【解決手段】所定の駐車経路Tpに沿った車両2の走行を支援する駐車支援装置5において、前記車両2の自車位置Psを算出する自車位置算出部26と、前記駐車経路Tpと前記自車位置Psとの差を用いて、前記車両2が辿る予測経路Tkを求め、当該予測経路Tkに基づいて、前記車両2と障害物との衝突の発生を予測する衝突予測部40と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る駐車支援システム1の構成を示す図である。
図2は自動駐車の説明図である。
駐車支援システム1は、
図2に示すように、駐車場3において、例えば運転者などの乗員によって開始指示が与えられた場合に、車両2を目標の駐車スペース4に運転者が運転操作せずとも自動的に駐車させることで運転者を支援する。かかる駐車支援システム1は、
図1に示すように、駐車支援装置5と、車両制御部6と、車両状態検知部8と、周辺検知部9と、周辺撮影部10と、HMIユニット11と、を備え、これらがCAN(Controller Area Network)などの車載ネットワークを介して、或いは、直接的に接続される。
【0010】
駐車支援装置5は、車両制御部6を制御することで自動駐車制御を実行する車載装置である。自動駐車制御は、運転者による操舵などの運転操作を伴うことなく車両2を自動で走行させ、目標駐車スペース4TGTに車両2を入庫し、当該車両2の駐車を完了するための制御である。
駐車支援装置5は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random access memory)などのメモリデバイス(主記憶装置とも呼ばれる)と、HDD(hard disk drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージ装置(補助記憶装置とも呼ばれる)と、センサ類や周辺機器などを接続するためのインターフェース回路と、車載ネットワークを介して他の車載機器と通信する車載ネットワーク通信回路と、を備えたコンピュータ(本実施形態では、ECU(Electric Control Unit))を有する。駐車支援装置5では、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することで、自動駐車制御のための各種の機能的構成が実現されている。駐車支援装置5の機能的構成については後述する。
【0011】
車両制御部6は、駐車支援装置5の制御信号に応じて、車両2を走行させるための制御を行うアクチュエータ7を有する。かかるアクチュエータ7は、スロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。
スロットルアクチュエータは、駐車支援装置5からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、車両2の駆動力を制御する。なお、車両がハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータに駐車支援装置5からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。車両2が電気自動車である場合には、スロットルアクチュエータの代わりに動力源としてのモータに駐車支援装置5からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、アクチュエータ7を構成する。
ブレーキアクチュエータは、駐車支援装置5からの制御信号に応じて、車両2に設けられたブレーキシステムを制御し、車両2の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば液圧ブレーキシステムを用いることができる。
操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を、駐車支援装置5からの制御信号に応じて制御する。
【0012】
車両状態検知部8は、車両2の走行に係るパラメータの物理量、又は当該物理量の変化量を検知し、検知結果を駐車支援装置5に出力する。パラメータは、少なくともデッドレコニング(自律航法)に要するパラメータを含み、駐車支援装置5が車両状態検知部8の検知結果に基づいて自身の車両2の位置(以下、「自車位置Ps」という)を算出可能になっている。
【0013】
本実施形態の車両状態検知部8は、かかるパラメータの検知のために、例えば、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサといった検知器を備える。
