【課題】感熱記録体に求められる様々な性能のうち屋外で使用する際の雨などの水分や湿気に対して十分な耐水性を有すると共に、発色感度、耐油性、耐熱性、インキ密着性、耐溶剤性に優れる感熱記録体を提供する。
【解決手段】支持体上に無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層を設け、該感熱記録層上に保護層を設けた感熱記録体において、該感熱記録層が、電子受容性顕色剤として、下記一般式で表されるウレア化合物を含有し、
前記共重合体Aが、前記(a1)、(a2)及び(a3)にスチレンモノマーを加えて(b)の存在下で重合させて成る、及び/又は共重合体Bが、前記(a1)及び(a2)にスチレンモノマーを加えて(b)の存在下で重合させて成る、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感熱記録体。
前記共重合体A中、前記a1、a2及びa3成分の合計重量に対する、前記a2成分の割合が0.05〜1.0重量%、前記a3成分の割合が1.0〜10重量%であり、前期共重合体B中、前記a1及びa2成分の合計重量に対する、前記a2成分の割合が0.01〜1.0重量%である請求項1〜5のいずれか一項に記載の記載の感熱記録体
前記共重合体A及びBの前記a1、a2及びa3成分の合計重量に対する、(b)成分の割合が、総量で0.5〜5重量%である請求項1〜6のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の感熱記録体は、支持体上に、無色ないし淡色のロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層を設け、該感熱記録層上に保護層を設けた感熱記録体において、該感熱記録層が、顕色剤として前記前記一般式(化1)で表されるウレア化合物を含有し、該保護層が、コアシェル型粒子の水性エマルジョンである特定のシラン変性アクリル系樹脂を含有することを特徴とする。
以下、本発明の感熱記録体の感熱記録層で使用される各種材料を例示するが、バインダー、架橋剤、顔料などは上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて設けられた各塗工層にも使用することが可能である。
【0008】
本発明で用いるウレア化合物は下式(化1)で表される。
【化1】
【0009】
一般式(化1)中、R
1は、置換若しくは無置換であってもよい、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。このアルキル基は、例えば、直鎖状、分岐鎖状若しくは脂環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜12である。このアラルキル基の炭素数は好ましくは7〜12であり、このアリール基炭素数は好ましくは6〜12のである。また、これらが置換されている場合、その置換基は、好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基又はハロゲン原子である。また、複数のR
1は、同じであっても異なっていてもよい。
一般式(化1)のベンゼン環中のR
1−SO
3−O−の位置は、同じであっても異なってもよく、好適には、3位、4位又は5位である。
【0010】
このアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基などが挙げられる。
【0011】
このアラルキル基としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、p−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、m−エチルベンジル基、p−エチルベンジル基、p−i−プロピルベンジル基、p−t−ブチルベンジル基、p−メトキシベンジル基、m−メトキシベンジル基、o−メトキシベンジル基、m,p−ジ−メトキシベンジル基、p−エトキシ−m−メトキシベンジル基、p-フェニルメチルベンジル基、p−クミルベンジル基、p−フェニルベンジル基、o−フェニルベンジル基、m−フェニルベンジル基、p−トリルベンジル基、m−トリルベンジル基、o−トリルベンジル基、p−クロロベンジル基などの無置換又はアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基若しくはハロゲン原子で置換されたアラルキル基などが挙げられる。
【0012】
このアリール基としては、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、メシチレン基、p−エチルフェニル基、p−i−プロピルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−クロロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、t−ブチル化ナフチル基などの無置換又はアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基若しくはハロゲン原子で置換されたアリール基などが挙げられる。
【0013】
R
2は、水素原子又はアルキル基、好ましくは水素原子を表し、このアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などである。
一般式(化1)のベンゼン環中のR
2の位置は、同じであっても異なってもよく、好適には3位、4位又は5位である。
【0014】
本発明のウレア化合物として、下記一般式(化2)で表されるウレア化合物が好ましい。
【化2】
一般式(化2)中、R
3はアルキル基又はアルコキシ基、好ましくはアルキル基であり、nは0〜3、好ましくは0〜2、より好ましくは0〜1の整数を表す。このアルキル基の炭素数は、例えば、1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である。
一般式(化2)のベンゼン環中のR
3の位置は、同じであっても異なってもよく、好適には3位、4位又は5位、好ましくは4位である。
【0015】
また、本発明のウレア化合物として、例えば、N,N'−ジ−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)−4−メチル−フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)−4−エチル−フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)−5−メチル−フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)−4−プロピル−フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(o−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(m−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)−4−メチル−フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−キシレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(m−キシレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(2−ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−エチルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−プロピルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−イソプロピルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−t−ブチルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(m−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(o−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(m,p−ジメトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−エトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−プロポキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−ブトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−クミルベンジルスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−クミルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(o−フェニルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−フェニルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[4−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[4−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(エタンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'−ジ−[3−(ベンジルスルホニルオキシ)フェニル]尿素、などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明の感熱記録層中の、前記一般式(化1)で表されるウレア化合物の含有量(固形分)は、1.0〜50.0重量%、好ましくは1.0〜40.0重量%である。
【0017】
本発明の感熱記録層は、前記一般式(化1)で表されるウレア化合物以外の顕色剤を使用してもよく、このような顕色剤として、例えば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウムなどの無機酸性物質、4,4'−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4'−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4'−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4'−メチルフェニルスルホン、1−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−4−[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタン、特開2003−154760号公報記載のフェノール縮合組成物、特開平8−59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2'−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)、N−[2−(3−フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、WO02/081229号あるいは特開2002−301873号公報記載の化合物、またN,N'−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、及びこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。これらの顕色剤は、単独又は2種以上混合して使用することもできる。1−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−4−[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタンは、例えば、株式会社エーピーアイコーポレーション製商品名JKY−214として入手可能であり、特開2003−154760号公報記載のフェノール縮合組成物は、例えば、株式会社エーピーアイコーポレーション製商品名JKY−224として入手可能である。また、WO02/081229号等に記載の化合物は、日本曹達(株)製商品名NKK−395、D−100として入手可能である。この他、特開平10−258577号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型発色成分を含有することもできる。
【0018】
本発明の感熱記録層が、前記一般式(化1)で表されるウレア化合物以外の顕色剤を含有する場合、感熱記録層中に含有される全顕色剤(前記前記一般式(化1)で表されるウレア化合物を含む)に対する、一般式(化1)で表されるウレア化合物の合計含有量(固形分)は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。
【0019】
本発明で使用するロイコ染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系化合物、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の染料(染料前駆体)の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0020】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
【0021】
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
【0022】
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6'−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕、3,6,6'−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕
【0023】
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
【0024】
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3'−ニトロ)アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4'−ニトロ)アニリノラクタム、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン、ビス−〔2,2,2',2'−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0025】
本発明で使用する増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ビス−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4'−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドなどを例示することができる。これらの増感剤は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0026】
本発明で使用する顔料としては、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ等が挙げられ、要求品質に応じて併用することもできる。
【0027】
本発明で使用するバインダーとしては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロース、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、カゼイン、アラビヤゴム、酸化澱粉、エーテル化澱粉、ジアルデヒド澱粉、エステル化澱粉、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリスチロース及びそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂などを例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン類、エステル類、炭化水素などの溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することもできる。
【0028】
