【解決手段】端末装置と、薬局用コンピュータと、支援サーバと、薬剤情報データベースサーバ等の外部サーバとが、ネットワークを介して通信可能な支援システムにおいて、支援サーバ30は、対象情報取得部254と、指導内容推論部256と、候補情報生成部257と、を備える。対象情報取得部254は、患者に対する薬学的な指導において考慮の対象となる対象情報を取得する。指導内容推論部256は、対象情報取得部254が取得した対象情報に基づいて、患者に対する薬学的な指導の指導内容を推論する。候補情報生成部257は、指導内容推論部256が推論した指導内容に基づいて、患者に対する薬学的な指導の薬歴に含ませる候補となる候補情報を生成する。
前記提示制御手段は、前記候補情報を提示するための制御において、前記管理者が前記候補情報を承認する際に留意するべき内容が含まれる場合は、当該候補情報を、他の候補情報とは異なる態様で提示するための制御を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の支援装置。
前記提示制御手段は、前記候補情報を提示するための制御において、複数の前記患者に対する薬学的な指導それぞれに対応する、複数の候補情報それぞれを提示するための制御を行い、
前記薬歴登録手段は、前記複数の候補情報の提示を受けた前記管理者が一括承認した前記複数の候補情報のそれぞれを、前記患者に対する薬学的な指導の薬歴の登録対象とする、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
[処理概要]
図1は、本発明の実施形態に係る支援システムが、患者に対する薬学的な指導(服薬指導)における薬歴(服薬指導歴)へのデータ登録を支援する処理の概要を示す模式図である。
図1に示すように、支援システムは、薬局に来局した患者に対して発行された処方箋のデータ、及び患者が回答したアンケート結果のデータといった、服薬指導において考慮の対象となる情報(以下、「対象情報」と称する。)を基に、AI(Artificial Intelligence)によって服薬指導内容を推論する。また、支援システムは、推論した服薬指導内容を基に、薬歴に含ませる候補となる候補情報(例えば、推論した服薬指導内容に対応する服薬指導文)を生成する。さらに、支援システムは、生成した候補情報を、服薬指導の管理者である薬剤師に対して提示(例えば、表示や音の出力)する。そして、支援システムは、薬剤師から候補情報の登録についての承認を受け付け、承認された候補情報を薬歴に登録する。
【0011】
このように、支援システムは、処方箋のデータ等の対象情報を基に推論を行うことによって候補情報を生成し、この候補情報を薬剤師に対して提示する。そのため、薬剤師は、薬歴に関するデータの全部又は少なくとも一部(例えば、服薬指導文)の入力について、候補情報の内容を確認の上、薬歴への登録を承認するか否かを判断するのみでよい。すなわち、支援システムは、薬剤師が薬歴に関するデータを入力する作業を軽減することができる。
従って、本発明の実施形態に係る支援システムによれば、薬剤師の業務をより適切に支援することが可能となる。
【0012】
なお、
図1に破線で示すように、支援システムは、処方箋のデータ、及びアンケート結果のデータ以外の他のデータも、対象情報として利用することも可能である。例えば、支援システムは、患者に対して発行された処方箋のデータ及びアンケート結果のデータに加え、薬剤師が患者に対して行った問診結果(ヒアリング結果及び薬剤師が患者から受けたインプレッション等)のデータをさらに対象情報として、服薬指導内容を推論することも可能である。また、他にも、支援システムは、患者の二回目以降の来局時の薬学的指導に際しては、患者に対して発行された処方箋のデータ及びアンケート結果のデータに加え、前回の服薬指導内容及び今回の問診結果のデータをさらに対象情報として、今回の服薬指導内容を推論することも可能である。
【0013】
また、支援システムは、服薬指導を実施している際に服薬指導内容を推論してもよいが、服薬指導が終了し、診療報酬明細書(レセプト)が発行された後であっても、服薬指導内容を推論することが可能である。この場合に、
図1に破線で示すように、支援システムは、上述した各対象情報に加えて、服薬指導に対応して発行された診療報酬明細書(レセプト)のデータをさらに参照して、服薬指導内容を推論することも可能である。
さらに、上述した何れの場合であっても、支援システムは、AIによる服薬指導内容の推論に代えて(あるいはAIによる服薬指導内容の推論と共に)、ルールベースで服薬指導内容を推論することも可能である。
以上、支援システムによる処理の概要について説明した。次に、このような処理を実現するための、支援システムのより具体的な詳細について以下説明をする。
【0014】
[システム構成]
図2は、本発明の一実施形態に係る支援システム1のシステム構成を示す図である。
本実施形態における支援システム1は、調剤薬局における薬剤師の業務を支援するために用いられる。例えば、
図1を参照して上述したように、支援システム1は、処方箋を持参した患者に対して行われた服薬指導の服薬指導内容を推論することにより、薬剤師の薬歴へのデータを入力する作業を軽減するために用いられる。
【0015】
図2に示すように、支援システム1は、端末装置10と、薬局用コンピュータ20と、支援サーバ30と、を含んで構成される。また、端末装置10、薬局用コンピュータ20、支援サーバ30、及び、服薬指導文を含む薬剤情報を記憶している薬剤情報データベースサーバ等の外部サーバは、ネットワーク40(インターネット等)を介して通信可能に構成されている。なお、端末装置10と薬局用コンピュータ20とを、VPN(Virtual Private Network)等のプライベートネットワークによって通信可能に構成することとしてもよい。なお、図中においては、各装置をそれぞれ一台ずつ図示するが、これに限られない。例えば、薬局用コンピュータ20は、複数の薬局それぞれに対応して複数存在してもよい。他にも、例えば、端末装置10は、複数の薬局それぞれに勤務する複数の薬剤師それぞれに対応して複数存在してもよい。
【0016】
端末装置10は、薬剤師によって操作されるものであり、タブレット端末あるいはPC(Personal Computer)等の情報処理装置によって構成される。端末装置10は、薬剤師が患者に対する問診を行う際に、薬剤師の業務を支援するために各種の情報を表示したり、薬剤師による各種の情報の入力を受け付けたりする。例えば、端末装置10は、薬剤師が患者に対して行うアンケート内容を表示すると共に、患者からのアンケートの回答(アンケート結果)の入力を薬剤師から受け付ける。また、端末装置10は、薬剤師が患者に対して問診(ヒアリング)する際の問診内容(ヒアリング内容)を表示すると共に、問診結果(ヒアリング結果)の入力を薬剤師から受け付ける。さらに、端末装置10は、薬剤師が対面した患者から受ける印象(インプレッション)の入力を薬剤師から受け付ける。さらに、端末装置10は、後述する薬歴登録支援処理において生成された候補情報を表示する。さらに、端末装置10は、この表示した候補情報の薬歴への登録についての承認結果(承認した候補情報の薬歴への登録依頼を含む)の入力を薬剤師から受け付ける。
【0017】
薬局用コンピュータ20は、調剤薬局の業務に関する処理を実行するサーバコンピュータ等の情報処理装置によって構成される。また、薬局用コンピュータ20は、レセプトコンピュータの機能(レセコン機能)及び患者の薬歴を管理する機能(薬歴管理機能)を備える。また、このような機能に関連して、薬局用コンピュータ20は、各種データを管理している。例えば、薬局用コンピュータ20は、複数の患者に関する患者属性、複数の患者の処方箋、薬剤師が患者に対して行った服薬指導内容や処方された薬剤等についての履歴である薬歴、問診結果(ヒアリング結果及びインプレッション等)、患者に対するヒアリング内容、薬局で取り扱われる薬剤に関する情報等の各種データを管理している。なお、薬局用コンピュータ20において管理される薬歴には、保険調剤上の薬剤服用歴管理記録として用いられる情報が含まれることを想定する。ただし、これに限らず、薬歴は薬局等において利用される、それ以外の他の情報をさらに含んでいてもよい。そして、薬局用コンピュータ20は、後述する情報管理処理を実行することにより、管理している各種情報を支援サーバ30に送信したり、支援サーバ30から送信される各種データによって管理している各種情報を更新したりする。
【0018】
支援サーバ30は、薬剤師の業務を支援する機能(業務支援機能)を備えるサーバコンピュータ等の情報処理装置によって構成される。支援サーバ30は、薬剤師の業務を支援するために、複数の薬局に備えられた薬局用コンピュータ20が管理している各種データを受信する。また、支援サーバ30は、これら受信した各種のデータを薬局用コンピュータ20と同様のデータベース群(薬歴データベースを含む)によって管理する。すなわち、支援サーバ30は、複数の薬局に備えられた薬局用コンピュータ20が有する情報(一部又は全部)を取得し、薬歴登録支援処理を実行するために保持する。
【0019】
また、支援サーバ30は、薬歴登録支援処理を実行する。この薬歴登録支援処理において、支援サーバ30は、複数の薬局に備えられた端末装置10から薬歴登録に関する支援依頼(候補情報の提供依頼や、薬剤師が承認した候補情報の薬歴への登録依頼等)を受け付ける。また、この支援依頼に応じて、支援サーバ30は、処方箋のデータ、患者が回答したアンケート結果のデータ、及び問診結果(ヒアリング結果及び薬剤師が患者から受けたインプレッション等)等の対象情報や、診療報酬明細書(レセプト)のデータ等を参照して服薬指導内容を推論し、推論した服薬指導内容に基づいた候補情報を生成する。さらに、支援サーバ30は、生成した候補情報を端末装置10に送信する。そして、支援サーバ30は、端末装置10から、候補情報を参照した薬剤師による候補情報の承認を受信すると、その候補情報を、自身が管理する薬歴データベースに登録する。このような薬歴登録支援処理により、支援サーバ30が管理する薬歴データベースが、最新の内容に更新されると共に、これに同期して薬局用コンピュータ20が管理している薬歴データベースも、最新の内容に更新される。すなわち、支援サーバ30と、(複数存在する場合はそれぞれの)薬局用コンピュータ20とは、薬歴を含む各種のデータを共有することができる。
【0020】
