【解決手段】コイル部品100は、ボビン部30と、ボビン部30に挿通されている磁性コア10と、ボビン部30に巻回されているコイル70と、ボビン部30に外挿されることによってボビン部30を覆っているカバー部材80と、を備える。コイル部品100において、カバー部材80とボビン部30とが互いに当接しており、実装面に対して平行な方向における第1方向において、カバー部材80とボビン部30との少なくとも一方が他方を弾性的に付勢している。
前記隆起部の少なくとも一部分において、前記ボビン部に対する前記カバー部材の外挿の方向に向けて、前記カバー部材と前記ボビン部との他方の側への隆起量が増大している請求項7に記載のコイル部品。
前記カバー部材は、第1壁部、第2壁部、第3壁部及び第4壁部を含む矩形角筒状の側周壁部を有し、前記第1壁部と前記第2壁部とが互いに対向しており、前記第3壁部と前記第4壁部とが互いに対向しており、
前記第1壁部と前記第2壁部との対向方向が前記第1方向であり、
前記第3壁部と前記第4壁部との対向方向が前記第1方向に対して直交する第2方向であり、
前記第3壁部と前記第4壁部との少なくとも一方が、嵌合構造によって前記ボビン部に対して嵌合している請求項1から9のいずれか一項に記載のコイル部品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、
図1から
図9(c)を用いて説明する。なお、
図1及び
図3においては、第1固定テープ90及び第2固定テープ95の図示をそれぞれ省略している。また、
図1、
図3及び
図4において、本体部材20を点線で示している。ただし、
図4においては、コイル70も点線で示している。
図8は、カバー部材80と本体部材20とが相互に組み付けられた状態を示している。
なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
図1から
図9(c)のいずれかに示すように、本実施形態に係るコイル部品100は、ボビン部30と、ボビン部30に挿通されている磁性コア10と、ボビン部30に巻回されているコイル70と、ボビン部30に外挿されることによってボビン部30を覆っているカバー部材80と、を備える。
コイル部品100において、カバー部材80とボビン部30とが互いに当接しており、実装面に対して平行な方向における第1方向において、カバー部材80とボビン部30との少なくとも一方が他方を弾性的に付勢している。つまり、ここでいう他方とは、カバー部材80とボビン部30とのうち弾性的な付勢を受ける側(相手側)である。
ここで、弾性的に付勢しているとは、カバー部材80とボビン部30との少なくとも一方が弾性変形しており、当該一方はその弾性復元力によって上記相手側を弾性的に付勢していることを意味している。
また、第1方向に付勢するとは、付勢力を、第1方向と、実装面に対して平行且つ第1方向に対して直交する方向と、実装面に対して直交する方向と、の3方向にベクトル分解したときに、これら3方向のうち第1方向の成分が最も大きくなることを意味する。
【0011】
本実施形態によれば、第1方向において、カバー部材80とボビン部30との少なくとも一方が他方を弾性的に付勢している。このため、第1方向においてカバー部材80とボビン部30とのいずれか一方又は両方の寸法に製造バラツキがあったとしても、カバー部材80とボビン部30とを第1方向において相互に位置決めすることができるので、第1方向におけるカバー部材80とボビン部30との相互の位置ずれを抑制することができる。しかも、上記製造バラツキに応じてカバー部材80又はボビン部30の少なくとも一方が弾性変形することによって製造バラツキを吸収することができる。すなわち、カバー部材80とボビン部30との所望の位置関係を容易に実現することができる。
【0012】
以下の説明では、上下方向をZ方向と称する。下(下方)は、後述する端子部60(
図1等)が配置されている側、すなわちコイル部品100が実装される実装面側である。ただし、コイル部品100の製造時や使用時における各部の位置関係(特に上下の位置関係)は、本明細書で説明する位置関係に限らない。
コイル70の軸方向は、Z方向に対して直交する方向に延在している。コイル70の軸方向をX方向と称し、X方向における一方を右(右方)と称し、他方を左(左方)と称する。
また、X方向とZ方向との双方に対して直交する方向をY方向と称し、Y方向における一方を前(前方)と称し、他方を後(後方)と称する。
これらの方向については、各図に示している。
更に、X方向において、コイル70の軸方向におけるコイル70の中心位置がある側を内方(内側)と称し、内方とは反対側を外方(外側)と称する。同様に、Y方向において、コイル70の前後方向における中心位置がある側を内方(内側)と称し、内方とは反対側を外方(外側)と称する。
また、Z方向に対して直交する向き(方向)を水平(水平方向)と称し、Z方向に沿う向き(方向)を鉛直(鉛直方向)と称する。
【0013】
図2に示すように、本実施形態の場合、磁性コア10は、例えば、左右一対のコア部材、すなわち右側に配置されている第1コア部材11aと、左側に配置されている第2コア部材11bと、を備えている。
第1コア部材11a及び第2コア部材11bの各々は、例えば、いわゆるEコアであり、平面形状がE字状に形成されている(
図4参照)。
より詳細には、第1コア部材11aは、前後方向に延在している基部12と、基部12の両端部からそれぞれ左方に突出している一対の外脚部13と、基部12の中間部から左方に突出している芯部15と、を備えている。なお、基部12からの外脚部13及び芯部15の突出方向は、コイル70の軸方向と同方向となっている。
基部12は、例えば、前後に長尺であるとともに、軸方向に対して直交する横断面形状が矩形状の角柱状に形成されている。基部12において、軸回りに配置されている4面のうち2面は、それぞれ水平な上面及び下面であり、残りの2面のうち一方(以下、内側面12c)はボビン部30側を向いており、他方(以下、外側面12d)はボビン部30の反対側を向いている。本実施形態の場合、基部12の内側面12cが第1コア部材11aの内側面を構成しており、基部12の外側面12dが第1コア部材11aの外側面を構成している。
各外脚部13及び芯部15は、例えば、左右に長尺であるとともに、軸方向に対して直交する横断面形状が矩形状の角柱状に形成されている。基部12において、軸回りに配置されている4面のうち2面は、それぞれ水平な上面及び下面であり、残りの2面のうち一方は前方を向いており、他方は後方を向いている。
基部12、各外脚部13及び芯部15は、例えば、互いに同一の上下寸法に設定されている。第1コア部材11aにおいて、基部12の上面と、外脚部13の上面及び芯部15の上面と、は互いに面一に配置されている。すなわち、第1コア部材11aにおける全体の上面は、平坦に形成されており、且つ、水平に配置されている。同様に、第1コア部材11aにおいて、基部12の下面と、外脚部13の下面及び芯部15の下面と、は互いに面一に配置されている。すなわち、第1コア部材11aにおける全体の下面は、平坦に形成されており、且つ、水平に配置されている。
【0014】
第2コア部材11bは、例えば、第1コア部材11aと同一の形状に形成されている。すなわち、第2コア部材11bは、基部12と、一対の外脚部13と、芯部15と、を備えている。基部12は、上面と、下面と、内側面12c及び外側面12dと、を有する。
第1コア部材11aとは左右対称に配置されている。
【0015】
第1コア部材11a及び第2コア部材11bの各々の各外脚部13の突出方向における先端面は、平坦に形成されており、且つコイル70の軸方向に対して直交する鉛直面となっている。
同様に、第1コア部材11a及び第2コア部材11bの各々の芯部15の突出方向における先端面は、平坦に形成されており、且つコイル70の軸方向に対して直交する鉛直面となっている。
図4に示すように、基部12の内側面12c並びに外側面12dも、平坦に形成されており、且つコイル70の軸方向に対して直交する鉛直面となっている。第1コア部材11aの内側面と第2コア部材11bの内側面とは互いに対向しており、第1コア部材11aの外側面と第2コア部材11bの外側面とは互いに反対方向を向いている。
【0016】
図2に示すように、コイル部品100は、ボビン部30と端子保持部50とを有する本体部材20と、端子保持部50に保持されている複数の端子部60と、を更に備えている。コイル70を構成する巻線71は、ボビン部30に巻回されている。
【0017】