また、本発明では架橋剤を併用することもできる。架橋剤としては、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂等のエピクロロヒドリン系樹脂、ポリアミド尿素系樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミド樹脂、ポリアミンポリ尿素系樹脂、変性ポリアミン樹脂、変性ポリアミド樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、又はポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂等のポリアミン/ポリアミド系樹脂、グリオキザール、メチロールメラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸、ミョウバン、塩化アンモニ
ウムなどを例示することができる。
【0029】
本発明において、感熱記録層にバインダーとしてカルボキシル基含有樹脂を、架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂を、それぞれ含有させると、耐水性が特に良好となるため好ましい。
本発明において、感熱記録層にバインダーとしてカルボキシル基含有樹脂を、架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂を、それぞれ含有させると、耐水性が特に良好となる理由は、次のように推測される。
【0030】
カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基と、架橋剤であるエピクロロヒドリン系樹脂のアミン部分あるいはアミド部分との間で架橋反応(第1の耐水化)が起こる。次に、カルボキシル基含有樹脂とエピクロロヒドリン系樹脂で形成された親水性の架橋部位とポリアミン/ポリアミド系樹脂の親水性部位とが引き合うため、この架橋部位はポリアミン/ポリアミド系樹脂の疎水基を外側にして包まれた状態、つまり親水性のある架橋部位が疎水性基で水から保護された状態(第2の耐水化)となる。そのため、カルボキシル基含有樹脂と架橋剤との反応部位に極めて高い疎水性が付与され、耐水性が特に良好となるものと推測される。
【0031】
本発明の感熱記録層で使用するカルボキシル基含有樹脂は、主にカルボキシル基を有するものであればいずれでもよく、メタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフリフリルなどのカルボキシル基を有する一官能性アクリルモノマーを含むアクリル系樹脂、酸化澱粉、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルアルコールにカルボキシル基を導入したカルボキシ変性ポリビニルアルコールなどを例示することが可能である。
特に、カルボキシル基含有樹脂がカルボキシ変性ポリビニルアルコールである場合、画像部の耐可塑剤性及び白紙部の耐熱性が更に良好になるため好ましい。これは、前述の架橋反応に加え、更にポリアミン/ポリアミド系樹脂のカチオン性部位が、カルボキシ変性ポリビニルアルコールのカルボキシル基と架橋反応するためと推測される。
【0032】
本発明の感熱記録層で使用するカルボキシ変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとフマル酸、無水フタル酸、無水メリト酸、無水イタコン酸などの多価カルボン酸との反応物、又はこれらの反応物のエステル化物、さらに酢酸ビニルとマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸、メタアクリル酸などのエチレン性不飽和ジカルボン酸との共重合物の鹸化物として得られる。具体的には、特開昭53−91995号公報の実施例1もしくは4に例示されている製造方法等が挙げられる。カルボキシ変性ポリビニルアルコールの鹸化度は72〜100mol%であることが好ましく、重合度は500〜2400であることが好ましく、1000〜2000であることがより好ましい。
【0033】
本発明の感熱記録層で使用するエピクロロヒドリン系樹脂は、分子中にエポキシ基を含有していることを特徴とする樹脂であり、前述のポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂等を挙げることができる。
エピクロロヒドリン系樹脂の主鎖に存在するアミンとしては第1級から第4級までのものを使用することができ、特に制限はない。さらに、カチオン化度及び分子量は、耐水性が良好なことから、カチオン化度は5meq/g・Solid以下(pH7での測定値)、分子量は50万以上が好ましい。これらのエピクロロヒドリン系樹脂は、単独又は2種類以上を使用することも可能である。
本発明の感熱記録層で使用するエピクロロヒドリン系樹脂の具体例としては、スミレーズレジン650(30)、スミレーズレジン675A、スミレーズレジン6615(以上、住友化学社製)、WS4002、WS4020、WS4024、WS4030、WS4046、WS4010、CP8970(以上、星光PMC社製)などが挙げられる。
【0034】
本発明の感熱記録層で使用するポリアミン/ポリアミド系樹脂は、分子中にエポキシ基を有していないことを特徴とする樹脂であり、前述のポリアミド尿素樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミド樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、変性ポリアミン樹脂、変性ポリアミド樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂等を挙げることができる。
これらのポリアミン/ポリアミド系樹脂の中では、特に耐水性が良好となるためポリアミン系樹脂(ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、変性ポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹等)を使用することが好ましい。これらのポリアミン/ポリアミド系樹脂は、単独又は2種類以上を使用することも可能である。
本発明の感熱記録層で使用するポリアミン/ポリアミド系樹脂の具体例としては、スミレーズレジン302(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン712(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン703(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジン636(住友化学社製:ポリアミンポリ尿素樹脂)、スミレーズレジンSPI−100(住友化学社製:変性ポリアミン樹脂)、スミレーズレジンSPI−102A(住友化学社製:変性ポリアミン樹脂)、スミレーズレジンSPI−106N(住友化学社製:変性ポリアミド樹脂)、スミレーズレジンSPI−203(50)(住友化学社製)、スミレーズレジンSPI−198(住友化学社製
)、プリンティブA−700(旭化成社製)、プリンティブA−600(旭化成社製)、PA6500、PA6504、PA6634、PA6638、PA6640、PA6644、PA6646、PA6654、PA6702、PA6704(以上、星光PMC社製:ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂)などが挙げられる。
【0035】
本発明で使用する滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪
酸金属塩、ワックス類、シリコーン樹脂類などが挙げられる。
【0036】
本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、画像部の耐油性等を向上させる安定剤として、4,4′−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチル−4,4′−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等を添加することもできる。このほかにベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
【0037】
本発明の感熱記録層で使用するロイコ染料、顕色剤、増感剤、その他の各種成分の種類及び量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、ロイコ染料1重量部に対して顕色剤0.5〜10重量部、増感剤0.1〜10重量部、顔料0.5〜20重量部、安定化剤0.01〜10重量部、その他の成分0.01〜10重量部程度を使用する。バインダーは感熱記録層固形分中5〜25重量%程度が適当である。
【0038】
