(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-136330(P2021-136330A)
(43)【公開日】2021年9月13日
(54)【発明の名称】手工具用着磁器
(51)【国際特許分類】
H01F 13/00 20060101AFI20210816BHJP
【FI】
H01F13/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-31442(P2020-31442)
(22)【出願日】2020年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】520068179
【氏名又は名称】鎧▲び▼企業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】江政聰
(57)【要約】
【課題】着磁器の設置を改良して、本体が手工具の直径に応じて挟み距離を変化することができ、ねじ込み作業をスムーズに行うことが可能な手工具用着磁器を提供する。
【解決手段】本体と、二つの磁気吸着ユニットと、から構成される工具用着磁器において、本体は、第1ケースと、第2ケースと、二つの連接板と、を備え、第1ケースと第2ケースとは、互いに対称するように設けられ、第1ケースと第2ケースとの両端には、スライド溝がそれぞれ設けられており、第1ケースと第2ケースとの中央に取付溝が設けられており、本体には、ネジドライバーを収容する結合穴が形成されており、二つの磁気吸着ユニットは、それぞれ取付溝に取り付けられており、二つの磁気吸着ユニットの対向面の磁気の極性は同じであり、自在区により、第1ケースは第2ケースへ移動して、本体がネジドライバーに密着する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、二つの磁気吸着ユニットと、から構成される工具用着磁器において、
前記本体は、第1ケースと、第2ケースと、二つの連接板と、を備え、前記第1ケースと前記第2ケースとは、互いに対称するように設けられ、前記第1ケースと前記第2ケースとの両端には、スライド溝がそれぞれ設けられており、前記第1ケースと前記第2ケースとの前記スライド溝には、前記連接板の方向に沿う自在区が設けられており、前記第1ケースと前記第2ケースとの中央に取付溝が設けられており、二つの前記磁気吸着ユニットは前記取付溝に組付けられており、二つの前記連接板はほぼエ字形を呈し、二つの前記連接板の上端と下端とは、前記第1ケースと前記第2ケースとに設けられている前記スライド溝にそれぞれ嵌め込まれており、これらの前記連接板により、前記第1ケースと前記第2ケースとが組付けられて前記本体を形成し、前記本体には、ネジドライバーを収容する結合穴が形成されており、
二つの前記磁気吸着ユニットは、それぞれ前記取付溝に取り付けられており、二つの前記磁気吸着ユニットの対向面の磁気の極性は同じであり、前記結合穴にネジドライバーが組付けられていないときには、二つの前記磁気吸着ユニットが互いに排他的であり、前記自在区により前記第1ケースと前記第2ケースとが互に離れ、前記結合穴にネジドライバーが組付けられているときには、二つの前記磁気吸着ユニットが前記ネジドライバーの表面に吸着され、前記自在区により、前記第1ケースは前記第2ケースへ移動して、前記本体が前記ネジドライバーに密着することを特徴とする工具用着磁器。
【請求項2】
前記第1ケースと前記第2ケースとの前記スライド溝に止め壁が設けられており、前記止め壁の一端に閉じ蓋が組付けられており、前記閉じ蓋により、二つの前記連接板と二つの前記磁気吸着ユニットとは、前記本体から離脱不能となることを特徴とする、請求項1に記載の工具用着磁器。
【請求項3】
前記第1ケースと前記第2ケースとには、更に、互いに噛み合い可能な歯部が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の工具用着磁器。
【請求項4】
前記本体の前記結合穴の移動可能範囲は、4〜7mm程度であることを特徴とする、請求項1に記載の工具用着磁器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手工具用の着磁機器に関し、特に、手工具用着磁器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネジドライバーは、日常によく見られる手工具の一つであり、ユーザーの操作を便利にするために、ネジドライバーに着磁器を組付けることが一般的である。これにより、ネジドライバーは、ネジなどを吸着することが可能となる。
