特開2021-138780(P2021-138780A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-138780選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)リガンドおよびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-138780(P2021-138780A)
(43)【公開日】2021年9月16日
(54)【発明の名称】選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)リガンドおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/04 20060101AFI20210820BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20210820BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20210820BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210820BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/4174 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/277 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/585 20060101ALI20210820BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20210820BHJP
   A61P 17/08 20060101ALI20210820BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20210820BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20210820BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20210820BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20210820BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20210820BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 207/34 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 231/16 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 231/12 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 207/325 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 233/68 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 233/61 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 207/33 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 295/14 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 249/08 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 249/14 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 231/40 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 231/38 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 213/84 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 239/72 20060101ALI20210820BHJP
   C07D 249/06 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/415 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20210820BHJP
   A61K 31/4192 20060101ALI20210820BHJP
【FI】
   C07D207/04
   A61K9/08
   A61K9/06
   A61K9/107
   A61K9/127
   A61K9/12
   A61P13/08
   A61P35/00
   A61P35/04
   A61K45/00
   A61K31/4174
   A61K31/277
   A61K31/58
   A61K31/167
   A61K31/496
   A61K31/585
   A61P17/10
   A61P17/08
   A61P17/14
   A61P15/00
   A61P25/18
   A61P17/00
   A61P21/02
   A61P9/00
   C07D207/34CSP
   C07D231/16
   C07D231/12
   C07D207/325
   C07D233/68
   C07D233/61
   C07D207/33
   C07D295/14
   C07D249/08 527
   C07D249/08 535
   C07D401/12
   C07D249/14 502
   C07D231/40
   C07D231/38 Z
   C07D213/84 Z
   C07D239/72
   C07D249/06
   A61K31/40
   A61K31/415
   A61K31/4196
   A61K31/4439
   A61K31/44
   A61K31/517
   A61K31/4192
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】152
(21)【出願番号】特願2021-102428(P2021-102428)
(22)【出願日】2021年6月21日
(62)【分割の表示】特願2018-564840(P2018-564840)の分割
【原出願日】2017年6月12日
(31)【優先権主張番号】62/348,474
(32)【優先日】2016年6月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/455,397
(32)【優先日】2017年2月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/482,036
(32)【優先日】2017年4月5日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】504326686
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ テネシー リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ラメシュ ナラヤナン
(72)【発明者】
【氏名】デュアン ミラー
(72)【発明者】
【氏名】タマライ ポンヌサミ
(72)【発明者】
【氏名】ドン−ジン ホワン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーリー ヒー
【テーマコード(参考)】
4C055
4C063
4C069
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA02
4C055BA59
4C055CA02
4C055CA03
4C055CA13
4C055CA53
4C055CB08
4C055DA01
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC22
4C063DD12
4C063EE01
4C069AC06
4C069BA01
4C069BA08
4C069BB02
4C069BB15
4C069BB52
4C069BC01
4C069BD09
4C069CC04
4C076AA09
4C076AA12
4C076AA17
4C076AA19
4C076AA24
4C076CC17
4C076CC27
4C084AA19
4C084MA13
4C084MA17
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4C084MA24
4C084MA28
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA18
4C084ZA23
4C084ZA36
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZA92
4C084ZB26
4C084ZC54
4C086AA01
4C086AA02
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4C086BC50
4C086DA12
4C086DA13
4C086GA02
4C086GA06
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA24
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4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA18
4C086ZA23
4C086ZA36
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZB26
4C086ZC54
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA01
4C206GA31
4C206JA19
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA33
4C206MA37
4C206MA42
4C206MA44
4C206MA48
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA18
4C206ZA23
4C206ZA36
4C206ZA81
4C206ZA89
4C206ZA92
4C206ZB26
4C206ZC54
(57)【要約】
【課題】選択的アンドロゲン受容体分解剤リガンド等を提供すること
【解決手段】本発明は複素環式アニリド環及びその合成前駆体、R−異性体並びに非ヒドロキシル化及び/又は非キラルプロパンアミドを含むピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール及びモルホリンベース選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物及び前立腺癌、進行前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、トリプルネガティブ乳癌、アンドロゲン受容体を発現する他の癌、アンドロゲン脱毛症又は他の高アンドロゲン性皮膚疾患、ケネディ病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、腹部大動脈瘤(AAA)及び子宮筋腫の治療での医薬組成物及びその使用並びに対象でのARの病原性又は抵抗性突然変異、AR−スプライスバリアント(AR−SV)及び病原性ポリグルタミン(ポリQ)多型を含むアンドロゲン受容体全長(AR−FL)のレベルを低減する方法に関する。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複素環式アニリド環およびそれらの合成前駆体、R−異性体、ならびに非ヒド
ロキシル化および/または非キラルプロパンアミドを含むピロール、ピラゾール、イミダ
ゾール、トリアゾール、およびモルホリンベースの選択的アンドロゲン受容体分解剤(S
ARD)化合物、および前立腺癌、進行前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、トリプルネガテ
ィブ乳癌、アンドロゲン受容体を発現する他の癌、アンドロゲン脱毛症または他の高アン
ドロゲン性皮膚疾患、ケネディ病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、腹部大動脈瘤(AA
A)、および子宮筋腫の治療における医薬組成物およびその使用、ならびに対象における
ARの病原性または抵抗性突然変異、AR−スプライスバリアント(AR−SV)、およ
び病原性ポリグルタミン(ポリQ)多型を含むアンドロゲン受容体全長(AR−FL)の
レベルを低下させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺癌(PCa)は、米国で男性の間で最も頻繁に診断される非皮膚癌の1つであり、
米国で毎年20万人を超える新たな症例と3万人を超える死亡を伴う2番目に多い癌死亡
原因である。PCa治療薬市場は、世界的に年間15−20%の割合で成長している。
【0003】
アンドロゲン遮断療法(ADT)は、進行PCaの標準治療である。進行前立腺癌の患
者は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、LHRHアンタゴニスト
、または両側精巣摘出術のいずれかにより、ADTを受ける。ADTへの初期応答にもか
かわらず、疾患進行は避けられず、癌は去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)として出現する
。放射線または手術によって一次治療を受ける前立腺癌患者の30%までが、一次治療か
ら10年以内に転移性疾患を発症することになる。年間約5万人の患者が、転移性CRP
C(mCRPC)と呼ばれる転移性疾患を発症することになる。
【0004】
CRPC患者は12〜18ヶ月の生存期間中央値を有する。去勢抵抗性であるが、CR
PCが継続的成長のためには、アンドロゲン受容体(AR)シグナル伝達軸に依然として
依存している。CRPC再出現の主な理由は、次のような代替のメカニズムによってAR
が再活性化されるからである。1)イントラクラインアンドロゲン合成、2)例えば、リ
ガンド結合ドメイン(LBD)を欠くARスプライスバリアント(AR−SV)、3)A
Rアンタゴニストに抵抗する可能性のあるAR−LBD変異(すなわち、ARアンタゴニ
ストによる阻害に敏感ではない変異体、場合によってARアンタゴニストがこれらのLB
D変異を有するARのアゴニストとして作用する変異体)、および4)腫瘍内のAR遺伝
子の増殖。CRPC治療の進歩に対する重大な障壁は、LBDを介して作用するエンザル
タミド、ビカルタミド、およびアビラテロンなどのARシグナル伝達阻害剤が、N末端ド
メイン(NTD)依存性の構成的活性型AR−SVによって促進される成長を阻害しない
ことであり、中でも最も顕著なAR−SVはAR−V7である。CRPC患者においてエ
ンザルタミドとアビラテロンを用いた最近のインパクトのある臨床試験は、エンザルタミ
ド(Xtandi)または酢酸アビラテロン(Zytiga)を用いた治療を開始した2
02人の患者のうち、AR−V7陽性患者のわずか13.9%がいずれかの治療にPSA
応答を有したことを実証し(Antonarakis ES、Lu C、Luber B
、ら.J.Clin.Oncol.2017年4月6日、doi:10.1200 /J
CO.2016.70.1961)、AR−SVを標的とする次世代ARアンタゴニスト
の必要性を示している。さらに、かなりの数のCRPC患者が、アビラテロンまたはエン
ザルタミドに対して不応性になり、次世代ARアンタゴニストの必要性を強調している。
【0005】
現在のエビデンスは、CRPCの成長が、AR−V7のようなLBDを欠くAR−SV
を含む、構成的活性型ARに依存し、したがって従来のアンタゴニストによって阻害する
ことができないことを実証している。AR LBDとは異なるドメインへの結合によるA
R阻害および分解は、CRPCを処置する代替方法を提供する。
【0006】
ARを分解する分子は、成長因子もしくはシグナル伝達経路によるいかなる不慮のAR
活性化、または無差別のリガンド依存性活性化を防止する。さらに、AR−SVの構成的
活性化を阻害する分子は、CRPC患者に長期間の利益を提供するために極めて重要であ
る。
【0007】
現在のところ、SARD ARN−509、AZD−3514、およびASC−J9を
含むARを分解する化学種は、ごくわずかしか知られていない。しかしながら、これらの
分子は、それらの結合係数よりもはるかに高い濃度でARを間接的に分解し、AR−SV
を分解できないことが、近年治療抵抗性CRPCの再発の主な理由となっている。
【0008】
本発明は、強力に(高い効力および有効性)および選択的に、ARに結合し(場合によ
っては既知のアンタゴニストよりも優れている、LBDおよび/またはNTDに結合する
)、ARに拮抗し、ARの全長(AR−FL)およびAR−SVを分解する、独自の薬理
学を有する新規なARアンタゴニストを説明する。選択的アンドロゲン受容体分解剤(S
ARD)化合物は、二重分解およびAR−SV阻害機能を有し、したがって利用可能なC
RPC治療薬とは異なる。これらの新規な選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)
化合物は、増殖のためにAR−FLおよびAR−SVに依存するPCa細胞および腫瘍の
成長を阻害する。
【0009】
SARDは、いかなる他のアンタゴニストでは治療できないCRPCを治療するための
新しい治療薬として進化する可能性がある。AR−SVを分解するこの独特な特性は、前
立腺癌にとって極めて重要な健康影響をもたらす。今日までに、一連の合成分子(EPI
−001、EPI−506など)およびシンコタミドやグリセロールエーテルナペテノン
Bなどの海洋天然産物のみが、たとえ低い親和性で受容体を分解することができなくても
、AR−NTDと結合してAR機能とPCa細胞の成長を阻害することが報告されている
。本明細書中に報告されたSARDはまた、AR−NTDに結合し、NTD駆動型(例え
ば、リガンド非依存性)AR活性を阻害する。
【0010】
ARとPCaとの間の正相関およびフェイルセーフARアンタゴニストの欠如は、新規
または代替のメカニズムおよび/または結合部位によってAR機能を阻害し、変化した細
胞環境内でアンタゴニスト活性を誘発することができる分子の必要性を強調する。
【0011】
エンザルタミド、ビカルタミド、フルタミド、アンドロゲン遮断療法(ADT)などの
従来の抗アンドロゲン剤が、前立腺癌での使用に承認されているが、抗アンドロゲン剤は
ホルモン依存性やホルモン非依存性のさまざまな癌でも使用できるという重要なエビデン
スがある。例えば、抗アンドロゲンは、乳癌(エンザルタミド;Breast Canc
er Res.(2014)16(1):R7)、非小細胞肺癌(shRNAi AR)
、腎細胞癌(ASC−J9)、部分アンドロゲン不応症(PAIS)に関連する悪性腫瘍
、例えば生殖腺腫瘍および精上皮腫、進行性膵臓癌(World J.消化器病学20(
29)、9229)、卵巣、卵管、または腹膜の癌、唾液腺癌(頭頸部(2016)38
、724〜731;ADTは、ARを発現する再発性/転移性の唾液腺癌で試験され、無
憎悪生存期間および全生存期間エンドポイントに有益であることが確認された)、膀胱癌
(Oncotarget 6(30)、29860〜29876)Int J.Endo
crinol(2015)、Article ID 384860)、膵臓癌、リンパ腫
(マントル細胞を含む)、および肝細胞癌で試験された。これらの癌におけるSARDの
ようなより強力な抗アンドロゲンの使用は、これらおよび他の癌の進行をより効果的に治
療することができる。乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌(TNBC))、精巣癌、
生殖腺腫瘍および精上皮腫などの部分アンドロゲン不応症(PAIS)に関連する癌、子
宮癌、卵巣癌、卵管または腹膜の癌、唾液腺癌、膀胱癌、泌尿生殖器癌、脳癌、皮膚癌、
リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝臓癌、肝細胞癌、腎臓癌、腎細胞癌、骨肉腫、膵臓
癌、子宮内膜癌、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、胃癌、結腸癌、肛門周囲腺腫、ま
たは中枢神経系癌などの他の癌もSARD治療から利益を得ることができる。
【0012】
トリプルネガティブ乳癌(TNBC)は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロ
ン受容体(PR)、およびHER2受容体キナーゼの発現を欠く乳癌の一種である。この
ように、TNBCは、他のタイプの原発性乳癌を治療するために使用されるホルモンおよ
びキナーゼ治療標的を欠いている。同様に、化学療法はしばしばTNBCの初期薬物療法
である。興味深いことに、ARはしばしばTNBCで発現され、化学療法に対するホルモ
ン標的化代替療法を提供し得る。ER陽性乳癌において、ARの活性化が乳房組織および
腫瘍におけるERの効果を制限するおよび/またはそれに抵抗すると考えられるため、A
Rは陽性の予後指標である。しかし、ERが存在しない場合、ARは乳癌腫瘍の成長を実
際に支持する可能性がある。TNBCでは、ARの役割は完全には理解されていないが、
一部のTNBCは、AR全長のLBDまたはアンドロゲン依存性活性化を欠くAR−SV
のアンドロゲン非依存性活性化によって支持され得るというエビデンスを有する。このよ
うに、エンザルタミドおよび他のLBD指向性の従来のARアンタゴニストは、これらの
TNBCにおいてAR−SVに拮抗することができないであろう。しかし、ARのNTD
(実施例9参照)の結合部位を介してAR−SV(表1および実施例5を参照)を破壊す
ることができる本発明のSARDは、TNBC患者由来異種移植片で観察されるAR−S
Vを含むARに拮抗することができ、実施例8に示すように抗腫瘍効果を提供することが
できるであろう。
【0013】
ビカルタミドやフルタミドなどの従来の抗アンドロゲン剤は、前立腺癌での使用が承認
されている。その後の研究では、アンドロゲン脱毛症(男性型禿頭症)、尋常性ざ瘡およ
び男性型多毛症(例えば、女性の顔の毛)などのアンドロゲン依存性の皮膚科学的状態に
おける抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、スピロノラクトン、酢酸シプロテロン、フ
ィナステリドおよび酢酸クロルマジノン)の有用性を実証した。思春期前去勢は皮脂産生
およびアンドロゲン脱毛症を予防するが、これはテストステロンの使用によって逆転され
る可能性があり、そのアンドロゲン依存性を示唆する。
【0014】
AR遺伝子はエキソン1内のグルタミン反復の多型(ポリQ)を有し、短縮されるとA
Rトランス活性化(すなわち、高アンドロゲン血症)を増強し得る。脱毛症、男性型多毛
症、およびざ瘡を患う人々において、短縮されたポリQ多型がより一般的であることが見
出されている。古典的な抗アンドロゲン剤は、皮膚投与によって効果がなく、長期間にわ
たる全身的使用により、女性化乳房やインポテンスのような有害な性的効果のリスクが上
昇するため、これらの目的には好ましくない。さらに、上記のCPRCと同様に、ARは
、内因性アンドロゲンテストステロン(T)およびジヒドロテストステロン(DHT)以
外の種々の細胞因子、例えば成長因子、キナーゼ、共活性化因子の過剰発現および/また
は他のホルモン(例えば、エストロゲンまたはグルココルチコイド)による無差別な活性
化によって活性化され得るため、リガンド依存性AR活性の阻害だけでは十分ではない可
能性がある。結果として、古典的な抗アンドロゲンによるTおよびDHTのARへの結合
を遮断することは、所望の有効性を有するためには十分ではない可能性がある。
【0015】
新たなコンセプトは、いかなる全身性の抗アンドロゲン作用も発揮することなく、皮膚
または他の組織の患部に局所的にARを破壊するためのSARDの局所適用である。この
使用のためには、皮膚に浸透しないか、または迅速に代謝されるSARDが好ましい。
【0016】
皮膚創傷治癒がアンドロゲンによって抑制されることが実証されているという観察が、
このアプローチを支持する。マウスの去勢は皮膚創傷治癒を加速する一方で、創傷内の炎
症を弱毒化する。アンドロゲンレベルと皮膚治癒および炎症との間の負の相関関係は、高
レベルの内因性アンドロゲンが高アンドロゲン性皮膚病態を悪化させる別のメカニズムを
部分的に説明する。さらに、それは、糖尿病性潰瘍または外傷のような創傷、またはざ瘡
または乾癬のような炎症性成分を伴う皮膚疾患の局所的SARDによる治療の根拠を提供
する。
【0017】
アンドロゲン脱毛症は、中年までに白人男性の約50%、80歳までには90%まで発
生する。ミノキシジル(局所的血管拡張剤)とフィナステライド(全身型5アルファレダ
クターゼII型阻害剤)は、脱毛症に対してFDAの認可を受けているが、治療効果を出
すためには4〜12カ月の治療を必要とし、ほとんどの場合脱毛を阻止するに留まり、3
0〜60%で軽度から中程度の毛髪再生があった。現在利用可能な治療法は、個人間で幅
広く異なり、効き目が遅く限定的なものであり、望ましくない性的副作用を生じるので、
アンドロゲン脱毛症および他の高アンドロゲン性皮膚疾患を治療するための新規なアプロ
ーチを見つけることが重要である。
【0018】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上下運動ニューロンおよび骨格筋萎縮の選択的喪失
を特徴とする致命的な神経変性疾患である。疫学的および実験的証拠はALSの病因にア
ンドロゲンの関与を示唆するが(「アナボリック/アンドロゲンステロイドナンドロロン
は、筋萎縮性側索硬化症のマウスモデルの筋肉に変異SOD1によって誘導される遺伝子
発現の変更を悪化させる」Galbiati M、Onesto E、Zito A、C
rippa V、Rusmini P、Mariotti R、Bentivoglio
M、Bendotti C、Poletti A.Pharmacol.Res.20
12、65(2)、221−230)、アンドロゲンがALSの表現型を変更するメカニ
ズムは知られていない。ALSのトランスジェニック動物モデルは、外科的去勢(すなわ
ち、アンドロゲン除去)の際に生存率の改善を示した。これらの去勢動物をアンドロゲン
アゴニストであるデカン酸ナンドロロンで治療すると、疾患症状が悪化した。去勢はAR
レベルを低下させ、それが生存延長の理由となり得る。アンドロゲンアゴニストによって
生存利益は逆転する(「アンドロゲンは、SOD1関連筋萎縮性側索硬化症のマウスモデ
ルにおける筋肉、運動ニューロン、および生存に影響する」Aggarwal T、Po
lanco MJ、Scaramuzzino C、Rocchi A、Milioto
C、Emionite L、Ognio E、Sambataro F、Galbia
ti M、Poletti A、Pennuto M.Neurobiol.Aging
.2014 35(8)、1929〜1938)。特に、デカン酸ナンドロロンによる刺
激は、ドデシル硫酸ナトリウムに不溶性の生化学複合体に内因性アンドロゲン受容体の動
員を促進し、タンパク質凝集と一致する所見であった。全体として、これらの結果は、ア
ンドロゲン受容体ホメオスタシスの調節不全を介してALS病因の変更因子としてのアン
ドロゲンの役割を明らかにした。抗アンドロゲンは、ナンドロロンウンデカン酸塩または
内因性アンドロゲンの影響をブロックし、AR凝集による毒性を逆転させるべきである。
さらに、LBD依存性ARアゴニストの作用をブロックし、およびそれに付随してARタ
ンパク質レベルを低下させることができる、例えば、本発明のSARDなどの抗アンドロ
ゲンは、ALSにおいて治療的であろう。リルゾールはALS治療に利用できる薬剤だが
、短期的な効果しか提供しない。ALS患者の生存期間を延長する薬剤が至急求められて
いる。
【0019】
アンドロゲン受容体作用は、子宮の増殖を促進する。短ポリQ ARの過剰アンドロゲ
ン性は、平滑筋腫または子宮筋腫の増加に関連している。(Hsieh YY、Chan
g CC、Tsai FJ、Lin CC、Yeh LS、Peng CT.J.Ass
ist.Reprod.Genet.2004年、21(12)、453〜457)。ブ
ラジルの女性を対象とした別の研究では、ARのより短い[CAG](n)反復対立遺伝
子、およびより長い[CAG](n)反復対立遺伝子が、自らの研究で平滑筋腫群に排他
的であることが分かった(Rosa FE、Canevari Rde A、Ambro
sio EP、Ramos Cirilo PD、Pontes A、Rainho C
A、Rogatto SR.Clin.Chem.Lab.Med.2008、46(6
)、814〜823)。同様に、アジアのインドの女性では、長ポリQ ARは子宮内膜
症および平滑筋腫と関連しており、高リスクマーカーとみなすことができる。SARDは
、子宮筋腫、特により短い[CAG](n)反復対立遺伝子およびより長い[CAG](
n)反復対立遺伝子を発現する女性において、既存の子宮筋腫を治療し、筋腫の悪化を予
防し、および/または筋腫に関連する発癌性を改善するために使用することができる。
【0020】
腹部大動脈瘤(AAA)は、体に血液を供給する主要な血管である大動脈の下部にある
拡大した領域である。大動脈は、およそ庭のホースの厚みがあり、心臓から胸と腹部の中
心を通って流れる。大動脈は体の主要な血液供給源であるため、破裂した腹部大動脈瘤は
生命を脅かす出血を引き起こす可能性がある。腹部大動脈瘤が成長する大きさと速度に応
じて、慎重な経過観察から救急手術まで、治療は異なる場合がある。腹部大動脈瘤が見つ
かると、医師はそれを注意深く監視し、手術が必要な場合に計画できるようにする。破裂
した腹部大動脈瘤に対する緊急手術は危険であり得る。AR遮断(薬理学的または遺伝学
的)はAAAを減少させる。Davisら(Davis JP、Salmon M、Po
pe NH、Lu G、Su G、Meher A、Ailawadi G、Upchu
rch GR Jr.J Vasc Surg(2016)63(6):1602〜16
12)は、フルタミド(50mg/kg)またはケトコナゾール(150mg/kg)が
、賦形剤(121%)と比較して、AAAを引き起こすブタ膵臓エラスターゼ(0.35
U/mL)を84.2%および91.5%弱毒化することを示した。さらにAR−/−マ
ウスは、野生型(どちらもエラスターゼで処置)と比較して弱毒化AAA増殖(64.4
%)を示した。それに対応して、AAAに罹患している患者にSARDを投与することは
、AAAの進行を、手術が必要とされるポイントに戻す、治療する、または遅らせるのを
助けることができる。
【0021】
X連鎖性脊髄球筋萎縮(SBMA:ケネディ病としても知られている)は、X染色体上
のアンドロゲン受容体遺伝子の欠損から生じる筋肉萎縮症である。近位四肢および球筋の
衰弱は、場合によっては車椅子への依存を含む物理的制限をもたらす。この突然変異は、
アンドロゲン受容体(ポリQ AR)のN末端ドメインに付加された延長されたポリグル
タミン経路をもたらす。内因性アンドロゲン(テストステロンおよびDHT)によるこの
伸長されたポリQ ARの結合および活性化は、変異型アンドロゲン受容体のアンフォー
ルディングおよび核移行をもたらす。アンドロゲン誘発性の毒性とポリQ ARタンパク
質のアンドロゲン依存性核内蓄積が病因の中心のようである。したがって、アンドロゲン
活性化ポリQ ARの阻害が治療選択肢であり得る(A.Baniahmad.球脊髄性
筋萎縮症における抗アンドロゲン剤によるアンドロゲン受容体の阻害。J.Mol.Ne
urosci.2016 58(3)、343〜347)。 これらのステップは、病因
のために必要であり、トランス活性化機能の部分的喪失(すなわち、アンドロゲン非感受
性)とよく理解されていない神経筋変性をもたらす。抗アンドロゲン使用のサポートは、
抗アンドロゲンフルタミドが脊髄球筋萎縮の3つのモデルにおいてアンドロゲン依存性毒
性からオスのマウスを保護する報告にある(Renier KJ、Troxell−Sm
ith SM、Johansen JA、Katsuno M、Adachi H、So
bue G、Chua JP、Sun Kim H、Lieberman AP、Bre
edlove SM、Jordan CL.内分泌学 2014、155(7)、262
4〜2634)。現在、疾患修飾治療はなく、むしろ症状指向治療のみである。ケネディ
病のポリQ ARを、その分解を促進するために、すなわちSARDを使用して細胞器官
を利用することによって、毒性の近位メディエータとして標的化する努力は、治療的介入
のための約束を保持する。本明細書に報告されているような選択的アンドロゲン受容体分
解剤は、試験されたすべてのアンドロゲン受容体(全長、スプライスバリアント、抗アン
ドロゲン耐性変異体など)に結合して分解するので、ポリQ AR多型の分解も期待され
、これらはSBMA治療のための有望な手がかりであることを示す。
【0022】
ここでは、とりわけ、NTDに位置するLBDおよび/または代替的な結合および分解
ドメイン(BDD)に結合し得るピロール、ピラゾール、トリアゾール、イミダゾール、
およびモルホリンベースの選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物について
説明する。 ARを低下させ、ARを分解することよってリガンド依存性およびリガンド
非依存性のAR活性を遮断する。この新規機構は、全身(例えば、前立腺癌)または局所
(例えば、皮膚疾患)に投与された場合、改善された有効性を生じる。
【発明の概要】
【0023】
本発明の一実施形態は、式Iの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤
(SARD)化合物を包含し、
【化1】


式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRは、3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
は、少なくとも1個の窒素原子および0、1、または2個の二重結合を有する5また
は6員の飽和または不飽和環であり、必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少な
くとも1つで置換され、それぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状また
は分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロ
シクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは
非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、O
R、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、
CONHR、COORまたはCORから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SOR SOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、C(O)(C〜C
)アルキル、NO、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネ
ート、メシレート、トシレート、トリフレート、PO(OH)またはOPO(OH)
であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、また
はそれらの任意の組み合わせを包含し、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0024】
別の実施形態では、本発明は、式IAの構造によって表されるSARD化合物に関し、
【化2】

IA
式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
は、少なくとも1個の窒素原子および0、1、または2個の二重結合を有する5また
は6員の飽和または不飽和環であり、必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少な
くとも1つで置換され、それぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状また
は分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロ
シクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは
非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、O
R、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、
CONHR、COORまたはCORから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SORSOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、C(O)(C〜C10
)アルキル、NO、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネー
ト、メシレート、トシレート、トリフレート、PO(OH)またはOPO(OH)
あり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任
意の組み合わせに関し、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0025】
別の実施形態では、本発明は、式IBの構造によって表されるSARD化合物に関し、
【化3】

IB
式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
は、少なくとも1個の窒素原子および0、1、または2個の二重結合を有する5また
は6員の飽和または不飽和環であり、必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少な
くとも1つで置換され、それぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状また
は分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロ
シクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは
非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、O
R、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、
CONHR、COORまたはCORから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SOR SOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、
イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリ
フレート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任
意の組み合わせに関し、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0026】
本発明は、式IIの構造によって表されるSARD化合物を包含し、
【化4】

II
式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
は ピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ト
リアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、またはモルホリン環であり
、環は必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少なくとも1つで置換され、それぞ
れ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状または分枝状アルキル、置換もしく
は非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル、ハロアルキル
、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のフェニル、F、Cl、
Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS
、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、CONHR、COORまたはC
ORから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SOR SOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、
イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリ
フレート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、また
はそれらの任意の組み合わせを包含し、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0027】
別の実施形態では、本発明は、式IIAの構造によって表されるSARD化合物に関し

【化5】

IIA
式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
は ピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ト
リアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、またはモルホリン環であり
、環は必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少なくとも1つで置換され、それぞ
れ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状または分枝状アルキル、置換もしく
は非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル、ハロアルキル
、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のフェニル、F、Cl、
Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS
、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、CONHR、COORまたはC
ORから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SOR SOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、
イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリ
フレート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任
意の組み合わせに関し、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0028】
別の実施形態では、本発明は、式IIBの構造によって表されるSARD化合物に関し

【化6】

IIB
式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRは、3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
はピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、トリ
アゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、またはモルホリン環であり、
環は必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少なくとも1つで置換され、それぞれ
独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状または分枝状アルキル、置換もしくは
非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、
CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のフェニル、F、Cl、B
r、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、
マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、CONHR、COORまたはCO
Rから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SOR SOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、
イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリ
フレート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの
任意の組み合わせに関し、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0029】
別の実施形態では、本発明は、式VIIの構造によって表される選択的アンドロゲン受
容体分解剤化合物を包含し、
【化7】

VII
式中、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
、Q、またはQはそれぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状ま
たは分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテ
ロシクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしく
は非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、
OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR
、CONHR、COORまたはCORから選択され、またはその光学異性体、異性体、薬
学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任意の組み合わせを包含
する。
【0030】
別の実施形態では、本発明は、式VIIAの構造によって表される選択的アンドロゲン
受容体分解剤化合物を包含し、
【化8】

VIIA
式中、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
または、TおよびRは、3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
、Q、またはQはそれぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状ま
たは分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテ
ロシクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしく
は非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、
OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR
、CONHR、COORまたはCORから選択され、またはその異性体、薬学的に許容さ
れる塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0031】
別の実施形態では、本発明は、式VIIBの構造によって表される選択的アンドロゲン
受容体分解剤化合物を包含し、
【化9】

VIIB
式中、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
または、TおよびRは、3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
、Q、またはQはそれぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状ま
たは分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテ
ロシクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしく
は非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、
OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR
、CONHR、COORまたはCORから選択され、またはその異性体、薬学的に許容さ
れる塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任意の組み合わせを包含する。
本発明のさらに別の実施形態は、以下の化合物のいずれか1つの構造で表されるSARD
化合物を包含する。
【化10】

