【解決手段】電子機器100は、少なくとも上板111、下板112、および側面113aを有して構成される筐体102と、ミリ波帯の電波に対応する電波送受信部12がその一面を構成する少なくとも1つの板状のアンテナ10と、ミリ波帯の電波を反射する反射面40eを有する主部40Aaを備えた導電性の反射部材40と、を備える。アンテナ10は、平面視において上板111の外周縁111dを含む外周縁領域に、電波送受信部12が上板111と対向して設置される。反射部材40は、平面視において反射部材40と側面113aとでアンテナ10を挟むように配置される。少なくとも側面113aは前記電波が透過する。反射面40eは、アンテナ10に向けられている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[電子機器](第1実施形態)
実施形態に係る電子機器について説明する。
図1は、第1実施形態に係る電子機器100の斜視図である。
図2は、電子機器100の第2筐体102の平面図である。
図3は、電子機器100の内部構造を示す斜視図である。
図4は、電子機器100の内部構造を示す断面図である。
図4は、
図2におけるI−Iに沿う一部断面図である。
図5は、電子機器100の内部構造を示す斜視図である。
図6は、電子機器100の内部構造を示す断面図である。
図6は、
図2におけるII−IIに沿う一部断面図である。
【0016】
図1に示すように、電子機器100は、第1筐体101と、第2筐体102(筐体)と、第1〜第3アンテナ10,20,30と、一対の反射部材40,40と、を備える。電子機器100は、例えば、ノートPC(PC:パーソナルコンピュータ)である。
【0017】
第1筐体101と第2筐体102とは、端部どうしがヒンジ機構110を介して連結されている。第1筐体101は、第2筐体102に対して、ヒンジ機構110がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。
【0018】
第1筐体101は、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。第2筐体102は、システム筐体とも呼ばれる。第1筐体101および第2筐体102は、矩形板状に形成されている。第1筐体101および第2筐体102の端部のうち、ヒンジ機構110が設けられた端部を、それぞれ第1基端部101bおよび第2基端部102bと呼ぶ。第1基端部101bおよび第2基端部102bとは反対側の端部を、それぞれ第1開放端部101aおよび第2開放端部102aと呼ぶ。
【0019】
第2筐体102において、第2基端部102bから第2開放端部102aに向かう方向を「前方」と呼ぶ。前方と反対の方向を「後方」と呼ぶ。前方および後方を「前後方向」と総称する。
図2における左方および右方を、それぞれ「左方」および「右方」と呼ぶ。左方および右方を「左右方向」と総称する。
【0020】
第2筐体102については、XYZ直交座標系を用いて各構成の位置関係を説明することがある。X方向は、前後方向である。+X方向は前方である。−X方向は後方である。Y方向は、X方向と直交する左右方向である。+Y方向は右方である。−Y方向は左方である。第2基端部102bはY方向に延在する。Z方向は、第2筐体102の厚さ方向であって、X方向およびY方向に直交する方向である。+Z方向は上方である。−Z方向は下方である。Z方向は上下方向である。Z方向は高さ方向である。Z方向(上下方向)から見ることを平面視という。
【0021】
第1筐体101は、ディスプレイ103を搭載している。ディスプレイ103は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(EL:Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。
【0022】
第2筐体102は、上板111(第1主板)と、下板112(第2主板)と、一対の側板113,113と、前板114と、後板115とを備える。第2筐体102は、平板状のケース体である。第2筐体102は、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの金属で構成される。
【0023】
上板111は、XY平面に沿う。上板111は、下板112に対して間隔をおいて下板112に向かい合っている。上板111は、平面視において矩形状とされている。
下板112は、第2筐体102を載置面(デスクの上面など)に置いたときに、その載置面に対面する。下板112は、平面視において矩形状とされている。
【0024】
図3および
図4に示すように、一対の側板113のうち一方の側板113(第1側板113A)は、上板111の左の側縁111bから、下板112の左の側縁112bにかけて形成されている。第1側板113Aの外面を第1側面113a(側面)という。
