【解決手段】中心軸に沿って延びる筒状のロータマグネット5と、ロータマグネット5の外周面5aに設けられるヨーク6と、を備え、ヨーク6は、少なくとも第1の板材10から構成され、第1の板材10は、中央部11と、中央部11の一端に接続される一端部12と、中央部11の他端に接続される他端部13と、を有し、中央部11の中心軸に沿う軸方向における幅は、一端部12および他端部13の軸方向における幅よりも大きく、nを0より大きく180より小さい自然数としたとき、中央部11は、中心軸に直交する径方向において、ロータマグネット5の中心角(180−n)度分の外周面5aに対向する長さを有し、一端部12および他端部13は、径方向において、ロータマグネット5の中心角n度分の外周面5aと対向する長さをそれぞれ有する。
前記第1の板材を所定の平面上に展開した場合において、前記一端部と前記他端部の形状は互いに等しく、前記第1の板材の形状は、前記第1の板材の幅方向を軸としたときに、線対称である
ことを特徴とする請求項3に記載のロータ。
前記第1の板材および前記第2の板材を所定の平面上に展開した状態において、前記第1の板材および前記第2の板材における一端部同士、ならびに、前記第1の板材および前記第2の板材における他端部同士は、前記所定の平面上でスライドさせることで分離可能である
ことを特徴とする請求項5に記載のロータ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0011】
図1は、本実施形態におけるモータの断面図である。
図1に示すように、本実施形態のモータ100は、ステータ1と、ロータ2と、ベアリング3と、回路基板4と、を備える。本実施形態のモータ100は、ステータ1の外周側にロータ2を配置したアウターロータ型のモータである。
【0012】
図1を含む以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。さらに、以下の説明において、「平面視」とは、軸方向から見た状態を意味する。
【0013】
ステータ1は、中心軸Jを中心とする略円筒状のベアリング保持部1aと、ベアリング保持部1aの径方向外側に取り付けられたステータコア1bと、ステータコア1bに装着されたコイル1cとを有する。ベアリング保持部1aは、軸受機構の一部となるベアリング3を軸方向において2つ支持する。ステータコア1bは、複数枚の板状体を積層した積層体として形成されている。ステータコア1bの外周部には、各磁極としての複数のティースが円周方向に所定間隔で配置されている。また、各ティースの内側の磁気回路を構成する腕部に、インシュレータ(不図示)を介してコイル1cが巻回されている。このようにして、ステータコア1bにコイル1cを巻回したステータ1が構成される。
【0014】
ロータ2は、ベアリング3を介して中心軸Jを中心にステータ1に対して回転可能に支持される。ロータ2は、中心軸Jを中心とする略有蓋筒状の部材である。ロータ2は、中心軸Jに沿って延びる筒状のマグネット(ロータマグネット)5と、マグネット5の外周面5aに設けられるヨーク6と、を備えている。
【0015】
マグネット5はステータ1のコイル1cと対向して配置される。ヨーク6は磁性を有する金属製の部材で構成され、マグネット5の磁束を増やしてモータ100の出力を増加させる。
【0016】
本実施形態のロータ2において、マグネット5およびヨーク6は、マグネット5の外周面5aとヨーク6の内周面との間に設けられた接着剤(不図示)を介して固定されている。本実施形態のロータ2は、後述のようにマグネット5の外周面5aに巻き付けた板材によってヨーク6を構成するため、ロータ2の製造工程を簡略化することで製造コストを抑えている。
【0017】
本実施形態のロータ2は、ヨーク6に接続されるロータ本体部7と、ロータ本体部7から中心軸Jに沿って延びるシャフト8と、をさらに備える。シャフト8の中心は中心軸Jと一致する。ロータ本体部7およびシャフト8はヨーク6と同一の部材で構成されていてもよいし、ヨーク6とは別の部材で構成されていてもよい。シャフト8には、モータ100により回転させる回転体(不図示)が取り付けられる。
【0018】
以下、本実施形態のロータ2の構成について詳しく説明する。
図2は、本実施形態のロータ2の要部構成を示す分解斜視図である。
図2は、ロータ2におけるヨーク6の構成を示している。
図2に示すように、本実施形態のロータ2において、ヨーク6は複数の板材で構成される。具体的に本実施形態のヨーク6は、第1の板材10と第2の板材20とで構成される。
【0019】
図3は第1の板材10および第2の板材20の形状を示す図である。