車速センサは、車両2の速度を検知する検知器である。車速センサとしては、例えば、自車両2の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフトなどに対して設けられ、車輪の回転速度を検知する車輪速センサが用いられる。加速度センサは、車両2の加速度を検知する検知器である。加速度センサは、例えば、車両2の前後方向の加速度を検知する前後加速度センサと、車両2の横加速度を検知する横加速度センサとを含んでいる。ヨーレートセンサは、車両2の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検知する検知器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。
これらのセンサに基づくデッドレコニングには、公知、又は周知の技術を用いることができる。
【0014】
周辺検知部9は、車両2の周辺に存在する障害物を検知し、障害物の検知結果を駐車支援装置5に出力する。障害物は、車両2の走行を妨げ得る物体である。例えば障害物は、縁石や輪止め、ガードレール、標識、建物、駐車中の他車両TA(
図2)などの静止物体、或いは、走行中の他車両や歩行者などの移動物体である。本実施形態では、障害物は駐車中の他車両TAであるものとして説明する。
【0015】
周辺検知部9は、障害物を検知するための手段として、測距センサ12を備える。
測距センサ12は、車両2と障害物との間の距離を計測するための検知器であり、超音波、電波又は光などの探索波を放射し、当該探索波が障害物によって反射されて返ってくる反射波を検出し、当該検出結果を駐車支援装置5に出力する。本実施形態では、測距センサ12にソナーが用いられる。なお、測距センサ12は、ミリ波レーダ、又はレーザレーダであってもよい。
【0016】
周辺撮影部10は、車両2の周辺を撮影し、当該撮影によって得られた周辺画像50を駐車支援装置5に出力するカメラ13を備える。
【0017】
車両2には、周辺検知部9の測距センサ12、及び周辺撮影部10のカメラ13が、車両2の全周囲(自車位置Psを中心とした360度の範囲)を検出、又は撮影可能な数だけ、その数に応じた適宜の位置に設けられている。
【0018】
HMIユニット11は、ユーザインタフェースとなる入力装置、及び出力装置を備える。出力装置は、各種情報を表示する表示装置、及び各種音声を出力するスピーカを備え、また入力装置は、乗員の指示を入力するための操作装置(例えばタッチパネルや操作子など)を備える。
【0019】
駐車支援装置5は、機能的構成として、
図1に示すように、車両状態検知結果取得部20と、周辺検知結果取得部22と、周辺画像取得部24と、自車位置算出部26と、障害物マップ生成部28と、駐車スペース検出部30と、目標駐車スペース決定部32と、駐車経路決定部34と、自動運転制御部36と、目標駐車位置補正部38と、衝突予測部40と、を備える。
【0020】
車両状態検知結果取得部20は車両状態検知部8から車両状態の検知結果を取得し、周辺検知結果取得部22は周辺検知部9から障害物の検知結果を取得し、周辺画像取得部24は周辺撮影部10から周辺画像50を取得する。また自車位置算出部26は、車両状態の検知結果に基づいて上述した自車位置Psを算出する。
障害物マップ生成部28は、障害物の検知結果に基づいて、障害物マップ52を生成する。
【0021】
図3は、周辺画像50、障害物マップ52、及び重畳マップ54のそれぞれの一例を示す模式図である。
障害物マップ52は、車両2の周辺における障害物の位置を示すデータである。本実施形態において、障害物マップ52は、
図3に示すように、測距センサ12が発した探索波が反射された地点(以下「反射点」という。)の位置Prを2次元直交座標系の第1座標平面60にマッピングして成る点群データである。この第1座標平面60の原点Oaは、障害物マップ52の生成開始タイミングにおける自車位置Psであり、またXa軸は同タイミングにおける車両2の前後方向(全長方向)、Ya軸は同タイミングにおける車両2の左右方向(車幅方向)である。
【0022】
障害物マップ52の生成について、より具体的には、障害物マップ生成部28は、周辺検知部9の検知結果を、周辺検知結果取得部22を通じて取得するごとに、当該検出結果に基づいて第2座標平面における反射点の位置Prを算出する。
第2座標平面は、周辺検知部9の検知タイミングにおける車両2の自車位置Psを原点とし、車両2の前後方向をX軸、車両2の左右方向をY軸とした直交2次元座標系である。障害物マップ生成部28は、公知、又は周知の適宜の手法を用いて、自車位置Psから反射点までの距離、及び自車位置Psからみた反射点の方向を検知結果に基づいて求めることで、第2座標平面における当該反射点の位置Prを算出する。
【0023】
そして障害物マップ生成部28は、第2座標平面と第1座標平面60の相対関係に用いて、第2座標平面における反射点の位置Prを、第1座標平面60における位置Prに変換することで、当該第1座標平面60における反射点の位置Prを求める。これにより、障害物マップ52において、
図2に示すように、障害物(図示例では他車両5)の表面(外形)が反射点の位置Prの集合によって描き出される。
