【解決手段】光源駆動装置1において、信号取得部12は、PWM信号42を取得する。取得されたPWM信号42が点灯レベルである場合、光源駆動部15及び16は、光源を駆動する。PWM信号42が消灯レベルである場合、光源駆動部15及び16は、光源3の駆動を停止する。変換制御部14は、PWM信号42が点灯レベルである第1期間において、光源3に供給される出力電圧が目標電圧に一致するように電圧変換回路2を制御する。変換制御部14は、PWM信号42が消灯レベルに変化してから遅延時間を経過するまでの第2期間において、出力電圧が目標電圧を超えるように電圧変換回路2を制御する。第2期間における出力電圧の変化量は、光源を流れる電流の増加に伴って増加する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0025】
<第1の実施の形態>
[1.構成]
[1.1.光源システムの構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光源駆動装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図1を参照して、光源駆動装置1と、電圧変換回路2と、光源3とを含む光源システムは、液晶パネル等の薄型パネルのバックライトに用いられる。
【0026】
光源駆動装置1は、外部から入力されるPWM(Pulse Width Modulation)信号42に基づいて、電圧変換回路2を制御し、光源3を駆動する。
【0027】
電圧変換回路2は、入力電圧Vinを出力電圧Voutに変換する。具体的には、電圧変換回路2は、光源駆動装置1から供給される制御信号47に基づいて入力電圧Vinを昇圧することにより、出力電圧Voutを生成する。電圧変換回路2は、生成された出力電圧Voutを光源3に供給する。
【0028】
光源3は、光源駆動装置1から供給される電流により点灯する。本実施の形態において、光源3は、LED(Light Emitting Diode)アレイである。具体的には、光源3は、並列接続された発光回路31及び32を含む。発光回路31及び32の各々は、直列接続された複数のLED35を含む。
【0029】
発光回路31及び32の一端は、電圧変換回路2の出力端子27に接続される。発光回路31の他端は、変換制御部14と光源駆動部15とに接続される。発光回路32の他端は、変換制御部14と光源駆動部16とに接続される。変換制御部14と、光源駆動部15及び16とは、光源駆動装置1の構成要素である。
【0030】
[1.2.電圧変換回路2の構成]
図1を参照して、電圧変換回路2は、FET(Field effect transistor)21と、コンデンサ22及び25と、コイル23と、ダイオード24と、入力端子26と、出力端子27とを備える。ダイオード24は、本実施の形態では、ショットキーバリアダイオードである。
【0031】
入力端子26は、図示しない電源と接続され、入力電圧Vinを受ける。コンデンサ22の一端は、入力端子26と接続され、コンデンサ22の他端は、接地される。コイル23の一端は、入力端子26と接続され、コイル23の他端は、FET21のドレインと、ダイオード24のアノードと接続される。ダイオード24のカソードは、コンデンサ25の一端と、出力端子27とに接続される。コンデンサ25の他端は、接地される。FET21のソースは、接地され、FET21のゲートは、変換制御部14と接続される。
【0032】
FET21が、変換制御部14から供給される制御信号47に基づいてオンされた場合、コイル23がエネルギーを蓄積する。FET21が、供給される制御信号47に基づいてオフされた場合、コイル23に蓄積されたエネルギーがダイオード24を介してコンデンサ25に蓄積される。コンデンサ25は、出力電圧Voutの平滑化に用いられる。FET21がオンとオフとを繰り返すことによって、電圧変換回路2は、入力電圧Vinよりも高い出力電圧Voutを生成する。
【0033】
[1.3.光源駆動装置1の構成]
図1を参照して、光源駆動装置1は、発振回路11と、信号取得部12と、電流設定部13と、変換制御部14と、光源駆動部15及び16とを備える。
【0034】
発振回路11は、クロック信号41を生成し、生成したクロック信号41を変換制御部14に供給する。クロック信号41の周波数は、電圧変換回路2のスイッチング周波数に相当する。
【0035】
信号取得部12は、PWM信号42を受け、その受けたPWM信号42を変換制御部14に供給する。PWM信号42は、光源3を駆動するための駆動信号である。信号取得部12は、具体的には、バッファであり、インピーダンスマッチング等を行う。PWM信号42のレベルがハイである場合、PWM信号42は、光源3の発光を指示する。PWM信号42のレベルがローである場合、PWM信号42は、光源3の消灯を指示する。
【0036】
電流設定部13は、光量調整信号43を受け、その受けた光量調整信号43に基づいて光源駆動部15及び16を制御する。具体的には、電流設定部13は、発光回路31及び32を流れる電流の量を示す電流調整信号44を光量調整信号43から生成する。電流設定部13は、その生成した電流調整信号44を、変換制御部14と光源駆動部15及び16とに供給する。
【0037】
変換制御部14は、クロック信号41を発振回路11から受け、PWM信号42を信号取得部12から受け、電流調整信号44を電流設定部13から受ける。変換制御部14は、その受けたクロック信号41とPWM信号42と電流調整信号44とに基づいて制御信号47を生成し、その生成した制御信号47を用いて電圧変換回路2を制御する。
【0038】
具体的には、変換制御部14は、PWM信号42のレベルがハイである期間において、出力電圧Voutが予め設定された目標電圧に一致するように電圧変換回路2を制御する。変換制御部14は、PWM信号42のレベルがローに変化してから遅延時間を経過するまでの付加期間において、出力電圧Voutが目標電圧を超えるように電圧変換回路2を制御する。変換制御部14は、付加期間が終了してからPWM信号42のレベルがハイに変化するまでの期間において電圧変換回路2を停止する。
【0039】
遅延時間は、光源3の駆動電流値に基づいて決定される。駆動電流値は、電流AL1の絶対値と電流AL2の絶対値との合計である。光源3の駆動電流値が大きくなるにつれて、遅延時間は長くなる。
【0040】
以下の説明において、電流AL1及び電流AL2は、特に説明のない限り、発光回路31及び32を流れる電流の絶対値を示す。
【0041】