図3では、各部材の形状を見易くするため、マグネット5の外周面5aに巻き付けられた第1の板材10および第2の板材20を所定の平面上(同一の平面上)に展開した状態で示している。第1の板材10は、マグネット5の外周面5aの一部を覆うように設けられる。第2の板材20は、マグネット5の外周面5aのうち第1の板材10が径方向において対向していない部分を覆うように設けられている。
【0020】
以下、第1の板材10および第2の板材20を平面上に展開した状態において、第1の板材10または第2の板材20における長辺に沿う方向を「長辺方向D2」、第1の板材10または第2の板材20における短辺に沿う方向を「短辺方向D1」と呼ぶ。本実施形態において、短辺方向D1は軸方向に沿う第1方向に相当し、長辺方向D2は周方向に沿う第2方向に相当する。
【0021】
図3に示すように、第1の板材10は板状部材である。第1の板材10は、中央部11と、中央部11の一端11aに接続される一端部12と、中央部11の他端11bに接続される他端部13と、を有している。一端部12、中央部11および他端部13は、第1の板材10の長辺方向に沿って設けられ、一端部12および他端部13は中央部11を両側から挟むように設けられている。
【0022】
第2の板材20は第1の板材10と同一形状を有する板材である。すなわち、第2の板材20は、第1の板材10の中央部11と同一形状を有する第2の中央部21と、第1の板材10の一端部12と同一形状を有する第2の一端部22と、第1の板材10の他端部13と同一形状を有する第2の他端部23と、を有する。
【0023】
以下、同一形状を有する第1の板材10および第2の板材20の具体的な形状について、第1の板材10を例に挙げて説明する。
【0024】
本実施形態の第1の板材10は、
図2および
図3に示すように、長辺方向D2を周方向に沿わせ、短辺方向D1を軸方向に沿わせた状態で、マグネット5の外周面5aに巻き付けられる。
【0025】
図3に示すように、第1の板材10を所定の平面上に展開した場合において、中央部11、一端部12および他端部13の平面形状はいずれも矩形状である。第1の板材10は、例えばプレス加工によって製造される。一端部12および他端部13は同一形状を有し、第一の板材10の形状は短辺方向に沿う直線を対象の軸(すなわち、第1の板材10の幅方向を軸)としたときに、線対称である。
【0026】
本実施形態において、中央部11の短辺方向D1における幅Hは一端部12および他端部13の短辺方向D1における各幅H1よりも大きい。具体的に中央部11の短辺方向D1における幅Hはマグネット5の外周面5aの軸方向の幅Hmと等しい。一端部12および他端部13の短辺方向D1における幅H1は等しく、マグネット5の外周面5aの軸方向の幅Hmの半分に相当する。
【0027】
一端部12における短辺方向D1の一方側に位置する辺12cは、中央部11の短辺方向D1の一方側に位置する辺11cと段差無く連続している。さらに、一端部12と中央部11は面一となっている。また、他端部13における短辺方向D1の一方側に位置する辺13cは、中央部11の短辺方向D1の一方側に位置する辺11cと段差無く連続している。さらに、他端部13と中央部11は面一となっている。
【0028】
ここで、
図3に示すように、中央部11における長辺方向D2の長さをL0、一端部12および他端部13における長辺方向D2のそれぞれの長さをL1、L2とする。このとき一端部12と他端部13は同一形状なので、L1はL2と等しい。
【0029】
図4はヨーク6とマグネット5の外周面5aとの寸法関係を示す断面図である。
図4では、マグネット5の外周面5aに巻き付けられた第1の板材10および第2の板材20を図示している。
【0030】
図4に示すように、マグネット5の外周面5aに第1の板材10を巻き付けた状態で、中央部11の長さL0は外周面5aにおけるマグネット5の中心角(180−n)度分に相当し、一端部12の長さL1は外周面5aにおけるマグネット5の中心角n度分に相当し、他端部13の長さL2は外周面5aにおけるマグネット5の中心角n度分に相当する。なお、nは、0より大きく180より小さい自然数とする。外周面5aにおけるマグネット5の中心角180度分とは外周面5aの半分の長さに相当し、外周面5aにおけるマグネット5の中心角360度分とは外周面5aの全体の長さに相当する。
【0031】
図3および
図4に示されるように、一端部12の先端12aから他端部13の先端13aまでの周方向の長さL、すなわち、上記L0、L1、L2の合計長は外周面5aにおけるマグネット5の中心角(180+n)度分に相当する。すなわち、本実施形態の第1の板材10における周方向の長さL(先端12aから先端13aまでの周方向の全長)はマグネット5の外周面5aの半分(マグネット5の中心角180度分)よりもn度分だけ長い。したがって、本実施形態の第1の板材10の周方向の長さLは、マグネット5の外周面5aの周方向の長さの半分よりも長くなる。
