【解決手段】海水処理システム1は、船舶に備わる管理装置10と、管理装置10から取得される情報を処理する情報処理装置30とを備え、管理装置10は、船舶の位置に係る位置情報と、ろ過システム20の運転に係る装置運転情報と、ろ過システム20に供給する海水の水質に係る水質情報とを取得し、位置情報と装置運転情報と水質情報とを相関元情報として互いに関連付けて作成した相関情報を情報処理装置30に出力し、情報処理装置30は、複数台の管理装置10から、相関情報を取得して記憶し、1の船舶から、現在の位置情報が取得された際に、現在の位置情報と、既に記憶された相関情報とに基づいて、現在の位置情報に対応する装置運転情報を作成し、ろ過装置20の設定値として、1の船舶の管理装置10に出力する。
前記装置運転情報作成部は、前記情報取得部によって、1の前記船舶から、更に水質測定によって水質情報が取得された場合に、現在の水質情報と該水質情報に対応する位置情報と前記記憶部に既に記憶された前記相関情報とに基づいて、現在の位置情報及び現在の水質情報に対応する前記装置運転情報を作成する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の海水処理システム。
前記装置運転情報は、前記ろ過システムの逆洗の間隔、前記ろ過システムによって処理される処理水量、前記ろ過システムにおける薬注量、前記ろ過システムの洗浄頻度、前記ろ過システムの運転モードのうち少なくともいずれか1を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の海水処理システム。
前記水質情報は、海水のpH、海水の電気伝導度、海水の水温、海水の塩分、海水の濁度、海水に含有されるクロロフィル量、海水の紫外線透過率のうち少なくともいずれか1を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の海水処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1〜
図5Bを参照して、本発明の実施形態に係る海水処理システムについて説明する。
図1は、本実施形態に係る海水処理システム1の全体構成図である。
図2は、海水処理システム1に備わる管理装置10の機能ブロック図である。
図3は、海水処理システム1に備わるろ過システム20の機能ブロック図である。
図4は、海水処理システム1に備わる情報処理装置30の機能ブロック図である。
図5A及び
図5Bは、海水処理システム1の動作を示すシーケンス図である。
【0019】
〔1 実施形態の全体構成〕
図1に示すように、本実施形態に係る海水処理システム1は、管理装置10、ろ過システム20、情報処理装置30、及びネットワーク40を備える。
【0020】
ここで、管理装置10と、ろ過システム20とは、1つの組として有線又は無線で互いに通信可能であり、管理装置10とろ過システム20との組は、1隻の船舶に搭載される。また、海水処理システム1は、管理される船舶の隻数に応じて、管理装置10とろ過システム20との複数の組を備える。
図1においては、海水処理システム1は、管理装置10aとろ過システム20aとの組から、管理装置10nとろ過システム20nとの組まで、n組の管理装置10とろ過システム20との組を備える例が示されているが、これには限定されない。また、管理装置10と複数のろ過システムとの組合、あるいは管理処置10と種類の異なる複数の濾過システムとの組み合わせであってもよい。
【0021】
また、管理装置10と情報処理装置30とは、ネットワーク40を介して、互いに通信可能に接続される。
【0022】
管理装置10は、船舶に搭載され、当該管理装置10が搭載される船舶の位置に係る位置情報、ろ過システム20の運転に係る装置運転情報、ろ過システム20に供給する海水の水質に係る水質情報を取得し、これらを「相関元情報」としたうえで、相関元情報を互いに関連付けた「相関情報」を、情報処理装置30に出力する装置である。
なお、上記においては、管理装置10は、位置情報、装置運転情報、及び水質情報の全てを相関元情報とするとしたが、これには限定されない。例えば、管理装置10は、位置情報と水質情報のみを相関元情報としてもよく、位置情報と装置運転情報のみを相関元情報としてもよい。
また、「相関情報」は、単に「相関元情報」を互いに関連付けた情報のみならず、「相関元情報」の集合体から導かれた、「相関元情報」に係る属性の傾向に係る情報や、「相関元情報」の分布の偏りに係る情報を含んでもよい。また、この相関元情報を構成する、位置情報、装置運転情報、及び水質情報のうち、どれかの情報が何らかの理由で欠損した場合には、管理装置10が前後の情報を利用して、欠損した情報を推定してもよい。
【0023】
また、管理装置10は、情報処理装置30からろ過システム20を運転するための装置運転情報を取得し、当該装置運転情報に基づいて、ろ過システム20を設定する装置である。管理装置10の詳細な機能については、
図2を参照することにより後述する。
【0024】
ろ過システム20は、管理装置10と組になって、管理装置10と同一の船舶に搭載され、海水をろ過することにより、船舶で用いる処理水を生成する水処理システムである。ろ過システム20は、管理装置10によって装置運転情報に基づいた運転設定を可能とするように構成される。ろ過システム20の構成例については、