光源駆動部15は、PWM信号42を信号取得部12から受け、その受けたPWM信号42に基づいて発光回路31を駆動する。具体的には、受けたPWM信号42のレベルがハイである場合、光源駆動部15は、発光回路31に電流を供給する。受けたPWM信号42のレベルがローである場合、光源駆動部15は、発光回路31への電流供給を停止する。
【0042】
光源駆動部16は、PWM信号42を信号取得部12から受け、その受けたPWM信号42に基づいて発光回路32を駆動する。光源駆動部16は、発光回路32を駆動する点を除き、光源駆動部15と同様であるため、その説明を省略する。
【0043】
光源駆動部15及び16は、電流調整信号44を電流設定部13から受け、その受けた電流調整信号44に基づいて、電流AL1及び電流AL2を調整する。
【0044】
[1.4.変換制御部14の構成]
図2は、
図1に示す変換制御部14の構成を示す機能ブロック図である。
図2を参照して、変換制御部14は、エラーアンプ141と、昇圧制御部142と、遅延部143と、動作指示部144と、ゲートドライバ145と、基準電圧源146とを含む。
【0045】
エラーアンプ141は、2つの反転入力端子と、1つの非反転入力端子と、出力端子とを含む。2つの反転入力端子の一方は、発光回路31の他端の電圧VL1を受け、他方は、発光回路32の他端の電圧VL2を受ける。非反転入力端子は、基準電圧源146を介して接地される。出力端子は、昇圧制御部142に接続される。
【0046】
エラーアンプ141は、受けた電圧VL1を受けた電圧VL2と比較して、電圧VL1及びVL2のうち低い電圧を特定する。エラーアンプ141は、特定した電圧と基準電圧VSとの差である誤差電圧VEを昇圧制御部142に出力する。基準電圧VSは、基準電圧源146から供給される。
【0047】
昇圧制御部142は、クロック信号41を発振回路11から受け、誤差電圧VEをエラーアンプ141から受ける。昇圧制御部142は、その受けたクロック信号41とその受けた誤差電圧VEとに基づいて、スイッチング信号147を生成する。生成されたスイッチング信号147は、出力電圧Voutを後述する目標電圧に調整するためのPWM信号であり、ゲートドライバ145に出力される。
【0048】
遅延部143は、クロック信号41を発振回路11から受け、PWM信号42を信号取得部12から受け、電流調整信号44を電流設定部13から受ける。遅延部143は、その受けた電流調整信号43に基づいて、その受けたPWM信号42の立ち下がりを遅延させることにより、遅延PWM信号42Aを生成する。クロック信号41は、遅延PWM信号42Aの生成に用いられる。
【0049】
動作指示部144は、PWM信号42を信号取得部12から受け、遅延PWM信号42Aを遅延部143から受ける。動作指示部144は、受けたPWM信号42及び受けた遅延PWM信号42Aの各々のレベルに基づいて、スイッチング信号147及びクロック信号41のいずれか一方を、制御信号47の生成に用いる信号として指定する。
【0050】
ゲートドライバ145は、クロック信号41を発振回路11から受け、スイッチング信号147を昇圧制御部142から受ける。ゲートドライバ145は、受けたクロック信号41及び受けたスイッチング信号147のうち、動作指示部144により指定された信号を選択する。ゲートドライバ145は、選択した信号を増幅することにより、制御信号47を生成する。
【0051】
スイッチング信号147が指定された場合、ゲートドライバ145は、目標電圧に一致する出力電圧Voutを生成するための制御信号47を生成する。クロック信号41が指定された場合、ゲートドライバ145は、目標電圧を超える出力電圧Voutを生成するための制御信号47を生成する。
【0052】
[1.5.遅延部143の構成]
図3は、
図2に示す遅延部143の構成を示す機能ブロック図である。
図3を参照して、遅延部143は、電流値取得部301と、遅延量決定部302と、計測部303と、遅延信号生成部304とを含む。
【0053】
電流値取得部301は、電流調整信号44を電流設定部13から受け、その受けた電流調整信号44に基づいて、光源3の駆動電流値311を取得する。
【0054】
遅延量決定部302は、駆動電流値311を電流値取得部301から受け、その受けた駆動電流値311を予め設定した閾値と比較する。遅延量決定部302は、その比較結果に基づいて遅延基準値312を決定する。遅延基準値312は、PWM信号42の立ち下がり時刻と遅延PWM信号42Aの立ち下がり時刻との時間差を特定する情報である。
【0055】
計測部303は、クロック信号41発振回路11から受け、遅延基準値312を遅延量決定部302から受ける。計測部303は、開始信号313を遅延信号生成部304から受けた場合、受けたクロック信号41及び遅延基準値312を用いて遅延時間を計測する。計測部303は、遅延時間を計測した場合、完了通知314を遅延信号生成部304に出力する。
【0056】
遅延信号生成部304は、PWM信号42を信号取得部12から受け、その受けたPWM信号42から遅延PWM信号42Aを生成する。遅延PWM信号42Aの立ち上がり時刻は、PWM信号42の立ち上がり時刻に一致する。遅延PWM信号42Aは、PWM信号42の立ち下がりから遅延時間遅れて立ち下がる。
【0057】
[1.6.電流設定部13及び光源駆動部15の構成]
図4は、
図1に示す電流設定部13及び光源駆動部15の構成を示す回路図である。
図4を参照して、電流設定部13は、オペアンプ131と、FET132と、抵抗133及び135と、カレントミラー回路154と、を含む。
【0058】
電流調整信号44が、オペアンプ131の非反転入力端子に入力される。オペアンプ131の反転入力端子は、FET132のソース及び抵抗133の一端に接続される。オペアンプ131の出力端子は、FET132のゲートに接続される。FET132のドレインは、カレントミラー回路134が備える出力端子134aに接続される。抵抗133の他端は、接地される。カレントミラー回路134が備える出力端子134bは、抵抗135の一端に接続される。抵抗135の他端は、接地される。
【0059】
光源駆動部15は、FET151と、抵抗152と、オペアンプ153と、と、スイッチ154と、反転部155とを含む。
【0060】
スイッチ154は、信号取得部12から供給されるPWM信号42に基づいてオンオフする。スイッチ154の一端は、FET151のゲートに接続される。スイッチ154の他端は、接地される。
【0061】
FET151のゲートはオペアンプ153の出力端子に接続される。FET151のドレインは、発光回路31の他端に接続される。FET151のソースは、オペアンプ153の反転入力端子及び抵抗152の一端に接続される。抵抗152の他端は接地される。
