動作を制御する。制御部4はCPU42(Central Processing Unit)とメモリー43とを有している。CPU42はメモリー43に記憶されている判断用プログラム、指示・命令用プログラム等の各種情報を読み込み、判断や命令を実行する。
【0048】
制御部4は、電子部品検査装置1や電子部品搬送装置2に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。外部機器は、例えば、電子部品検査装置1とケーブル等を介して通信される場合、無線通信される場合、電子部品検査装置1とネットワークを介して接続されている場合等がある。
【0049】
電子部品検査装置1は、トレイ供給領域11とデバイス供給領域14との間が第1隔壁44によって区切られている。デバイス供給領域14と検査領域15との間が第2隔壁45によって区切られている。検査領域15とデバイス回収領域16との間が第3隔壁46によって区切られている。デバイス回収領域16とトレイ除去領域12との間が第4隔壁47によって区切られている。デバイス供給領域14とデバイス回収領域16との間も、第5隔壁48によって区切られている。
【0050】
図3に示すように、電子部品検査装置1はトレイ24を載せる容器載置部材49を備える。X軸と平行な軸を第1軸51とする。第1軸51と直交する軸を第2軸52とする。第2軸52はY軸と平行な軸である。
【0051】
トレイ24はICデバイス13が載置されるポケット53を有する。ポケット53の平面形状はICデバイス13と略同じである。ポケット53はZ方向負側に凹んでおり、ポケット53に載置されるICデバイス13はトレイ24により位置決めされる。
【0052】
容器載置部材49のX方向負側には第1デバイス搬送ヘッド31を移動する第1搬送ロボット54が配置される。第1搬送ロボット54はY方向に延びる第1レール54aを備える。第1レール54a上には第1アーム54bが配置される。第1アーム54bは第1レール54aに沿って移動する。
【0053】
第1アーム54bは第1軸51方向に延びる第2レール54cを備える。第1アーム54bには第1デバイス搬送ヘッド31が設置される。第1デバイス搬送ヘッド31は第2レール54cに沿って移動する。第1搬送ロボット54は図示しない2つのモーターと、各モーターの軸に固定されたプーリーと、各プーリーに掛けられたベルトを備える。各ベルトは第1アーム54bと第1デバイス搬送ヘッド31とに固定される。第1搬送ロボット54は各モーターを駆動することにより、第1デバイス搬送ヘッド31をX方向及びY方向に移動する。このように、第1搬送ロボット54はICデバイス13を保持してポケット53に搬送する第1デバイス搬送ヘッド31を有する。
【0054】
第1デバイス搬送ヘッド31はポケット53のX方向及びY方向の位置を検出する第1センサー55を備える。第1センサー55は、集光した光を射出する。第1搬送ロボット54は通電したときに第1デバイス搬送ヘッド31をホームポジションに移動する。このとき、第1センサー55と対向する場所を第1センサー原点56とする。
【0055】
容器載置部材49のX方向正側には第5デバイス搬送ヘッド37を移動する第2搬送ロボット57が配置される。第2搬送ロボット57はY方向に延びる第3レール57aを備える。第3レール57a上には第2アーム57bが配置される。第2アーム57bは第3レール57aに沿って移動する。
【0056】
第2アーム57bは第1軸51方向に延びる第4レール57cを備える。第2アーム57bには第5デバイス搬送ヘッド37が設置される。第5デバイス搬送ヘッド37は第4レール57cに沿って移動する。第2搬送ロボット57は図示しない2つのモーターと、各モーターの軸に固定されたプーリーと、各プーリーに掛けられたベルトを備える。各ベルトは第2アーム57bと第5デバイス搬送ヘッド37とに固定される。第2搬送ロボット57は各モーターを駆動することにより、第5デバイス搬送ヘッド37をX方向及びY方向に移動する。このように、第2搬送ロボット57はICデバイス13を保持し、第3レール57a及び第4レール57cに沿って移動する第5デバイス搬送ヘッド37を有する。
【0057】
第5デバイス搬送ヘッド37はポケット53のX方向及びY方向の位置を検出する第2センサー58を備える。第2搬送ロボット57は通電したときに第5デバイス搬送ヘッド37をホームポジションに移動する。このとき、第2センサー58と対向する場所を第2センサー原点59とする。