【0024】
駐車スペース検出部30は、周辺画像50に基づいて、車両2の周辺の駐車スペース4を検出する。
より具体的には、駐車スペース検出部30は、周辺画像50に写っている駐車区画線62を画像認識によって抽出する。駐車区画線62は、駐車スペース4を区画するために地面に描かれた線である。駐車スペース検出部30は、車両2の上方の視点位置から当該車両2の周辺を俯瞰した俯瞰画像に周辺画像50を変換し、この周辺画像50が撮影されたときの自車位置Ps、及び車両2の姿勢(ヨーレート)に基づいて、俯瞰画像を障害物マップ52に重畳した重畳マップ54を生成する。そして駐車スペース検出部30は、重畳マップ54において駐車区画線62の位置を特定することで、第1座標平面60における駐車スペース4の位置を検出する。
なお、周辺画像50から俯瞰画像への変換には、公知、又は周知の視点変換処理を用いることができる。また
図3には、周辺画像50として俯瞰画像を示している。
【0025】
目標駐車スペース決定部32は、駐車スペース検出部30によって検出された駐車スペース4の中から、周辺の障害物と接触せずに駐車可能な駐車スペース4を障害物マップ52に基づいて抽出する。そして目標駐車スペース決定部32は、抽出した駐車スペース4の中から適宜の選択手法に基づいて、車両2を駐車させる目標駐車スペース4TGT(
図2)を決定する。なお、選択手法は、乗員が目標駐車スペース4TGTを選択する手法、及び、乗員の指示を要することなく自動で目標駐車スペース4TGTを選択する手法のいずれでもよい。
【0026】
駐車経路決定部34は、自車位置Psから目標駐車スペース4TGTに車両2が入庫するまでに走行する駐車経路Tp(
図2)を障害物マップ52に基づいて決定する。
自動運転制御部36は、車両2を運転者の運転操作を伴わずに自動で走行させ目標駐車スペース4TGTに入庫させるための自動運転制御(以下、「自動駐車制御」という)を駐車経路Tpに基づいて実行する。具体的には、自動運転制御部36は、車両制御部6を制御する制御信号を駐車経路Tpに基づいて生成し、当該制御信号を車両制御部6に送信する。車両制御部6が制御信号にしたがって車両2の走行のための制御を行うことで、車両2が自動で駐車経路Tpに沿って走行し、目標駐車スペース4TGTに自動で入庫する。
【0027】
目標駐車位置補正部38は、自動運転制御部36が自動駐車制御を実行している間、駐車スペース検出部30の検出結果に基づいて、目標駐車スペース4TGTの位置を補正する。
詳述すると、自動駐車制御が実行されている間、周辺撮影部10は、車両2の周辺の撮影を継続して周辺画像50を順次に出力し、駐車スペース検出部30は、これらの周辺画像50に基づいて駐車スペース4の検出を継続する。
自動駐車制御の実行中は、車両2が目標駐車スペース4TGTに徐々に近き、両者の距離が縮まるため、周辺画像50の画像認識に基づく目標駐車スペース4TGTの検出精度も漸次に高くなる。この結果、目標駐車スペース4TGTの位置が自動運転制御の開始当初の位置からずれる場合がある。
【0028】
そこで、目標駐車位置補正部38は、駐車スペース検出部30が順次に出力する検出結果に基づいて、目標駐車スペース4TGTの位置についての最新の値と、自動駐車制御の開始当初の値との差を、当該目標駐車スペース4TGTの位置の補正量(以下、目標位置補正量VAという)として順次に求める。本実施形態において、目標位置補正量VAは、目標駐車スペース4TGTの左右方向に生じた差であり、この左右方向は、当該目標駐車スペース4TGTに車両2が駐車したときの車幅方向(以下、「位置ずれ方向A」という)である。
【0029】
自動運転制御部36は、自動駐車制御を実行している間、目標駐車スペース4TGTの最新の位置に車両2を向かわせるために、車両制御部6に送信する制御信号を目標位置補正量VAに基づいて補正し、補正後の制御信号を車両制御部6に送信する。そして、補正後の制御信号にしたがって車両制御部6が車両2を走行させることで、
図4に示すように、車両2が当初の駐車経路Tpから徐々に外れ、目標位置補正量VAだけずれた位置にある目標駐車スペース4TGTに向かうようになる。
なお、目標駐車スペース4TGTへの車両2の到達が困難、又は不可能なほどに目標位置補正量VAが大きい場合、自動運転制御部36は、車両2を停車させる制御信号を車両制御部6に出力し、自動駐車制御を中止してもよい。
【0030】
衝突予測部40は、自動駐車制御が実行されている間、車両2と障害物との衝突発生を予測する。具体的には、衝突予測部40は、かかる予測を、駐車経路Tpではなく、目標駐車スペース4TGTの入庫までに車両2が辿ると予測される予測経路Tkを用いて行う。すなわち、衝突予測部40は、自動駐車制御が実行されている間、最新の予測経路Tkを繰り返し求め、当該予測経路Tkと、最新の障害物マップ52と、に基づいて、衝突発生を予測する。なお、予測経路Tk等の詳細は後述する。
【0031】