【0062】
オペアンプ153の非反転入力端子は、カレントミラー回路134の出力端子134bと、抵抗155の一端とに接続される。オペアンプ153の非反転入力端子に入力される電圧Vrefが、電流信号45として出力される。
【0063】
光源駆動部16の構成は、光源駆動部15の構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0064】
[2.光源駆動装置1の動作]
[2.1.動作概略]
図5は、
図1に示す光源駆動装置1の動作概略を説明する図である。
図5において、上から1段目のグラフ(a)は、PWM信号42のレベルの時間変化を示す。上から2段目のグラフ(b)は、光源3の駆動電流値の時間変化の一例を示す。上から3段目のグラフ(c)は、駆動電流値がIp(A)である場合における出力電圧Voutの変化を示す。
【0065】
上から4段目のグラフ(d)及び上から5段目のグラフ(e)については後述する。
【0066】
図5を参照して、PWM信号42のレベルは、期間TA及びTCの各々においてハイである。期間TAは、時刻t11から時刻t12までである。期間TCは、時刻t15から時刻t16までである。
【0067】
PWM信号42のレベルは、期間TO、TB及びTDの各々においてローである。期間TOは、時刻t11よりも前である。期間TBは、時刻t12から時刻t15までである。期間TDは、時刻16以降である。
【0068】
光源駆動装置1は、期間TA及びTCの各々において、光源駆動部15及び16を駆動して、発光回路31及び32に電流を供給する。グラフ(b)に示すように、駆動電流値は、期間TA及びTCの各々において、0よりも大きいIp(A)である。
【0069】
グラフ(c)に示すように、光源駆動装置1は、期間TA及びTCの各々において、出力電圧Voutが目標電圧に一致するように電圧変換回路2を制御する。目標電圧は、Es(V)である。期間TA及びTCの各々において、出力電圧Voutは、下限電圧よりも高い。下限電圧は、発光回路31及び32の各々が発光できる下限の電圧値であり、Ep(V)である。
【0070】
期間TA及びTCの各々において、出力電圧Voutが下限電圧を超え、かつ、光源3に電流が供給されることにより、光源3は点灯する。期間TA及びTCの各々において、出力電圧Voutが一時的に減少する。この一時的な減少については、後述する。
【0071】
図5を参照して、PWM信号42のレベルは、期間TO、TB及びTDの各々においてローである。期間TO、TB及びTDの各々において、光源駆動装置1は、発光回路31及び32への電流供給を停止する。期間TO、TB及びTDの各々において、駆動電流値は、0(A)である。
【0072】
PWM信号42のレベルがローである期間のうち、PWM信号42の立ち下がり時刻から遅延時間を経過するまでの付加期間において、光源駆動装置1は、出力電圧Voutが目標電圧よりも大きくなるように、電圧変換回路2を駆動する。グラフ(c)の場合、付加期間は、時刻t12から時刻t13までの期間TB1と、時刻t16から時刻t17までの期間TD1である。
【0073】
付加期間において、光源駆動装置1は、目標電圧を用いることなく、電圧変換回路2を駆動する。出力電圧Voutは、付加期間において、目標電圧を超えて、一定の割合で増加する。従って、光源駆動装置1は、遅延時間(付加期間の長さ)を調整することにより、付加期間における出力電圧Voutの増加量を変化させることができる。詳細について後述するが、光源3の駆動電流値が大きくなるにつれて、遅延時間は長くなる。
【0074】
PWM信号42のレベルがローである期間のうち、付加期間の終了時からPWM信号42の立ち上がりまでの停止期間において、光源駆動装置1は、電圧変換回路2を停止する。グラフ(c)の場合、停止期間は時刻t13から時刻t14までの期間TB2である。
【0075】
[2.2.輝度低下及びフリッカの抑制]
上述のように、光源駆動装置1は、付加期間において、出力電圧Voutが目標電圧よりも大きくなるように電圧変換回路2を制御する。これにより、光源駆動装置1は、光源3で発生する輝度低下及びフリッカを防ぐことができる。以下、光源3が発光する期間TCを例にして、輝度低下及びフリッカを防ぐことができる理由を説明する。
【0076】
グラフ(c)を参照して、出力電圧Voutは、時刻t15において、目標電圧であるEs(V)よりも高いEb(V)である。光源駆動部15及び16は、時刻t15から、発光回路31及び32への電流供給を開始する。負荷変動が発生するため、出力電圧Voutは、Eb(V)からEa(V)に低下する。Ea(V)は、目標電圧よりも低く、下限電圧であるEp(V)よりも高い。
【0077】
出力電圧Voutの低下が、発光回路31及び32への電流供給の開始に伴って発生しても、出力電圧Voutは、下限電圧であるEp(V)を下回らない。光源3を点灯すべき期間TCにおいて、フリッカが発光回路31及び32で発生しない。出力電圧Voutが期間TCにおいて下限電圧を下回らない理由は、光源駆動装置1が期間TCよりも前の期間TB1(付加期間)において、出力電圧Voutを目標電圧よりも大きいEd(V)に増加させるためである。
【0078】
従来の光源駆動装置の出力電圧Voutの変化をグラフ(c)において一点鎖線で示す。従来の光源駆動装置は、期間TBにおいて、出力電圧Voutが目標電圧を超えるように電圧変換回路2を制御しない。この場合、出力電圧Voutは、時刻t15においてEb(V)よりも低いため、出力電圧Voutは、期間TCにおいて、負荷変動に起因して、下限電圧であるEp(V)を下回る虞がある。出力電圧Voutが下限電圧を下回った場合、出力電圧Voutが目標電圧に戻るまでに時間を要する。このように、従来の光源駆動装置は、点灯遅れの発生を防ぐことができない。例えば、グラフ(b)の一点鎖線で示すように、駆動電流値は、期間TCにおいて、時刻t15よりも遅れて駆動電流値がIp(A)に達する。実質的な点灯時間が点灯遅れにより短くなるため、輝度低下やフリッカが発生する。
【0079】
これに対して、光源駆動装置1は、上述のように、出力電圧Voutが期間TCにおいて下限電圧を下回ることが抑制できるため、点灯遅れの発生を防ぐことができる。天応遅れに伴う輝度低下やフリッカの発生が抑制される。
【0080】
[2.3.遅延時間(付加期間の長さ)の変化]
上述のように、光源駆動装置1は、光源3の駆動電流値に基づいて、遅延時間(付加期間の長さ)を変化させる。
【0081】