【0058】
図4及び図5に示すように、第1デバイス搬送ヘッド31はICデバイス13を保持する保持ハンド61を備える。保持ハンド61は2行4列に配列する。Y方向正側の行の保持ハンド61を第1保持部としての第1保持ハンド61cとする。Y方向負側の行の保持ハンド61を第2保持部としての第2保持ハンド61dとする。第1デバイス搬送ヘッド31は、ICデバイス13を着脱可能に保持する第1保持ハンド61c及び第2保持ハンド61dを備える。保持ハンド61は昇降部61a及び吸着部61bを備える。昇降部61aは直動機構を備えて吸着部61bをZ方向に昇降する。吸着部61bは減圧ポンプと配管により接続され、ICデバイス13を吸着して保持する。そして、吸着部61bは吸着したICデバイス13を離す。
【0059】
第1センサー55は集光部55a、投光用ファイバー55b、受光用ファイバー55c、センサーコントローラー55dを備える。センサーコントローラー55dはLED55e(light emitting diode)、フォトトランジスター55f及びセンサー駆動部55gを備える。センサー駆動部55gはLED55e及びフォトトランジスター55fを駆動する回路を備える。
【0060】
集光部55aは第1保持ハンド61cと第2保持ハンド61dとの間に配置される。集光部55aは集光部支持部としての支持部材62により第1デバイス搬送ヘッド31に固定される。集光部55aのZ方向負側にはトレイ24のポケット53が配置される。集光部55aはポケット53側の端が支持部材62に支持される。
【0061】
LED55eが発光する光は投光用ファイバー55b及び集光部55aを通ってポケット53を照射する。ポケット53で反射した光は受光用ファイバー55cを通ってフォトトランジスター55fを照射する。フォトトランジスター55fが受光する光の光量をアナログの電気信号に変換してセンサー駆動部55gに出力する。センサー駆動部55gはアナログの電気信号をデジタルの電気信号に変換してCPU42に出力する。
【0062】
図6に示すように、第1センサー55はケースとしての第1ケース63及び第2ケース64を備える。第1ケース63及び第2ケース64は円筒状である。投光用ファイバー55b及び受光用ファイバー55cは第1ケース63の内部に挿入され固定部材65により固定される。投光用ファイバー55bのポケット53側の先端を発光部66とする。発光部66はポケット53に光67を発する。受光用ファイバー55cのポケット53側の先端を受光部68とする。光67がポケット53で反射した光67を受光部68が受ける。
【0063】
第1ケース63はポケット53側の内径が大きくなっている。この場所に集光部55aが配置される。集光部55aは発光部66とポケット53との間に設けられる。集光部55aは第2ケース64の中に絞り部69及び集光レンズ71を備える。発光部66から広がる光67の光軸に近い部分を絞り部69が通過させる。絞り部69を通過する光67を集光レンズ71が集光する。集光部55aにより光67が集光する場所を集光点67bとする。集光点67bの直径をスポット径67aとする。絞り部69が光67を透す部分の直径が小さくなるとスポット径67aが小さくなる。集光部55aは発光部66が発した光67のスポット径67aを調整する。このように、第1デバイス搬送ヘッド31は発光部66、受光部68及び集光部55aを備える。
【0064】
第1ケース63は内部に雄ねじが形成されている。第2ケース64の内側には雌ねじが形成されている。第1ケース63の雄ねじと第2ケース64の内側には雌ねじとが螺合する。第1ケース63に対して第2ケース64を回転することにより、第1ケース63と第2ケース64とが分離可能に結合される。従って、集光部55aは発光部66及び受光部68と分離可能になっている。絞り径の異なる絞り部69と焦点距離の異なる集光レンズ71とが組み合わせられた集光部55aが数種類用意されている。操作者は集光部55aを変更することによりスポット径67aの大きさを調整できる。
【0065】
集光部55aを交換するとき、集光部55aと集光点67bとの距離が変わらないように交換される。このとき、トレイ24の上面24aに集光点67bが位置するように集光部55aを交換できる。そして、集光部55aと集光点67bとの距離を調整する工程を削減できる。