図5は、駐車支援装置5による駐車支援処理を示す図である。
この駐車支援処理は、車両2が駐車場3を走行している場合に実行される。すなわち、駐車支援装置5は、駐車場3への入場を、例えば、車両2が備えるナビゲーション装置や、駐車場3が備える設備(例えば管理装置など)が発する信号の受信などに基づいて検知すると、
図5に示すように、障害物マップ生成処理70、駐車スペース検出処理72、及び、駐車支援制御処理74のそれぞれを開始する。これら障害物マップ生成処理70、駐車スペース検出処理72、及び、駐車支援制御処理74は、互いに同期して、又は非同期に行われる。
【0032】
障害物マップ生成処理70では、障害物マップ生成部28が障害物の検知結果に基づいて障害物マップ52を生成する(ステップSa1)。その後、障害物マップ生成部28は、所定時間ごとに当該障害物マップ52の更新を繰り返す(ステップSa2)。
一方、駐車スペース検出処理72では、駐車スペース検出部30が周辺画像50に基づいて駐車スペース4の位置を検出する(ステップSb1)。その後、駐車スペース検出部30は、所定時間ごとに当該駐車スペース4の位置の更新を繰り返す(ステップSb2)。
これら障害物マップ52の更新、及び駐車スペース4の位置の更新は、例えば車両2が駐車場3から退場するなどの適宜のタイミングまで継続される。
【0033】
駐車支援制御処理74では、目標駐車スペース決定部32が、駐車スペース4の中から目標駐車スペース4TGTを例えばユーザ操作等にしたがって決定すると(ステップSc1:Yes)、駐車経路決定部34が障害物マップ52と目標駐車スペース4TGTの位置とに基づいて、駐車経路Tpを決定する(ステップSc2)。次いで、自動運転制御部36が駐車経路Tpに基づいて制御信号を生成し、当該制御信号を車両制御部6に出力する(ステップSc3)。これにより、自動駐車制御が開始され、車両2が駐車経路Tpに沿って走行し始める。
【0034】
そして自動運転制御部36は、車両2が目標駐車スペース4TGTに入庫するまで(ステップSc4:Yes)、すなわち、駐車経路Tpの終点まで自動駐車制御が行われるまで、制御信号を車両制御部6に適宜に出力する。
【0035】
一方、自動駐車制御の開始から終了までの期間Tの間、駐車支援装置5は、目標駐車位置補正処理76、及び、衝突予測処理78のそれぞれを実行する。これら目標駐車位置補正処理76、及び、衝突予測処理78は、互いに同期して、又は非同期に行われる。
【0036】
目標駐車位置補正処理76では、目標駐車位置補正部38が、駐車スペース検出部30の検出結果に基づいて目標位置補正量VAを求め(ステップSd1)、自動運転制御部36が、車両制御部6に出力する制御信号を、当該目標位置補正量VAに基づいて補正する(ステップSd2)。これらステップSd1、及びステップSd2の一連の処理は、所定時間ごとに繰り返し実行される。補正後の制御信号は、自動駐車制御処理のステップSc3において、自動運転制御部36によって車両制御部6に出力される。そして、車両制御部6が当該制御信号にしたがって車両2を走行させることで、前掲
図4に示すように、駐車経路Tpにかかわらず、目標位置補正量VAだけズレた位置にある目標駐車スペース4TGTに向かって車両2が自動で走行し、当該目標駐車スペース4TGTに入庫するようになる。
【0037】
一方、衝突予測処理78では、衝突予測部40が、上述した予測経路Tkを求め(ステップSe1)、当該予測経路Tkと、最新の障害物マップ52とに基づいて、車両2と障害物との衝突が発生するか否かを判定する(ステップSe2)。
これらステップSe1、及びステップSe2の処理について、
図6、及び
図7を参照して更に説明する。
【0038】
図6は駐車経路Tpの一例を示す模式図であり、
図7は予測経路Tkの説明図である。
ステップSe1において、衝突予測部40は、予測経路Tkを求めるために、先ず、自車位置算出部26から自車位置Psを取得し、駐車経路Tpにおける予定位置Ppからの自車位置Psのずれの大きさ、及びずれの方向を示すベクトル(以下、「経路ずれベクトルVB」という)を求める。
予定位置Ppは、目標駐車スペース4TGTの目標位置補正量VAが常にゼロであり、車両2が駐車経路Tp上を走行していると仮定したときの車両2の位置である。本実施形態では、駐車経路Tpは、
図6に示すように、多数のノードNによって表されており、衝突予測部40は、これらのノードNの中から現時点での車両2の予定位置Ppに対応するノードNtを特定する。そして、衝突予測部40は、当該ノードNtと自車位置Psに基づいて経路ずれベクトルVBを求める。なお、駐車経路Tpの各ノードNと自車位置Psは、上記第1座標平面60の座標値によって位置が規定されており、経路ずれベクトルVBは、ノードNtと自車位置Psの各々の座標値に基づいて求められる。
【0039】
次いで、衝突予測部40は、