この各種のデータの共有は、任意の方法で実現することができるが、以下では一例として、支援サーバ30と薬局用コンピュータ20とで共通の仕様に準拠して行われることを想定する。この共通の仕様は、特に限定されないが、例えば、NSIPS(NewStandard Interface of Pharmacy−system Specifications)(登録商標)等の仕様とすることができる。このように、共通の仕様(例えば、NSIPS)に準拠することにより、支援サーバ30と既存の薬局用コンピュータ20との間でのデータの共有を容易に実現することが可能となる。また、特有の仕様(例えば、或る製造業者により策定された特有の仕様)に依拠することなく、データの共有を実現することができる。なお、外部サーバにも薬歴データベースが存在するような場合には、支援サーバ30が管理する薬歴データベースや薬局用コンピュータ20が管理している薬歴データベースに同期して、さらに外部サーバが管理する薬歴データベースも、最新の内容に更新されるようにしてもよい。すなわち、外部サーバとの間でも各種のデータを共有するようにしてもよい。この場合、この各種のデータの共有は、薬局用コンピュータ20と同様に、共通の仕様に準拠して行われることを想定する。
【0021】
[ハードウェア構成]
次に、支援システム1における各装置のハードウェア構成を説明する。
支援システム1に含まれる各装置は、上述したようにPC、サーバコンピュータあるいはタブレット端末等の情報処理装置によって構成され、その基本的構成は同様である。
【0022】
図3は、各装置を構成する情報処理装置800のハードウェア構成を示す図である。
図3に示すように、各装置を構成する情報処理装置800は、CPU(Central Processing Unit)811と、ROM(Read Only Memory)812と、RAM(Random Access Memory)813と、バス814と、入力部815と、出力部816と、記憶部817と、通信部818と、ドライブ819と、撮像部820と、を備えている。
【0023】
CPU811は、ROM812に記録されているプログラム、又は、記憶部817からRAM813にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM813には、CPU811が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0024】
CPU811、ROM812及びRAM813は、バス814を介して相互に接続されている。バス814には、入力部815、出力部816、記憶部817、通信部818、ドライブ819及び撮像部820が接続されている。
【0025】
入力部815は、各種ボタン等で構成され、指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部816は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
記憶部817は、ハードディスクあるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各サーバで管理される各種データを記憶する。
通信部818は、ネットワーク40を介して他の装置との間で行う通信を制御する。
【0026】
ドライブ819には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア831が適宜装着される。ドライブ819によってリムーバブルメディア831から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部817にインストールされる。
撮像部820は、レンズ及び撮像素子等を備えた撮像装置によって構成され、被写体のデジタル画像を撮像する。
なお、情報処理装置800が薬局用コンピュータ20あるいは支援サーバ30として構成される場合には、撮像部820を省略した構成とすることも可能である。また、情報処理装置800がタブレット端末として構成される場合には、入力部815をタッチセンサによって構成し、出力部816のディスプレイに重ねて配置することにより、タッチパネルを備える構成とすることも可能である。
【0027】
[機能的構成]
次に、支援システム1における各装置の機能的構成について説明する。
【0028】
[端末装置10の機能的構成]
図4は、端末装置10の機能的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、端末装置10のCPU811においては、ユーザインターフェース表示制御部(UI表示制御部)51と、対象情報取得部52と、支援依頼部53と、候補情報取得部54と、承認受付部55と、が機能する。
【0029】
UI表示制御部51は、支援サーバ30から受信したユーザインターフェース画面を表示するための情報(以下、「UI情報」と称する。)に基づいて、後述する各種処理における各種入出力画面(以下、「UI画面」と称する。)の表示を制御する。例えば、UI表示制御部51は、後述する対象情報取得処理において対象情報を取得する対象の患者を選択する画面(以下、「患者選択画面」と称する。)、対象情報取得処理において薬剤師が患者に対して行うアンケートの内容を表示する画面(以下、「アンケート表示画面」と称する。)、対象情報取得処理において薬剤師が患者に対してヒアリング(問診)する際のヒアリング内容(聞き取り項目)を表示する画面(以下、「問診表示画面」と称する。)、薬歴登録支援処理において服薬指導文等のデータを登録する対象とする服薬指導を選択する画面(以下、「服薬指導選択画面」と称する。)、及び、薬歴登録支援処理において薬剤師による承認を受け付けるために候補情報を表示する画面(以下、「承認受付画面」と称する。)等を提示(例えば、ディスプレイに出力して表示)する。また、UI表示制御部51は、UI画面において入力された各種情報を支援サーバ30に送信する。例えば、UI表示制御部51は、患者選択画面において選択された患者を識別する情報、アンケート表示画面において入力されたアンケート結果、問診表示画面において入力された問診結果、服薬指導選択画面において選択された服薬指導を識別する情報、及び、承認受付画面において入力された承認結果等を支援サーバ30に対して送信する。なお、UI表示制御部51は、UI画面において入力されたこれら各種情報(例えば、承認された候補情報等)を、支援サーバ30に対して送信すると共に、薬局用コンピュータ20に対しても送信することとしてもよい。
【0030】
図5は、患者選択画面の一例を示す模式図である。
図5に示すように、患者選択画面においては、薬局用コンピュータ20によって管理されている患者属性に対応する各患者のリストが表示され、薬剤師は、このリストの中から、ヒアリング(問診)を行う患者を選択する。なお、新規の来局患者については、不図示の登録画面によって、新たに患者属性が登録される。
【0031】
また、
図6は、アンケート表示画面の一例を示す模式図である。
図6に示すように、アンケート表示画面においては、択一形式の質問を含むアンケート内容が表示され、患者自身が回答を入力したり、あるいは、患者の回答に応じて薬剤師が回答を入力したりする。このとき表示されるアンケート内容は、全ての患者に共通して設定された一連の質問であり、患者の氏名、性別、既往症、治療中の疾患等、患者属性を特定するための内容となっている。
【0032】
さらに、
図7は、問診表示画面の一例を示す模式図である。
図7に示すように、問診表示画面においては、択一形式の質問を含むヒアリング内容(聞き取り項目)が表示され、患者の回答に応じて薬剤師が問診結果(ヒアリング結果)を入力する。このとき表示されるヒアリング内容は、患者属性に対応して選択された一連の質問であり、患者毎、処方箋の内容毎、あるいは、問診回数(例えば、初めての問診か、2回目の問診か)等に応じて決定される。また、問診表示画面においては、薬剤師の自由記入欄が設定されており、薬剤師が患者に対して問診を行った際に気付いた内容(例えば、「元気がない」あるいは「顔色が悪い」等の身体的な印象、「神経質な性格」あるいは「早とちりな性格」等の性格的な印象を表すインプレッション)を任意に記入することが可能となっている。なお、薬剤師は、薬歴登録支援処理を利用することなく、服薬指導内容に対応する服薬指導文等のデータを薬歴に登録することも可能である。この場合、不図示の登録画面によって、服薬指導文等のデータが薬歴に登録される。
【0033】
さらに、
図8は、服薬指導選択画面の一例を示す模式図である。
図8に示すように、服薬指導選択画面においては、薬局用コンピュータ20によって管理されている薬歴に含まれる各服薬指導のリストが表示され、薬剤師は、このリストの中から、薬歴に登録するために候補情報の生成を依頼する対象の服薬指導を選択する。
【0034】
さらに、
図9は、承認受付画面の一例を示す模式図である。
図9に示すように、承認受付画面においては、一般に薬剤師(特にベテランの薬剤師)が服薬指導を行う際の服薬指導内容を示す服薬指導文の一覧(以下、「推論服薬指導候補一覧」と称する。)、及び、処方された薬剤に関する一般的な服薬指導内容を示す服薬指導文の一覧(以下、「一般服薬指導候補一覧」と称する。)が表示される。これら、推論服薬指導候補一覧や一般服薬指導候補一覧に含まれる服薬指導文のそれぞれは、薬歴登録支援処理によって推定された服薬指導内容に対応して生成された候補情報に相当する。例えば、推論服薬指導候補一覧に含まれる服薬指導文のそれぞれは、薬剤師(特にベテランの薬剤師)が服薬指導を行う患者に対して説明すべき調剤された薬剤の作用や副作用並びに飲み合わせ(併用禁忌)、薬剤師が服薬指導を行う患者に対して想起する観察項目、薬剤師が服薬指導において想定する指導方針、薬剤師が服薬指導を行う場合に辿る思考過程で想起している指標(着眼点)等を反映した結果を表している。また、一般服薬指導候補一覧に含まれる服薬指導文のそれぞれは、患者の処方箋のデータに応じて処方される薬剤に対応して選択された一般的な説明を表している。
【0035】