【0003】
例えばPCBプリント回路基板のような製品に、例えば、グラフィックスカード、CPUや放熱ファンなどの装置を組付けるために、着磁器により手工具を着磁しないと、ドライバーヘッドがネジを吸着することができない。ネジドライバーにより、プリント回路基板にネジをねじ込むときには、プリント回路基板の構成が極めて精密なため、従来のネジドライバーを利用すると、ユーザーの視線がハンドルに遮蔽される。このため、ユーザーは、前記着磁器を握ってネジドライバーを回転することがある。
【0004】
プリント回路基板にねじ込まれるネジの寸法は多いため、両種以上のネジドライバーを用意しないと、ねじ込む作業を行うことができない。このため、ある業者は、
図1から
図3に示す着磁器を開発した。このような着磁器は、同じ極性を有する磁石が互いに排他的であり、異なる極性を有する磁石が互いに吸引する原理を利用する。本体11には、互いに対称する二つの溝12が設けられている。二つの溝12は、移動可能距離を有する。各溝12に磁石13が組付けられている。二つの磁石13は、
図2に示すように、同じ極性で対向して、二つの磁石13が前記移動可能距離の第1位置A1に位置する。ネジドライバーを入れた後、
図3に示すように、二つの磁石13は、磁石13の磁気による吸着力により、第2位置A2に移動してネジドライバーに吸着して、前記ネジドライバーを着磁させる。
【0005】
このような設計の概念により、磁石13を移動してネジドライバーを着磁させることが可能であるが、実際の使用において、本体11の結合穴の寸法に合うネジドライバーであれば、別に問題はないが、ネジドライバーの寸法がより小さい場合には、磁石13がネジドライバーの表面に吸着するだけであるため、着磁器を回転すると、磁石が滑ってアイドリングしやすい問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、着磁器の設置を改良して、本体が手工具の直径に応じて挟み距離を変化することができ、ねじ込み作業をスムーズに行うことが可能な手工具用着磁器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る手工具用着磁器によると、本体と、二つの磁気吸着ユニットと、から構成される工具用着磁器において、
本体は、第1ケースと、第2ケースと、二つの連接板と、を備え、第1ケースと第2ケースとは、互いに対称するように設けられ、第1ケースと第2ケースとの両端には、スライド溝がそれぞれ設けられており、第1ケースと第2ケースとのスライド溝には、連接板の方向に沿う自在区が設けられており、第1ケースと第2ケースとの中央に取付溝が設けられており、二つの磁気吸着ユニットは取付溝に組付けられており、二つの連接板はほぼエ字形を呈し、二つの連接板の上端と下端とは、第1ケースと第2ケースとに設けられているスライド溝にそれぞれ嵌め込まれており、これらの連接板により、第1ケースと第2ケースとが組付けられて本体を形成し、本体には、ネジドライバーを収容する結合穴が形成されており、
二つの磁気吸着ユニットは、それぞれ取付溝に取り付けられており、二つの磁気吸着ユニットの対向面の磁気の極性は同じであり、結合穴にネジドライバーが組付けられていないときには、二つの磁気吸着ユニットが互いに排他的であり、自在区により第1ケースと第2ケースとが互に離れ、結合穴にネジドライバーが組付けられているときには、二つの磁気吸着ユニットがネジドライバーの表面に吸着され、自在区により、第1ケースは第2ケースへ移動して、本体がネジドライバーに密着することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る手工具用着磁器によると、第1ケースと第2ケースとのスライド溝に止め壁が設けられており、止め壁の一端に閉じ蓋が組付けられており、閉じ蓋により、二つの連接板と二つの磁気吸着ユニットとは、本体から離脱不能となることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る手工具用着磁器によると、第1ケースと第2ケースとには、更に、互いに噛み合い可能な歯部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る手工具用着磁器によると、本体の結合穴の移動可能範囲は、4〜7mm程度であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る手工具用着磁器によれば、次のような効果がある。