期間TAにおける駆動電流値が、
図5のグラフ(b)に示すようにIp(A)である場合、付加期間は、時刻t12から時刻t13までの期間TB1である。
【0082】
図5において、上から4段目のグラフ(d)は、光源3の駆動電流値の時間変化の他の例を示す。グラフ(d)に示す例の場合、光源3の駆動電流値は、期間TA及びTCの各々において、Ip(A)よりも高いIq(A)である。上から5段目のグラフ(e)は、光源3の駆動電流値がIq(A)である場合における出力電圧Voutの時間変化を示す。
【0083】
期間TAにおける駆動電流値が、
図5のグラフ(d)に示すようにIq(A)である場合、付加期間は、時刻t12から時刻t14までの期間TB3である。時刻t14は、時刻t13よりも後の時刻であるため、期間TB3は、期間TB1よりも長い。つまり、遅延時間は、駆動電流値の増加に伴って長くなる。
【0084】
光源駆動装置1は、光源3の駆動電流値の増加に合わせて遅延時間を長くすることにより、出力電圧Voutが光源3の点灯時に下限電圧を下回ることを防ぐことできる。以下、詳しく説明する。
【0085】
グラフ(b)に示すように、光源駆動装置1が、時刻t11において光源3への電流供給を開始した場合、光源3の駆動電流値は、急激に増加する。駆動電流値が急激に増加するため、出力電圧Voutは目標電圧よりも低くなる。時刻t11における出力電圧Voutの低下は、負荷変動に相当する。変換制御部14が、出力電圧Voutが目標電圧に一致するように電圧変換回路2を制御するため、出力電圧Voutは、下限電圧を下回った後に、目標電圧に戻る。
【0086】
負荷変動に伴う出力電圧Voutの低下量は、駆動電流値の増加量に依存する。例えば、グラフ(b)に示すように、駆動電流値が0(A)からIp(A)に増加した場合、出力電圧Voutの低下量は、グラフ(c)に示すようにΔE1(V)である。グラフ(d)に示すように、駆動電流値が0(A)からIq(A)に増加した場合、出力電圧Voutの低下量は、グラフ(e)に示すようにΔE2(V)である。Iq(A)はIp(A)よりも高く、ΔE2(V)はΔE1(V)よりも大きい。従って、出力電圧Voutの低下量は、駆動電流値が増加するにつれて大きくなることが分かる。
【0087】
駆動電流値が急激に増加した場合、出力電圧Voutが下限電圧を下回る可能性が高くなる。出力電圧Voutが下限電圧を下回った場合、光源3は、電流供給を受けていたとしても点灯することができない。
【0088】
そこで、光源駆動装置1は、PWM信号42のレベルがローに変化した後の付加期間において、出力電圧Voutが目標電圧を超えるように電圧変換回路2を制御する。出力電圧Voutの単位時間当たりの増加量は、後述するように、付加期間において一定である。光源駆動装置1は、駆動電流値に応じて遅延時間を変化させることにより、付加期間に出力電圧Voutの増加量を調整する。出力電圧Voutが駆動電流値の急激な増加によって大きく低下する場合であっても、光源駆動装置1は、出力電圧Voutが下限電圧を下回ることを防ぐことができる。この結果、光源駆動装置1は、電流が光源3に供給されている期間において、点灯遅れに伴う輝度低下を防ぐことができる。
【0089】
[2.4.光源駆動部15の動作]
以下、光源駆動部15の動作を説明する。光源駆動部16は、光源駆動部15と同様に動作するため、光源駆動部16の動作説明を省略する。
【0090】
図4を参照して、反転部157は、信号取得部12から受けたPWM信号42のレベルを反転することにより、反転PWM信号42Bを生成する。スイッチ156は、反転部157から供給される反転PWM信号42Bに基づいてオンオフする。
【0091】
反転PWM信号42Bのレベルがローである場合、スイッチ156はオフする。オペアンプ153の出力電圧がFET151のゲートに印加されることにより、FET151がオンする。この結果、電流AL1が発光回路31に流れる。
【0092】
反転PWM信号42Bのレベルがハイである場合、スイッチ156はオンする。FET151のゲートが接地されるため、FET151はオフされる。この結果、電流AL1は、発光回路31に流れない。
【0093】
電流AL1が発光回路31に流れている場合、光源駆動部15は、電流設定部13から供給される電流調整信号44に基づいて、発光回路31に供給される電流AL1を調整する。以下、光源駆動装置1における電流調整動作を説明する。
【0094】
図4を参照して、カレントミラー回路154は、電流設定部13の制御により、光量調整信号43に応じた電流Icを端子154aから出力する。具体的には、光量調整信号43は、電圧信号であり、オペアンプ131の非反転入力端子に入力される。抵抗133の一端の電圧がオペアンプ131の反転入力端子に入力される。光量調整信号43がEk(V)であり、抵抗133の抵抗値がRi(Ω)である場合、電流Icは、以下の式(1)で表される。
【0095】
Ic=Ek/Ri ・・・(1)
上記式(1)により導かれる電流Icが、電流調整信号44として用いられる。光源駆動部15は、電流調整信号44に応じた電流AL1を発光回路31に供給する。具体的には、カレントミラー回路154が、電流調整信号44に応じた基準電流Irefを、端子154bから出力する。オペアンプ153の非反転入力端子は、抵抗155の一端の電圧Vrefを受ける。電圧Vrefは、抵抗155と基準電流Irefに基づいて決定される。オペアンプ153は、抵抗152の一端の電圧VL1が基準電圧Vrefと一致するように、FET151を制御する。
【0096】
電流AL1の値をId(A)とした場合、Idは、以下の式で表される。なお、R1は、抵抗152の抵抗値である。R2は、抵抗155の抵抗値である。下記式(2)は、発光回路31に流れる電流が電流調整信号44に基づいて調整されることを示している。
【0097】
Id=Ic・(R2/R1)・・・(2)
[2.5.変換制御部14の動作]
図6は、変換制御部14の動作を示すタイムチャートである。
図6を参照しながら、光源3の点灯時における駆動電流値がIp(A)である場合を例にして、変換制御部14の動作を説明する。
【0098】
遅延部143は、信号取得部12から受けたPWM信号42のレベルを監視する。時刻t11より前の期間TOにおいて、PWM信号42のレベルはローである。PWM信号42のレベルが時刻t11にローからハイに変化するため、遅延部143は、時刻t11において、遅延PWM信号42Aのレベルをローからハイに変化させる。
【0099】