また、各服薬指導文にはチェックボックスが併せて表示されており、チェックボックスに薬剤師がチェックマークを付した服薬指導文が、薬剤師による薬歴への登録の承認操作(例えば、図示している「薬歴への登録を承認」ボタンに対する押下操作)を経て、服薬指導に用いられた服薬指導文の一覧(服薬指導結果)として患者の薬歴に登録される。すなわち、本実施形態において、候補情報には、少なくとも前記患者に対する薬学的な指導に対応する服薬指導文を含んでいる。そして、薬剤師による薬歴への登録の承認は、候補情報に含まれる服薬指導文からの、承認対象とする服薬指導文の選択を伴うものである。なお、この場合に、推論により出力される尤度に基づいて、薬剤師がチェックマークを付す可能性が高いと想定される服薬指導文に対応するチェックボックスには、予めチェックマークを付した状態としておくようにしてもよい。そして、薬剤師が、登録する必要がないと考えた服薬指導文については、チェックマークを外すようにしてもよい。このように、本実施形態では、薬剤師の承認操作に基づくことにより、薬歴への登録権限を有する薬剤師の判断を適切に反映して、薬歴への登録を実現することができる。
【0036】
また、
図10は、承認受付画面の他の例を示す模式図である。
図10に示すように、仮に候補情報に薬剤師が承認において留意するべき内容が含まれる場合は、
図9に示すような承認受付画面にて、所定の警告文が表示される。この承認において留意すべき内容とは、例えば、安全管理のため特に専門家による薬学的管理の関与が必要な医薬品(いわゆる、ハイリスク薬)が処方されていることや、患者に特殊な持病があること等である。このような留意すべき内容が候補情報に含まれている場合に、その留意すべき内容に対応した警告文が表示される。この所定の警告文の表示のタイミングは特に限定されないが、例えば、薬剤師による薬歴への登録の承認操作(例えば、図示している「薬歴への登録を承認」ボタンに対する押下操作)があった場合に、本当に承認してよいのか否かを再確認するために表示される。このような所定の警告文を表示することにより、薬剤師に対して、承認において留意すべき内容についての留意を促すことができる。すなわち、薬剤師の業務をより適切に支援することができる。なお、警告文の表示に限らず、例えば、「薬歴への登録を承認」ボタンや背景の表示色や文字のフォント等を特別なものとすることにより、留意を促すようにしてもよい。あるいは、警告音や、警告文に対応する音声等を出力することにより、留意を促すようにしてもよい。すなわち、候補情報に薬剤師が承認において留意するべき内容が含まれる場合は、このような内容が含まれない場合とは異なる様々な態様で、薬剤師に候補情報を提示(例えば、表示や音の出力)するようにするとよい。
【0037】
図4に戻り、対象情報取得部52は、患者に対する服薬指導において考慮の対象となる各種の対象情報を取得する。上述したように、対象情報は、患者に対する薬学的な指導において考慮の対象となる情報である。例えば、対象情報取得部52は、患者が持参した処方箋の内容を表すデータ(処方箋のデータ)、処方箋を持参した患者の氏名、年齢、既往症、治療中の疾患等、患者を特定するための患者属性のデータを含むアンケート結果のデータ、問診表示画面に対して薬剤師が入力した問診結果(ヒアリング結果やインプレッション等)のデータ等を対象情報として取得する。なお、対象情報取得部52が取得する情報は、これらに限られず、さらに、患者の薬歴のデータ、患者の前回来局時の服薬指導内容のデータ、診療報酬明細書等の診療報酬に関するデータ、あるいは、電子お薬手帳に記憶されているデータ等を取得することも可能である。
【0038】
支援依頼部53は、
図8を参照して上述したようなリストの中から薬剤師が選択した、候補情報の生成を依頼する対象の服薬指導を識別する情報と共に、候補情報の提供依頼を支援サーバ30に送信する。
候補情報取得部54は、支援依頼部53によって送信された候補情報の提供依頼に応じて支援サーバ30から送信される候補情報を取得する。候補情報取得部54によって取得された候補情報には、
図9を参照して上述したような、服薬指導内容を示す服薬指導文の一覧(推論服薬指導候補一覧)のデータ及び処方された薬剤に関する一般的な服薬指導文の一覧(一般服薬指導候補一覧)のデータが含まれている。加えて、薬剤師が承認において留意するべき内容が存在する場合は、
図10を参照して上述したような警告文を表示するために、候補情報には、この留意するべき内容が含まれている。
【0039】
承認受付部55は、候補情報の提示を受けた薬剤師からの、候補情報の薬歴への登録についての承認結果(承認した候補情報の薬歴への登録依頼を含む)を受け付け、受け付けた承認結果を支援サーバ30に送信する。
【0040】
[薬局用コンピュータ20の機能的構成]
図11は、薬局用コンピュータ20の機能的構成を示すブロック図である。
図11に示すように、薬局用コンピュータ20のCPU811においては、レセプト管理部151と、薬歴管理部152と、データベース管理部(DB管理部)153と、が機能する。また、薬局用コンピュータ20の記憶部817には、患者属性データベース(患者属性DB)171と、処方箋データベース(処方箋DB)172と、薬歴データベース(薬歴DB)173と、問診結果データベース(問診結果DB)174と、ヒアリング内容データベース(ヒアリング内容DB)175と、診療報酬データベース(診療報酬DB)176と、が形成される。
【0041】
患者属性DB171には、患者の住所、氏名、年齢、性別及び患者個人の特徴を表す各種情報といった患者属性のデータが記憶されている。この患者属性は、薬剤師が患者との対話において取得した情報や、患者がアンケート等に回答して提供した情報等によって構成され、例えば、患者の趣味、仕事内容、家族構成、好きな食べ物等も含まれる。
処方箋DB172には、患者に対して発行された処方箋のデータが各患者を識別する情報及び処方箋の持参日と対応付けて記憶されている。
薬歴DB173には、患者に対して処方された薬剤の履歴(薬歴)のデータが各患者を識別する情報や、処方を行った各薬剤師を識別する情報と対応付けて記憶されている。また、薬歴には、薬剤師が患者に対して行った服薬指導内容の履歴のデータ(服薬指導文等)が併せて記憶される。この服薬指導文等の登録は、上述のように、薬歴登録支援処理によって薬剤師の薬歴へのデータを入力する作業を軽減した上で行うことが可能である。
【0042】
問診結果DB174には、患者に対して行われた問診の結果が、各患者を識別する情報及び問診日時と対応付けて記憶されている。問診の結果には、薬剤師が患者にヒアリングを行って入力したヒアリング結果や、対面した患者から薬剤師が受けた印象を入力したインプレッションが含まれている。
ヒアリング内容DB175には、「薬の飲み忘れはありますか?」あるいは「服薬後に体調の変化はありますか?」等、患者に対するヒアリング内容(聞き取り項目)の一覧のデータが記憶されている。
【0043】
診療報酬DB176には、薬局において健康保険組合等に医療費を請求するために、レセプト管理部151が実現するレセコン機能により発行された診療報酬明細書(レセプト)のデータが記憶されている。
【0044】
レセプト管理部151は、患者のレセプトに必要な情報(患者属性、処方箋の内容及び保険診療点数等)を取得し、レセプトの発行処理を行う。
薬歴管理部152は、患者に対して処方された薬剤の履歴(薬歴)を管理する。例えば、薬歴管理部152は、患者に対して新たに処方が行われた場合、今回処方された薬剤のデータを薬歴DB173に記憶したり、薬歴登録支援処理において端末装置10から対象情報や診療報酬明細書のデータの送信依頼を受信した場合、依頼された対象情報や診療報酬明細書のデータを記憶部817に形成された各データベースから取得し、端末装置10に送信したり、支援サーバ30から候補情報の登録依頼をされた場合、候補情報に含まれる服薬指導文等のデータを薬歴DB173に記憶したりする。
【0045】
DB管理部153は、薬局用コンピュータ20が管理している各種データベースのデータと、支援サーバ30に備えられた各種データベースのデータとを同期させるための管理を行う。例えば、DB管理部153は、予め設定された時刻(例えば、午前3時等)に、薬局用コンピュータ20が管理している各種データベースにおいて更新されたデータを支援サーバ30に送信すると共に、支援サーバ30において更新された各種データベースのデータを支援サーバ30から受信し、管理している各種データベースを更新する。
【0046】
[支援サーバ30の機能的構成]
図12は、支援サーバ30の機能的構成を示すブロック図である。
図12に示すように、支援サーバ30のCPU811においては、DB管理部251と、ユーザインターフェース情報生成部(UI情報生成部)252と、支援依頼受付部253と、対象情報取得部254と、特徴抽出部255と、指導内容推論部256と、候補情報生成部257と、提示制御部258と、薬歴登録部259と、が機能する。また、支援サーバ30の記憶部817には、患者属性データベース(患者属性DB)271と、処方箋データベース(処方箋DB)272と、薬歴データベース(薬歴DB)273と、問診結果データベース(問診結果DB)274と、ヒアリング内容データベース(ヒアリング内容DB)275と、診療報酬データベース(診療報酬DB)276と、候補情報データベース(候補情報DB)277と、が形成される。これらのデータベースの内、候補情報DB277以外の、各データベースの記憶内容と、薬局用コンピュータ20の対応する各データベースの記憶内容とは、DB管理部251によって同期されている。
【0047】
候補情報DB277には、薬歴登録支援処理において、後述の候補情報生成部257が候補情報を生成するためのデータが記憶されている。
図13は、候補情報DB277に記憶されている候補情報を生成するためのデータであって、服薬指導文に関するデータを示す模式図である。
図13に示すように、薬剤コード及び薬剤の名称によって特定される各薬剤には、薬剤メーカーや薬剤師によって提供される複数の服薬指導文が対応付けられている。また、
図13に示すように、各服薬指導文には、薬剤師が承認を行う際に内容を確認しやすいように、服薬指導内容に対応したカテゴリーも付されている。さらに、
図13に示すように、服薬指導文それぞれに対応する服薬指導内容を識別する情報として服薬指導内容IDが付されている。本実施形態においては、薬歴登録支援処理において服薬指導内容が推論され、推論された服薬指導内容を示す服薬指導内容IDが推論結果として出力される。候補情報生成部257は、その推論結果として出力された服薬指導内容IDに対応する服薬指導文を候補情報DB277から抽出することにより、候補情報を生成することができる。また、候補情報DB277には、
図10を参照して上述した所定の警告文のデータも記憶されている。そして、候補情報生成部257は、薬剤師が承認において留意するべき内容が存在すると推論された場合は、留意すべき内容に対応する所定の警告文を候補情報DB277から抽出して、候補情報に含ませる。
【0048】