【0032】
本実施形態の第1の板材10によれば、マグネット5の外周面5aの半分以上かつ外周面5aの全周よりも小さい範囲、すなわち、マグネット5の中心角の180度より大きく360度より小さい範囲の外周面5aを覆う長さを有するので、ヨーク6の組み立て時に第1の板材10をマグネット5の外周面5aに巻き付けた際、第1の板材10がマグネット5の外周面5aから径方向に外れ難くすることができる。
【0033】
図3に示すように、本実施形態の第1の板材10において、一端部12および他端部13は中央部11に比べて短辺方向D1の幅が小さいため、一端部12および他端部13の強度は中央部11よりも相対的に低い。
【0034】
本実施形態の第1の板材10では、nを10以上30未満としている。nの値を上記範囲に設定することで、第1の板材10において、一端部12および他端部13が周方向に必要以上に長くなることを抑制できる。これにより、相対的に強度が弱い一端部12および他端部13の割合の増加による第1の板材10の強度低下を抑制できる。よって、ロータ2の組み立て時に一端部12および他端部13に曲がりや変形等が生じ難くなる。また、一端部12および他端部13が適切な長さに設定されるため、後述する第1の板材10と第2の板材20との位置合わせがやり易くなる。したがって、本実施形態の第1の板材10はヨーク6の組み立て性を向上させることができる。
【0035】
なお、第1の板材10と同一形状を有する第2の板材20についても同様のことが言える。すなわち、第2の板材20は、マグネット5の中心角の180度より大きく360度より小さい範囲の外周面5aを覆う長さを有するため、ヨーク6の組み立て時、マグネット5の外周面5aから径方向に外れ難くなる。また、第2の板材20においてもnの値を上記範囲に設定することで、ヨーク6の組み立て性を向上させることができる。
【0036】
図2および
図3に示したように、第1の板材10および第2の板材20は、周方向に並べられるとともに、軸方向において一方の板材(第2の板材20)が反転して、マグネット5の外周面5aに配置される。第1の板材10および第2の板材20は、一端部12および第2の一端部22を突き合わせて組み合わせるとともに、他端部13および第2の他端部23を突き合わせて組み合わせるように、マグネット5の外周面5aに巻き付けられて配置される。
【0037】
具体的に、第1の板材10および第2の板材20は、第1の板材10の一方側縁部14と第2の板材20の一方側縁部24とを接触させることで組み合わされ、第1の板材10の他方側縁部15と第2の板材20の他方側縁部25とを接触させることで組み合わされて、マグネット5の外周面5aに巻き付けられる。
【0038】
ここで、第1の板材10の一方側縁部14とは、
図2に示すように一端部12の一部の端面と中央部11の一方側の端面とで構成される。また、第1の板材10の他方側縁部15とは、他端部13の一部の端面と中央部11の他方側の端面とで構成される。
また、第2の板材20の一方側縁部24とは、第2の一端部22の一部の端面と第2の中央部21の一方側の端面とで構成される。また、第2の板材20の他方側縁部25とは、第2の他端部23の一部の端面と第2の中央部21の他方側の端面とで構成される。
【0039】
図3に示すように、第1の板材10および第2の板材20において、一方側縁部14、24は互いに嵌まり合う形状を有し、他方側縁部15、25は互いに嵌まり合う形状を有している。これにより、第1の板材10および第2の板材20は互いの位置が規制された状態でマグネット5の外周面5aに配置されている。
【0040】
本実施形態において、一端部12および第2の一端部22ならびに他端部13および第2の他端部23はいずれも外周面5aの周方向の長さが等しい。また、一端部12および第2の一端部22ならびに他端部13および第2の他端部23はいずれも外周面5aの軸方向の半分の幅を有する。そのため、互いに嵌め合わされた一端部12および第2の一端部22ならびに他端部13および第2の他端部23は周方向および軸方向において外周面5aの全体を隙間なく覆うことができる。
【0041】
本実施形態のヨーク6は、上記形状を有する第1の板材10および第2の板材20の一方側縁部14、24同士および他方側縁部15、25同士を互いに嵌め合わせるように配置することで、マグネット5の中心角360度分の外周面5aを覆う筒状のヨークを構成する。
【0042】