【化11】


【化12】

【化13】
【0032】
本発明の1つの実施形態は、以下の特性の少なくとも1つを有するSARD化合物を包
含する:例えばNTDにおいて、代替の結合および分解ドメイン(BDD)を介してAR
に結合する;ARリガンド結合ドメイン(LBD)を介してARに結合する;AR−スプ
ライスバリアント(AR−SV)分解活性を示す;その病原性突然変異を含むAR全長(
AR−FL)分解活性を示す;AR−SV阻害活性を示す(すなわち、AR−SVアンタ
ゴニストである);その病原性突然変異を含むAR−FL阻害活性を示す(すなわち、A
R−FLアンタゴニストである);二重AR−SV分解およびAR−SV阻害機能を有す
る;および/または二重AR−FL分解およびAR−FL阻害機能を有する。
【0033】
本発明の別の実施形態は、本発明によるSARD化合物、その異性体、薬学的に許容さ
れる塩、医薬品、多形体、水和物またはそれらの任意の組み合わせを含む医薬組成物、お
よび薬学的に許容される担体を包含する。医薬組成物は、局所使用のために製剤化するこ
とができる。局所用医薬組成物は、溶液、ローション、膏薬、クリーム、軟膏、リポソー
ム、スプレー、ゲル、泡沫、ローラースティック、クレンジングソープまたはバー、乳液
、ムース、エアロゾルまたはシャンプーであってもよい。
【0034】
本発明は、治療を必要とする男性対象における前立腺癌(PCa)の治療または生存率
を増加させる方法であって、式I〜VII、IA〜ID、IIA、IIB、VIIA、も
しくはVIIB、または化合物1001〜1049のいずれかによって定義される治療有
効量の化合物を対象に投与することを含む方法を包含する。前立腺癌には、進行前立腺癌
、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、転移性CRPC(mCRPC)、非転移性CRPC
(nmCRPC)、高リスクnmCRPCまたはそれらの任意の組み合わせが含まれるが
、これらに限定されない。本発明の別の実施形態は、アンドロゲン遮断療法を投与するこ
とをさらに含む方法を包含する。または、この方法は、既知のアンドロゲン受容体アンタ
ゴニストまたはADTによる治療に耐性である前立腺癌または他の癌を治療することがで
きる。別の実施形態では、本方法は、エンザルタミド耐性前立腺癌を治療することができ
る。別の実施形態では、本方法は、アビラテロン耐性前立腺癌を治療することができる。
本発明のさらに別の実施形態は、アンドロゲン受容体アンタゴニストが、エンザルタミド
、ビカルタミド、アビラテロン、ARN−509、ODM−201、EPI−001、E
PI−506、AZD−3514、ガレテロン(galeterone)、ASC−J9
、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、ニルタミド、酢酸シプロテロン、ケトコナゾール
、またはスピロノラクトンの少なくとも1つである、本発明のSARD化合物で前立腺癌
または他のARアンタゴニスト耐性癌を治療する方法を包含する。
【0035】
本発明のさらに別の実施形態は、本発明のSARD化合物を用いて前立腺癌または他の
癌を治療する方法であって、他の癌が、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)などの乳癌
、精巣癌、生殖腺腫瘍および精上皮腫などの部分アンドロゲン不応症(PAIS)に関す
る癌、子宮癌、卵巣癌、卵管癌または腹膜癌、唾液腺癌、膀胱癌、泌尿生殖器癌、脳癌、
皮膚癌、リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝臓癌、肝細胞癌、腎臓癌、腎細胞癌、骨肉
腫、膵臓癌、子宮内膜癌、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、胃癌、結腸癌、肛門周囲
腺腫、または中枢神経系癌から選択される、方法を包含する。別の実施形態では、乳癌は
、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)である。
【0036】
本発明は、本発明の化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形
体、水和物もしくは任意の組み合わせの治療有効量を対象に投与することを含む、対象に
おけるAR−スプライスバリアントのレベルを低下させる方法を包含する。方法は、対象
におけるAR全長のレベルをさらに低下させることを含み得る。
【0037】
本発明の別の実施形態は、対象においてケネディ病を治療する方法であって、対象に式
I〜VII、IA〜ID、IIA、IIB、VIIA、もしくはVIIBの化合物、また
は本発明の別の式の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態は、本発明の化合物もしくはその医薬組成物を投与するこ
とによる:(a)対象において、例えば、尋常性ざ瘡などのざ瘡を治療する;(b)対象
において、例えば、去痰薬、脂漏性皮膚炎、またはざ瘡などの皮脂産生を減少させる;(
c)対象において、例えば、女性の顔の毛などの男性型多毛症を治療する;(d)対象に
おいて、例えば、アンドロゲン脱毛症、円形脱毛症、化学療法に起因する脱毛症、放射線
療法に起因する脱毛症、瘢痕よって誘発される脱毛症、またはストレスによって誘発され
る脱毛症などの脱毛症を治療する;(e)女性において、例えば、思春期早発症、早期思
春期、月経困難症、無月経、多胞性子宮症候群、子宮内膜症、子宮筋腫、異常子宮出血、
早期月経、線維嚢胞性乳腺症、子宮類線維腫、卵巣嚢腫、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症
、妊娠の子癇、早産、月経前症候群、または膣乾燥症などのホルモン状態を治療する;(
f)対象において性的倒錯、性欲過剰または性嗜好異常を治療する;(g)対象において
アンドロゲン精神病を治療する;(h)対象において男性化を治療する;(i)対象にお
いて完全または部分アンドロゲン不応症を治療する;(j)動物において排卵を増加また
は調節する;(k)対象において癌を治療する方法、またはその任意の組み合わせの方法
を包含する。
【0039】
本発明の一実施形態は、対象におけるポリグルタミン(ポリQ)AR多形体のレベルを
低下させる方法を包含し、本発明による化合物を投与することを含む。この方法は、ポリ
グルタミン(ポリQ)AR多形体(ポリQ−AR)の機能を阻害するか、分解するか、ま
たはその両方を行うことができる。ポリQ−ARは、短いポリQ多形体または長いポリQ
多形体であってもよい。ポリQ−ARが短いポリQ多形体である場合、この方法は皮膚疾
患をさらに治療する。ポリQ−ARが長いポリQ多形体である場合、この方法はケネディ
病をさらに治療する。
【0040】
本発明の別の実施形態は、治療有効量の本発明の化合物またはその異性体、薬学的に許
容される塩、医薬品、多形体、水和物またはそれらの任意の組み合わせを投与することに
よって、対象における筋萎縮性側索硬化症(ALS)を治療する方法またはその医薬組成
物をを包含する。
【0041】
本発明の別の実施形態は、治療有効量の本発明の化合物またはその異性体、薬学的に許
容される塩、医薬品、多形体、水和物またはそれらの任意の組み合わせを投与することに
よって、対象における腹部大動脈瘤(AAA)を治療する方法またはその医薬組成物を包
含する。
【0042】
本発明のさらに別の実施形態は、治療有効量の本発明の化合物またはその異性体、薬学
的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物またはそれらの任意の組み合わせを投与する
ことによって、対象における子宮筋腫を治療する方法またはその医薬組成物を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明と見なされる主題は、本明細書の結論部分において特に指摘され明確に主張され
る。しかしながら、本発明は、その目的、特徴、および利点とともに、構成および動作方
法の両方に関して、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を参照することによって最
もよく理解されよう。
【0044】
図1A図1A〜1C:1002のトランス活性化結果は、測定されたルシフェラーゼ発光に基づいて報告され、相対光単位強度(RLU)として報告された。図1Aは、RLUをy軸に、SARD濃度をx軸に報告した結果をプロットしたものであり、ここでアンタゴニストモードは黒丸で報告された。黒丸に曲線を合わせた。図1Bは、AD1細胞によるアンドロゲン受容体分解アッセイのウエスタンブロットを示し、その結果は、SARD活性:全長%阻害下で、表1に報告された。図1Cは、D567es細胞によるアンドロゲン受容体分解スプライスバリアントアッセイのウエスタンブロットを示す(22RV1細胞の結果は、「SARD活性:S.V.% 阻害」下で、表1に報告された)。
図1B】同上。
図1C】同上。
【0045】
図2A図2Aおよび図2B:測定されたルシフェラーゼ発光に基づいて11(インドール)および1002(本発明のピラゾール)のトランス活性化結果が報告され、相対光単位強度(RLU)として報告された。図2Aは、RLUをy軸に、SARD濃度をx軸に報告した結果をプロットしたものであり、ここでアンタゴニストモードが11および1002について報告された。化合物11は黒丸および実線で表し、1002は白丸および破線で表す。1002および11のそれぞれについて、白丸および黒丸に曲線を合わせた。図2Bは、11、11R(11のR異性体)、1002、および1020(1002のR異性体)について、AD1細胞(全長AR)を用いたAR分解アッセイおよび22RV1細胞を用いたスプライスバリアントアッセイのウェスタンブロットを示す。結果は、表1のそれぞれ「SARD活性:全長%阻害」および「SARD活性:S.V.%阻害」と表示した列に報告した。要するに、インドールおよびピラゾールSARDのR異性体は、LBD依存性阻害剤とは対照的に、SARD活性を保持していた。
図2B】同上。
【0046】
図3図3Aおよび図3B:1003のトランス活性化結果は、測定されたルシフェラーゼ発光に基づいて報告され、相対光単位強度(RLU)として報告された。図3Aは、RLUをy軸に、SARD濃度をx軸に報告した結果をプロットしたものであり、ここでアゴニストモードが黒丸で報告され、アンタゴニストモードが白丸で報告された。白丸に曲線を合わせた。図3Bは、全長アンドロゲン受容体分解アッセイのウエスタンブロットを示し、その結果は、SARD活性:全長%阻害下で、表1に報告された。
【0047】
図4図4Aおよび図4B:1004のトランス活性化結果は、測定されたルシフェラーゼ発光に基づいて報告され、相対光単位強度(RLU)として報告された。図4Aは、RLUをy軸に、SARD濃度をx軸に報告した結果をプロットしたものであり、ここでアゴニストモードは黒丸で報告され、アンタゴニストモードは白丸で報告された。白丸に曲線を合わせた。図4Bは、全長アンドロゲン受容体分解アッセイのウエスタンブロットを示し、その結果は、SARD活性:全長%阻害下で、表1に報告された。ウエスタンブロット下の数字は、各レーンのARとアクチンの比率を示している。
【0048】
図5図5Aおよび図5B:1005のトランス活性化結果は、測定されたルシフェラーゼ発光に基づいて報告され、相対光単位強度(RLU)として報告された。図5Aは、RLUをy軸に、SARD濃度をx軸に報告した結果をプロットしたものであり、ここでアゴニストモードは黒丸で報告され、アンタゴニストモードは白丸で報告された。白丸に曲線を合わせた。図5Bは、全長アンドロゲン受容体分解アッセイのウェスタンブロットを示し、その結果は、SARD活性:全長%阻害下で、表1に報告された。
【0049】
図6図6Aおよび図6B:1006のトランス活性化結果は、測定されたルシフェラーゼ発光に基づいて報告され、相対光単位強度(RLU)として報告された。図6Aは、RLUをy軸に、SARD濃度をx軸に報告した結果をプロットしたものであり、ここでアゴニストモードは黒丸で報告され、アンタゴニストモードは白丸で報告された。白丸に曲線を合わせた。図6Bは、全長アンドロゲン受容体分解アッセイのウェスタンブロットを示し、その結果は、SARD活性:全長%阻害下で表1に報告された。
【0050】
図7図7:全長アンドロゲン受容体分解アッセイのウェスタンブロットを化合物17について示し、その結果を表1に、SARD活性:全長%阻害下で報告する。
【0051】
図8図8:1011のトランス活性化結果は、測定されたルシフェラーゼ発光に基づいて報告され、相対光単位強度(RLU)として報告された。図8は、RLUをy軸に、SARD濃度をx軸に報告した結果をプロットしたものであり、ここでアンタゴニストモードは黒丸で報告された。黒丸に曲線を合わせた。
【0052】
図9図9:1010のトランス活性化結果は、測定されたルシフェラーゼ発光に基づいて報告され、相対光単位強度(RLU)として報告された。図9は、RLUをy軸に、SARD濃度をx軸に報告した結果をプロットしたものであり、ここでアンタゴニストモードは黒丸で報告された。黒丸に曲線を合わせた。
【0053】
図10図10:1009のトランス活性化結果は、測定されたルシフェラーゼ発光に基づいて報告され、相対光単位強度(RLU)として報告された。図10は、RLUをy軸に、SARD濃度をx軸に報告した結果をプロットしたものであり、ここでアンタゴニストモードは黒丸で報告された。黒丸に曲線を合わせた。
【0054】
図11図11:1008のトランス活性化結果は、測定されたルシフェラーゼ発光に基づいて報告され、相対光単位強度(RLU)として報告された。図11は、RLUをy軸に、SARD濃度をx軸に報告した結果をプロットしたものであり、ここでアンタゴニストモードは黒丸で報告された。黒丸に曲線を合わせた。
【0055】
図12図12:1007のトランス活性化結果は、測定されたルシフェラーゼ発光に基づいて報告され、相対光単位強度(RLU)として報告された。図12は、RLUをy軸に、SARD濃度をx軸に報告した結果をプロットしたものであり、ここでアンタゴニストモードは黒丸で報告された。黒丸に曲線を合わせた。
【0056】
図13図13A〜13C:1001のトランス活性化結果は、測定されたルシフェラーゼ発光に基づいて報告され、相対光単位強度(RLU)として報告された。図13Aは、RLUをy軸に、SARD濃度をx軸に報告した結果をプロットしたものであり、ここでアンタゴニストモードは黒丸で報告された。黒丸に曲線を合わせた。図13Bは、全長アンドロゲン受容体分解アッセイのウェスタンブロットを示し、その結果は、SARD活性:全長%阻害下で、表1に報告された。図13Cは、22RV1細胞を用いたアンドロゲン受容体分解スプライスバリアントアッセイのウェスタンブロットを示し、その結果は、SARD活性:S.V.%阻害下で、表1に報告された。
【0057】
図14図14図14は、マウス肝ミクロソーム(MLM)における1002の代謝安定性ならびにそこから計算されたT1/2値(数分における半減期)およびCLnt値(L/分/mgタンパク質でのクリアランス)の決定のための生データ表としての第I相および第I相+第II相データを示す。
【0058】
図15A図15Aおよび図15B図15Aは、マウス肝ミクロソーム(MLM)における1002についての1つの実験の生データ表およびグラフ化されたデータとしての第I相データを報告する。図15Bは、マウス肝ミクロソーム(MLM)における1002についての1つの実験の生データ表およびグラフ化されたデータとしての第I相+第II相データを報告する。T1/2値は224分で、CLint値は3.12L/分/mgであった。
図15B】同上。
【0059】
図16図16Aおよび図16B図16Aは、ヒト肝臓ミクロソーム(HLM)の第I相データを報告する。図16Bは、ヒト肝臓ミクロソーム(HLM)における1002についての1つの実験の生データ表およびグラフ化データとしての第I相+第II相データを報告する。この実験では、T1/2の計算値は無限大であり、CLintは0であった。MLMよりもHLMの方が1002の安定性が高いことを示す。
【0060】
図17図17図17は、マウス肝ミクロソーム(MLM)における1001についての1つの実験の生データ表およびグラフ化されたデータとしての第I相データを報告する。T1/2値は23.5分であり、CLintが29.5L/分/mgであった。結果は、1001の比較的低い安定性を示すが、11と比較して改善されている。
【0061】
図18図18Aおよび図18B:ハーシュバーガー法(マウス):オスのマウス(体重20〜25g;n=5〜7/群)を無傷(図18A)または去勢(図18B)のいずれかにし、13日間図に示されたように処置された。去勢3日後に去勢マウスの処置を開始した。処置開始後14日目にマウスを屠殺し、精嚢を取り出し、重量を測定した。精嚢重量は、そのままで表されたか、または体重に対して正規化されて表された。
【0062】
図19A図19Aおよび図19B:ハーシュバーガー法(ラット):図19Aは、経口でビヒクル、40mg/kgの1002、60mg/kgの1002、または20mg/kgのエンザルタミドで毎日処置した、体重165〜180gの無傷のSprague Dawleyラットにおける器官の重量を報告する。処置の13日後、ラットを屠殺し、前立腺、精嚢および肛門挙筋の重量を測定した。図19Bは、ビヒクルからの%減少と同じデータを報告する。右下の枠は、ビヒクルで処置したラットの無傷対去勢の器官重量%を示す。
図19B】同上。
【0063】
図20図20Aおよび図20B:1010、1012、1014、1015、1016、1017、1019、1022の全長およびスプライスバリアント(AR−v567ES)アンドロゲン受容体(インビトロ)の分解:図20Aは、全長アンドロゲン受容体分解アッセイのウェスタンブロットの各化合物を示す。結果を表1に、SARD活性:全長%阻害下で報告した。図20Bは、D567esを用いたアンドロゲン受容体分解スプライスバリアントアッセイのウェスタンブロットを示す。
【0064】
図21A図21Aおよび図 21B:トリプルネガティブ乳癌(TNBC)患者由来異種移植(PDX)における1002に対する抗腫瘍効果は、HBrt 1071トリプルネガティブ乳癌(図21A)およびHBrt 1361トリプルネガティブ乳癌(図21B)において示される。
図21B】同上。
【0065】
図22図22は、アンドロゲン受容体のN末端ドメイン(NTD)のAF−1領域への1002の結合を示す。1DおよびwaterLogsy NMR実験は、NTDのAF−1領域に由来するペプチドの存在下で1002のバンド幅が広がることを実証する。さらに、弛緩およびwaterLogsyは、1002の溶液中でのタンブリング率がAF−1の添加により遅くなることを示し、その標的タンパク質相互作用としてAF−1領域への1002結合を強く示唆する。
【0066】
図23図23:1002および1014を用いたLNCaP−エンザルタミド耐性(LNCaP−EnzR)細胞のMR49F増殖アッセイを示す。1002および1014は、低マイクロモル範囲のLNCaP−EnzR細胞の増殖を阻害する。
【0067】
図24図24:22RV1異種移植実験で達成した、11、34、36、96、103、1002、1010、1012、1014の血清レベルおよび腫瘍レベルを示す。
【0068】
図25図25:ハーシュバーガーアッセイにおいて、34、36、1002、1010、1012、1014で処置された動物の精嚢の重量の減少(変化%)を示す。
【0069】
図26図26は、経口投与された60mg/kgの1014で処理されたLNCaP−エンザルタミド耐性(LNCaP−EnzR)異種移植片の腫瘍増殖阻害を示す。2つの異なる実験(実験1および実験2)が示されている。
【0070】
図27-1】図27A〜27D:SARD 1002、1010、および36(インドール)と、ARのN末端断片、例えばAR−NTD(アミノ酸1〜559)およびAR−AF1(アミノ酸141〜486)との間の相互作用を示す定常状態の蛍光研究を示す。図27Aは、尿素(変性剤)、TMAO(折りたたみ安定剤)、および緩衝液の存在下で、SARDを含まないAR−NTDおよびAR−AF1の蛍光シグナルの摂動を示す。図27B〜27Dは、それぞれ1002(図27B)、1010(図27C)、および36(図27D)の滴定に関連するAR−NTDおよびAR−AF1蛍光の摂動を示す。
図27-2】同上。
図28-1】図28A〜28D:1024(図28A)、1029(図28B)、1037、および1041(図28C)、ならびに1044〜1045(図28D)の全長および/またはスプライスバリアント(22RV1)アンドロゲン受容体(インビトロ)の分解を示す。図28A、28Cおよび28Dは、全長アンドロゲン受容体分解アッセイのウェスタンブロットを示す。結果を表1に、SARD活性:全長%阻害下で報告した。図28Bは、22RV1細胞を用いたアンドロゲン受容体分解スプライスバリアントアッセイのウエスタンブロットを示し、表1の「SARD活性:S.V.%阻害」と表示した列に表示されている。
図28-2】同上。
【0071】
説明を簡単かつ明瞭にするために、図面に示される要素は、必ずしも一定の縮尺で描か
れていないことを理解されたい。例えば、いくつかの要素の寸法は、明瞭化のために他の
要素に対して誇張されていてもよい。さらに、適切であると考えられる場合、図面間で参
照番号を繰り返して、対応するまたは類似の要素を示すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記
載されている。しかしながら、当業者であれば、本発明はこれらの特定の詳細なしで実施
できることを理解するであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の方
法、手順、および構成要素については詳細に説明していない。
【0073】
アンドロゲンは、転写因子のステロイド受容体スーパーファミリーのメンバーであるA
Rに結合することによって細胞内で作用する。前立腺癌(PCa)の成長および維持が循
環するアンドロゲンによって主に制御されるので、PCaの治療は、ARを標的とする治
療に大きく依存する。受容体活性化を破壊するためのエンザルタミド、ビカルタミドまた
はヒドロキシフルタミドなどのARアンタゴニストによる治療は、過去にPCa増殖を減
少させるために成功裏に使用されてきた。現在利用可能なすべてのARアンタゴニストは
、競合的にARに結合し、NCoRおよびSMRTのようなコリプレッサーを補充して、
標的遺伝子の転写を抑制する。しかし、変化した細胞内シグナル伝達、AR突然変異、お
よび共活性化因子の発現の増加は、アンタゴニストの機能障害、またはアンタゴニストの
アゴニストへの変換をもたらす。研究は、AR内のW741およびT877の突然変異が
それぞれビカルタミドおよびヒドロキシフルタミドをアゴニストに変換することを実証し
ている。同様に、増加した細胞内サイトカインは、コリプレッサーの代わりに共活性化因
子をAR応答性プロモーターに補充し、続いてビカルタミドをアゴニストに変換する。同
様に、エンザルタミド耐性に関連している突然変異は、F876、H874、T877、
ならびに二突然変異体T877/S888、T877/D890、F876/T877(
すなわちMR49細胞)、およびH874/T877を含む(ゲノムBiol.(201
6)17:10(doi:10.1186/s13059−015−0864−1))。
アビラテロン抵抗性突然変異は、アビラテロンが通常プレドニゾンとの組み合わせで規定
されているため、アビラテロンに対する抵抗性を引き起こし、プレドニゾンなどのグルコ
コルチコイドによるARの活性化をもたらすL702H突然変異を含む。耐性がエンザル
タミドになると、患者はしばしばアビラテロンに対して不応性であり、逆もまた同様であ
るか、または応答の持続時間が非常に短い。この状況は、進行前立腺癌におけるAR再活
性化を予防するための決定的アンドロゲン遮断療法の必要性を強調している。
【0074】
アンドロゲン遮断療法(ADT)に対する初期反応にもかかわらず、PCa疾患の進行
は避けられず、癌は去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)として出現する。去勢抵抗性前立腺
癌(CRPC)再出現の主な理由は、以下のような代替機構によるアンドロゲン受容体(
AR)の再活性化である:
(a)イントラクラインアンドロゲン合成
(b)例えば、リガンド結合ドメイン(LBD)を欠く、ARスプライスバリアント(A
R−SV)の発現
(c)アンタゴニストに抵抗する可能性のあるAR−LBD突然変異
(d)例えば、AR遺伝子増幅またはAR突然変異による、低アンドロゲンレベルへのA
R過敏化
(e)腫瘍内のAR遺伝子の増幅
(f)共活性化因子の過剰発現および/または細胞内シグナル伝達の変化
【0075】
本発明は、病原性および抵抗性変異体および野生型、および/または増殖のためのAR
スプライスバリアント(AR−SV)を含む、AR全長(AR−FL)に依存する前立腺
癌(PCa)細胞および腫瘍の増殖を阻害する、式Iに包含される新規な選択的アンドロ
ゲン受容体分解剤(SARD)化合物を包含する。
【0076】
本明細書中で使用されるとおり、「選択的アンドロゲン受容体分解剤」(SARD)化
合物は、特に明記しない限り、PCa細胞およびAR全長(AR−FL)に依存する腫瘍
の増殖を阻害することができるアンドロゲン受容体アンタゴニストおよび/または増殖の
ためのARスプライスバリアント(AR−SV)である。SARD化合物は、リガンド結
合ドメイン(LBD)に結合しなくてもよい。または、「選択的アンドロゲン受容体分解
剤」(SARD)化合物は、様々な病原性突然変異体ARおよび野生型ARの分解を引き
起こすことができ、したがって抗アンドロゲン作用を発揮することができるアンドロゲン
受容体アンタゴニストであり、本発明で具体化された疾患状態において見出される多種多
様な病原性の変化した細胞環境である。一実施形態では、SARDは経口的に活性である
。別の実施形態では、SARDは、作用部位に局所的に適用される。
【0077】
SARD化合物は、ARのN末端ドメイン(NTD)に結合することができる。ARの
代替の結合および分解ドメイン(BDD)に変換する;ARリガンド結合ドメイン(LB
D)および別の結合および分解ドメイン(BDD)の両方に結合する;またはARのN末
端ドメイン(NTD)およびリガンド結合ドメイン(LBD)の両方に結合する。一実施
形態では、BDDはNTD内に配置されてもよい。一実施形態では、BDDはNTDのA
F−1領域に位置する。または、SARD化合物は、N末端ドメイン(NTD)依存性の
構成的に活性なAR−SVによって駆動される増殖を阻害することができ、またはAR
LBDとは異なるドメインへの結合を介してARを阻害することができる。また、SAR
D化合物は、他の既知のARアンタゴニスト(例えば、エンザルタミド、ビカルタミドお
よびアビラテロン)よりも強いARに拮抗する強力な(すなわち、非常に強力で効果の高
い)選択的アンドロゲン受容体アンタゴニストであってもよい。
【0078】
SARD化合物は、選択的なアンドロゲン受容体アンタゴニストであり得、これは、従
来のアンタゴニストによって阻害することができないAR−SVを標的とする。SARD
化合物は、限定されるものではないが、AR−SV分解活性、AR−FL分解活性、AR
−SV阻害活性(すなわち、AR−SVアンタゴニストである)、AR−FL阻害活性(
すなわち、AR−FLアンタゴニストである)、AR−SVの構成的活性化の阻害、また
はAR−FLの構成的活性化の阻害を含む、いくつかの活性のうちのいずれか1つを示し
てもよい。または、SARD化合物は、二重AR−SV分解およびAR−SV阻害機能、
および/または二重AR−FL分解およびAR−FL阻害機能を有することができ、また
はこれらの4つの活性のすべてを有する。
【0079】
SARD化合物はまた、AR−FLおよびAR−SVを分解し得る。SARD化合物は
、AR LBDとは異なるドメインへの結合を介してARを分解し得る。SARD化合物
は、利用可能なCRPC治療薬とは異なる二重分解およびAR−SV阻害機能を有し得る
。SARD化合物は、イントラクラインアンドロゲン合成、リガンド結合ドメイン(LB
D)を欠くAR−SVの発現、およびアンタゴニストに抵抗する可能性を有するAR−L
BD突然変異のような代替メカニズムによるARの再活性化を阻害し得るか、または病原
性の変化した細胞環境に存在する再活性化したアンドロゲン受容体を阻害し得る。
【0080】
ARスプライスバリアントの例には、限定されるものではないが、AR−V7およびA
Rv567esが挙げられる(別名AR−V12;S.Sun、ら。ヒト前立腺癌におけ
る去勢抵抗性は、頻繁に生じるアンドロゲン受容体スプライスバリアントによって与えら
れる。J Clin Invest.(2010)120(8)、2715−2730)
。抗アンドロゲン耐性を付与するAR突然変異の非限定的な例には、W741L、T87
7A、およびF876L突然変異が挙げられる(J.D.Josephら。臨床的に関連
するアンドロゲン受容体突然変異は、第2世代の抗アンドロゲンエンザルタミドおよびA
RN−509に対する耐性を付与する。Cancer Discov.(2013)3(
9)、1020〜1029)。突然変異を付与する多くの他のLBD耐性は当該分野で公
知であり、引き続き発見されるであろう。AR−V7は、LBDを欠くARのスプライス
バリアントである(A.H.Bryce & E.S.Antonarakis.去勢抵
抗性前立腺癌におけるアンドロゲン受容体スプライスバリアント7:臨床的考察。Int
J Urol.(2016年6月3日)23(8)、646〜53。 doi:10.
1111/iju.13134)。それは構成的に活性であり、積極的なPCaおよび内
分泌療法に対する抵抗性の原因であることが実証されている。
【0081】
本発明は、例えば、NTDまたはAF−1などの代替的な結合および分解ドメイン(B
DD)を介してARに結合する、式I〜VII、IA〜ID、IIA、IIB、VIIA
、またはVIIBの新規な選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物を包含す
る。SARDは、ARリガンド結合ドメイン(LBD)にさらに結合することができる。
【0082】
SARD化合物は、他のいかなるアンタゴニストでも治療することができないCRPC
の治療に使用することができる。SARD化合物は、AR−SVを分解することによって
CRPCを治療することができる。SARD化合物は、ARアンタゴニストをアゴニスト
に通常変換するAR突然変異体においてそれらのアンタゴニスト活性を維持することがで
きる。例えば、SARD化合物は、AR突然変異体W741L、T877A、およびF8
76Lに対するそれらのアンタゴニスト活性を維持する(J.D.Josephら。臨床
的に関連するアンドロゲン受容体突然変異は、第2世代の抗アンドロゲンエンザルタミド
およびARN−509に対する耐性を付与する。Cancer Discov.(201
3)3(9)、1020−1029)。または、SARD化合物は、LBD標的薬剤が有
効でないか、またはNTD依存性AR活性が構成的に活性である変化した細胞環境内でア
ンタゴニスト活性を誘発する。
選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物
【0083】
本発明は、式Iの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)
化合物を包含し、
【化14】


式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
は、少なくとも1個の窒素原子および0、1、または2個の二重結合を有する5また
は6員の飽和または不飽和環であり、必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少な
くとも1つで置換され、それぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状また
は分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロ
シクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは
非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、O
R、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、
CONHR、COORまたはCORから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SORSOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、イ
ソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリフ
レート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、また
はそれらの任意の組み合わせを包含し、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0084】
様々な実施形態では、式IのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形態で
は、式IのSARD化合物はラセミ混合物である。他の実施形態では、式IのSARD化
合物は(S)異性体である。他の実施形態では、式IのSARD化合物は、(R)異性体
である。
【0085】
本発明は、式IAの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD
)化合物を包含し、
【化15】

IA
式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
は、少なくとも1個の窒素原子および0、1、または2個の二重結合を有する5また
は6員の飽和または不飽和環であり、必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少な
くとも1つで置換され、それぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状また
は分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロ
シクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは
非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、O
R、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、
CONHR、COORまたはCORから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SOR SOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、
イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリ
フレート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任
意の組み合わせを包含し、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0086】
本発明は、式IBの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD
)化合物を包含し、
【化16】

IB
式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
は、少なくとも1個の窒素原子および0、1、または2個の二重結合を有する5また
は6員の飽和または不飽和環であり、必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少な
くとも1つで置換され、それぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状また
は分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロ
シクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは
非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、O
R、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、
CONHR、COORまたはCORから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SOR SOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、
イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリ
フレート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任
意の組み合わせを包含し、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0087】
本発明は、式ICの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD
)化合物を包含し、
【化17】

IC
式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
は、少なくとも1個の窒素原子および0、1、または2個の二重結合を有する5また
は6員の飽和または不飽和環であり、必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少な
くとも1つで置換され、それぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状また
は分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロ
シクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは
非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、O
R、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、
CONHR、COORまたはCORから選択され、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、また
はそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0088】
本発明は、式ID:の構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤(SAR
D)化合物を包含し、
【化18】

ID
式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SORSOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、イ
ソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリフ
レート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
Hは、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールで
あり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
基は任意に置換され、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、また
はそれらの任意の組み合わせを包含し、
ここでRがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNで
あるか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0089】
本発明は、式IIの構造によって表されるSARD化合物を包含し、
【化19】

II
式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
はピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、トリ
アゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、またはモルホリン環であり、
環は必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少なくとも1つで置換され、それぞれ
独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状または分枝状アルキル、置換もしくは
非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、
CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のフェニル、F、Cl、B
r、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、
マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、CONHR、COORまたはCO
Rから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SOR SOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、
イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリ
フレート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、また
はそれらの任意の組み合わせを包含し、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0090】
様々な実施形態では、式IIのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形態
では、式IIのSARD化合物はラセミ混合物である。他の実施形態では、式IIのSA
RD化合物は(S)異性体である。他の実施形態では、式IIのSARD化合物は、(R
)異性体である。
【0091】
本発明は、式IIAの構造によって表されるSARD化合物を包含し、
【化20】

IIA
式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
はピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、トリ
アゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、またはモルホリン環であり、
環は必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少なくとも1つで置換され、それぞれ
独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状または分枝状アルキル、置換もしくは
非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、
CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のフェニル、F、Cl、B
r、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、
マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、CONHR、COORまたはCO
Rから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SOR SOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、
イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリ
フレート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任
意の組み合わせを包含し、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0092】
本発明は、式IIBの構造によって表されるSARD化合物を包含し、
【化21】

IIB
式中、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
はピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、トリ
アゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、またはモルホリン環であり、
環は必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少なくとも1つで置換され、それぞれ
独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状または分枝状アルキル、置換もしくは
非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、
CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のフェニル、F、Cl、B
r、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS、
マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、CONHR、COORまたはCO
Rから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SOR SOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、
イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリ
フレート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任
意の組み合わせを包含し、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0093】
本発明は、式IIIの構造によって表されるSARD化合物を包含し、
【化22】

III
式中、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
は ピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ト
リアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、またはモルホリン環であり
、環は必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少なくとも1つで置換され、それぞ
れ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状または分枝状アルキル、置換もしく
は非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル、ハロアルキル
、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のフェニル、F、Cl、
Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、アリールアルキル、NCS
、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、CONHR、COORまたはC
ORから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SOR SOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、
イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリ
フレート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、また
はそれらの任意の組み合わせを包含し、
ここでAがBrまたはIである場合、アニリン環は縮合複素環を形成する。
【0094】
様々な実施形態では、式IIIのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形
態では、式IIIのSARD化合物はラセミ混合物である。他の実施形態では、式III
のSARD化合物は(S)異性体である。他の実施形態では、式IIIのSARD化合物
は(R)異性体である。
【0095】
本発明は、式IVの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物を包
含し、
【化23】