【0025】
第1側板113Aには、第1アンテナ10に対応する位置に、第1窓部113cが形成されている。第1窓部113cは、第1側板113Aを厚さ方向に貫通して形成されている。第1窓部113cは、矩形状(例えば、長方形状)とされている。第1窓部113cは左右方向(Y方向)から見て第1アンテナ10の第1主面10aを包含するように形成されている。
【0026】
図5および
図6に示すように、一対の側板113のうち他方の側板113(第2側板113B)は、上板111の右の側縁111bから、下板112の右の側縁112bにかけて形成されている。第2側板113Bの外面を第2側面113b(側面)という。
【0027】
第2側板113Bには、第2アンテナ20に対応する位置に、第2窓部113dが形成されている。第2窓部113dは、第2側板113Bを厚さ方向に貫通して形成されている。第2窓部113dは、矩形状(例えば、長方形状)とされている。第2窓部113dは左右方向(Y方向)から見て第2アンテナ20の第1主面20aを包含するように形成されている。
【0028】
第1窓部113c(
図3参照)には、電波透過部118A(
図4参照)が設けられている。第2窓部113d(
図5参照)には、電波透過部118B(
図6参照)が設けられている。電波透過部118A,118Bは、板状であり、電波が透過可能とされている。電波透過部118A,118Bは、窓部113c,113dを閉止する。電波透過部118A,118Bを設けることによって、窓部113c,113dを通して第2筐体102内に異物が入るのを防ぐことができる。
【0029】
電波透過部118Aは第1側板113Aに含まれる。電波透過部118Aの外面は第1側面113aに含まれる。第1側面113aの少なくとも一部は電波が透過可能である。電波透過部118Bは第2側板113Bに含まれる。電波透過部118Bの外面は第2側面113bに含まれる。第2側面113bの少なくとも一部は電波が透過可能である。なお、
図3および
図5には、電波透過部118A,118Bは図示されていない。第1側板113Aは、全体が電波透過部118Aで構成されていてもよい。第2側板113Bは、全体が電波透過部118Bで構成されていてもよい。
【0030】
電波透過部118A,118Bは、電波が透過可能な材料で構成される。電波が透過可能な材料としては、樹脂、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などが挙げられる。電波が透過可能な材料は、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維に樹脂を含浸させて得られた繊維強化樹脂が好ましい。電波が透過可能な材料は、例えば、絶縁性材料である。
【0031】
図1に示すように、前板114は、上板111の前端から下板112の前端にかけて形成されている。後板115は、上板111の後端から下板112の後端にかけて形成されている。
【0032】
第2筐体102は、キーボード107およびタッチパッド108を搭載する。キーボード107およびタッチパッド108は、入力デバイスである。
【0033】
図2に示すように、平面視において、上板111の外周縁111dを含む矩形枠状の領域を外周縁領域117という。外周縁領域117は、前辺領域117Aと、一対の側辺領域117B,117Bと、後辺領域117Cとで構成される。
前辺領域117Aは、上板111の前縁111aを含む直線状の帯状領域である。前辺領域117Aは、上板111の左右方向の全長にわたる領域、すなわち、上板111の一方の側縁111bから他方の側縁111bにわたってY方向に延在する領域である。
【0034】
側辺領域117B,117Bは、それぞれ上板111の側縁111b,111bを含む直線状の帯状領域である。側辺領域117B,117Bは、上板111の前後方向の全長にわたる領域、すなわち、前縁111aから後縁111cにわたってX方向に延在する領域である。側辺領域117B,117Bは、前辺領域117Aの両端からそれぞれ後方に延出する。側辺領域117Bの幅W1は、例えば、キーボード107の側縁107bと、これに対向する側縁111bとの距離と同じ、またはこの距離より小さい。
【0035】
後辺領域117Cは、上板111の後縁111cを含む直線状の帯状領域である。後辺領域117Cは、上板111の左右方向の全長にわたる。後辺領域117Cは、一方の側辺領域117Bの後端から,他方の側辺領域117Bの後端にかけてY方向に延在する。
【0036】
外周縁領域117は、例えば、平面視においてキーボード107を含まない領域である。前辺領域117Aの幅と、側辺領域117B,117Bの幅と、後辺領域117Cの幅とは互いに等しい。
【0037】
