特開2021-137132(P2021-137132A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノンピの特許一覧 ▶ 株式会社雪花の特許一覧 ▶ 石川樹脂工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2021137132-食品プレート 図000003
  • 特開2021137132-食品プレート 図000004
  • 特開2021137132-食品プレート 図000005
  • 特開2021137132-食品プレート 図000006
  • 特開2021137132-食品プレート 図000007
  • 特開2021137132-食品プレート 図000008
  • 特開2021137132-食品プレート 図000009
  • 特開2021137132-食品プレート 図000010
  • 特開2021137132-食品プレート 図000011
  • 特開2021137132-食品プレート 図000012
  • 特開2021137132-食品プレート 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-137132(P2021-137132A)
(43)【公開日】2021年9月16日
(54)【発明の名称】食品プレート
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/00 20060101AFI20210820BHJP
   A47G 19/02 20060101ALI20210820BHJP
【FI】
   A47G19/00 E
   A47G19/00 H
   A47G19/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-35391(P2020-35391)
(22)【出願日】2020年3月2日
(71)【出願人】
【識別番号】511279737
【氏名又は名称】株式会社ノンピ
(71)【出願人】
【識別番号】515132032
【氏名又は名称】株式会社雪花
(71)【出願人】
【識別番号】710002440
【氏名又は名称】石川樹脂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】上町 達也
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 寛之
【テーマコード(参考)】
3B001
【Fターム(参考)】
3B001AA12
3B001CC21
3B001CC22
(57)【要約】
【課題】持ち手の負担をより軽減できる食品プレートを提供すること。
【解決手段】食品プレート1は、プレート部10と、プレート部10の幅方向の一方の縁側において、プレート部10の上面から窪むように形成され、食品を載置する第1食品載置部20と、プレート部10の幅方向の他方の縁側において、プレート部10の上面から窪むように形成され、食品を載置する領域が第1食品載置部20よりも広い第2食品載置部30と、を備え、少なくとも第1食品載置部20の窪みにおいて、幅方向の外側に位置する側壁11は、プレート部10の厚さ方向に平行で、且つ、幅方向に平行な断面の形状が、上面側に向けて凸となる湾曲形状である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を載置する食品プレートであって、
前記食品プレートの全体を構成するプレート部と、
前記プレート部の幅方向の一方の縁側において、前記プレート部の上面から窪むように形成され、食品を載置する第1食品載置部と、
前記プレート部の幅方向の他方の縁側において、前記プレート部の上面から窪むように形成され、食品を載置する領域が前記第1食品載置部よりも広い第2食品載置部と、を備え、
少なくとも前記第1食品載置部の窪みにおいて、幅方向の外側に位置する側壁は、前記プレート部の厚さ方向に平行で、且つ、幅方向に平行な断面の形状が、上面側に向けて凸となる湾曲形状である、
食品プレート。
【請求項2】
前記第1食品載置部と前記第2食品載置部との間に、前記プレート部の上面から窪んだ食具置き部を備える、
請求項1に記載の食品プレート。
【請求項3】
前記食具置き部は、前記プレート部の幅方向と直交する奥行き方向に沿って延在し、奥行き方向において底面部が下側に凸となるように湾曲している、
請求項2に記載の食品プレート。
【請求項4】
前記第1食品載置部の下面には、下側に向けて突出し、且つ、前記プレート部の幅方向に直交する奥行き方向に沿って延在する第1脚部が設けられ、
前記第2食品載置部の下面には、下側に向けて突出する第2脚部が設けられる、
請求項1〜3までのいずれかに記載の食品プレート。
【請求項5】
前記第1脚部及び前記第2脚部の少なくとも一方は、前記プレート部の奥行き方向に沿って間欠的に設けられている、