IV
式中、
、B、B、およびBは各々独立に炭素または窒素であり、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
、Q、Q、またはQはそれぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直
鎖状または分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換
のヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換
もしくは非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコ
キシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NH
COR、CONHR、COORまたはCORから選択され、ここでB、B、Bまた
はBが窒素である場合、それぞれQ、Q、QまたはQは存在せず、またはその
光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの
任意の組み合わせを包含する。
【0096】
様々な実施形態では、式IVのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形態
では、式IVのSARD化合物はラセミ混合物である。他の実施形態では、式IVのSA
RD化合物は(S)異性体である。他の実施形態では、式IVのSARD化合物は、(R
)異性体である。
【0097】
本発明は、式Vの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物を包含
し、
【化24】


式中、
およびBは、それぞれ独立して炭素または窒素であり、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
、Q、Q、またはQはそれぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直
鎖状または分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換
のヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換
もしくは非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコ
キシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NH
COR、CONHR、COORまたはCORから選択され、ここでBまたはBが窒素
である場合、それぞれQまたはQは存在せず、またはその光学異性体、異性体、薬学
的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任意の組み合わせを包含す
る。
【0098】
様々な実施形態では、式VのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形態で
は、式VのSARD化合物はラセミ混合物である。他の実施形態では、式VのSARD化
合物は(S)異性体である。他の実施形態では、式VのSARD化合物は(R)異性体で
ある。
【0099】
本発明は、式VIの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物を包
含し、
【化25】

VI
式中、

は単結合または二重結合であり、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
、Q、Q、またはQはそれぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直
鎖状または分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換
のヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換
もしくは非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコ
キシ、OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NH
COR、CONHR、COORまたはCORから選択され、またはその光学異性体、異性
体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任意の組み合わせ
を包含する。
【0100】
様々な実施形態では、式VIのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形態
では、式VIのSARD化合物はラセミ混合物である。他の実施形態では、式VIのSA
RD化合物は(S)異性体である。他の実施形態では、式VIのSARD化合物は(R)
異性体である。
【0101】
本発明は、式VIIの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物を
包含し、
【化26】

VII
式中、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
、Q、またはQはそれぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状ま
たは分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテ
ロシクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしく
は非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、
OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR
、CONHR、COORまたはCORから選択され、またはその光学異性体、異性体、薬
学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任意の組み合わせを包含
する。
【0102】
様々な実施形態では、式VIIのSARD化合物は、キラル炭素を有する。他の実施形
態では、式VIIのSARD化合物はラセミ混合物である。他の実施形態では、式VII
のSARD化合物は(S)異性体である。他の実施形態では、式VIIのSARD化合物
は(R)異性体である。
【0103】
本発明は、式VIIAの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物
を包含し、
【化27】

VIIA
式中、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
、Q、またはQはそれぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状ま
たは分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテ
ロシクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしく
は非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、
OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR
、CONHR、COORまたはCORから選択され、またはその異性体、薬学的に許容さ
れる塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0104】
本発明は、式VIIBの構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤化合物
を包含し、
【化28】

VIIB
式中、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
、Q、またはQはそれぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状ま
たは分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテ
ロシクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしく
は非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、
OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR
、CONHR、COORまたはCORから選択され、またはその異性体、薬学的に許容さ
れる塩、医薬品、多形体、水和物、またはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0105】
一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIAおよびIIBのAならびに式IC
のRは、少なくとも1個の窒素原子を有する5または6員の飽和または不飽和環である
。別の実施形態では、Aは、置換もしくは非置換のピロール、ピロリン、ピロリジン、ピ
ラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、
トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、モルホリン、または他の複素環式環である。そ
れぞれは、本発明の別個の実施形態を表す。別の実施形態では、Aは、5または6員の複
素環である。別の実施形態では、5または6員飽和または不飽和環の窒素原子は、分子の
骨格構造に結合している。別の実施形態では、5または6員飽和または不飽和環の炭素原
子は、分子の骨格構造に結合している。
【0106】
一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式I
DのRは、NHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、C
OOCOR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCON
HR、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR
、SO、SORSOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネー
ト、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、
トリフレート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、ここでRは、H、アル
キル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここでア
ルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基は任意に置換
される。
【0107】
一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式I
DのRは、NHRである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、お
よびIIBのAならびに式IDのRは、ハロゲン化物である。一実施形態では、式I〜
III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、Fである。一
実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIAおよびIIBのAならびに式IDのR
は、Brである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIAおよびIIBの
Aおよび式IDのRは、Clである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、I
IA、およびIIBのAならびに式IDのRは、Iである。一実施形態では、式I〜I
II、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、Nである。一
実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDの
は、ORである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびI
IBのAならびに式IDのRは、CFである。一実施形態では、式I〜III、IA
、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、CORである。一実施形
態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのR
、COClである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIB
のAならびに式IDのRは、COOCORである。一実施形態では、式I〜III、
IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、COORである。一
実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDの
は、OCORである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およ
びIIBのAならびに式IDのRは、OCONHRである。一実施形態では、式I〜
III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、NHCOOR
である。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAなら
びに式IDのRは、NHCONHRである。一実施形態では、式I〜III、IA、
IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、OCOORである。一実施
形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのR
は、CNである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBの
Aならびに式IDのRは、CON(Rである。一実施形態では、式I〜III、
IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、SRである。一実施
形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのR
は、SOである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびI
IBのAならびに式IDのRは、SORである。一実施形態では、式I〜III、I
A、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、SOHである。一実施
形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのR
は、SONHである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、および
IIBのAならびに式IDのRは、SONH(R)である。一実施形態では、式I
〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、SON(
である。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBの
Aならびに式IDのRは、NHである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB
、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、NH(R)である。一実施形態
では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、
N(Rである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびII
BのAならびに式IDのRは、CONHである。一実施形態では、式I〜III、I
A、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、CONH(R)である
。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式I
DのRは、CO(N−複素環)である。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、
IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、NOである。一実施形態では、式
I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、シアネー
トである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAなら
びに式IDのRは、イソシアネートである。一実施形態では、式I〜III、IA、I
B、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、チオシアネートである。一実施
形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのR
は、イソチオシアネートである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、
およびIIBのAならびに式IDのRは、メシレートである。一実施形態では、式I〜
III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、トシレートで
ある。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに
式IDのRは、トリフレートである。一実施形態では、式I〜III、IA、IB、I
IA、およびIIBのAならびに式IDのRは、PO(OH)である。一実施形態で
は、式I〜III、IA、IB、IIA、およびIIBのAならびに式IDのRは、O
PO(OH)である。
【0108】
一実施形態では、RはH、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまた
はヘテロアリールであり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールま
たはヘテロアリール基は、任意に置換される。それぞれは、本発明の別個の実施形態を表
す。他の実施形態では、RはHである。他の実施形態では、Rはアルキルである。他
の実施形態では、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−
ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、ヘキシルまたはヘプチルであり、それ
ぞれは本発明の別個の実施形態を表す。他の実施形態では、Rは、ハロアルキルである
。別の実施形態では、ハロアルキルはCF、CFCF、ヨードメチル、ブロモメチ
ル、ブロモエチル、ブロモプロピルであり、それぞれは本発明の別個の実施形態を表す。
他の実施形態では、Rはシクロアルキルである。他の実施形態では、シクロアルキルは
、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルである。様々な実施形態では、R
アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール は、ハロゲ
ン化物、CN、COH、OH、SH、NH、NO、CO−(C〜Cアルキル
)またはO−(C〜Cアルキル)から選択される1つ以上の基でさらに置換され、そ
れぞれは本発明の別個の実施形態を表す。
【0109】
式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Qは水素で
ある。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、QはC
Nである。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q
はFである。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Q
はNCSである。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態で
は、Qはマレイミドである。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の
実施形態では、QはNHCOORである。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはI
IBの特定の実施形態では、QはN(R)である。式I〜VI、IA〜IC、IIA
、またはIIBの特定の実施形態では、QはCONHRである。式I〜VI、IA〜I
C、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、QはNHCORである。式I〜VI
、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、QはClである。式I〜
VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、QはBrである。式
I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、QはIである。
式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、QはNO
ある。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Qはフ
ェニルである。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、
は4−フルオロフェニルである。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの
特定の実施形態では、QはCFである。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはI
IBの特定の実施形態では、Qは置換または非置換アルキルである。式I〜VI、IA
〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Qは置換または非置換シクロア
ルキルである。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、
は置換または非置換ヘテロシクロアルキルである。式I〜VI、IA〜IC、IIA
、またはIIBの特定の実施形態では、Qはハロアルキルである。式I〜VI、IA〜
IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Qは置換または非置換アリールで
ある。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Qはヒ
ドロキシルである。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態で
は、Qはアルコキシである。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の
実施形態では、QはORである。式I〜VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特
定の実施形態では、Qはアリールアルキルである。式I〜VI、IA〜IC、IIA、
またはIIBの特定の実施形態では、Qはアミンである。式I〜VI、IA〜IC、I
IA、またはIIBの特定の実施形態では、Qはアミドである。式I〜VI、IA〜I
C、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、QはCOORである。式I〜VI、
IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、QはCORである。式I〜
VI、IA〜IC、IIA、またはIIBの特定の実施形態では、Qはケトである。
【0110】
式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形
態では、QはCNである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまた
はVIIBの特定の実施形態では、Qは水素である。式I〜VII、IA〜IC、II
A、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはケトである。式I〜
VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、
はNCSである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVI
IBの特定の実施形態では、Qはマレイミドである。式I〜VII、IA〜IC、II
A、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはNHCOORである
。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形
態では、QはN(R)である。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VII
AまたはVIIBの特定の実施形態では、QはCONHRである。式I〜VII、IA
〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはNHC
ORである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特
定の実施形態では、QはFである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VI
IAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはClである。式I〜VII、IA〜I
C、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはBrである
。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形
態では、QはIである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたは
VIIBの特定の実施形態では、QはNOである。式I〜VII、IA〜IC、II
A、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはフェニルである。式
I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態で
は、Qは4−フルオロフェニルである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、
VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはCFである。式I〜VII、I
A〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qは置換
または非置換アルキルである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAま
たはVIIBの特定の実施形態では、Qは置換または非置換シクロアルキルである。式
I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態で
は、Qは置換または非置換ヘテロシクロアルキルである。式I〜VII、IA〜IC、
IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはハロアルキルで
ある。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実
施形態では、Qは置換または非置換アリールである。式I〜VII、IA〜IC、II
A、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはヒドロキシルである
。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形
態では、Qはアルコキシである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VII
AまたはVIIBの特定の実施形態では、QはORである。式I〜VII、IA〜IC
、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはアリールアル
キルである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特
定の実施形態では、Qはアミンである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、
VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはアミドである。式I〜VII、I
A〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはCO
ORである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特
定の実施形態では、QはCORである。
【0111】
式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形
態では、QはCNである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまた
はVIIBの特定の実施形態では、QはFである。式I〜VII、IA〜IC、IIA
、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはNCSである。式I〜
VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、
はマレイミドである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたは
VIIBの特定の実施形態では、QはNHCOORである。式I〜VII、IA〜IC
、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはN(R)
ある。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実
施形態では、QはCONHRである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、V
IIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはNHCORである。式I〜VII、
IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qは水
素である。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定
の実施形態では、Qはケトである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VI
IAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはClである。式I〜VII、IA〜I
C、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはBrである
。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形
態では、QはIである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたは
VIIBの特定の実施形態では、QはNOである。式I〜VII、IA〜IC、II
A、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはフェニルである。式
I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態で
は、Qは4−フルオロフェニルである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、
VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはCFである。式I〜VII、I
A〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qは置換
または非置換アルキルである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAま
たはVIIBの特定の実施形態では、Qは置換または非置換シクロアルキルである。式
I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態で
は、Qは置換または非置換ヘテロシクロアルキルである。式I〜VII、IA〜IC、
IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはハロアルキルで
ある。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実
施形態では、Qは置換または非置換アリールである。式I〜VII、IA〜IC、II
A、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはヒドロキシルである
。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形
態では、Qはアルコキシである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VII
AまたはVIIBの特定の実施形態では、QはORである。式I〜VII、IA〜IC
、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはアリールアル
キルである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特
定の実施形態では、Qはアミンである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、
VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはアミドである。式I〜VII、I
A〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはCO
ORである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特
定の実施形態では、QはCORである。
【0112】
式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形
態では、QはCNである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまた
はVIIBの特定の実施形態では、QはFである。式I〜VII、IA〜IC、IIA
、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはNCSである。式I〜
VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、
はマレイミドである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたは
VIIBの特定の実施形態では、QはNHCOORである。式I〜VII、IA〜IC
、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはN(R)
ある。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実
施形態では、QはCONHRである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、V
IIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはNHCORである。式I〜VII、
IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qは水
素である。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定
の実施形態では、Qはケトである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VI
IAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはClである。式I〜VII、IA〜I
C、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはBrである
。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形
態では、QはIである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたは
VIIBの特定の実施形態では、QはNOである。式I〜VII、IA〜IC、II
A、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはフェニルである。式
I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態で
は、Qは4−フルオロフェニルである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、
VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはCFである。式I〜VII、I
A〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qは置換
または非置換アルキルである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAま
たはVIIBの特定の実施形態では、Qは置換または非置換シクロアルキルである。式
I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態で
は、Qは置換または非置換ヘテロシクロアルキルである。式I〜VII、IA〜IC、
IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはハロアルキルで
ある。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実
施形態では、Qは置換または非置換アリールである。式I〜VII、IA〜IC、II
A、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはヒドロキシルである
。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形
態では、Qはアルコキシである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VII
AまたはVIIBの特定の実施形態では、QはORである。式I〜VII、IA〜IC
、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはアリールアル
キルである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特
定の実施形態では、Qはアミンである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、
VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、Qはアミドである。式I〜VII、I
A〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、QはCO
ORである。式I〜VII、IA〜IC、IIA、IIB、VIIAまたはVIIBの特
定の実施形態では、QはCORである。式I、IA、IB、IC、ID、II、IIA
、IIB、VII、VIIAまたはVIIBの特定の実施形態では、XはCHである。式
I、IA、IB、IC、ID、II、IIA、IIB、VII、VIIA またはVII
Bの特定の実施形態では、XはNである。
【0113】
いくつかの実施形態では、AまたはRがBrまたはIであり、RがCHであり、
TがOHである場合、XはNであり、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0114】
式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIB
の特定の実施形態では、YはHである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA
、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、YはCFである。式I〜
VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の
実施形態では、YはFである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB
、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、YはIである。式I〜VII、IA
、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では
、YはBrである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA
、またはVIIBの特定の実施形態では、YはClである。式I〜VII、IA、IB、
IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、YはC
Nである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、または
VIIBの特定の実施形態では、YはC(R)である。
【0115】
式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIB
の特定の実施形態では、ZはHである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA
、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、ZはNOである。式I〜
VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の
実施形態では、ZはCNである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、II
B、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Zはハロゲン化物である。式I〜
VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の
実施形態では、ZはFである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB
、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、ZはClである。式I〜VII、I
A、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態で
は、ZはBrである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VII
A、またはVIIBの特定の実施形態では、ZはIである。式I〜VII、IA、IB、
IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、ZはC
OOHである。式I〜VII、IA、IB、I IC、ID、IA、IIB、VIIA、
またはVIIBの特定の実施形態では、ZはCORである。式I〜VII、IA、IB、
IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、ZはN
HCORである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、
またはVIIBの特定の実施形態では、ZはCONHRである。
【0116】
式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIB
の特定の実施形態では、YおよびZはフェニルと縮合環を形成する。他の実施形態では、
フェニルとの縮合環は、5〜8員環である。他の実施形態では、フェニルとの縮合環は、
5または6員環である。他の実施形態では、環は炭素環式または複素環式である。他の実
施形態では、YおよびZは、フェニルと一緒になって、ナフチル、キノリニル、ベンゾイ
ミダゾリル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、インデニルまたはキナゾリニ
ルを形成する。特定の実施形態では、YおよびZは、フェニルと一緒になってキナゾリン
−6−イル環系を形成する。
【0117】
式I、II、IV、V、VI、VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、V
IIA、またはVIIBの特定の実施形態では、RはHである。式I、II、IV、V
、VI、VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIB
の特定の実施形態では、RはCHである。式I、II、IV、V、VI、VII、I
A、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態で
は、RはCHFである。式I、II、IV、V、VI、VII、IA、IB、IC、
ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、RはCHF
である。式I、II、IV、V、VI、VII、IA、IB、IC、ID、IIA、I
IB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、RはCFである。式I、I
I、IV、V、VI、VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、ま
たはVIIBの特定の実施形態では、RはCHCHである。式I、II、IV、V
、VI、VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIB
の特定の実施形態では、RはCFCFである。
【0118】
式I、II、IV、V、VI、VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、V
IIA、またはVIIBの特定の実施形態では、TはHである。式I、II、IV、V、
VI、VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの
特定の実施形態では、TはOHである。式I、II、IV、V、VI、VII、IA、I
B、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、T
はORである。式I、II、IV、V、VI、VII、IA、IB、IC、ID、IIA
、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、TはOCORである。式I
、II、IV、V、VI、VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA
、またはVIIBの特定の実施形態では、TはCHである。式I、II、IV、V、V
I、VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特
定の実施形態では、Tは−NHCOCHである。式I、II、IV、V、VI、VII
、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形
態では、TはNHCORである。
【0119】
式I、II、IV、V、VI、VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、V
IIA、またはVIIBの特定の実施形態では、TおよびRは、3〜8個の炭素環式ま
たは複素環式環を形成する。他の実施形態では、TおよびRは、3、4、5、6、7ま
たは8員炭素環式または複素環式環を形成する。それぞれは、本発明の別個の実施形態を
表す。いくつかの実施形態では、TおよびRは、例えばシクロプロピル、シクロブチル
、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、
TおよびRは、例えばピペリジン、ピリジン、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾ
ール、ピリミジンなどの複素環式環を形成する。
【0120】
式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIB
の特定の実施形態では、RはHである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA
、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Rはアルキルである。式I
〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定
の実施形態では、Rはアルケニルである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、II
A、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、Rはハロアルキルである
。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIB
の特定の実施形態では、Rはアルコールである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID
、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、RはCHCH
OHである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、また
はVIIBの特定の実施形態では、RはCFである。式I〜VII、IA、IB、IC
、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、RはCH
Clである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、また
はVIIBの特定の実施形態では、RはCHCHClである。式I〜VII、IA、
IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、
Rはアリールである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VII
A、またはVIIBの特定の実施形態では、RはFである。式I〜VII、IA、IB、
IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、RはC
lである。式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、または
VIIBの特定の実施形態では、RはBrである。式I〜VII、IA、IB、IC、I
D、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの特定の実施形態では、RはIである。
式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの
特定の実施形態では、RはOHである。
【0121】
式IVの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロフ
ェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHCO
OC(CHである。
【0122】
式Vの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロフェ
ニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHCOO
C(CHである。
【0123】
式VIの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロフ
ェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHCO
OC(CHである。
【0124】
式IVの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロフ
ェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHCO
OC(CHである。
【0125】
式Vの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロフェ
ニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHCOO
C(CHである。
【0126】
式VIの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロフ
ェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHCO
OC(CHである。
【0127】
式VIIの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロ
フェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHC
OOC(CHである。
【0128】
式VIIAの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオ
ロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNH
COOC(CHである。
【0129】
式VIIBの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオ
ロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNH
COOC(CHである。
【0130】
式IVの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロフ
ェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHCO
OC(CHである。
【0131】
式Vの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロフェ
ニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHCOO
C(CHである。
【0132】
式VIの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロフ
ェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHCO
OC(CHである。
【0133】
式VIIの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF3、フェニル、4−フルオロ
フェニル、F、BrではCl、I、来るNHCOOMe、NHCOMeまたはNHCOO
C(CH3)3である。
【0134】
式IVの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロフ
ェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHCO
OC(CHである。
【0135】
式Vの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロフェ
ニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHCOO
C(CHである。
【0136】
式VIの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロフ
ェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHCO
OC(CHである。
【0137】
式VIIの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオロ
フェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNHC
OOC(CHである。
【0138】
式VIIAの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオ
ロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNH
COOC(CHである。
【0139】
式VIIBの特定の実施形態では、Qは、H、CN、CF、フェニル、4−フルオ
ロフェニル、F、Br、Cl、I、COMe、NHCOOMe、NHCOMeまたはNH
COOC(CHである。
【0140】
本発明は、以下の構造のいずれか1つから選択される選択的アンドロゲン受容体分解剤
(SARD)化合物を包含する。
【化29】

【化30】

【化31】

【化32】
【0141】
本明細書で使用する「複素環」または「複素環式環」基という用語は、環の一部として
、炭素原子に加えて、硫黄、酸素、窒素またはそれらの任意の組み合わせの少なくとも1
つの原子を含む環構造を指す。複素環は、3〜12員環でも、4〜8員環でも、5〜7員
環でも、または6員環でもよい。好ましくは、複素環は5〜6員環である。複素環の典型
的な例としては、ピペリジン、ピリジン、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリジン、
ピラゾール、ピラジン、ピペラジンまたはピリミジンが挙げられるが、これらに限定され
ない。C〜C複素環式環の例には、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、
ジヒドロピロール、テトラヒドロピロール、ピラジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロ
ピラジン、ピリミジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミドン(tetrahy
dropyrimidone)、ピラゾール、ジヒドロピラゾール、テトラヒドロピラゾ
ール、トリアゾール、テトラゾール、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ジヒドロピリ
ジン、テトラヒドロピリジン、モルホリン、チオモルホリン、フラン、ジヒドロフラン、
テトラヒドロフラン、チオフェン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、チア
ゾール、イミダゾール、イソキサゾールなどが挙げられる。複素環式環は、別の飽和もし
くは不飽和シクロアルキルまたは飽和もしくは不飽和複素環式環に縮合してもよい。複素
環式環が置換されている場合、置換基はハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコ
キシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、CO
H、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオール、またはチ
オアルキルのうちの少なくとも1つを含む。
【0142】
「アニリン環系」という用語は、X、Yおよび/またはZで置換された本明細書中の構
造の左側に表される保存された環を指す。
【0143】
用語「シクロアルキル」は、炭素原子および水素原子を含む非芳香族、単環式または多
環式環を指す。シクロアルキル基は、その存在によって環が芳香族にされない限り、環に
1つ以上の炭素−炭素二重結合を有することができる。シクロアルキル基の例には、シク
ロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルのよ
うな(C〜C)シクロアルキル基、飽和環式および二環式テルペン、およびシクロプ
ロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘプテニ
ルなどの(C〜C)シクロアルケニル基、ならびに不飽和環式および二環式のテルペ
ンが挙げられるが、これらに限定されない。C〜C炭素環式の例には、シクロペンタ
ン、シクロペンテン、シクロヘキサンおよびシクロヘキセン環が含まれる。シクロアルキ
ル基は、非置換であるか、または少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい。好ま
しくは、シクロアルキル基は、単環式または二環式環である。
【0144】
用語「アルキル」は、直鎖および分枝鎖を含む飽和脂肪族炭化水素を意味する。典型的
には、アルキル基は、1〜12個の炭素、1〜7個の炭素、1〜6個の炭素、または1〜
4個の炭素原子を有する。分枝状アルキルは、炭素数1〜5のアルキル側鎖により置換さ
れたアルキルである。分枝状アルキルは、C〜Cハロアルキルで置換されたアルキル
を有していてもよい。さらに、アルキル基は、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、
アルコキシカルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、CN、ア
ミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオまたはチオアルキルの少
なくとも1つによって置換されていてもよい。
【0145】
「アリールアルキル」基は、アリールに結合したアルキルを指し、ここで、アルキルお
よびアリールは、本明細書で定義されるとおりである。アリールアルキル基の例はベンジ
ル基である。
【0146】
「アルケニル」基は、1つ以上の二重結合を有する直鎖および分枝鎖を含む不飽和炭化
水素を指す。アルケニル基は2〜12個の炭素を有することができ、好ましくはアルケニ
ル基は2〜6個の炭素または2〜4個の炭素を有する。アルケニル基の例としては、エテ
ニル、プロペニル、ブテニル、シクロヘキセニルなどが挙げられるが、これらに限定され
ない。アルケニル基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシカルボニル、アミド、アルキ
ルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カ
ルボキシル、チオまたはチオアルキルのうちの少なくとも1つで置換されていてもよい。
【0147】
本明細書で使用する用語「アリール」基は、非置換であっても置換されていてもよい、
少なくとも1つの炭素環式芳香族基または複素環式芳香族基を有する芳香族基を指す。存
在する場合、置換基は、少なくとも1つのハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコ
キシカルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、アミノ、アルキ
ルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシまたはチオもしくはチオアルキルを含むが、こ
れらに限定されない。アリール環の非限定的な例は、フェニル、ナフチル、ピラニル、ピ
ロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピリジニル、フラニル、チオフェニル
、チアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリルなどである。アリール基は4〜12員環で
あってもよく、好ましくはアリール基は4〜8員環である。また、アリール基は6または
5員環であってもよい。
【0148】
用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの複素環式芳香族環を有する芳香族基を指
す。一実施形態では、ヘテロアリールは、環の一部として、硫黄、酸素、窒素、ケイ素、
リンまたはそれらの任意の組み合わせなどの少なくとも1つのヘテロ原子を含む。別の実
施形態では、ヘテロアリールは非置換であるか、またはハロゲン、アリール、ヘテロアリ
ール、シアノ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシカルボニル、アミド、アルキルア
ミド、ジアルキルアミド、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボ
キシまたはチオもしくはチオアルキルから選択される1つ以上の基で置換されてもよい。
ヘテロアリール環の非限定的な例は、ピラニル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、
ピラゾリル、ピリジニル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、インドリル、イミダゾ
リル、イソキサゾリルなどである。一実施形態では、ヘテロアリール基は5〜12員環で
ある。一実施形態では、ヘテロアリール基は5員環である。一実施形態では、ヘテロアリ
ール基は6員環である。別の実施形態では、ヘテロアリール基は5〜8員環である。別の
実施形態では、ヘテロアリール基は、1〜4個の縮合環を含む。一実施形態では、ヘテロ
アリール基は1,2,3−トリアゾールである。一実施形態では、ヘテロアリールはピリ
ジルである。一実施形態では、ヘテロアリールはビピリジルである。一実施形態では、ヘ
テロアリールはターピリジルである。
【0149】
本明細書で使用されるとおり、用語「ハロアルキル」基は、例えばF、Cl、Brまた
はIなどの1つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基を指す。
【0150】
「ヒドロキシル」基は、OH基を指す。本発明の化合物中のT、Q、Q、Qまた
はQがORである場合、RはOHではないことは当業者に理解される。
【0151】
「ハロゲン」または「ハロ」または「ハロゲン化物」という用語は、ハロゲン;F、C
l、BrまたはIを意味する。
【0152】
一実施形態では、本発明は、化合物、および/またはその使用、ならびに/またはその
誘導体、光学異性体、異性体、代謝物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N−酸
化物、プロドラッグ、多形体、結晶、またはこれらの組み合わせを提供する。
【0153】
一実施形態では、本発明の方法は、本発明の化合物を酸または塩基と反応させることに
よって、生成することができる化合物の「薬学的に許容される塩」を使用する。
【0154】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩に変換することができる。薬学的に許容され
る塩は、化合物と酸または塩基との反応によって生成することができる。
【0155】
適切な薬学的に許容されるアミン塩は、無機酸または有機酸から調製することができる
。アミンの無機塩の例は、重硫酸塩、ホウ酸塩、臭化物、塩化物、ヘミ硫酸塩、臭化水素
酸塩、塩酸塩、2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩(ヒドロキシエタンスルホン酸塩)、
ヨウ素酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、硝酸塩、過硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルフ
ァミン酸、スルファニル酸塩、スルホン酸(アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸
塩、ハロゲン置換アルキルスルホン酸塩、ハロゲン置換アリールスルホン酸塩)、スルホ
ン酸塩またはチオシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
アミンの有機塩の例は、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、有機酸のカ
ルボン酸類およびスルホン酸類から選択することができ、それらの例には、酢酸塩、アル
ギニン、アスパラギン酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アントラニル酸塩、アル
ゲン酸塩、アルカンカルボン酸塩、置換アルカンカルボン酸塩、アルギン酸塩、ベンゼン
スルホン酸、安息香酸、硫酸水素塩、酪酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、カルボン酸塩、
クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロヘキシルスルファメート(cyclo
hexylsulfamates)、シクロペンタンプロピオネート(cyclopen
tanepropionates)、エデト酸カルシウム、カンシラート、炭酸塩、クラ
ブラン酸、桂皮酸塩、ジカルボン酸塩、ジグルコネート(digluconates)、
ドデシルスルフォネート(dodecylsulfonates)、ジヒドロクロリド、
デカン酸、エナント酸(enanthuates)、エタンスルホン酸、エデト酸塩、エ
ジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸、ギ酸、フッ化物、ガラクツロネート
(galacturonates)、グルコン酸、グルタミン酸塩、グリコール酸、グル
コレート(glucorates)、グルコヘプタノエート(glucoheptano
ates)、グリセロリン酸、グルセプト酸、グリコリルアルサニレート(glycol
lylarsanilates)、グルタル酸、グルタミン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸
、ヒドロキシマレイン酸塩(hydroxymaleates)、ヒドロキシカルボン酸
(hydroxycarboxlic acids)、ヘキシールゾルチン酸塩(hex
ylresorcinates)、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸(hyd
roxynaphthoates)、ヒドロフルオレート(hydrofluorate
s)、乳酸、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸、リンゴ酸、マレイン酸、メチレンビス(β
−オキシナフトエート)(oxynaphthoate)、マロン酸塩、マンデル酸塩、
メシレート、メタンスルホン酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、メチルスルホン酸(met
hylsulfonates)、マレイン酸カリウム(monopotassium m
aleates)、ムコ酸塩(mucates)、モノカルボン酸塩、硝酸塩、ナフタレ
ンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、ナプシレート(naps
ylates)、N−メチルグルカミン、シュウ酸塩、オクタン酸、オレイン酸、パモ酸
、フェニル酢酸塩、ピクリン酸塩、安息香酸フェニル、ピバレート、プロピオン酸塩、フ
タル酸塩、ペクチン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、
ポリガラクタル酸(polygalacturates)、ピルビン酸塩、キナ酸、サリ
チル酸塩、コハク酸塩、ステアリン酸塩、スルファニル酸塩、塩基性酢酸塩、酒石酸塩、
テオフィリンアセテート、p−トルエンスルホン酸塩(トシレート)、トリフルオロ酢酸
、テレフタル酸塩、タンニン酸塩、テオクル酸塩、トリハロアセテート、トリエチオダイ
ド(triethiodide)、トリカルボキシレート、ウンデカン酸塩および吉草酸
塩が挙げられる。カルボン酸またはフェノールの無機塩の例は、アンモニウム、アルカリ
金属、およびアルカリ土類金属から選択することができる。アルカリ金属には、リチウム
、ナトリウム、カリウムまたはセシウムが含まれるが、これらに限定されない。アルカリ
土類金属には、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、バリウム、コリンまた
は第4級アンモニウムが含まれるが、これらに限定されない。カルボン酸またはフェノー
ルの有機塩の例は、アルギニン、有機アミンから選択することができ、脂肪族有機アミン
、脂環式有機アミン、芳香族有機アミン、ベンザチン、t−ブチルアミン、ベネタミン(
N−ベンジルフェネチルアミン)、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエタノ
ールアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ヒドラバミン(hydrabami
nes)、イミダゾール、リジン、メチルアミン、メガラミン(meglamine)、
N−メチル−D−グルカミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ニコチンアミド
、有機アミン、オルニチン、ピリジン、ピコリン、ピペラジン、プロカイン、トリス(ヒ
ドロキシメチル)メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリメチル
アミン、トロメタミンおよび尿素を含む。
【0157】
様々な実施形態では、本発明の化合物の薬学的に許容される塩は:塩酸塩、シュウ酸塩
、L−(+)−酒石酸塩、HBr塩およびコハク酸塩を含む。それぞれは、本発明の別個
の実施形態を表す。
【0158】
塩は、遊離塩基または遊離酸形態の生成物を、真空中または凍結乾燥によって除去され
る、塩が不溶である溶媒もしくは媒体中、または水などの溶媒中で1つ以上の当量の適切
な酸または塩基と反応させることによって、または既存の塩のイオンを別のイオンまたは
適切なイオン交換樹脂と交換することによってなどの従来の手段によって形成することが
できる。
【0159】
本発明の方法は、非荷電化合物またはその化合物の薬学的に許容される塩を使用するこ
とができる。特に、本方法は、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB
、VIIA、またはVIIBの化合物の薬学的に許容される塩を使用する。薬学的に許容
される塩は、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、また
はVIIBの化合物のフェノールのアミン塩または塩であってもよい。
【0160】
一実施形態では、本発明の方法は、遊離塩基、遊離酸、式I〜VII、IA、IB、I
C、ID、IIA、IIB、VIIA、もしくはVIIBの非荷電もしくは非錯体化化合
物、および/またはその異性体、医薬品、水和物、多形体、もしくはそれらの組み合わせ
を使用する。
【0161】
一実施形態では、本発明の方法は、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、
IIB、VIIA、またはVIIBの化合物の光学異性体を使用する。一実施形態では、
本発明の方法は、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、
またはVIIBの化合物の異性体を使用する。一実施形態では、本発明の方法は、式I〜
VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの化合物
の医薬品を使用する。一実施形態では、本発明の方法は、式I〜VII、IA、IB、I
C、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの化合物の水和物を使用する。一
実施形態では、本発明の方法は、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、II
B、VIIA、またはVIIBの化合物の多形体を使用する。一実施形態では、本発明の
方法は、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはV
IIBの化合物の代謝物を使用する。別の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記
載されているように、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VII
A、もしくはVIIBの化合物を含む組成物を使用し、または、別の実施形態では、式I
〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、もしくはVIIBの化
合物の異性体、代謝物、医薬品、水和物、多形体の組み合わせを使用する。
【0162】
本明細書で使用されるとおり、「異性体」という用語は、光学異性体、構造異性体、ま
たは立体配座異性体を含むが、これらに限定されない。
【0163】
用語「異性体」は、SARD化合物の光学異性体を包含することを意味する。本発明の
SARDが少なくとも1つのキラル中心を含むことは、当業者には理解されるであろう。
したがって、化合物は、光学活性体(例えば、(R)異性体または(S)異性体)または
ラセミ体として存在し得る。光学活性化合物は、鏡像異性的に濃縮された混合物として存
在し得る。いくつかの化合物はまた、多型を示し得る。本発明は、任意のラセミ体、光学
活性体、多形体、または立体異性体、またはそれらの混合物を包含すると理解すべきであ
る。したがって、本発明は、純粋な(R)−異性体または純粋な(S)−異性体としての
SARD化合物を包含し得る。光学活性形態をどのようにして調製するかは当該技術分野
において公知である。例えば、再結晶技術によるラセミ体の分割、光学活性出発物質から
の合成、キラル合成、またはキラル固定相を用いたクロマトグラフィー分離によって得る
ことができる。
【0164】
本発明の化合物は、化合物の水和物であってもよい。本明細書で使用されるとおり、用
語「水和物」は、半水和物、一水和物、二水和物、または三水和物を含むが、これらに限
定されない。本発明はまた、本明細書に記載の化合物のアミノ置換基のN−オキシドの使
用も含む。
【0165】
本発明は、他の実施形態では、本明細書に記載の化合物の代謝物の使用を提供する。一
実施形態では、「代謝物」は、代謝または代謝プロセスによって別の物質から生成される
任意の物質を意味する。
【0166】
一実施形態では、本発明の化合物は、実施例1に従って調製される。
選択的アンドロゲン受容体分解剤の生物学的活性
【0167】
前立腺癌(PCa)を治療するか、または前立腺癌に罹患している男性対象の生存率を
増加させる方法であって、式Iの化合物によって表される治療有効量の化合物またはその
薬学的に許容される塩を対象に投与することを含み、
【化33】