なお、候補情報DB277は、もっぱら候補情報生成部257が利用するデータベースであるので、支援サーバ30にのみ形成され、薬局用コンピュータ20には特に形成されないことを想定している。しかし、これに限らず、候補情報DB277に相当するデータベースを、薬局用コンピュータ20にも形成するようにしてもよい。そして、この薬局用コンピュータ20におけるデータベースと候補情報DB277も同期するようにしてもよい。これにより、例えば、薬剤師が薬局用コンピュータ20を用いて服薬指導文の内容を加筆や修正等した場合に、その加筆や修正後の服薬指導文の内容を支援サーバ30の候補情報DB277にも反映することが可能となる。
【0049】
図12に戻り、DB管理部251は、支援サーバ30に備えられた各種データベースのデータと、薬局用コンピュータ20が管理している各種データベースのデータとを同期させるための管理を行う。例えば、DB管理部251は、予め設定された時刻(例えば、午前3時等)に、支援サーバ30において更新された各種データベースのデータを薬局用コンピュータ20に送信すると共に、薬局用コンピュータ20が管理している各種データベースにおいて更新されたデータを薬局用コンピュータ20から受信し、管理している各種データベースを更新する。
【0050】
UI情報生成部252は、端末装置10がUI画面を表示するためのUI情報を生成し、生成したUI情報を端末装置10に送信する。この場合、UI情報生成部252は、UI画面を表示するためのフレームのフォーマット及びフォーマットに挿入する実体的な内容をUI情報として生成する。本実施形態において、フォーマットに挿入する実体的な内容としては、例えば、服薬指導選択画面の患者属性、アンケート表示画面のアンケート内容、問診表示画面のヒアリング内容、服薬指導選択画面の選択対象となる服薬指導のリスト、承認受付画面の候補情報等が含まれる。また、UI情報生成部252は、UI情報を端末装置10に送信することに対応して、端末装置10から送信される各種情報(患者を識別する情報、アンケート結果のデータ、処方箋のデータ問診結果のデータ、処方した薬剤師を識別する情報、選択された服薬指導を識別する情報、承認結果等)を受信する。
【0051】
支援依頼受付部253は、端末装置10から、候補情報の生成を依頼する対象の服薬指導を識別する情報と共に候補情報の提供依頼を受信する。
対象情報取得部254は、端末装置10から送信された服薬指導を識別する情報に対応する、対象情報及び診療報酬明細書を薬局用コンピュータ20から取得する。
【0052】
特徴抽出部255は、対象情報取得部254によって取得された対象情報及び診療報酬明細書を参照し、予め定義されている特徴量を抽出する。このとき、特徴抽出部255は、自然言語処理を行うことにより、対象情報や診療報酬明細書に含まれる特徴量を表す文言を抽出したり、対象情報や診療報酬明細書から算出又は推定される特徴量を抽出したりする。このとき抽出される特徴量については、薬剤師が服薬指導を行う思考過程において、特徴量であると判断される内容(例えば、患者の年齢や性格等)が予め定義されている。例えば、特徴抽出部255は、特徴量として「患者の年齢」が定義されている場合、対象情報に含まれる患者の年齢を表す文言を抽出する。また、特徴抽出部255は、特徴量として「来局間隔」が定義されている場合、対象情報に含まれる来局月日から来局間隔(すなわち、前回の来局月日と今回の来局月日との差)を算出する。さらに、特徴抽出部255は、特徴量として「調剤報酬点数」が定義されている場合、診療明細書に含まれる、薬剤服用歴管理指導料等の各項目の内容と点数とを抽出する。後述する推論において、このように対象情報から抽出した特徴量と、診療報酬明細書から抽出した特徴量とのそれぞれを用いることにより、何れかのみを用いる場合に比べて、より精度高く推論を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態では、例えば、患者の訴えを表すテキストデータ(患者の発話を音声認識したテキストデータ、薬剤師が入力したテキストデータあるいは薬剤師が選択した選択肢を表すテキストデータ等)からも特徴量を抽出することができる。そのため、例えば、患者の訴えを表すテキストデータにおいては、「胃がズキズキと痛む」あるいは「胃がムカムカする」といった擬態語を含む口語表現が許容される。すなわち、本実施形態において、患者がヒアリングで訴えた表現をそのままデータ化することで、患者の訴えを表すテキストデータとすることが可能である。ただし、患者が訴えた表現を薬剤師が解釈し、患者の状態を表す薬学的な表現としてテキストデータ化することとしてもよい。
【0054】
指導内容推論部256は、特徴抽出部255によって抽出された特徴量を入力として、機械学習ベースで、患者に対して行われた服薬指導の服薬指導内容を推論する。本実施形態において、指導内容推論部256は、薬剤師(特にベテランの薬剤師)が特徴量を認識した場合に、患者に関してどのような服薬指導を行うかについて、機械学習によって構築された推論エンジンを備えている。そのため、指導内容推論部256によって推論された服薬指導内容は、対象となる患者の対象情報が与えられた場合に、薬剤師が行う服薬指導内容を表している。また、上述したように本実施形態では、特徴抽出部255によって診療報酬明細書からも特徴量を抽出している。そのため、指導内容推論部256に備えられている推論エンジンは、診療報酬明細書に含まれる薬剤服用歴管理指導料等の各項目の内容と点数といった情報も含めて機械学習されたものとなっている。従って、指導内容推論部256によって推論された服薬指導内容は、診療報酬明細書に含まれる薬剤服用歴管理指導料等の各項目の内容と点数といった情報を考慮した(すなわち、これら各項目の内容や点数と矛盾しない)、服薬指導内容となっている。
【0055】
このような機械学習ベースの推論を実現するには、特徴抽出部255によって抽出された特徴量を入力データとして、その入力データ対して薬剤師(特に、ベテランの薬剤師)が服薬指導で行う服薬指導内容をラベル(正解)とした、教師データを用いた教師あり機械学習を行うことにより、ニューラルネットワークにより構築された学習モデルを作成すればよい。ただし、機械学習ベースの推論を実現するための機械学習としては、他の手法(ディープラーニング等)を用いるようにすることも可能である。
【0056】
また、このような機械学習による服薬指導内容の推論に代えて(あるいは機械学習による服薬指導内容の推論と共に)、ルールベースで服薬指導内容を推論することも可能である。一例として、ルールベースの推論を用いる場合には、各種特徴量に対して、当該特徴量が抽出された場合に行うことが望ましい服薬指導内容が定義されたテーブルデータが用いられる。そして、推論を行う場合には、テーブルデータを参照し、抽出された抽出量に対して定義されている服薬指導内容を推論結果として出力する。なお、特徴量と服薬指導内容の定義の関係は、一対一の関係、一対多の関係、多対一の関係、及び多対多の関係の何れであってもよいし、これらの関係が混在して定義されていてもよい。
【0057】
指導内容推論部256は、このようにして実行された推論の推論結果を、推論された服薬指導内容に対応する服薬指導内容IDとして出力する。なお、指導内容推論部256は、推論された服薬指導内容に対応する服薬指導文が複数存在する場合には、そのそれぞれに対応する複数の服薬指導内容IDを出力してもよい。この場合に、指導内容推論部256は、複数の服薬指導内容それぞれについての尤度も推論できる場合には、その尤度も併せて出力するようにしてもよい。あるいは、指導内容推論部256は、尤度のもっとも高い服薬指導内容のみを出力するようにしてもよい。
【0058】
候補情報生成部257は、指導内容推論部256が推論結果として出力した服薬指導内容IDに対応する服薬指導文を候補情報DB277から抽出する。そして、候補情報生成部257は、抽出した服薬指導文を、推論服薬指導候補一覧のデータと一般服薬指導候補一覧のデータとして候補情報に含ませることにより、候補情報を生成する。また、候補情報DB277には、
図10を参照して上述した所定の警告文のデータも記憶されている。そして、候補情報生成部257は、薬剤師が承認において留意するべき内容が存在すると推論された場合は、留意すべき内容に対応する所定の警告文を候補情報DB277から抽出して、候補情報に含ませる。この場合に、候補情報生成部257は、薬剤師が承認を行うか否かを判断する判断材料となるように、患者のアンケート結果や、患者に関するヒアリング結果やインプレッションといった問診結果等のデータを各データベースから取得して、併せて候補情報に含ませるようにしてもよい。また、候補情報生成部257は、例えば、複数の服薬指導内容それぞれについての尤度も推論されている場合には、尤度の高い服薬指導内容に対応する服薬指導文が、より薬剤師に選択されやすく提示されるように(例えば、尤度の高いものが推論服薬指導候補一覧の上位に表示されるように、あるいは尤度の高いものが予めチェックマークを付した状態で表示されるように)候補情報を生成するようにしてもよい。これにより、薬剤師は、尤度の高いと推論された服薬指導文を、他の服薬指導文よりも容易に認識して、選択することができる。
【0059】
提示制御部258は、候補情報生成部257が生成した候補情報と共に、薬剤師からの承認の受け付け依頼を端末装置10に送信する。すなわち、提示制御部258は、候補情報を、薬剤師に対して提示するための制御を行う。
なお、提示制御部258は、このように薬剤師からの承認を受け付ける場合以外にも、候補情報を、薬剤師に対して提示するための制御を行うようにしてもよい。例えば、薬剤師の服薬指導を支援するために、服薬指導の実施中や、服薬指導の実施の前後に、候補情報を、薬剤師に対して提示するための制御を行うようにしてもよい。これにより、薬剤師は、候補情報に含まれる服薬指導文を推奨される服薬指導内容として捉えることで、実際に服薬指導を行う場合の参考にすることができる。例えば、候補情報に含まれる服薬指導文を読み上げることで、推奨される服薬指導内容に基づいた、服薬指導を実現することができる。本実施形態では、このようにして候補情報を利用することによっても、薬剤師の業務をより適切に支援することが可能となる。
【0060】
薬歴登録部259は、候補情報の提示を受けた薬剤師からの、候補情報の薬歴への登録についての承認結果(承認した候補情報の薬歴への登録依頼を含む)を端末装置10から受信する。また、薬歴登録部259は、受信した承認結果に基づいて、薬剤師が承認した候補情報を登録対象として、薬歴DB273に含まれる薬歴に登録する。また、薬歴登録部259は、この薬剤師が承認した候補情報を登録対象として、薬歴DB173に含まれる薬歴への登録依頼を薬局用コンピュータ20に送信する。