遅延部143は、PWM信号42のレベルがハイである時に、電流設定部13から取得する電流調整信号44に基づいて、光源3の駆動電流値を取得する。遅延部143は、取得した駆動電流値に基づいて、遅延基準値312を決定する。受けたPWM信号42が時刻t12に立ち下がった場合、遅延部143は、決定した遅延基準値312に基づいて、時刻t13に遅延PWM信号42Aのレベルをハイからローに変化させる。遅延部143の詳細な動作については、後述する。
【0100】
この結果、遅延PWM信号42Aは、PWM信号42の立ち上がり時刻に立ち上がり、PWM信号42の立ち下がりよりも遅れて立ち下がる。
【0101】
昇圧制御部142は、発振回路11から受けるクロック信号41と、エラーアンプ141から受ける誤差電圧VEとに基づいて、スイッチング信号147を生成する。昇圧制御部142は、生成したスイッチング信号147をゲートドライバ145に出力する。発振回路11は、クロック信号41をゲートドライバ145に供給する。
【0102】
動作指示部144は、信号取得部12から受けるPWM信号42と、遅延部143から受ける遅延PWM信号42Aとに基づいて、クロック信号41及びスイッチング信号147のいずれか一方を、制御信号47の生成に用いる信号として指定する。
【0103】
図6に示す例では、PWM信号42及び遅延PWM信号42Aの両者のレベルは、期間TAにおいてハイである。動作指示部144は、期間TAにおいて、スイッチング信号147に基づく制御信号47の生成を指示する。制御信号47のデューティ比は、
図2に示す誤差電圧VEに基づいて変化する。従って、出力電圧Voutは、期間TAにおいて、目標電圧にほぼ一致する。
【0104】
期間TB1において、PWM信号42のレベルがローであり、遅延PWM信号42Aのレベルがハイである。期間TB1は、付加期間であるため、動作指示部144は、期間TB1において、クロック信号41に基づく制御信号47の生成をゲートドライバ145に指示する。クロック信号41のデューティ比は一定であるため、制御信号47のデューティ比も一定である。期間TB1において、出力電圧Voutは、一定の増加率で上昇する。従って、期間TB1における出力電圧Voutの増加量は、期間TB1の長さに依存する。
【0105】
期間TB2において、PWM信号42及び遅延PWM信号42Aのレベルがローである。この場合、動作指示部144は、制御信号47の出力停止をゲートドライバ145に指示する。期間TB2において、出力電圧Voutは、徐々に低下する。電圧変換回路2のダイオード24においてリーク電流が発生するためである。
【0106】
[2.6.遅延量の決定]
図7は、
図2に示す遅延部143の動作を示すフローチャートである。遅延部143は、PWM信号42のレベルがローからハイに変化した場合、
図7に示す処理を開始する。
【0107】
遅延信号生成部304は、遅延PWM信号42のレベルをローからハイに変更する(ステップS141)。PWM信号42のレベルがローからハイに変化したためである。
【0108】
電流値取得部301は、電流調整信号44を電流設定部13から取得する(ステップS142)。
【0109】
電流値取得部301は、取得した電流調整信号44に基づいて、光源3の駆動電流値を取得する(ステップS143)。例えば、電流値取得部301は、電流調整信号44と駆動電流値との対応関係を示すテーブルに基づいて、電流調整信号44に対応する駆動電流値を特定する。
【0110】
遅延量決定部302は、電流値取得部301により取得された駆動電流値に基づいて、遅延基準値312を決定する(ステップS144)。遅延基準値312は、1以上の自然数であり、駆動電流値に比例して大きくなる。つまり、駆動電流値が大きいほど、遅延基準値は大きくなる。ステップS144で決定された遅延基準値312は、計測部303に通知される。
【0111】
遅延信号生成部304は、PWM信号42のレベルがハイからローに変化するまで(ステップS145においてYes)、待機する。PWM信号42のレベルがハイからローに変化した場合、遅延信号生成部304は、開始信号313を計測部303に出力することにより、クロック信号41のカウント開始を計測部303に指示する。
【0112】
計測部303は、開始信号313を遅延信号生成部304から受けた場合、クロック信号41をカウントする(ステップS146)。計測部303は、クロック信号41をカウントするたびに、クロック信号41のカウント値を遅延基準値312と比較する(ステップS147)。
【0113】
カウント値が遅延基準値312より小さい場合(ステップS147においてNo)、計測部303は、ステップS146に戻る。
【0114】
カウント値が遅延量に一致する場合(ステップS147においてYes)、計測部303は、完了通知314を遅延信号生成部304に通知する。遅延信号生成部304は、完了通知314を計測部303から受けた場合、遅延PWM信号42Aのレベルをハイからローに変化させる(ステップS148)。その後、遅延部143は、
図7に示す処理を終了する。
【0115】
図7に示す処理の結果、遅延部143は、立ち下がり時刻が光源3の駆動電流値に応じた遅延PWM信号42Aを生成することができる。
【0116】
<第2の実施の形態>
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る光源駆動装置1Aの構成を示す機能ブロック図である。
図8を参照して、光源駆動装置1Aは、
図1に示す構成に加えて、動作確認部51を備える。
【0117】
光源システムの電源がオンされた場合、動作確認部51は、所定の確認方法で発光回路31及び32の各々が使用チャネルに設定されているか否かを判断する。発光回路31が使用チャネルである場合、動作確認部51は、スイッチ156のオンオフを光源駆動部15に許可する。光源駆動部15は、PWM信号42に基づいて、電流を発光回路31に供給することができる。発光回路31が未使用チャネルである場合、動作確認部51は、スイッチ156の継続的なオンを光源駆動部15に指示する。この場合、光源駆動部15は、PWM信号に基づくスイッチ156のオンオフを停止する。
【0118】
発光回路32が使用チャネルと判断された場合及び発光回路32が未使用チャネルと判断された場合の各々における動作確認部51の動作は、上記と同様である。
【0119】
動作確認部51は、発光回路31及び32の各々が使用チャネルに設定されているか否かの判断結果に基づいて、光源3の使用チャネル数511を特定する。動作確認部51は、特定した使用チャネル数511を変換制御部14に通知する。
【0120】
図9は、本実施の形態に係る遅延部143の構成を示す機能ブロック図である。