図3を参照することにより後述する。
【0025】
情報処理装置30は、複数隻の船舶に搭載された複数台の管理装置10の各々から相関情報を取得し、記憶する装置である。また、1隻の船舶から、当該船舶の現在の位置情報と現在の水質情報の組、又は、当該船舶の現在の位置情報と現在の水質情報の組を取得した際に、既に記憶した相関情報に基づいて、当該現在の位置情報と当該現在の水質情報に対応する装置運転情報を作成し、当該1隻の船舶に出力する。なお、上記のように、「相関元情報」を構成する、位置情報、装置運転情報、及び水質情報のうち、どれかの情報が何らかの理由で欠損した場合には、管理装置10が前後の情報を利用して、欠損した情報を推定するとしたが、管理装置10の代わりに情報処理装置30が推定してもよい。情報処理装置30の詳細な機能については、
図4を参照することにより後述する。
【0026】
なお、上述のように「現在の位置情報」及び「現在の水質情報」と記載したが、本明細書において、「現在の位置」とは、位置を取得した時点から所定時間後(例えば1時間後)に到達する位置までの範囲、または、位置を取得した時点から所定時間前後の航路に含まれる範囲のことである。すなわち、「現在の位置」とは、現在の位置を取得した緯度と経度で決まる点から、前後に移動可能な範囲のことである。
また、「現在の水質情報」とは、上記の「現在の位置を取得した緯度と経度で決まる点から、前後に移動可能な範囲」において取得される水質情報であり、この範囲内において複数の水質情報がある場合、これらの水質情報の平均値としてもよい。
【0027】
〔2 管理装置の構成〕
図2に示すように、管理装置10は、制御部11と記憶部12とを備える。
【0028】
制御部11は、CPU、ROM、RAM、及びCMOSメモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
【0029】
CPUは、管理装置10を全体的に制御するプロセッサである。該CPUは、ROMに格納されたシステムプログラム及びアプリケーションプログラムを、バスを介して読み出し、該システムプログラム及びアプリケーションプログラムに従って管理装置10全体を制御することで、
図2に示すように制御部11が、位置情報取得部111、装置運転情報取得部112、水質情報取得部113、及び相関情報出力部114の機能を実現するように構成する。
【0030】
位置情報取得部111は、管理装置10が搭載された船舶の位置に係る位置情報を取得する。より詳細には、位置情報取得部111は、例えば当該船舶の現在位置の緯度経度情報を測位するGPS(Global Positioning System)装置を用いることにより、当該船舶の位置に係る位置情報を取得することが可能である。
【0031】
また、この位置情報は、管理装置10が搭載された船舶の航路に係る航路情報や、この船舶が停泊する港湾を特定する情報を含んでもよい。位置情報は、ろ過システム20の運転開始位置から運転終了位置の緯度経度情報、あるいは水質測定開始位置から水質測定終了位置の緯度経度情報など所定範囲の位置情報(緯度経度情報)としてもよい。また、ろ過システム20の運転が数日にわたって行われる場合は、所定の航行時間或いは航行距離毎に区切った所定範囲の位置情報としてもよい。
【0032】
装置運転情報取得部112は、ろ過システム20の運転に係る装置運転情報を取得する。より詳細には、装置運転情報取得部112は、後述のようにろ過システム20が備える制御装置280と有線又は無線で通信することにより、運転中のろ過システム20の運転情報を取得する。この運転情報は、現時点の運転情報でもよく、過去の運転情報でもよい。また、装置運転情報は、例えば、ろ過システム20の逆洗の間隔、ろ過システム20によって処理される処理水量、ろ過システム20において、後述のようにろ過システム20が備える薬剤添加装置からの薬注量、ろ過システム20の洗浄方法、ろ過システム20の運転モードのうち少なくとも1つを含んでもよい。より具体的な例として、装置運転情報は、何トンの水をろ過したら、ろ過システム20に備わるろ過装置230を逆洗したり、ろ過システム20に備わる逆浸透膜式造水装置210を薬品洗浄したりするかという情報や、ろ過システム20で用いられるフィルター(ろ過部)の圧力損失値、当該圧力損失値の変化、及び圧力損失値の変化に応じた薬注量の初期設定値の変化等の情報を含んでいてもよい。また、装置運転情報は、ろ過システム20の運転モードとして、ろ過システム20の運転の禁止、ろ過システム20の運転の制限、ろ過システム20に含まれる給水ポンプを駆動するインバータの回転数に係る情報を含んでいてもよい。また、装置運転情報は、ろ過システム20に備わる膜の詰まりに係る情報、ろ過システム20によりろ過処理された処理水の水質に係る情報(pH、ナトリウムなどの陽イオン濃度、塩化物イオンなどの陰イオン濃度、電気伝導度、懸濁物質・プランクトンの含有量など)、ろ過システム20の運転時間に係る情報のうち少なくとも1つを含んでもよい。また、装置運転情報は、ろ過システム20における処理水の処理時のUV照射量に係る情報を含んでもよい。更に、装置運転情報は、ろ過システム20のメンテナンス周期に係る情報を含んでもよい。