【0061】
[動作]
次に、支援システム1の動作を説明する。
【0062】
[対象情報取得処理]
図14は、端末装置10が実行する対象情報取得処理の流れを示すフローチャートである。
対象情報取得処理は、端末装置10の入力部815を介して対象情報取得処理の実行が指示入力されることに対応して開始される。
ステップS1において、UI表示制御部51は、支援サーバ30からUI情報を受信して、患者選択画面を表示する。
ステップS2において、UI表示制御部51は、問診を行う患者の選択を受け付ける。これにより、患者を識別する情報が特定される。
【0063】
ステップS3において、UI表示制御部51は、選択された患者に発行された処方箋のデータの入力を受け付ける。これら患者を識別する情報及び処方箋のデータは、支援サーバ30に送信される。
ステップS4において、UI表示制御部51は、支援サーバ30からUI情報を受信して、選択された患者に応じた問診表示画面を表示する。なお、問診を行う患者の来局が初めてである場合には、UI表示制御部51は、支援サーバ30からUI情報を受信して、アンケート表示画面を表示し、アンケート表示画面に対する入力を受け付ける。そして、UI表示制御部51は、アンケート表示画面において入力されたアンケート結果を支援サーバ30に送信した後、再度、問診表示画面のためのUI情報を受信して、その患者に応じた問診表示画面を表示する。
【0064】
ステップS5において、UI表示制御部51は、問診表示画面に対する回答の入力を受け付ける。問診表示画面に対する回答結果(問診結果)のデータは、薬局用コンピュータ20に送信される。
【0065】
ステップS6において、UI表示制御部51は、問診表示画面に対する回答と共に、薬剤師からの服薬指導文の入力が有ったか否かを判定する。上述したように、服薬指導文は、薬歴登録支援処理を利用することなく、薬剤師により服薬指導時に逐次入力されてもよいからである。
服薬指導文の入力が有った場合、ステップS6においてYESと判定されて、対象情報取得処理は終了する。
一方、服薬指導文の入力が無かった場合、ステップS6においてYESと判定されて、処理はステップS7に移行する。
ステップS7において、UI表示制御部51は、薬剤師からの服薬指導文の入力を受け付ける。薬剤師からの服薬指導文のデータは、薬局用コンピュータ20に送信される。ステップS7の後、対象情報取得処理は終了する。
【0066】
[情報管理処理]
図15は、薬局用コンピュータ20が実行する情報管理処理の流れを示すフローチャートである。
情報管理処理は、薬局用コンピュータ20の入力部815を介して情報管理処理の実行が指示入力されることに対応して開始される。
【0067】
ステップS11において、DB管理部153は、患者の処方箋を受け付けたか否かの判定を行う。
患者の処方箋を受け付けていない場合、ステップS11においてNOと判定されて、処理はステップS13に移行する。
一方、患者の処方箋を受け付けた場合、ステップS11においてYESと判定されて、処理はステップS12に移行する。
ステップS12において、DB管理部153は、今回受け付けた処方箋のデータで患者属性DB171及び処方箋DB172を更新する。
【0068】
ステップS13において、DB管理部153は、端末装置10から対象情報のデータを受信したか否かの判定を行う。
対象情報のデータを受信していない場合、ステップS13においてNOと判定されて、処理はステップS15に移行する。
一方、対象情報を受信した場合、ステップS13においてYESと判定されて、処理はステップS14に移行する。
ステップS14において、DB管理部153は、今回受信した対象情報のデータで問診結果DB174及びヒアリング内容DB175を更新する。
【0069】
ステップS15において、DB管理部153は、診療報酬明細書が発行されたか否かの判定を行う。
診療報酬明細書が発行されていない場合、ステップS15においてNOと判定されて、処理はステップS17に移行する。
一方、診療報酬明細書が発行された場合、ステップS15においてYESと判定されて、処理はステップS16に移行する。
ステップS16において、DB管理部153は、今回発行された診療報酬明細書のデータで診療報酬DB176を更新する。
【0070】
ステップS17において、DB管理部153は、支援サーバ30から対象情報及び診療報酬明細書のデータの送信依頼を受信したか否かの判定を行う。
支援サーバ30から対象情報及び診療報酬明細書のデータの送信依頼を受信していない場合、ステップS17においてNOと判定されて、処理はステップS19に移行する。
一方、支援サーバ30から対象情報及び診療報酬明細書のデータの送信依頼を受信した場合、ステップS17においてYESと判定されて、処理はステップS18に移行する。
ステップS18において、DB管理部153は、依頼された対象情報及び診療報酬明細書のデータを各データベースから取得し、支援サーバ30に送信する。
【0071】
ステップS19において、DB管理部153は、薬歴のデータ(服薬指導文のデータ等)を支援サーバ30又は端末装置10から受信したか否かの判定を行う。
薬歴のデータを支援サーバ30又は端末装置10から受信していない場合、ステップS19においてNOと判定されて、処理はステップS21に移行する。
一方、薬歴のデータを支援サーバ30又は端末装置10から受信した場合、ステップS19においてYESと判定されて、処理はステップS20に移行する。
ステップS20において、DB管理部153は、受信した薬歴のデータで薬歴DB173を更新する。
【0072】
ステップS22において、DB管理部153は、薬局用コンピュータ20が管理している各種データベースのデータと、支援サーバ30に備えられた各種データベースのデータとを同期させるための予め設定されたタイミングになっているか否かの判定を行う。
薬局用コンピュータ20が管理している各種データベースのデータと、支援サーバ30に備えられた各種データベースのデータとを同期させるための予め設定されたタイミングになっていない場合、ステップS21においてNOと判定されて、情報管理処理が繰り返される。
一方、薬局用コンピュータ20が管理している各種データベースのデータと、支援サーバ30に備えられた各種データベースのデータとを同期させるための予め設定されたタイミングになっている場合、ステップS21おいてYESと判定されて、処理はステップS22に移行する。
【0073】
ステップS22において、DB管理部153は、支援サーバ30とデータを送受信することにより、各データベースを更新し、薬局用コンピュータ20が管理している各種データベースのデータと、支援サーバ30に備えられた各種データベースのデータとを同期させる。ステップS22の後、情報管理処理が繰り返される。
【0074】
[薬歴登録支援処理]
図16は、支援サーバ30が実行する薬歴登録支援処理の流れを示すフローチャートである。
薬歴登録支援処理は、支援サーバ30が、端末装置10から候補情報の提供依頼を受信したことに対応して開始される。
【0075】
ステップS31において、支援依頼受付部253は、端末装置10から、候補情報の生成を依頼する対象の服薬指導を識別する情報と共に候補情報の提供依頼を受信する。
ステップS32において、対象情報取得部254は、端末装置10から送信された服薬指導を識別する情報に対応する、対象情報及び診療報酬明細書のデータの送信依頼を薬局用コンピュータ20に送信する。
ステップS33において、対象情報取得部254は、薬局用コンピュータ20から対象情報及び診療報酬明細書のデータを受信する。
【0076】
ステップS34において、特徴抽出部255は、受信した対象情報及び診療報酬明細書のデータを自然言語処理する。
ステップS35において、特徴抽出部255は、対象情報及び診療報酬明細書から特徴量を抽出する。
ステップS36において、指導内容推論部256は、特徴抽出部255によって抽出された特徴量を入力として、服薬指導内容を推論する。
【0077】
ステップS37において、候補情報生成部257は、指導内容推論部256が推論結果として出力した服薬指導内容IDに対応する服薬指導文を候補情報DB277から抽出することにより、候補情報を生成する。
ステップS38において、提示制御部258は、候補情報生成部257が生成した候補情報と共に、薬剤師からの承認の受け付け依頼を端末装置10に送信(ネットワーク40を介して端末装置10に出力)する。
ステップS39において、薬歴登録部259は、候補情報の提示を受けた薬剤師からの、候補情報の薬歴への登録についての承認結果(承認した候補情報の薬歴への登録依頼を含む)を端末装置10から受信する。
【0078】
ステップS40において、薬歴登録部259は、受信した承認結果に基づいて、候補情報の登録が薬剤師に承認されたか否かの判定を行う。
候補情報の登録が薬剤師に承認されていない場合、ステップS40においてNOと判定されて、薬歴登録支援処理は終了する。
一方、候補情報の登録が薬剤師に承認された場合、ステップS40においてYESと判定されて、処理はステップS41に移行する。
【0079】
ステップS41において、薬歴登録部259は、薬歴データベースを更新する。具体的に、薬歴登録部259は、薬剤師が承認した候補情報を登録対象として、薬歴DB273に含まれる薬歴に登録する。また、薬歴登録部259は、この薬剤師が承認した候補情報を登録対象として、薬歴DB173に含まれる薬歴への登録依頼を薬局用コンピュータ20に送信する。ステップS41の後、薬歴登録支援処理は終了する。
【0080】
以上のように、本実施形態に係る支援システム1は、処方箋のデータ等の対象情報を基に推論を行うことによって候補情報を生成し、この候補情報を薬剤師に対して提示する。そのため、薬剤師は、薬歴に関するデータの全部又は少なくとも一部(例えば、服薬指導文)の入力について、候補情報の内容を確認の上、薬歴への登録を承認するか否かを判断するのみでよい。すなわち、支援システムは、薬剤師が薬歴に関するデータを入力する作業を軽減することができる。
従って、本発明の実施形態に係る支援システム1によれば、薬剤師の業務をより適切に支援することが可能となる。
【0081】
[変形例1]
上述の実施形態においては、クライアント−サーバ型の支援システム1を構築し、端末装置10から支援サーバ30に候補情報の提供依頼を行って、支援情報を取得するものとした。