図9を参照して、本実施の形態に係る遅延部143は、遅延量決定部302に代えて、遅延量決定部302Aを備える。
【0121】
遅延量決定部302Aは、駆動電流値311を電流値取得部301から受け、使用チャネル数511を動作確認部51から受ける。遅延量決定部302Aは、受けた駆動電流値311A及び使用チャネル数511に基づいて、遅延基準値312を決定する。
【0122】
具体的には、遅延量決定部302Aは、上記実施の形態と同様に、受けた駆動電流値311Aに基づいて遅延基準値312を決定する。その後、遅延量決定部302Aは、受けた使用チャネル数511を予め設定された閾値と比較し、その比較結果に基づいて遅延基準値312を調整する。受けた使用チャネル数511が閾値以下である場合、遅延量決定部302Aは、決定した遅延基準値312を所定数減少させる。受けた使用チャネル数511が閾値より大きい場合、遅延量決定部302Aは、決定した遅延基準値312を所定数増加させる。
【0123】
つまり、遅延量決定部302Aは、使用チャネル数が減少するにつれて、遅延時間(付加期間の長さ)を短くする。これにより、光源駆動装置1Aは、出力電圧Voutの過上昇を防ぐことができる。以下、その理由を説明する。
【0124】
本実施の形態において、駆動電流値と遅延基準値312との対応関係は、全ての発光回路の使用を前提として決められている。駆動電流値が各発光回路を流れる電流の最大値であるため、駆動電流値は、使用チャネル数に応じて変化しない。
【0125】
未使用チャネルが存在する場合に光源3に流れる電流は、全チャネルが使用可能である場合に光源3に流れる電流よりも小さい。未使用チャネルが存在し、かつ、遅延時間が使用チャネル数に関係なく決定された場合、付加期間における出力電圧Voutの増加量は、負荷変動による出力電圧Voutの低下量を上回る。この結果、出力電圧Voutが負荷期間において過上昇する。
【0126】
光源駆動装置1Aは、上述のように、使用チャネル数の数に応じて遅延時間を調整する。付加期間における出力電圧Voutの増加量が、負荷変動による出力電圧Voutの低下量に比べて極端に大きくなることを防ぐことができるため、光源駆動装置1Aは、出力電圧Voutの過上昇を防ぐことができる。
【0127】
<第3の実施の形態>
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る光源駆動装置1Bの構成を示す機能ブロック図である。
図10を参照して、光源駆動装置1Bは、
図1に示す構成に加えて、温度検出部52を備える。
【0128】
温度検出部52は、例えば、シリコンダイオードを用いた半導体温度センサである。温度検出部52は、電圧変換回路2の温度を検出し、温度の検出結果を温度情報521として変換制御部14に出力する。温度情報521は、遅延基準値312の決定に用いられる。例えば、電圧変換回路2が集積回路である場合、温度検出部52は、集積回路に内蔵されてもよいし、集積回路に隣接して配置されてもよい。温度検出部52は、電圧変換回路2の温度を検出することができる位置に配置されればよい。
【0129】
図11は、本実施の形態に係る遅延部143の構成を示す機能ブロック図である。
図11を参照して、本実施の形態に係る遅延部143は、遅延量決定部302に代えて、遅延量決定部302Bを備える。
【0130】
遅延量決定部302Bは、電流調整信号44を電流値取得部301から受け、温度情報521を温度検出部52から受ける。遅延量決定部302Bは、その受けた駆動電流値311及び温度情報521に基づいて、遅延基準値を決定する。
【0131】
具体的には、遅延量決定部302Bは、上記実施の形態と同様に、受けた駆動電流値311に基づいて遅延基準値312を決定する。遅延量決定部302Bは、受けた温度情報21に基づいて、温度検出部52により検出された温度が高くなるにつれて遅延時間が長くなるように、決定した遅延基準値311を調整する。
【0132】
例えば、遅延量決定部302Bは、温度検出部52により検出された温度に基づいて、遅延時間を段階的に変化させる。検出された温度が85℃以下である場合、遅延量決定部302Bは、駆動電流値311に基づいて決定された遅延基準値312を変更することなく、動作指示部144に出力する。
【0133】
ダイオード24の温度が85℃以上105℃未満の場合、遅延量決定部302Bは、駆動電流値311に基づいて決定された遅延基準値312に、加算値「10」を加算する。ダイオード24の温度が105℃以上125℃未満の場合、遅延量決定部302Bは、駆動電流値311に基づいて決定された遅延基準値312に、加算値「20」を加算する。ダイオード24の温度が125℃以上の場合は、遅延量決定部302Bは、駆動電流値311に基づいて決定された遅延基準値312に、加算値「30」を加算する。あるいは、遅延量決定部302Bは、温度検出部52により検出された温度に応じて、遅延基準値312を連続的に変化させてもよい。
【0134】
光源駆動装置1Bは、温度検出部52により検出された温度が増加するにつれて遅延時間を長くすることにより、出力電圧Voutが光源3の発光期間において下限電圧を下回ることをさらに効果的に防ぐことができる。以下、詳しく説明する。
【0135】
図5のグラフ(c)を参照して、出力電圧Voutは、光源3及び電圧変換回路2が停止する期間TB2において、徐々に低下する。期間TB2における出力電圧Voutの低下は、電圧変換回路2に含まれるダイオード24のリーク電流に起因する。
【0136】
電圧変換回路2において、出力電圧Voutは、入力電圧Inよりも高い。従って、逆方向電流がダイオード24において発生する。逆方向電流は、ダイオード24の温度の増加に伴って増加する。従って、期間TB2における出力電圧Voutの低下量は、温度が増加するにつれて増加する。
【0137】
例えば、
図5のグラフ(c)が、ダイオード24の温度が25℃である場合における出力電圧Voutの変化を示すと仮定する。
図5のグラフ(c)において、期間TB2が終了する時刻t15における出力電圧Voutは、Eb(V)である。
【0138】
ダイオード24の温度が125℃である場合、時刻t15における出力電圧Voutは、Eb(V)よりも低くなる。ダイオード24の逆方向電流が増加するためである。出力電圧Voutが期間TCにおいて負荷変動に伴って低下した時に、出力電圧Voutは、下限電圧を下回る可能性が高くなる。
【0139】