本実施形態のロータ2では、マグネット5の外周面5aに第1の板材10および第2の板材20を巻き付けることでヨーク6を構成することができる。このとき、一方側縁部14、24同士および他方側縁部15、25同士が互いに嵌まり合うことで、第1の板材10および第2の板材20は互いの位置が規制された状態でマグネット5の外周面5aに巻き付けられる。そのため、マグネット5に対するヨーク6の取り付けが容易となる。
【0043】
各々の板材(第1の板材10、第2の板材20)がマグネット5の外周面5aの周方向の半分以上を覆う長さ(L=L0+L1+L2)を有する。第1の板材10と第2の板材20を組み合わせて、マグネット5の外周面の全周を覆い、ロータ2を形成する。そのため、ロータ2を組み立てる時に、各板材を順次マグネットの外周に嵌めたとしても、先に嵌めた一方の板材はマグネット5の外周面5aから径方向に外れ難い。これにより、ヨーク6を組み立てる際の作業効率が向上するので、ロータ2の組み立て時間が短縮されることでロータ2の製造コストを低減できる。
【0044】
また、
図3に示したように、第1の板材10および第2の板材20を所定の平面上に展開した状態において、第1の板材10および第2の板材20における一端部同士(一端部12および第2の一端部22同士)、ならびに、第1の板材10および第2の板材20における他端部同士(他端部13および第2の他端部23)は、互いに嵌まり合った状態で、所定の平面上でスライドさせることで分離可能である。具体的に本実施形態においては、直交する2方向(長辺方向D2および短辺方向D1)にスライドさせることで分離可能である。
【0045】
この構成によれば、例えば、マグネット5の外周面5aに第1の板材10を巻き付けた後、第1の板材10と位置合わせするように第2の板材20を外周面5aに巻き付ける際、一端部12,22同士および他端部13,23同士を軸方向あるいは周方向にスライドさせながらの巻き付けが可能となる。
【0046】
つまり、ヨーク6を組み立てる場合において、第1の板材10および第2の板材20の移動可能な方向の数、すなわち、ヨーク組み立て時における各板材10,20の自由度が高くなる。したがって、本実施形態のヨーク6によれば、第1の板材10と第2の板材20とを位置合わせする際の自由度が高いため、ロータ2の組み立て性が向上し、結果的にロータ2の製造コストを低減できる。
【0047】
また、
図3に示すように、第1の板材10を所定の平面上に展開した状態において、一端部12および他端部13の形状は互いに等しく、第一の板材10の形状は短辺方向D1に沿う直線を対象の軸(すなわち、第1の板材10の幅方向を軸)としたときに、線対称である。そのため、一端部12および他端部13は中央部11に対して短辺方向D1の同じ側に設けられる。
【0048】
また、第1の板材10と同一形状を有する第2の板材20においても、第2の一端部22および第2の他端部23の形状は互いに等しく、第2の板材20の形状は短辺方向D1に沿う直線を対象の軸(すなわち、第2の板材20の幅方向を軸)としたときに線対称であり、第2の一端部22および第2の他端部23は第2の中央部21に対して短辺方向D1の同じ側に設けられる。
【0049】
図2に示すように、第1の板材10および第2の板材20がマグネット5の外周面5aに配置される際、第1の板材10における一端部12および他端部13は軸方向一方側に位置し、第2の板材20における第2の一端部22および第2の他端部23は軸方向他方側に位置する。
【0050】
この構成によれば、例えば、マグネット5の外周面5aに巻き付けた第1の板材10および第2の板材20同士を軸方向に近づけるように移動させることで、一端部12および第2の一端部22同士ならびに他端部13および第2の他端部23同士(一方側縁部14、24同士ならびに他方側縁部15、25同士)を容易に嵌め合わせてヨーク6を構成できる。そのため、ヨーク6の組み立て工程が容易となる。
【0051】
また、マグネット5の外周面5aに設けられた状態において、第1の板材10および第2の板材20は、軸方向に互いを移動させることで一端部12および第2の一端部22同士ならびに他端部13および第2の他端部23同士を分離させることができる。
【0052】
本実施形態のロータ2によれば、マグネット5の外周面5aに設けられた状態において、第1の板材10および第2の板材20は軸方向に分離可能である。マグネット5の外周面5aに設けた第1の板材10および第2の板材20を軸方向にスライドさせることで第1の板材10および第2の板材20の一端部12,22同士および他端部13,23同士(一方側縁部14、24同士ならびに他方側縁部15、25同士)を突き合わせてヨーク6を構成することができる。このように本実施形態のロータ2では、ヨーク6を構成する第1の板材10および第2の板材20の位置合わせが容易となるので、ロータ2の組み立て性が向上し、結果的にロータ2の製造コストを低減できる。