第2筐体102内には、回路基板、中央処理装置、メモリ、バッテリなどの電子部品が設けられている。これらの電子部品のうち少なくとも一部は、平面視において外周縁領域117(
図2参照)よりも内方に位置する。
【0038】
図3および
図4に示すように、第1アンテナ10は、無線通信用のアンテナである。
図2に示すように、第1アンテナ10は、第2筐体102内であって、平面視において外周縁領域117に包含される位置に設けられる。詳しくは、第1アンテナ10は、側辺領域117Bに包含される位置に設けられる。第1アンテナ10は、平面視において外周縁領域117に包含される位置に設けられることによって、第2筐体102の外周縁に近い位置に配置される。そのため、外部からの電波は第1アンテナ10に減衰せずに到達しやすい。また、第1アンテナ10から放射された電波は減衰せずに外部に放射されやすくなる。よって、第1アンテナ10の送受信特性(送信と受信のうち少なくとも一方の特性)は高められる。
【0039】
図3および
図4に示すように、第1アンテナ10は、全体として矩形板状(例えば、長方形の板状)に形成されている。第1アンテナ10は、長さ方向を前後方向に向けて設置されている。
【0040】
第1アンテナ10は、本体部11と、電波送受信部12とを備える。本体部11は、例えば、RF回路等を有する基板を備える。本体部11は、矩形板状(例えば、長方形の板状)とされている。
【0041】
電波送受信部12は、例えば、1または複数のアンテナ素子を備える。このアンテナ素子は、ミリ波帯の電波に対応する。すなわち、このアンテナ素子は、ミリ波帯の電波について送信と受信のうち少なくとも一方が可能である。ミリ波帯の電波とは、例えば、24GHz〜100GHzの周波数帯の電波である。電波送受信部12は、板状の本体部11の一方の面(第1主面11a。
図4参照)に設けられている。そのため、電波送受信部12は、第1アンテナ10の一面(第1主面10a。
図4において上面)の少なくとも一部を構成する。
【0042】
第1アンテナ10は、第1主面10aが上板111と対向するように設置される。これにより、第1アンテナ10は、電波送受信部12が上板111と対向する姿勢で設置される。第1アンテナ10は、例えば、上板111と平行(または略平行)な姿勢をとる。第2筐体102が水平な載置面に載置されている場合、上板111は水平となり、第1アンテナ10も水平な姿勢となる。なお、第1主面10aは上板111と平行であることが望ましいが、例えば、上板111に対して0°を越え、45°未満の角度で傾斜していてもよい。
【0043】
一対の反射部材40,40のうち一方の反射部材40である第1反射部材40Aは、矩形板状(例えば、長方形の板状)に形成されている。第1反射部材40Aは、その全体が主部40Aaである。第1反射部材40Aは、長さ方向を前後方向に向けて設置されている。
【0044】
第1反射部材40Aの上縁40aは上板111に達している。第1反射部材40Aの下縁40bは下板112に達している。第1反射部材40Aは、上縁40aおよび下縁40bにおいて上板111および下板112に伝熱可能に接触している。そのため、第1反射部材40Aの熱を上板111および下板112に伝えることができる。したがって、第1反射部材40Aの温度上昇を抑制できる。
第1反射部材40Aは、上縁40aおよび下縁40bにおいて上板111と下板112のうち少なくとも一方に固定されていてもよい。
【0045】
第1反射部材40Aは、上板111に交差する方向、例えば、上板111に垂直な面(XZ平面)に沿って形成されている。
第1反射部材40Aは、第1アンテナ10に対して第2筐体102の内方の位置(第1アンテナ10に対して右方の位置)に設けられている。第1反射部材40Aは、第1アンテナ10に対向する位置にある。第1反射部材40Aは、一方の面(反射面40e)が第1アンテナ10に向けられている。第1反射部材40Aは、平面視において側辺領域117B(
図2参照)に包含される位置にあることが好ましい。
【0046】
なお、第1反射部材40Aの姿勢は、反射面40eが第1アンテナ10に向けられていれば、上板111に垂直な姿勢に限らない。第1反射部材40Aは、例えば、反射面40eが上板111に対して45°を越え、90°未満の角度で傾斜する姿勢であってもよい。よって、第1反射部材40Aは、例えば、反射面40eが上板111に対して45°を越え、90°以下となる姿勢をとる。
【0047】
第1反射部材40Aは、第1アンテナ10に対して離れて設けられていてもよいし、第1アンテナ10と接していてもよい。本実施形態では、第1反射部材40Aは第1アンテナ10に対して離れて設置されている。
【0048】