【0033】
水質情報取得部113は、ろ過システム20に供給する海水の水質に係る水質情報を取得する。より詳細には、後述のように、管理装置10及びろ過システム20に設置された給水ポンプ221から、海水を汲み上げることにより、ろ過システム20に対して海水が供給されるが、水質情報取得部113は、この海水の水質に係る水質情報を取得する。また、水質情報は、例えば海水のpH、海水の電気伝導度、海水の水温、海水の塩分、海水の濁度、海水に含有されるクロロフィル量、海水に含有されるプランクトン量、海水の紫外線透過率のうち少なくともいずれか1を含んでもよい。更に、水質情報取得部113は、これらの水質情報を検出するセンサ等の検出装置を備えてもよい。
【0034】
相関情報出力部114は、位置情報と装置運転情報と水質情報とを相関元情報とし、これら相関元情報を互いに関連付けた相関情報を作成し、当該相関情報を情報処理装置30に出力する。より詳細には、相関情報出力部114は、例えば位置情報、装置運転情報、及び水質情報を、1つの組とした相関情報を作成し、この相関情報を情報処理装置30に出力してもよい。位置情報と装置運転情報、および/または位置情報と水質情報を其々1つの組とした相関情報を作成してもよい。相関情報は、複数の船舶の相関情報出力部から情報処理装置に送られるため、少なくとも位置情報と装置運転情報との組または位置情報と水質情報との組を含む相関情報を作成することで、情報処理装置において複数の船舶で作成された相関情報に基づいて位置情報に対応する装置運転情報を作成することが可能である。
【0035】
また、相関情報出力部114は、位置情報、装置運転情報、及び水質情報が取得された時間である時間情報を更に関連付けて、1つの組とした相関情報を作成し、この相関情報を情報処理装置30に出力してもよい。なお、この時間情報には、単なる時刻だけではなく、日付を含んでもよい。この場合、海水処理システム1において、各日付に対応する季節に応じた処理、および経年変動を考慮した処理をすることが可能となる。
【0036】
第1の例として、相関情報出力部114は、所定範囲の位置情報と、水質情報に含まれる所定範囲の濁度に係る情報と、装置運転情報とを関連付ける。この際、当該装置運転情報としては、膜式造水装置の逆浸透膜モジュールにおける圧力損失の変化を用いる。また、当該装置運転情報として、膜式造水装置の透過水量(造水量)を含めてもよい。例えば、所定範囲の位置における濁度と逆浸透膜装置の回収率と逆浸透膜モジュールの圧力損失増加との関連付けを行う。これにより、相関情報出力部114は、水質と運転条件と運転結果を関連付けることができる。
【0037】
第2の例として、相関情報出力部114は、第1の例と同様、所定範囲の位置情報と、水質情報に含まれる所定範囲のTOC(全有機炭素)に係る情報と、装置運転情報とを関連付けるが、この際、当該装置運転情報として、膜式造水装置での給水への薬注量と膜式造水装置の逆浸透膜モジュールにおける圧力損失の変化を用いる。例えば、所定範囲の位置におけるTOCと逆浸透膜装置給水への薬注量と逆浸透膜モジュールの圧力損失増加との関連付けを行う。これにより、相関情報出力部114は、水質と運転条件と運転結果を関連付けることができる。
【0038】
第3の例として、相関情報出力部114は、第1の例と同様、所定範囲の位置情報と、水質情報に含まれる所定範囲の濁度に係る情報と、装置運転情報とを関連付けるが、この際、当該装置運転情報として、UV照射の強度に係る情報とプランクトンの生存量を用いる。例えば、相関情報出力部114は、濁度が比較的高い海域においては、ろ過システム20における処理水の処理時のUV照射量を増やし、濁度が比較的低い海域においては、ろ過システム20における処理水の処理時のUV照射量を減らすという関連付けを行う。例えば、所定範囲の位置における濁度とUV照射強度とプランクトン生存量との関連付けを行う。これにより、相関情報出力部114は、水質と運転条件と運転結果を関連付けることができる。
【0039】
第4の例として、相関情報出力部114は、所定範囲の位置情報と、当該位置情報の変遷から導かれる航路情報と、装置運転情報とを関連付ける。この際、当該装置運転情報として、ろ過システム20のメンテナンス周期に係る情報を用いる。例えば、相関情報出力部114は、各々の航路の所定範囲に対し、航路の所定範囲毎に実施したメンテナンス周期を関連付ける。
【0040】
相関情報出力部114は、1隻の船舶において取得された位置情報、及び装置運転情報を相関元情報とし、これら相関元情報を、例えば上記のように互いに関連付けることによって相関情報を作成し、当該相関情報を情報処理装置30に出力する。
【0041】
記憶部12は、位置情報取得部111によって取得された位置情報、装置運転情報取得部112によって取得された装置運転情報、水質情報取得部113によって取得された水質情報、及び、相関情報出力部114によって作成された相関情報を記憶する。
記憶部12が相関情報を記憶するため、通信機器のトラブルなどにより通信不通の場合でも相関情報を参照できる。例えば、乗組員が相関情報を参照してろ過システムの運転条件を設定することができる。