(1)本発明に係る本体は、ネジドライバーまたは手工具の大きさに応じて吸着距離を変化することができ、ひいてはユーザーは、本体を回転しながら、ねじ込み作業を行うことができる。
【0012】
(2)本体は、吸着ユニットを介してネジドライバーの表面に密着するため、回転するときにアイドリングすることはない。
【0013】
(3)本体は、距離が可変なため、従来のもののように、吸着ユニットに干渉されて、ねじ込み作業を行うことができないことはない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】従来の構成の使用されていない状態を示す構成図である。
【
図3】従来の構成の使用されている状態を示す構成図である。
【
図5】本発明の使用されていない状態を示す構成図である。
【
図6】本発明の使用されている状態を示す構成図(一)である。
【
図7】本発明の使用されている状態を示す構成図(二)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図4から
図7を参照する。本発明に係る手工具用着磁器は、本体20と、二つの磁気吸着ユニット30と、二つの閉じ蓋40と、を備える。
【0017】
本体20は、
図4から
図7に示すように、距離が可変な構成を有する。本体20は、第1ケース21と、第2ケース22と、二つの連接板23と、を備える。第1ケース21と第2ケース22とは、互いに対称するように設けられている。第1ケース21と第2ケース22との両端には、スライド溝211,221が設けられている。スライド溝211,221に止め壁212,222がそれぞれ設けられている。第1ケース21と第2ケース22とのスライド溝211,221には、連接板23の方向に沿う自在区213,223がそれぞれ設けられている。第1ケース21と第2ケース22との中央に取付溝214,224がそれぞれ設けられている。二つの磁気吸着ユニット30は、それぞれ取付溝214,224に組付けられている。
【0018】
次に、
図4から
図7を参照する。二つの連接板23は、ほぼエ字形を呈する。二つの連接板23の上端と下端とは、それぞれ第1ケース21と第2ケース22とに設けられているスライド溝211,221に嵌め込まれている。これらの連接板23により、第1ケース21と第2ケース22とは組付けられて本体20を形成し、本体20には、ネジドライバーSを収容する結合穴24が形成される。
【0019】
二つの磁気吸着ユニット30は、
図4から
図7に示すように、それぞれ取付溝214,224に取り付けられている。二つの磁気吸着ユニット30の互いに対向する面の磁気の極性は同じである。ネジドライバーSが結合穴24に組付けられていないときには、二つの磁気吸着ユニット30が互いに排他的である。自在区213,223により、第1ケース21と第2ケース22とは互いに離れるようになる。ネジドライバーSが結合穴24に組付けられたと、二つの磁気吸着ユニット30はネジドライバーSの表面に吸着されて、自在区213により、第1ケース21が第2ケース22へ移動して、本体20がネジドライバーSに密着する。
【0020】
図4に示すように、二つの閉じ蓋40は止め壁212、222の一端に対向することにより、二つの連接板23と二つの磁気吸着ユニット30とは本体20から離脱不能となる。
【0021】
図4に示すように、第1ケース21と第2ケース22とには、更に、互いに噛み合い可能な歯部215,225が設けられている。歯部215,225により、第1ケース21と第2ケース22との結合性を増加することができ、本体20を旋回することが容易となる。
【0022】
次に、本発明に係る手工具用着磁器の使用方法および効果を説明する。
【0023】
(1)基本的には、ネジドライバーSの直径はほぼ4〜7mm程度である。本発明に挙げられる手工具の実施例は、よく見られるネジドライバーSであるが、特殊な仕様を有する手工具である場合に、本発明に提案した技術を適当に変化すると、本発明の効果を得ることが可能である。
【0024】