第1反射部材40Aは、左右方向(Y方向)から見て第1アンテナ10の第1主面10aをカバーするように設置される。第1反射部材40Aの上縁40aは第1主面10aに比べて高い位置にある。第1反射部材40Aの下縁40bは第1主面10aに比べて低い位置にある。第1反射部材40Aの前縁40cは第1主面10aの前縁と比べて前方寄りの位置にある。第1反射部材40Aの後縁40dは第1主面10aの後縁と比べて後方寄りの位置にある。そのため、第1反射部材40Aは、左右方向(Y方向)から見て第1主面10aを包含するように配置されている。
【0049】
第1反射部材40Aは、左右方向(Y方向)から見て第1アンテナ10の第1主面10aをカバーする位置にあるため、第1反射部材40Aと第1側面113aとで第1アンテナ10を挟むように配置されているといえる。
「第1反射部材40Aと第1側面113aとで第1アンテナ10を挟むように配置されている」とは、第1反射部材40Aの少なくとも一部と第1側面113aの少なくとも一部とが、第1アンテナ10を間において、Y方向から見て重なる位置にあることを意味する。
【0050】
反射部材40は、導電性を有する。反射部材40は、少なくとも反射面40eが導電性材料で構成されている。導電性材料としては、金属、カーボン材等がある。反射部材40を構成する金属としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、これらの合金などが挙げられる。反射部材40の構成材料として金属を用いると、反射部材40における電波の反射特性を高めることができる。反射部材40は、非導電材料(樹脂、ガラス等)で構成された本体と、本体の少なくとも1つの面(反射面)に形成された金属層とを備えた構造であってもよい。
【0051】
電子機器100に対して側方(左方)から放射された電波の一部は、第1側板113Aの第1窓部113cを通って第2筐体102内に入り、第1アンテナ10の電波送受信部12に受信される。第1アンテナ10を通り過ぎた電波の一部は第1反射部材40Aに達して反射面40eで反射する。反射面40eで反射した電波は左方に向かい、その一部は第1アンテナ10の電波送受信部12に受信される。
【0052】
第1アンテナ10の電波送受信部12が放射した電波の一部は左方に向かい、直接、第1窓部113cを通って外部に放射される。電波の他の一部は右方に向かい、第1反射部材40Aの反射面40eで反射する。反射面40eで反射した電波は左方に向かい、第1窓部113cを通って外部に放射される。
【0053】
図5および
図6に示すように、第2アンテナ20は、無線通信用のアンテナである。第2アンテナ20は、第1アンテナ10(
図3および
図4参照)と同様の構成を有する。
図2に示すように、第2アンテナ20は、第2筐体102内であって、平面視において外周縁領域117に包含される位置に設けられる。詳しくは、第2アンテナ20は、側辺領域117Bに包含される位置に設けられる。第2アンテナ20は、第1アンテナ10と同様に、平面視において外周縁領域117に包含される位置に設けられることによって、送受信特性が高められる。
【0054】
図5および
図6に示すように、第2アンテナ20の電波送受信部12は、第2アンテナ20の一面(第1主面20a。
図6において上面)の少なくとも一部を構成する。
【0055】
第2アンテナ20は、第1主面20aが上板111と対向するように設置される。これにより、第2アンテナ20は、電波送受信部12が上板111と対向する姿勢で設置される。第2アンテナ20は、例えば、上板111と平行(または略平行)な姿勢をとる。第2筐体102が水平な載置面に載置されている場合、上板111は水平となり、第2アンテナ20も水平な姿勢となる。なお、第1主面20aは上板111と平行であることが望ましいが、例えば、上板111に対して0°を越え、45°未満の角度で傾斜していてもよい。
【0056】
一対の反射部材40,40のうち他方の反射部材40である第2反射部材40Bは、矩形板状(例えば、長方形の板状)に形成されている。第2反射部材40Bは、その全体が主部40Baである。第2反射部材40Bは、第1反射部材40Aと同様の構成を有する。
第2反射部材40Bの上縁40aは上板111に達している。第2反射部材40Bの下縁40bは下板112に達している。第2反射部材40Bは、上縁40aおよび下縁40bにおいて上板111および下板112に伝熱可能に接触している。第2反射部材40Bは、上縁40aおよび下縁40bにおいて上板111と下板112のうち少なくとも一方に固定されていてもよい。
【0057】
第2反射部材40Bは、上板111に交差する方向、例えば、上板111に垂直な面(XZ平面)に沿って形成されている。
第2反射部材40Bは、第2アンテナ20に対して第2筐体102の内方の位置(第2アンテナ20に対して左方の位置)に設けられている。第2反射部材40Bは、第2アンテナ20に対向する位置にある。第2反射部材40Bは、一方の面(反射面40e)が第2アンテナ20に向けられている。第2反射部材40Bは、平面視において側辺領域117B(