【0042】
〔3 ろ過システムの構成〕
上記のように、
図3は、ろ過システム20の構成例であり、あくまで一例としての構成を示す。
【0043】
ろ過システム20は、逆浸透膜式造水装置210と、清水ライン25と、給水ラインとしての海水供給ライン220と、海水供給ライン220に配置されるろ過装置230と、清水タンク270と、制御装置280とを備える。
【0044】
逆浸透膜式造水装置210は、逆浸透膜モジュール211,212と、清水ライン25と、濃縮水排出ライン26と、を備える。
逆浸透膜モジュール211,212は、供給水としての海水から、イオン(ナトリウムイオン、塩化物イオン、重金属イオン、硫酸イオンなど)、コロイド、細菌類、変異原性物質、有機塩素化合物等を取り除き、海水を、透過水としての清水と濃縮水とに分離する。本実施形態では、逆浸透膜式造水装置210は、第1逆浸透膜モジュール211と、この第1逆浸透膜モジュール211の下流側に接続された第2逆浸透膜モジュール212の2つの逆浸透膜モジュールを含んで構成される。
【0045】
清水ライン25は、上流側が逆浸透膜式造水装置210に接続され、逆浸透膜式造水装置210において海水から分離された清水を流通させる。本実施形態では、清水ライン25は、第1逆浸透膜モジュール211と第2逆浸透膜モジュール212とを接続する第1ライン251と、第1ライン251に接続する第2ライン252と、上流側が第2逆浸透膜モジュール212に接続される第3ライン253と、を備える。
【0046】
第1ライン251は、第1逆浸透膜モジュール211において生成された清水を第2逆浸透膜モジュール212に供給する。第1ライン251には三方弁254が配置され、第2ライン252に流れる清水と第2逆浸透膜モジュール212に流れる清水の流量を調整する。三方弁254は二方弁2つに置き換えることもできる。
【0047】
第2ライン252は、第1ライン251を流通する第1逆浸透膜モジュール211において生成された清水の一部を流通させる。第2ライン252の下流側は、後述する清水タンク270(第1清水タンク271)に接続される。
【0048】
第3ライン253は、第2逆浸透膜モジュール212において生成された清水を流通させる。第3ライン253の下流側は、清水タンク270(第2清水タンク272)に接続される。
【0049】
ここで、第2逆浸透膜モジュール212には、第1逆浸透膜モジュール211を透過した清水が供給されるため、第2逆浸透膜モジュール212を透過した清水は、不純物が少ない純水となる。
【0050】
濃縮水排出ライン26は、逆浸透膜モジュールにおいて分離された濃縮水を排出する。本実施形態では、濃縮水排出ライン26は、第1逆浸透膜モジュール211において分離された濃縮水を排出する第1濃縮水排出ライン261と、第2逆浸透膜モジュール212において分離された濃縮水を排出する第2濃縮水排出ライン262と、を備える。
【0051】
第1濃縮水排出ライン261には第1逆浸透膜モジュール211の濃縮ライン圧力を調整する調整弁263が配置され、濃縮ライン圧力の調整によって第1ライン251を流れる清水の流量を調整する。
第2濃縮水排出ライン262には第2逆浸透膜モジュール212の濃縮ライン圧力を調整する調整弁264が配置され、濃縮ライン圧力の調整によって第3ライン253を流れる清水の流量を調整する。
【0052】
海水供給ライン220は、逆浸透膜式造水装置210に海水を供給する。海水供給ライン220の上流側は船外から取水された海水が流通するラインに開放されており、下流側が第1逆浸透膜モジュール211に接続される。海水供給ライン220には、海水を第1逆浸透膜モジュール211に向けて供給する給水ポンプ221が配置される。
【0053】
ろ過装置230は、海水供給ライン220に配置され、海水供給ライン220を流通する海水に含まれる浮遊物質やプランクトン等の異物を除去する。
【0054】
清水タンク270は、逆浸透膜式造水装置210において製造された清水を貯留する。本実施形態では、清水タンク270は、第1清水タンク271及び第2清水タンク272の2つのタンクを含んで構成される。
第1清水タンク271には、第1逆浸透膜モジュール211を透過した清水が貯留される。より具体的には、第1清水タンク271には、第1逆浸透膜モジュール211を透過した清水ライン25の第2ライン252の下流側が接続される。
【0055】
第2清水タンク272には、第2逆浸透膜モジュール212を透過したより不純物が少ない清水が貯留される。より具体的には、第2清水タンク272には、第2逆浸透膜モジュール212を透過した清水ライン25の第3ライン253の下流側が接続される。
【0056】
第2清水タンク272に貯留される清水は、第1清水タンク271に貯留される清水よりも不純物が少ない純水となる。
【0057】
制御装置280は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(図示せず)により構成される。制御装置280において、マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って、ろ過システム20に係る各種の制御を実行する。具体的には、制御装置280は、ろ過システム20を構成する各種ポンプの動作及び各種弁の開閉を制御することで、ろ過システム20の動作を制御する。