【0066】
第1ケース63はポケット53側の外周にリブ63aを備える。リブ63aと支持部材62とが第1ねじ72により固定される。第1ケース63はポケット53側の端付近に径方向に貫通穴63bを備える。貫通穴63bには雌ねじが形成される。貫通穴63bに第2ねじ73が挿入され、第2ねじ73と貫通穴63bの雌ねじとが螺合する。操作者が第2ねじ73を回転すると、第2ねじ73が第2ケース64を押圧する。第2ケース64は第1ケース63に対して回転し難くなるので、集光部55aは第1ケース63から外れ難くなる。このように、第2ねじ73は第1ケース63に対して集光部55aが外れることを抑制する。
【0067】
発光部66、集光部55a及び受光部68が1つの第1ケース63に収納される。発光部66、集光部55a及び受光部68を第1デバイス搬送ヘッド31にまとめて配置できる。従って、小さい空間に発光部66、集光部55a及び受光部68を配置できる。尚、第1センサー55と第2センサー58とは同じ構造になっている。
【0068】
図7に示すように、制御部4はプロセッサーとして各種の演算処理を行うCPU42と、各種情報を記憶するメモリー43を備えている。第1ロボット制御部74、第2ロボット制御部75、第1センサー55及び第2センサー58はインターフェイス76を介してCPU42と電気的に接続されている。
【0069】
第1ロボット制御部74は第1搬送ロボット54の動作を制御する。第1ロボット制御部74はCPU42から指示信号を入力して指示された場所に第1デバイス搬送ヘッド31を移動する。
【0070】
第2ロボット制御部75は第2搬送ロボット57の動作を制御する。第2ロボット制御部75はCPU42から指示信号を入力して指示された場所に第5デバイス搬送ヘッド37を移動する。
【0071】
メモリー43は、RAM、ROM等の半導体メモリーや、ハードディスクといった外部記憶装置で構成される。メモリー43は電子部品搬送装置2の動作の制御手順や搬送不良の判定手順等が記述されたプログラム77を記憶する。他にも、メモリー43は第1センサー55及び第2センサー58が出力する座標データ78を記憶する。他にも、メモリー43はデータを判定する判定値等の判定データ79を記憶する。
【0072】
CPU42は、メモリー43内に記憶されたプログラム77に従って電子部品搬送装置2の動作を制御する。CPU42は機能を実現するための各種の機能部を有する。具体的な機能部としてCPU42は動作制御部81を有する。動作制御部81は第1デバイス搬送ヘッド31、第5デバイス搬送ヘッド37の移動先及び移動のタイミングを指示する。
【0073】
他にも、CPU42はポケット計測部82を有する。ポケット計測部82はポケット53の位置を算出する。
【0074】
次に、第1センサー55がポケット53の位置を検出するポケット位置検出方法について説明する。第2センサー58がポケット53の位置を検出する方法も第1センサー55と同じ方法にて状態確認を行う。第1センサー55がポケット53の位置を検出する方法について説明し、第2センサー58がポケット53の位置を検出する方法についての説明は省略する。
【0075】
図8において、ステップS1はポケットの外側へセンサーを移動する工程である。この工程では、第1ロボット制御部74が第1センサー55を移動させる。集光された光67が当たる場所をポケット53の近くの位置へ向かって移動する。次にステップS2に移行する。
【0076】
ステップS2はセンサーが反射光量を用いて判定値を設定する工程である。この工程では、第1センサー55がトレイ24の上面24aに光67を照射する。トレイ24の上面24aで反射する反射光の反射光量を用いてポケット53の位置を検出するときに用いる判定値をポケット計測部82が設定する。
【0077】
ステップS3は第1軸に沿ってセンサーがポケットの位置へ向かって移動する工程である。この工程では、第1ロボット制御部74が第1センサー55を第1軸51に沿って移動させる。動作制御部81が集光された光67が当たる場所をポケット53の位置へ向かって移動する。次にステップS4に移行する。
【0078】
ステップS4はセンサー光量が判定値を超えて変動したか?を判定する工程である。この工程では、ポケット計測部82が反射光の光量と判定値とを比較する。反射光の光量が判定値を超えないとき、次にステップS3に移行する。反射光の光量が判定値を超えたとき、次にステップS5に移行する。