ボビン部30は、例えば、筒部31と、筒部31の軸方向における両端部にそれぞれ設けられている一対の鍔部40と、を備えている。
筒部31には、軸方向に貫通する貫通孔36を有する角筒形状に形成されている。筒部31の軸方向(貫通孔36の軸方向)は、左右方向となっており、コイル70の軸方向と一致している。
筒部31は、例えば、
図9(b)及び
図9(c)に示すように、それぞれ水平に配置されている上壁部32及び下壁部33と、それぞれ鉛直に配置されている前壁部34及び後壁部35と、を備えて構成されている。
例えば、貫通孔36の内部空間は角柱形状となっている。貫通孔36の内周面の底面(内周底面)及び天面はそれぞれ水平面となっており、貫通孔36の内周面における前後の面はそれぞれ鉛直面となっている。
【0018】
図9(a)、
図9(b)及び
図9(c)に示すように、ボビン部30は、例えば、一対の鍔部40、すなわち右側に配置されている第1鍔部41と、左側に配置されている第2鍔部42と、を有する。
第1鍔部41及び第2鍔部42の各々は、例えば、筒部31の両端部から筒部31の外周囲に向けて張り出している。
より詳細には、第1鍔部41は、例えば、筒部31の軸方向に対して直交する平板状に形成されている。第2鍔部42は、例えば、上下寸法及び前後寸法の各々よりも左右寸法が小さい扁平な直方体形状に形成されており、右側及び左側の面の各々は第1方向に対して直交している。
第1鍔部41の左右寸法(厚み寸法)は、第2鍔部42の左右寸法(厚み寸法)よりも小さい。第1鍔部41の前後寸法は、第2鍔部42の前後寸法と同等であり、第1鍔部41の上下寸法は、第2鍔部42の上下寸法と同等である。
また、第1鍔部41の前端面と第2鍔部42の前面とは互いに面一に配置されており、第1鍔部41の後端面と第2鍔部42の後面とは互いに面一に配置されている。
第2鍔部42の上面の前後方向における中央部には、例えば、凹部42aが形成されている。凹部42aは、下方に向けて窪んでいるとともに、左方に向けて開放している。
【0019】
図9(a)、
図9(b)及び
図9(c)に示すように、本体部材20は、端子保持部50として、右側に配置されている第1端子保持部52と、左側に配置されている第2端子保持部55と、を備えている。
第1端子保持部52は、例えば、前後に長尺で、且つ、上下寸法よりも左右寸法が小さい扁平形状の角柱状に形成されている。
第2端子保持部55は、例えば、前後に長尺で、且つ、左右寸法よりも上下寸法が小さい平盤形状に形成されている。
ここで、第2端子保持部55の下面には、例えば、右側縁部から垂下している張出部59(
図1及び
図3参照)が形成されている。張出部59は、板面が左右方向を向いた平板状に形成されている。張出部59の右側面は、第2端子保持部55の右側面と面一に配置されている。
第1端子保持部52は、第1鍔部41の下縁から右方及び前後方向に張り出している。第2端子保持部55は、第2鍔部42の下縁から左方及び前後方向に張り出している。
本実施形態の場合、第1端子保持部52の左右寸法は、第2端子保持部55の左右寸法よりも小さい。第1端子保持部52の上下寸法は、第2端子保持部55(ただし、張出部59を除いた部分)の上下寸法よりも大きい。第1端子保持部52の前後寸法は、第2端子保持部55の前後寸法と同等である。また、張出部59の下端面の高さ位置は、第1端子保持部52の下端面の高さ位置と同等である。
ただし、第1端子保持部52と第2端子保持部55との互いの寸法関係は、特に限定されず、第1端子保持部52と第2端子保持部55とは互いに同一の寸法であってもよい。
第1端子保持部52及び第2端子保持部55の各々の上面は、平坦に形成されており、水平に配置されている。
第1端子保持部52は、例えば、後述する第1端子部61と、第2端子部62と、第3端子部63と、を保持している。第2端子保持部55は、例えば、後述する第4端子部64を保持している。
【0020】
図4及び
図5に示すように、本実施形態の場合、コイル部品100は、端子部60として、例えば、第1端子部61と、第2端子部62と、第3端子部63と、第4端子部64と、を有する。
第1端子部61〜第3端子部63は、第1端子保持部52において、前側から、第1端子部61、第2端子部62、第3端子部63の順に前後方向に並んで配置されている。第4端子部64は、第2端子保持部55に配置されている。
【0021】
第1端子部61は、例えば、長尺な板状の金属部材を折り曲げ形成することにより構成されている。
図2及び
図3に示すように、第1端子部61は、第1端子保持部52からそれぞれ外部に露出している両端部と、第1端子保持部52に埋設されている中間部(不図示)と、を有する。そして、当該露出している両端部のうち、上側に配置されている端部が、対応する巻線71の端部が絡げられる絡げ端子66であり、下側に配置されている端部が、コイル部品100の実装時に外部接続され外部端子65である。
より詳細には、第1端子部61は第1端子保持部52の内部で折り返されており、正面視において、第1端子部61の形状は、U字形状を横倒しにした形状となっている。
第1端子部61の絡げ端子66は、第1端子保持部52の右側面から右方に向けて水平に延出している。第1端子部61の外部端子65は、第1端子保持部52の底面から下方に突出し、更に、右方に向けて延出している。
【0022】
例えば、第3端子部63は、第1端子部61と左右対称の形状に形成されている。よって、第3端子部63は、第1端子保持部52からそれぞれ外部に露出している外部端子65及び絡げ端子66と、第1端子保持部52に埋設されている中間部(不図示)と、を有する。
【0023】
第2端子部62は、例えば、長尺且つ、下方に向けて二股に分かれている板状の金属部材を折り曲げ形成することにより構成されている。
図2及び
図6に示すように、第2端子部62は、第1端子保持部52の底面からそれぞれ外部に露出している前後一対の脚部62bと、第1端子保持部52の右側面から外部に露出している延出部62cと、第1端子保持部52に埋設されており、且つ一対の脚部62bと延出部62cとを連接している連接部(不図示)と、を有する。
一対の脚部62bは、それぞれコイル部品100の実装時に外部接続される外部端子65であり、延出部62cは、対応する巻線71の端部が絡げられる絡げ端子66である。
第2端子部62は、第1端子保持部52の内部で折り返されており、正面視及び平面視において、第2端子部62の形状は、U字形状を上下反転させた形状となっており、下方に向けて開放している。
第2端子部62の絡げ端子66は、第1端子保持部52の右側面から右方に向けて水平に延出している。第2端子部62の各外部端子65は、それぞれ第1端子保持部52の底面から下方に突出し、更に、右方に向けて延出している。
【0024】
第1端子部61〜第3端子部63の各外部端子65の左右方向における長さ寸法は、例えば、互いに同等の長さ寸法に設定されている。
また、第1端子部61〜第3端子部63を構成している板状の金属部材の厚み寸法は、互いに同等の厚み寸法に設定されている。
【0025】
第4端子部64は、例えば、長尺且つ、下方に向けて二股に分かれている板状の金属部材を折り曲げ形成することにより構成されている。
図3及び
図6に示すように、第4端子部64は、第2端子保持部55の底面からそれぞれ外部に露出している前後一対の脚部64bと、第2端子保持部55と第2鍔部42とに亘って埋設されており、且つ一対の脚部62bどうしを連接している連接部64aと、を有する。
一対の脚部64bは、それぞれコイル部品100の実装時に外部接続される外部端子65である。
第4端子部64は、第2端子保持部55及び第2鍔部42の内部で折り返されており、側面視及び平面視において、第4端子部64の形状は、U字形状を上下反転させた形状となっており、下方に向けて開放している。
図9(a)及び
図9(c)に示すように、連接部64aの上面の前後方向における中央部は、第2鍔部42の凹部42aの底面から外部に露出しており、当該露出している部分において、連接部64aは、例えば、上方に突出している突出部64cを有する。
各外部端子65は、例えば、それぞれ第2端子保持部55の底面から下方に突出し、更に、左方に向けて延出している。
【0026】
第4端子部64の各外部端子65の左右方向における長さ寸法は、例えば、互いに同等の長さ寸法に設定されている。
また、第4端子部64を構成している板状の金属部材の厚み寸法は、例えば、第1端子部61〜第3端子部63を構成している板状の金属部材の厚み寸法よりも大きい。
【0027】
図2及び