図2参照)に包含される位置にあることが好ましい。
【0058】
なお、第2反射部材40Bの姿勢は、反射面40eが第2アンテナ20に向けられていれば、上板111に垂直な姿勢に限らない。第2反射部材40Bは、例えば、反射面40eが上板111に対して45°を越え、90°未満の角度で傾斜する姿勢であってもよい。よって、第2反射部材40Bは、例えば、反射面40eが上板111に対して45°を越え、90°以下となる姿勢をとる。
【0059】
第2反射部材40Bは、第2アンテナ20に対して離れて設けられていてもよいし、第2アンテナ20と接していてもよい。本実施形態では、第2反射部材40Bは第2アンテナ20に対して離れて設置されている。
【0060】
第2反射部材40Bは、左右方向(Y方向)から見て第2アンテナ20の第1主面20aをカバーするように設置される。第2反射部材40Bの上縁40aは第1主面20aに比べて高い位置にある。第2反射部材40Bの下縁40bは第1主面20aに比べて低い位置にある。第2反射部材40Bの前縁40cは第1主面20aの前縁と比べて前方寄りの位置にある。第2反射部材40Bの後縁40dは第1主面20aの後縁と比べて後方寄りの位置にある。そのため、第2反射部材40Bは、左右方向(Y方向)から見て第1主面20aを包含するように配置されている。
【0061】
第2反射部材40Bは、左右方向(Y方向)から見て第2アンテナ20の第1主面20aをカバーする位置にあるため、第2反射部材40Bと第2側面113bとで第2アンテナ20を挟むように配置されているといえる。
「第2反射部材40Bと第2側面113bとで第2アンテナ20を挟むように配置されている」とは、第2反射部材40Bの少なくとも一部と第2側面113bの少なくとも一部とが、第2アンテナ20を間において、Y方向から見て重なる位置にあることを意味する。
【0062】
電子機器100に対して側方(右方)から放射された電波の一部は、第2側板113Bの第2窓部113dを通って第2筐体102内に入り、第2アンテナ20の電波送受信部12に受信される。第2アンテナ20を通り過ぎた電波の一部は第2反射部材40Bに達して反射面40eで反射する。反射面40eで反射した電波は右方に向かい、その一部は第2アンテナ20の電波送受信部12に受信される。
【0063】
第2アンテナ20の電波送受信部12が放射した電波の一部は右方に向かい、直接、第2窓部113dを通って外部に放射される。電波の他の一部は左方に向かい、第2反射部材40Bの反射面40eで反射する。反射面40eで反射した電波は右方に向かい、第2窓部113dを通って外部に放射される。
【0064】
図1および
図2に示すように、第3アンテナ30は、無線通信用のアンテナである。第3アンテナ30は、第1アンテナ10(
図3および
図4参照)と同様の構成を有する。
図2に示すように、第3アンテナ30は、第2筐体102内であって、平面視において前辺領域117Aに包含される位置に設けられる。
【0065】
第3アンテナ30の電波送受信部12は、第3アンテナ30の一面(第1主面30a)の少なくとも一部を構成する。
第3アンテナ30は、第1主面30aが上板111と対向するように設置される。上板111は、第3アンテナ30が対向する領域が、電波が透過可能な電波透過部(図示略)とされている。電波透過部は、電波が透過可能な材料、例えば合成樹脂などで構成される。
【0066】
電子機器100に対して上方から放射された電波の一部は、電波透過部を通って第3アンテナ30に受信される。第3アンテナ30が放射した電波の一部は電波透過部を通って外部に放射される。
【0067】
本実施形態の電子機器100によれば、第1反射部材40Aは、平面視において第1反射部材40Aと側面113aとの間に第1アンテナ10が配置されるように設置される。第2反射部材40Bは、平面視において第2反射部材40Bと側面113bとの間に第2アンテナ20が配置されるように設置される。反射部材40A,40Bは、反射面40e,40eがそれぞれアンテナ10,20に向けられて設置される。そのため、側方から第2筐体102に入った電波の一部は、アンテナ10,20をいったん通り過ぎても、反射部材40で反射して戻り、アンテナ10,20に受信される。アンテナ10,20から放射された電波の一部は、第2筐体102の内方に向かうが、この電波は反射部材40で反射して外方に向けられ、外部に放射される。よって、アンテナ10,20の送受信特性(例えば、指向性)を高めることができる。
【0068】