本発明において、ロイコ染料、顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗工液とする。この塗工液に用いる溶媒としては水あるいはアルコール等を用いることができ、その固形分は20〜40重量%程度である。
【0039】
本発明の保護層は、顔料と樹脂を主成分とし、シラン変性アクリル系樹脂を含有する。本発明で用いるシラン変性アクリル系樹脂は、界面活性剤の存在下で、複数種類の重合性不飽和単量体を多段階乳化重合して得られる水性樹脂エマルションである。
このシラン変性アクリル系樹脂は、下記(a1)、(a2)及び(a3)を(b)の存在下で重合させて成る共重合体Aから成るコアと、下記(a1)及び(a2)を(b)の存在下で重合させて成る共重合体Bから成るシェルとから成るコアシェル型粒子の水性エマルジョンである。
(a1)少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル
(a2)アルコキシシリル基及びエチレン性二重結合を有する単量体
(a3)カルボキシル基及びエチレン性二重結合を有する単量体
(b)アリル基、及びポリオキシエチレン鎖を有する硫酸塩を含有する重合性界面活性剤
この共重合体Aは、前記(a1)、(a2)及び(a3)にスチレンモノマーを加えて(b)の存在下で重合させて成ってもよく、及び/又は共重合体Bが、前記(a1)及び(a2)にスチレンモノマーを加えて(b)の存在下で重合させて成ってもよい。
【0040】
<(a1)少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル>について
本明細書では、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の双方を示し、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種を含むことを意味する。
「(メタ)アクリル酸エステル」とは(メタ)アクリル酸のエステル、すなわち(メタ)アクリレートをいう。(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートの双方を示し、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種を含むことを意味する。
尚、ビニル基と酸素が結合した構造を有するビニルエステル、例えば酢酸ビニル等は、本明細書において、(メタ)アクリレートに含まれない。
【0041】
(メタ)アクリレートの具体例として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ベヘニル及びドコシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等を例示できる。
これらは単独で又は2種以上併せて用いることができる。
【0042】
本発明の実施形態において、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)、アクリル酸n−ブチル(n−BA)、メタクリル酸n−ブチル(n−BMA)、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
<(a2)アルコキシシリル基及びエチレン性二重結合を有する単量体>について
アルコキシシリル基及びエチレン性二重結合を有する単量体とは、乳化重合反応によって得られる水性樹脂エマルション樹脂に、アルコキシシリル基を付与することができる化合物をいい、本発明に係る水性樹脂エマルションを得ることができるものであれば特に制限されるものではない。
アルコキシシリル基及びエチレン性二重結合を有する単量体は、アルコキシシリル基とエチレン性二重結合を共に有し、アルコキシシリル基とエチレン性二重結合は、例えば、エステル結合、アミド結合及びアルキレン基等の他の官能基を介して結合してよい。
ここで「アルコキシシリル基」とは、加水分解することによってケイ素に結合するヒドロキシル基(Si−OH)を与えるケイ素含有の官能基をいう。「アルコキシシリル基」として、例えば、トリメトキシシル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシシリル基、モノエトキシシリル基、及びモノメトキシシリル基等のアルコキシシルリ基を例示できる。特に、トリメトキシシリル基及びトリエトキシシリル基が好ましい。
【0044】
本明細書において「エチレン性二重結合」とは、重合反応(ラジカル重合)し得る炭素原子間二重結合をいう。そのようなエチレン性二重結合を有する官能基として、例えば、ビニル基(CH
2=CH−)、(メタ)アリル基(CH
2=CH−CH
2−及びCH
2=C(CH
3)−CH
2−)、(メタ)アクリロイルオキシ基(CH
2=CH−COO−及びCH
2=C(CH
3)−COO−)、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基(CH
2=CH−COO−R−及びCH
2=C(CH
3)−COO−R−)及び−COO−CH=CH−COO−等を例示できる。
尚、アルコキシシリル基及びエチレン性二重結合を有する単量体は、上述の(メタ)アクリル酸エステルに含まれない。
【0045】
アルコキシシリル基及びエチレン性二重結合を有する単量体として、下記式(1)で示される化合物を例示できる。
R
1Si(OR
2)(OR
3)(OR
4) (1)
式中、R
1はエチレン性二重結合を有する官能基であり、R
2、R
3及びR
4は、炭素数1〜5のアルキル基である。R
2、R
3及びR
4は、相互に同一でも異なってもよい。
R
1のエチレン性二重結合を有する官能基として、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル基、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、2−(メタ)アクリロイルオキシブチル基、3−(メタ)アクリロイルオキシブチル基、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルを例示できる。
【0046】
R
2、R
3及びR
4の炭素数1〜5のアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、及びn−ペンチル基等の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を例示できる。
「アルコキシシリル基を含有しエチレン性二重結合を有する単量体」として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びビニルトリn−ブトキシシランなどのビニルトリアルコキシシランが挙げられる。
具体的には、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及び3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランが好ましく、特に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
これらのアルコキシシリル基を含有しエチレン性二重結合を有する単量体は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0047】
<(a3)カルボキシル基及びエチレン性二重結合を有する単量体>について
カルボキシル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸が挙げられる。上述したように、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。(メタ)アクリル酸として、アクリル酸を用いることが特に好ましい。
「エチレン性二重結合」については、上述の通りである。
【0048】
<(b)アリル基及びポリオキシエチレン鎖を有する硫酸塩を含有する重合性界面活性剤>について
アリル基及びポリオキシエチレン基を有する硫酸塩としては、アリル基及びポリオキシエチレン基を有する硫酸エステルアンモニウム塩、アリル基及びポリオキシエチレン基を有する硫酸エステルナトリウム塩、アリル基及びポリオキシエチレン基を有する硫酸エステルカリウム塩が挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルカリウム塩;α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ポリオキシエチレン硫酸エステルアンモニウム塩、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ポリオキシエチレン硫酸エステルナトリウム塩、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ポリオキシエチレン硫酸エステルカリウム塩;等が挙げられる。これら硫酸塩は、単独でも複数で用いられても良い。