式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZHは、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
るか、またはYおよびZは、5〜8員環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
Aは、RまたはRであり、
は、少なくとも1個の窒素原子および0、1、または2個の二重結合を有する5員の
飽和または不飽和環であり、必要に応じてQ、Q、Q、またはQの少なくとも1
つで置換され、それぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状または分枝状
アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロシクロア
ルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の
フェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、ベン
ジル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、CONHR、CO
ORまたはCORから選択され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH2、CONH(R4)、CON(R4)、SR、S
、SORSOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、C(O)(C〜C10
)アルキル、NO、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネー
ト、メシレート、トシレート、トリフレート、PO(OH)またはOPO(OH)
あり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物、ま
たはそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0168】
別の実施形態では、AがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場
合、XはNであるか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する。
【0169】
前立腺癌(PCa)を治療するか、または前立腺癌に罹患している男性対象の生存率を
増加させる方法であって、式I〜VII、IA〜ID、IIA、IIB、VIIA、また
はVIIBの化合物によって表される治療有効量の化合物またはその薬学的に許容される
塩または異性体を対象に投与することを含む。
【0170】
前立腺癌は、進行前立腺癌、難治性前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、転移
性CRPC(mCRPC)、非転移性CRPC(nmCRPC)、高リスクnmCRPC
またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0171】
前立腺癌は、増殖のためにAR−FLおよび/またはAR−SVに依存し得る。前立腺
癌または他の癌は、アンドロゲン受容体アンタゴニストによる治療に対して耐性であり得
る。前立腺または他の癌はエンザルタミド、ビカルタミド、アビラテロン、ARN−50
9、ODM−201、EPI−001、EPI−506、AZD−3514、ガレテロン
(galeterone)、ASC−J9、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、ニルタ
ミド、酢酸シプロテロン、ケトコナゾール、スピロノラクトン、またはそれらの任意の組
み合わせによる治療に耐性であってもよい。この方法はまた、抗アンドロゲン耐性付与A
R−LBD突然変異、AR−SV、遺伝子増幅AR、またはそれらの任意の組み合わせを
用いて、AR、AR−FL、AR−FLのレベルを低下させることもできる。
【0172】
一実施形態では、本発明は、治療上有効な量の本発明の化合物またはその光学異性体、
異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物またはそれらの任意の組み合わ
せを対象に投与することを含む、エンザルタミド耐性前立腺癌の治療方法を提供する。
【0173】
一実施形態では、本発明は、治療有効量の本発明の化合物またはその光学異性体、異性
体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物またはそれらの任意の組み合わせを
対象に投与することを含む、アビラテロン耐性前立腺癌の治療方法を提供する。
【0174】
一実施形態では、本発明は、治療有効量の本発明の化合物またはその光学異性体、異性
体、薬学的に許容される塩、医薬品、多形体、水和物またはそれらの任意の組み合わせを
対象に投与することを含む、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)の治療方法を提供する
【0175】
この方法は、アンドロゲン遮断療法(ADT)またはLHRHアゴニストまたはアンタ
ゴニストなどの第2の療法をさらに含むことができる。LHRHアゴニストには、ロイプ
ロリドアセテートが含まれるが、これに限定されない。
【0176】
本発明は、前立腺癌(PCa)の進行を治療もしくは阻害するか、または前立腺癌に罹
患している男性対象の生存率を増加させる方法を包含し、対象にSARD化合物または薬
学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含み、ここで化合物は化合物1001
〜1049の少なくとも1つである。
【0177】
本発明は、難治性前立腺癌(PCa)の進行を治療もしくは阻害するか、または難治性
前立腺癌に罹患している男性対象の生存率を増加させる方法を包含し、対象にSARD化
合物または薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含み、ここで化合物は式
I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの化
合物で表されるか、または化合物は化合物1001〜1049の少なくとも1つである。
【0178】
本発明は、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に罹患している男性対象の治療または生存
率を増加させる方法を包含し、対象に治療有効量のSARDを投与することを含み、ここ
で化合物は式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、または
VIIBの化合物で表されるか、または化合物1001〜1049の少なくとも1つであ
る。
【0179】
この方法は、アンドロゲン遮断療法を対象に投与することをさらに含むことができる。
【0180】
本発明は、エンザルタミド耐性前立腺癌(PCa)の進行を治療もしくは阻害するか、
またエンザルタミド耐性前立腺癌に罹患している男性対象の生存率を増加させる方法を包
含し、対象にSARD化合物または薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを
含み、ここで化合物は式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VII
A、またはVIIBの化合物で表されるか、または化合物は化合物1001〜1049の
少なくとも1つである。
【0181】
この方法は、アンドロゲン遮断療法を対象に投与することをさらに含むことができる。
【0182】
本発明は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)の進行を治療もしくは阻害するか、ま
たトリプルネガティブ乳癌に罹患している女性対象の生存率を増加させる方法を包含し、
対象にSARD化合物または薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含み、
ここで化合物は式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、ま
たはVIIBの化合物で表されるか、または化合物は化合物1001〜1049の少なく
とも1つである。
【0183】
本明細書で使用されるとおり、用語「生存率を増加させる」は、対象の生存を記述する
ときの時間の延長を指す。したがって、この文脈において、本発明の化合物は、進行前立
腺癌、難治性前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、転移性CRPC(mCRPC
)、非転移性CRPC(nmCRPC)、または高リスクのnmCRPCを有する男性、
またはTNBCを有する女性の生存率を増加させるために使用され得る。
【0184】
または、本明細書で使用されるとおり、用語「増加する」、「増加している」、または
「増加した」は、交換可能に使用され、(サイズ、量、数、または強度において)次第に
大きくなるエンティティを指す。ここで例えば、エンティティは、性ホルモン結合グロブ
リン(SHBG)または前立腺特異抗原(PSA)である。
【0185】
本発明の化合物および組成物は、非転移性前立腺癌に罹患している対象における無転移
生存率(MFS)を増加させるために使用され得る。非転移性前立腺癌は、非転移性進行
前立腺癌、非転移性CRPC(nmCRPC)、または高リスクnmCRPCであり得る
【0186】
本明細書に記載されるSARD化合物は、二重作用を提供するために使用され得る。例
えば、SARD化合物は前立腺癌を治療し、転移を予防することができる。前立腺癌は、
難治性前立腺癌、進行前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、転移性CRPC(m
CRPC)、非転移性CRPC(nmCRPC)、または高リスクのnmCRPCであり
得る。
【0187】
本明細書に記載されるSARD化合物は、二重作用を提供するために使用され得る。
例えば、SARD化合物はTNBCを治療し、転移を予防することができる。
【0188】
去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)へ進行するリスクが高い進行前立腺癌を有する男性は
、血清総テストステロン濃度が20ng/dLを超えるADT患者、またはADT開始時
に(1)確認されたグリーソンパターン4または5の前立腺癌、(2)転移性前立腺癌、
(3)PSA倍加時間が3ヶ月未満、(4)PSAが20ng/mL以上、または(5)
最終的な局所治療(根治的前立腺切除術または放射線療法)後、PSA再発が3年未満の
いずれかを有した進行前立腺患者である。
【0189】
前立腺特異抗原(PSA)の正常なレベルは、とりわけ男性対象の前立腺の年齢および
大きさなどのいくつかの因子に依存する。2.5〜10ng/mLの範囲のPSAレベル
は「境界線高」と考えられ、10ng/mLを超えるレベルは「高」と考えられる。0.
75/年を超えるレート変化または「PSA速度」は高いと考えられる。PSAレベルは
、進行中のADTまたはADTの病歴、外科的去勢にもかかわらず、または抗アンドロゲ
ンおよび/またはLHRHアゴニストによる治療にもかかわらず、増加し得る。
【0190】
高リスクの非転移性去勢抵抗性前立腺癌(高リスクnmCRPC)を有する男性には、
約18ヶ月またはそれ未満の予期される無増悪生存を有する、迅速なPSA倍加時間を有
する患者が含まれ得る(Miller K、Moul JW、Gleave Ml ら。
2013.「非転移性去勢抵抗性前立腺癌患者の1日1回経口ジボテンタン(ZD405
4)の第III相、無作為化、プラセボ対照試験」、前立腺癌Prost Dis.2月
。16:187〜192)。これらの疾患の比較的迅速な進行は、これらの個体に対する
新規療法の重要性を強調する。
【0191】
本発明の方法は、対象が高リスクのnmCRPCに罹患している場合、8ng/mLを
超えるPSAレベルを有する対象を治療することができる。患者集団には、nmCRPC
に罹患している対象が含まれ、PSAは8ヶ月未満または10ヶ月未満で2倍になる。こ
の方法はまた、高リスクのnmCRPCに罹患している対象において、総血清テストステ
ロンレベルが20ng/mLを超える患者集団を治療することができる。あるケースでは
、血清フリーのテストステロンレベルは、高リスクのnmCRPCに罹患している対象の
睾丸摘出された男性で観察されるレベルよりも高い。
【0192】
本発明の医薬組成物は、少なくとも1つのLHRHアゴニストまたはアンタゴニスト、
抗アンドロゲン、抗プログラム死受容体1(抗PD−1)薬または抗PD−L1薬をさら
に含み得る。LHRHアゴニストは、ロイプロリド酢酸(Lupron(登録商標))(
US 5480656、US 5575987、5631020、5643607、57
16640、5814342、6036976が参照により本明細書に組み込まる)また
は酢酸ゴセレリン(Zoladex(登録商標))(US 7118552、72202
47、7500964が参照により本明細書に組み込まる)を含むが、これらに限定され
ない。LHRHアンタゴニストには、デガレリクスまたはアバレリックスが含まれるが、
これらに限定されない。抗アンドロゲンとしては、ビカルタミド、フルタミド、フィナス
テリド、デュタステリド、エンザルタミド、ニルタミド、クロルマジノン、アビラテロン
、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。抗PD−1
薬には、AMP−224、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、およびAMP
−554が挙げられるが、これらに限定されない。抗PD−L1薬には、BMS−936
559、アテゾリズマブ、ドゥバルマブ、アベルマブ、およびMPDL3280Aが含ま
れるが、これらに限定されない。抗CTLA−4薬には、イピリムマブおよびトレメリム
マブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0193】
前立腺癌、進行前立腺癌、CRPC、mCRPCおよび/またはnmCRPCの治療は
、前立腺癌に関連する症状、機能および/または生存率の臨床的に有意な改善をもたらし
得る。臨床的に有意な改善は、とりわけ癌が転移性である場合の放射線学的無増悪生存期
間(rPFS)の増加、または癌が非転移性である場合の無増悪生存期間(MFS)の増
加によって決定することができる。
【0194】
本発明は、前立腺癌、進行前立腺癌、転移性前立腺癌または去勢抵抗性前立腺癌(CR
PC)を患っている男性対象における血清前立腺特異抗原(PSA)レベルを低下させる
方法を包含し、治療有効量のSARD化合物を投与することを含み、ここで化合物は、式
I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの構
造によって表される。
【0195】
本発明は、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に罹患している男性対象において血清PS
Aを減少させる二次ホルモン療法の方法を包含し、去勢抵抗性前立腺癌に罹患している男
性対象において血清PSAを減少させる、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、II
A、IIB、VIIA、またはVIIB の化合物の治療有効量を投与することを含む。
【0196】
本発明は、抗アンドロゲン耐性を付与するAR−LBD突然変異、AR−スプライスバ
リアント(AR−SV)、および/またはその必要がある対象における腫瘍内AR遺伝子
の増幅を有するAR、AR全長(AR−FL)、AR−FLのレベルを低下させる方法を
包含し、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはV
IIBの治療有効量の化合物を投与して、抗アンドロゲン耐性を付与するAR−LBDま
たは他のAR突然変異、ARスプライスバリアント(AR−SV)、および/または腫瘍
内AR遺伝子の増幅を低下させる。
【0197】
この方法は、放射線学的無増悪生存期間(rPFS)または無転移生存期間(MFS)
を増加させることができる。
【0198】
対象は非転移性癌を有し、アンドロゲン遮断療法(ADT)に失敗し、睾丸切除を受け
、または高い前立腺特異抗原(PSA)レベルもしくは前立腺特異抗原(PSA)レベル
の上昇を有する可能性がある。対象は、前立腺癌、進行前立腺癌、難治性前立腺癌、CR
PC患者、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)患者、または非転移性去勢抵抗性前
立腺癌(nmCRPC)患者であり得る。これらの対象において、難治性は、エンザルタ
ミド耐性前立腺癌であり得る。これらの対象において、nmCRPCは、高リスクnmC
RPCであり得る。さらに、対象は、総Tの去勢レベルを有するかまたは有さないアンド
ロゲン遮断療法(ADT)を受けていてもよい。
【0199】
本明細書で使用されるとおり、「去勢抵抗性前立腺癌に罹患している対象」という語句
は、以下の特徴の少なくとも1つを有する対象を指す。アンドロゲン遮断療法(ADT)
で以前に治療されている。ADTに応答し、現在、2ng/mL未満、または2ng/m
L未満かつADTで達成された最下点よりも25%増加を示す血清PSAを有する。アン
ドロゲン遮断療法で維持されているにもかかわらず、血清PSA進行を有すると診断され
た対象。血清総テストステロン(<50ng/dL)の去勢レベルまたは血清総テストス
テロン(<20ng/dL)の去勢レベル。対象は、少なくとも2週間離れた2回の連続
した評価で上昇する血清PSAを有し得、ADTで効果的に治療されているか、またはA
DT開始後に血清PSA応答の病歴を有する。
【0200】
本明細書中で使用されるとおり、用語「血清PSA進行」は、血清PSAの25%以上
の増加および最下点から2ng/mlまたはそれ以上の絶対増加を指し、アンドロゲン遮
断療法(ADT)の開始後、2ng/mL未満、または2ng/mL未満かつおよび最下
点より25%増加の血清PSAを指す。用語「最下点」は、患者がADTを受けている間
、最低のPSAレベルを指す。
【0201】
用語「血清PSA応答」は、以下の少なくとも1つを指す:ADTの開始前の血清PS
A値の少なくとも90%の低下、血清PSA(0.2ng/mL未満)の検出不可能なレ
ベルが常時10ng/mL未満まで、血清PSAのベースラインから少なくとも50%の
減少、血清PSAのベースラインから少なくとも90%の減少、血清PSAのベースライ
ンから少なくとも30%の減少、または血清PSAのベースラインから少なくとも10%
の減少。
【0202】
本発明の方法は、ADTの形態および本発明の化合物の組み合わせを投与することを含
む。ADTの形態には、LHRHアゴニストが含まれる。LHRHアゴニストは、ロイプ
ロリド酢酸(Lupron(登録商標))(US5480656、US5575987、
5631020、5643607、5716640、5814342、6036976が
参照により本明細書に組み込まる)または酢酸ゴセレリン(Zoladex(登録商標)
)(US7118552、7220247、7500964が参照により本明細書に組み
込まる)を含むが、これに限定されない。ADTの形態には、LHRHアンタゴニスト、
可逆的抗アンドロゲンまたは両側睾丸摘除術が含まれるが、これらに限定されない。LH
RHアンタゴニストには、デガレリクスおよびアバレリックスが含まれるが、これらに限
定されない。抗アンドロゲンとしては、ビカルタミド、フルタミド、フィナステリド、デ
ュタステリド、エンザルタミド、EPI−001、EPI−506、ARN−509、O
DM−201、ニルタミド、クロルマジノン、アビラテロン、またはそれらの任意の組み
合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0203】
本発明の方法は、少なくとも1つの本発明の化合物およびリアーゼ阻害剤(例えば、ア
ビラテロン)を投与することを包含する。
【0204】
「進行前立腺癌」という用語は、前立腺に由来し、周囲の組織のような前立腺を超えて
精嚢、骨盤リンパ節もしくは骨、または身体の他の部分に広く転移した転移性癌を指す。
前立腺癌の病態は、悪性度の増加の順に1から5のグリーソングレーディングで等級付け
される。進行性の疾患および/または前立腺癌の重大なリスクを有する患者を定義に含め
るべきであり、IIBと同程度に低い病期を有する前立腺嚢の外に癌を有する患者は明ら
かに「進行した」疾患を有する。「進行前立腺癌」は、局所的に進行した前立腺癌を指す
ことができる。同様に、「進行乳癌」は、乳房に由来し、周囲の組織または肝臓、脳、肺
、または骨などの身体の他の部分に乳房を超えて広く転移した転移性癌を指す。
【0205】
「難治性」という用語は、治療に応答しない癌を指す場合がある。例えば、前立腺癌ま
たは乳癌は、治療の開始時に耐性であり得るか、または治療中に耐性になり得る。「難治
性癌」は、本明細書において「耐性癌」とも呼ばれ得る。
【0206】
「去勢抵抗性前立腺癌」(CRPC)という用語は、テストステロンを減らすために患
者がADTまたは他の療法を受けている間に、悪化または進行する進行前立腺癌、または
ホルモン不応性、ホルモンナイーブ、アンドロゲン非依存性、または化学的もしくは外科
的去勢抵抗性であると考えられる前立腺癌を指す。CRPCは、イントラクラインアンド
ロゲン合成、リガンド結合ドメイン(LBD)を欠くARスプライスバリアント(AR−
SV)の発現、またはアンタゴニストに抵抗する可能性のあるAR−LBDまたは他のA
R突然変異の発現によるAR活性化の結果であり得る。去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)
は進行中のADTおよび/または外科的去勢にもかかわらず進行した進行前立腺癌である
。去勢抵抗性前立腺癌は、以前の外科的去勢、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(
例えば、ロイプロリド)またはアンタゴニスト(例えば、デガレリクスまたはアバレリッ
クス)、抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、フルタミド、エンザルタミド、ケトコ
ナゾール、アミドグルテタミド(aminoglutethamide)、化学療法剤(
例えば、ドセタキセル、パクリタキセル、カバジタキセル、アドリアマイシン、ミトキサ
ントロン、エストラムスチン、シクロホスファミド)、キナーゼ阻害剤(イマチニブ(G
leevec(登録商標))またはゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、カボザ
ンチニブ(Cometriq(商標)、XL184としてモ知られる)、または他の前立
腺癌治療(例えば、ワクチン(sipuleucel−T(Provenge(登録商標
))、GVAX、など)、前立腺特異抗原(PSA)、転移、骨転移、疼痛、リンパ節の
関与、腫瘍増殖のためのサイズまたは血清マーカーの増加、予後の診断マーカーの悪化、
または患者状態の血清レベルの上昇またはより高い血清レベルによって示されるようなハ
ーブ(PC−SPES)およびリアーゼ阻害剤(アビラテロン)による継続的治療にもか
かわらず、進行または悪化または患者の健康に悪影響を及ぼす前立腺癌であると定義され
る。
【0207】
去勢抵抗性前立腺癌は、ホルモンナイーブ前立腺癌と定義することができる。去勢抵抗
性前立腺癌を有する男性において、腫瘍細胞はアンドロゲン(男性性特性の発達および維
持を促進するホルモン)の非存在下で増殖する能力を有し得る。
【0208】
多くの初期の前立腺癌はその成長にアンドロゲンを必要とするが、進行前立腺癌はアン
ドロゲン非依存性またはホルモンナイーブである。
【0209】
用語「アンドロゲン遮断療法」(ADT)は、睾丸摘出術、黄体形成ホルモン放出ホル
モン(LHRH)類似体を投与すること、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)ア
ンタゴニストを投与すること、5−レダクターゼ阻害剤を投与すること、抗アンドロゲン
を投与すること、テストステロン生合成阻害剤を投与すること、エストロゲンを投与する
こと、または17α−水酸化/C17、20リアーゼ(CYP17A1)阻害剤を投与す
ることを含んでもよい。LHRH薬は、睾丸によって作られるテストステロンの量を低下
させる。米国で入手可能なLHRH類似体の例には、ロイプロリド(Lupron(登録
商標)、Viadur(登録商標)、Eligard(登録商標))、ゴセレリン(Zo
ladex(登録商標))、トリプトレリン(Trelstar(登録商標))およびヒ
ストレリン(Vantas(登録商標))が挙げられる。抗アンドロゲンは、アンドロゲ
ンを使用する身体の能力をブロックする。抗アンドロゲン薬の例には、エンザルタミド(
Xtandi(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、ビカルタミ
ド(Casodex(登録商標))、およびニルタミド(Nilandron(登録商標
))が挙げられる。黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アンタゴニストには、ア
バレリックス(Plenaxis(登録商標))またはデガレリクス(Firmagon
(登録商標))(2008年にFDAによって進行前立腺癌治療薬として承認されている
)が挙げられる。5−レダクターゼ阻害剤は、テストステロンをより活性なアンドロゲン
、5−ジヒドロテストステロン(DHT)に変換する身体能力をブロックし、フィナステ
リド(Proscar(登録商標))およびデュタステリド(Avodart(登録商標
))などの薬物を含む。テストステロン生合成の阻害剤には、ケトコナゾール(Nizo
ral(登録商標))などの薬物が含まれる。エストロゲンには、ジエチルスチルベスト
ロールまたは17β−エストラジオールが含まれる。17α−ヒドロキシラーゼ/C17
,20リアーゼ(CYP17A1)阻害剤には、アビラテロン(Zytiga(登録商標
))が含まれる。
【0210】
本発明は、抗アンドロゲン耐性前立腺癌を治療する方法を包含する。抗アンドロゲンに
は、ビカルタミド、ヒドロキシフルタミド、フルタミド、エンザルタミドまたはアビラテ
ロンが含まれ得るが、これらに限定されない。
トリプルネガティブ乳癌(TNBC)の治療
【0211】
トリプルネガティブ乳癌(TNBC)は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロ
ン受容体(PR)、およびHER2受容体キナーゼの発現を欠く乳癌の一種である。この
ように、TNBCは、他のタイプの原発性乳癌を治療するために使用されるホルモンおよ
びキナーゼ治療標的を欠いている。同様に、化学療法はしばしばTNBCの初期薬物療法
である。興味深いことに、ARはしばしばTNBCで発現され、化学療法に対するホルモ
ン標的化代替療法を提供し得る。ER陽性乳癌において、ARの活性化が乳房組織および
腫瘍におけるERの効果を制限するおよび/またはそれに抵抗すると考えられるため、A
Rは陽性の予後指標である。しかし、ERが存在しない場合、ARは乳癌腫瘍の成長を実
際に支持する可能性がある。TNBCでは、ARの役割は完全には理解されていないが、
一部のTNBCは、AR全長のLBDまたはアンドロゲン依存性活性化を欠くAR−SV
のアンドロゲン非依存性活性化によって支持され得るというエビデンスを有する。このよ
うに、エンザルタミドおよび他のLBD指向性の従来のARアンタゴニストは、これらの
TNBCにおいてAR−SVに拮抗することができないであろう。しかし、ARのNTD
(実施例9参照)の結合部位を介してAR−SV(表1および実施例5を参照)を破壊す
ることができる本発明のSARDは、これらのTNBCにおいてARに拮抗することがで
き、実施例8に示すように抗腫瘍効果を提供することができる。
【0212】
ケネディ病の治療
【0213】
筋萎縮(MA)は、筋肉の消耗または縮小および筋肉量の減少を特徴とする。例えば、
ポストポリオMAは、ポリオ後症候群(PPS)の一部として生じる筋肉消耗である。萎
縮には、衰弱、筋肉疲労、および痛みが含まれる。別のタイプのMAは、X連鎖性脊髄球
筋萎縮症(SBMA、ケネディ病としても知られる)である。この疾患は、X染色体上の
アンドロゲン受容体遺伝子の欠損に由来し、男性のみに影響を及ぼし、その発症は思春期
後期から成人期に起こる。近位四肢および球筋の衰弱は、場合によっては車椅子への依存
を含む物理的制限をもたらす。この突然変異は、アンドロゲン受容体(ポリQ AR)の
N末端ドメインで伸長したポリグルタミン経路をもたらす。
【0214】
結合および内因性アンドロゲンによるポリQ ARの活性化(テストステロンおよびD
HT)は、アンフォールディングおよび変異アンドロゲン受容体の核移行をもたらす。ア
ンドロゲン誘発性の毒性とポリQ ARタンパク質のアンドロゲン依存性核内蓄積が病因
の中心のようである。したがって、アンドロゲン活性化ポリQ ARの阻害が治療選択肢
であり得る(A.Baniahmad.球脊髄性筋萎縮症における抗アンドロゲン剤によ
るアンドロゲン受容体の阻害。J.Mol.Neurosci.2016 58(3)、
343〜347)。 これらのステップは、病因のために必要であり、トランス活性化機
能の部分的喪失(すなわち、アンドロゲン非感受性)とよく理解されていない神経筋変性
をもたらす。末梢ポリQ ARアンチセンス療法は、SBMAのマウスモデルにおける疾
患を救済する(Cell Reports 7、774〜784、2014年5月8日)
。抗アンドロゲン使用のさらなるサポートは、抗アンドロゲンフルタミドが脊髄球筋萎縮
の3つのモデルにおいてアンドロゲン依存性毒性からオスのマウスを保護する報告にある
(Renier KJ、Troxell−Smith SM、Johansen JA、
Katsuno M、Adachi H、Sobue G、Chua JP、Sun K
im H、Lieberman AP、Breedlove SM、Jordan CL
.内分泌学 2014、155(7)、2624〜2634)。これらのステップは、病
因のために必要であり、トランス活性化機能の部分的喪失(すなわち、アンドロゲン非感
受性)とよく理解されていない神経筋変性をもたらす。現在、疾患修飾治療はなく、むし
ろ症状指向治療のみである。ポリQ ARを、その分解を促進するために、細胞器官を利
用することによって、毒性の近位メディエータとして標的化する努力は、治療的介入のた
めの約束を保持する。
【0215】
本明細書に報告されているような選択的アンドロゲン受容体分解剤は、試験されたすべ
てのアンドロゲン受容体(全長、スプライスバリアント、抗アンドロゲン耐性変異体など
)に結合し、トランス活性化を阻害し、分解し、病因がSBMAなどのアンドロゲン依存
性である疾患の治療のための有望な手がかりであることを示す。
【0216】
本発明は、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、また
はVIIBの治療有効量の化合物を投与することを含むケネディ病の治療方法を包含する
【0217】
本明細書で使用されるとおり、用語「アンドロゲン受容体関連状態」または「アンドロ
ゲン感受性疾患または障害」または「アンドロゲン依存性疾患または障害」は、その病因
が、アンドロゲン受容体の活性に依存しているか、またはそれによって調節される、状態
、疾患または障害である。アンドロゲン受容体は、体の大部分の組織で発現されるが、と
りわけ前立腺および皮膚において過剰発現される。ADTは長年にわたる前立腺癌治療の
主流であり、SARDは様々な前立腺癌、良性前立腺肥大、前立腺肥大および前立腺の他
の病気の治療にも有用である可能性がある。
【0218】
本発明は、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、また
はVIIBの治療有効量の少なくとも1つの化合物を投与することを含む良性前立腺肥大
の治療方法を包含する。
【0219】
本発明は、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、また
はVIIBの治療有効量の少なくとも1つの化合物を投与することを含む前立腺肥大の治
療方法を包含する。
【0220】
本発明は、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA IIB、VIIA、また
はVIIBの治療有効量の化合物を投与することを含む過剰増殖前立腺障害および疾患の
治療方法を包含する。
【0221】
皮膚に対するARの効果は、十代の若者および初期の成人に共通する皮膚科学的問題に
関する性の二型性および思春期のにおいて明らかである。思春期の高アンドロゲン症は、
毛の成長、皮脂産生を刺激し、十代の男性が、ざ瘡、尋常性ざ瘡、脂漏症、皮脂過多、化
膿性汗腺炎、男性型多毛症、多毛症、超多毛症、アンドロゲン脱毛症、男性型禿頭症、お
よびその他の皮膚病にかかりやすくする。抗アンドロゲンは理論的には、論じられている
高アンドロゲン性の皮膚科学的疾患を予防すべきであるが、毒性、性的副作用、および局
所的に適用した場合の有効性の欠如によって制限される。本発明のSARDは、リガンド
依存性およびリガンド非依存性のAR活性化を強力に阻害し、(場合によっては)血清中
の生物学的半減期が短いことから、本発明の局所処方SARDがざ瘡、脂漏性皮膚炎、お
よび/または男性型多毛症の領域に、全身性副作用のリスクなしに適用できることが示唆
される。
【0222】
本発明は、ざ瘡、尋常性ざ瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、化膿性汗腺炎、男性型多毛症、
多毛症、超多毛症、または脱毛症を治療する方法を包含し、式I〜VII、IA、IB、
IC、ID、IIA、IIB、VIIA、もしくはVIIBの化合物、または化合物10
01〜1049のいずれかの治療有効量を投与することを含む。
【0223】
本明細書に記載の化合物および/または組成物は、脱毛、脱毛症、アンドロゲン脱毛症
、円形脱毛症、化学療法に続発する脱毛症、放射線療法に続発する脱毛症、瘢痕によって
誘発される脱毛症、またはストレスによって誘発される脱毛症を治療するために使用する
ことができる。一般に、「脱毛」または「脱毛症」は、非常に一般的なタイプの男性型禿
頭症のような禿頭症を指す。禿頭症は、典型的には、頭皮のパッチ脱毛から始まり、時に
は完全な禿頭症、さらには体毛の喪失にまで進行する。脱毛は、男性と女性の両方に影響
する。
【0224】
本発明は、アンドロゲン脱毛症を治療する方法を包含し、式I〜VII、IA、IB、
IC、ID、IIA、IIB、VIIA、もしくはVIIBの化合物、または化合物10
01〜1049のいずれかの治療有効量を投与することを含む。
【0225】
本発明のSARDは、思春期早発症、早期思春期、月経困難症、無月経、多胞性子宮症
候群、子宮内膜症、子宮筋腫、異常子宮出血、早発月経、線維嚢胞性乳腺疾患、子宮類線
維腫、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症、妊娠子癇、早期陣痛、月経前症候群、
および/または膣乾燥症などの高アンドロゲン性病因を有することができる女性における
ホルモン状態の治療にも有用である。
【0226】
本発明は、思春期早発症または早期思春期、月経困難症または無月経、多胞性子宮症候
群、子宮内膜症、子宮筋腫、異常子宮出血、高アンドロゲン性疾患(多嚢胞性卵巣症候群
(PCOS)など)、線維嚢胞性乳腺症、子宮類線維腫、卵巣嚢腫、多嚢胞性卵巣症候群
、子癇前症、妊娠子癇、早産、月経前症候群、または膣乾燥症の治療法を包含し、式I〜
VII、IA〜ID、IIA、IIB、VIIA、もしくはVIIBの化合物、または化
合物1001〜1049のいずれかの治療有効量を投与することを含む。
【0227】
本発明のSARDはまた、性的倒錯、性欲過剰、性嗜好異常、アンドロゲン精神病、男
性化、アンドロゲン不応症(AIS)(完全AIS(CAIS)および部分的AIS(P
AIS)など)ならびに動物における排卵改善の治療においても有用性を見出すことがで
きる。
【0228】
本発明は、性的倒錯、性欲過剰、性嗜好異常、アンドロゲン精神病、男性化アンドロゲ
ン、不応症を治療する方法、排卵増加または調節または改善する方法を包含し、式I〜V
II、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、もしくはVIIBの化合物
、または化合物1001〜1049のいずれかの治療有効量を投与することを含む。
【0229】
本発明のSARDは、前立腺癌、乳癌、精巣癌、卵巣癌、肝細胞癌、泌尿生殖器癌など
のホルモン依存性癌の治療にも有用であり得る。別の実施形態では、乳癌はトリプルネガ
ティブ乳癌である。さらに、局所または全身性のSARD投与は、前立腺上皮内新形成(
PIN)および非定型小腺細胞増殖(ASAP)などのホルモン依存性癌の前駆体の治療
に有用であり得る。
【0230】
本発明は、乳癌、精巣癌、子宮癌、卵巣癌、泌尿生殖器癌、前立腺癌の前駆体、または
AR関連またはAR発現固体腫瘍を治療する方法を包含し、式I〜VII、IA、IB、
IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの治療有効量の化合物を投与す
ることを含む。前立腺癌の前駆体は、前立腺上皮内新形成(PIN)または非定型小腺細
胞増殖(ASAP)であり得る。腫瘍は、肝細胞癌(HCC)または膀胱癌であり得る。
血清テストステロンは、HCCの発症と正の関連がある。疫学的、実験的観察、特に男性
が女性よりも膀胱癌のリスクが相当高いという事実に基づいて、アンドロゲンおよび/ま
たはARは膀胱癌の発生にも役割を果たす可能性がある。
【0231】
エンザルタミド、ビカルタミド、フルタミドなどの従来の抗アンドロゲン剤や、ロイプ
ロリドなどのアンドロゲン遮断療法(ADT)は、前立腺癌で使用が承認されているが、
抗アンドロゲン剤は様々な他のホルモン依存性やホルモン非依存性にも使用できるという
重要なエビデンスがある。例えば、抗アンドロゲンは、乳癌(エンザルタミド、乳癌Re
s(2014)16(1):R7)、非小細胞肺癌(shRNAi AR)、腎細胞癌(
ASC−J9)、生殖腺腫瘍および精上皮腫などの部分アンドロゲン非感受性関連悪性腫
瘍、進行膵臓癌(World J Gastroenterology 20(29):