電子機器100では、アンテナ10,20は、電波送受信部12が上板111と対向して設置されるため、アンテナ10,20の姿勢、実装位置等に関する設計の自由度を高めることができる。例えば、アンテナ10,20は、上板111に沿う姿勢をとることができるため、第2筐体102の内部空間の高さ寸法が小さい箇所にも設置できる。よって、第2筐体102の薄型化を実現できる。
【0069】
図7は、電子機器100におけるアンテナ10の電波の放射パターンの例を示す図である。
図7に示すように、電子機器100の第1アンテナ10は、側方(
図7における左方。すなわち−Y方向)への指向性が高い。
【0070】
電子機器100の作用効果を明確にするため、比較形態の電子機器を例示する。
図8は、第1比較形態に係る電子機器200の内部構造を示す断面図である。
図8に示すように、電子機器200では、アンテナ210は、電波送受信部12を外方に向けた縦置き姿勢とされている。反射部材は設けられていない。
図9は、電子機器200におけるアンテナ210の電波の放射強度の例を示す図である。
図9に示すように、アンテナ210は、側方への指向性が高い。しかし、電子機器200は、アンテナ210が縦置き姿勢とされているため、設計の自由度の点では劣る。
【0071】
図10は、第2比較形態に係る電子機器300の内部構造を示す断面図である。
図10に示すように、電子機器300では、反射部材が設けられていないこと以外は
図4に示す電子機器100と同様の構成である。
図11は、電子機器300におけるアンテナ310の電波の放射パターンの例を示す図である。
図11に示すように、電子機器300のアンテナ310は、指向性が低い。
【0072】
図7、
図9および
図11の比較より、
図7に示す実施形態の電子機器100は、アンテナの指向性が高く、かつ設計の自由度を高めることができることがわかる。
【0073】
電子機器100では、反射部材40が設けられているため、第2筐体102に搭載される電子部品(中央処理装置等)からアンテナ10,20への電磁的影響を抑制することができる。よって、アンテナ10,20におけるノイズを低くし、送受信特性を高めることができる。
【0074】
電子機器100では、反射部材40が設けられているため、第1アンテナ10と第2アンテナ20との間の電磁的影響を抑制することができる。電子機器100では、反射部材40が設けられているため、第2筐体102内の電子部品に対する他の電子機器からの電磁的影響を抑制することができる。
【0075】
[電子機器](第2実施形態の第1の例)
図12は、第2実施形態の第1の例に係る電子機器400の内部構造を示す断面図である。他の実施形態の電子機器との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0076】
電子機器400は、第2筐体402の上板411の少なくとも一部は電波透過部120となっている。電波透過部120は、上板411の側縁411bを含む領域に形成されている。電波透過部120は、例えば、電波が透過可能な材料(前述)で構成される。電波透過部120は、平面視においてアンテナ10の電波送受信部12の全体を包含する。
第2筐体402は、金属などの導電性材料で構成される。
【0077】
第2筐体402の側板413の少なくとも一部は、電波透過部121となっている。電波透過部121は、アンテナ10に対応する位置に形成されている。電波透過部121は、電波が透過可能な材料、例えば合成樹脂などで構成される。
【0078】
アンテナ10の電波送受信部12は、電波透過部120に対向して配置されている。
反射部材440は、主部440aと、遮蔽部440bとを備える。主部440aは、
図4に示す主部40Aaと同様に、矩形板状に形成されている。主部440aは、上板411に交差する方向、例えば、上板411に垂直な面(XZ平面)に沿って形成されている。
【0079】
遮蔽部440bは、板状(例えば、矩形板状)に形成されている。遮蔽部440bは、主部440aの上縁から、アンテナ10と電波透過部120との間に、側板413に向けて延出する。遮蔽部440bは、例えば、上板411と平行である。
遮蔽部440bは、平面視においてアンテナ10の電波送受信部12の少なくとも一部に重なる。この例では、遮蔽部440bは、平面視においてアンテナ10の電波送受信部12のほぼ全体を包含する。遮蔽部440bの先端440b1は、電波送受信部12の外側縁12aに比べて左方寄りに位置する。
反射部材440は、導電性とされている。反射部材440は、金属などの導電性材料(前述)で構成されている。
【0080】
図13は、電子機器400におけるアンテナ10の電波の放射パターンの例を示す図である。
図13に示すように、電子機器400のアンテナ10は、概略、側方(−Y方向)の指向性を有する。
【0081】
[電子機器](第2実施形態の第2の例)
図14は、第2実施形態の第2の例に係る電子機器500の内部構造を示す断面図である。