図4に示すように、コイル部品100は、例えば、コイル70として、第1コイル70aと、第2コイル70bと、を有する。
第1コイル70a及び第2コイル70bは、それぞれ各巻線71によって構成されている。コイル70の各巻線71は、ボビン部30の筒部31の周囲に巻回されている。筒部31の周囲に巻回された巻線71によって、巻回部72(
図2参照)が構成されている。各巻線71の両端部は、それぞれ対応する端子部60に電気的に接続されている。
なお、各図において、絡げ端子66に絡げられている巻線71の端部や、巻回部72から端子部60に向けて延びている部分については、図示を省略している。
【0028】
図4、
図5及び
図8に示すように、カバー部材80は、例えば、第1壁部82a、第2壁部82b、第3壁部82c及び第4壁部82dを含む矩形角筒状の側周壁部82(第1側周壁部82)を有する。
また、カバー部材80は、側周壁部82の上端を閉塞する天面部81(
図2等参照)を有する。更に、
図2及び
図6に示すように、カバー部材80は、例えば、下方に向けて開口している。
第1壁部82a〜第4壁部82dは、それぞれ平坦な平板状に形成されており、鉛直に配置されている。
図4及び
図5に示すように、例えば、第1壁部82aと第2壁部82bとが互いに対向しており、第3壁部82cと第4壁部82dとが互いに対向している。より詳細には、第1壁部82a及び第2壁部82bの各々の板面(壁面)は、例えば、左右方向を向いている。第3壁部82c及び第4壁部82dの各々の板面(壁面)は、例えば、前後方向を向いている。
天面部81は、例えば、平坦な平板状に形成されており、水平に配置されている。カバー部材80が天面部81を有することによって、コイル部品100を基板に実装する際に、マウンタによって天面部81を吸着することができ、コイル部品100を基板に実装する作業を容易に行うことができる。
ただし、天面部81は、平坦に形成されていなくてもよい。また、カバー部材80は天面部81を有していない形状(例えば、上方及び下方に向けてそれぞれ開口している形状)であってもよい。
カバー部材80は、例えば、天面部81の左側面の後部から左方に向けて突出している突出部81a(
図1及び
図3参照)を有する。突出部81aによって、カバー部材80の向きを容易に判別することができる。
【0029】
上述のように、カバー部材80は、例えば、ボビン部30を覆うように配置されている。より詳細には、
図4に示すように、例えば、第1壁部82aはボビン部30の右方を覆っており、第2壁部82bはボビン部30の左方を覆っており、第3壁部82cはボビン部30の前方を覆っており、第4壁部82dはボビン部30の後方を覆っている。また、
図3に示すように、天面部81は、ボビン部30の上方を覆っている。
このように、カバー部材80がボビン部30を覆っているので、コイル部品100の十分な耐圧性を確保することができる。
【0030】
また、
図2及び
図3に示すように、第1壁部82aには、例えば、第1壁部82aを左右方向に貫通する貫通穴88aが形成されている。同様に、第2壁部82bには、例えば、第2壁部82bを左右方向に貫通する貫通穴88bが形成されている。貫通穴88aと貫通穴88bとは、互いに対向する位置に配置されている。
第2壁部82bの貫通穴88bは、例えば、ボビン部30の貫通孔36を軸方向に視た形状と略同等の矩形状に形成されている。一方、第1壁部82aの貫通穴88aは、例えば、前後方向に長尺な略矩形状に形成されている(
図8参照)。貫通穴88aの上縁及び下縁は、それぞれ水平に配置されている。同様に、貫通穴88bの上縁及び下縁は、それぞれ水平に配置されている。
【0031】
ここで、本実施形態の場合、一例として、第1壁部82aと第2壁部82bとの対向方向が第1方向である。上述のように、本実施形態の場合、第1壁部82aと第2壁部82bとの対向方向は、左右方向である。したがって、第1方向は、コイル70の軸方向、及び、各外部端子65の先端部の延出方向とそれぞれ一致している(
図4参照)。
また、ここで、実装面に対して平行且つ第1方向に対して直交する方向を第2方向と称する。本実施形態の場合、一例として、第3壁部82cと第4壁部82dとの対向方向が第1方向に対して直交する第2方向である。上述のように、本実施形態の場合、第3壁部82cと第4壁部82dとの対向方向は、前後方向である。したがって、第2方向は、コイル70の軸方向及び各外部端子65の先端部の延出方向に対して直交する方向である(
図4参照)。
ただし、本発明において、第1方向及び第2方向は、上述の例に限定されず、コイル部品100を構成する各部材の構造や、実現したい各部材どうしの位置関係などに応じてそれぞれ適宜設定することができる。
【0032】
図6に示すように、カバー部材80は、更に、側周壁部82の下端から周囲(水平方向)に張り出しているフランジ部86と、フランジ部86の周縁から垂下しているとともに、端子保持部50の周囲を囲んでいる第2側周壁部85と、を有する。
フランジ部86は、例えば、平板状に形成されており、水平に配置されている。フランジ部86の上面86a及び下面は、それぞれ略平坦に形成された水平面となっている。ただし、フランジ部86の下面において、例えば、下方に向けて突出している突出部が形成されていてもよい。
図4に示すように、第2側周壁部85は、例えば、平面視矩形状に形成されており、当該第2側周壁部85の内部空間は直方体形状に形成されている。第2側周壁部85の下端は、下方に向けて開口している。本実施形態の場合、第2側周壁部85の下端側の開口が、カバー部材80の開口を構成している。
第2側周壁部85は、端子保持部50の右方を囲む第1壁部85aと、端子保持部50の左方を囲む第2壁部85bと、端子保持部50の前方を囲む第3壁部85cと、端子保持部50の後方を囲む第4壁部85dと、を有する(
図4及び
図5参照)。
第1壁部85a〜第4壁部85dの各々は、例えば、平板状に形成されており、鉛直に配置されている。
図4に示すように、第1壁部85a及び第2壁部85bの各々の板面(壁面)は、左右方向を向いている。第3壁部85c及び第2壁部85bの各々の板面(壁面)は、前後方向を向いている。
【0033】
また、
図6に示すように、フランジ部86において、右側に張り出している部分の左右寸法は、左側に張り出している部分の左右寸法よりも大きい。より詳細には、フランジ部86において、右側に張り出している部分の左右寸法は、第1コア部材11aの基部12の左右寸法よりも大きく、左側に張り出している部分の左右寸法は、第1コア部材11aの基部12の左右寸法と略同等の寸法又は当該左右寸法よりも僅かに大きい寸法に設定されている。
【0034】
上述のように、カバー部材80は、例えば、下方に向けて開口している。そして、カバー部材80をボビン部30に対して上方から被せ、カバー部材80を本体部材20に対して下方に向けて押し込むことによって、カバー部材80はボビン部30に外挿されている。よって、本実施形態の場合、ボビン部30に対するカバー部材80の外挿の方向(以下、単に外挿の方向と称する場合がある)は、上下方向である。
また、カバー部材80の貫通穴88a、88bとボビン部30の貫通孔36とが互いに同軸上に配置されている。
【0035】
図4及び
図5に示すように、第1壁部82aの内面は、第1鍔部41の右側面に対して平行に対向して配置されていることが好ましい。第2壁部82bの内面は、第2鍔部42の左側面に対して平行に対向して配置されていることが好ましい。第3壁部82cの内面は、第1鍔部41の前端面に対して平行に対向して配置されていることが好ましい。第4壁部82dの内面は、第1鍔部41の後端面に対して平行に対向して配置されていることが好ましい。
また、
図6に示すように、天面部81の内面と、第1鍔部41の上端面及び第2鍔部42の上端面の各々とは、例えば、互いに近接した状態で対向している。ただし、天面部81の内面と、第1鍔部41の上端面及び第2鍔部42の上端面の各々とは、互いに面接触していてもよい。
図4に示すように、第1壁部85aの内面は、第1端子保持部52の右側面に対して平行に対向して配置されていることが好ましい。第2壁部85bの内面は、第2端子保持部55の左側面に対して平行に対向して配置されていることが好ましい。第3壁部85cの内面は、第1端子保持部52の前面及び第2端子保持部55の前面の各々に対して平行に対向して配置されていることが好ましい。第4壁部85dの内面は、第1端子保持部52の後面及び第2端子保持部55の後面の各々に対して平行に対向して配置されていることが好ましい。