9229)、卵巣、卵管または腹膜の癌、唾液腺癌(頭頸部(2016)38:724〜
731;ADTはARを発現する再発性/転移性の唾液腺癌で試験され、無増悪生存期間
および全生存期間エンドポイントで有益であることが確認された)、膀胱癌(Oncot
arget 6(30):29860〜29876)、Int J Endocrino
l(2015)、Article ID 384860)、膵臓癌、リンパ腫(マントル
細胞を含む)、および肝細胞癌での試験が成功した。これらの癌でSARDなどのより強
力な抗アンドロゲンを使用すると、これらの癌および他の癌の進行を治療することができ
る。他の癌、例えば精巣癌、子宮癌、卵巣癌、泌尿生殖器癌、乳癌、脳癌、皮膚癌、リン
パ腫、肝臓癌、腎臓癌、骨肉腫、膵臓癌、子宮内膜癌、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC
)、結腸癌、肛門周囲腺腫、または中枢神経系癌などでも、SARD治療は有用であり得
る。
【0232】
本発明のSARDは、乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ腫、肝臓、腎臓、膵臓、子
宮内膜、肺(例えば、NSCLC)、結腸、肛門周囲腺腫、骨肉腫、CNS、メラノーマ
、悪性腫瘍および転移性骨疾患の高カルシウム血症などのARを含む他の癌の治療にも有
用であり得る。
【0233】
従って、本発明は、悪性腫瘍、転移性骨疾患、脳癌、皮膚癌、膀胱癌、リンパ腫、肝臓
癌、腎臓癌、骨肉腫、膵臓癌、子宮内膜癌、肺癌、中枢神経系癌、胃癌、結腸癌、メラノ
ーマ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および/または子宮筋腫の高カルシウム血症の治療
法を包含し、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、もし
くはVIIBの化合物、または化合物1001〜1049のいずれかの治療有効量を投与
することを含む。肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)であり得る。
【0234】
本発明のSARDはまた、非ホルモン依存性癌の治療に有用であり得る。非ホルモン依
存性の癌には、肝臓、唾液管などが含まれる。
【0235】
別の実施形態では、本発明のSARDは、胃癌を治療するために使用される。別の実施
形態では、本発明のSARDは、唾液管癌を治療するために使用される。別の実施形態で
は、本発明のSARDは、膀胱癌を治療するために使用される。別の実施形態では、本発
明のSARDは、食道癌を治療するために使用される。別の実施形態では、本発明のSA
RDは、膵臓癌を治療するために使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、
結腸癌の治療に使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、非小細胞肺癌を治
療するために使用される。別の実施形態では、本発明のSARDは、腎細胞癌を治療する
ために使用される。
【0236】
ARは、肝細胞癌(HCC)における癌の発生に役割を果たす。したがって、ARを標
的とすることは、早期HCC患者のための適切な治療であり得る。後期段階のHCC疾患
では、アンドロゲンによって転移が抑制されるというエビデンスがある。別の実施形態で
は、本発明のSARDは、肝細胞癌(HCC)を治療するために使用される。
【0237】
Locatiら。Head&Neck、2016、724〜731は、ARを発現する
再発性/転移性唾液腺癌におけるアンドロゲン遮断療法(ADT)の使用を実証し、AD
Tによる改善された無増悪生存期間および全生存期間のエンドポイントを確認した。別の
実施形態では、本発明のSARDは、唾液腺癌の治療に使用される。
【0238】
Kawaharaら。Oncotarget、2015、Vol 6(30)、298
60〜29876は、AR不活性化と共にELK1阻害が膀胱癌の治療アプローチの可能
性を有することを実証した。McBethら。Int J Endocrinology
、2015、Vol 2015、Article ID 384860は、抗アンドロゲ
ン療法+グルココルチコイドの組み合わせを、膀胱癌が炎症病因を有すると考えられるの
で、この癌の治療として示唆した。別の実施形態では、本発明のSARDは、任意にグル
ココルチコイドと組み合わせて、膀胱癌を治療するために使用される。
腹部大動脈瘤(AAA)
【0239】
腹部大動脈瘤(AAA)は、体に血液を供給する主要な血管である大動脈の下部にある
拡大した領域である。大動脈は、およそ庭のホースの厚みがあり、心臓から胸と腹部の中
心を通って流れる。大動脈は体の主要な血液供給源であるため、破裂した腹部大動脈瘤は
生命を脅かす出血を引き起こす可能性がある。腹部大動脈瘤が成長する大きさと速度に応
じて、慎重な経過観察から救急手術まで、治療は異なる場合がある。腹部大動脈瘤が見つ
かると、医師はそれを注意深く監視し、手術が必要な場合に計画できるようにする。破裂
した腹部大動脈瘤に対する緊急手術は危険であり得る。AR遮断(薬理学的または遺伝学
的)はAAAを減少させる。Davisら(Davis JP、Salmon M、Po
pe NH、Lu G、Su G、Meher A、Ailawadi G、Upchu
rch GR Jr.J Vasc Surg(2016)63(6):1602〜16
12)は、フルタミド(50mg/kg)またはケトコナゾール(150mg/kg)が
、賦形剤(121%)と比較して、ブタ膵臓エラスターゼ(0.35U/mL)によって
誘発されるAAAを84.2%および91.5%弱毒化することを示した。さらにAR−
/−マウスは、野生型(どちらもエラスターゼで処置)と比較して弱毒化されたAAA増
殖(64.4%)を示した。それに対応して、AAAに罹患している患者にSARDを投
与することは、AAAの進行を、手術が必要とされるポイントに戻す、治療する、または
遅らせるのを助けることができる。
傷の治療
【0240】
創傷および/または潰瘍は、通常、皮膚または粘膜表面から突出しているか、または器
官の梗塞の結果として見られる。創傷は、軟部組織欠損または損傷または基礎疾患の結果
であり得る。用語「創傷」は、組織構造、痛み、損傷、壊死および/または潰瘍の正常な
完全性の破壊を伴う身体的損傷を意味する。「痛み」という用語は、皮膚または粘膜の任
意の損傷を指し、「潰瘍」という用語は、壊死組織の脱落によって産生される、器官また
は組織表面の局所的な欠損または陥凹を指す。「損傷」は、一般に、任意の組織欠損を含
む。「壊死」は、感染、外傷、炎症または梗塞の結果として生じる死んだ組織を指す。こ
れらの全ては、治癒が開始される前の段階または外科的切開のような特定の創傷が行われ
る前の段階(予防的処置)を含む、治癒過程における任意の特定の段階における任意の創
傷を意味する「創傷」という用語によって包含される。
【0241】
本発明に従って治療することができる創傷の例は、無菌性創傷、挫傷傷、切開創傷、裂
傷創傷、非浸透性創傷(すなわち、皮膚の崩壊がないが、下層構造に対する損傷がある創
傷)、傷口、穿孔創傷、穿孔創、穿刺創、膿創、皮下創傷などが挙げられる。痛みの例と
しては、床ずれ、口内炎、クロム傷、単純疱疹、褥瘡などが挙げられるが、これらに限定
されない。潰瘍の例としては、消化性潰瘍、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、痛風潰瘍、糖尿病性
潰瘍、高血圧性虚血性潰瘍、うっ血性潰瘍、下腿潰瘍(静脈潰瘍)、舌下性潰瘍、粘膜下
潰瘍、症候性潰瘍、栄養障害性潰瘍、熱帯潰瘍、一般的(veneral)潰瘍、例えば
、淋病によって引き起こされる(尿道炎、子宮頸管内膜炎および直腸炎を含む)などが挙
げられるが、これらに限定されない。本発明に従って治療に成功することのできる創傷ま
たは痛みに関する状態は、火傷、炭疽病、破傷風、ガス壊疽、スカラチナ、丹毒、真菌症
、毛嚢炎、伝染性膿痂疹、水疱性膿痂疹などが挙げられるが、これらに限定されない。用
語「創傷」と「潰瘍」または「創傷」と「痛み」との間に重複があり、さらにこれらの用
語はしばしばランダムに使用されることが理解される。
【0242】
本発明に従って治療されるべき創傷の種類には、i)例えば、外科手術、外傷、感染、
虚血、熱的、化学的および水疱性創傷などの一般的創傷、ii)例えば、抜歯後の創傷、
嚢胞および膿瘍の治療に特に関連する歯内創傷、細菌性、ウイルス性または自己免疫性起
源の潰瘍および損傷、器質的、化学的、熱的、感染性および苔癬状の傷、ヘルペス潰瘍、
アフタ性口内炎、急性壊死性潰瘍性歯肉炎および口腔灼熱症候群が具体例である口腔に特
異的な創傷、およびiii)例えば、新生物、火傷(例えば化学的、熱的)、損傷(細菌
、ウイルス、自己免疫)、咬傷および外科的切開などの皮膚の傷が挙げられる。創傷を分
類する別の方法は、i)軽い組織喪失(外科的切開、軽い擦傷、および軽い咬傷による)
またはii)重篤な組織喪失などの組織の喪失によるものである。後者のグループには、
虚血性潰瘍、褥瘡、瘻孔、裂傷、重度の咬傷、熱傷およびドナー部位創傷(軟組織および
硬組織)、ならびに梗塞が含まれる。他の創傷には、虚血性潰瘍、褥瘡、瘻孔、重度の咬
傷、熱傷、またはドナー部位創傷が含まれる。
【0243】
虚血性潰瘍および褥瘡は、通常は非常に緩慢にしか治らない傷であり、特にそのような
場合には、改善されたより迅速な治癒が患者にとって非常に重要である。さらに、そのよ
うな創傷を患っている患者の治療に伴う費用は、治癒が改善され、より迅速に行われると
きに著しく減少する。
【0244】
ドナー部位創傷は、例えば移植に関連して、例えば身体の一部から身体の別の部分への
硬組織の除去に関連して生じる創傷である。そのような手術から生じる創傷は非常に痛み
を伴い、したがって改善された治癒はそれ故に最も価値がある。
【0245】
ある場合には、治療すべき創傷は、無菌創傷、梗塞、挫傷創傷、切開創傷、穿孔創傷、
非貫通創傷、開放創傷、穿通創傷、穿孔創傷、穿刺創傷、敗血症創傷、および皮下創傷か
らなる群から選択される。
【0246】
本発明は、創傷を患っている対象の治療法を包含し、式I〜VII、IA、IB、IC
、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの治療有効量の化合物、その薬学的
に許容される塩、またはその医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0247】
本発明は、火傷を患っている対象の治療法を包含し、式I〜VII、IA、IB、IC
、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの治療有効量の化合物、その薬学的
に許容される塩、またはその医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0248】
用語「皮膚」は、非常に広い意味で、皮膚の表皮層を包含し、皮膚表面が多かれ少なか
れ損傷を受ける場合には、皮膚の真皮層も包含する。角質層とは別に、皮膚の表皮層は外
側(上皮)層であり、皮膚のより深い結合組織層は真皮と呼ばれる。
【0249】
皮膚は身体の最も露出した部分であるので、例えば、破裂、切り傷、擦り傷、火傷や凍
傷または損傷などの様々な疾患から生じる、様々な種類の損傷に特に敏感である。さらに
、皮膚の多くは事故の際にしばしば破壊される。しかし、皮膚の重要なバリアおよび生理
学的機能のために、皮膚の完全性は個人の健康にとって重要であり、いかなる破損または
破裂も、その継続的な存在を保護するために身体によって守られなければならない脅威を
表す。
【0250】
皮膚の損傷とは別に、損傷はあらゆる種類の組織(すなわち、軟組織および硬組織)に
も存在し得る。粘膜および/または皮膚を含む軟組織の損傷は、本発明に関して特に関連
性がある。
【0251】
皮膚または粘膜上の創傷の治癒は、皮膚または粘膜の修復または再生のいずれかをもた
らす一連の段階を経る。近年、再生と修復は、起こり得る2つのタイプの治癒として区別
されている。再生は、失われた組織の構造と機能が完全に更新される生物学的プロセスと
定義することができる。一方、修復は、破壊された組織の連続性が、失われた組織の構造
および機能を再現しない新しい組織によって回復される生物学的プロセスである。
【0252】
創傷の大半は修復によって治癒し、形成される新しい組織は元の組織(瘢痕組織)とは
構造的および化学的には異なる。組織修復の初期段階では、ほとんど常に関与する1つの
プロセスは、組織損傷の領域に一時的な結合組織を形成することである。このプロセスは
、線維芽細胞による新しい細胞外コラーゲンマトリックスの形成によって開始される。こ
の新しい細胞外コラーゲンマトリックスは、最終治癒プロセス中の結合組織の支持体であ
る。最終治癒は、ほとんどの組織において、結合組織を含む瘢痕形成である。例えば皮膚
および骨のような再生特性を有する組織では、最終治癒には元の組織の再生が含まれる。
この再生組織はまた、例えば治癒した骨折の肥厚化など、いくつかの瘢痕特徴もしばしば
有する。
【0253】
通常の状況下では、身体は、皮膚バリアまたは粘膜の完全性を回復するために、損傷し
た皮膚または粘膜を治癒するためのメカニズムを提供する。軽度の破裂または創傷の修復
プロセスには、数時間から数日、数週間の期間がかかる場合がある。しかし、潰瘍形成に
おいて、治癒は非常に遅くなり得、創傷は長期間、すなわち数ヶ月または数年も持続する
可能性がある。
【0254】
火傷はテストステロンレベルの低下に関連し、性腺機能低下は創傷治癒の遅延に関連す
る。本発明は、本発明による少なくとも1つのSARD化合物を投与することにより、創
傷または火傷を患う対象を治療するための方法を包含する。SARDは、火傷や創傷の解
消を促進したり、火傷や創傷の治癒過程に参加したり、または火傷や創傷の二次合併症を
治療することができる。
【0255】
火傷または創傷の治療は、創傷治癒を促進する、上皮成長因子(EGF)、トランスフ
ォーミング成長因子−α(TGF−α)、血小板由来成長因子(PDGF)、酸性線維芽
細胞成長因子(α−FGF)および塩基性線維芽細胞増殖因子(β−FGF)を含む線維
芽細胞成長因子(FGF)、トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)、ならび
にインスリン様成長因子(IGF−1およびIGF−2)、またはこれらの任意の組み合
わせなどの少なくとも1つの成長因子をさらに使用してもよい。
【0256】
創傷治癒は、創傷引張強度、ヒドロキシプロリンまたはコラーゲン含有量、プロコラー
ゲン発現、または再上皮化を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の多くの手
順によって測定することができる。一例として、本明細書に記載のSARDは、約0.1
〜100mg/日の投薬量で経口的にまたは局所的に投与することができる。治療有効性
は、SARD化合物の非存在下と比較して、創傷治癒を増強する有効性として測定される
。増強された創傷治癒は、治癒時間の減少、コラーゲン密度の増加、ヒドロキシプロリン
の増加、合併症の減少、引張強さの増加、および瘢痕組織の細胞性の増加などの既知の技
術によって測定することができる。
【0257】
用語「病因を減少させる」は、特定の疾患、障害または状態に関連する組織損傷または
器官損傷を低減することを包含するものと理解されるべきである。この用語は、問題とな
っている関連する疾患、障害または状態の発症または重篤度を減少させること、または指
示された関連する疾患、障害または状態、またはそれに関連する症状の数を減少させるこ
とを含み得る。
医薬組成物
【0258】
本発明の化合物は、医薬組成物に使用することができる。本明細書で使用されるとおり
、「医薬組成物」は、薬学的に許容される担体または希釈剤を伴う活性成分の化合物また
は薬学的に許容される塩のいずれかを意味する。本明細書で使用される「治療有効量」は
、所与の適応症および投与レジメンに対して治療効果を提供する量を指す。
【0259】
本明細書で使用されるとおり、用語「投与する」は、対象を本発明の化合物と接触させ
ることを指す。本明細書中で使用されるとおり、投与は、インビトロ、すなわち試験管中
で、またはインビボ、すなわち例えばヒトなどの生物の細胞または組織内で達成すること
ができる。対象は、男性または女性の対象またはその両方であり得る。
【0260】
本発明の化合物の投与に適した様々な組成物または製剤を調製するための手順を記載す
る多数の標準的な参考文献が利用可能である。製剤および調製物を製造する方法の例は、
Handbook of Pharmaceutical Excipients、Am
erican Pharmaceutical Association(現行版)、P
harmaceutical Dosage Forms:Tablets(Liebe
rman、Lachman and Schwartz編集)現行版、Marcel D
ekker、Inc.刊、ならびにRemington’s Pharmaceutic
al Sciences(Arthur Osol編集)、1553〜1593(現行版
)に見ることができる。
【0261】
投与様式および投与形態は、所与の治療適用に望ましいおよび有効な化合物または組成
物の治療量に密接に関連している。
【0262】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の任意の方法によって対象に投与することができ
る。これらの方法には、経口、非経口、血管内、癌近傍(paracancerally
)、経粘膜、経皮、筋肉内、鼻腔内、静脈内、皮内、皮下、舌下、腹腔内、脳室内、頭蓋
内、膣内に、吸入による、直腸内、または腫瘍内が挙げられるが、これらに限定されない
。これらの方法は、組成物が組織(例えば、針またはカテーテル)に送達され得る任意の
手段を含む。または、皮膚、眼、または粘膜表面への塗布のために局所投与が望ましい場
合がある。別の投与方法は、吸引またはエアロゾル処方によるものである。医薬組成物は
、体表面に局所投与することができ、したがって、局所投与に適した形態で製剤化するこ
とができる。適切な局所製剤には、ゲル、軟膏、クリーム、ローション、滴剤などが含ま
れる。局所投与のために、組成物は調製され、薬学的担体の有無にかかわらず、生理学的
に許容される希釈剤中の溶液、懸濁液または乳液として塗布される。
【0263】
適切な投与形態には、経口、直腸、舌下、粘膜、鼻、眼、皮下、筋肉内、静脈内、経皮
、脊髄、髄腔内、関節内、動脈内、サブアラキノイド(sub−arachinoid)
、気管支、リンパ性および子宮内投与、ならびに活性成分の全身送達のための他の剤形が
挙げられるが、これらに限定されない。適応症に応じて、経口または局所投与に適した製
剤が好ましい。
【0264】
局所投与 :式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、ま
たはVIIBの化合物を局所投与することができる。本明細書中で使用されるとおり、「
局所投与」とは、式I〜VII、IA〜ID、IIA、IIB、VIIA、またはVII
Bの化合物(および任意の担体)を皮膚および/または毛に直接投与することを含む。局
所組成物は、溶液、ローション、膏薬、クリーム、軟膏、リポソーム、スプレー、ゲル、
フォーム、ローラースティック、および皮膚科学において日常的に使用される他の製剤の
形態であり得る。
【0265】
局所投与は、男性型多毛症、脱毛症、ざ瘡、過剰な皮脂など、皮膚に見られる適応症に
使用される。用量は変化するが、一般的な指針として、化合物は約0.01〜50w/w
%、より典型的には約0.1〜10w/w%の量で皮膚科学的に許容される担体中に存在
するであろう。通常、皮膚科用製剤は、1日1回〜4回まで患部に塗布される。「皮膚科
学的に許容される」とは、皮膚または毛に塗布され、薬物が作用部位に拡散することを可
能にする担体を指す。より具体的には、「作用部位」は、アンドロゲン受容体の阻害また
はアンドロゲン受容体の分解が望まれる部位を指す。
【0266】
式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIB
の化合物は、脱毛症、特にアンドロゲン脱毛症を軽減するために局所的に使用することが
できる。アンドロゲンは、毛の成長および脱毛の両方に重大な影響を及ぼす。顎髭および
陰部の皮膚などのほとんどの身体部位において、アンドロゲンは毛周期(成長期)の成長
段階を延長し、毛胞サイズを増大させることによって育毛を刺激する。頭皮の毛の成長は
アンドロゲンを必要としないが、逆説的に言えば、発生の期間および毛包サイズに進行性
の低下がある、遺伝的素因がある個体(アンドロゲン脱毛症)における頭皮の脱毛にはア
ンドロゲンは必要である。アンドロゲン脱毛症は、男性に見られるパターン化を示すので
はなく、通常はびまん性脱毛症として現れる女性にも一般的である。
【0267】
式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIB
の化合物は、アンドロゲン脱毛症を緩和するために最も一般的に使用されるが、化合物は
あらゆるタイプの脱毛症を緩和するために使用され得る。非アンドロゲン脱毛症の例には
、円形脱毛症、放射線療法または化学療法による脱毛症、瘢痕性脱毛症またはストレス関
連脱毛症が含まれるが、これらに限定されない。
【0268】
式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIB
の化合物は、禿頭症を予防または治療するために、頭皮および毛に局所的に塗布すること
ができる。さらに、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA
、またはVIIBの化合物は、頭皮上の毛の成長または再成長を誘導または促進するため
に、局所的に塗布することができる。
【0269】
本発明はまた、式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、
またはVIIBの化合物を、そのような毛の成長が望まれていない領域において毛の成長
を治療または予防するために局所的に投与することも包含する。そのような使用の1つは
、男性型多毛症を軽減することである。男性型多毛症は、典型的には毛を有さない領域(
例えば、女性の顔)における過度の毛の成長である。このような不適切な毛の成長は、女
性において最も一般的に発生し、閉経時に頻繁に見られる。式I〜VII、IA、IB、
IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの化合物の局所投与は、この状
態を緩和し、この不適切な、または望ましくない毛の成長の減少または排除を導くであろ
う。
【0270】
式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIB
の化合物はまた、皮脂産生を減少させるために局所的に使用することもできる。皮脂は、
トリグリセリド、ワックスエステル、脂肪酸、ステロールエステルおよびスクアレンから
なる。皮脂は、皮脂腺の腺房細胞で産生され、これらの細胞が老化するにつれて蓄積する
。成熟時に、腺房細胞は溶解し、皮脂を管腔に放出し、皮膚の表面に沈着させることがで
きる。
【0271】
いくつかの個体では、過剰量の皮脂が皮膚に分泌される。これは多くの悪影響を及ぼし
かねない。皮脂はざ瘡の原因物質である、プロピオンバクテリウムアクネス(Propi
onbacterium acnes)の主要な食物源であるため、ざ瘡を悪化させる可
能性がある。それは、皮膚に脂ぎった外観を持たせ、典型的には美容的に魅力的でないと
考えられる。
【0272】
皮脂の形成は、成長因子およびアンドロゲンを含む様々なホルモンによって調節される
。アンドロゲンが皮脂腺に影響を及ぼす細胞および分子機構は完全には解明されていない
。しかし、臨床経験は、アンドロゲンが皮脂産生に及ぼす影響について文書化している。
アンドロゲンレベルが最も高い、思春期の間に皮脂産生が有意に増加する。式I〜VII
、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの化合物は、皮
脂の分泌を阻害し、したがって皮膚の表面上の皮脂の量を減少させる。式I〜VII、I
A、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの化合物は、ざ瘡ま
たは脂漏性皮膚炎などの様々な皮膚疾患を治療するために使用することができる。
【0273】
過剰な皮脂産生に関連する疾患を治療することに加えて、式I〜VII、IA、IB、
IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの化合物は、美容効果を達成す
るために使用することができる。一部の消費者は、過剰な皮脂腺に悩まされていると考え
ている。彼らは、肌が油っぽく魅力的ではないと感じている。こういった人々は、式I〜
VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIBの化合物
を使用して、皮膚上の皮脂量を減少させることができる。皮脂の分泌を減少させることは
、そのような状態に悩んでいる人々の油性皮膚を緩和する。
【0274】
これらの局所適応症を治療するために、本発明は、式I〜VII、IA、IB、IC、
ID、IIA、IIB VIIA、またはVIIB の化合物の少なくとも1つを含む、
化粧品または医薬組成物(皮膚科学的組成物など)を包含する。このような皮膚科学的組
成物は、皮膚科学的に許容される担体との混合物中に0.001%〜10%w/w%の化
合物、より典型的には0.1〜5w/w %の化合物を含有する。このような組成物は、
典型的には1日に1回〜4回塗布される。読者の関心は、そのような製剤を調製する方法
の議論について、Remington’s Pharmaceutical Scien
ce、第17版、Mark Publishing Co.、Easton、PAに向け
られている。
【0275】
本発明の組成物はまた、クレンジング石けんまたはバーのような固形製剤を含み得る。
これらの組成物は、当該分野で公知の方法に従って調製される。
【0276】
水性、アルコール性または水性アルコール性溶液、またはクリーム、ゲル、乳液もしく
はムースのような製剤、または噴射剤を含むエアロゾル組成物は、毛が存在する場合に生
じる適応症を治療するために使用され得る。したがって、組成物はヘアケア組成物であっ
てもよい。そのようなヘアケア組成物には、シャンプー、ヘアセットローション、トリー
トメントローション、スタイリングクリームまたはゲル、染料組成物、または脱毛を予防
するためのローションまたはゲルが含まれるが、これらに限定されない。皮膚科学的組成
物中の種々の成分の量は、考慮される分野において慣用的に使用されるものである。
【0277】
式I〜VII、IA、IB、IC、ID、IIA、IIB、VIIA、またはVIIB
の化合物を含有する医薬品および化粧品は、通常、小売り用にパッケージングされる(す
なわち、製造品)。そのような物品は、製品をどのように使用するかを患者に指示する方
法でラベル付けされ包装される。このような指示には、治療すべき状態、治療期間、投与
スケジュールなどが含まれる。
【0278】
フィナステリドまたはフルタミドなどの抗アンドロゲン剤は、アンドロゲンレベルを低
下させるか、またはある程度皮膚のアンドロゲン作用をブロックするが、望ましくない全
身的影響を被ることが示されている。別のアプローチは、選択的アンドロゲン受容体分解
剤(SARD)化合物を患部に局所適用することである。このようなSARD化合物は、
AR活性の強力であるが局所的な阻害、およびARの局所分解を示し、対象の全身循環に
浸透せず、または血液中に侵入すると迅速に代謝され、全身暴露を制限する。
【0279】
このような医薬剤形を調製するために、活性成分を、従来の医薬配合技術に従って医薬
担体と混合してもよい。担体は、投与に望ましい製剤の形態に応じて多種多様な形態を取
ることができる。
【0280】
本明細書で使用されるとおり、「薬学的に許容される担体または希釈剤」は、当業者に
周知である。担体または希釈剤は、固体製剤のための固体担体または希釈剤、液体製剤の
ための液体担体または希釈剤、またはそれらの混合物であり得る。
【0281】
固体担体/希釈剤には、ガム、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、前澱粉デン
プン)、糖(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース、デキストロース)、セル
ロース系物質(例えば、微結晶セルロース)、アクリレート(例えば、ポリメチルアクリ
レート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルク、またはそれらの混合物が挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0282】
経口および非経口投与:経口剤形で組成物を調製する際には、通常の医薬媒体のいずれ
かを使用することができる。したがって、懸濁液、エリキシル剤および溶液のような液体
経口製剤では、適切な担体および添加剤には、水、グリコール、油、アルコール、香味剤
、防腐剤、着色剤などが含まれる。散剤、カプセル剤および錠剤のような固体経口製剤の
場合、適切な担体および添加剤には、澱粉、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊
剤などが含まれる。投与が容易であるため、錠剤およびカプセル剤は、最も有利な経口投
与単位形態を表す。所望であれば、錠剤は、標準的な技術によって糖衣または腸溶コーテ
ィングしてもよい。
【0283】
非経口製剤の場合、担体は通常、滅菌水を含むが、溶解性または保存性を補助する成分
などの他の成分が含まれていてもよい。注射可能な溶液もまた調製することができ、その
場合、適切な安定化剤を使用することができる。
【0284】
いくつかの用途では、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質、および多糖類から
選択されるもののような適切な生体分子上で、活性剤をリポソームまたは他の封入剤媒体
中にカプセル化することによって、または例えば共有結合、キレート化、もしくは会合配
位による活性剤の固定によって、「ベクター化」形態で活性剤を使用することは有利であ
り得る。
【0285】
経口投与に適した製剤を使用する治療方法は、カプセル、カシェ剤、錠剤またはロゼン
ジのような別個の単位として提供することができ、各々所定量の活性成分を含有する。必
要に応じて、シロップ、エリキシル、乳液、ドラフトなどの水性液または非水性液体の懸
濁液を使用することができる。
【0286】
錠剤は、必要に応じて1種以上の補助成分と共に、圧縮または成形、または湿式造粒に
よって製造することができる。圧縮錠剤は、活性化合物が、例えば、結合剤、崩壊剤、滑
剤、不活性希釈剤、界面活性剤、または排出剤などと任意に混合された粉末または顆粒な
どの自由流動性形態で、適切な機械で圧縮することによって調製されてもよい。粉末活性
化合物と適切な担体との混合物からなる成形錠剤は、適切な機械で成形することによって
製造することができる。
【0287】
シロップは、例えばスクロースのような糖の濃縮水溶液に活性化合物を添加することに
より製造することができ、これに任意の補助成分を添加することもできる。そのような補
助成分は、香味料、適切な保存剤、糖の結晶化を遅らせる薬剤、およびポリヒドロキシア
ルコール、例えばグリセロールまたはソルビトールのような他の成分の溶解性を高める薬
剤を含み得る。
【0288】
非経口投与に適した製剤は、好ましくはレシピエントの血液と等張である活性化合物の
滅菌水性調製物(例えば、生理食塩水)を含むことができる。そのような製剤は、化合物
を血液成分または1つ以上の器官を標的化するように設計された、懸濁剤および増粘剤、
ならびにリポソームまたは他の微粒子系を含み得る。製剤は、単位用量または複数用量の
形態で提供され得る。
【0289】
非経口投与は、全身送達の任意の適切な形態を含み得る。投与は、例えば、静脈内、動
脈内、くも膜下腔内、筋肉内、皮下、筋肉内、腹腔内(例えば、腹腔内)などであり得、
所望の投与様式に適切な注入ポンプ(外部または移植可能)または他の適した手段によっ
て達成され得る。
【0290】
経鼻および他の粘膜スプレー製剤(例えば、吸入可能な形態)は、保存剤および等張剤
を含む活性化合物の精製水溶液を含むことができる。そのような製剤は、好ましくは、鼻
または他の粘膜と適合するpHおよび等張性状態に調整される。または、それらは、ガス
担体中に懸濁された微細に分割された固体粉末の形態であってもよい。そのような製剤は
、任意の適切な手段または方法、例えばネブライザー、アトマイザー、定量吸入器などに
よって送達することができる。
【0291】
直腸投与のための製剤は、カカオバター、水素化脂肪、または水素化脂肪カルボン酸な
どの適切な担体を含む坐薬として提供され得る。
【0292】
経皮製剤は、セルロース媒質、例えば、メチルセルロースまたはヒドロキシエチルセル
ロースなどのチキソトロピーまたはゼラチン状担体中に活性剤を組み込み、次に得られた
製剤を着用者の皮膚と接触するように固定された経皮デバイスに充填することによって調
製することができる。
【0293】
上記の成分に加えて、本発明の製剤は、希釈剤、緩衝剤、香味剤、結合剤、崩壊剤、界
面活性剤、増粘剤、潤滑剤、防腐剤(酸化防止剤を含む)などから選択される1種以上の
成分をさらに含み得る。
【0294】
製剤は、即時放出、持続放出、遅延開始放出または当業者に公知の任意の他の放出プロ
ファイルのものであってもよい。
【0295】
哺乳動物、特にヒトへの投与のためには、医師が実際の投与量および治療期間を決定す
ることが期待され、これは個体に最も適しており、年齢、体重、遺伝学および/または特
定の固体の応答によって変化し得る。
【0296】
本発明の方法は、治療有効量での化合物の投与を含む。治療的に有効な量には、様々な
用量が含まれ得る。
【0297】
一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり1〜3000mgの投与量で投与され
る。さらなる実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり1〜10mg、1日当たり3
〜26mg、1日当たり3〜60mg、1日当たり3〜16mg、1日当たり3〜30m
g、1日当たり10〜26mg、1日当たり15〜60mg、50〜100mg、1日当
たり50〜200mg、1日当たり100〜250mg、1日当たり125〜300mg
、1日当たり20〜50mg、5〜50mg 1日当たり200〜500mg、1日当た
り125〜500mg、1日当たり500〜1000mg、1日当たり200〜1000
mg、1日当たり1000〜2000mg、1日当たり1000〜3000mg、1日当
たり125〜3000mg、1日当たり2000〜3000mg、1日当たり300〜1
500mgまたは1日当たり100〜1000mgである。一実施形態では、本発明の化
合物は、1日当たり25mgの用量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、
1日当たり40mgの用量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当た
り50mgの用量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり67.
5mgの用量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり75mgの
用量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり80mgの用量で投
与される。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり100mgの用量で投与され
る。一実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり125mgの用量で投与される。一
実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり250mgの用量で投与される。一実施形
態では、本発明の化合物は、1日当たり300mgの用量で投与される。一実施形態では
、本発明の化合物は、1日当たり500mgの用量で投与される。一実施形態では、本発
明の化合物は、1日当たり600mg の用量で投与される。一実施形態では、本発明の
化合物は、1日当たり1000mgの用量で投与される。一実施形態では、本発明の化合
物は、1日当たり1500mgの用量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は
、1日当たり2000mgの用量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は1日
当たり2500mgの用量で投与される。一実施形態では、本発明の化合物は1日当たり
3000mgの用量で投与される。
【0298】
この方法は、種々の用量で化合物を投与することを含み得る。例えば、化合物は、3m
g、10mg、30mg、40mg、50mg、80mg、100mg、120mg、1
25mg、200mg、250mg、300mg、450mg、500mg、600mg
、900mg、1000mg、1500mg、2000mg、2500mgまたは300
0mgの用量で投与することができる。
【0299】
または、化合物を1日当たり0.1mg/kgの用量で投与することができる。化合物
は、1日当たり0.2〜30mg/kg、または1日当たり0.2mg/kg、1日当た
り0.3mg/kg、1日当たり1mg/kg、1日当たり3mg/kg、1日当たり5
mg/kg、1日当たり10mg/kg、1日当たり20mg/kg、1日当たり30m
g/kg、1日当たり50mg/kg、または1日当たり100mg/kgの用量で投与
することができる。
【0300】
医薬組成物は、固体剤形、溶液または経皮パッチであってもよい。固体投与形態として
は、錠剤およびカプセルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0301】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をより完全に説明するために提示される。
しかし、それらは決して本発明の広い範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0302】
実施例1
SARDの合成
中間体9〜10の合成
【化34】