【0058】
なお、図示はしないが、ろ過システム20は、1つ以上のラインに薬剤を添加する薬剤添加装置を備えてもよい。例えば、ろ過システム20は、第1逆浸透膜モジュール211、及び第2逆浸透膜モジュール212におけるバイオフィルムの発生を抑制するため、海水供給ライン220を流通する海水に塩素系殺菌剤を添加する薬剤添加装置装置を備えてもよい。
【0059】
〔4 情報処理装置の構成〕
図4に示すように、情報処理装置30は、制御部31と記憶部32とを備える。
【0060】
制御部31は、CPU、ROM、RAM、CMOSメモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
【0061】
CPUは、情報処理装置30を全体的に制御するプロセッサである。該CPUは、ROMに格納されたシステムプログラム及びアプリケーションプログラムを、バスを介して読み出し、該システムプログラム及びアプリケーションプログラムに従って情報処理装置30全体を制御することで、
図4に示すように制御部31が、情報取得部311、装置運転情報作成部312、及び装置運転情報出力部313の機能を実現するように構成される。
【0062】
情報取得部311は、複数隻の船舶の管理装置10、すなわち複数台の管理装置10から、相関情報を取得し、記憶部32に格納する。また、情報取得部311は、1隻の船舶の管理装置10から、当該船舶の現在の位置情報と現在の水質情報を取得する。後述のように、これら当該船舶の現在の位置情報と現在の水質情報とは、記憶部32に格納された、複数台の管理装置10からの相関情報と照らし合わされる。
【0063】
更に、情報取得部311は、1隻の船舶の管理装置10から、現在の位置情報と現在の水質情報に加えて、現在の時間情報を取得してもよい。この場合、当該船舶の現在の位置情報、現在の水質情報に加えて、現在の時間情報が、記憶部32に格納された、複数台の管理装置10からの相関情報と照らし合わされる。尚、記憶部32は、複数台の管理装置からの相関情報に基づく統計分析等の演算を行い、相関情報の集合体の特徴や傾向を示す情報を相関情報としてもよい。
【0064】
装置運転情報作成部312は、情報取得部311によって、1隻の船舶から現在の位置情報と現在の水質情報が取得された際に、これら、現在の位置情報及び現在の水質情報と、記憶部32に既に記憶された相関情報とに基づいて、装置運転情報を作成する。その後、装置運転中に当該船舶の位置情報から前述の装置運転情報を再作成することで、船の移動による水質変化に対応することができる。
【0065】
例えば、装置運転情報作成部312は、1隻の船舶から現在の位置情報と現在の水質情報が取得された際に、記憶部32に格納された、所定範囲の位置情報と水質情報に対応するある船舶の相関情報に含まれる装置運転情報に基づいて該1隻の船舶の装置運転情報を作成することが可能である。
【0066】
なお、上記では、装置運転情報作成部312は、現在の位置情報及び現在の水質情報と、記憶部32に既に記憶された相関情報とに基づいて、装置運転情報を作成するとしたが、これには限定されない。例えば、装置運転情報作成部312は、現在の位置情報のみと、記憶部32に既に記憶された相関情報とに基づいて、装置運転情報を作成してもよい。
【0067】
あるいは、装置運転情報作成部312は、1隻の船舶から現在の位置情報が取得された際に、記憶部32に格納された、ある船舶の位置情報と、この位置情報に対応する水質情報に基づいて、別の船舶がこの位置情報に対応する位置に来た際、水質情報を予測し、予測された水質情報を用いて装置運転情報を作成することが可能である。具体的には、例えば水質情報に濁度が含まれる場合、ある船舶の現在位置に、別の船舶がかつて位置していた際の濁度を用いて水質を予測し、予測された水質情報を用いて、装置運転情報を作成することが可能である。
【0068】
あるいは、装置運転情報作成部312は、1隻の船舶から現在の位置情報が取得された際に、記憶部32に格納された、ある船舶の位置情報と、この位置情報に対応する装置運転情報に基づいて、別の船舶がこの位置情報に対応する位置に来た際、装置運転情報を作成することが可能である。具体的には、例えば、この位置において、何トンの水をろ過した場合に、ろ過装置230を逆洗したり、ろ過システム20に備わる逆浸透膜式造水装置210を薬品洗浄したり、バラスト作業をしたりするかという情報に基づいて、別の船舶がこの位置情報に対応する位置に来た際、同一水量をろ過した際に、ろ過装置230を逆洗したり、ろ過システム20に備わる逆浸透膜式造水装置210を薬品洗浄したり、バラスト作業をしたりする、という装置運転情報を作成してもよい。更には、この位置情報に対応する装置運転情報として、ろ過システム20で用いられるフィルターの圧力損失値、当該圧力損失値の変化、及び薬注量と圧力損失値の変化の情報を用いてもよい。
【0069】