図6に示すように、カバー部材80のフランジ部86において第1壁部82aから右側に張り出している部分の下面は、例えば、第1端子保持部52の上面に対して面接触していることが好ましい。フランジ部86において第2壁部82bから左側に張り出している部分の下面は、例えば、第2端子保持部55の上面に対して面接触していることが好ましい。
【0036】
第1コア部材11aの芯部15は、第1壁部82a(カバー部材80の右側)の貫通穴88aを介して、ボビン部30の貫通孔36に挿入されている(
図1参照)。同様に、第2コア部材11bの芯部15(カバー部材80の左側)は、第2壁部82bの貫通穴88bを介して、ボビン部30の貫通孔36に挿入されている。
第1コア部材11aの芯部15の先端面と第2コア部材11bの芯部15の先端面とは、貫通孔36の内部において互いに突き合わされているか又は互いに近接している。すなわち、第1コア部材11aの芯部15の先端面と第2コア部材11bの芯部15の先端面とは、互いに面接触していてもよいし、互いに近接した状態で対向していてもよい。
第1コア部材11aと第2コア部材11bとによって、閉磁路が構成されている。
なお、
図4に示すように、ボビン部30にはコイル70が巻回されており、ボビン部30に芯部15が挿通されているため、コイル70は、磁性コア10の周囲に巻回されていることになる。
【0037】
図4に示すように、第1コア部材11aの前後の外脚部13は、側周壁部82の外側に配置されており、それぞれ第3壁部82c及び第4壁部82dの各々の外面に沿って配置されている。第1コア部材11aの基部12は、側周壁部82の外側に配置されており、当該基部12の内側面12cは、第1壁部82aの外面と対向して配置されている。
同様に、第2コア部材11bの前後の外脚部13は、側周壁部82の外側に配置されており、それぞれ第3壁部82c及び第4壁部82dの外面に沿って配置されている。第2コア部材11bの基部12は、側周壁部82の外側に配置されており、当該基部12の内側面12cは、第2壁部82bの外面と対向又は面接触して配置されている。
より詳細には、
図4に示すように、第1コア部材11aの基部12の内側面12cと第1壁部82aの外面との間には間隙が形成されている。一方、第2コア部材11bの基部12の内側面12cと第2壁部82bの外面との間には間隙が形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。
第1コア部材11aの前側の外脚部13の先端面と、第2コア部材11bの前側の外脚部13の先端面とは、互いに突き合わされているか又は互いに近接している。すなわち、第1コア部材11aの前側の外脚部13の先端面と、第2コア部材11bの前側の外脚部13の先端面とは、互いに面接触していてもよいし、互いに近接した状態で対向していてもよい。同様に、第1コア部材11aの後側の外脚部13の先端面と、第2コア部材11bの後側の外脚部13の先端面とは、互いに突き合わされているか又は互いに近接している。
第1コア部材11a及び第2コア部材11bの基部12及び外脚部13は、フランジ部86の上側に配置されており、当該フランジ部86の上面86aに沿って配置されている(
図1及び
図4参照)。
芯部15の下面は、貫通孔36の内周底面に沿って配置されている。
【0038】
図3に示すように、第1コア部材11aと第2コア部材11bの下面どうしは、互いに同一平面上に配置されている。第1コア部材11aと第2コア部材11bの各々の下面は、それぞれフランジ部86の上面86aに沿って配置されている。第1コア部材11aと第2コア部材11bの各々の下面と、フランジ部86の上面86aとは、それぞれ互いに面接触していてもよいし、互いに近接した状態で対向していてもよい。
図4及び
図5に示すように、第1コア部材11aの基部12の外側面12dは、第2側周壁部85の第1壁部85aの外面よりも内側又は当該外面と面一に配置されていることが好ましい。第2コア部材11bの基部12の外側面は、第2側周壁部85の第2壁部85bの外面よりも内側又は当該外面と面一に配置されていることが好ましい。第1コア部材11aの前側の外脚部13の外側面及び第2コア部材11bの前側の外脚部13の外側面の各々は、第2側周壁部85の第3壁部85cの外面よりも内側又は当該外面と面一に配置されていることが好ましい。第1コア部材11aの後側の外脚部13の外側面及び第2コア部材11bの後側の外脚部13の外側面の各々は、第2側周壁部85の第4壁部85dの外面よりも内側又は当該外面と面一に配置されていることが好ましい。
このように、本実施形態の場合、磁性コア10は、カバー部材80を介してボビン部30に挿入されている。したがって、ボビン部30とカバー部材80との位置関係を良好に維持することによって、磁性コア10とコイル70との位置関係も良好に維持されるので、より安定したコイル部品100の特性を実現することができる。
【0039】
ここで、本実施形態の場合、コイル部品100は、磁性コア10の周囲に巻き付けられている第1固定テープ90(
図4及び
図6参照)を備えている。第1固定テープ90によって、第1コア部材11a及び第2コア部材11bの各々の芯部15がボビン部30の貫通孔36に挿入されている状態が良好に維持されている。
より詳細には、
図4に示すように、第1固定テープ90は、例えば、第2コア部材11bの基部12の外側面12d、第2コア部材11bの前側の外脚部13の外面、第1コア部材11aの前側の外脚部13の外面、第1コア部材11aの基部12の外側面12d、第1コア部材11aの後側の外脚部13の外面、第2コア部材11bの後側の外脚部13の外面、及び、再び第2コア部材11bの基部12の外側面12dに沿って巻き付けられている。
本実施形態の場合、第1固定テープ90は、一方向に長尺な帯状に形成されている。第1固定テープ90は、例えば、予め粘着層が形成されている粘着テープであってもよいし、コイル部品100を組み立てる際に接着剤を用いて接着される帯状部材であってもよい。
【0040】
更に、本実施形態の場合、コイル部品100は、磁性コア10及びカバー部材80の各々の巻き付けられている第2固定テープ95(
図4及び
図6参照)を備えている。第2固定テープ95によって、磁性コア10はボビン部30及びカバー部材80の各々に対して良好に固定されている。
より詳細には、
図4及び
図6に示すように、第2固定テープ95は、例えば、第1固定テープ90の外面の全周、及び、第2側周壁部85の第1壁部85aの外面、第2側周壁部85の第2壁部85bの外面、第2側周壁部85の第3壁部85cの外面、第2側周壁部85の第4壁部85dの外面に沿って巻き付けられている。
本実施形態の場合、第2固定テープ95は、一方向に長尺な帯状に形成されている。第2固定テープ95は、例えば、予め粘着層が形成されている粘着テープであってもよいし、コイル部品100を組み立てる際に接着剤を用いて接着される帯状部材であってもよい。
【0041】
第1固定テープ90の上下寸法は、例えば、磁性コア10の上下寸法と略同等に設定されている。第2固定テープ95の上下寸法は、例えば、磁性コア10の上下寸法より大きく、カバー部材80の上下寸法より小さい。
【0042】
ここで、
図4及び
図5に示すように、平面視において、各外部端子65は、コイル部品100における外部端子65を除いた部分の外形線よりも外側に突出していることが好ましい。また、当該外形線からの第1端子部61〜第3端子部63の各外部端子65の突出長(
図4に示す寸法W1、W2、W3、W4)は、互いに実質的に同等であるとともに、当該外形線からの第4端子部64の各外部端子65の突出長(
図4に示す寸法W5、W6)は、互いに実質的に同等であることがより好ましい。
本実施形態の場合、上述のように、各外部端子65の先端部の延在方向である第1方向において、カバー部材80とボビン部30との少なくとも一方が他方を弾性的に付勢しているので、ボビン部30に対するカバー部材80の第1方向における相対的な変位が規制されている。このため、各外部端子65が外形線よりも外側に実質的に均等に突出している状態を容易に実現及び維持することができる。
しかも、各外部端子65の左右寸法を設定する際に、第1方向(左右方向)における、ボビン部30に対するカバー部材80の相対的な変位を考慮する必要がなくなるため、外部端子65を含めたコイル部品100全体の外形寸法をより小さく設定することができる。