電子機器500では、反射部材540は、主部440aと、遮蔽部540bとを備える。遮蔽部540bは、第1の例における遮蔽部440b(
図12参照)に比べ、主部440aからの延出長さが短い。遮蔽部540bは、平面視においてアンテナ10の電波送受信部12の一部に重なる。遮蔽部540bの先端540b1は、電波送受信部12の外側縁12aに比べて右方寄り、かつ内側縁12bに比べて左方寄りに位置する。
【0082】
図15は、電子機器500におけるアンテナ10の電波の放射パターンの例を示す図である。
図15に示すように、電子機器500のアンテナ10は、斜め上向きの指向性を有する。
【0083】
[電子機器](第2実施形態の第3の例)
図16は、第2実施形態の第3の例に係る電子機器600の内部構造を示す断面図である。
電子機器600では、反射部材640は、主部440aと、遮蔽部640bとを備える。
遮蔽部640bは、第2の例における遮蔽部540b(
図14参照)に比べ、主部440aからの延出長さが短い。遮蔽部640bは、平面視においてアンテナ10の電波送受信部12の一部に重なる。遮蔽部640bの先端640b1は、電波送受信部12の外側縁12aに比べて右方寄り、かつ内側縁12bに比べて左方寄りに位置する。
【0084】
図17は、電子機器600におけるアンテナ10の電波の放射パターンの例を示す図である。
図17に示すように、電子機器600では、アンテナ10は斜め上向きの指向性を有する。電子機器600における指向性の方向は、
図15に示す電子機器500における指向性の方向に比べてY方向に対する傾斜角度が大きい。
【0085】
[電子機器](第2実施形態の第4の例)
図18は、第2実施形態の第4の例に係る電子機器700の内部構造を示す断面図である。
電子機器700では、反射部材740は、主部440aのみで構成される。遮蔽部がないため、反射部材740は、平面視においてアンテナ10の電波送受信部12の一部に重ならない。
【0086】
図19は、電子機器700におけるアンテナ10の電波の放射パターンの例を示す図である。
図19に示すように、電子機器700では、アンテナ10は斜め上向きの指向性を有する。電子機器700における指向性の方向は、
図17に示す電子機器600における指向性の方向に比べてY方向に対する傾斜角度が大きい。
【0087】
図13、
図15、
図17および
図19に示すように、遮蔽部の長さに応じてアンテナ10の指向性は変化する。そのため、使用目的などに応じてアンテナ10の指向性を容易に調整することができる。
【0088】
図12、
図14、
図16および
図18に示す電子機器400,500,600,700では、アンテナ10,20の送受信特性(例えば、指向性)を高めることができる。電子機器400,500,600,700では、設計の自由度を高めることができる。
【0089】
図12、
図14、
図16および
図18に示す電波透過部120は、平面視においてアンテナ10の電波送受信部12の全体を包含するが、電波透過部は、平面視においてアンテナの電波送受信部の一部のみに重なる構成であってもよい。
【0090】
例えば、
図18に示す電波透過部120の内側縁120aがアンテナ10の電波送受信部12の内側縁12bに比べて内方(+Y方向)寄りの位置にある場合、平面視において上板411は電波送受信部12の一部に重なる。電波透過部120の内側縁120aのY方向位置に応じて、電波送受信部12が上板411に覆われる面積は増減する。
【0091】
図20、
図22、
図24、
図26は、それぞれ第2実施形態の第5〜第8の例に係る電子機器の内部構造を示す断面図である。
図21、
図23、
図25、
図27は、それぞれ第2実施形態の第5〜第8の例におけるアンテナ10の電波の放射パターンの例を示す図である。
【0092】
図20では、電波透過部120の内側縁120aは電波送受信部12の外側縁12aに比べて外方(−Y方向)寄りの位置にあるため、平面視において上板411は電波送受信部12の全体に重なる。この場合、
図21に示すように、アンテナ10は、概略、側方(−Y方向)の指向性を示す。
【0093】
図22では、電波透過部120の内側縁120aは電波送受信部12の内側縁12bに比べて外方(−Y方向)寄り、かつ、電波送受信部12の外側縁12aに比べて内方(+Y方向)寄りの位置にある。平面視において上板411は電波送受信部12の約半分の領域に重なる。この場合、
図23に示すように、アンテナ10は斜め上向きの指向性を有する。
【0094】
図24では、電波透過部120の内側縁120aのY方向位置は、電波送受信部12の内側縁12bのY方向位置に近いため、平面視において上板411が重なる電波送受信部12の領域はごくわずかである。この場合、
図25に示すように、Y方向に対する傾斜角度が大きい指向性が得られる。
【0095】