また、記憶部32に記憶される相関情報において、相関元情報としての装置運転情報、水質情報、位置情報に加えて、時間情報も関連づけられる場合には、装置運転情報作成部312は、日周変動や季節変動など時間軸を考慮した装置運転情報を作成してもよい。
【0070】
更に、情報取得部311が、1隻の船舶に搭載される管理装置10から、位置情報として、当該船舶の航路情報を取得する場合、装置運転情報作成部312は、この航路情報に対応する装置運転情報を作成してもよい。例えば、装置運転情報作成部312は、この航路を所定範囲の位置情報に分割し、前記所定範囲の位置情報を含む相関情報を組み合わせて、前記航路における装置運転情報を作成することが可能である。前記航路における情報と同一の航路情報の提供元となる管理装置10から取得した相関情報が記憶されている場合は、該相関情報を参照してもよい。
【0071】
更に、情報取得部311が、1隻の船舶に搭載される管理装置10から、位置情報として、当該船舶が停泊する港湾を特定する情報を取得する場合、装置運転情報作成部312は、この航路情報に対応する装置運転情報を作成してもよい。例えば、装置運転情報作成部312は、この港湾を特定する情報と同一の情報の提供元となる管理装置10から取得した相関情報を参照することにより、装置運転情報を作成することが可能である。
【0072】
装置運転情報出力部313は、装置運転情報作成部312によって作成された装置運転情報を、現在の位置情報と現在の水質情報とが取得された船舶に備わるろ過システム20の設定値として、当該船舶に備わる管理装置10に出力する。
【0073】
なお、連続的或いは定期的に水質測定を行う場合、装置運転情報作成部312は、測定の都度、運転条件を再設定する、すなわち装置運転情報を再度作成してもよい。
【0074】
記憶部32は、情報取得部311によって、複数隻の船舶の管理装置10から取得された相関情報、及び、情報取得部311によって1隻の船舶の管理装置10から取得された、当該船舶の現在の位置情報と現在の水質情報、及び、装置運転情報作成部312によって作成された装置運転情報を記憶する。
【0075】
〔5 海水処理システムの動作〕
以下、
図5A及び
図5Bのシーケンス図を参照することにより、海水処理システム1の動作について説明する。
図5Aは、管理装置10で相関情報を作成し、作成された相関情報を、情報処理装置30の記憶部32に記憶する際の動作を示すシーケンス図である。相関情報は複数台の管理装置で作成され、1台または限られた台数の情報処理装置に記憶されるが、
図5Aでは複数台の内の1台の管理装置と1台の情報処理装置の例を示す。
図5Bは、ある(任意の)船舶において、船舶の位置情報およびろ過システムの給水水質を情報処理装置30の記憶部32に記憶された相関情報に照らし合わせることにより、情報処理装置30で装置運転情報を作成する際の動作を示すシーケンス図である。
【0076】
図5Aを参照すると、ステップS11において、管理装置10(位置情報取得部111)が、自身が搭載される船舶の位置情報を取得する。
【0077】
ステップS12において、複数台の管理装置10(水質情報取得部113)が、自身が搭載される船舶において汲み上げた海水の水質に係る水質情報を取得する。
【0078】
ステップS13において、管理装置10(装置運転情報取得部112)が、自身が接続されろ過システム20の装置運転情報を取得する。
【0079】
ステップS14において、管理装置10(相関情報出力部114)は、上記の位置情報、装置運転情報、及び水質情報を互いに関連付けた相関情報を作成し、当該相関情報を、情報処理装置30に出力する。
【0080】
ステップS15において、情報処理装置30は、複数台の管理装置10から取得した相関情報を、記憶部32で記憶する。
【0081】
図5Bを参照すると、ステップS21において、1台の管理装置10(位置情報取得部111)が、自身が搭載される船舶の、現在の位置情報を取得し、取得した現在の位置情報を、情報処理装置30に出力する。
【0082】
ステップS22において、管理装置10(水質情報取得部113)が、自身が搭載される船舶において汲み上げた海水の水質に係る、現在の水質情報を取得し、取得した現在の水質情報を、情報処理装置30に出力する。
【0083】
ステップS23において、情報処理装置30(装置運転情報作成部312)は、1台の管理装置10から取得した現在の位置情報及び現在の水質情報と、記憶部32にすでに記憶された相関情報に基づいて、現在の位置情報及び現在の水質情報に対応する装置運転情報を作成する。
【0084】
ステップS24において、情報処理装置30(装置運転情報出力部313)は、ステップS23において作成した装置運転情報を、1台の管理装置10に出力する。
【0085】
ステップS25において、1台の管理装置10は、情報処理装置30から取得された装置運転情報を、設定値として、自身に接続されるろ過システム20を設定する。
【0086】
〔5 実施形態が奏する効果〕
上述した本実施形態に係る海水処理システム1によれば、例えば、以下のような効果が得られる。
【0087】