請求項4に記載の食品プレート。
【請求項6】
前記第2食品載置部の下面であって、前記第1脚部と前記第2脚部の略中間には、下側に向けて突出し、且つ、奥行き方向に沿って延在する第3脚部が設けられる、
請求項4又は5に記載の食品プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を載せる食品プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品を盛りつけたり、注いだりした食器(椀、皿、プレート等)を載せるためにトレイが用いられている。例えば、載せられた食器の移動を抑制するように工夫されたトレイも提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3194049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、例えば、セルフサービス形式の食事会場において、利用者は片手でトレイの端を持ちながら食品入りの食器をトレイに載せたり、食器に食品を取り分けたりする。その場合に、利用者は、トレイと容器の両方の重さを支えることになるため、持ち手の負担をより軽減することが求められている。
【0005】
本発明は、持ち手の負担をより軽減できる食品プレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、食品プレートの全体を構成するプレート部と、前記プレート部の幅方向の一方の縁側において、前記プレート部の上面から窪むように形成され、食品を載置する第1食品載置部と、前記プレート部の幅方向の他方の縁側において、前記プレート部の上面から窪むように形成され、食品を載置する領域が前記第1食品載置部よりも広い第2食品載置部と、を備え、少なくとも前記第1食品載置部の窪みにおいて、幅方向の外側に位置する側壁は、前記プレート部の厚さ方向に平行で、且つ、幅方向に平行な断面の形状が、上面側に向けて凸となる湾曲形状である食品プレートに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る食品プレートによれば、持ち手の負担をより軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の食品プレート1の外観を示す斜視図である。
図2】食品プレート1の使用例を示す斜視図である。
図3】食品プレート1を上面側から見たときの平面図である。
図4】食品プレート1を下面側から見たときの平面図である。
図5図1のA−A線断面図である。
図6図1のA−A線断面図である。
図7図1のB−B線断面図である。
図8図1のC−C線断面図である。
図9】食品プレートをY2方向から見たときの側面図である。
図10】複数枚の食品プレート1を積み重ねた場合の断面図である。
図11】コンテナ60に複数の食品プレート1をまとめて収納した場合の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書に添付した図面は、いずれも模式図であり、理解しやすさ等を考慮して、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更又は誇張している。また、図面においては、部材の断面を示すハッチングを適宜に省略する。
本明細書等において、形状、幾何学的条件、これらの程度を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」、「方向」等の用語については、その用語の厳密な意味に加えて、ほぼ平行、ほぼ直交等とみなせる程度の範囲、概ねその方向とみなせる範囲を含む。
【0010】
なお、以下に示す各図には、説明と理解とを容易にするために、必要に応じてXYZの直交座標系を設けた。この座標系では、食品プレート1を平面視した場合の幅方向をX(X1−X2)方向、幅方向と直交する奥行方向をY(Y1−Y2)方向、厚さ方向をZ(Z1−Z2)方向とする。厚さ方向においては、Z1側が上面(表面)側となり、Z2側が下面(裏面)側となる。本明細書では、「〜方向」を適宜に「〜側」ともいう。
【0011】
図1は、実施形態の食品プレート1の外観を示す斜視図である。図2は、食品プレート1の使用例を示す斜視図である。図3は、食品プレート1を上面側から見たときの平面図である。図4は、食品プレート1を下面側から見たときの平面図である。図5及び図6は、図1のA−A線断面図である。このうち、図6は、利用者が食品プレート1を保持したときの状態を示した図である。図7は、図1のB−B線断面図である。図8は、図1のC−C線断面図である。
【0012】
実施形態の食品プレート1は、例えば、客先に出張して食事を提供するケータリングサービスに用いることができる。ケータリングサービスの利用者は、食品プレート1の上に各種の食品を載置したまま、テーブルまで食品を運ぶことができる。また、利用者は、テーブルの上に食品プレート1を置けば、食品を他の容器に移し替えることなく、そのまま食品を食べることができる。このように、実施形態の食品プレート1は、食品を持ち運ぶ道具としての機能と、トレイや食器としての機能とを兼ね備えている。