スキーム1中間体9〜10の合成

(2R)−1−メタクリロイルピロリジン−2−カルボン酸(2)
D−プロリン(1、14.93g、0.13mol)を71mLの2N NaOHに溶
解し、氷浴中で冷却した。得られたアルカリ溶液をアセトン(71mL)で希釈した。塩
化メタクリロイル(13.56g、0.13mol)および2N NaOH溶液(71m
L)のアセトン溶液(71mL)を氷浴中でD−プロリン水溶液に40分間かけて同時に
添加した。塩化メタクリロイルの添加中、混合物の温度を10〜11℃に保った。撹拌(
3時間(h)、室温(RT))後、混合物を35〜45℃の温度で、真空中で蒸発させて
アセトンを除去した。得られた溶液をエチルエーテルで洗浄し、濃縮したHClでpH2
に酸性化した。酸性混合物をNaClで飽和させ、EtOAc(100mL×3)で抽出
した。合わせた抽出物をNaSOで乾燥させ、Celite(登録商標)で濾過し、
減圧下で蒸発させて、粗生成物を無色油状物として得た。エチルエーテルおよびヘキサン
からの油の再結晶により、所望の化合物を無色結晶として16.2g(68%)得た:融
点102.1〜103.4℃(文献値融点102.5〜103.5℃)。この化合物のN
MRスペクトルは、表題化合物の2つの回転異性体の存在を実証した。
【0303】
H NMR(300MHz、DMSO−d)第1の回転異性体についてδ5.28
(s)および5.15(s)、第2の回転異性体について5.15(s)および5.03
(s)(両方の回転異性体について完全2H、ビニルCH)、第1の回転異性体につい
て4.48〜4.44、第2の回転異性体について4.24〜4.20(m)(両方の回
転異性体について完全1H、キラル中心でCH)、3.57〜3.38(m、2H、CH
)、2.27〜2.12(1H、CH)、1.97〜1.72(m、6H、CH、C
H、Me)、13C NMR(75MHz、DMSO−d)主回転異性体についてδ1
73.3、169.1、140.9、116.4、58.3、48.7、28.9、24
.7、19.5:副回転異性体についてδ174.0、170.0、141.6、115
.2、60.3、45.9、31.0、22.3、19.7;IR(KBr)3437(
OH)、1737(C=O)、1647(CO、COOH)、1584、1508、14
59、1369、1348、1178cm−1、[α]26+80.8°(c=1、M
eOH);C13NOについての分析計算値:C59.00、H7.15、N7.
65。実測値:C59.13、H7.19、N7.61。
(3R,8aR)−3−ブロモメチル−3−メチル−テトラヒドロ−ピロロ[2,1−c
][1,4]オキサジン−1,4−ジオン(3)
【0304】
100mLのDMF中のNBS(23.5g、0.132mol)溶液を、アルゴン下
、室温で、70mLのDMF中の(メチル−アクリロイル)−ピロリジン(16.1g、
88mmol)の撹拌溶液に滴下し、得られた混合物を3日間撹拌した。溶媒を真空中で
除去し、黄色固体を沈殿させた。固体を水中に懸濁させ、室温で一晩撹拌し、濾過し、乾
燥させて18.6g(81%)(乾燥したとき、約34%軽い)の表題化合物を黄色固体
として得た。融点158.1〜160.3℃。
【0305】
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ4.69(dd、J=9.6Hz、
J=6.7Hz、1H、CHキラル中心で)、4.02(d、J=11.4Hz、1H、
CHH)、3.86(d、J=11.4Hz、1H、CHH)、3.53〜3.24
(m、4H、CH)、2.30〜2.20(m、1H、CH)、2.04〜1.72(
m、3H、CHおよびCH)、1.56(s、2H、Me);13C NMR(75M
Hz、DMSO−d)δ167.3、163.1、83.9、57.2、45.4、3
7.8、29.0、22.9、21.6;IR(KBr)3474、1745(C=O)
、1687(C=O)、1448、1377、1360、1308、1227、1159
、1062cm−1;[α]26+124.5°(c=1.3、クロロホルム);C
12BrNOについての分析計算値:C41.24、H4.61、N5.34。実測
値:C41.46、H4.64、N5.32.
(2R)−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(4)
【0306】
300mLの24%HBr中のブロモラクトン(18.5g、71mmol)の混合物
を還流下で1時間加熱した。得られた溶液をブライン(200mL)で希釈し、酢酸エチ
ル(100mL×4)で抽出した。合わせた抽出物を飽和NaHCO(100mL×4
)で洗浄した。水溶液を濃縮されたHClでpH=1に酸性化し、次いでこれを酢酸エチ
ル(100mL×4)で抽出した。合わせた有機溶液をNaSOで乾燥させ、Cel
ite(登録商標)で濾過し、真空中で蒸発乾固させた。トルエンからの再結晶化により
、10.2g(86%)の所望の化合物が無色結晶として得られた:融点110.3〜1
13.8°C。
【0307】
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ3.63(d、J=10.1Hz、
1H、CHH)、3.52(d、J=10.1Hz、1H、CHH)、1.35(s
、3H、Me);IR(KBr)3434(OH)、3300〜2500(COOH)、
1730(C=O)、1449、1421、1380、1292、1193、1085c
−1;[α]26+10.5°(c=2.6、MeOH);CBrOについ
ての分析計算値:C26.25、H3.86。実測値:C26.28、H3.75。
(2R)−3−ブロモ−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2
−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8)
【0308】
塩化チオニル(46.02g、0.39mol)を、アルゴン雰囲気下で、300ml
のTHF中の(R)−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(4、51.
13g、0.28mol)の(4℃未満)の冷却溶液に滴下した。得られた混合物を同じ
条件下で3時間撹拌した。これにEtN(39.14g、0.39mol)を添加し、
同じ条件下で20分間撹拌した。20分後、5−アミノ−2−シアノベンゾトリフルオラ
イド(cyanobenzotrifluoride)(6、40.0g、0.21mo
l)、400mLのTHFを添加し、次いで混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下
で除去して固体を得、300mLのHOで処理し、EtOAc(2×400mL)で抽
出した。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO溶液(2×300mL)およびブライン
(300mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮して固体を得、
これをCHCl/EtOAc(80:20)を用いてカラムクロマトグラフィーから
精製して固体を得た。この固体をCHCl/ヘキサンから再結晶して、55.8g(
73.9%)の(2R)−3−ブロモ−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)
フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを淡黄色固体として得た。
H NMR(CDCl/TMS)δ1.66(s、3H、CH)、3.11(s、
1H、OH)、3.63(d、J=10.8Hz、1H、CH)、4.05(d、J=
10.8Hz、1H、CH)、7.85(d、J=8.4Hz、1H、ArH)、7.
99(dd、J=2.1、8.4Hz、1H、ArH)、8.12(d、J=2.1Hz
、1H、ArH)、9.04(bS、1H、NH).MS(ESI)349.0[M−H
;融点124〜126℃。
(2R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−2
−メチルプロパンアミド(7)
【0309】
アルゴン雰囲気下、塩化チオニル(15mL、0.20mol)を、氷水浴中で、30
0mLのTHF中の(R)−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(4、
24.3g、0.133mol)の(4℃未満の)冷却溶液に滴下した。得られた混合物
を同じ条件下で3時間撹拌した。これにEtN(35mL、0.245mol)を添加
し、同じ条件下で20分間撹拌した。20分後、100mLのTHF中の4−アミノ−2
−クロロベンゾニトリル溶液(5、15.6g、0.10mol)を加え、次いで混合物
を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去して固体を得、300mLのHOで処理し
、EtOAc(2×150mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、飽和NaHCO
溶液(2×150mL)およびブライン(300mL)で洗浄した。有機層をMgSO
で乾燥し、減圧下で濃縮して固体を得、これをCHCl/EtOAc(80:20)
を用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して固体を得た。この固体をCH
Cl/ヘキサンから再結晶して、31.8g(73%)の(2R)−3−ブロモ−N−
(4−シアノ−3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(7
)を淡黄色固体として得た。
H NMR(CDCl、400MHz)δ1.7(s、3H、CH)、3.0(s
、1H、OH)、3.7(d、1H、CH)、4.0(d、1H、CH)、7.5(d、
1H、ArH)、7.7(d、1H、ArH)、8.0(s、1H、ArH)、8.8(
s、1H、NH)。MS:342(M+23)。融点129°C。
(S)−N−(3−クロロ−4−シアノフェニル)−2−メチルオキシラン−2−カルボ
キサミド(9)
【0310】
3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル
プロパンアミド(7、0.84mmol)の混合物および炭酸カリウム(1.68mmo
l)を10mLのアセトン中で30分間加熱還流した。TLCによりモニターして出発臭
化物7を所望のエポキシド9に完全に変換した後、溶媒を減圧下で蒸発させて黄色がかっ
た残渣を得、これを10mLの無水EtOAcに注いだ。この溶液をCelite(登録
商標)パッドで濾過してKCO残渣を除去し、減圧下で濃縮してエポキシド9を淡黄
色固体として得た。
【0311】
H NMR(CDCl3、400MHz)δ8.41(bS、NH)、8.02(d
、J=2.0Hz、1H、ArH)、7.91(dd、J=2.0、8.4Hz、1H、
ArH)、7.79(d、J=2.0Hz、1H、ArH)、3.01(s、2H)、1
.69(s、3H)。MS(ESI)m/z 235.0[M−H]
5員環化合物
【化35】
【0312】
本発明の5員環化合物は、m=0である以下の一般的な合成経路(方法Aおよび方法B
)を用いて生成した。変数XおよびYは、所望の化合物を得るために必要に応じて定義さ
れる。
【0313】
方法A:
【化36】
【0314】
THF中のリチウムジイソプロピルアミド(LDA)溶液の調製:無水5mLのTHF
中の新たに蒸留したジイソプロピルアミン(0.14mL、1.2mmol)の撹拌溶液
に、n−ブチルリチウム(0.53mL、1.32mmol、ヘキサン中の2.5M溶液
)を−78℃でアルゴン雰囲気下で添加した。LDAまたは市販の2.0M LDAの調
製溶液を0℃にゆっくりと加温し、10分間撹拌し、再び−78℃に冷却した。LDA溶
液に5mLのTHF中の9’(1.0mmol)溶液を20分間かけて滴下した。THF
中の化合物7または8を、アルゴン雰囲気下、滴下漏斗を通して−78℃で滴下した。反
応混合物を同じ温度で30分間撹拌し、飽和NHClの添加によりクエンチした。溶液
を減圧下で濃縮し、過剰のEtOAcに分散させ、NaSOで乾燥させた。溶液を濃
縮し、得られた固体をEtOAc/ヘキサンまたはDCM/ヘキサンから再結晶して、設
計された化合物10’を得た。母液を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(E
tOAc/ヘキサン)により精製して10’の第2の収穫物を得た。
【0315】
方法B:
【化37】
【0316】
オキシラン9および10の合成による工程は、スキーム1の場合と同じである。鉱油中
60%分散のNaH(228mg、5.7mmol)を、20mLの無水THF溶媒中に
、滴下漏斗を備えた100mLの乾燥した二口丸底フラスコ内に加えた。一般構造12’
(2.84mmol)の化合物を、アルゴン雰囲気下、氷水浴中で、溶液に加え、得られ
た溶液を氷水浴で30分間撹拌した。このフラスコに、エポキシド9または10(THF
中2.84mmol)を滴下漏斗を通して、アルゴン雰囲気下で、氷水浴で加え、室温で
一晩撹拌した。1mLのHOを加えた後、反応混合物を減圧下で濃縮し、次いで50m
LのEtOAcに分散させ、50mL(×2)の水、ブラインで洗浄し、無水MgSO
で乾燥し、蒸発乾固した。混合物をEtOAc/ヘキサンの溶離剤を用いたフラッシュカ
ラムクロマトグラフィーで精製し、濃縮した化合物をEtOAc/ヘキサンで再結晶して
一般構造13’の生成物を得た。
【0317】
一例として1001の合成手順:
【化38】

(S)−3−(3−シアノ−1H−ピロール−1−イル)−N−(4−シアノ−3−(ト
リフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C17
13)(1001)
【化39】
【0318】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(10mL)中で1H−ピロール
−3−カルボニトリル(0.10g、0.00108mol)の溶液に、水素化ナトリウ
ム(60%油中分散液、0.090g、0.00217mol)を加えた。添加後、得ら
れた混合物を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフル
オロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8、0.38g
、0.00108mol)を上記溶液に添加し、得られた反応混合物をアルゴン下で、室
温で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブライン
で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、溶離液として
酢酸エチルおよびヘキサン(1:1)を使用するシリカゲルカラムにより精製して、0.
26gのピンク色の固体として表題化合物を得た。
【0319】
化合物1001を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.44(s、1H、NH)、8.44(s、1H、ArH)、8.24(d
、J=8.8Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.8Hz、1H、ArH)、
7.49(s、1H、ピロール−H)、6.38(t、J=2.0Hz、1H、ピロール
−H)、6.41〜6.40(m、2H、OHおよびピロール−H)、4.30(d、J
=14.0Hz、1H、CH)、4.14(d、J=14.0Hz、1H、CH)、1.
34(s、3H、CH)。(ESI、正):363.1079[M+H]
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−フルオ
ロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C
12)(1002)
【化40】
【0320】
アルゴン雰囲気下で氷水浴中で冷却した無水THF(10mL)中の4−フルオロ−ピ
ラゾール(0.10g、0.00116mol)溶液に、水素化ナトリウム(60%油中
分散液、0.12g、0.00291mol)を加えた。添加後、得られた混合物を3時
間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェ
ニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8)(0.41g、0.0011
6mol)を上記溶液に加え、反応混合物をアルゴン下、室温で一晩撹拌した。反応物を
水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥
させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、溶離剤として酢酸エチルおよびヘキサン(
1:1)を用いるシリカゲルカラムにより精製して、0.13gの表題化合物を白色固体
として得た。
【0321】
化合物1002を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.39(s、1H、NH)、8.47(d、J=1.6Hz、1H、ArH
)、8.24(dd、J=8.4Hz、J=2.0Hz、1H、ArH)、8.10(d
、J=8.4Hz、1H、ArH)、7.73(d、J=4.4Hz、1H、ピラゾール
−H)、7.41(d、J=4.4Hz、1H、ピラゾール−H)、6.31(s、1H
、OH)、4.38(d、J=14.0Hz、1H、CH)、4.21(d、J=14.
0Hz、1H、CH)、1.34(s、3H、CH);質量(ESI、正):357.
0966[M+H];融点109〜111℃。
【0322】
S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−フルオ
ロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド塩酸塩
(C1513ClF)(1002−HCl)
【化41】
【0323】
3mLのメタノール中の(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェ
ニル)−3−(4−フルオロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メ
チルプロパンアミド(0.100g、0.2807mmol)溶液に、塩酸塩(エーテル
中の2M HCl、0.15mL、0.2947mol)を添加した。添加後、得られた
混合物を室温で1〜2時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、乾燥させて、0.11g(
99%)の表題化合物を白色泡状物として得た。
【0324】
S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−フルオ
ロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドシュウ
酸塩(C1714)(1002−シュウ酸塩)
【化42】
【0325】
2mLのメタノール中の(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェ
ニル)−3−(4−フルオロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メ
チルプロパンアミド(0.050g、0.14034mmol)溶液に、シュウ酸(0.
0177g、0.14034mol)を加えた。添加後、得られた混合物を室温で1〜2
時間撹拌した。ジエチルエーテルを上記溶液に加え、固体を濾過し、真空下で乾燥して、
0.058g(92%)の表題化合物を白色固体として得た。
【0326】
化合物1002−シュウ酸塩を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz
、DMSO−d)δ14.02(bs、2H)、10.38(s、1H、NH)、8.
46(s、1H、ArH)、8.24(d、J=8.4Hz、1H、ArH)、8.10
(d、J=8.4Hz、1H、ArH)、7.73(d、J=4.8Hz、1H、ピラゾ
ール−H)、7.41(d、J=4.0Hz、1H、ピラゾール−H)、6.30(s、
1H、OH)、4.38(d、J=14.0Hz、1H、CH)、4.31(s、2H)
、4.21(d、J=14.0Hz、1H、CH)、2.42(s、4H)、1.34(
s、3H、CH)。
【0327】
S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−フルオ
ロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド2,3
−ジヒドロキシコハク酸塩(C1918)(1002−酒石酸塩)
【化43】

2mLのメタノール中の(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニ
ル)−3−(4−フルオロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチ
ルプロパンアミド(0.050g、0.14034mmol)溶液に、L−(+)−酒石
酸(0.021g、0.14034mol)を添加した。添加後、得られた混合物を室温
で1〜2時間撹拌した。ジエチルエーテルを上記溶液に添加し、固体を濾過し、真空下で
乾燥して、0.067g(94%)の表題化合物を白色固体として得た。
化合物1002−酒石酸塩を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、D
MSO−d)δ12.69(s、2H)、10.38(s、1H、NH)、8.46(
s、1H、ArH)、8.24(d、J=8.4Hz、1H、ArH)、8.10(d、
J=8.4Hz、1H、ArH)、7.73(d、J=4.4Hz、1H、ピラゾール−
H)、7.41(d、J=4.0Hz、1H、ピラゾール−H)、6.30(s、1H、
OH)、5.08(s、2H、OH)、4.38(d、J=14.0Hz、1H、CH)
、4.31(s、2H)、4.21(d、J=14.0Hz、1H、CH)、2.42(
s、4H)、1.34(s、3H、CH)。
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−フルオ
ロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド臭化水
素酸塩(C1513BrF)(1002−HBr)
【化44】

2mLのメタノール中の(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニ
ル)−3−(4−フルオロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチ
ルプロパンアミド(0.050g、0.1403mmol)溶液に、臭化水素酸塩(48
%w/w水溶液、0.0159mL、0.1403mol)を添加した。添加後、得られ
た混合物を室温で1〜2時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、乾燥させて0.061g
(99%)の表題化合物を黄色がかった泡状物として得た。
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−フルオ
ロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドサクシ
ネート(1002−コハク酸塩)(C1918
【化45】

2mLのメタノール中の(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニ
ル)−3−(4−フルオロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチ
ルプロパンアミド(0.050g、0.14034mmol)溶液に、コハク酸(0.0
166g、0.14034mol)を添加した。添加後、得られた混合物を室温で1〜2
時間撹拌した。ジエチルエーテルを上記溶液に添加し、固体を濾過し、真空下で乾燥させ
て、0.063g(95%)の表題化合物を白色固体として得た。
化合物1002−酒石酸塩を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、D
MSO−d)δ12.14(s、2H)、10.39(s、1H、NH)、8.46(
s、1H、ArH)、8.24(d、J=8.8Hz、1H、ArH)、8.10(d、
J=8.8Hz、1H、ArH)、7.73(d、J=4.4Hz、1H、ピラゾール−
H)、7.41(d、J=4.4Hz、1H、ピラゾール−H)、6.30(s、1H、
OH)、4.39(d、J=14.0Hz、1H、CH)、4.21(d、J=14.0
Hz、1H、CH)、2.42(s、4H)、1.34(s、3H、CH)。
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−
2−メチル−3−(4−フェニル−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンアミド(C
17)(1003)
【化46】
【0328】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(10mL)中の4−フェニル−
ピラゾール(0.50g、0.003468mol)の溶液に、水素化ナトリウム(60
%油中分散液(0.35g、0.00867mol)を加えた。添加後、得られた混合物
を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル
)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8、1.22g、0.00
3468mol)を上記溶液に添加し、得られた反応混合物をアルゴン下で、室温で一晩
撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し
、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、溶離剤として酢酸エチ
ルおよびヘキサン(1:2)を用いるシリカゲルカラムにより精製して、0.90gの表
題化合物を白色針状物として得た。
【0329】
化合物1003を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.40(s、1H、NH)、8.46(d、J=2.0Hz、1H、ArH
)、8.24(dd、J=8.4Hz、J=2.0Hz、1H、ArH)、8.09(d
、J=8.4Hz、1H、ArH)、8.05(s、1H、ピラゾール−H)、7.82
(s、1H、ピラゾール−H)、7.52〜7.45(m、2H、ArH)、7.35〜
7.31(m、2H、ArH)、7.20〜7.16(m、1H、ArH)、6.33(
s、1H、OH)、4.50(d、J=14.0Hz、1H、CH)、4.30(d、J
=14.0Hz、1H、CH)、1.40(s、3H、CH);質量(ESI、正):
415.1455[M+H]
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−
2−メチル−3−(3−フェニル−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド(C22
18)(1004)
【化47】
【0330】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(10mL)中の3−フェニル−
ピロール(0.50g、0.00349mol)溶液に、水素化ナトリウム(60%油中
分散液、0.35g、0.00873mol)を加えた。添加後、得られた混合物を3時
間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェ
ニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8、1.23g、0.00349
mol)を上記溶液に添加し、得られた反応混合物をアルゴン下で、室温で一晩撹拌した
。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgS
で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、溶離剤として酢酸エチルおよび
ヘキサン(1:2)を用いるシリカゲルカラムにより精製して、0.90gの表題化合物
をピンク色の固体として得た。
【0331】
化合物1004を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.41(s、1H、NH)、8.24(d、J=1.6Hz、1H、ArH
)、8.17(dd、J=8.4Hz、J=2.0Hz、1H、ArH)、8.07(d
、J=8.4Hz、1H、ArH)、7.38〜7.33(m、4H、ArH)、7.2
8〜7.24(m、1H、ArH)、6.96(t、J=3.0Hz、1H、ピロールH
)、6.28(s、1H、OH)、6.07(t、J=3.5Hz、1H、ピロールH)
、6.03(m、1H、ピロールH)、4.30〜4.22(m、2H、CH)、1.
01(s、3H、CH);質量(ESI、正):414.1432[M+H]
ブロモ−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチ
ル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(1005および1006