本実施形態の場合、一例として、各寸法W1〜W4は、第2固定テープ95の右側面から第1端子部61〜第3端子部63の各外部端子65の先端面までの、第1方向における長さ寸法であり、寸法W4、W5の各々は、第1方向における、第2固定テープ95の左側面から第4端子部64の各外部端子65の先端面までの長さ寸法である。
【0043】
第1コア部材11a及び第2コア部材11bの各々は、それらの全体が磁性材料によって一体成形されている。
本体部材20(ボビン部30及び端子保持部50)は、例えば、その全体が樹脂等の絶縁材料により一体成形されている。
カバー部材80は、例えば、その全体が樹脂等の絶縁材料によって一体成形されている。
【0044】
ここで、
図3に示すように、ボビン部30は、例えば、第1壁部82aに沿って配置されている第1側面45と、第2壁部82bに沿って配置されている第2側面48と、を有する。
そして、第1壁部82aと第1側面45との少なくとも一方が他方を第1方向において弾性的に付勢している。更に、第2側面48と第2壁部82bとがそれぞれ平坦に形成されているとともに互いに面接触している。
これにより、カバー部材80をボビン部30に対して外挿する際に、第2側面48と第2壁部82bとが互いに面接触するように配置することによって、専用の治具を用いることなく、ボビン部30に対するカバー部材80の位置決めを容易に行うことができる。しかも、第2側面48と第2壁部82bとが互いに面接触している状態が良好に維持されるため、ボビン部30に対するカバー部材80のZ軸周り及びY軸周りの各々の相対的な変位も規制することができる。よって、上述の各寸法W1〜W4が互いに同等であるとともに、上述の寸法W5とW6とが互いに同等である状態をより容易に実現及び維持することができる。
しかも、第1方向における各外部端子65の長さ寸法を設定する際に、第1方向における、第2側面48から第1端子部61〜第3端子部63の各外部端子65の先端面までの長さ寸法と、第1方向における、第2側面48から第4端子部64の各外部端子65の先端面までの長さ寸法と、を考慮することによって上述の構成を容易に実現できる。よって、外部端子65を含めたコイル部品100全体の外形寸法を更に小さく設定することができる。
【0045】
図3に示すように、本実施形態の場合、第1側面45は、第1鍔部41の右側面によって構成されている。また、第2側面48は、例えば、第2鍔部42の左側面によって構成されている。
よって、第1側面45(後述の基準面49)は、第1方向(本実施形態の場合、左右方向)に対して直交している。一方、第2側面48は、第1方向(本実施形態の場合、左右方向)に対して直交している。また、第1側面45は右方を向いて配置されており、第2側面48は左方を向いて配置されている。
【0046】
ここで、
図3及び
図8に示すように、例えば、カバー部材80とボビン部30との少なくとも一方が、他方を弾性的に付勢するバネ片83を有する。本実施形態の場合、一例として、カバー部材80がバネ片83を有しており、このバネ片83によって、カバー部材80はボビン部30を弾性的に付勢している。
バネ片83は、第1方向における一方に向けて弾性変形可能となっている。カバー部材80がボビン部30に対して外挿される際に、カバー部材80をボビン部30に対して下方に押し込むと、カバー部材80がボビン部30によって押圧されている状態となり、バネ片83が第1方向における一方に向けて弾性変形するとともに、バネ片83が第1方向における他方(以下、単に付勢の方向と称する場合がある)に向けてボビン部30を弾性的に付勢している状態となる。
このように、十分な変位量で弾性変形可能なバネ片83によってボビン部30を弾性的に付勢しているため、ボビン部30とカバー部材80とのいずれか一方又は両方の第1方向における寸法に製造バラツキが生じたとしても、当該製造バラツキに応じてバネ片83が弾性変形することによって、製造バラツキをより良好に吸収することができる。よって、カバー部材80は、当該製造バラツキに関わらず、ボビン部30を好適に付勢することができる。
【0047】
本実施形態の場合、一例として、カバー部材80の第1壁部82aの一部分がバネ片83を構成しており、このバネ片83によって、カバー部材80(第1壁部82a)はボビン部30(第1側面45)を弾性的に付勢している。そして、
図6に示すように、第1側面45は、バネ片83よりも左側に配置されている。よって、バネ片83による付勢の方向は左方であり、第2側面48が向いている方向と一致している。このため、第2側面48は、バネ片83によって左方(第2壁部82b側)に付勢されて第2壁部82bの内面に対して良好に面接触している。
【0048】
図6及び
図8に示すように、本実施形態の場合、一例として、バネ片83は片持ち式の構造である。より詳細には、バネ片83の一端と他端とのうち、一端が支持されており、他端が支持されていない。
これにより、バネ片83が、より十分な変位量で弾性変形可能な構造を実現できる。よって、カバー部材80をボビン部30にスムーズに外挿することができるとともに、カバー部材80はボビン部30を良好に弾性的に付勢することができる。
ただし、バネ片83は、片持ち式の構造に限定されず、バネ片83の一端と他端との両方が支持されている両持ち式の構造であってもよい。
【0049】
また、バネ片83は、ボビン部30に対するカバー部材80の外挿の方向におけるバネ片83の一端部が支持されている片持ち式の構造である。
これにより、例えば、第1側面45に上記外挿の方向に沿った凹凸が形成されている場合、カバー部材80がボビン部30に対して外挿される際に、バネ片83は当該凹凸に追随して第1方向に弾性変形することができる。よって、バネ片83のボビン部30に対する干渉を抑制することができる。
図8に示すように、バネ片83は、第1壁部82aに形成されている貫通穴88aの上縁から下方に向けて延出して形成されている。すなわち、バネ片83の上端部(後述の基端部83a)が第1壁部82aによって支持されている。より詳細には、バネ片83の上端部が固定端となっており、バネ片83の下端部(後述の先端部83c)が自由端となっている。
ただし、例えば、バネ片83は、第1壁部82aに形成されている貫通穴88aの下縁から上方に向けて延出して形成されていてもよい。すなわち、バネ片83の上端部(後述の基端部83a)が自由端となっており、バネ片83の下端部(後述の先端部83c)が固定端となっていてもよい。
なお、バネ片83の延出方向は、外挿の方向に限定されず、例えば、第2方向であってもよい。
また、本実施形態の場合、バネ片83は、少なくとも第1側面45に沿って配置されればよい。よって、例えば、バネ片83は、天面部81の一部分と、第1壁部82aの一部分とによって構成されていてもよい。
【0050】
図1、
図2及び
図8に示すように、バネ片83は、例えば、前後方向において、ボビン部30の貫通孔36を間に挟むようにして、第1壁部82aの前部と後部とのそれぞれに形成されている。換言すると、貫通孔36は、前側のバネ片83と後側のバネ片83との間に配置されている。このように、2つのバネ片83が、前後方向、すなわち第1方向に対して直交する方向において、互いに並んで形成されていることによって、第1方向においてバネ片83が第1側面45をより良好に弾性的に付勢している構造を実現することができる。
各バネ片83は、例えば、互いに平行に延在している。
各バネ片83は、例えば、略平坦な平板状に形成されている板バネである。
第1方向(左右方向)に視た各バネ片83の形状は、例えば、上下方向に長尺な略矩形状となっている。また、バネ片83の厚み寸法は、上下方向における位置にかかわらず略一定であり、第1壁部82aの厚み寸法と同等に設定されている。
また、
図6に示すように、バネ片83は、第1方向における一方(右方)に向けて凸に屈曲しているとともに、第1方向における他方(左方)に向けて凸に屈曲している。
より詳細には、各バネ片83は、例えば、第1壁部82aと連接されている基端部83aと、基端部83aと連接されている屈曲部83bと、屈曲部83bと連接されている先端部83cと、を含む。
基端部83aは、貫通穴88aの上縁から下方に向けて延出しており、屈曲部83bは、基端部83aの下縁から下方に向けて左側への変位量が多くなるように屈曲している。先端部83cは、屈曲部83bの下縁から下方に向けて延出している。
更に詳細には、基端部83aの外面と屈曲部83bの外面との境界部は、例えば、第1壁部82aの外面よりも外側に突出している。また、屈曲部83bの内面831bと先端部83cの内面831cの境界部は、例えば、第1壁部82aの内面よりも内側に突出しているか、又は、第1壁部82aの内面と同一平面上に位置していることが好ましい。