【0053】
本実施形態のモータ100によれば、コストを低減が図られた低コストのロータ2を備えるので、低コストのモータを提供することができる。
【0054】
(第1変形例)
続いて、ヨークの第1変形例に係る構成について説明する。
図5は本変形例に係る第1の板材および第2の板材の形状を示す図である。
図5では、
図3と同様、第1の板材および第2の板材を所定の平面上に展開した状態で示している。
【0055】
図5に示すように、変形例のヨーク106は、第1の板材110と第2の板材120とで構成される。第1の板材110は、中央部111と、中央部111の一端111aに接続される一端部112と、中央部111の他端111bに接続される他端部113と、を有している。
【0056】
図5に示すように、本変形例の一端部112および他端部113は、上記実施形態の一端部12および他端部13と異なる形状を有している。具体的に、一端部112および他端部113は、短辺方向D1の幅を長辺方向D2に異ならせた段差形状116を有する。具体的に段差形状116は、短辺方向D1における幅が相対的に大きい第1部分116aと、短辺方向D1における幅が相対的に小さい第2部分116bとを含む2段構造で構成される。
【0057】
第2の板材120は第1の板材110と同一形状を有する板材である。第2の板材120は、第2の中央部121と、第2の一端部122と、第2の他端部123と、を有している。一端部122および他端部123は、短辺方向D1の幅を長辺方向D2に異ならせた段差形状116を有している。
【0058】
本変形例のヨーク106において、第1の板材110および第2の板材120は、第1の板材110の一方側縁部114と第2の板材120の一方側縁部124とを接触させることで組み合わされ、第1の板材110の他方側縁部115と第2の板材120の他方側縁部125とを接触させることで組み合わされる。
【0059】
本変形例の構成によれば、第1の板材110および第2の板材120が段差形状116を有するため、一方側縁部114、124同士および他方側縁部115、125同士(一端部112,122同士および他端部113,123同士)を嵌め合わせ時の接触面積を増やすことができる。よって、ヨーク6の組み立て時に、第1の板材110および第2の板材120の位置ずれが生じ難くなるため、ロータ2の組み立て性がより向上する。
【0060】
(第2変形例)
続いて、ヨークの第2変形例に係る構成について説明する。
図6は本変形例に係る第1の板材および第2の板材の形状を示す図である。
図6では、
図3と同様、第1の板材および第2の板材を平面上に展開した状態で示している。
【0061】
図6に示すように、変形例のヨーク206は、第1の板材210と第2の板材220とで構成される。第1の板材210は、中央部211と、中央部211の一端に接続される一端部212と、中央部211の他端に接続される他端部213と、を有している。
【0062】
図6に示すように、本変形例の一端部212および他端部213は、短辺方向D1の幅が長辺方向D2の先端側に向かって徐々に小さくなる傾斜形状216を有する。傾斜形状216は板材の端部を斜め方向にカットすることで構成される。
【0063】
第2の板材220は第1の板材210と同一形状を有する板材である。第2の板材220は、第2の中央部221と、第2の一端部222と、第2の他端部223と、を有している。第2の一端部222および第2の他端部223は、短辺方向D1の幅が長辺方向D2の先端側に向かって徐々に小さくなる傾斜形状216を有している。
【0064】
本変形例のヨーク206において、第1の板材210および第2の板材220は、第1の板材210の一方側縁部214と第2の板材220の一方側縁部224とを接触させることで組み合わされ、第1の板材210の他方側縁部215と第2の板材220の他方側縁部225とを接触させることで組み合わされる。
【0065】
本変形例の構成によれば、長尺状の板材を斜めに切断することで傾斜形状216が形成される。よって、第1の板材210および第2の板材220の加工が容易となるので、ロータ2の製造コストを低減できる。
【0066】
また、本変形例のヨーク206において、第1の板材210および第2の板材220を所定の平面上に展開した状態において、第1の板材210および第2の板材220における一端部同士(一端部212および第2の一端部222同士)、ならびに、第1の板材210および第2の板材220における他端部同士(他端部213および第2の他端部223)は、互いに嵌まり合った状態で、所定の平面上でスライドさせることで分離可能である。具体的に本変形例においては、傾斜形状216の傾斜面に沿う斜め方向にスライドさせることで分離可能である。