これに対し、支援サーバ30の支援機能を1つの装置(例えば、端末装置10あるいは薬局用コンピュータ20等)に備えることにより、支援システム1の機能を単体の情報処理装置800で実現(すなわち、スタンドアローン型のシステムとして実現)することとしてもよい。
【0082】
図17は、支援機能を備えるスタンドアローン型の情報処理装置800の機能的構成を示すブロック図である。
図17に示すように、スタンドアローン型として構成する場合、単体の情報処理装置800において、端末装置10のUI表示制御部51、支援サーバ30のUI情報生成部252、支援依頼受付部253、対象情報取得部254、特徴抽出部255、指導内容推論部256、候補情報生成部257、提示制御部258、及び薬歴登録部259の機能をCPU811に備え、支援サーバ30(又は薬局用コンピュータ20)が管理する各データベースを記憶部817に備えることとすればよい。
【0083】
また、支援システム1をクライアント−サーバ型のシステムとして構成する場合において、システムを構成する情報処理装置の組み合わせは、上述の実施形態に示した例に限られない。
例えば、薬局用コンピュータ20あるいは支援サーバ30に備えられた機能をより多くのサーバ(例えば、クラウドサーバ)に分散して実装したり、薬局用コンピュータ20及び支援サーバ30の機能を1つのサーバにまとめて実装したりすることが可能である。他にも、例えば、端末装置10及び薬局用コンピュータ20の機能を1つのクライアントにまとめて実装したりすることが可能である。
【0084】
[変形例2]
上述の実施形態において、候補情報には、もっぱら服薬指導文が含まれており、薬歴登録支援処理では、この服薬指導文を薬歴に登録することを想定した。これに限らず、候補情報にさらに他の情報が含まれており、薬歴登録支援処理において、これら他の情報についても登録を行えるようにしてもよい。例えば、薬歴登録支援処理において、患者についての書誌的な事項(氏名、生年月日、性別、被保険者証の記号番号、住所、及び緊急時連絡先等)や、処方箋に含まれる情報(処方した保険医療機関名並びに保険医氏名、処方日、及び処方内容等)や、過去の薬歴やお薬手帳から取得できる情報(処方履歴、合併症を含む既往歴に関する情報、他科受診の有無等)といった各種情報についても登録を行えるようにしてもよい。
【0085】
この場合、候補情報生成部257は、各データベースに記憶されている情報を、例えば、患者ID等に基づいて抽出し、名寄せや突合といった処理を行う。これにより、候補情報生成部257は、薬歴登録支援処理の対象としている服薬指導に対応する患者の各種情報を候補情報に含ませることができる。そして、薬歴登録部259は、薬剤師の承認に基づいて、各種情報を薬歴に登録する。
これにより、薬剤師が薬歴に関するデータを入力する作業を、より軽減することができる。
従って、本変形例に係る支援システム1によれば、薬剤師の業務をより適切に支援することが可能となる。
【0086】
[変形例3]
上述の実施形態の薬歴登録支援処理において、まず、薬剤師が候補情報の生成を依頼する対象の服薬指導を選択することを想定していた。そして、この選択された服薬指導を対象として、候補情報の生成と、この候補情報についての承認と、この承認結果に基づいた薬歴データベースへの更新と、を一連の処理として行っていた。
【0087】
これに限らず、複数の服薬指導を対象として、この複数の服薬指導それぞれに対応する複数の候補情報の生成と、この複数の候補情報それぞれについての一括承認と、この一括承認の結果に基づいた薬歴データベースへの更新と、を一連の処理として行うようにしてもよい。これにより、薬剤師は、複数の候補情報の内容を一度に確認の上、薬歴への登録を一括承認することができる。すなわち、薬剤師が薬歴に関するデータを入力する作業を、より軽減することができる。
【0088】
このような一括承認を実現するための、本変形例における薬歴登録支援処理について
図18を参照して説明する。
図18は、支援サーバ30が実行する薬歴登録支援処理の本変形例における流れを示すフローチャートである。
薬歴登録支援処理は、支援サーバ30が、端末装置10から候補情報の提供依頼を受信したことに対応して開始される。
【0089】
ステップS51において、支援依頼受付部253は、端末装置10から、候補情報の一括提供依頼を受信する。ここで、上述した実施形態におけるステップS51に対応するステップ(すなわち、
図16のステップS31)では、候補情報の生成を依頼する対象の服薬指導を識別する情報を、候補情報の提供依頼と共に受信していた。本変形例では、これに代えて、候補情報の生成を依頼する薬剤師を識別する情報を、候補情報の一括提供依頼と共に受信する。
【0090】
ステップS52において、支援依頼受付部253は、薬歴データベース273を参照することにより、ステップS51にて受信した薬剤師を識別する情報に対応する服薬指導を識別する情報を全て本処理の対象として特定する。すなわち、この薬剤師が行った服薬指導を全て本処理の対象として特定する。なお、すでに候補情報(ここでは、服薬指導文)が登録済みの服薬指導については、本処理の対象外とする。そして、本処理の対象とした何れかの服薬指導を対象として、ステップS32からステップS37の処理を行う。これらの処理の内容は、
図16を参照して上述した処理の内容と同じであるので、ここでは、重複する説明を省略する。
【0091】
ステップS53において、候補情報生成部257は、ステップS52において特定した、本処理の対象となる全ての服薬指導について候補情報を生成したか否かの判定を行う。
全ての服薬指導について候補情報を生成した場合、ステップS53においてYESと判定されて、処理はステップS54に移行する。
一方、全ての服薬指導について候補情報を生成していない場合、ステップS53においてNOと判定されて、処理は再度ステップS32に移行する。そして、未だに候補情報が生成されていない服薬指導を対象として、再度ステップS32から処理が行われる。
【0092】
ステップS54において、提示制御部258は、候補情報生成部257が生成した全ての候補情報と共に、薬剤師からの一括承認の受け付け依頼を端末装置10に送信(ネットワーク40を介して端末装置10に出力)する。
ステップS55において、薬歴登録部259は、候補情報生成部257が生成した全ての候補情報の提示を受けた薬剤師からの、候補情報の薬歴への登録についての一括承認の承認結果(承認した候補情報の薬歴への登録依頼を含む)を端末装置10から受信する。
【0093】
ステップS56において、薬歴登録部259は、受信した一括承認の承認結果に基づいて、薬剤師に承認された候補情報があるか否かの判定を行う。すなわち、一括承認において、少なくとも1つ以上の候補情報が薬剤師に承認されたか否かの判定を行う。
薬剤師に承認された候補情報がない場合、ステップS56においてNOと判定されて、薬歴登録支援処理は終了する。
一方、薬剤師に承認された候補情報がある場合、ステップS56においてYESと判定されて、処理はステップS57に移行する。
【0094】
ステップS57において、薬歴登録部259は、薬歴データベースを更新する。具体的に、薬歴登録部259は、薬剤師が承認した全ての候補情報を登録対象として、薬歴DB273に含まれる薬歴に登録する。また、薬歴登録部259は、この薬剤師が承認した全ての候補情報を登録対象として、薬歴DB173に含まれる薬歴への登録依頼を薬局用コンピュータ20に送信する。ステップS57の後、本変形例における薬歴登録支援処理は終了する。
【0095】
本変形例における薬歴登録支援処理により、薬剤師は、複数の候補情報の内容を一度に確認の上、薬歴への登録を一括承認することができる。すなわち、薬剤師が薬歴に関するデータを入力する作業を、より軽減することができる。
【0096】
なお、本変形例において、薬剤師から薬歴への登録の一括承認を受け付ける態様(例えば、承認受付画面のユーザインターフェース等)は特に限定されず、様々な態様で、一括承認を受け付けることができる。例えば、各服薬指導それぞれについての
図9に示すような承認受付画面を薬剤師からのスクロール操作に応じて順次スクロール表示し、各服薬指導それぞれについて薬剤師から順次承認操作を受け付けるようにしてもよい。また、順次スクロールするのではなく、例えば、サムネイル表示等を行うことにより、複数の各服薬指導についての承認受付画面を一覧で表示するようにしてもよい。
この場合に、各服薬指導それぞれについて個別で薬剤師による薬歴への登録の承認操作(例えば、「薬歴への登録を承認」ボタンに対する押下操作)を受け付けるようにしてもよいし、各服薬指導について一括で薬剤師による薬歴への登録の承認操作(例えば、「薬歴への一括登録を承認」ボタンに対する押下操作)を受け付けるようにしてもよい。
【0097】
また、全ての服薬指導において、同じ態様で承認を受け付けるのではなく、服薬指導によって異なる態様で承認を受け付けるようにしてもよい。例えば、処方内容に変更がなく、前回の服薬指導文の内容と重複した内容の服薬指導文が再度候補情報に含まれているような場合は、この候補情報(すなわち、この服薬指導文)に問題はないと考えられる。そこで、このような候補情報については、簡易的な態様で承認操作を受け付けるようにするとよい。例えば、このような候補情報については薬剤師のスクロール操作を要することなく、スクロール表示を短時間に自動で切り替えてから、一括で承認操作を受け付けるようにするとよい。あるいは、このような候補情報については一覧で小さく表示してから、一括で承認操作を受け付けるようにするとよい。
【0098】
これに対して、例えば、安全管理のため特に専門家による薬学的管理の関与が必要な医薬品(いわゆる、ハイリスク薬)が処方されている場合や、患者に特殊な持病がある場合には、この候補情報(すなわち、この服薬指導文)に問題がないか否かについて留意すべきと考えられる。そこで、このような候補情報については、簡易的ではない態様で承認操作を受け付けるようにするとよい。例えば、このような候補情報については薬剤師の操作がない限りはスクロール表示を切り替えないようにして、個別で承認操作を受け付けるようにするとよい。あるいは、このような候補情報については画面全体に大きく表示してから、個別で承認操作を受け付けるようにするとよい。
【0099】
そのために、提示制御部258は、候補情報を、薬剤師に対して提示するための制御を行う場合に、上述のような様々な態様で一括承認を受け付けるように制御を行うとよい。このように、薬剤師から薬歴への登録の一括承認を受け付ける態様を様々に使い分けることにより、適切に薬剤師の一括承認を支援することができる。