本実施形態に係る海水処理システム1は、船舶に備わる管理装置10と、管理装置10から取得される情報を処理する情報処理装置30とを備え、管理装置10は、船舶の位置に係る位置情報を取得する位置情報取得部111と、船舶に搭載されるろ過システム20の運転に係る装置運転情報を取得する装置運転情報取得部112と、ろ過システム20に供給する海水の水質に係る水質情報を取得する水質情報取得部113と、位置情報と装置運転情報と水質情報とを相関元情報とし、当該相関元情報を互いに関連付けた相関情報を作成し、相関情報を情報処理装置30に出力する相関情報出力部114とを備え、情報処理装置30は、複数台の船舶の管理装置10から、相関情報を取得する情報取得部311と、情報取得部311によって取得された相関情報を記憶する記憶部32と、情報取得部311によって、1の船舶から、現在の位置情報が取得された際に、現在の位置情報と記憶部32に既に記憶された相関情報とに基づいて、現在の位置情報に対応する装置運転情報を作成する装置運転情報作成部312と、装置運転情報作成部312によって作成された装置運転情報を、ろ過システム20の設定値として、1の船舶の管理装置10に出力する装置運転情報出力部313と、を備える。
【0088】
これにより、船舶に備わるろ過システム20を運転するための装置運転情報を作成するにあたり、現在の位置情報を用いて、過去の位置情報と紐づいた装置運転情報のデータベースを参照し、装置運転情報を作成することで、船舶の位置情報、延いては船舶の位置によって異なる水質を踏まえた上で、ろ過システム20を運転する上での適切な設定値および運転条件を設定することができ、ろ過システム20における異常の発生を予測・判定したり、ろ過システム20の運転制御に係るトラブルの未然防止、トラブル発生時の適切な対応が可能となり、ろ過システムの信頼性を高めることができる。また、人工知能を適用することで、予測精度の向上が可能である。
【0089】
また、本実施形態に係る海水処理システム1において、管理装置10は、相関情報出力部114によって作成された相関情報を記憶する記憶部12を、更に備えてもよい。
【0090】
これにより、管理装置10が相関情報を記憶するので、管理装置10が情報処理装置30と通信できない場合でも、管理装置10に記憶された情報に基づいて、ろ過システム20の運転を行うことが可能となる。
【0091】
また、本実施形態に係る海水処理システム1において、装置運転情報作成部312は、情報取得部311によって、1の船舶から、更に現在の水質情報が取得された際に、現在の位置情報及び現在の水質情報と記憶部32に既に記憶された相関情報とに基づいて、現在の位置情報及び現在の水質情報に対応する装置運転情報を作成してもよい。
【0092】
これにより、船舶に備わるろ過システム20を運転するための装置運転情報を作成するにあたり、現在の位置情報のみならず、現在の水質情報をも用いて、過去の位置情報と紐づいた装置運転情報のデータベースを参照し、装置運転情報を作成することで、より適切なろ過システム20の設定値および運転条件を得ることが出来る。
【0093】
また、本実施形態に係る海水処理システム1において、位置情報は、船舶の航路に係る情報を含み、装置運転情報作成部312は、情報取得部311によって、1の船舶から航路に係る情報が取得された際に、記憶部32に既に記憶された情報を参照し、1の船舶の航路に係る情報に対応する装置運転情報を作成してもよい。
【0094】
これにより、1の船舶の管理装置に対して装置運転情報を出力するにあたり、当該1の船舶と同一航路を経由した他の船舶における、過去の位置情報、水質情報、装置運転情報の組み合わせのデータベースを参照することが可能となる。具体的には、例えば、第1段階として、当該1の船舶の航路を用いてデータベースを参照することにより、過去において同一航路を経由した船舶のデータに絞った後、第2段階として、当該1の船舶の水質情報と同じような水質情報を有するデータに絞ったり、絞られた後のデータを用いて、当該1の船舶の状況に対応するデータを算出したりすることが可能となる。
【0095】
また、本実施形態に係る海水処理システム1において、装置運転情報は、ろ過システム20の逆洗の間隔、ろ過システム20によって処理される処理水量、ろ過システム20における薬注量、ろ過システム20の洗浄頻度、ろ過システム20の運転モードのうち少なくともいずれか1を含んでもよい。
【0096】
これにより、船舶の現在位置や当該船舶の航路に応じて、ろ過システムの逆洗の間隔、ろ過システムによって処理される処理水量、ろ過システムにおける薬注量、ろ過システムの洗浄頻度、ろ過システムの運転モード(運転禁止、運転の制限、インバータ回転数等)を指定することが可能となる。
【0097】
また、本実施形態に係る海水処理システム1において、水質情報は、海水のpH、海水のイオン濃度、海水の有機物濃度、海水の電気伝導度、海水の水温、海水の塩分、海水の濁度、海水に含有されるクロロフィル量、プランクトン量、海水の紫外線透過率のうち少なくともいずれか1を含んでもよい。
【0098】
これにより、海水のpH、海水のイオン濃度、海水の有機物濃度、海水の電気伝導度、海水の水温、海水の塩分、海水の濁度、海水に含有されるクロロフィル量、プランクトン量、海水の紫外線透過率等に基づいて、造水装置の最適な運転状態を指定することが可能となる。
【0099】