【0067】
この構成によれば、例えば、マグネット5の外周面5aに第1の板材210を巻き付けた後、第1の板材210と位置合わせするように第2の板材220を外周面5aに巻き付ける際、一端部212,222同士および他端部213,223同士を斜め方向にスライドさせることが可能となる。これにより、ロータ2の組み立て性が向上し、結果的にロータ2の製造コストを低減できる。
【0068】
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0069】
例えば、上記実施形態では、第1の板材10および第2の板材20を用いてマグネットの外周面5aの全周を覆うヨーク6を構成する場合を例に挙げたが、板材の数はこれに限定されることはない。1つの板材であっても本発明を適用することができる。例えば、周方向の長さを伸ばした第1の板材10のみをマグネット5の外周面5aに巻き付けることでロータ2のヨーク6を構成してもよい。この場合、マグネット5の外周面5aに第1の板材10を1枚のみ巻き付けることでヨーク6を構成できるので、ロータ2の組み立て作業が容易となる。また、第1の板材10はマグネット5の外周面5aの周方向の半分以上かつ外周面5aの全周よりも小さい範囲、すなわち、マグネット5の中心角の180度より大きく360度より小さい範囲の外周面5aを覆う長さを有することで、ヨーク6の組み立て時に第1の板材10をマグネット5の外周面5aに巻き付けた際、第1の板材10がマグネット5の外周面5aから径方向に外れ難くすることができる。また、マグネット5の外周面5aの全周の長さよりも長さが短いため、外周面5aの全周を覆う長さの板材を用いる場合に比べてコストが抑えられる。これにより、ロータ2の製造コストを低減できる。
【0070】
また、上記実施形態および変形例においては、第1の板材10および第2の板材20として同一形状の板材を用いる場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、第1の板材10および第2の板材20の周方向の長さが異なっていてもよい。例えば、第1の板材10の中央部11が、マグネット5の中心角の300度の外周面5aを覆う長さを有し、第1の板材10の一端部12及び他端部13がそれぞれマグネット5の中心角の10度の外周面5aを覆う長さを有する。さらに、第2の板材20の中央部21が、マグネット5の中心角40度の外周面5aを覆う長さを有し、第2の板材20の一端部22及び他端部23がそれぞれマグネット5の中心角の10度の外周面5aを覆う長さを有する。
【0071】
このように第1の板材10および第2の板材20の形状が異なる場合、ヨーク6の組み立て時に長い一方の板材(例えば、第1の板材10)をマグネット5に巻きつけてヨーク6の大部分を形成したのちに、マグネット5の外周面5aの残りの部分を短い他方の板材(例えば、第2の板材20)で埋めるように巻きつけることができる。このため、第1の板材10および第2の板材20が同一形状を有する場合に比べて、ロータ2の組立時間を短縮できる。さらに、マグネット5の外周面5aの半分以上かつ外周面5aの全周よりも小さい範囲、すなわち、マグネット5の中心角の180度より大きく360度より小さい範囲の外周面5aを覆う長さを有する第1の板材10のみでヨークを形成する場合よりも、第2の板材20を補助的に使用できるこの構成によれば、ヨーク6の強度を向上させることができる。
【0072】
また、
図2に示した第1の板材10において、中央部11、一端部12および他端部13の平面形状はいずれも矩形状とする場合を例に挙げたが、
図7に示すように、中央部11、一端部12および他端部13の平面形状をいずれも平行四辺形状としてもよい。第2の板材20についても同様である。
【0073】
また、
図5に示した第1の板材210に
図7の構成を組み合わせることで、中央部111、一端部112および他端部113ならびに中央部211、一端部212および他端部213の長辺方向D2の端辺をそれぞれ斜めに傾斜させた形状としてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、第1の板材10および第2の板材20の形状がそれぞれ線対称である場合を例に挙げたが、第1の板材10と第2の板材20の形状がそれぞれ点対称であってもよい。また、上記変形例についても、第1の板材10と第2の板材20の形状がそれぞれ点対称であってもよい。
【0075】
本発明のモータは、車両用灯具に内蔵され、回転するリフレクタを備えた車両用照明装置にも適用することもできる。