図26では、電波透過部120の内側縁120aのY方向位置は、電波送受信部12の内側縁12bのY方向位置より内方(+Y方向)寄りであるため、平面視において上板411は電波送受信部12に重ならない。この場合、
図27に示すように、Y方向に対する傾斜角度がさらに大きい指向性が得られる。
このように、電波送受信部12と上板411との相対位置に応じてアンテナ10の指向性は変化する。よって、アンテナ10の指向性を容易に調整することができる。
【0096】
図28は、第1実施形態に係る電子機器100の変形例の内部構造を示す断面図である。他の実施形態の電子機器との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図28に示すように、電子機器800は、反射部材40の外面(反射面40e)に、アンテナ10を支持する支持板41(支持部)が形成されている点で、
図4に示す電子機器100と異なる。支持板41は、上板111と平行であり、反射部材40の外面(反射面40e)から外方に延出している。支持板41は、例えば金属で構成される。支持板41は、上板111と下板112の間の所定の高さ位置にアンテナ10を支持できる。
【0097】
支持板41は、アンテナ10の本体部11の下面に設けられた脚部13が挿通する孔部41aを有するため、支持板41はアンテナ10の本体部11の下面に接触する。そのため、支持板41と本体部11との接触面積は大きくなる。よって、本体部11の熱は、支持板41に効率よく伝えられる。
【0098】
電子機器800は、反射部材40の熱を、支持板41を通して上板111および下板112に伝えることができる。したがって、反射部材40の温度上昇を抑制できる。電子機器800は、支持板41を備えるため、アンテナ10を支持する構造を簡略にできる。
【0099】
図29は、第3実施形態に係る電子機器900の斜視図である。
図29に示すように、電子機器900は、筐体902と、第1〜第3アンテナ10,20,930と、反射部材40,40とを備える。筐体902は、平板状のケース体である。筐体902には、ディスプレイ903が搭載されている。電子機器900は、例えば、スマートフォン、タブレット端末などである。
【0100】
筐体902は、上板911と、下板912と、一対の側板913,913(913A,913B)とを備える。
外周縁領域917は、筐体902の上板911の外周縁を含む領域であり、平面視においてディスプレイ903を囲む矩形枠状の領域である。外周縁領域917は、上板911の前縁を含む前辺領域917Aと、側縁を含む側辺領域917B,917Bと、後縁を含む後辺領域917Cとを有する。
【0101】
アンテナ10は、平面視において一方の側辺領域917Bに形成されている。アンテナ20は、平面視において他方の側辺領域917Bに形成されている。アンテナ930は、平面視において後辺領域917Cに形成されている。アンテナ10,20,930は、筐体902内に、電波送受信部12が筐体902の上板911に対向して設置されている。なお、アンテナ930は前辺領域917Aに形成されていてもよい。
【0102】
反射部材40,40のうち第1反射部材40Aは、筐体902の一方の側板913(913A)の側面913aとの間にアンテナ10を挟むように配置されている。第2反射部材40Bは、筐体902の他方の側板913(913B)の側面913bとの間にアンテナ20を挟むように配置されている。
【0103】
電子機器900では、反射部材40,40を備えているため、アンテナ10,20の送受信特性(例えば、指向性)を高めることができる。電子機器900では、設計の自由度を高めることができる。
【0104】
この発明の具体的な構成は上述の実施形態に限られず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
例えば、
図4に示すように、電子機器100では、反射部材40は上板111と下板112の両方に接しているが、反射部材は上板と下板の一方にのみ接していてもよい。反射部材は、図示しない支持構造によって筐体内に保持されていてもよい。
図2に示すように、電子機器100では、第3アンテナ30は、平面視において外周縁領域117の前辺領域117Aに包含される位置に設けられているが、第3アンテナは、平面視において外周縁領域の後辺領域に包含される位置に設けられていてもよい。
電子機器100は、第1〜第3アンテナ10,20,30を備えるが、第3アンテナはなくてもよい。
【0105】
電子機器100では、反射部材40と第2筐体102の側面との間に配置したアンテナ10,20を備えるが、反射部材と筐体の側面との間に配置されるアンテナの数は2つに限定されない。当該アンテナの数は1でもよいし、2以上の任意の数でもよい。
ミリ波帯の電波は、24GHz〜300GHzの周波数帯であってもよい。