そこで、光源駆動装置1Bは、ダイオード24の温度が高くなるにつれて遅延基準値312を増加させる。遅延時間がダイオード24の温度上昇に伴って長くなるため、付加期間における出力電圧Voutの増加量を大きくすることができる。電圧変換回路2の停止時における出力電圧Voutの低下量が、温度の増加に伴って増加したとしても、光源駆動装置1Bは、下限電圧と光源3の発光開始時における出力電圧Voutとの差が、負荷変動に伴う出力電圧Voutの低下量よりも小さくなることを防ぐことができる。従って、出力電圧Voutが光源3の発光期間において下限電圧を下回ることをさらに効果的に防ぐことができる。
【0140】
<第4の実施の形態>
図12は、本発明の第4の実施の形態に係る光源駆動装置1Cの構成を示す機能ブロック図である。
図12を参照して、光源駆動装置1Cは、
図1に示す構成に加えて、周波数計測部53を備える。
【0141】
周波数計測部53は、PWM信号42を信号取得部12から受け、その受けたPWM信号42の周波数を計測する。周波数計測部53は、周波数の計測結果を周波数情報537として変換制御部14に出力する。周波数情報537は、遅延基準値312の決定に用いられる。
【0142】
図13は、
図12に示す周波数計測部53の構成を示す機能ブロック図である。
図13を参照して、周波数計測部53は、発振回路531と、カウンタ532とを備える。
【0143】
発振回路531は、クロック信号536を生成し、その生成したクロック信号536をカウンタ532に出力する。クロック信号536の周波数は、PWM信号42の周波数よりも高い。
【0144】
カウンタ532は、PWM信号42を信号取得部12から受け、クロック信号536を発振回路531から受ける。カウンタ532は、受けたPWM信号42の立ち下がりを検出した場合、クロック信号536のカウントを開始する。カウンタ532は、受けたPWM信号42の新たな立ち下がりを検出した時点におけるクロック信号36のカウント値を、周波数情報537として変換制御部14に出力する。クロック信号36の周波数が一定であるため、周波数情報537は、PWM信号42の周波数に相当する。
【0145】
図14は、本実施の形態に係る遅延部143の構成を示す機能ブロック図である。
図14を参照して、本実施の形態に係る遅延部143は、遅延量決定部302に代えて、遅延量決定部302Cを備える。
【0146】
遅延量決定部302Cは、駆動電流値311を電流値取得部301から受け、周波数情報537をカウンタ532から受ける。遅延量決定部302Bは、その受けた駆動電流値311及び周波数情報537に基づいて、遅延基準値を取得する。
【0147】
具体的には、遅延量決定部302Cは、上記実施の形態と同様に、受けた駆動電流値311に基づいて遅延基準値を決定する。遅延量決定部302Cは、受けた周波数情報537に応じた補正値を決定し、決定した補正値を遅延基準値に加算する。補正値は、PWM信号42の周波数が低くなるにつれて、大きくなる。つまり、遅延時間は、PWM信号42の周波数が低くなるにつれて長くなる。
【0148】
これにより、光源駆動装置1Cは、PWM信号42の周波数が低下した場合に、出力電圧Voutが下限電圧を下回ることを防ぐことできる。以下、その理由を説明する。
【0149】
上記第3の実施の形態で説明したように、出力電圧Voutは、電圧変換回路2が停止する期間TB2において、ダイオード24のリーク電流により徐々に低下する。期間TBは、PWM信号のレベルがローである期間に含まれる。PWM信号42の周波数が低くなるにつれて、PWM信号42のレベルがローである期間が長くなる。つまり、電圧変換回路2の停止時における出力電圧Voutの低下量は、PWM信号42の周波数が低くなるにつれて大きくなる。
【0150】
PWM信号42の周波数が低くなるにつれて、下限電圧と光源3の発光開始時における出力電圧Voutとの差が負荷変動による出力電圧Voutの低下量よりも小さくなる可能性が高くなる。出力電圧Voutが光源3の発光時に下限電圧を下回ることにより、点灯遅れに伴う輝度低下やフリッカが光源3で発生する。
【0151】
そこで、光源駆動装置1は、PWM信号42の周波数が低くなるにつれて、遅延時間を長くする。遅延時間を長くすることにより、付加期間(期間TB1)における出力電圧Voutの増加量が大きくなる。この結果、下限電圧と光源3の発光開始時における出力電圧Voutとの差が負荷変動による出力電圧Voutの低下量よりも小さくなることを防ぐことができる。
【0152】
以上説明したように、PWM信号42の周波数が低下した場合であっても、光源駆動装置1Cは、出力電圧Voutが光源3の発光期間において下限電圧を下回ることをさらに効果的に防ぐことができる。
【0153】
<第5の実施の形態>
図15は、本発明の第5の実施の形態に係る光源駆動装置1Dの構成を示す機能ブロック図である。
図15を参照して、光源駆動装置1Dは、
図1に示す構成に加えて、オフ時間計測部54を備える。
【0154】
オフ時間計測部54は、PWM信号42を信号取得部12から受け、その受けたPWM信号42のオフ時間を計測する。オフ時間は、PWM信号42の立ち下がり時刻から、PWM信号42の立ち上がり時刻までである。オフ時間計測部54は、オフ時間の計測結果をオフ時間情報547として変換制御部14に出力する。オフ時間情報547は、遅延基準値312の決定に用いられる。
【0155】
図16は、
図15に示すオフ時間計測部54の構成を示す機能ブロック図である。
図16を参照して、オフ時間計測部54は、発振回路541と、カウンタ542とを備える。
【0156】
発振回路541は、クロック信号546を生成し、その生成したクロック信号546をカウンタ542に出力する。クロック信号546の周波数は、PWM信号42の周波数よりも高い。
【0157】
カウンタ542は、PWM信号42を信号取得部12から受け、クロック信号546を発振回路531から受ける。カウンタ542は、受けたPWM信号42の立ち下がりを検出した場合、クロック信号546のカウントを開始する。カウンタ542は、受けたPWM信号42の立ち上がりを検出した時点におけるクロック信号546のカウント値を、オフ時間情報547として変換制御部14に出力する。カウント値は、PWM信号42の立ち上がりが検出された時点でリセットされる。オフ時間情報547は、PWM信号42の立ち上がりが検出されるたびに変換制御部14に出力される。クロック信号546の周波数が一定であるため、オフ時間情報547は、PWM信号42のレベルがローである期間を示す。
【0158】
図17は、本実施の形態に係る遅延部143の構成を示す機能ブロック図である。
図17を参照して、本実施の形態に係る遅延部143は、遅延量決定部302に代えて、遅延量決定部302Dを備える。
【0159】