【0049】
本発明のアリル基及びポリオキシエチレン基を有する硫酸塩としては、硫酸アンモニウム塩が好ましく、すなわち、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ポリオキシエチレン硫酸エステル塩が本発明には好ましく、特にポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩が本発明にとって最も望ましい。
アリル基及びポリオキシエチレン基を有する硫酸塩の市販品として、例えば、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩である第一工業製薬社製の「アクアロンKH−10」(商品名、ポリオキシエチレン鎖長10)、「アクアロンKH−1025」(商品名、「アクアロンKH−10」の25%水溶液);α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ポリオキシエチレン硫酸エステル塩である旭電化工業社製の「アデカリアソープ(商標)SR−1025」等が挙げられる。
【0050】
なお、この重合性不飽和単量体は、目的とする水性樹脂エマルションが得られる限り、「その他の単量体」を含んでよい。「その他の単量体」とは、(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシシリル基及びエチレン性二重結合を有する単量体、(メタ)アクリル酸以外の単量体をいう。
「その他の単量体」の一例を以下に示すが、以下に限定されるものではない。スチレン及びスチレンスルホン酸等のスチレン系単量体;イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル;及び(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド。
【0051】
<多段階乳化重合>
本発明のシラン変性アクリル系樹脂(水性樹脂エマルション)は、界面活性剤の存在下で、重合性不飽和単量体が多段階乳化重合することで得られる。
本発明の一つの実施態様において、重合性不飽和単量体を複数段階(実質2段階)の工程で乳化重合する。最終段以外の重合時に用いられる重合性不飽和単量体(上記a1、a2、a3及びb)を重合性不飽和単量体Aとし、得られた重合体を共重合体Aといい、最終段階の重合時に用いられる重合性不飽和単量体(上記a1、a2及びb)を重合性不飽和単量体Bとし、得られた重合体を共重合体Bという。
多段階乳化重合によって最終的に得られる水性樹脂エマルションは、重合性不飽和単量体Aが重合して得られるプレエマルションに、重合性不飽和単量体Bを重合させることで得られる。
【0052】
多段階乳化重合で得られた水性樹脂エマルションは、多層構造(コアシェル)である。
本発明では、多段階乳化重合に用いられる重合性不飽和単量体Aは、最終段階以外で用いる重合性不飽和単量体Aと最終段階で用いる重合性不飽和単量体Bとを有し、重合性不飽和単量体Bと重合性不飽和単量体Aとの質量比(重合性不飽和単量体B/重合性不飽和単量体A)が30/70〜70/30が好ましく、特に40/60〜60/40が好ましい。
重合性不飽和単量体Bと重合性不飽和単量体Aとの質量比が上記割合であることによって、本発明の水性樹脂組成物(水性樹脂エマルション)は、塗工性と耐久性(耐水性、耐溶剤性)のバランスに優れたものとなる。
【0053】
共重合体A中、上記a1、a2及びa3の重合性不飽和単量体の合計重量に対する、上記a2重合性不飽和単量体の割合は、好ましくは0.05〜1.0重量%、より好ましくは0.4〜0.8重量%であり、上記a3重合性不飽和単量体の割合は、好ましくは1.0〜10重量%、より好ましくは2.0〜6.0重量%であり、残部はa1重合性不飽和単量体であるが、上記a1、a2及びa3の重合性不飽和単量体の合計重量に対する、上記a1重合性不飽和単量体の割合は、好ましくは89〜99重量%、より好ましくは90〜98重量%である。
共重合体B中、上記a1及びa2の重合性不飽和単量体の合計重量に対する、上記a2重合性不飽和単量体の割合は、好ましくは0.01〜1.0重量%、より好ましくは0.1〜0.4重量%であり、残部はa1重合性不飽和単量体であるが、上記a1及びa2の重合性不飽和単量体の合計重量に対する、上記a1重合性不飽和単量体の割合は、好ましくは85〜100重量%、より好ましくは95〜100重量%である。
なお、共重合体A及びB(即ち、シラン変性アクリル系樹脂)の合成における、上記a1、a2及びa3の重合性不飽和単量体の合計重量に対する、(b)アリル基及びポリオキシエチレン鎖を有する硫酸塩を含有する重合性界面活性剤の割合は、該合成工程における総量で、好ましくは0.5〜5重量%である。
本発明のシラン変性アクリル系樹脂(水性樹脂エマルション)は、例えば、ヘンケルジャパン株式会社から商品名:AQUENCE EPIX BC 21066として入手可能である。
【0054】
以下、この多段階乳化重合の工程の一例を記載する。
先ず、反応容器に、(a1)(メタ)アクリル酸エステル 、(a2)アルコキシシリル基及びエチレン性二重結合を有する単量体 及び(a3)カルボキシル基を有する単量体を均一に混合し、重合性不飽和単量体Aの混合物を調製する。
アリル基及びポリオキシエチレン基を有する硫酸塩に水(若しくは水性媒体)を加えて水溶液とし、この水溶液に重合性不飽和単量体Aの混合物を添加し、単量体乳化物Aを調製する。
別の容器内に、単量体乳化物Aとは別に、単量体乳化物Bを調製する。単量体乳化物Bの調製は、単量体乳化物Aの調製と同様で差し支えない。具体的には、(a1)(メタ)アクリル酸エステル及び(a2)アルコキシシリル基及びエチレン性二重結合を有する単量体 を有する単量体を均一に混合し、重合性不飽和単量体Bの混合物を調製する。
アリル基及びポリオキシエチレン基を有する硫酸塩の水溶液に重合性不飽和単量体Bの混合物を添加し、単量体乳化物Bとする。
【0055】
次に、撹拌機、温度計等を備えた反応器に、水及び(b)アリル基及びポリオキシエチレン基を有する硫酸塩を仕込み、単量体乳化物Aの一部と、触媒を添加する。反応器内の温度を適温に保ったまま、単量体乳化物Aの残りと、触媒をさらに滴化し、プレエマルションを調製する。
このプレエマルションに、単量体乳化物Bと触媒を滴下して重合することで、最終生成物である水性樹脂エマルションを多段階乳化重合で合成する。
ここで用いる触媒としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチトニトリル(AIBN)及び2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、及び2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 等を例示することができ、特に、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムが好ましい。
【0056】
本発明で用いるシラン変性アクリル系樹脂のガラス転移点(Tg)は、好ましくは−10℃以上50℃以下、より好ましくは0℃以上50℃以下である。また、共重合体Aのガラス転移温度は、好ましくは共重合体Bのガラス転移温度より低い。また、共重合体Aのガラス転移温度が−20〜20℃であることが好ましく、−10〜20℃であることがより好ましく、−10〜15℃であることが特に好ましい。さらに、共重合体Bのガラス転移温度が10〜50℃であることが好ましく、25〜50℃であることがより好ましく、30〜50℃であることが特に好ましい。また、本発明で用いるシラン変性アクリル系樹脂の最低造膜温度(MFT)は好ましくは25℃以下である。
なお、シラン変性アクリル系樹脂のガラス転移点(Tg)及び最低造膜温度(MFT)は示差走査熱量測定(DSC)によって測定する。
【0057】
また、本発明の保護層は、更に顔料を含むことが好ましく、その顔料のアスペクト比は30以上であることがより好ましい。このような顔料を加えることにより、Tgが高いアクリル系樹脂の欠点である耐可塑剤性や耐溶剤性を補うことができる。更に顔料を加えると耐スティック性が向上する効果もある。
本発明で使用する顔料としては、カオリン、焼成カオリン、水酸化アルミニウム、シリカ、炭酸カルシウム、ケイソウ土、タルク、酸化チタンなどの無機又は有機充填剤などが挙げられる。保護層中に用いる顔料としては、特に、カオリン及び/又は水酸化アルミニウムが好ましい。これらの顔料は1種又は2種以上用いてもよい。