【0079】
ステップS5はポケットの座標を取得する工程である。この工程では、反射光の光量が判定値を超えた場所の座標をポケット計測部82が取得する。ポケット計測部82は座標の座標データ78をメモリー43に記憶する。次にステップS6に移行する。ステップS5、S6、S10、S11におけるポケットの座標は四角形のポケットの辺上のある点の座標を示す。
【0080】
ステップS6は2つの座標を取得したか?を判定する工程である。第1軸51上の座標を1つだけ取得したとき、次にステップS3に移行する。第1軸51上の座標を2つ取得したとき、次にステップS7に移行する。
【0081】
ステップS7は検出したポケットの座標からポケットの中間点の座標を算出する工程である。この工程は、第1軸上の2つのポケットの座標の中間点をポケット計測部82が算出する。次にステップS8に移行する。
【0082】
ステップS8は第2軸に沿ってセンサーをポケットの位置へ向かって移動する工程である。この工程では、第1ロボット制御部74が第1センサー55を第2軸52に沿って移動させる。動作制御部81が集光された光67が当たる場所をポケット53の位置へ向かって移動する。次にステップS9に移行する。
【0083】
ステップS9はセンサー光量が判定値を超えて変動したか?を判定する工程である。この工程では、ポケット計測部82が反射光の光量と判定値とを比較する。反射光の光量が判定値を超えないとき、次にステップS8に移行する。反射光の光量が判定値を超えたとき、次にステップS10に移行する。
【0084】
ステップS10はポケットの座標を取得する工程である。この工程では、反射光の光量が判定値を超えた場所の座標をポケット計測部82が取得する。ポケット計測部82は座標の座標データ78をメモリー43に記憶する。次にステップS11に移行する。
【0085】
ステップS11は2つの座標を取得したか?を判定する工程である。第2軸52上の座標を1つだけ取得したとき、次にステップS8に移行する。第2軸52上の座標を2つ取得したとき、次にステップS12に移行する。
【0086】
ステップS12は検出したポケットの座標からポケットの中心位置の座標を算出する工程である。この工程は、第2軸52上の2つのポケットの座標の中間点をポケット計測部82が算出する。この中間点の座標をポケット53の中心位置の座標とする。以上の工程にてポケット53の位置を検出する工程を終了する。
【0087】
次に、図9図12を用いて、図8に示したステップと対応させて、ポケット53の位置を検出する方法を詳細に説明する。図9及び図11はステップS2に対応する図である。図9に示すように、トレイ24の第1面としての上面24aに集光点67bが位置するように動作制御部81が集光部55aを移動する。
【0088】
図11において、横軸は集光点67bが移動する位置を示す。縦軸はフォトトランジスター55fが受光する反射光の光量を示す。光67が上面24aを照射するとき反射光の光量は大きい。上面24aで反射した光67をフォトトランジスター55fが受光する光量を上面光量84とする。上面光量84から所定値としての判定幅85だけ低い光量を判定値86とする。
【0089】
図9図12はステップS3からステップS6に対応する図である。図9に示すように、トレイ24はポケット53の周りにマーカー部87を有する。マーカー部87は、集光部55aから射出される光67の光軸と直交する上面24aと上面24aに対して傾斜する第2面としての斜面88との組み合わせである。上面24aと斜面88とが接する線をマーク線89とする。マーク線89はポケット53を囲む。斜面88は一定の幅でポケット53の周囲に配置されるので、ポケット53の平面形状とマーク線89の平面形状は相似形になる。平面形状が四角形であるポケット53の中心とマーク線89の中心は同一点になる。
【0090】
ステップS3では動作制御部81が集光点67bを上面24aから斜面88を通ってポケット53の底面53aへ移動させる。図10に示すように、第1搬送ロボット54は集光点67bのZ方向の位置を維持しながら第1センサー55を移動する。マーカー部87はポケット53の周囲が斜面88になっている。集光された光67が斜面88を照射する。このとき、光67は斜面88で反射して進行方向を変える。反射した光67は集光部55aに向かわないので、集光部55aを照射する光67の光量は小さい。