本実施形態の場合、上述のように、第1コア部材11aの基部12の内側面12cと第1壁部82aの外面との間には間隙が形成されている(
図4参照)。これにより、バネ片83の一部分が、第1壁部82aの外面よりも外側(右側)に突出していても、バネ片83と基部12とが互いに干渉してしまうことが抑制されている。
【0051】
各バネ片83は、例えば、カバー部材80と一体成形されている。よって、バネ片83は、カバー部材80を構成している樹脂材料と同種の樹脂材料によって構成されている。
ただし、バネ片83は、例えば、インサート成形によって、カバー部材80に対して組み込まれていてもよい。この場合、バネ片83は、金属によって構成されている。また、バネ片83は、カバー部材80とは別体に成形されており、例えば、接着剤等によってカバー部材80に固定されていてもよい。この場合、バネ片83は、カバー部材80を構成している樹脂材料と同種の樹脂材料によって構成されていてもよいし、金属などの他の材料によって構成されていてもよい。
【0052】
更に、本実施形態の場合、コイル部品100は、カバー部材80とボビン部30との一方(本実施形態の場合、一例として、カバー部材80)がバネ片83を有し、カバー部材80とボビン部30との他方(本実施形態の場合、一例として、ボビン部30)は、バネ片83側に向けて隆起している隆起部46を有する。
これにより、カバー部材80がボビン部30に対して外挿されている状態において、バネ片83をボビン部30(隆起部46)に対してより確実に接触させることができる。よって、第1方向における、カバー部材80に対するボビン部30の相対的な変位をより確実に規制することができる。
より詳細には、隆起部46は、例えば、バネ片83の付勢の方向(第1方向における他方)の反対方向、すなわち第1方向における一方に向けて隆起している。バネ片83は、隆起部46に第1方向における一方に向けて押圧されることによって、当該一方に向けて弾性変形している。
【0053】
より詳細には、本実施形態の場合、一例として、ボビン部30の第1側面45に隆起部46が形成されている。そして、バネ片83は、第1側面45よりも右側に配置されている。よって、隆起部46の隆起の方向は右方であり、第2壁部82bの内面が向いている方向と一致している。このため、第2側面48は、隆起部46によって左方(第2壁部82b側)に更に付勢されて第2壁部82bの内面に対して良好に面接触している。
隆起部46は、第1側面45において、一対のバネ片83と対応した箇所にそれぞれ形成されている。したがって、隆起部46は、一例として、前後方向において、貫通孔36を間に挟むようにして、第1側面45の前部と後部とのそれぞれに形成されている。換言すると、貫通孔36は、前側の隆起部46と後側の隆起部46との間に配置されている。
【0054】
ここで、隆起部46は、例えば、隆起部46の少なくとも一部分において、ボビン部30に対するカバー部材80の外挿の方向に向けて、カバー部材80とボビン部30との他方の側への隆起量が増大していることが好ましい。
図6に示すように、本実施形態の場合、一例として、隆起部46は、下方に向けてカバー部材80側への隆起量が増大している。
これにより、バネ片83のボビン部30に対する付勢力が、下方に向けて増大することとなるので、カバー部材80がボビン部30に対して外挿されている状態において、バネ片83が良好にボビン部30を弾性的に付勢している構造を実現することができる。
しかも、上述のように、本実施形態の場合、バネ片83は、ボビン部30に対するカバー部材80の外挿の方向におけるバネ片83の上端部(基端部83a)が支持されている片持ち式の構造である。このため、カバー部材80をボビン部30に対して外挿する際に、バネ片83は、外挿の方向(下方)に向けてカバー部材80側への隆起量が増大している隆起部46の形状に沿って、良好に弾性変形することができる。
【0055】
図6に示すように、各隆起部46は、下方に向けて隆起量がテーパー状に増大しているテーパー部46aと、平坦に形成されており鉛直に配置されている平坦部46bと、を含む。
テーパー部46a及び平坦部46bの各々は、第1壁部82aの内面と対向して配置されている。
平坦部46bは、例えば、第1方向(本実施形態の場合、左右方向)に対して直交している。
各テーパー部46aの上縁は、後述する案内部47の下縁と連接されており、各テーパー部46aの下縁は、対応する平坦部46bの上縁と連接されている。各平坦部46bの下縁は、第1端子保持部52の上面と連接されている。
更に、第1側面45において、各隆起部46の上側には、上方に向けて隆起量がテーパー状に減少している前後一対の案内部47(
図9(a)参照)が形成されている。前側の案内部47は、前側の隆起部46のテーパー部46aと連続して形成されており、後側の案内部47は、後側の隆起部46のテーパー部46aと連続して形成されている。また、各案内部47は、例えば、第1側面45の上端面からテーパー部46aの上縁に亘って形成されている。
【0056】
図3、
図6及び
図9(b)に示すように、隆起部46(テーパー部46a及び平坦部46b)は、第1側面45における隆起部46及び案内部47以外の部分(以下、基準面49)よりも右方(第1壁部82a側)に向けて突出している。より詳細には、隆起部46の外側面は、第1端子保持部52の右側面よりも、左側に配置されている。
また、案内部47は、基準面49よりも左側に配置されている。
基準面49に対する案内部47の傾斜角度と基準面49に対するテーパー部46aの傾斜角度とは、互いに同等の傾斜角度に設定されており、案内部47の傾斜面とテーパー部46aの傾斜面とは互いに延長上に配置されている。したがって、案内部47の傾斜面とテーパー部46aの傾斜面とは、互いに面一で配置されている(
図6及び
図9(b)参照)。
また、案内部47及びテーパー部46aの各々は、上下方向に延在して形成されている。そして、案内部47の前後寸法とテーパー部46aの前後寸法とは、互いに同等の寸法に設定されている。よって、側面視において、案内部47とテーパー部46aとの集合体は、例えば、上下方向に延在した直線形状となっている。
また、第1側面45の上端面において、前側の案内部47と後側の案内部47とに挟まれている部分には、上方及び左右方向の各々に向けて開放している切欠形状部45a(
図9(a)及び
図9(c)参照)が形成されている。
カバー部材80がボビン部30に対して外挿される際に、一対のバネ片83は、対応する案内部47に沿って隆起部46に向けて案内される。
【0057】
ここで、
図6に示すように、本実施形態の場合、バネ片83の先端部83cは、カバー部材80とボビン部30との他方(本実施形態の場合、一例として、ボビン部30)に対して接触して当該他方(ボビン部30)を付勢している接触部84を有し、バネ片83における接触部84よりも基端側の一部分が、他方(ボビン部30)から離間していることが好ましい。
これにより、ボビン部30に対する接触部84(バネ片83)の接触面積を小さくすることができる。よって、ボビン部30において接触部84と接触する部位の寸法や傾斜角度にかかわらず、バネ片83をボビン部30に対して適正に(意図した位置に)位置決めすることができる。
【0058】
接触部84は、例えば、他方(ボビン部30)に対して、線接触又は点接触していてもよいし、面接触していてもよい。ただし、接触部84が、ボビン部30に対して面接触している場合は、接触部84において、高さ寸法(上下寸法)が幅寸法(前後寸法)よりも小さいことが好ましい。そして、接触部84において、幅寸法に対して高さ寸法が更に小さくなると、線接触となる。つまり、接触部84がボビン部30に対して線接触しているとは、接触部84において、幅寸法に対して高さ寸法が大幅に小さい状態を意味している。
このうち、本実施形態では、接触部84は、他方(ボビン部30)に対して線接触又は点接触しており、バネ片83の先端部83cにおいて、接触部84よりも先端側の部分は、他方(ボビン部30)から離間していることがより好ましい。
これにより、ボビン部30に対する接触部84(バネ片83)の接触面積をより小さくすることができる。よって、ボビン部30において接触部84と接触する部位の寸法や傾斜角度にかかわらず、バネ片83をボビン部30に対して適正に(意図した位置に)位置決めすることができる。
【0059】
本実施形態の場合、