【0013】
図1に示すように、実施形態の食品プレート1は、全体が1つのプレート部10により構成されている。プレート部10は、平面視において、全体が略矩形状となるように形成されている。また、プレート部10の外周部分の四隅は、角が取れた曲線形状となるように構成されている。
プレート部10は、例えば、合成樹脂を素材とする射出成形により一体に製造することができる。プレート部10を、例えば、熱可塑性を有する単一の合成樹脂で製造することにより、リサイクル性を向上させることができる。
【0014】
図1及び図3に示すように、プレート部10は、主食載置部20、副食載置部30及び箸置き部40を備えている。
主食載置部(第1食品載置部)20は、主食となるご飯、麺類等のほか、汁物が入った食器が載置される領域である。主食載置部20には、比較的重量のある食品が載置される。図1に示すように、主食載置部20は、プレート部10の幅方向(X方向)のX1側の側縁において、プレート部10の上面から窪むように形成されている。
なお、本明細書において、食品とは、食品が食器に入っていないそのまま状態のほか、食品が食器に入っている状態のいずれをも含むものとする。
【0015】
図4及び図5に示すように、主食載置部20の下面には、下側(Z2側)に向けて突出する脚部(第1脚部)21a及び21bが設けられている。図4に示すように、脚部21aは、主食載置部20の下面において、X1側、且つ、Y1側に設けられている。脚部21bは、主食載置部20の下面において、X1側、且つ、Y2側に設けられている。以下、脚部21a及び21bを総称して「脚部21」ともいう。図4に示すように、脚部21a及び21bは、主食載置部20のX1側の形状に合わせて僅かに湾曲した形状となるように形成されている。また、脚部21aと21bとの間には、隙間S1が形成されている。すなわち、脚部21は、プレート部10の奥行き方向(Y方向)に沿って間欠的に設けられている。脚部21の更に詳細な構成については、後述する。
【0016】
主食載置部20には、例えば、図2に示すように、飯椀51、汁椀52が載置される。なお、図2は、食品プレート1の一使用例を示したものであり、食品プレート1の使用形態は、図2の例に限定されない。主食となるご飯、麺類等は、食器に入った状態で主食載置部20に載置されてもよいし、そのまま主食載置部20に盛りつけられてもよい。また、主食載置部20に、例えば、飯椀51、汁椀52を載置した場合、空きスペースにフォーク、スプーン、ナイフ等の食具を載置してもよい。
【0017】
副食載置部(第2食品載置部)30は、主菜、副菜等からなる副食が載置される領域である。副食載置部30には、上述した主食、汁物等よりも重量の軽い食品が載置される。副食載置部30は、図2に示すように、プレート部10の幅方向(X方向)のX2側の側縁において、プレート部10の上面から窪むように形成されている。また、副食載置部30は、食品を載置する領域が主食載置部20よりも広く設定されている。副食載置部30には、例えば、図2に示すように、主菜53となる魚や肉料理、副菜54となる煮物、和え物、漬物等が載置される。
【0018】
図1及び図3に示すように、実施形態の副食載置部30は、副食載置部30a、副食載置部30b及び副食載置部30cにより構成される。
以下の説明では、副食載置部30a、副食載置部30b及び副食載置部30cを総称して「副食載置部30」ともいう。
【0019】
図4及び図5に示すように、副食載置部30b及び30cの下面には、下側(Z2側)に向けて突出する脚部(第2脚部)31a及び31bが設けられている。図4に示すように、脚部31aは、副食載置部30cの下面において、Y1側、且つ、X2側の角部に設けられている。脚部31bは、副食載置部30bの下面において、Y2側、且つ、X2側の角部に設けられている。図4に示すように、脚部31a及び31bは、副食載置部30b及び30cの角部の形状に合わせて湾曲した形状となるように形成されている。以下、脚部31a及び31bを総称して「脚部31」ともいう。図4に示すように、脚部31は、プレート部10の奥行き方向(Y方向)に沿って間欠的に設けられている。
【0020】
また、図4及び図5に示すように、副食載置部30の下面において、脚部21と脚部31の略中間には、脚部(第3脚部)32a及び32bが設けられている。図4に示すように、脚部32aは、副食載置部30cの下面において、脚部31aよりもX1側に設けられている。脚部32bは、副食載置部30aの下面において、X1側に設けられている。以下、脚部32a及び32bを総称して「脚部32」ともいう。脚部31及び32の構成については、後述する。
【0021】