【0091】
図11に示すように、上面24aにおける反射光の光量は大きい。マーク線89にて反射光の光量が低下して、斜面88では反射光の光量が小さくなる。底面53aは集光点67bと離れているので、底面53aにおいてフォトトランジスター55fが受光する反射光の光量は小さい。底面53aは集光部55aと対向する。このため、受光部68が受光する光量は斜面88における反射光の光量より底面53aで反射する光量の方が大きくなる。
【0092】
ステップS4ではポケット計測部82がトレイ24で反射する光67の光量である反射光量を検出し、反射光量が、判定幅85以上変化したときの位置を第1位置とする。第1位置はマーク線89上の1つの点である。判定幅85以上変化したときの位置は、第1時点の反射光量と、第1時点より後に検出する第2時点での反射光量との差分の絶対値が判定幅85以上変化したときの位置である。第1時点の反射光量は上面24aにおける反射光量である。第2時点での反射光量は斜面88における反射光量である。反射光量との差分の絶対値が判定幅85以上変化したときの位置は反射光量が判定値86より低下した位置である。この位置はマーク線89上の位置になる。
【0093】
図12において、集光点67bが第1軸51に沿って移動する線を第1移動線91とする。第1移動線91はポケット53を横切る線である。ステップS1〜ステップS5において、集光点67bがX方向負側からX方向正側に向かって移動する。反射光量が、判定幅85以上変化したときの位置を第1位置92とする。ポケット計測部82は第1位置92の座標を取得する。
【0094】
ステップS6からステップS3に移行する。ステップS3〜ステップS5において、集光点67bがX方向正側からX方向負側に向かって移動する。反射光量が、判定幅85以上変化したときの位置を第2位置93とする。ポケット計測部82は第2位置93の座標を取得する。第2位置93は反射光量が判定幅85以上変化したときの位置で、第1位置92とは異なる位置である。2つの座標を取得したので、次に、ステップS7に移行する。
【0095】
ステップS7ではポケット計測部82が第1位置92と第2位置93との中間点である第1中間位置94の座標を演算する。X方向正側を第1方向95とする。換言すれば、ポケット計測部82は第1方向95における第1位置92と第2位置93との中間位置である第1中間位置94を検出する。第1方向95と直交する方向を第2方向96とする。第2方向96はY方向に相当する。第1中間位置94を通り第2方向96に延びる線を第2移動線97とする。次に、ステップS8に移行する。
【0096】
ステップS8〜ステップS11において、集光点67bが第2方向96負側から第2方向96正側に向かって移動する。反射光量が、判定幅85以上変化したときの位置を第1位置としての第3位置98とする。ポケット計測部82は第3位置98の座標を取得する。次に、ステップS11からステップS8に移行する。
【0097】
ステップS8〜ステップS11において、集光点67bが第2方向96正側から第2方向96負側に向かって移動する。反射光量が、判定幅85以上変化したときの位置を第2位置としての第4位置99とする。ポケット計測部82は第4位置99の座標を取得する。2つの座標を取得したので、次に、ステップS12に移行する。
【0098】
ステップS12ではポケット計測部82が第3位置98と第4位置99との中間点である第2中間位置101の座標を演算する。換言すれば、ポケット計測部82は第1中間位置94を通り第1方向95と直交する第2方向96における第3位置98と第4位置99との中間位置である第2中間位置101を検出する。第2中間位置101はポケット53の中心の位置である。ポケット計測部82は第2中間位置101をポケット位置として検出する。ポケット計測部82は第1位置92、第2位置93、第3位置98及び第4位置99に基づいてポケット位置を検出する。
【0099】
この構成によれば、集光部55aにより光67のスポット径67aを調整可能であるため、トレイ24の表面状態に応じてスポット径67aを変更することにより、平面方向の分解能を向上させることができる。従って、ICデバイス13が載置されるポケット53の平面方向の位置を正確に測定することができる電子部品搬送装置2を提供できる。
【0100】