(2)
図6に示すように、ネジドライバーSの直径は6.2mmである。本体20の結合穴24にネジドライバーSを差し込んだ後、第1ケース21と第2ケース22とは、磁気吸着ユニット30の磁気による吸着力により、自在区213,223を介してネジドライバーSの表面へ移動して、ネジドライバーSの表面に密着する。これにより、ネジドライバーSが着磁されて、例えばネジなどを吸着することができ、ユーザーは、手で本体20を握ってネジを回転することができる。
【0025】
(3)
図7に示すように、ネジドライバーの直径は4mmである。本体20の結合穴24にネジドライバーSを差し込んだ後、第1ケース21と第2ケース22とは、磁気吸着ユニット30の磁気による吸着力により、自在区213、223を介してネジドライバーSの表面へ移動して、歯部215,225により、第1ケース21と第2ケース22とは密着する。本体20の連接距離が変化可能なため、本体20はネジドライバーSの表面に密着して、ネジドライバーSに磁気による吸着力を与えると同時に、本体20の体積が縮小するため、干渉を防止することができ、ねじ込み作業を行うときに、アイドリングの発生を防止することが可能である。
【0026】
このように、本発明の特定の例を参照して説明したが、それらの例は、説明のためだけのものであり、本発明を限定するものではなく、この分野に通常の知識を有する者には、本発明の要旨および特許請求の範囲を逸脱することなく、ここで開示された実施例に変更、追加、または、削除を施してもよいことがわかる。
【符号の説明】
【0027】
11 本体
12 溝
13 磁石
20 本体
21 第1ケース
22 第2ケース
23 連接板
24 結合穴
30 磁気吸着ユニット
40 閉じ蓋
211 スライド溝
212 止め壁
213 自在区
214 取付溝
215 歯部
221 スライド溝
222 止め壁
223 自在区
224 取付溝
225 歯部
A1 第1位置
A2 第2位置
S ネジドライバー
【手続補正書】
【提出日】2021年5月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、二つの磁気吸着ユニットと、から構成される工具用着磁器において、
前記本体は、第1ケースと、第2ケースと、二つの連接板と、を備え、前記第1ケースと前記第2ケースとは、互いに対称するように設けられ、前記第1ケースと前記第2ケースとの両端には、スライド溝がそれぞれ設けられており、前記第1ケースと前記第2ケースとの前記スライド溝には、前記連接板の方向に沿う自在区が設けられており、前記第1ケースと前記第2ケースとの中央に取付溝が設けられており、二つの前記磁気吸着ユニットは前記取付溝に組付けられており、二つの前記連接板はほぼエ字形を呈し、二つの前記連接板の上端と下端とは、前記第1ケースと前記第2ケースとに設けられている前記スライド溝にそれぞれ嵌め込まれており、これらの前記連接板により、前記第1ケースと前記第2ケースとが組付けられて前記本体を形成し、前記本体には、ネジドライバーを収容する結合穴が形成されており、
二つの前記磁気吸着ユニットは、それぞれ前記取付溝に取り付けられており、二つの前記磁気吸着ユニットの対向面の磁気の極性は同じであり、前記結合穴にネジドライバーが組付けられていないときには、二つの前記磁気吸着ユニットが互いに排他的であり、前記自在区により前記第1ケースと前記第2ケースとが互に離れ、前記結合穴にネジドライバーが組付けられているときには、二つの前記磁気吸着ユニットが前記ネジドライバーの表面に吸着され、前記自在区により、前記第1ケースは前記第2ケースへ移動して、前記本体が前記ネジドライバーに密着することを特徴とする工具用着磁器。
【請求項2】
前記第1ケースと前記第2ケースとの前記スライド溝に止め壁が設けられており、前記止め壁の一端に対向するように閉じ蓋が組付けられており、前記閉じ蓋により、二つの前記連接板と二つの前記磁気吸着ユニットとは、前記本体から離脱不能となることを特徴とする、請求項1に記載の工具用着磁器。
【請求項3】
前記第1ケースと前記第2ケースとには、更に、互いに噛み合い可能な歯部が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の工具用着磁器。
【請求項4】
前記本体の前記結合穴の移動可能範囲は、4〜7mm程度であることを特徴とする、請求項1に記載の工具用着磁器。