箸置き部(食具置き部)40は、食具としての箸が載置される領域である。箸置き部40は、図1及び図3に示すように、主食載置部20と副食載置部30との間に設けられ、プレート部10の上面から窪むように形成されている。箸置き部40は、プレート部10の奥行方向(Y方向)に沿って延在している。箸置き部40は、後述するように、奥行き方向において、底面部が下側(Z2側)に凸となるように湾曲している。箸置き部40には、例えば、図2に示すように、箸55が奥行方向(Y方向)に沿って載置される。
【0022】
次に、プレート部10(食品プレート1)の各部の構成について、更に詳細に説明する。
図5に示すように、プレート部10において、主食載置部20のX1側に位置する側壁11のX−Z平面における断面の形状は、上面側(Z1側)に向けて凸となるように湾曲している。なお、断面の形状は図示していないが、プレート部10において、副食載置部30b及び30cのX2側に位置する側壁11のX−Z平面における断面の形状についても、上面側(Z1側)に向けて凸となるように湾曲している(図1参照)。
【0023】
上記構成によれば、図6に示すように、利用者が食品プレート1(主食載置部20)のX1側の端を握った場合に、利用者の親指f1により側壁11を安定して押えることができる。また、主食載置部20の下面のX1側には、脚部21が設けられているため、利用者は、親指f1以外の人差し指から小指までの指f2を脚部21に引っ掛けることができる。したがって、利用者は、主食載置部20のX1側の端の上面及び下面において、プレート部10をより確実に保持することができる。前述したように、主食載置部20には、比較的重量のある飯椀51、汁椀52等が載置される。そのため、実施形態の食品プレート1によれば、主食載置部20に重量のある食品を載置した場合に、利用者の持ち手の負担をより軽減することができる。
【0024】
また、プレート部10において、副食載置部30b及び30cのX2側に位置する側壁11のX−Z平面における断面の形状も、上面側(Z1側)に向けて凸となるように湾曲している。そのため、利用者は、食品プレート1のX2側の端を握った場合でも、利用者の親指f1により側壁11を安定して押えることができる。更に、プレート部10の幅方向(X方向)及び奥行方向(Y方向)には、それぞれ傾斜面となる側壁11、12が形成されているため、食品プレート1は、プレート部10の厚さに係わらず、積み重ねて収納することができる。
【0025】
図4に示すように、脚部21は、主食載置部20のX1側の形状に合わせて僅かに湾曲しているため、利用者は、食品プレート1のX1側の端を握った場合に、プレート部10の下面において、指f2を脚部21により沿わせやすくなる。
更に、プレート部10において、脚部21aと21bとの間には、隙間S1が形成されているため、使用後の食品プレート1を洗浄した際に、汚れが排出しやすくなるため、汚れが溜まりにくくなる。そのため、食品プレート1の洗浄後により早く乾燥させることができる。
【0026】
図5の部分拡大図に示すように、プレート部10の上面において、箸置き部40の幅方向(X方向)の両端側には、補強のための角部41がそれぞれ形成されている。なお、図5の部分拡大図では、遠位側(Y2側)の輪郭線を省略している。角部41は、図3に示すように、箸置き部40の奥行き方向(Y方向)に沿って形成されている。箸置き部40の幅方向の両端側に角部41を設けることにより、箸置き部40において、幅方向の剛性を高めることができる。そのため、主食載置部20と副食載置部30にそれぞれ食品を載置した場合に、箸置き部40を間に挟んで、主食載置部20と副食載置部30とが下面側に撓んでしまう不具合を抑制することができる。
【0027】
一方、図5に示すように、箸置き部40において、角部41とは反対側の下面には、溝部42が形成されている。この溝部42の断面形状は、上面側の角部41の断面形状とは異なり、緩い曲線形状となるように形成されている。このような溝部42を設けることにより、使用後の食品プレート1を洗浄した際に、プレート部10の下面において、汚れが排出しやすくなるため、汚れが溜まりにくくなる。
【0028】
図7に示すように、箸置き部40は、奥行き方向(Y方向)において、底面部43が下側(Z2側)に凸となるように湾曲している。これによれば、箸置き部40に載置した箸55(図2参照)が奥行方向に移動しにくくなるため、箸置き部40において、箸55をより安定して保持させることができる。なお、箸置き部40には、箸55に限らず、例えば、幅の狭いフォーク、スプーン、ナイフ等を載置してもよいし、串、楊枝、紙おしぼり等を載置してもよい。
【0029】