図6に示すように、屈曲部83bの内面831bと先端部83cの内面831cとの境界が、ボビン部30に対する接触部84となっている。接触部84は、例えば、隆起部46の平坦部46bに対して、前後方向に沿って線接触している。
より詳細には、屈曲部83bは、例えば、平坦部46bに対して、上方に向けて右側に傾斜している。先端部83cは、例えば、平坦部46bに対して、下方に向けて右側に傾斜している。更に詳細には、屈曲部83bは、接触部84を基準として、上方に向けて徐々に平坦部46bから離間しており、先端部83cは、接触部84を基準として、下方に向けて徐々に平坦部46bから離間している。
このように、コイル部品100において、バネ片83が第1方向に対して直交している平坦部46bに対して線接触する構造となっているため、カバー部材80はボビン部30を第1方向における他方(左方)に向けて良好に付勢することができる。
【0060】
ここで、
図7は、カバー部材80がボビン部30に対して外挿される前の状態、すなわちバネ片83に外力が作用していない状態を示している。
図7において、便宜的に隆起部46の平坦部46bを二点鎖線で示している。
図7に示すように、カバー部材80がボビン部30に対して外挿される前の状態において、基端部83aの外面及び内面は、それぞれ第1方向(左右方向)に対して直交している。また、基端部83aの外面は、例えば、第1壁部82aにおけるバネ片83以外の部分(以下、主部821a)の外面と面一に配置されており、基端部83aの内面は、例えば、主部821aの内面と面一に配置されている。
同様に、カバー部材80がボビン部30に対して外挿される前の状態において、先端部83cの外面及び内面831cは、それぞれ第1方向(左右方向)に対して直交している。ただし、先端部83cの外面は、主部821aの外面よりも内側に配置されており、先端部83cの内面831cは、主部821aの内面よりも内側に配置されている。
また、カバー部材80がボビン部30に対して外挿される前の状態において、例えば、屈曲部83bの外面は、主部821aの外面よりも内側に配置されており、屈曲部83bの内面831bは、主部821aの内面よりも内側に配置されている。
したがって、カバー部材80がボビン部30に対して挿入される前の状態において、バネ片83の一部分(例えば、屈曲部83b及び先端部83c)は、主部821aよりも、第1方向における他方、すなわち付勢の方向側に屈曲している。より詳細には、
図7に示すように、バネ片83の一部分(屈曲部83bの内面831b及び先端部83cの内面831c)は、平坦部46bよりも付勢の方向側(左側)に位置している。
これにより、第1方向におけるボビン部30の寸法に製造バラツキがあったとしても、バネ片83が平坦部46bに対して安定して接触するため、カバー部材80は第1側面45(ボビン部30)を良好に弾性的に付勢することができる。
本実施形態の場合、カバー部材80がボビン部30に対して外挿されると、バネ片83は、隆起部46によって右側に押圧されて、基端部83aと第1壁部82aとの境界を支点として右方、すなわち付勢の方向とは反対方向に揺動(弾性変形)する。
【0061】
更に、
図1及び
図8に示すように、本実施形態の場合、第3壁部82cと第4壁部82dとの少なくとも一方が、嵌合構造によってボビン部30に対して嵌合している。
これにより、実装面に対して平行であるとともに第1方向に対して直交する方向、すなわち第2方向において、ボビン部30に対するカバー部材80の相対的な変位が規制される。より詳細には、例えば、カバー部材80の内部空間において、ボビン部30含む本体部材20を、前後方向における所望の位置に位置決めすることができる。よって、本実施形態の場合、例えば、本体部材20を、前後方向における中心に配置することができるとともに、当該位置関係を良好に維持することができる。
しかも、カバー部材80がボビン部30に対して嵌合している構造となるため、上下方向において、ボビン部30がカバー部材80から脱落してしまうことを規制できる。
本実施形態の場合、第3壁部82cと第4壁部82dとの双方が、嵌合構造によってボビン部30に対して嵌合している。
より詳細は、
図2及び
図4等に示すように、第1端子保持部52は、第1端子保持部52の前面から第2方向における一方に突出している第1突起部53aと、第1端子保持部52の後面から第2方向における他方に突出している第1突起部53bと、を有する。同様に、第2端子保持部55は、第2端子保持部55の前面から第2方向における一方に突出している第2突起部56aと、第2端子保持部55の後面から第2方向における他方に突出している第2突起部56bと、を有する。
更に、
図2に示すように、例えば、第2側周壁部85の第3壁部85cにおいて、第1突起部53a及び第2突起部56aと対応する部分には、それぞれ第1スリット部89aが形成されている。各第1スリット部89aは、例えば、それぞれ第3壁部85cを第2方向(前後方向)に貫通して形成されている。ただし、第1スリット部89aの代わりに、第3壁部85cの内面から前方に向けて窪んでいる第1凹部(不図示)が形成されていてもよい。各第1スリット部89aは、例えば、それぞれ左右方向において略直線状に延在している。
同様に、
図2に示すように、例えば、第2側周壁部85の第4壁部85dにおいて、第1突起部53b及び第2突起部56bと対応する部分には、それぞれ第2スリット部89bが形成されている。各第2スリット部89bは、例えば、それぞれ第4壁部85dを第2方向(前後方向)に貫通して形成されている。ただし、第2スリット部89bの代わりに、第4壁部85dの内面から後方に向けて窪んでいる第2凹部(不図示)が形成されていてもよい。各第2スリット部89bは、例えば、それぞれ左右方向において略直線状に延在している。
第1突起部53a及び第2突起部56aの各々は対応する第1スリット部89aと嵌合している。同様に、第1突起部53b及び第2突起部56bの各々は対応する第2スリット部89bと嵌合している。
このように、第3壁部82cと第4壁部82dとの双方が、嵌合構造によってボビン部30に対して嵌合しているため、ボビン部30に対するカバー部材80のX軸周り及びY軸周りの各々の相対的な変位を規制することができる。これにより、カバー部材80がボビン部30に対して外挿されている状態をより良好に維持することができる。
本実施形態の場合、第1突起部53aの突出長と第1突起部53bの突出長は、互いに同等に設定されている。同様に、第2突起部56aの突出長と第2突起部56bの突出長は、互いに同等に設定されている。また、第1突起部53a、53bの突出長と第2突起部56a、56bの突出長は、互いに同等に設定されている。
また、第1突起部53a及び第2突起部56aの各々と各第1スリット部89aとは、図示しない接着剤等によって互いに更に固定されていてもよい。同様に、第1突起部53b及び第2突起部56bの各々と各第2スリット部89bとは、図示しない接着剤等によって互いに更に固定されていてもよい。
【0062】
本実施形態に係るコイル部品100は、以上のように構成されている。このようなコイル部品100は、一例として、高耐圧のパルストランスとして用いることができる。ただし、コイル部品100の用途はこの例に限らない。
【0063】
コイル部品100の組み立ては、例えば、以下のようにして行うことができる。
先ず、ボビン部30の筒部31の周囲にコイル70(第1コイル70a及び第2コイル70b)の各巻線71を巻回する。各巻線71の端部の各々は、対応する端子部60の絡げ端子66に絡げ、溶接固定又は半田による固定を行う。
次に、カバー部材80をボビン部30に対して上方から被せる。この際に、例えば、バネ片83の先端部83cは、先ず、対応する第1側面45の案内部47に沿って配置され、第2壁部82bの内面は、第2側面48と面接触して配置される。そして、第1突起部53a及び第2突起部56aの各々が対応する第1スリット部89aと嵌合しているとともに、第1突起部53b及び第2突起部56bの各々が対応する第2スリット部89bと嵌合している状態となるまで、カバー部材80を本体部材20に対して下方に押し込む。この際に、バネ片83の屈曲部83bと先端部83cとの境界部は、案内部47の傾斜面とテーパー部46aの傾斜面との各々に沿って下方に向けて摺動し、平坦部46bに到達する。これにより、カバー部材80はボビン部30に対して外挿される。
次に、第1コア部材11aの芯部15を貫通穴88aから貫通孔36に挿入する一方で、第2コア部材11bの芯部15を貫通穴88bから貫通孔36に挿入する。