また、本実施形態に係る海水処理システム1において、記憶部32は、装置運転情報と水質情報と位置情報と、更に時間情報とを関連付けて記憶し、装置運転情報作成部312は、情報取得部311によって、1の船舶から、現在の位置情報と現在の水質情報が取得された際に、記憶部32に既に記憶された情報を参照し、現在の位置情報、現在の水質情報、及び現在の時間情報に対応する装置運転情報を作成してもよい。
【0100】
これにより、装置運転情報の指定の際、時間情報に基づくことで、例えば季節毎に最適な造水装置の運転状態を指定することが可能となる。
【0101】
また、本実施形態に係る海水処理システム1において、位置情報は、船舶が停泊する港湾を特定する情報を含み、装置運転情報作成部312は、情報取得部311によって、1の船舶から港湾を特定する情報が取得された際に、記憶部32に既に記憶された情報を参照し、1の船舶の港湾を特定する情報に対応する装置運転情報を作成してもよい。
【0102】
これにより、装置運転情報の指定の際、港湾を特定する情報に基づくことで、船舶が係留又は経由する港湾に応じて最適な造水装置の運転状態を指定することが可能となる。
【0103】
〔6 変形例〕
〔6.1 変形例1〕
上記の実施形態において、ろ過システム20は、逆浸透膜式造水装置210を備えるシステムであるとしたが、これには限定されない。例えば、ろ過システム20は、当該ろ過システム20が搭載される船舶において使用されるバラスト水を処理するバラスト水処理装置であってもよい。また、ろ過システム20として、逆浸透膜式造水装置とバラスト水処理装置の双方を備えてもよい。
【0104】
この場合、装置運転情報として、ろ過システム20に備わるフィルターの詰まりに係る情報、ろ過システム20で処理される処理水の水量の変化、紫外線を用いた殺菌装置における処理水の紫外線透過率や、殺菌装置で処理される処理水の流量等の運転情報を含んでもよい。更に、管理装置10は、水質情報に含まれる紫外線透過率に基づいて、殺菌装置を管理してもよい。
【0105】
〔6.2 変形例2〕
また、上記の実施形態において、管理装置10は、船舶に搭載される構成としたが、これには限定されない。例えば、陸上に設置され、船舶に搭載されたろ過システム20と無線により通信する構成としてもよい。
【0106】
〔6.3 変形例3〕
また、上記の実施形態において、1台の管理装置10から取得した、現在の位置情報と現在の装置運転情報との双方、又は現在の位置情報と現在の水質情報の双方を、情報処理装置30の記憶部32に備わる相関情報と照らし合わせることにより、装置運転情報を作成するとしたが、これには限定されない。例えば、1台の管理装置10から取得した現在の位置情報のみを、相関情報と照らし合わせてもよく、1台の管理装置10から取得した現在の水質情報のみを、相関情報と照らし合わせてもよい。
【0107】
〔6.4 変形例4〕
また、上記の実施形態において、管理装置10の制御部11が相関情報出力部114を備え、管理装置10の側で、位置情報、装置運転情報、及び水質情報を相関元情報としたうえで、相関情報出力部114が、これら相関元情報を互いに関連付けた相関情報を生成し、情報処理装置30に出力する構成としたが、これには限定されない。
例えば、管理装置10側は相関情報出力部114を備えないと共に、管理装置10から情報処理装置30に対して、相関元情報として位置情報、装置運転情報、及び水質情報を出力し、情報処理装置30の側で、これらを相関元情報として互いに関連付けた相関情報を作成してもよい。
【0108】
図6は、本変形例における管理装置10Aの機能ブロックを示す。また、
図7は、本変形例における情報処理装置30Aの機能ブロックを示す。
本変形例において、管理装置10Aは、管理装置10が備える相関情報出力部114の代わりに、位置情報、装置運転情報、及び水質情報を相関元情報として、情報処理装置30Aに出力する相関元情報出力部115を備える。また、情報処理装置30Aは、情報処理装置30が備える機能ブロックに加えて、管理装置10Aから取得する相関元情報を互いに関連付けた相関情報を作成する、相関情報作成部314を備える。
【0109】
本変形例においては、管理装置10Aの処理能力は高くなくてもよく、相関情報は情報処理装置30Aに蓄積されるため、管理装置10Aにトラブルが発生しても、相関情報が失われることはない。また、情報処理装置30Aの記憶部32は、多数の船舶からの測定結果等の相関元情報を蓄積するため、膨大な量のデータに基づく統計処理および各種演算を行うことで、より適切で信頼性の高い相関情報を導出することができる。船舶の航行が少ない海域に対しても、相関情報の導出を行いやすくなる。
【0110】
上記の海水処理システム1に含まれる各構成部は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記の海水処理システム1に含まれる各構成部のそれぞれの協働により行なわれる海水処理方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0111】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。