図8に示すように、プレート部10において、副食載置部30a及び副食載置部30cの奥行方向(Y方向)に位置する側壁12のY−Z平面における断面の形状は、下面側(Z2側)に向けて凸となるように湾曲している。このような湾曲形状を有する側壁12は、図3に示すように、主食載置部20、副食載置部30a〜30cにおいて、少なくとも1ヵ所に形成されている。各載置部において、湾曲形状を有する側壁12を少なくとも1カ所設けることにより、各載置部に盛り付けられた食品をスプーン等により容易にすくい取ることが可能となる。また、図3に示すように、主食載置部20、副食載置部30a〜30cは、外周の角部に相当する領域がいずれも曲線形状となるように形成されている。プレート部10は、上記のような構成を備えるため、各載置部において、利用者による食品の食べ残しを少なくできるだけでなく、利用者の食べ残した食品を各載置部から回収する作業が容易となる。
【0030】
一方、図8に示すように、プレート部10の下面において、副食載置部30aと30cとの間の溝部13の断面形状は、上面側の仕切り部14の断面形状とは異なり、緩い曲線形状となるように形成されている。このような断面形状の溝部13は、プレート部10の下面において、副食載置部30aと30cとの間以外にも、副食載置部30aと30bとの間、副食載置部30bと30cとの間に、それぞれ設けられている(図4参照)。このような溝部13を設けることにより、使用後の食品プレート1を洗浄した際に、プレート部10の下面において、汚れが排出しやすくなるため、汚れが溜まりにくくなる。
【0031】
図9は、食品プレート1をY2方向から見たときの側面図である。図9において、符号Fは、食品プレート1を置くテーブル(不図示)の水平面を示している。図9に示すように、プレート部10において、脚部(第3脚部)32が副食載置部30の下面から突出する長さL3は、脚部(第1脚部)21が主食載置部20の下面から突出する長さL1、及び、脚部(第2脚部)31が副食載置部30の下面から突出する長さL2よりも短く設定されている。脚部21の突出する長さL1と、脚部31の突出する長さL2は、同じである。各脚部の長さの差分は、例えば、0.2mm前後である。
【0032】
上述のように、プレート部10において、脚部32の突出する長さL3を、脚部21が突出する長さL1、及び、脚部31が突出する長さL2よりも短くすると、プレート部10の各載置部に載置された食品の重さで、プレート部10の幅方向の中間がテーブル側(Z2側)に沈み込む。この沈み込みにより、プレート部10の各脚部は、テーブルの水平面Fに均一に当たるため、食品の載置されたプレート部10をテーブル上で安定させることができる。なお、射出成形により、プレート部10に全体が上側に凸となる撓みが生じることもある。その場合でも、前記差分が撓み分により僅かに増えるだけなので、載置した食品の重さにより、プレート部10をテーブル上で安定させることができる。
【0033】
なお、脚部32の突出する長さL3を、脚部21、31が突出する長さL1、l2と同じに長さにすると、製造時の公差により、脚部32の突出する長さL3が、脚部21及び31の突出する長さL1、L2より長くなることも考えらえる。その場合、プレート部10に食品を載置したときに、プレート部10の幅方向の両側(X1−X2側)が水平面Fより上側(Z1側)に持ち上がってしまい、プレート部10をテーブル上で安定させることが難しくなる。しかし、上述のように、脚部32の突出する長さL3を、脚部21、31が突出する長さL1、L2より短くしておくことにより、製造時の公差により脚部32が脚部21、31より長くなった場合だけでなく、プレート部10の全体が下側に凸なるような撓みが生じた場合においても、プレート部10がテーブル上で不安定になる不具合を低減することができる。
【0034】
図10は、複数枚の食品プレート1を積み重ねた場合の断面図である。図10は、積み重ねた複数枚の食品プレート1を、図1のD−D線と同じ断面から見たときの図である。
図10に示すように、複数枚の食品プレート1を厚さ方向(Z方向)に積み重ねると、プレート部10の下面に設けられた脚部21及び31は、下側に位置する食品プレート1の主食載置部20、副食載置部30b及び30c(図3参照)の上面と接触する。一方、プレート部10の下面において、脚部21と脚部31の略中間に設けられた脚部32は、下側に位置する食品プレート1の副食載置部30a及び30c(図3参照)の上面に接触しにくくなる。前述したように、プレート部10の下面において、脚部32の突出する長さを、脚部21及び31が突出する長さよりも短くしたためである。
【0035】
また、図10に示すように、複数枚の食品プレート1を積み重ねたときに、上側に位置する食品プレート1の溝部13と、下側に位置する食品プレート1の仕切り部14との接触が抑制される。同様に、上側に位置する食品プレート1の箸置き部40の溝部42と、下側に位置する食品プレート1の箸置き部40の角部41との接触が抑制される。
【0036】
このように、複数枚の食品プレート1を積み重ねたときに、各食品プレート1は、プレート部10の下面に設けられた脚部21及び31のみが下側に位置する食品プレート1と接触して、他の部分は下側に位置する食品プレート1と接触しない形態となる。これによれば、積み重ねられた食品プレート1において、互いに接触する面積を小さくできるため、各食品プレート1をより清潔な状態で使用することができる。