遅延量決定部302Dは、駆動電流値311を電流値取得部301から受け、オフ時間情報547をカウンタ542から受ける。遅延量決定部302Dは、その受けた駆動電流値311及びオフ時間情報547に基づいて、遅延基準値312を決定する。
【0160】
具体的には、遅延量決定部302Dは、上記実施の形態と同様に、受けた駆動電流値311に基づいて遅延基準値312を決定する。遅延量決定部302Dは、受けたオフ時間情報547に応じた補正値を決定し、決定した補正値を遅延基準値312に加算する。補正値は、PWM信号42のオフ時間が長くなるにつれて、大きくなる。つまり、遅延時間は、PWM信号42のオフ時間が長くなるにつれて長くなる。
【0161】
これにより、光源駆動装置1Dは、PWM信号42のデューティ比が低下した場合に、出力電圧Voutが下限電圧を下回ることを防ぐことできる。以下、その理由を説明する。本実施の形態において、デューティ比は、PWM信号42のレベルがハイである期間がPWM信号42の周期において占める割合である。
【0162】
上記第3の実施の形態で説明したように、出力電圧Voutは、電圧変換回路2が停止する期間TB2において、ダイオード24のリーク電流により徐々に低下する。期間TBは、PWM信号42のレベルがローである期間に含まれる。リーク電流は、期間TBにおいて継続的に発生する。つまり、電圧変換回路2の停止時における出力電圧Voutの低下量は、PWM信号42のオフ時間が長くなるにつれて大きくなる。
【0163】
PWM信号42のオフ時間が長くなるにつれて、下限電圧と光源3の発光開始時における出力電圧Voutとの差が負荷変動による出力電圧Voutの低下量よりも小さくなる可能性が高くなる。出力電圧Voutが光源3の発光時に下限電圧を下回ることにより、光源3で、点灯遅れに伴う輝度低下やフリッカが発生する。
【0164】
そこで、光源駆動装置1は、PWM信号42のオフ時間が長くなるにつれて、遅延時間を長くする。遅延時間を長くすることにより、付加期間(期間TB1)における出力電圧Voutの増加量が大きくなる。この結果、下限電圧と光源3の発光開始時における出力電圧Voutとの差が負荷変動による出力電圧Voutの低下量よりも小さくなることを防ぐことができる。
【0165】
<変形例>
上記実施の形態において、光源駆動装置は、遅延時間を用いて、付加期間における出力電圧Voutの増加量を変化させる例を説明したが、これに限られない。光源駆動装置は、光源3の駆動電流値に応じて、出力電圧Voutの増加量を変化させればよい。例えば、光源駆動装置1は、付加期間において、単位時間あたりの出力電圧Voutの増加量を変化させることができればよい。
【0166】
上記実施の形態において、遅延部143が、クロック信号41のカウント値を遅延基準値312と比較することにより、遅延時間を計測する例を説明したが、これに限られない。遅延部143が、遅延PMW信号42Aの立ち下がりをPWM信号42の立ち下がりより遅延させることができれば、遅延PMW信号42Aの生成方法は特に限定されない。
【0167】
上記実施の形態において、光源3が備える発光回路の数が2である例を説明したが、これに限られない。光源3が備える発光回路の数は、上記第2の実施の形態を除き、特に限定されない。上記第2の実施の形態では、光源3が備える発光回路の数は、2以上であればよい。
【0168】
上記実施の形態において、PWM信号42のレベルがハイである場合、PWM信号42が光源3の点灯を指示する例を説明したが、これに限られない。PWM信号42のレベルがローである場合に、PWM信号42は、光源3の点灯を指示してもよい。この場合、遅延量決定部302Dは、PWM信号42のレベルがハイである期間の長さに応じて、遅延時間を調整すればよい。
【0169】
上記実施の形態において、電流値取得部301が、電流調整信号44を電流設定部13から受け、その受けた電流調整信号44を駆動電流値として用いる例を説明したが、これに限られない。例えば、電流値取得部301は、発光回路31及び32を流れる電流の大きさを示す電流信号を光源駆動部15及び16から取得し、取得した電流信号に基づいて駆動電流値を取得してもよい。例えば、電流値取得部301は、取得した電流信号が示す値の統計値を計算し、計算した統計値を駆動電流値として出力すればよい。統計値は、例えば、平均値や、最大値、最小値である。
【0170】
また、上記実施の形態において、光源駆動装置1及び1A〜1Dは、LSI(Large Scale Integration)などの半導体装置により個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全部を含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0171】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0172】
また、光源駆動装置1及び1A〜1Dにより実行される処理の一部または全部は、プログラムにより実現されてもよい。そして、上記各実施の形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)により行われる。また、それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの不揮発性記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。
【0173】
また、上記実施の形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0174】
例えば、光源駆動装置1及び1A〜1Dを、ソフトウェアにより実現する場合、
図18に示したハードウェア構成(例えば、CPU、ROM、RAM、入力部、出力部等をバスBusにより接続したハードウェア構成)を用いて、各機能部をソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
【0175】
また、上記実施の形態における処理方法の実行順序は、上記実施の形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で実行順序を入れ替えてもよい。
【0176】
前述した方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、大容量DVD、次世代DVD、半導体メモリを挙げることができる。
【0177】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。