【0058】
本発明の保護層中のシラン変性アクリル系樹脂の含有量は、保護層の固形分含有量に対して、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは30〜60重量%である。
【0059】
本発明の保護層で用いるバインダーとして、上記シラン変性アクリル系樹脂以外に、上述の感熱記録層に使用可能なバインダーが適宜使用可能であるが、上記のカルボキシ変性ポリビニルアルコール及び非コアシェル型アクリル系樹脂が好ましい。これらのバインダーは1種又は2種以上用いてもよい。
また、架橋剤としては、上述の感熱記録層に使用可能な架橋剤が適宜使用可能であるが、上記のエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)が好ましい。
保護層にカルボキシ変性ポリビニルアルコールと共に、エピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂を含有させることがより好ましく、これにより発色性能が更に改善される。
【0060】
この非コアシェル型アクリル系樹脂のガラス転移点(Tg)は、好ましくは95℃以下であり、更に好ましくは50℃より高い。このTgは示差走査熱量測定(DSC)によって測定する。
この非コアシェル型アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アクリル酸と共重合可能な単量体成分を含み、(メタ)アクリル酸が非コアシェル型アクリル系樹脂100重量部中1〜10重量部であることが好ましい。(メタ)アクリル酸は、アルカリ可溶性であり、中和剤の添加により非コアシェル型アクリル系樹脂を水溶性樹脂にする特性を有している。非コアシェル型アクリル系樹脂を水溶性樹脂に変化させることによって、特に保護層中に顔料を含有する場合、顔料への結合性が著しく向上し、多量の顔料含有下でも優れた強度を有する保護層を形成することができる。(メタ)アクリル酸と共重合可能な成分としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸オクチルなどのアクリル酸アルキル樹脂及びエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、スチレン又はその誘導体によって変性された上記アクリル酸アルキル樹脂などの変性アクリル酸アルキル樹脂、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキルアクリル酸エステルを例示できるが、特に(メタ)アクリロニトリル及び/又はメタクリル酸メチルを配合することが好ましい。(メタ)アクリロニトリルは非コアシェル型アクリル系樹脂100部中15〜70部配合することが好ましい。また、メタクリル酸メチルは非コアシェル型アクリル系樹脂100部中20〜80部含むことが好ましい。(メタ)アクリロニトリル及びメタクリル酸メチルを含む場合、(メタ)アクリロニトリルを非コアシェル型アクリル系樹脂100部中15〜18部、メタクリル酸メチルを非コアシェル型アクリル系樹脂100部中20〜80部配合することが好ましい。
【0061】
保護層にカルボキシ変性ポリビニルアルコールと共にエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂を使用する場合の含有量は、カルボキシ変性ポリビニルアルコール100重量部に対してそれぞれ1〜100重量部であることが好ましく、5〜50重量部であることがより好ましく、10〜40重量部であることが更に好ましい。
【0062】
保護層中のバインダーの含有量(固形分)は好ましくは20重量%以上、20〜80重量%程度がより好ましく、保護層が顔料を含む場合、顔料およびバインダーの含有量は、顔料100重量部に対しバインダーは固形分で30〜300重量部程度が好ましい。
保護層の塗工液には必要に応じて、上述の感熱記録層に使用可能な架橋剤、滑剤、安定剤や、紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等の各種助剤を適宜配合してもよい。
【0063】
本発明の感熱記録体は、支持体上に感熱記録層を有するが、支持体と感熱記録層の間に下塗り層を設けてもよい。
【0064】
この下塗り層は、主としてバインダーと顔料とから成る。
下塗り層に用いるバインダーとしては、一般的に使用されている水溶性高分子あるいは疎水性高分子のエマルジョン等が適宜使用可能である。具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、等のセルロース誘導体、デンプンとその誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等の疎水性高分子のエマルジョンを用いることができる。これらのバインダーは1種又は2種以上用いてもよい。
【0065】
下塗り層に用いる顔料としては、従来一般的に使用されている公知の顔料、具体例としては炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、焼成カオリン、クレー、タルク等の無機顔料などを使用することができる。これらの顔料は1種又は2種以上用いてもよい。
下塗り層中の顔料は、全固形分100重量部に対して、通常50〜95重量部、好ましくは70〜90重量部である。
下塗り層の塗工液には必要に応じて、分散剤、可塑剤、pH調整剤、消泡剤、保水剤、防腐剤、着色染料、紫外線防止剤等の各種助剤を適宜配合してもよい。
【0066】
本発明において、感熱記録層及び感熱記録層以外の塗工層、即ち保護層、下塗り層などを塗工する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができる。例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。
感熱記録層及び感熱記録層以外の塗工層の塗工量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、感熱記録層の一般的な塗工量は固形分で2〜12g/m
2程度であり、保護層の塗工量は固形分で0.5〜5.0g/m
2が好ましい。
また、各塗工層の塗工後にスーパーカレンダー掛けなどの平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必要適宜付加することができる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。なお、各実施例及び比較例中、特にことわらない限り「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
【0068】
以下の製造例で、水性エマルションを(A)単量体乳化物(共重合体A)及び(B)単量体乳化物(共重合体B)から調製した。(A)及び(B)を製造するための重合性不飽和単量体、界面活性剤、及び各添加剤について以下に記載する。
尚、重合性不飽和単量体のホモポリマーTgは、文献値であり、(a)重合性不飽和単量体の共重合体のTgと(b)重合性不飽和単量体の共重合体のTgは、理論計算式で算出された値である。
【0069】
<重合性不飽和単量体>
メタクリル酸メチル(メチルメタクリレート、以下、「MMA」という、富士フイルム和光純薬社製、ホモポリマーのTg=105℃)
アクリル酸2−エチルヘキシル(2−エチルヘキシルアクリレート、以下、「2EHA」という、富士フイルム和光純薬社製、ホモポリマーのTg=−70℃)
アクリル酸n−ブチル(n-ブチルアクリレート、以下、「n−BA」という、富士フイルム和光純薬社製、ホモポリマーのTg=−54℃)
メタクリル酸n−ブチル(n−ブチルメタクリレート、以下、「n−BMA」という、富士フイルム和光純薬社製、ホモポリマーのTg=20℃)
メタクリル酸シクロヘキシル(シクロヘキシルメタクリレート、以下、「CHMA」という、富士フィルム和光純薬製、ホモポリマーのTg=83℃)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(富士フィルム和光純薬製社製)
アクリル酸(以下、「AA」という、富士フイルム和光純薬社製、ホモポリマーのTg=106℃)
スチレン(以下、「St」という、富士フイルム和光純薬社製、ホモポリマーのTg=100℃)
【0070】
<界面活性剤>
ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル流酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、アクアロンKH10)(以下「b」で表す)