【0100】
[変形例4]
上述の実施形態の薬歴登録支援処理において、指導内容推論部256は、特徴抽出部255によって抽出された特徴量を入力として、機械学習やルールベースによって、服薬指導内容を推論していた。そして、候補情報生成部257は、指導内容推論部256が推論結果として出力した服薬指導内容IDに対応する服薬指導文を候補情報DB277から抽出することにより、候補情報を生成していた。すなわち、服薬指導内容を一つひとつ個別に推論すると共に、この一つひとつの服薬指導内容のそれぞれに対応して、服薬指導文を一つひとつ個別に抽出していた。つまり、服薬指導内容と、服薬指導文の対応関係は一対一であった。
【0101】
これに限らず、複数の服薬指導内容に対応して、1つの服薬指導文を抽出するようにしてもよい。そのためには、例えば、複数の指導内容に対応する複数の服薬指導文を、まとめて1つの服薬指導文として抽出するようにすればよい。
【0102】
具体例として、機械学習やルールベースによって、服薬指導内容として複数の副作用(例えば、腰痛、下腹部痛、及び下痢)を一つひとつ個別に推論したとする。この場合、上述した実施形態であれば、これら3つの副作用の服薬指導内容IDそれぞれに対応する、3つの服薬指導文が一つひとつ個別に抽出されていた。例えば、「副作用として腰痛が発生することがあるので、その場合は服用中止し医師に相談するよう指導。」、「副作用として下腹部痛が発生することがあるので、その場合は服用中止し医師に相談するよう指導。」、及び「副作用として下痢が発生することがあるので、その場合は服用中止し医師に相談するよう指導。」というように、3つの服薬指導文が抽出されていた。しかしながら、このように、表現の似通った3つの服薬指導文を全て候補情報に含めて、薬歴に登録してしまうと、表現が冗長になると共に、薬歴の内容が不明確となるおそれがある。
【0103】
そこで、このような場合には、これら3つの服薬指導文をまとめて1つの服薬指導文として抽出する。例えば、各服薬指導文において内容が共通または類似する表現をまとめる。この場合、上述の例であれば、「副作用として腰痛、下腹部痛、及び下痢の何れかが発生することがあるので、その場合は服用中止し医師に相談するよう指導。」というように1つの服薬指導文としてまとめて抽出する。これにより、服薬指導文の内容を保持したまま文字数を削減することができるので、薬歴に登録された場合の表現が端的になると共に、薬歴の内容が明確となる。すなわち、薬剤師が薬歴に関するデータを入力する作業を、より軽減することができる。
【0104】
なお、このように、複数の服薬指導文をまとめて1つの服薬指導文として抽出する方法としては、例えば、複数の服薬指導内容の組み合わせ毎に1つの服薬指導文を用意しておくようにしてもよい。すなわち、同じ副作用等のカテゴリーにおいて、第1の服薬指導内容と、第2の服薬指導内容とが推論された場合に、抽出する1つの服薬指導文を、服薬指導内容の様々な組み合わせ毎に用意しておくようにしてもよい。あるいは、複数の服薬指導文をまとめるためのルール(例えば、上述したように、内容が共通または類似する表現をまとめるというルール)を策定しておき、このルールに基づいて、ルールベースで1つの服薬指導文を作成するようにしてもよい。
【0105】
[変形例5]
上述の実施形態に適用可能な機能と、そのユーザインターフェースについて、
図19及び
図20を参照して説明する。この機能は、指導内容推論部256による推論に基づいた候補情報(ここでは、服薬指導文)を提示する様々な場面に適用できる。例えば、候補情報を、薬歴に登録する服薬指導内容の候補として提示する場面に適用できる。他にも、候補情報を、服薬指導において推奨される服薬指導内容として提示する場面に適用できる。
【0106】
図19は、様々な場面において、端末装置10や支援サーバ30において表示される服薬指導選択画面60の一例を示す模式図である。
図19に示すように、服薬指導選択画面60は、情報表示領域61と、選択操作領域62と、を表示領域として含む。
【0107】
情報表示領域61には、患者名等の書誌的な情報や、他の表示画面に遷移するためのボタン等が表示される。これに加えて、情報表示領域61には、この患者に対して処方される(あるいは、処方された)薬剤の名称や用量といった薬剤に関する情報が表示される。例えば、「リピトール錠 5mg」と「ベザトールSR錠 200mg」といった情報が表示される。
【0108】
選択操作領域62には、これらの薬剤が処方される場合に、服薬指導の対象となりえる服薬指導内容が一覧で表示される。この一覧における各服薬指導内容の表示順は、任意に決定することができる。この表示順を決定するためには、例えば、指導内容推論部256による推論での尤度の高い服薬指導内容や、過去に薬剤師に複数回選択されている服薬指導内容といった、信頼性の高い服薬指導内容に対して、所定のスコアを付与する。そして、この付与されたスコアの値が高い信頼性の高い服薬指導内容が、薬剤師に選択されやすいよう一覧の上位に表示されるようにする。これにより、推論結果や過去の選択結果を考慮した順番で、各服薬指導内容を表示することができる。
【0109】
また、選択操作領域62には、これらの服薬指導内容それぞれに対応した服薬指導文が表示される。さらに、選択操作領域62には、これらの服薬指導内容それぞれに対応して「スライドボタン」と、「次回再表示ボタン」と、「推奨しないボタン」が表示される。
薬剤師は、これらの各種ボタンを用いて、服薬指導内容の選択に関する操作を行うことができる。以下、これら各種ボタンそれぞれについて説明する。
【0110】
スライドボタンは、服薬指導内容の選択状態を、切り替えるボタンである。薬剤師がスライドボタンを操作する都度、その服薬指導内容を選択した状態と、その服薬指導内容を選択していない状態とが切り替わる。このスライドボタンの初期設定として、指導内容推論部256により推論された服薬指導内容について、薬剤師の操作前から予め選択された状態としておく。一方で、他の服薬指導内容については、選択されていない状態としておく。これにより、薬剤師が操作をする前の初期設定の段階で、指導内容推論部256による推論(すなわち、AIやルールベースの推論)の結果がすでに反映された状態となる。そして、薬剤師はこの状態から、さらに自身の判断に基づいて、スライドボタンを操作し、各服薬指導内容の選択状態を、より適切なものに修正する。すなわち、薬剤師は、全く手がかりのない状態から服薬指導内容を選択する必要がなく、推論が反映された状態から服薬指導内容を選択すればよい。このように、スライドボタンを初期設定することによって、薬剤師による服薬指導内容の選択を半自動化し、薬剤師の手間を軽減することができる。
【0111】
次回再表示ボタンは、服薬指導内容を次回も表示するように設定するボタンである。薬剤師は、上述のスライドボタンによる選択を行う際に、この服薬指導内容を次回も必ず表示させる必要があると考えた場合に、次回再表示ボタンを操作する。これにより、この服薬指導内容は、次回も一覧内に表示されるようになる。なお、次回のみならず、次次回以降も継続して表示されるようにしてもよい。これにより、薬剤師が、次回この服薬指導内容の存在に気づかないような事態を防止できる。
【0112】
推奨しないボタンは、服薬指導内容を次回は表示しないように設定するボタンである。薬剤師は、上述のスライドボタンによる選択を行う際に、この服薬指導内容を次回は表示させる必要がないと考えた場合に、推奨しないボタンを操作する。これにより、この服薬指導内容は、次回も一覧内に表示されなくなる。なお、次回のみならず、次次回以降も継続して表示されないようにしてもよい。これにより、薬剤師が、次回この服薬指導内容を誤って選択してしまうような事態を防止できる。
【0113】
なお、次回再表示ボタン及び推奨しないボタンの設定が適用される範囲は適宜定めることができる。例えば、患者単位で適用されるようにしてもよい。この場合、その患者の次回の服薬指導においては各ボタンの設定が適用されるが、他の患者の服薬指導においては各ボタンの設定が適用されないことになる。同様に、薬局単位や、薬剤師単位で適用されるようにしてもよい。これにより、各薬剤師の判断を、適切な範囲に適用させることができる。
【0114】
また、次回再表示ボタン及び推奨しないボタンの設定とは別途に、例えば、上述した所定のスコアが閾値以下の服薬指導内容については一覧に表示しないようにしたり、上述した所定のスコアが閾値を超えた服薬指導内容については一覧に表示したりしてもよい。また、この場合であっても、次回再表示ボタン及び推奨しないボタンの設定の方が、優先して適用されるようにしてもよい。また、推奨しないボタンが設定された場合には、一律に次回必ず表示されないのではなく、このスコアを減少させることにより、次回から表示されにくくするというようにしてもよい、
【0115】
また、このような様々なボタンの操作内容(すなわち、推論結果を確認した上での薬剤師の判断)を、指導内容推論部256による、以後の服薬指導内容を推論する基準に反映するようにしてもよい。例えば、スライドボタンにより選択された服薬指導内容や、次回再表示ボタンの設定がなされた服薬指導内容は、以後、より推論される可能性が高くなるように、推論する基準を変更する。一方で、スライドボタンにより選択されなかった服薬指導内容や、推奨しないボタンの設定がなされた服薬指導内容は、以後、より推論される可能性が低くなるように、推論する基準を変更する。このような推論をする基準の変更は、例えば、AIが推論に用いるパラメータを変更したり、仮に推論されても出力しないというルールを追加したりすることで実現できる。これにより、以後の推論において、指導内容推論部256は、薬剤師の判断基準を追加した上で推論を行うことが可能となる。そのため、より薬剤師の実務に沿った基準で、精度の高い推論を実現することができる。
【0116】
図20は、様々な場面において、端末装置10や支援サーバ30において表示される指導ホーム画面70の一例を示す模式図である。
図20に示すように、指導ホーム画面70は、情報表示領域71と、処方内容確認領域72と、服薬指導確認領域73と、を表示領域として含む。また、
図20には、操作例を示すために、概念的に薬剤師の指80を図示する。
【0117】