この構成によれば、Z方向において集光部55aはポケット53側の端が支持部材62に支持される。集光部55aはポケット53側の端が操作者に接触する可能性がある。操作者の接触により集光部55aの位置が変化するとポケット53の検出位置が変わる。操作者に接触される可能性のある場所の近くが支持部材62に支持されるので、集光部55aの位置が変化することを抑制できる。
【0101】
この構成によれば、集光部55aは第1保持ハンド61cと第2保持ハンド61dとの間に配置される。第1保持ハンド61c及び第2保持ハンド61dはポケット53と対向する場所に移動するので、集光部55aはポケット53と対向する場所に移動できる。
【0102】
この構成によれば、ポケット53の周りにマーカー部87が配置される。マーカー部87は集光部55aから射出される光67の光軸と直交する上面24aと上面24aに対して傾斜する斜面88とが組み合わされる。斜面88で反射する光67は進行方向が集光部55aと異なる。上面24aと斜面88とは集光部55aを照射する反射光の光量が異なる。上面24aと斜面88との境界で反射光の光量が変化するので、上面24aと斜面88との境界を検出できる。
【0103】
この構成によれば、電子部品検査装置1は上記の電子部品搬送装置2を備える。上記の電子部品搬送装置2はスポット径67aを調整できるので、高い分解能でポケット53の位置を検出できる。従って、電子部品検査装置1は高い分解能でポケット53の位置を検出できる電子部品搬送装置2を備えた装置とすることができる。
【0104】
この方法によれば、第1センサー55をポケット53の位置へ向かって移動することにより、集光された光67が当たる場所がトレイ24のポケット53の外側からポケット53へ向かって移動する。ポケット53の位置ではない上面24aから集光部55aに向かって反射する反射光量は、ポケット53の位置として検出する斜面88で集光部55aに向かって反射する反射光量より大きい。反射光量が判定幅85以上変化したときの位置を第1位置92〜第4位置99としている。第1位置92〜第4位置99はポケット53の位置を示すので、ポケット53の位置が検出される。集光された光67でポケット53の位置を検出するので、ポケット53の位置を高い分解能で検出できる。
【0105】
この方法によれば、第1時点の反射光量はポケット53の外側の上面24aにおける反射光量であり、第2時点の反射光量はポケット53の斜面88における反射光量である。ポケット53の外側の上面24aにおける反射光量とポケット53の斜面88における反射光量との差分の絶対値の変化を判定幅85と比較することによりポケット53の位置を検出しているので、確実にポケット53の位置を検出できる。
【0106】
この方法によれば、ポケット53のマーク線89上の位置を複数検出するため精度良くポケット53の位置を検出できる。特に、マーカー部87をポケット53の周りを囲む形状として配置した場合には、ポケット53の形状を正確に把握できる為、精度良くポケット53の位置を検出できる。
【0107】
この方法によれば、ポケット53の平面形状は四角形である。第1方向95におけるポケット53のマーク線89上の第1位置92と第2位置93との中間位置である第1中間位置94を検出している。第1方向95と第2方向96とは直交する方向である。さらに、第1中間位置94を通り第2方向96におけるポケット53のマーク線89上の第3位置98と第4位置99との中間位置である第2中間位置101を検出している。この第2中間位置101は四角形の中心及び重心である。従って、ポケット位置検出方法はポケット53の中心及び重心を検出できる。
【0108】
第2実施形態
本実施形態が第1実施形態と異なるところは、マーカー部87の形態にある。図13に示すように、ポケット53の外周に沿ってマーカー部としての第1マーカー部104が配置される。第1マーカー部104は四角形の枠状のマーク105とマーク105と隣接する上面24aの一部で構成される。第1マーカー部104は反射率や色の異なる部位で構成される組み合わせを有する。第1マーカー部104はポケット53を囲む。第1マーカー部104は一定の幅でポケット53の周囲に配置されるので、ポケット53の平面形状と第1マーカー部104の平面形状は相似形になる。平面形状が四角形であるポケット53の中心と第1マーカー部104の中心は同一点になる。
【0109】