【0071】
[製造例1]
複数の重合性不飽和単量体から単量体乳化物を調製し、その後、単量体乳化物からプレエマルションを調製し、プレエマルションから水性樹脂エマルションを合成した。具体的な工程は以下のとおりである。
【0072】
((A)単量体乳化物の調製)
表1に示されるように、(a1-1)MMA5質量部、(a1-3)BA23質量部、(a1-4)BMA10質量部、(a1-5)CHMA10質量部、(a2)3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3質量部、(a3)AA2質量部を均一に混合し、重合性不飽和単量体溶液(50.3質量部)を調製した。
水14質量部、(b)ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩0.1質量部が均一に混合された溶液に、上記重合性不飽和単量体溶液を添加し、攪拌機でこれら混合溶液を攪拌して(A)単量体乳化物を得た。
【0073】
((B)単量体乳化物の調製)
(A)表1に示されるように、(a1-1)MMA16.6質量部、(a1-3)BA13質量部、(a1-4)BMA10質量部、(a1-5)CHMA10質量部、(a2)3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.1質量部を均一に混合し、重合性不飽和単量体溶液を調製した。
水14質量部、(b)ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩0.1質量部が均一に混合された溶液に、上記重合性不飽和単量体溶液を添加し、攪拌機でこれら混合溶液を攪拌して(B)単量体乳化物を得た。
【0074】
(プレエマルションの合成)
攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた反応器に、水78質量部及び(b)ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩1.25質量部を仕込み、系内を窒素ガスで置換した後、その仕込み液を80℃に加熱した。
その後、その仕込み液に、(A)単量体乳化物(重合性不飽和単量体を50.3質量部含み、その重合性不飽和単量体の10.1質量部に相当する部分)、1質量%の過硫酸ナトリウム(以下、「SPS」ともいう)水溶液2質量部を添加した。
さらに10分後、反応器内の温度を80℃に保ったまま、上述の(A)単量体乳化物の残り((a)重合性不飽和単量体40.2質量部に相当する部分)及び重合触媒であるSPSの1%水溶液4質量部を各々同時に2時間かけて滴下し、プレエマルジョン((a)重合性不飽和単量体に基づく水性樹脂エマルション)を得た。
【0075】
(水性樹脂エマルションの合成)
反応器内の温度を80℃に保ち、滴下終了から30分後、上述の(B)単量体乳化物(不飽和重合性単量体を49.7質量部含む)、SPSの1%水溶液4質量部を、各々同時に2時間かけて上述のプレエマルションに滴下し、水性樹脂エマルションを得た。
得られた水性樹脂エマルジョンをアンモニア水でpH8.0に調整した。水性樹脂エマルションは、(A)重合性不飽和単量体(共重合体A)ガラス転移温度が−3.8℃、(B)重合性不飽和単量体(共重合体B)のガラス転移温度が26.7℃、固形分濃度が45質量%であった。固形分は、105℃のオーブン中で3時間乾燥し、乾燥前の質量に対する残留する部分の質量百分率である。
得られた水性樹脂エマルションをシラン変性アクリル系樹脂1と呼ぶ。
【0076】
[製造例2〜5]
表1に示す原料の単量体を用いて製造例1と同様に合成した。表中の配合に関する数字は重量部を表す。得られた水性樹脂エマルションをそれぞれシラン変性アクリル系樹脂2〜5と呼ぶ。
【0077】
【表1】
【0078】
一方、感熱記録体の製造のため、各分散液と塗工液を以下のように調製した。
[各塗工液の調製]
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、下塗り層用塗工液を調製した。
<下塗り層用塗工液>
焼成カオリン(BASF社製、商品名:アンシレックス90) 100.0部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン社製、
商品名:ST5526、固形分48%) 10.0部
水 50.0部
【0079】
下記配合の顕色剤分散液(A1、A2液)、ロイコ染料分散液(B液)、増感剤分散液(C液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径0.5μmになるまで湿式磨砕を行った。
【0080】
顕色剤分散液(A1液)
N,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素
6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:
PVA117、固形分10%) 5.0部
水 1.5部
顕色剤分散液(A2液)
下式(化3)で表されるフェノール系化合物(日本曹達社製、商品名:D90)
6.0部
【化3】
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
【0081】
ロイコ染料分散液(B液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成社製、
商品名:ODB−2) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
増感剤分散液(C液)
1,2−ビス−(3−メチルフェノキシ)エタン(三光社製、
商品名:KS232) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
【0082】
次いで、下記の割合で各分散液を混合して感熱記録層用塗工液を調製した。
<感熱記録層用塗工液>
顕色剤分散液(A1液) 10.0部
ロイコ染料分散液(B液) 5.0部
増感剤分散液(C液) 3.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 25.0部
【0083】
次いで、下記割合からなる配合物を混合して保護層用塗工液1〜2を調製した。
<保護層用塗工液1>
水酸化アルミニウム分散液(マーティンスベルグ社製、
商品名:マーティフィンOL、固形分50%) 9.0部
シラン変性アクリル系樹脂1(Tg18℃、MFT22℃、固形分40%)
10.0部
ステアリン酸亜鉛(中京油脂社製、商品名:ハイドリンZ−7−30、
固形分30%) 2.0部
【0084】
<保護層用塗工液2>
水酸化アルミニウム分散液(マーティフィンOL) 9.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 40.0部
ステアリン酸亜鉛(ハイドリンZ−7−30) 2.0部
グリオキザール水溶液(日本合成化学社製、固形分40%) 3.0部
【0085】
[実施例1]
支持体(坪量47g/m
2の上質紙)の片面に、下塗り層用塗工液を、固形分で塗工量10.0g/m
2となるようにベントブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、下塗り層塗工紙を得た。
この下塗り層塗工紙の下塗り層上に、感熱記録層用塗工液を、固形分で塗工量6.0g/m
2となるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行い、感熱記録層塗工紙を得た。
次いで、この感熱記録層塗工紙の感熱記録層上に、保護層用塗工液1を、固形分で塗工量3.0g/m
2となるようにカーテン法で塗工した後、乾燥を行い、スーパーカレンダーで平滑度が100〜500秒になるように処理して感熱記録体を作製した。
【0086】
[実施例2]
感熱記録層用塗工液に使用するA1液中のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(o−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例3]
感熱記録層用塗工液に使用するA1液中のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0087】
[実施例4]
感熱記録層用塗工液に使用するA1液中のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例5]
