【実施例】
【0026】
以下、実施例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0027】
<実施例1>
純水100Lに果糖を500g溶かした原料液に、オゾンガスを6時間注入し、オゾン水を製造した。製造したオゾン水を密閉容器で保存した。
【0028】
<実施例2>
純水100Lにグラニュー糖を500g溶かした原料液に、オゾンガスを6時間注入し、オゾン水を製造した。製造したオゾン水を密閉容器で保存した。
【0029】
<実施例3>
純水100Lにグラニュー糖を250g及び果糖を250g溶かした原料液に、オゾンガスを6時間注入し、オゾン水を製造した。製造したオゾン水を密閉容器で保存した。
【0030】
<実施例4>
純水100Lに上白糖を250g溶かした原料液に、オゾンガスを6時間注入し、オゾン水を製造した。製造したオゾン水を密閉容器で保存した。
【0031】
実施例1〜4のオゾン水について、密閉容器で保存してから(すなわち、オゾン注入の停止後から)1時間、20日、25日、30日経過時において、密閉容器からオゾン水を所定量採取し、230〜360nmの波長範囲で紫外線分光光度計による測定を行った。
図2に、実施例1のオゾン水の各経過時間における吸収スペクトルを示し、
図3に、実施例2のオゾン水の各経過時間における吸収スペクトルを示し、
図4に、実施例3のオゾン水の各経過時間における吸収スペクトルを示し、
図5に、実施例4のオゾン水の各経過時間における吸収スペクトルを示す。
【0032】
図2〜5に示すように、実施例1〜4のオゾン水のいずれにおいても、ピークは時間経過と共に286nm付近にシフトしている。ここで、オゾンは、254nmに吸収極大をもつ基底状態のオゾンが生成する前に、310nm、286nm付近に極大を持つ振動励起オゾンが存在することが知られている(「オゾンの基礎と応用」、杉本英俊著、93頁参照)。この点を考慮すると、糖類を純水に溶かした原料液内に取り込まれたオゾンは、時間経過と共に、振動励起オゾンに遷移して、水中に安定に存在していると推察される。
【0033】
上記実施例と同様に、アセトンを純水に溶かした原料液にオゾンガスを注入したオゾン水の場合も、実施例と同様の結果が得られた。
【0034】
<消臭試験>
100ppmのアンモニアが入った容器(5リットル)に、3ヶ月間保存した実施例2のオゾン水を散布した後、容器に紫外線を照射した。そして、経過時間とその時のアンモニア濃度を測定した。また、空試験として、オゾン水を散布していないものについても同一の試験を行った。ここで、容器内のアンモニア採取には、製品名:気体採取器(株式会社ガステック製)、アンモニア濃度の測定には、製品名:気体検知管(3Lアンモニア)(株式会社ガステック製)を使用した。
【0035】
図6は、実施例2のオゾン水を散布した消臭試験の結果を示す図である。
図6に示すように、3ヶ月間保存した実施例2のオゾン水を散布した場合、オゾン水を散布しなかった空試験の場合と比較して、アンモニア濃度が低下した。すなわち、本実施例により製造したオゾン水は長期に亘って消臭効果が維持されていると判断できる。
【0036】
<実施例5>
純水100Lにブドウ糖を500g溶かした原料液に、オゾンガスを6時間注入し、オゾン水を製造した。製造したオゾン水を密閉容器で保存した。
【0037】
<実施例6>
純水100Lにブドウ糖を500g溶かした原料液に、クエン酸を添加(濃度0.1g/100mL)した後、オゾンガスを6時間注入し、オゾン水を製造した。製造したオゾン水を密閉容器で保存した。
【0038】
3ヶ月間保存した実施例5及び6においても、前述と同様の消臭試験を行った。その結果を
図7に示す。
図7に示すように、3ヶ月間保存した実施例5及び6のオゾン水を散布した場合、オゾン水を散布しなかった空試験の場合と比較して、アンモニア濃度が低下した。特に、クエン酸を含有する実施例6のオゾン水は、クエン酸を含有しない実施例5のオゾン水と比べて、よりアンモニア濃度が低下した。すなわち、クエン酸を添加することで、より高い消臭効果が発揮された。
【0039】
<乳化試験>
食用油が入った容器に、3ヶ月間保存した実施例1のオゾン水を滴下した後、容器内の液に紫外線を30分照射した。照射後の容器内の液体を観察したところ、白濁しており、水と油とが乳化した状態となっていた。3ヶ月間保存した実施例2〜4のオゾン水も同様に試験した結果、実施例1と同様に乳化状態となった。すなわち、本実施例により製造したオゾン水は長期に亘って、油を乳化して除去する洗浄効果が維持されていると判断できる。