【化48】
【0332】
THF/ヘプタン/エチルベンゼン(1mL)中のリチウムジイソプロピルアミド溶液
(2.0M)を、5mLの無水THF中の4−ブロモ−1H−イミダゾール(1.0mm
ol、2mmol)溶液に−78℃でゆっくりと加え、0℃に加温し、10分間撹拌し、
再び−78℃に冷却した。この溶液に、8(1mmol)から調製した(S)−N−(4
−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−メチルオキシラン−2−カルボ
キサミド(10、1mmol)溶液を滴下し、反応混合物を一晩攪拌した。飽和NH
lの添加によるクエンチ後、溶液を減圧下で濃縮し、過剰のEtOAcに分散させ、Na
SOで乾燥させた。溶液を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOA
c/ヘキサン)で精製して、所望の生成物を白色固体として全体収率69%(1005に
対して37%、1006に対して32%)として得た。
【0333】
化合物は以下のように特徴付けられた:
(S)−3−(5−ブロモ−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−シアノ−3−
(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C
12BrF)(1005)
【化49】
【0334】
方法A(一般構造9’の代わりにブロモアミド8および4−ブロモ−1H−イミダゾー
ルを使用)により白色固体を得た。H NMR(アセトン−d、400MHz)δ9
.93(bs、1H、NH)、8.44(d、J=2.0Hz、1H)、8.26(dd
、J=8.6、2.0Hz、1H)、8.03(d、J=8.6Hz、1H)、7.47
(s、1H)、7.11(s、1H)、5.83(s、1H、OH)、4.50(d、J
=14.0Hz、1H)、4.23(d、J=14.0Hz、1H)、1.55(s、3
H);19F NMR(アセトン−d、400MHz)δ114.69;MS(ESI
):415.0[M−H];LCMS(ESI)m/z C1511
rの計算値:415.0088。実測値:415.0017[M−H]
(S)−3−(4−ブロモ−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(4−シアノ−3−
(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C
12BrF)(1006)
【化50】
【0335】
方法A(一般構造9’の代わりにブロモアミド8および4−ブロモ−1H−イミダゾー
ル)を用いて白色固体を得た。H NMR(CDCl、400MHz)δ9.48(
bs、1H、NH)、8.15(s、1H)、7.97(d、J=8.6Hz、1H)、
7.83(d、J=8.6Hz、1H)、7.71(s、1H)、6.75(s、1H)
、4.53(d、J=14.4Hz、1H)、4.09(d、J=14.4Hz、1H)
、2.84(s、1H、OH)、1.45(s、3H);19F NMR(CDCl
400MHz)δ−62.19。MS(ESI):415.0[M−H]
(S)−N−(3−クロロ−4−シアノフェニル)−2−ヒドロキシ−3−(1H−イミ
ダゾール−1−イル)−2−メチルプロパンアミド(C1413ClN)(10
08)
【化51】
【0336】
方法A(一般構造9’の代わりにブロモアミド7と1Hのイミダゾールを使用して)を
用いて黄色がかった固体を得た。収率53%。H NMR(DMSO−d、400M
Hz)δ10.24(bs、1H、NH)、8.19(s、1H)、7.90(m、2H
)、7.53(s、1H)、7.05(s、1H)、6.83(s、1H)、6.40(
bs、1H、OH)、4.31(d、J=14.4Hz、1H)、4.11(d、J=1
4.4Hz、1H)、1.34(s、3H);LCMS(ESI)m/z C1414
ClNの計算値:305.0805。実測値:305.0809[M+H]
(S)−N−(3−クロロ−4−シアノフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−
(ピロリジン−1−イル)プロパンアミド(C1518ClN)(1009)
【化52】
【0337】
方法A(一般構造9’の代わりにブロモアミド7およびピロリジンを使用)により収率
89%を得た。H NMR(CDCl、400MHz)δ9.41(bs、1H、N
H)、7.98(d、J=2.0Hz、1H)、7.62(d、J=8.8Hz、1H)
7.51(dd、J=8.8、2.0Hz、1H)、5.20(s、1H)、3.15(
d、J=12.4Hz、1H)、2.72(d、J=12.4Hz、1H)、2.64〜
2.58(m、4H)、1.76(m、4H)、1.41(s、3H);13C NMR
(CDCl、100MHz))δ175.6(−NHCO−)、142.5、137.
9、134.6、119.9、117.3、116.1、108.0、72.9、62.
3、54.6(2C)、25.5、24.0。LCMS(ESI)m/z C1519
ClNの計算値:308.1166。実測値:308.1173[M+H]
HCl塩型の(S)−N−(3−クロロ−4−シアノフェニル)−2−ヒドロキシ−2−
メチル−3−(ピロリジン−1−イル)プロパンアミドの調製
【0338】
EtOH(20mL)中の1009の溶液に、0℃で塩化アセチル(1mL)を滴下し
、さらに室温で一晩撹拌し、溶媒を除去して1009の目標塩を得た。
(S)−N−(3−クロロ−4−シアノフェニル)−3−(4−フルオロ−1H−ピラゾ
ール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C1412ClFN
)(1007)
【化53】
【0339】
方法B(一般構造12’の代わりにオキシラン9および4−フルオロ−1H−ピラゾー
ルを使用)を用いて、黄色がかった固体を得た。収率72%。H NMR(CDCl
、400MHz)δ8.97(bs、1H NH)、7.88(d、J=2.0Hz、1
H)、7.60(d、J=8.4Hz、1H)、7.45(dd、J=8.4、2.0H
z、1H)、7.36(d、J=4.0Hz、1H)、7.35(d、J=4.4Hz、
1H)、5.86(bs、1H、OH)、4.54(d、J=14.0Hz、1H)、4
.15(d、J=14.0Hz、1H)、1.46(s、3H);19F NMR(CD
Cl、400MHz)δ−176.47。LCMS(ESI)m/z:C1413
lFNの計算値:323.0711。実測値:323.0710[M+H]
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(3−(4−
フルオロフェニル)−1H−ピロール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパ
ンアミド(C2217)(1010)
【化54】
【0340】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(10mL)中の3−(4−フル
オロフェニル)−ピロール(0.50g、0.003102mol)の溶液に、水素化ナ
トリウム(60%油中分散液、0.37g、0.009306mol)を加えた。添加後
、得られた混合物を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(ト
リフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8)(1
.09g、0.003102mol)を上記溶液に加え、反応混合物をアルゴン下、室温
で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで
洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、溶離液として酢
酸エチルおよびヘキサン(1:2〜1:1)を使用するシリカゲルカラムにより精製して
、黄色がかった固体として0.60g(45%)の化合物を得た。
【0341】
化合物1010を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.40(s、1H、NH)、8.42(d、J=2.0Hz、1H、ArH
)、8.24(dd、J=8.8Hz、J=2.0Hz、1H、ArH)、8.07(d
、J=8.8Hz、1H、ArH)、7.43〜7.38(m、2H、ArH)、7.1
1〜7.05(m、3H、ArH)、6.73(t、J=2.0Hz、1H、ピロール−
H)、6.33(s、1H、OH)、4.24(d、J=14.0Hz、1H、CH)、
4.05(d、J=14.0Hz、1H、CH)、1.37(s、3H、CH)。質量
(ESI、正):432.1352[M+H];mp187〜189℃。
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−
2−メチル−3−(3−フェニル−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンアミド(C
17)(1011)
【化55】
【0342】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(10mL)中の3−フェニル−
ピラゾール(0.50g、0.003468mol)溶液に、水素化ナトリウム(60%
油中分散液、0.35g、0.00867mol)を加えた。添加後、得られた混合物を
3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)
フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8、1.22g、0.003
468mol)を上記溶液に添加し、得られた反応混合物をアルゴン下で、室温で一晩撹
拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、
MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、溶離剤として酢酸エチル
およびヘキサン(1:3〜1:2)を使用するシリカゲルカラムにより精製して、0.6
0gの表題化合物を白色針状物として得た。
【0343】
化合物1011を以下のように特徴付けた。H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.33(s、1H、NH)、8.48(d、J=2.0Hz、1H、ArH
)、8.22(dd、J=8.2Hz、J=2.0Hz、1H、ArH)、8.05(d
、J=8.2Hz、1H、ArH)、7.69(d、J=2.0Hz、1H、ArH)、
7.60〜7.57(m、2H、ArH)、7.28〜7.21(m、3H、ArH)、
6.66(d、J=3.0Hz、1H、ArH)、6.31(s、1H、OH)、4.5
2(d、J=14.6Hz、1H、CH)、4.32(d、J=14.6Hz、1H、C
H)、1.43(s、3H、CH).
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(3−フルオ
ロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C
12)(1012)
【化56】
【0344】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(10mL)中の3−フルオロ−
ピラゾール(0.20g、0.00232mol)の溶液に、水素化ナトリウム(60%
油中分散液、0.24g、0.00582mol)を加えた。添加後、得られた混合物を
3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)
フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8、0.82g、0.002
32mol)を上記溶液に添加し、得られた反応混合物をアルゴン下で、室温で一晩撹拌
した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、M
gSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、溶離剤として酢酸エチルお
よびヘキサン(2:1)を使用するシリカゲルカラムにより精製して、0.36gの化合
物を白色針状物として得た。
【0345】
化合物1012を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.39(s、1H、NH)、8.47(d、J=2.0Hz、1H、ArH
)、8.24(dd、J=8.8Hz、J=2.0Hz、1H、ArH)、8.11(d
、J=8.8Hz、1H、ArH)、7.55(t、J=3.0Hz、1H、ピラゾール
−H)、6.29(s、1H、OH)、5.93〜5.91(m、1H、ピラゾール−H
)、4.34(d、J=13.6Hz、1H、CH)、4.15(d、J=13.6Hz
、1H、CH)、1.36(s、3H、CH)。質量(ESI、正):357.096
6[M+H]
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−
2−メチル−3−(1H−ピラゾール−1−イル)プロパンアミド(C1513
)(1013)
【化57】
【0346】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(10mL)中の1H−ピラゾー
ル(0.20g、0.002938mol)の溶液に、水素化ナトリウム(60%油中分
散液、0.29g、0.007344mol)を加えた。添加後、得られた混合物を3時
間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェ
ニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8、1.03g、0.00293
8mol)を上記溶液に添加し、得られた反応混合物をアルゴン下で、室温で一晩撹拌し
た。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Mg
SOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、溶離剤として酢酸エチルおよ
びヘキサン(2:1)を用いるシリカゲルカラムにより精製して、化合物0.52gを白
色固体として得た。
【0347】
化合物1013を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.39(s、1H、NH)、8.48(d、J=2.0Hz、1H、ArH
)、8.22(dd、J=8.2Hz、J=2.0Hz、1H、ArH)、8.08(d
、J=8.2Hz、1H、ArH)、7.66〜7.65(m、1H、ピラゾール−H)
、7.39〜7.38(m、1H、ピラゾール−H)、6.28(s、1H、OH)、6
.25〜6.23(m、1H、ピラゾール−H)、4.50(d、J=13.6Hz、1
H、CH)、4.29(d、J=13.6Hz、1H、CH)、1.35(s、3H、C
)。質量(ESI、正):339.1105[M+H]
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−
2−メチル−3−(3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパ
ンアミド(C1612)(1014)
【化58】

氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(10mL)中の3−トリフルオロ
メチル−ピラゾール(0.20g、0.00147mol)の溶液に、水素化ナトリウム
(60%油中分散液、0.15g、0.003674mol)を加えた。添加後、得られ
た混合物を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオ
ロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8)(0.516
g、0.00147mol)を上記溶液に添加し、得られた混合物をアルゴン下、室温で
一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗
浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、溶離剤として酢酸
エチルおよびヘキサン(2:1)を使用するシリカゲルカラムにより精製して、表題化合
物(103mg、70%)を白色固体として得た。
化合物1014を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−d
)δ10.31(bs、1H、NH)、8.42(d、J=2.0Hz、1H、ArH
)、8.19(dd、J=8.8、2.0Hz、1H、ArH)、8、09(d、J=8
.8Hz、1H、ArH)、7.83(d、J=1.2Hz、1H、ArH)、6.67
(d、J=2.0Hz、1H、ArH)、6.41(bs、OH)、4.56(d、J=
14.0Hz、1H、CHH)、4.37(d、J=14.0Hz、1H、CHH)、1
.41(s、3H、CH);19F NMR(CDCl、デカップリング))δ−6
0.44、−61.25;HRMS(ESI)m/z C1612の計算
値:407.0943[M+H];実測値:407.0943[M+H];mp 1
53〜155℃。
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(3−(4−
フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロ
パンアミド(C2116)(1015)
【化59】
【0348】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(10mL)中の3−(4−フル
オロフェニル)−ピラゾール(0.30g、0.00185mol)の溶液に、水素化ナ
トリウム(60%油中分散液、0.22g、0.00555mol)を加えた。添加後、
得られた混合物を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリ
フルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8)(0.
65g、0.00185mol)を上記溶液に添加し、混合物をアルゴン下、室温で一晩
撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し
、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、溶離剤として酢酸エチ
ルおよびヘキサン(2:1)を使用するシリカゲルカラムにより精製して、表題化合物0
.32g(40%)をピンク色の固体として得た。
【0349】
化合物1015を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.30(s、1H、NH)、8.41(d、J=2.0Hz、1H、ArH
)、8.21(dd、J=8.2Hz、J=2.0Hz、1H、ArH)、8.05(d
、J=8.2Hz、1H、ArH)、7.68(d、J=2.0Hz、1H ArH)、
7.64〜7.59(m、2H、ArH)、7.11〜7.05(m、2H、ArH)、
6.65(d、J=3.0Hz、1H、ArH)、6.31(s、1H、OH)、4.5
0(d、J=13.6Hz、1H、CH)、4.30(d、J=13.6Hz、1H、C
H)、1.42(s、3H、CH);質量(ESI、正):433.1312[M+H

(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−
2−メチル−3−モルホリノプロパンアミド(C1618)(1016)
【化60】
【0350】
アルゴン雰囲気下、THF中の1.0mLのリチウムビス(トリメチルシリル)アミド
(1mmol、Aldrich、THF中1M溶液)を、THF(10mL)中の0.0
9mLのモルホリン(0.67mmol)の溶液に−78℃でゆっくり加え、その温度で
30分間撹拌した。THF(5mL)中の8(234mg、0.67mmol)の溶液を
この溶液に滴下した。反応混合物を同じ温度で30分間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌し
、飽和NHCl水溶液を加えてクエンチした。混合物を減圧下で濃縮し、過剰のEtO
Acに分散させ、NaSOで乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィ
ー(EtOAc/ヘキサン)で精製して、目的化合物(209mg、収率88%)を白色
固体として得た。
化合物1016を以下のように特徴付けた:H NMR(CDCl、400MHz)
δ9.36(bs、1H、NH)、8.08(d、J=1.6Hz、1H)、7.94(
dd、J=8.4、1.6Hz、1H)、7.80(d、J=8.4Hz、1H)、3.
68(m、4H)、3.28(d、J=13.2Hz、1H)、2.55(m、4H)、
2.42(d、J=13.2Hz、1H)、1.50(bs、1H、OH)、1.42(
s、3H);19F NMR(アセトン−d、400MHz)δ−62.20。LCM
S(ESI)m/z C1619の計算値:358.1379。実測値:
358.1383[M+H]
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−
2−メチル−3−(4−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパ
ンアミド(C1612)(1017)
【化61】
【0351】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(10mL)中の4−トリフルオ
ロメチル−ピラゾール(0.20g、0.00147mol)の溶液に、水素化ナトリウ
ム(60%油中分散液、0.18g、0.004409mol)を加えた。添加後、得ら
れた混合物を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフル
オロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8)(0.51
6g、0.00147mol)を上記溶液に添加し、得られた混合物をアルゴン下、室温
で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで
洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物をシリカゲルカラム
により、溶離剤としてDCMおよび酢酸エチル(19:1)を用いて精製して、表題化合
物0.30g(50%)を白色泡状物として得た。
【0352】
化合物1017を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.38(s、1H、NH)、8.45(d、J=2.0Hz、1H、ArH
)、8.25〜8.22(m、2H、ArH&ピラゾール−H)、8.11(d、J=8
.2Hz、1H、ArH)、7.82(s、1H、ピラゾール−H)、6.39(s、1
H、OH)、4.55(d、J=14.0Hz、1H、CH)、4.37(d、J=14
.0Hz、1H、CH)、1.40(s、3H、CH);質量(ESI、正):407
.0945[M+H]
トリアゾール類1018および1019:
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−
2−メチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロパンアミド(C
12)(1018)
【化62】
【0353】
乾燥し、窒素パージした50mLの丸底フラスコに、エポキシド(10、270mg、
1mmol)、1,2,4−トリアゾール(69mg、1mmol)およびKCO
268mg、2mmol)を10mLの2−ブタノン(メチルエチルケトン(MEK))
に分散させた。混合物を加熱して12時間還流させた。得られた混合物を室温まで冷却し
た。混合物の体積を減圧下で減少させ、水に注ぎ、酢酸エチル(3回)で抽出した。有機
層をMgSOで乾燥させ、濃縮し、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィ
ー(酢酸エチル/ヘキサン2:3v/v)により精製して、目的生成物を得た(143m
g、収率43%)。化合物1018を以下のように特徴付けた:H NMR(CDCl
、400MHz)δ9.10(bs、1H、NH)、8.15(s、1H)、8.02
(d、J=2.0Hz、1H)、7.88(dd、J=8.4、2.0Hz、1H)、7
.78(d、J=8.4Hz、1H)、5.70(bs、1H、OH)、4.79(d、
J=14.0Hz、1H)、4.35(d、J=14.0Hz、1H)、1.53(s、
3H);19F NMR(CDCl、400MHz)δ−62.22。HRMS(ES
I)m/z C1412の計算値、精密質量:340.1021[M+H
。実測値:340.1067[M+H]
【0354】
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−
2−メチル−3−(3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1
−イル)プロパンアミド(C1511)(1019)
【化63】
【0355】
乾燥し、窒素パージした50mLの丸底フラスコに、エポキシド(10、270mg、
1mmol)、3−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール(137
mg、1mmol)およびKCO(268mg、2mmol)を10mLの2−ブタ
ノン(メチルエチルケトンまたはMEK)に分散させた。混合物を加熱して12時間還流
させた。得られた混合物を室温まで冷却した。混合物の体積を減圧下で減少させ、水に注
ぎ、酢酸エチル(3回)で抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮し、シリカゲ
ル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン2:3v/v)によ
り精製して、目的生成物を得た(213mg、収率53%)。
【0356】
次のように化合物1019を特徴付けたH NMR(アセトン−d、400MHz
)δ9.88(bs、1H、NH)、9.44(s、1H)、8.44(s、1H)、8
.25(d、J=8.4Hz、1H)、8.04(d、J=8.4Hz、1H)、4.8
2(d、J=14.4Hz、1H)、4.61(d、J=14.4Hz、1H)、2.8
8(bs、1H、OH)、1.61(s、3H);19F NMR(CDCl、400
MHz)δ−62.26、−65.25。HRMS(ESI)m/z C1511
の計算値:408.0895[M+H]。実測値:408.0898[M+H

R)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−フルオ
ロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C
12)(1020)
【化64】
【0357】
氷浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(10mL)中の4−フルオロ−1
H−ピラゾール(0.1g、1.16mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(60%鉱
油中分散液、0.12g、2.91mmol)を加えた。添加後、得られた混合物を3時
間撹拌した。(S)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェ
ニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8(8S)*のS−異性体;0.
41g、1.16mmol)を上記溶液に添加し、得られた反応混合物をアルゴン雰囲気
下、室温で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブ
ラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。混合物を、酢
酸エチルおよびヘキサン(2/3、v/v)を溶離剤として使用するフラッシュカラムク
ロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(127mg、71%)を白色固体として
得た。
【0358】
化合物1020を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、CDCl
)δ9.07(bs、1H、NH)、8.01(d、J=2.0Hz、1H)、7.95
(dd、J=8.4、2.0Hz、1H)、7.78(d、J=8.4Hz、1H)、7
.38(d、J=4.0Hz、1H)、7.34(d、J=4.4Hz、1H)、5.9
2(s、OH)、4.54(d、J=14.0Hz、1H)、4.16(d、J=14.
4Hz、1H)、1.47(s、3H);19F NMR(CDCl、でカップリング
)δ−62.23、−176.47。HRMS(ESI)m/z C1512
の計算値:357.0975[M+H];実測値:357.0984[M+H]
;[α]24+126.7(C=1.0、MeOH)(Sの異性体と比較して:[α
24−136.0(C=0.5、MeOH))。
*:8Sは、スキーム1に概説されるように、8(すなわち、Rの異性体)と同じ手順を
使用してL−プロリンから合成した。
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(3−フルオ
ロ−1H−ピロール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C16
13)(1021)
【化65】
【0359】
無水THF 20mL中の3−フルオロ−1−(トリイソプロピルシリル)−1H−ピ
ロール(1.21g、5mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン中のフッ化n−テトラ
ブチルアンモニウム三水和物(7.5mL、7.5mmol、1M)を、室温でアルゴン
雰囲気下で添加した。溶液を1時間撹拌した。後処理を行わずに、フラスコを氷水浴で0
°Cに冷却した。この溶液に、鉱油中60%のNaH(133mg、3.33mmol)
を添加した。反応混合物を30分間撹拌し、無水THF中のエポキシド10(450mg
、1.67mmol)を滴下漏斗を通して、アルゴン雰囲気下で、氷水浴で加え、室温で
一晩撹拌した。1mLのHOでクエンチした後、反応物を減圧下で濃縮し、次いで50
mLのEtOAcに分散させ、水で洗浄し、蒸発させ、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発
乾固させた。混合物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーでEtOAc/ヘキサン=
1/1を溶離剤として用いて精製し、次いで濃縮した化合物をEtOAc/ヘキサンで再
結晶して、目的生成物1021(181mg、31%)を白色固体として得た。
【0360】
化合物1021を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、CDCl
)δ8.91(bs、1H、NH)、8.03(d、J=2.0Hz、1H)、7.90
(dd、J=8.4、2.0Hz、1H)、7.81(d、J=8.4Hz、1H)、6
.47(m、1H)、6.41(m、1H)、5.91(dd、J=2.8、2.0Hz
、1H)、4.36(d、J=14.4Hz、1H)、3.98(d、J=14.4Hz
、1H)、1.54(s、3H);19F NMR(CDCl、デカップリング)δ−
62.18、−164.26;HRMS(ESI)m/z C1614
計算値:356.1022[M+H]、実測値:356.1021[M+H]。37
8.0839[H+Na]
(S)−N−(6−シアノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)−3−(
4−フルオロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンア
ミド(C1411)(1022)
【化66】

(R)−3−ブロモ−N−(6−シアノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イ
ル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド
【化67】
【0361】
(R)−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(4、1.03g,0.0
05625mol)を、塩化チオニル(0.80g、0.006751mol)、トリメ
チルアミン(0.74g、0.007313mol)、および5−アミノ−3−(トリフ
ルオロメチル)ピコリノニトリル(1.00g、0.005344mol)と反応させて
、表題化合物を得た。ヘキサンおよび酢酸エチル(2:1)を溶離剤として使用してシリ
カゲルカラムにより生成物を精製し、表題化合物1.70g(90%)を黄色がかった固
体として得た。
【0362】
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ10.82(s、1H、NH)、9
.41(d、J=2.0Hz、1H、ArH)、8.90(d、J=2.0Hz、1H、
ArH)、6.51(s、1H、OH)、3.84(d、J=10.4Hz、1H、CH
)、3.61(d、J=10.4Hz、1H、CH)、1.50(s、3H、CH)。
質量(ESI、正):351.9915[M+H]
(S)−N−(6−シアノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)−3−(
4−フルオロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンア
ミド
【0363】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(5mL)中の4−フルオロ−ピ
ラゾール(0.20g、0.0023237mol)の溶液に、水素化ナトリウム(60
%油中分散液、0.28g、0.0069711mol)を加えた。添加後、得られた混
合物を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(6−シアノ−5−(トリフルオロメ
チル)ピリジン−3−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(0.82g
、0.0023237mol)を上記溶液に加え、得られた反応混合物をアルゴン下、室
温で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブライン
で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。ヘキサンおよび酢酸エチ
ル(1:1)を溶離剤として使用してシリカゲルカラムにより生成物を精製して、表題化
合物0.50g(60.2%)を白色固体として得た。
【0364】
化合物1022を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.64(s、1H、NH)、9.32(d、J=2.0Hz、1H、ArH
)、8.82(d、J=2.0(d、J=4.8Hz、1H、ピラゾール−H)、7.4
0(d、J=4.0Hz、1H、ピラゾール−H)、6.41(s、1H、OH)、4.
39(d、J=14.0Hz、1H、CH)、4.22(d、J=14.0Hz、1H、
CH)、1.36(s、3H、CH)。(ESI、正):358.0939[M+H]
、380.0749[M+Na]
(S)−5−(3−(4−フルオロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロパンアミド)ピコリンアミド(C1314FN)(1023)
【化68】

(R)−3−ブロモ−N−(6−シアノピリジン−3−イル)−2−ヒドロキシ−2−メ
チルプロパンアミド
【化69】
【0365】
(R)−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(4、3.24g、0.0
17674mol)を塩化チオニル(2.53g、0.021208mol)、トリメチ
ルアミン(2.33g、0.022976mol)、および5−アミノピコリノニトリル
(aminopicolinonitrile)(2.00g、0.01679mol)
と反応させて、表題化合物を得た。生成物を、溶離剤としてジクロロメタン(DCM)お
よびメタノール(19:1)を使用するシリカゲルカラムにより精製して、4.40g(
92%)の表題化合物を黄色がかった固体として得た。
【0366】
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ10.42(s、1H、NH)、9
.12(d、J=2.4Hz、1H、ArH)、8.44(dd、J=8.8Hz、J=
2.4Hz、1H、ArH)、8.00(d、J=8.8Hz、1H、ArH)、6.4
0(s、1H、OH)、3.83(d、J=10.4Hz、1H、CH)、3.59(d
、J=10.4Hz、1H、CH)、1.49(s、3H、CH)。質量(ESI、正
):284.0042[M+H]
(S)−5−(3−(4−フルオロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロパンアミド)ピコリンアミド
【0367】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(5mL)中の4−フルオロ−ピ
ラゾール(0.20g、0.0023237mol)の溶液に、水素化ナトリウム(60
%油中分散液、0.28g、0.0069711mol)を加えた。添加後、得られた混
合物を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(6−シアノピリジン−3−イル)−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(0.66g、0.0023237mol)
を上記溶液に加え、得られた反応混合物をアルゴン下、室温で一晩撹拌した。反応物を水
でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥さ
せ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、溶離剤としてDCMおよびメタノール(9:
1)を用いてシリカゲルカラムで精製して、0.10g(15%)の表題化合物を白色固
体として得た。
【0368】
化合物1023を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.08(s、1H、NH)、8.89(d、J=2.4Hz、1H、ArH
)、8.30(dd、J=8.2Hz、J=2.4Hz、1H、ArH)、8.01(s
、1H、NH)、7.98(d、J=8.2Hz、1H、ArH)、7.73(d、J=
4.4Hz、1H、ピラゾールH)、7.52(s、1H、NH)、7.42(d、J=
4.0Hz、1H、ピラゾール−H)、6.24(s、1H、OH)、4.38(d、J
=14.0Hz、1H、CH)、4.42(d、J=14.0Hz、1H、CH)、1.
34(s、3H、CH);質量(ESI、正):308.1177[M+H]、33
0.0987[M+Na]
N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−フルオロ−1H
−ピラゾール−1−イル)−2−メチルプロパンアミド(C1512O)(1
024)
【化70】

3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−メチルプ
ロパンアミド
【化71】
【0369】
3−ブロモ−2−メチルプロパン酸(2.00g、0.011976mol)を、塩化
チオニル(1.71g、0.014371mol)、トリメチルアミン(1.58g、0
.015569mol)、および4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリ
ル(2.12g、0.011377mol)と反応させて、標題化合物を得た。生成物を
、ヘキサンおよび酢酸エチル(2:1)を溶離剤として使用してシリカゲルカラムで精製
して、表題化合物3.50g(91%)を黄色から淡褐色の固体として得た。
【0370】
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ10.85(s、1H、NH)、8
.30(s、1H、ArH)、8.12(d、J=8.2Hz、1H、ArH)、8.0
3(d、J=8.2Hz、1H、ArH)、3.72〜3.67(m、1H、CH)、3
.63〜3.59(m、1H、CH)、3.03〜2.97(m、1H、CH)、1.2
4(d、J=6.8Hz、3H、CH)。質量(ESI、負):334.85[MH]

N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−フルオロ−1H
−ピラゾール−1−イル)−2−メチルプロパンアミド
【0371】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(5mL)中の4−フルオロ−ピ
ラゾール(0.20g、0.0023237mol)の溶液に、水素化ナトリウム(60
%油中分散液、0.28g、0.0069711mol)を加えた。添加後、得られた混
合物を3時間撹拌した。3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フ
ェニル)−2−メチルプロパンアミド(0.78g、0.0023237mol)を上記
溶液に添加し、得られた反応混合物を室温でアルゴン下で一晩撹拌した。反応物を水でク
エンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、
濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチル(1:1)を溶離剤と
して使用してシリカゲルカラムにより精製して、表題化合物0.050gを黄色がかった
固体として得た。
【0372】
化合物1024を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.77(s、1H、NH)、8.25(s、1H、ArH)、8.10(d
、J=8.2Hz、1H、ArH)、7.96(d、J=8.2Hz、1H、ArH)、
7.85(d、J=4.4Hz、1H、ピラゾール−H)、7.47(d、J=4.4H
z、1H、ピラゾール−H)、4.35〜4.30(m、1H、CH)、4.12〜4.
07(m、1H、CH)、3.12〜3.10(m、1H、CH)、1.22(d、J=
6.8Hz、3H、CH)。
【0373】
S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−(4−
フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロ
パンアミド(C2116)(1025)
【化72】
【0374】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(10mL)中の4−(4−フル
オロフェニル)−1H−のピラゾール(0.20g、0.0012334mol)の溶液
に、水素化ナトリウム(60%油中分散液、0.15g、0.0037001mol)を
添加した。添加後、得られた混合物を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−
シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン
アミド(0.43g、0.0012334mol)を上記溶液に加え、得られた反応混合
物をアルゴン下、室温で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した
。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成
物を、溶離剤としてDCMおよび酢酸エチル(19:1)を使用してシリカゲルカラムを
用いて精製して、表題化合物0.33g(62%)を白色固体として得た。
【0375】
化合物1025を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.29(s、1H、NH)、8.41(s、1H、ArH)、8.21(d
、J=8.8Hz、1H、ArH)8.05(d、J=8.8Hz、1H、ArH)、7
.68(s、1H、ピラゾール−H)、7.61(t、J=6.4Hz、2H、ArH)
、7.08(t、J=8.4Hz、2H、ArH)、6.65(s、1H、ピラゾール−
H)、6.30(s、1H、OH)、4.51(d、J=14.0Hz、1H、CH)、
4.31(d、J=14.0Hz、1H、CH)、1.42(s、3H、CH)。質量
(ESI、負):431.12[M−H]
(S)−3−((1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)アミノ)−N−(4−シ
アノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンア
ミド(C1413)(1026)
【化73】

【化74】
【0376】
アルゴン雰囲気下、100mLの丸底フラスコを氷水浴で0°Cに冷却した。鉱油中6
0%のNaH(265mg、6.6mmol)を氷水浴でフラスコに加え、その温度で無
水THF(20mL)をフラスコに注いだ。このフラスコに3−アミノ−1,2,4−ト
リアゾール(164mg、2mmol)をその温度でフラスコに加え、反応混合物を30
分間撹拌した。次いで、無水THF(10mL)中の(R)−3−ブロモ−N−(4−シ
アノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンア
ミド(8、702mg、2mmol)の調製溶液を、滴下漏斗を通して、アルゴン雰囲気
下で、氷水浴で加え、室温で一晩攪拌した。1mLのHOでクエンチした後、反応混合
物を減圧下で濃縮し、次いで50mLのEtOAc中に分散させ、水で洗浄し、蒸発させ
、無水MgSOで乾燥させ、蒸発乾固させた。混合物をEtOAc/ヘキサン(2:1
v/v)の溶離剤を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、褐色固体と
して目的生成物を得た。
【0377】
化合物1026を以下のように特徴付けたH NMR(CDCl3、400MHz)
δ9.10(bs、1H、C(O)NH)、8.01(m、1H、ArH)、7.87お
よび7.81(dd、J=8.4、2.0Hz、1H、ArH)、7.78(d、J=8
.4Hz、1H、ArH)、7.72および7.51(s、1H、ArH)、5.90お
よび5.65(bs、1H、NH)、4.74(bs、1H、NH)、4.56および4
.55(d、J=14.4および13.6Hz、1H、CH)、4.24(bs、1H
、OH)、4.07および3.97(d、J=13.6および14.4Hz、1H、CH
)、1.56および1.48(s、3H、CH);19F NMR(アセトン−d
、400MHz)δ−62.24。MS(ESI)m/z 353.03[M−H]
355.10[M+H];HRMS(ESI)m/z C1413の計
算値:355.1130[M+H]、実測値:355.1128[M+H]
tert−ブチル(S)−(1−(3−((4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フ
ェニル)アミノ)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾ
ール−4−イル)カーバメート(C2022)(1027)
【化75】

tert−ブチル1 H−ピラゾール−4−イルカルバメート(1027a)
【化76】
【0378】
アルゴン雰囲気下、100mLの無水THF中の1H−ピラゾール−4−アミン(2g
、28.9mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボネート(6.3g、28.9
mmol)の溶液に、トリエチルアミン(1.68mL、12mmol)を0°Cで加え
た。30分間撹拌した後、温度を室温に上げ、混合物を2時間撹拌した。反応混合物を減
圧下で濃縮し、次いで50mLのEtOAcに分散させ、水で洗浄し、蒸発させ、無水M
gSOで乾燥させ、蒸発乾固させた。混合物を1:1v/v比のEtOAc/ヘキサン
の溶離剤を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した後、濃縮した化合物を
EtOAc/ヘキサン(1:1v/v)を用いて再結晶して目的生成物を得た。H N
MR(CDCl、400MHz)δ7.63(s、2H、ArH)、6.29(bs、
1H、NH)、1.51(s、9H、C(CH);MS(ESI)m/z 182
.1[M−H]
(S)−tert−ブチル(1−(3−((4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フ
ェニル)アミノ)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾ
ール−4−イル)カルバメート
【化77】
【0379】
アルゴン雰囲気下、100mLの丸底フラスコを氷水浴で0°Cに冷却した。鉱油中6
0%のNaH(160mg、4mmol)を氷水浴でフラスコに加え、その温度で無水T
HF(20mL)をフラスコに注いだ。このフラスコにtert−ブチル−1H−ピラゾ
ール−4−イルカルバメート(1027a、366mg、2mmol)をその温度で加え
、反応混合物を30分間撹拌し、次いで、無水THF中の(R)−3−ブロモ−N−(4
−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパ
ンアミド(8、702mg、2mmol)の調製溶液を、滴下漏斗を通して、アルゴン雰
囲気下で、氷水浴で加え、室温で一晩攪拌した。1mLのHOでクエンチした後、反応
物を減圧下で濃縮し、次いで50mLのEtOAcに分散させ、水で洗浄し、蒸発させ、
無水MgSO4で乾燥させ、蒸発乾固させた。混合物を、EtOAc/ヘキサン(2:1
v/v)を溶離剤として用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、黄色固体
として目的生成物(563mg、62%)を得た。
【0380】
化合物1027を以下のように特徴付けた:H NMR(CDCl3、400MHz
)δ9.13(bs、1H、C(O)NH)、8.01(d、1H、J=8.4Hz、A
rH)、7.85(dd、J=8.4、1.6Hz、1H、ArH)、7.76(d、J
=8.4Hz、1H、ArH)、7.63(s、1H、ArH)、7.43(s、1H、
ArH)、6.21(bs、1H、C(O)NH)、6.17(bs、1H、OH)、4
.54(d、J=14.0Hz、1H、CH)、4.17(d、J=14.0Hz、1
H、CH)、1.47(s、9H、C(CH)、1.45(s、3H、CH
19F NMR(アセトン−d、400MHz)δ−62.10。MS(ESI)m
/z 452.11[M−H];454.06[M+H]
(S)−3−(4−アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(4−シアノ−3−(
トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C15
14)(1028)
【化78】
【0381】
アルゴン雰囲気下、100mLの丸底フラスコを氷水浴で0°Cに冷却した。5mLの
塩化アセチルを、氷水浴で1027(815mg、1.80mmol)の無水EtOH(
20mL)溶液に滴下した。反応混合物をその温度で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で
濃縮し、次いで50mLのEtOAcに分散させ、水で洗浄し、蒸発させ、無水MgSO
で乾燥させ、蒸発乾固させた。混合物を、EtOAc/ヘキサン(3:1〜6:1v/
v比を使用)を溶離剤として用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、目的
生成物(583mg、92%)を褐色固体として得た。
【0382】
化合物1028を以下のように特徴付けた:H NMR(アセトン−d、400M
Hz)δ10.07(bs、1H、C(O)NH)、8.50(s、1H、ArH)、8
.46(s、1H、ArH)、8.26(d、J=8.0Hz、1H、ArH)、8.0
1(d、J=8.0Hz、1H、ArH)、7.83(s、1H、ArH)、4.73(
d、J=14.0Hz、1H、CH)、4.53(d、J=14.0Hz、1H、CH
)、2.95(bs、1H、OH)、1.51(s、3H、CH);19F NMR
(アセトン−d、400MHz)δ114.77。MS(ESI)m/z351.98
[M−H];354.08[M+H]
N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−フルオロ−1H
−ピラゾール−1−イル)プロパンアミド(C1410O)(1029)
【化79】