感熱記録層用塗工液に使用するA1液中のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(2−ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0088】
[実施例6]
感熱記録層用塗工液に使用するA1液中のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(p−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例7]
感熱記録層用塗工液に使用するA1液中のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(ベンジルスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0089】
[実施例8]
感熱記録層用塗工液に使用するA1液中のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[3−(エタンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例9]
感熱記録層用塗工液に使用するA1液中のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[4−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例10]
感熱記録層用塗工液に使用するA1液中のN,N'−ジ−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、N,N'−ジ−[4−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0090】
[比較例1]
保護層用塗工液1において、シラン変性アクリル系樹脂1をアクリル系樹脂A(シラン変性なし、非コアシェル型、スチレンアクリル、Tg2℃、MFT10℃、固形分40%)に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例2]
保護層用塗工液1において、シラン変性アクリル系樹脂1をアクリル系樹脂B(シラン変性なし、コアシェル型、スチレンアクリル、Tg92℃、MFT50℃、固形分40%)に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例3]
保護層用塗工液1において、シラン変性アクリル系樹脂1 10.0部を、アクリル系樹脂C(シラン変性なし、非コアシェル型、スチレンアクリル、Tg55℃、MFT18℃、固形分18%)22.2部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例4]
保護層用塗工液1を保護層用塗工液2に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例5]
感熱記録層用塗工液に使用するA1液をA2液に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0091】
作製した感熱記録体について、下記評価を行った。
<発色性能(印字濃度)>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印字速度50mm/secで、印加エネルギー0.41mJ/dotで市松模様を印字した。印字部の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、発色性能(印字濃度)を評価した。
【0092】
<耐油性>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、
京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.41mJ/dot、印字
速度50mm/secで市松模様を印字した。
印字した感熱記録体に、サラダ油を綿棒で塗布し、24時間放置した後、印字部の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、以下の基準で評価した。
優:印字部の残存率が90%以上
可:印字部の残存率が70%以上90%未満
不可:印字部の残存率が70%未満
【0093】
<耐熱性>
作製した感熱記録体について、感熱記録面を100℃の鉄板に5秒間接触させた。非印字部(白紙部)の濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、処理前後の値の差から地色発色値を算出し、下記の基準で非印字部(白紙部)の変色を評価した。
地色発色値=(処理後の非印字部の濃度)−(処理前の非印字部の濃度)
優:地色発色値が0.1未満
可:地色発色値が0.1以上0.2未満
不可:地色発色値が0.2以上
【0094】
<耐可塑剤性>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、
京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.41mJ/dot、印字
速度50mm/secで市松模様を印字した。
印字した感熱記録体を、紙管に塩ビラップ(三井化学製ハイラップKMA)を1回巻き付けた上に貼り付け、更にその上に塩ビラップを3重に巻き付けて、40℃環境条件下で24時間静置した後、印字部の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定した。
【0095】
<高速印字適性>
作製した感熱記録体について、ゼブラ社製ラベルプリンタ140XiIIIを用い、印字レベル+10、印字速度254mm/秒(10インチ/秒)で、バーコード(CODE39)を縦方向(プリンタヘッドの移動方向とバーコードが直交)に印字した後、印字されたバーコードをバーコード検証機(Honeywell社製、QCPC600、光源640nm)で読み取り試験を実施し、バーコード読み取り適性を評価した。評価結果をANSI規格のシンボルグレードで記した。
※シンボルグレード:バーコードをバーと垂直方向に10分割して、各箇所1回ずつ読み取り試験を実施し、その平均値を(優)A、B、C、D、F(劣)の5段階評価で表す。
【0096】
<インキ密着性>
作製した感熱記録体について、感熱記録面に、ローランド製オフセット枚葉印刷機(2色)にてオフセット枚葉用インキ(T&K製 UV161墨)を用いて印刷し、UV照射機(アイグラフィックス社製、アイグランデージ)でUVインキ硬化処理を行った。
その後、幅18mmのセロハンテープを、印刷面に貼付し、セロハンテープ上でローラー(直径10cm、幅13cm、重量2000g)を5往復させてから、デジタルフォースゲージ(日本電産シンポ社製、FGX−2)を使用して、引張力4.9N、引張角90°でセロハンテープを引っ張り、インキの密着性を以下の基準で目視評価した。
優:殆どインキが剥がれない
可:インキが僅かに剥がれる
不可:インキが殆ど剥がれる
【0097】
<溶剤バリア性>
作製した感熱記録体の白紙部に、エタノール(99.5%)を綿棒で塗布し、23℃×50%RH環境条件下に24時間静置した後、以下の基準で目視評価した。
優:全く発色しない
可:僅かに発色する
不可:強く発色する
【0098】
<耐水性:湿潤摩擦>
作製した感熱記録体について、水道水を指につけて、保護層の表面を80往復摩擦し、保護層及び感熱記録層の剥がれを以下の基準で目視評価した。
優:保護層及び感熱記録層の剥がれが全くない
可:保護層が僅かに剥がれるが、感熱記録層の剥がれはない
不可:保護層及び感熱記録層が剥がれる
【0099】
<耐水性:耐水ブロッキング>
作製した感熱記録体について、保護層の表面に10mlの水道水を滴下し、保護層の表面が内側になるように二つ折りにして、20gf/cm
2の加重を掛けて24時間静置した後に剥がし、水を滴下した部分の保護層及び感熱記録層の剥がれを以下の基準で目視評価した。
優:ブロッキングが全く発生せず、保護層及び感熱記録層の剥がれが全くない
可:ブロッキングが発生し、保護層が僅かに剥がれるが、感熱記録層の剥がれはない
不可:強いブロッキングが発生し、保護層及び感熱記録層が剥がれる
又は、剥がす際に感熱記録体が破壊される
【0100】
<耐水性:浸漬摩擦>
作製した感熱記録体について、水道水に10分間浸漬し、保護層の表面を指で20往復摩擦し、保護層及び感熱記録層の剥がれを以下の基準で目視評価した。
優:保護層及び感熱記録層の剥がれが全くない
可:保護層が僅かに剥がれるが、感熱記録層の剥がれはない
不可:保護層及び感熱記録層が剥がれる
【0101】
結果を下表に示す。
【表2】