図7に示すように、駐車経路Tpを構成する全てのノードN(すなわち、駐車完了に至るまでの経路)を経路ずれベクトルVBの大きさ、及び方向にシフトさせることで予測経路Tkを求める。これにより、その時点における経路ずれベクトルVBによって駐車経路Tpが補正され、車両2が入庫までに辿る可能性が高い経路が予測経路Tkとして求められる。
【0040】
図8は、衝突発生予測の説明図である。
ステップSe2において、衝突予測部40は、衝突発生を予測するために、先ず、
図8に示すように、予測経路Tkに沿って車両2が走行したときに通過する通過領域Rpを障害物マップ52に重畳する。そして衝突予測部40は、通過領域Rpに障害物(いずれかの反射点の位置Pr)が存在する場合、車両2と障害物との衝突が発生すると予測する(衝突発生の確実性が高いと判断する)。例えば
図8では、矢印Xで示した箇所において、車両2と障害物(他車両TA)との衝突が発生すると衝突予測部40によって予測される。
【0041】
前掲
図5に示すように、衝突予測処理78において、衝突発生が発生すると判定された場合(ステップSe3:Yes)、自動運転制御部36が車両2を停車させる制御信号を車両制御部6に出力する(ステップSe4)。これにより、衝突発生前に車両2が停車し、衝突発生が速やかに回避されることとなる。
【0042】
上述した実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0043】
本実施形態の駐車支援装置5は、車両2が自動で走行している間、駐車経路Tpと自車位置Psとの差を示す経路ずれベクトルVBに基づいて、入庫までに車両2が辿る予測経路Tkを求め、当該予測経路Tkに基づいて、車両2と障害物との衝突の発生を予測する衝突予測部40を備える。
この構成によれば、衝突予測部40は、駐車経路Tpではなく、車両2が辿る可能性が高い予測経路Tkに基づいて、当該車両2と障害物との衝突発生を予測する。したがって、車両2が駐車経路Tpから外れて走行した場合でも、衝突予測を適切に実行させ、より的確に衝突発生を予測することができる。
【0044】
本実施形態の駐車支援装置5において、衝突予測部40は、経路ずれベクトルVBが示す大きさ、及び方向に駐車経路Tpをオフセットして予測経路Tkを求める。
これにより、予測経路Tkの算出時点において、入庫までに車両2が辿る可能性が高い経路が簡単、かつ精度よく求められる。
【0045】
本実施形態の駐車支援装置5において、衝突予測部40は、自動駐車制御が実行されている間、予測経路Tkの算出と、当該予測経路Tkに基づく衝突発生の予測とを繰り返し実行する。
これにより、目標駐車スペース4TGTの位置ずれが目標駐車位置補正部38によって何度も補正される等して車両2が不規則な経路を辿る場合でも、予測経路Tkの精度を維持し、衝突発生を的確に予測することができる。
【0046】
本実施形態の駐車支援装置5において、障害物マップ生成部28は、自動駐車制御が実行されている間、障害物の位置を示す障害物マップ52の更新を繰り返し、衝突予測部40は、最新の障害物マップ52に基づいて衝突の発生を予測する。
障害物マップ52の更新が繰り返されることで、障害物の位置の精度が漸次高められる。また、衝突予測部40が最新の障害物マップ52に基づいて衝突の発生を予測することで、より精度よく衝突発生を予測することができる。
【0047】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
【0048】
上述した実施形態において、駐車支援システム1、及び駐車支援装置5は、車両2が目標駐車スペース4TGTへ入庫する際の走行に限らず、車両2が駐車スペース4から出庫する際の走行を支援することもできる。この場合、目標駐車スペース4TGTの位置に代えて、出庫完了の位置や、出庫完了までの間に進行方向の変更のために停車等を行う位置(いわゆる、切り返し位置)などが用いられる。
車両2が出庫する際の走行を駐車支援システム1、及び駐車支援装置5が支援することで、車両2と、当該車両2の周辺(隣など)に駐車している他の車両などの障害物との衝突予測を的確に行うことができる。
【0049】
上述した実施形態において、
図1に示す機能ブロックは、本願発明を理解容易にするために、駐車支援システム1、及び駐車支援装置5の構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、当該構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0050】
上述した実施形態において、水平、及び垂直等の方向、各種の数値、及び形状に係る記載は、特段の断りがない限り、その方向の周辺、その数値の周辺、及び近似の形状を除外するものではない。すなわち、これらの方向、数値、及び形状と同じ作用効果を奏する限りにおいて、実施形態における方向、数値、及び形状は、その方向の周辺、その数値の周辺、及び近似の形状(いわゆる、均等の範囲)を含む。