次に、第1固定テープ90を、磁性コア10の周囲に、少なくとも1周以上巻き付ける。これにより、磁性コア10をカバー部材80及びボビン部30に対して固定することができる。更に、第2固定テープ95を、第1固定テープ90の周囲及びカバー部材80の第2側周壁部85の周囲の各々に対して、少なくとも1周以上巻き付ける(
図4参照)。これにより、磁性コア10をカバー部材80及び本体部材20に対してより確実に固定することができる。
こうして、コイル部品100が得られる。
【0064】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0065】
例えば、上記においては、カバー部材80がボビン部30を弾性的に付勢している例を説明したが、本発明はこの例に限らず、ボビン部30がカバー部材80を弾性的に付勢していてもよい。すなわち、ボビン部30が弾性変形しており、ボビン部30はその弾性復元力によってカバー部材80を弾性的に付勢していてもよい。
この場合、例えば、ボビン部30がカバー部材80を弾性的に付勢するバネ片83を有し、カバー部材80が、上記バネ片83側に向けて隆起している隆起部46を有していてもよい。
更に、本発明においては、カバー部材80がボビン部30を弾性的に付勢しているとともに、ボビン部30がカバー部材80を弾性的に付勢していてもよい。すなわち、カバー部材80が弾性変形しており、カバー部材80はその弾性復元力によってボビン部30を弾性的に付勢しているとともに、ボビン部30が弾性変形しており、ボビン部30はその弾性復元力によってカバー部材80を弾性的に付勢していてもよい。
この場合、カバー部材80がボビン部30を弾性的に付勢している方向と、ボビン部30がカバー部材80を弾性的に付勢している方向とは、それぞれ実装面に対して平行な方向であるとともに、互いに異なる方向(例えば、互いに直交する方向)であってもよい。換言すると、例えば、カバー部材80は、第1方向において、ボビン部30を弾性的に付勢しており、ボビン部30は、第2方向において、カバー部材80を弾性的に付勢していてもよい。また、カバー部材80が、第1方向における他方に向けてボビン部30を弾性的に付勢しており、ボビン部30が、第1方向における一方に向けてカバー部材80を弾性的に付勢していてもよいし、又はその逆であってもよい。
【0066】
また、上記においては、カバー部材80がボビン部30を第1方向における他方に向けて弾性的に付勢している例を説明したが、本発明はこの例に限らず、カバー部材80は、第1方向における一方と第1方向における他方との双方に向けて、ボビン部30を弾性的に付勢していてもよい。
より詳細には、例えば、カバー部材80は、第1方向における一方側(第1壁部82a)と、第1方向における他方側(第2壁部82b)との両側において、ボビン部30を弾性的に付勢しているバネ片83を有していてもよい。この場合、ボビン部30の第1側面45と第2側面48との両側において、カバー部材80側に向けて隆起している隆起部46が形成されていることが好ましい。
なお、この場合においても、上述したようにボビン部30がカバー部材80を弾性的に付勢していてもよい。すなわち、ボビン部30が、第1方向における一方と第1方向における他方との両方に向けてカバー部材80を弾性的に付勢していてもよい。
【0067】
また、上記においては、カバー部材80がバネ片83によってボビン部30を弾性的に付勢している例を説明したが、本発明はこの例に限らず、カバー部材80の内面において、ボビン部30側に向けてテーパー状に突出しているテーパー部が形成されており、当該テーパー部がボビン部30に対して弾性的に圧接されることによって、カバー部材80がボビン部30を弾性的に付勢していてもよい。この場合、一例として、テーパー部の上部は、外挿の方向における一方に向けてボビン部30側への隆起量が徐々増大しており、テーパー部のその他の部分(下部)は、外挿の方向における他方に向けてボビン部30側への隆起量が徐々に減少していることが好ましい。これにより、カバー部材80をボビン部30に対してスムーズに外挿できるとともに、テーパー部は良好にボビン部30を弾性的に付勢することができる。
なお、この場合においても、上述したようにボビン部30がカバー部材80を弾性的に付勢していてもよい。すなわち、ボビン部30の外面に、カバー部材80側に向けてテーパー状に突出しているテーパー部が形成されていてもよい。
【0068】
また、上記においては、磁性コア10が2つのEコアを備えて構成されている例を説明したが、本発明はこの例に限らず、磁性コア10はEコアとIコアとを備えて構成されていてもよい。
更に、磁性コア10は、2つのTコアを備えて構成されていたり、TコアとIコアとを備えて構成されていてもよい。この場合、平面視において、磁性コア10の全体形状がH字状となっている。
【0069】
また、上記においては、磁性コア10が芯部15を有する例を説明したが、磁性コア10は、芯部15を有していない構成であってもよい。すなわち、磁性コア10は、それぞれU字状の2つのコア部材を備えて構成されていてもよいし、U字状のコア部材とI字状のコア部材とを備えて構成されていてもよい。この場合、平面視において、磁性コア10の全体形状が矩形環状となっている。
【0070】
また、上記においては、磁性コア10が2つの部材(第1コア部材11aと第2コア部材11b)を備える例を説明したが、磁性コア10は全体が一体のものであってもよいし、3つ以上の部材を備えて構成されていてもよい。
【0071】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)ボビン部と、
前記ボビン部に挿通されている磁性コアと、
前記ボビン部に巻回されているコイルと、
前記ボビン部に外挿されることによって前記ボビン部を覆っているカバー部材と、
を備えるコイル部品であって、
前記カバー部材と前記ボビン部とが互いに当接しており、実装面に対して平行な方向における第1方向において、前記カバー部材と前記ボビン部との少なくとも一方が他方を弾性的に付勢しているコイル部品。
(2)前記カバー部材と前記ボビン部との少なくとも一方が、他方を弾性的に付勢するバネ片を有する(1)に記載のコイル部品。
(3)前記バネ片は片持ち式の構造である(2)に記載のコイル部品。
(4)前記バネ片は、前記ボビン部に対する前記カバー部材の外挿の方向における当該バネ片の一端部が支持されている片持ち式の構造である(3)に記載のコイル部品。
(5)前記バネ片の先端部は、前記カバー部材と前記ボビン部との前記他方に対して接触して当該他方を付勢している接触部を有し、
前記バネ片における前記接触部よりも基端側の一部分が、前記他方から離間している(3)又は(4)に記載のコイル部品。
(6)前記接触部は、前記他方に対して線接触又は点接触しており、
前記バネ片の前記先端部において、前記接触部よりも先端側の部分は、前記他方から離間している(5)に記載のコイル部品。
(7)前記カバー部材と前記ボビン部との一方が前記バネ片を有し、
前記カバー部材と前記ボビン部との他方は、前記バネ片側に向けて隆起している隆起部を有する(2)から(6)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(8)前記隆起部の少なくとも一部分において、前記ボビン部に対する前記カバー部材の外挿の方向に向けて、前記カバー部材と前記ボビン部との他方の側への隆起量が増大している(7)に記載のコイル部品。
(9)前記カバー部材は、互いに対向する第1壁部と第2壁部とを含む側周壁部を有し、
前記ボビン部は、前記第1壁部に沿って配置されている第1側面を有し、
前記第1壁部と前記第1側面との少なくとも一方が他方を前記第1方向において弾性的に付勢しており、
前記ボビン部は、前記第2壁部に沿って配置されている第2側面を有し、
前記第2側面と前記第2壁部とがそれぞれ平坦に形成されているとともに互いに面接触している(1)から(8)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(10)前記カバー部材は、第1壁部、第2壁部、第3壁部及び第4壁部を含む矩形角筒状の側周壁部を有し、前記第1壁部と前記第2壁部とが互いに対向しており、前記第3壁部と前記第4壁部とが互いに対向しており、
前記第1壁部と前記第2壁部との対向方向が前記第1方向であり、
前記第3壁部と前記第4壁部との対向方向が前記第1方向に対して直交する第2方向であり、
前記第3壁部と前記第4壁部との少なくとも一方が、嵌合構造によって前記ボビン部に対して嵌合している(1)から(9)のいずれか一項に記載のコイル部品。