マーク105は塗料を印刷して形成できる。他にも、上面24aに黒色クロメート処理、黒ニッケルめっき、黒クロムめっきの処理を行ってマーク105を形成してもよい。
【0110】
第1マーカー部104は色の異なる部位で構成される図形である。色が異なる場所では集光部55aに照射する反射光の光量が異なる。上面24aとマーク105との境界で反射光の光量が変化するので、色が異なる場所の境界を検出できる。
【0111】
上面24aとマーク105とは反射率が異なる。反射率の異なる部位では集光部55aに照射する反射光の光量が異なる。反射率の異なる各部位の境界で反射光の光量が変化するので、反射率の異なる部位の境界を検出できる。
【0112】
図14に示す例では、ポケット53の外周に沿ってマーカー部としての第2マーカー部106が配置される。第2マーカー部106は四角形の枠107と枠107と隣接する上面24aの一部で構成される。枠107はトレイ24と異なる材料で形成されている。そして、第2マーカー部106は反射率の異なる部位で構成される組み合わせを有する。
【0113】
トレイ24と枠107とは異なる金属で形成されても良い。トレイ24と枠107とは異なる色の樹脂材料で形成されても良い。
【0114】
第2マーカー部106は材質の異なる部位で構成される図形である。材質の異なる部位では集光部55aに照射する反射光の光量が異なる。材質の異なる部位の境界で反射光の光量が変化するので、材質の異なる部位の境界を検出できる。従って、第2マーカー部106の形状を検出できる。
【0115】
第3実施形態
第1実施形態では集光点67bが上面24aから斜面88を通ってポケット53の底面53aに向かって移動した。集光点67bがポケット53の底面53aから斜面88を通って上面24aに向かって移動しても良い。この手順では第1時点の反射光量はポケット53の底面53aの位置における反射光量であり、第2時点の反射光量はポケット53の外側の上面24aにおける反射光量である。
【0116】
この方法によれば、ポケット53の外側における上面24aの反射光量とポケット53の底面53aの位置における反射光量との差分の絶対値の変化を判定幅85と比較することによりポケット53の位置を検出しているので、確実にポケット53の位置を検出できる。
【0117】
第4実施形態
第1実施形態では第1ケース63から集光部55aを交換することによりスポット径67aを調整する構造であった。他にも、絞り部69は絞り径を変更可能な構造にしても良い。他にも、発光部66と集光レンズ71との距離を調整可能な構造にしても良い。この構造でもスポット径67aを調整できる。
【0118】
第5実施形態
第1実施形態ではセンサーコントローラー55dの中にLED55e及びフォトトランジスター55fが収納されていた。LED55e及びフォトトランジスター55fは第1ケース63の中に収納されても良い。
【0119】
第6実施形態
第1実施形態ではマーカー部87は四角形であった。マーカー部87の形状は丸、楕円、多角形でも良い。マーカー部87の形状が上下左右対称でないとき、マーカー部87の重心をポケット53の位置としても良い。
【0120】
第7実施形態
第1実施形態ではトレイ24のポケット53の位置を第1センサー55が検出した。他にも、温度調整部21のポケット53を第1センサー55が検出しても良い。デバイス供給部22がポケット53を備えるときには、第1センサー55がデバイス供給部22のポケット53を検出しても良い。
【符号の説明】
【0121】
1…電子部品検査装置、2…電子部品搬送装置、13…電子部品としてのICデバイス、19…検査部、24…電子部品載置部としてのトレイ、24a…第1面としての上面、31…搬送部としての第1デバイス搬送ヘッド、53…ポケット、55a…集光部、61c…第1保持部としての第1保持ハンド、61d…第2保持部としての第2保持ハンド、62…集光部支持部としての支持部材、63…ケースとしての第1ケース、66…発光部、67…光、67a…スポット径、68…受光部、85…所定値としての判定幅、87…マーカー部、88…第2面としての斜面、94…第1中間位置、95…第1方向、96…第2方向、98…第1位置としての第3位置、99…第2位置としての第4位置、101…第2中間位置、104…マーカー部としての第1マーカー部、106…マーカー部としての第2マーカー部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14