【0037】
また、図10に示すように、積み重ねられた食品プレート1の間に隙間S2が生じることにより、空気が流通しやすくなるため、洗浄後により早く乾燥させることができる。更に、積み重ねられた食品プレート1の間に隙間S2が生じることにより、利用者は、積み重ねられた複数枚の食品プレート1の幅方向(X方向)及び奥行方向(Y方向)の端部に指先を入れやすくなる。そのため、利用者は、積み重ねられた複数枚の食品プレート1から、所望の枚数の食品プレート1を取り出しやすくなる。
【0038】
複数枚の食品プレート1を積み重ねたときに、各食品プレート1において、プレート部10のX1側の下面に設けられた脚部21は、下側に位置する食品プレート1のX1側に位置する側壁11の近傍において主食載置部20と接触する。同様に、プレート部10のX2側の下面に設けられた脚部31は、下側に位置する食品プレート1のX2側に位置する側壁11の近傍において副食載置部30b及び30cと接触する。これによれば、例えば、積み重ねられた食品プレート1に対して幅方向(X方向)に力が加わった場合に、脚部21及び31の移動は、各載置部の側壁11により規制される。そのため、例えば、積み重ねられた食品プレート1の運搬中に揺れ等が生じた場合でも、各食品プレート1のずれを最小限に抑制することができる。なお、各食品プレート1において、プレート部10の奥行方向の両側(Y1−Y2側)においても、脚部21及び31は、対応する側に位置する側壁11又は12の近傍において各載置部と接触する。そのため、積み重ねられた食品プレート1は、幅方向(X方向)だけでなく、奥行き方向(Y方向)においても、ずれを最小限に抑制できる。
【0039】
図11は、コンテナ60に複数枚の食品プレート1をまとめて収納した場合の例を示す概念図である。図11に示すコンテナは、例えば、ケータリングサービスにおいて使用される。
ケータリングサービスにおいては、デリバリーの効率化を図るため、複数枚の食品プレート1をまとめて運搬することが行われる。図11に示すコンテナ60は、複数枚の食品プレート1を運搬する際に用いられる箱形の容器である。コンテナ60は、一例として、長手方向に沿って2列に食品プレート1を収納できるように構成されている。各列には、複数枚の食品プレート1が積み重ねられている。一般に、ケータリングサービスで使用されるコンテナ60は、車両への格納、持ち運び等を容易にするため、必要最小限の大きさに作られる。そのため、コンテナ60の内部に複数枚の食品プレート1を隙間なく収納すると、食品プレート1の取り出しが難しくなる。
【0040】
しかし、図11に示すように、実施形態の食品プレート1において、プレート部10の外周部分の四隅は、角が取れた曲線形状となるように構成されている。そのため、コンテナ60の内部に複数枚の食品プレート1を隙間なく収納した場合でも、食品プレート1の周囲に形成される隙間S3に手を差し込むことにより、コンテナ60から食品プレート1を容易に取り出すことができる。なお、コンテナ60は、食品プレート1を1列収納する形状であってもよいし、食品プレート1を3列以上収納する形状であってもよい。
【0041】
以上、本発明に係る食品プレートの実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本開示から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0042】
(変形形態)
実施形態の食品プレート1において、プレート部10に設けられる副食載置部30の構成は、図1に示すような3つの領域に分かれている例に限らず、例えば、4つ以上の領域に分かれていてもよいし、1つの領域であってもよい。複数の領域に分かれている場合、その形状、大きさ、配置等は、使用目的に応じて決めることができる。
実施形態の食品プレート1において、プレート部10の平面形状は、図3に示すような略矩形状のほか、例えば、丸形、楕円形等としてもよい。また、食品プレート1をコンテナ60(図11参照)に収納しない場合、プレート部10の平面形状を、角が曲線形状でない四角形等としてもよい。
実施形態の食品プレート1は、ケータリングサービスに限らず、例えば、ビュッフェ形式、バイキング形式等の食事会場においても使用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1:食品プレート、10:プレート部、11,12:側壁、14:仕切り部、20:主食載置部、21a,21b,31a,31b,32a,32b:脚部、30a,30b,30c:副食載置部、40:箸置き部、41:角部、40c:底面部、S1,S2,S3:隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11