情報表示領域71には、患者名等の書誌的な情報や、他の表示画面に遷移するためのボタン等が表示される。これに加えて、情報表示領域71には、指導内容推論部256による推論を行う際の薬学的判断要因(患者に関するプロブレム)が表示される。本例では、患者に関するプロブレムに関して、問診に回答した患者の患者属性、薬歴、アンケート結果及び問診結果等に基づいて、それぞれのプロブレムに対する推論との関連性(ここでは、重要度を示す百分率)が表示される。
【0118】
処方内容確認領域72には、この患者に対して処方される(あるいは、処方された)薬剤の名称や用量といった薬剤に関する情報が表示される。なお、今回処方される薬剤のみならず、前回処方された薬剤についても、名称や用量といった情報が表示されてもよい。
【0119】
服薬指導確認領域73には、これらの薬剤が処方される場合に、服薬指導の対象として薬剤師が選択した服薬指導内容が一覧で表示される。例えば、
図19を参照して上述したようにして、薬剤師が選択した服薬指導内容が一覧で表示される。この一覧における各服薬指導内容の表示順は、例えば、
図19における表示順と同様に、所定のスコアに基づいて決定することができる。この場合に、この患者に対して、或る服薬指導内容について以前も服薬指導を行っている場合には、この或る服薬指導内容についての服薬指導は後回しでよいとして、所定のスコアが高かったとしても、下位に表示するようにしてもよい。他にも、例えば、或る服薬指導内容について以前も服薬指導を行っている場合には、この或る服薬指導内容について一時的に休止(すなわち、スヌーズ)して、非表示にしてもよい。そして、服薬指導が進んで、一覧に表示される服薬指導内容の数が減った場合や、非表示にしてから一定時間が経過した場合に、再度表示するようにしてもよい。
【0120】
また、服薬指導確認領域73には、「スライドボタン」が表示される。このスライドボタンも、
図19に示したスライドボタン同様に、服薬指導内容の選択状態を、切り替えるボタンである。薬剤師は、例えば、或る服薬指導内容について服薬指導が終了したり、この或る服薬指導内容については服薬指導がやはり不要であったと判断したりした場合等に、このスライドボタンを操作することにより、この或る服薬指導内容を選択されていない状態に切り替え、一覧に表示されないようにしてもよい。
【0121】
さらに、服薬指導確認領域73は、薬剤師からの所定の操作(例えば、薬剤師の指80やタッチペン等を用いたフリック操作)を受け付ける。例えば、或る服薬指導内容に対して画面外に向けてのフリック操作が行われた場合に、この或る服薬指導内容について所定の処理を行う。例えば、この或る服薬指導内容についての服薬指導は後回しでよいとして、所定のスコアが高かったとしても、下位に表示するようにしてもよい。他にも、例えば、画面外に向けてのフリック操作が行われた場合に、この或る服薬指導内容について一時的に休止して、非表示にしてもよい。そして、服薬指導が進んで、一覧に表示される服薬指導内容の数が減った場合や、非表示にしてから一定時間が経過した場合に、再度表示するようにしてもよい。
【0122】
このように、服薬指導の進行状況等に伴う薬剤師の操作により、一覧での表示状態を変化させることができる。例えば、服薬指導済みの服薬指導内容を一覧から非表示にしたり、後回しにする服薬指導内容の一覧での表示順を下位にしたり、後回しにする服薬指導内容を一覧から一時的に休止して、非表示にしたりすることができる。これにより、薬剤師は、直感的な操作を行うのみで、簡便に、表示状態を自身の意図する表示状態とすることができる。
以上説明したように、本変形例が提供する機能と、そのユーザインターフェースによれば、様々な観点から、薬剤師の業務をより適切に支援することが可能となる。
【0123】
以上のように、本実施形態に係る支援サーバ30は、対象情報取得部254と、指導内容推論部256と、候補情報生成部257と、を備える。
対象情報取得部254は、患者に対する薬学的な指導において考慮の対象となる対象情報を取得する。
指導内容推論部256は、対象情報取得部254が取得した対象情報に基づいて、患者に対する薬学的な指導の指導内容を推論する。
候補情報生成部257は、指導内容推論部256が推論した指導内容に基づいて、患者に対する薬学的な指導の薬歴に含ませる候補となる候補情報を生成する。
このように、支援サーバ30は、処方箋のデータ等の対象情報を基に推論を行うことによって候補情報を生成することができる。この候補情報を利用することにより、例えば、薬剤師が薬歴に関するデータを入力する作業を軽減することができる。
従って、本発明の実施形態に係る支援サーバ30によれば、薬剤師の業務をより適切に支援することが可能となる。
【0124】
支援サーバ30は、提示制御部258と、薬歴登録部259と、をさらに備える。
提示制御部258は、候補情報生成部257が生成した候補情報を、患者に対する薬学的な指導の管理者に対して提示するための制御を行う。
薬歴登録部259は、候補情報の提示を受けた管理者が承認した候補情報を、患者に対する薬学的な指導の薬歴の登録対象とする。
これにより、薬剤師は、薬歴に関するデータの全部又は少なくとも一部(例えば、服薬指導文)について、候補情報の内容を確認の上、薬歴への登録を承認するか否かを判断するのみでよい。すなわち、薬剤師が薬歴に関するデータを入力する作業を軽減することができる。
【0125】
候補情報は、少なくとも患者に対する薬学的な指導に対応する服薬指導文を含む。
管理者による承認は、候補情報に含まれる服薬指導文からの、承認対象とする服薬指導文の選択を伴う。
これにより、薬剤師は、支援サーバ30により生成された候補情報に含まれる服薬指導文を選択すればよく、服薬指導文を作成する手間を削減することができる。
【0126】
提示制御部258は、候補情報を提示するための制御において、管理者が候補情報を承認する際に留意するべき内容が含まれる場合は、当該候補情報を、他の候補情報とは異なる態様で提示するための制御を行う。
これにより、薬剤師に対して、留意すべき内容についての留意を促すことができる。
【0127】
提示制御部258は、候補情報を提示するための制御において、複数の患者に対する薬学的な指導それぞれに対応する、複数の候補情報それぞれを提示するための制御を行う。
薬歴登録部259は、前記複数の候補情報の提示を受けた前記管理者が一括承認した前記複数の候補情報のそれぞれを、前記患者に対する薬学的な指導の薬歴の登録対象とする。
これにより、薬剤師は、複数の候補情報の内容を一度に確認の上、薬歴への登録を一括承認することができる。すなわち、薬剤師が薬歴に関するデータを入力する作業を、より軽減することができる。
【0128】
指導内容推論部256は、候補情報の提示を受けた管理者の指示に基づいて、指導内容を推論する基準を変更する。
これにより、以後の推論において、指導内容推論部256は、薬剤師の判断基準を追加した上で推論を行うことが可能となる。そのため、より薬剤師の実務に沿った基準で、精度の高い推論を実現することができる。
【0129】
対象情報取得部254は、患者に対する薬学的な指導の診療報酬に関する情報をさらに取得する。
指導内容推論部256は、対象情報取得部254が取得した対象情報に加えて、対象情報取得部254が取得した診療報酬に関する情報にも基づいて、患者に対する薬学的な指導における指導内容を推論する。
これにより、診療報酬に関する情報(例えば、診療報酬明細書の情報)も考慮して、より精度高く指導内容を推論することができる。
【0130】
支援サーバ30は、特徴抽出部255をさらに備える。
特徴抽出部255は、対象情報取得部254によって取得された対象情報から、予め設定された抽出条件に基づいて特徴量を抽出する。
指導内容推論部256は、少なくとも対象情報から抽出された特徴量に基づいて、患者に対する薬学的な指導における指導内容を推論する。
これにより、少なくとも特徴量という明確な指標に基づいて指導内容を推論することができる。
【0131】
以上のように、本実施形態に係る支援システム1は、支援サーバ30と、複数の薬局それぞれに対応した複数の薬局用コンピュータ20とを備える。
支援サーバ30と複数の薬局用コンピュータ20とは、少なくとも患者に対する薬学的な指導の薬歴を含む情報を、共通の仕様に準拠して共有する。
これにより、支援サーバ30は、複数の薬局用コンピュータ20と共有する情報に基づいて、複数の薬局それぞれの薬剤師の業務をより適切に支援することが可能となる。
【0132】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の実施形態においては、候補情報として服薬指導文の一覧を提示する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。すなわち、本発明において候補情報として提示する対象には、各種医療情報が含まれる。
【0133】
また、上述の実施形態において、患者に対して問診を行った後、薬剤師が調剤を行っている間、患者は待ち時間となる。そのため、この待ち時間の間に、問診結果から特定される簡易な生活指導の情報等を患者に提示(例えば、患者のスマートフォン等に表示)することとしてもよい。
さらに、上述の実施形態において、患者に対する問診を行うための問診表示画面や、薬剤師によって承認された後の服薬指導文の一覧(推論服薬指導候補一覧及び一般服薬指導候補一覧)の表示画面を患者自身が所持する装置(例えば、患者のスマートフォン等)に表示することとしてもよい。この場合に、患者用のより分かりやすい服薬指導文(例えば、専門的な用語を用いず平易な表現とした服薬指導文)をデータベース等の形式で用意しておき、このデータベース内の、患者用のより分かりやすい服薬指導文一覧の表示画面を患者自身が所持する装置に表示することとしてもよい。
【0134】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、上述の実施形態における機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が支援システム1を構成するいずれかのコンピュータに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に示した例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0135】
また、上述した一連の処理を実行するためのプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0136】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。