3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミド
(C11BrFO)
【化80】
【0383】
3−ブロモプロパン酸(2.00g、0.0130745mol)を、塩化チオニル(
1.87g、0.0156894mol)、トリメチルアミン(1.72g、0.016
9968mol)および4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(2.
31g、0.0124207mol)と反応させて、表題化合物を得た。生成物を、溶離
剤としてDCMおよびメタノール(19:1)を用いるシリカゲルカラムにより精製して
、2.31g(55%)の表題化合物を黄色がかった固体として得た。H NMR(4
00MHz、DMSO−d)δ10.85(s、1H、NH)、8.28(d、J=2
.4Hz、1H、ArH)、8.12(dd、J=8.8Hz、J=2.4Hz、1H、
ArH)、7.99(d、J=8.8Hz、1H、ArH)、3.76(t、J=6.0
Hz、2H、CH)、3.06(t、J=6.0Hz、2H、CH).
N−4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−フルオロ−1H
−ピラゾール−1−イル)プロパンアミド(C1410O)
【化81】
【0384】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(5mL)中の4−フルオロ−ピ
ラゾール(0.20g、0.0023237mol)の溶液に、水素化ナトリウム(60
%油中分散液、0.28g、0.0069711mol)を加えた。添加後、得られた混
合物を3時間撹拌した。3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フ
ェニル)プロパンアミド(1029a、0.75g、0.0023237mol)を上記
溶液に添加し、得られた反応混合物を室温でアルゴン下で一晩撹拌した。反応物を水でク
エンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、
濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、溶離剤としてDCMおよびメタノール(19:1
)を用いてシリカゲルカラムにより精製して、表題化合物0.75mg(10%)を白色
固体として得た。
【0385】
化合物1029を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.81(s、1H、NH)、8.25(d、J=2.4Hz、1H、ArH
)、8.10(dd、J=8.8Hz、J=2.4Hz、1H、ArH)、7.95(d
、J=8.8Hz、1H、ArH)、7.88(s、1H、ピラゾール−H)、7.46
(s、1H、ピラゾール−H)、4.35(t、J=6.0Hz、2H、CH)、2.
79(t、J=6.0Hz、2H、CH)。質量(ESI、負):325.03[MH

(S)−tert−ブチル(1−(3−((6−シアノ−5−(トリフルオロメチル)ピ
リジン−3−イル)アミノ)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)−1
H−ピラゾール−4−イル)カルバメート(C1921)(1030)
【化82】
【0386】
アルゴン雰囲気下で、50mLの丸底フラスコを氷水浴で0°Cに冷却した。鉱油中6
0%のNaH(160mg、4mmol)を氷水浴でフラスコに加え、その温度で無水T
HF(10mL)をフラスコに注いだ。その温度でtert−ブチル−1H−ピラゾール
−4−イルカルバメート(1027a、183mg、1mmol)をフラスコに加え、反
応混合物を30分間撹拌した。次いで、無水THF中の(R)−3−ブロモ−N−(6−
シアノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチ
ルプロパンアミド(352mg、1mmol)の調製溶液を、滴下漏斗を通して、アルゴ
ン雰囲気下で、氷水浴で加え、室温で一晩撹拌した。1mLのHOでクエンチした後、
反応物を減圧下で濃縮し、次いで30mLのEtOAcに分散させ、水で洗浄し、蒸発さ
せ、無水MgSOで乾燥させ、蒸発乾固させた。混合物を、EtOAc/ヘキサンを溶
離剤として用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、目的生成物(273m
g、60%)を黄色がかった固体として得た。
【0387】
化合物1030を以下のように特徴付けた:H NMR(CDCl、400MHz
)δ9.28(bs、1H、C(O)NH)、8.80(s、1H、ArH)、8.67
(s、1H、ArH)、7.63(bs、1H、C(O)NH)、7.43(s、1H、
ArH)、6.29(bs、1H、OH)、6.21(s、1H、ArH)、4.55(
d、J=14.0Hz、1H、CH)、4.18(d、J=14.0Hz、1H、CH
)、1.51(s、3H、CH)1.47(s、9H、C(CH);19
NMR(CDCl、400MHz)δ−62.11。MS(ESI)m/z 453.
16[M−H];477.16[M+Na]
S)−3−(4−アセトアミド−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(4−シアノ−
3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(
1716)(1031)
【化83】
【0388】
アルゴン雰囲気下、10mLの無水DCM中の1028(150mg、0.43mmo
l)およびトリエチルアミン(0.09mL、0.64mmol)溶液に、塩化アセチル
(AcCl、0.038mL、0.53mmol)を氷水浴で加えた。30分間撹拌した
後、温度を室温に上げ、混合物を2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、次いで
10mLのEtOAc中に分散させ、水で洗浄し、蒸発させ、無水MgSO上で乾燥さ
せ、蒸発乾固させた。この混合物を、アセトン/ヘキサン(1/2、v/v)を溶離剤と
して用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、1031(150mg、89
%)を白色固体として生成した。
【0389】
化合物1031を次のように特徴付けた:H NMR(CDCl、400MHz)
δ9.08(bs、1H、C(O)NH)、7.92(bs、1H、C(O)NH)、7
.82〜7.80(m、2H、ArH)、7.69(d、J=8.4Hz、1H、ArH
)、7.44(s、1H、ArH)、7.15(s、1H、ArH)、6.10(bs、
1H、OH)、4.49(d、J=13.6Hz、1H、CH)、4.13(d、J=
13.6Hz、1H、CH)、2.04(s、3H、NH(CO)CH)、1.39
(s、H、CH);19F NMR(CDCl、400MHz)δ−62.20。M
S(ESI)m/z 394.06[M−H];396.11[M+H]
(S)−3−(4−アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)−1−((4−シアノ−3−
(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イ
ル2−クロロアセテート(C1715ClF)(1032)
(S)−3−(4−(2−クロロアセトアミド)−1H−ピラゾール−1−イル)−N−
(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロパンアミド(C1715ClF)(1033)
【化84】
【0390】
アルゴン雰囲気下、50mLの無水DCM中の1028(263mg、0.75mmo
l)およびトリエチルアミン(0.16mL、1.12mmol)溶液に、塩化クロロア
セチル(0.074mL、0.94mmol)を氷水浴で加えた。30分間撹拌した後、
温度を室温に上げ、混合物を2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、次いで30
mLのEtOAcに分散させ、水で洗浄し、蒸発させ、無水MgSOで乾燥させ、蒸発
乾固させた。混合物を、EtOAc/ヘキサン(3/1、v/v)を溶離剤として用いて
フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、1032(105mg、33%)および
1033(117mg、36%)を黄色がかった固体として生成した。総収率70%。
化合物1032を以下のように特徴付けた:H NMR(CDCl、400MHz)
δ9.22(bs、NH)、8.10(bs、1H、C(O)NH)、7.93(d、
J=1.8Hz、1H、ArH)、7.86(d、J=1.8Hz、1H、ArH)、7
.79(d、J=8.4Hz、1H、ArH)、5.16(d、J=14.8Hz、1H
、CH)、4.62(d、J=14.8Hz、1H、CH)、4.11(s、2H、
CHCl)、1.77(s、3H、CH);19F NMR(CDCl3、400M
Hz)δ114.77。MS(ESI)m/z 428.03[M−H];452.0
2[M+Na]
【0391】
化合物1033を以下のように特徴付けた:H NMR(CDCl、400MHz
)δ9.12(bs、1H、C(O)NH)、8.12(bs、1H、C(O)NH)、
7.99(d、J=1.6Hz、1H、ArH)、7.92(s、1H、ArH)、7.
87(dd、J=8.8、1.6Hz、1H、ArH)、7.76(d、J=8.8Hz
、1H、ArH)、7.61(s、1H、ArH)、6.11(bs、1H、OH)、4
.60(d、J=13.6Hz、1H、CH)、4.22(d、J=13.6Hz、1
H、CH)、4.17(s、2H、CHCl)、1.47(s、3H、CH);
F NMR(CDCl、400MHz)δ−62.19。MS(ESI)m/z 4
28.00[M−H];452.01[M+Na]
(S)−メチル(1−(3−((4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ア
ミノ)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)−1H−ピラゾール−4−
イル)カルバマート(C1716)(1034)
【化85】
【0392】
アルゴン雰囲気下、10mLの無水DCM中の1028(170mg、0.48mmo
l)およびトリエチルアミン(0.16mL、1.15mmol)溶液に、メチルカルボ
ノクロリデート(0.04mL、0.58mmol)を氷水浴で加えた。30分間撹拌し
た後、温度を室温に上げ、混合物を2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、次い
で10mLのEtOAc中に分散させ、水で洗浄し、蒸発させ、無水MgSO上で乾燥
させ、蒸発乾固させた。混合物を、EtOAc/ヘキサン(2/1、v/v))を溶離剤
として用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、1034(141mg、7
1%)を白色固体として得た。
【0393】
化合物1034を以下のように特徴付けた:H NMR(CDCl、400MHz
)δ9.07(bs、1H、C(O)NH)、7.91(s、1H、ArH)、7.79
(d、J=7.2Hz、1H、ArH)、7.69(d、J=7.2Hz、1H、ArH
)、7.57(s、1H、ArH)、7.40(s、1H、ArH)、6.33(bs、
1H、NH)、6.08(bs、1H、OH)、4.50(d、J=13.6Hz、1H
、CH)、4.12(d、J=13.6Hz、1H、CH)、3.67(s、3H、
NH(CO)OCH)、1.39(s、3H、CH);19F NMR(CDCl
、400MHz)δ−62.21。MS(ESI)m/z 410.30[M−H]
413.21[M+H]
(S)−3−(4−アセチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(4−シアノ−3−
(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C
15)(1035)
【化86】
【0394】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した無水THF(5mL)中の1−(1H−ピラゾ
ール−4−イル)エタノン(0.10g、0.000908mol)溶液に、水素化ナト
リウム(60%油中分散液、0.11g、0.002725mol)を加えた。添加後、
得られた混合物を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリ
フルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8、0.3
2g、0.000908mol)を上記溶液に添加し、得られた反応混合物をアルゴン雰
囲気下、室温で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層
をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、D
CMおよび酢酸エチル(19:1)を溶離剤として用いるシリカゲルカラムにより精製し
て、表題化合物70mg(20%)を黄色がかった固体として得た。
【0395】
化合物1035を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.37(s、1H、NH)、8.45(d、J=1.2Hz、1H、ArH
)、8.25(s、1H、ピラゾール−H)、8.23(d、J=8.2Hz、J=1.
2Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.2Hz、1H、ArH)、7.86(
s、1H、ピラゾール−H)、6.37(s、1H、OH)、4.50(d、J=14.
0Hz、1H、CH)、4.33(d、J=14.0Hz、1H、CH)、2.34(s
、3H、CH)、1.39(s、3H、CH);質量(ESI、負):379.14
[MH];(ESI、正):413.18[M+Na]
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−
2−メチル−3−(4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンアミド(C15
12)(1036)
【化87】
【0396】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した無水THF(5mL)中の4−ニトロ−1H−
ピラゾール(0.10g、0.0008844mol)溶液に、水素化ナトリウム(60
%油中分散液、0.106g、0.002653mol)を加えた。添加後、得られた混
合物を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメ
チル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8、0.31g、0.
0008844mol)を上記溶液に添加し、得られた反応混合物をアルゴン下、室温で
一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗
浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、ヘキサンおよび酢
酸エチル(1:1)を溶離剤として使用してシリカゲルカラムで精製して、0.15g(
44%)の表題化合物をオフホワイトの固体として得た。
【0397】
化合物1036を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.36(s、1H、NH)、8.69(s、1H、ピラゾール−H)、8.
45(d、J=1.2Hz、1H、ArH)、8.23(d、J=8.8Hz、J=1.
2Hz、1H、ArH)、8.19(s、1H、ピラゾール−H)、8.11(d、J=
8.8Hz、1H、ArH)、6.47(s、1H、OH)、4.56(d、J=14.
0Hz、1H、CH)、4.38(d、J=14.0Hz、1H、CH)、1.41(s
、3H、CH)。質量(ESI、負):382.13[MH]
(R)−3−ブロモ−N−(6−シアノピリジン−3−イル)−2−ヒドロキシ−2−メ
チルプロパンアミド(C1010BrN)(1037)
【化88】
【0398】
(R)−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(4、3.24g、0.0
17674mol)を、塩化チオニル(2.53g、0.021208mol)、トリメ
チルアミン(2.33g、0.022976mol)、および5−アミノピコリノニトリ
ル(2.00g、0.01679mol)と反応させて、表題化合物を得た。生成物を、
DCMおよびメタノール(19:1)を溶離剤として使用するシリカゲルカラムにより精
製して、表題化合物4.40g(92%)を黄色がかった固体として得た。
【0399】
化合物1037を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.42(s、1H、NH)、9.12(d、J=2.4Hz、1H、ArH
)、8.44(dd、J=8.8Hz、J=2.4Hz、1H、ArH)、8.00(d
、J=8.8Hz、1H、ArH)、6.40(s、1H、OH)、3.83(d、J=
10.4Hz、1H、CH)、3.59(d、J=10.4Hz、1H、CH)、1.4
9(s、3H、CH)。質量(ESI、正):284.0042[M+H]
(R)−3−ブロモ−N−(6−シアノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イ
ル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C11BrF)(1
038)
【化89】
【0400】
(R)−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(4、1.03g、0.0
05625mol)を、塩化チオニル(0.80g、0.006751mol)、トリメ
チルアミン(0.74g、0.007313mol)、および5−アミノ−3−(トリフ
ルオロメチル)ピコリノニトリル(1.00g、0.005344mol)と反応させて
、表題化合物を得た。生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチル(2:1)を溶離剤として使
用するシリカゲルカラムにより精製して、表題化合物1.70g(90%)を黄色がかっ
た固体として得た。
【0401】
化合物1038を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.82(s、1H、NH)、9.41(d、J=2.0Hz、1H、ArH
)、8.90(d、J=2.0Hz、1H、ArH)、6.51(s、1H、OH)、3
.84(d、J=10.4Hz、1H、CH)、3.61(d、J=10.4Hz、1H
、CH)、1.50(s、3H、CH);質量(ESI、正):351.9915[M
+H]
(R)−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(キナゾリン−6−イル)プロ
パンアミド(C1212BrN)(1039)
【化90】
【0402】
(R)−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(2.65g、0.014
503mol)を、塩化チオニル(2.07g、0.017404mol)、トリメチル
アミン(1.91g、0.018854mol)、およびキナゾリン−6−オンアミン(
2.00g、0.013778mol)と反応させて、表題化合物を得た。生成物を、ヘ
キサンおよび酢酸エチル(3:1〜2:1)を溶離剤として使用してシリカゲルカラムに
より精製して、表題化合物0.71gを黄色がかった固体として得た。
【0403】
化合物1039を以下のように特徴付けた:質量(ESI、正)309.98[M+H

3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミド
(C11BrFO)(1040)
【化91】
【0404】
3−ブロモプロパン酸(2.00g、0.0130745mol)を、塩化チオニル(
1.87g、0.0156894mol)、トリメチルアミン(1.72g、0.016
9968mol)および4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(2.
31g、0.0124207mol)と反応させて、表題化合物を得た。生成物を、溶離
剤としてDCMおよびメタノール(19:1)を用いるシリカゲルカラムにより精製して
、2.31g(55%)の表題化合物を黄色がかった固体として得た。
【0405】
化合物1040を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.85(s、1H、NH)、8.28(d、J=2.4Hz、1H、ArH
)、8.12(dd、J=8.8Hz、J=2.4Hz、1H、ArH)、7.99(d
、J=8.8Hz、1H、ArH)、3.76(t、J=6.0Hz、2H、CH)、
3.06(t、J=6.0Hz、2H、CH)。
(S)−N−(2−クロロピリジン−4−イル)−3−(4−フルオロ−1H−ピラゾー
ル−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C1212ClFN
)(1041)
【化92】

(R)−3−ブロモ−N−(2−クロロピリジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−2−メ
チルプロパンアミド
【化93】
【0406】
塩化チオニル(11.2mL、0.154mol)を、100mLのTHF中の(R)
−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(4、18.3g、0.100m
ol)冷却溶液(4°C未満)にアルゴン雰囲気下で滴下した。得られた混合物を同じ条
件下で3時間撹拌した。これにEtN(25.7mL、0.185mol)を添加し、
次いで同じ条件下で20分間撹拌した。20分後、2−クロロピリジン−4−アミン(9
.89g、0.077mol)、THF100mLを加え、次いで混合物を室温で一晩撹
拌した。溶媒を減圧下で除去して固体を得、これを100mLのHOで処理し、EtO
Ac(2×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO溶液(2×1
00mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、
減圧下で濃縮して固体を得、これを溶解してCHCl/EtOAc(80:20)を
用いるカラムクロマトグラフィーにより精製して固体を得た。この固体をCHCl
ヘキサンから再結晶して、12.6g(43%)の(R)−3−ブロモ−N−(2−クロ
ロピリジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを、淡黄色の固体
として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ9.06(bs、1H、NH
)、8.31(d、J=5.6Hz、1H)、7.77(d、J=0.8Hz、1H)、
7.45(dd、J=5.6、0.8Hz、1H)、4.81(bs、1H、OH)、3
.97(d、J=10.6Hz、1H)、3.60(d、J=10.6Hz、1H)、1
.64(s、3H);MS(ESI)m/z295.28[M+H]
(S)−N−(2−クロロピリジン−4−イル)−3−(4−フルオロ−1H−ピラゾー
ル−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C1212ClFN

【化94】
【0407】
乾燥し、窒素パージし、滴下漏斗を備えた100mLの丸底フラスコに、アルゴン雰囲
気下、鉱油(96mg、2.4mmol)中60%分散のNaHを10mLの無水THF
溶媒に氷水浴で加えた。4−フルオロ−1H−ピラゾール(103mg、1.2mmol
)を加え、溶液を氷水浴で30分間撹拌した。このフラスコに、5mLの無水THF中の
(R)−3−ブロモ−N−(2−クロロピリジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−2−メ
チルプロパンアミド(293mg、1.0mmol)溶液を、アルゴン雰囲気下、滴下ロ
ートを介して氷水浴で加え、室温で一晩撹拌した。1mLのHOを添加した後、反応混
合物を減圧下で濃縮し、次いで50mLのEtOAc中に分散させ、50mL(x2)の
水で洗浄し、蒸発させ、無水MgSO上で乾燥させ、蒸発乾固させた。混合物を、Et
OAc/ヘキサンを1:2の比で溶離剤として使用するフラッシュカラムクロマトグラフ
ィーで精製して化合物を生成し、表題化合物(55%)を白色固体として生成した。
【0408】
化合物1041を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、CDCl
)δ8.90(bs、1H、NH)、8.26(d、J=5.6Hz、1H)、7.63
(s、1H)、7.75(d、J=4.2Hz、1H)、7.33(d、J=4.2Hz
、1H)、7.31(dd、J=5.6、1.2Hz、1H)、5.88(s、1H、O
H)、4.53(d、J=13.6Hz、1H)、4.14(d、J=13.6Hz、1
H)、1.45(s、3H);19F NMR(CDCl、デカップルド)δ−176
.47;MS(ESI)m/z298.98[M+H];296.96[M-H]-
(S)−3−アジド−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−
ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C1210)(1042)
【化95】
【0409】
DMF(10mL)中の8(351mg、1mmol)溶液を、アルゴン下、80°C
で24時間、NaN(325mg、5mmol)で処理した。次いで、反応混合物を冷
却し、CHCl(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を、HO(3×20
ml)およびブラインで洗浄し、乾燥させ、蒸発させて粗製油を得、これをシリカゲルク
ロマトグラフィー(EtOAc/n−ヘキサン=1:2、V/V)により精製して、表題
化合物を黄色固体として得た(224mg、72%)。
化合物1042を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、CDCl
δ9.00(bs、1H、NH)、8.08(s、1H)、7.95(d、J=8.4H
z、1H)、7.81(d、J=8.4Hz、1H)、3.92(d、J=12.4Hz
、1H)、3.50(d、J=12.4Hz、1H)、2.96(s、1H、OH)、1
.54(s、3H);19F NMR(CDCl、デカップルド)δ−62.21;M
S(ESI)m/z314.03[M+H];312.18[M−H]
(S)−N−(6−シアノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)−2−ヒ
ドロキシ−2−メチル−3−(4−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イ
ル)プロパンアミド(C1511)(1043)
【化96】
【0410】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(5mL)中の4−トリフルオロ
メチル−ピラゾール(0.10g、0.0007349mol)溶液に、水素化ナトリウ
ム(60%油中分散液、0.09g、0.002025mol)を加えた。添加後、得ら
れた混合物を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(6−シアノ−5−(トリフル
オロメチル)ピリジン−3−イル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(0.
26g、0.0007349mol)を上記溶液に加え、得られた反応混合物をアルゴン
下、室温で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブ
ラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、溶離剤
としてDCMおよび酢酸エチル(19:1)を用いてシリカゲルカラムにより精製して、
0.18g(60%)の表題化合物を白色固体として得た。
化合物1043を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−d
)δ10.63(s、1H、NH)、9.31(s、1H、ArH)、8.80(s、
1H、ArH)、8.32(s、1H、ピラゾール−H)、7.81(s、1H、ピラゾ
ール−H)、6.48(s、1H、OH)、4.55(d、J=14.0Hz、1H、C
H)、4.37(d、J=14.0Hz、1H、CH)、1.42(s、3H、CH
;質量(ESI、負):406.08[MH];(ESI、正):[M+H]、43
0.13[M+Na]
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(5−(4−
フルオロフェニル)−1H− −1,2,3−トリアゾール−1−イル)−2−ヒドロキ
シ−2−メチルプロパンアミド(C2015)(1044)
【化97】
【0411】
AcCN/HO(1/0.5mL)中の1042(57mg、0.18mmol)、
1−エチルニル−4−フルオロベンゼン(0.015mL、0.18mmol)およびヨ
ウ化銅(11mg、0.055mmol)の混合物は、キャップ付きの容器に入れた。反
応容器をマイクロ波反応器の反応器ブロックに入れた。プログラム可能なマイクロ波(M
W)照射サイクルを、100°Cで30分間オン(300W)、および25分間オフ(フ
ァン冷却)で2回実施したのは、第1のサイクル後に出発物質がTLCで示された(総照
射時間、60分)からである。混合物を丸底フラスコに移して減圧下で濃縮し、EtOA
cに注ぎ、水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(
EtOAc/ヘキサン=2:1)で精製して、表題化合物を黄色固体として得た(69.
8mg、90%)。
【0412】
化合物1044を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、アセトン−
)δ9.00(bs、1H、NH)、8.44(s、1H)、8.30(s、1H)
、8.25(d、J=8.4Hz、1H)、8.02(d、J=8.4Hz、1H)、7
.89(dd、J=8.0、2.4Hz、2H)、7.20(d、J=8.8Hz、2H
)、5.67(s、1H、OH)、4.92(d、J=14.0Hz、1H)、4.72
(d、J=14.0Hz、1H)、1.60(s、3H);19F NMR(アセトン−
、デカップルド)δ114.68、61.64;MS(ESI)m/z 432.1
1[M-H]434.08[M+H]。1044の構造は、NOESYおよびCOS
Yの2D NMR技術によって、その異性体1045(下記参照)と区別された。
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−(4−
フルオロフェニル)−1H− −1,2,3−トリアゾール−1−イル)−2−ヒドロキ
シ2−メチルプロパンアミド(C2015)(1045)
【化98】
【0413】
アセトニトリル(7mL)/水(3mL)中のヨウ化銅(I)(11mg、0.055
mmol)の懸濁液に、室温で1042(57mg、0.182mmol)を加え、次い
で1−エチニル−4−フルオロベンゼン(0.015mL、0.182mmol)を添加
した。得られた反応混合物を室温で3日間撹拌した。混合物を減圧下で蒸発させ、水:ブ
ライン(1:1、v/v)に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。次いで、合わせた有機抽出物
をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。精製はクロマト
グラフィー(シリカ、60%酢酸エチル/ヘキサン)で行い、黄色固体(51.3mg、
65%)を得た。
【0414】
化合物1045を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、CDCl
)δ9.07(bs、1H、NH)、7.82〜7.80(m、1H)、7.79(s、
1H)、7.76〜7.74(m、2H)、7.72(dd、J=8.2、2.8Hz、
2H)、7.10(t、J=8.8Hz、2H)、5.15(bs、1H、OH)、4.
96(d、J=14.0Hz、1H)、4.61(d、J=14.0Hz、1H)、1.
62(s、3H);19F NMR(CDCl、デカップルド)δ−62.24、−1
12.36;MS(ESI)m/z 432.17[M-H]434.09[M+H]
。1045の構造は、NOESYおよびCOSYの2D NMR技術によってその異性
体1044(上記参照)と区別された。例えば、1045は、メチレンプロトンとトリア
ゾールプロトンとの間にNOEクロスピークを示し、これらのプロトンは、1044では
なく、1045の場合のように互いに約4.5Å以内であることを示している。このクロ
スピークは1044には見られなかった。
(S)−3−(4−フルオロ−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−2−メ
チル−N−(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−プロパンアミド(C
1412)(1046)
【化99】
【0415】
アルゴン雰囲気下、乾燥し、窒素パージし、滴下漏斗を備えた100mLの丸底フラス
コ内の4−フルオロ−1H−ピラゾール(691mg、8.03mmol)に、鉱油(6
74mg、16.9mmol)中60%分散のNaHを、60mLの無水THF溶媒に氷
水浴で加えた。混合物を氷水浴で30分間撹拌した。このフラスコに滴下ロートを通して
、10mLの無水THF中の(R)−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(
4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミド(2.98g、8.
03mmol)溶液を、アルゴン雰囲気下、氷水浴で加え、室温で一晩撹拌した。1mL
のHOを添加した後、反応混合物を減圧下で濃縮し、次いで50mLのEtOAc中に
分散させ、50mL(x2)の水で洗浄し、蒸発させ、無水MgSO上で乾燥させ、蒸
発乾固させた。混合物を、EtOAc/ヘキサンを1:2の比で溶離剤として用いたフラ
ッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物(2.01g、67%)を黄色固
体として得た。
【0416】
化合物1046を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、CDCl
)δ9.14(bs、1H、NH)、8.01(s、1H)、7.97〜7.91(m、
2H)、7.38(d、J=3.6Hz、1H)、7.35(d、J=4.4Hz、1H
)、5.95(s、1H、OH)、4.56(d、J=14.0Hz、1H)、4.17
(d、J=14.0Hz、1H)、1.48(s、3H);19F NMR(CDCl
、デカップルド)δ−60.13、−176.47;MS(ESI)m/z 375.0
8[M-H]-;377.22[M+H];399.04[M+Na]
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−
3−(4−ヨード−1H−ピラゾール−1−イル)−2−メチルプロパンアミド(C15
12IN)(1047)
【化100】
【0417】
氷水浴中で、アルゴン雰囲気下で冷却した無水THF(5mL)中の4−ヨード−1H
−ピラゾール(0.20g、0.001031mol)溶液に、水素化ナトリウム(60
%油中分散液、0.124g、0.003093mol)を加えた。添加後、得られた混
合物を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメ
チル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8、0.36g、0.
001031mol)を上記溶液に添加し、得られた反応混合物をアルゴン下、室温で一
晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄
し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、DCMおよび酢酸エ
チル(19:1)を溶離剤として用いてシリカゲルカラムにより精製し、0.25g(5
2%)の表題化合物をオフホワイトの固体として得た。
化合物1047を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−d
)δ10.36(s、1H、NH)、8.45(s、1H、ArH)、8.23(d、
J=8.8Hz、J=1.2Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.8Hz、1
H、ArH)、7.78(s、1H、ピラゾール−H)、7.46(s、1H、ピラゾー
ル−H)、6.31(s、1H、OH)、4.48(d、J=14.0Hz、1H、CH
)、4.31(d、J=14.0Hz、1H、CH)、1.35(s、3H、CH)。
質量(ESI、負):463.18[MH];(ESI、正):486.96[M+N
a]
(S)−3−(4−シアノ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(4−シアノ−3−(
トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C16
12)(1048)
【化101】
【0418】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した無水THF(5mL)中の1H−ピラゾール−
4−カルボニトリル(0.10g、0.001074mol)溶液に、水素化ナトリウム
(60%油中分散液、0.11g、0.003223mol)を加えた。添加後、得られ
た混合物を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオ
ロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8、0.377g
、0.001074mol)を上記溶液に添加し、得られた反応混合物をアルゴン下、室
温で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブライン
で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、ヘキサンおよ
び酢酸エチル(1:1〜1:2)を溶離剤として使用してシリカゲルカラムで精製し、0
.18g(46%)の表題化合物を白色固体として得た。
化合物1048を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−d
)δ10.35(s、1H、NH)、8.45(d、J=1.2Hz、1H、ArH)
、8.43(s、1H、ピラゾール−H)、8.22(d、J=8.8Hz、J=1.2
Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.8Hz、1H、ArH)、7.98(s
、1H、ピラゾール−H)、6.41(s、1H、OH)、4.45(d、J=14.0
Hz、1H、CH)、4.36(d、J=14.0Hz、1H、CH)、1.38(s、
3H、CH);質量(ESI、負):362.11[MH];(ESI、正):38
6.07[M+Na]
(S)−3−(4−クロロ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(4−シアノ−3−(
トリフルオロメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(C15
12ClF)(1049)
【化102】
【0419】
アルゴン雰囲気下、氷水浴中で冷却した無水THF(5mL)中の4−クロロ−1H−
ピラゾール(0.15g、0.001463mol)溶液に、水素化ナトリウム(60%
油中分散液、0.18g、0.004389mol)を加えた。添加後、得られた混合物
を3時間撹拌した。(R)−3−ブロモ−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル
)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(8、0.51g、0.00
1463mol)を上記溶液に添加し、得られた反応混合物をアルゴン下、室温で一晩撹
拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、
MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生成物を、ジクロロメタンおよび酢
酸エチル(19:1)を溶離剤として使用するシリカゲルカラムにより精製して、表題化
合物0.30g(55%)を白色固体として得た。
【0420】
化合物1049を以下のように特徴付けた:H NMR(400MHz、DMSO−
)δ10.38(s、1H、NH)、8.46(s、1H、ArH)、8.23(d
、J=8.6Hz、J=1.2Hz、1H、ArH)、8.10(d、J=8.6Hz、
1H、ArH)、7.83(s、1H、ピラゾール−H)、7.47(s、1H、ピラゾ
ール−H)、6.34(s、1H、OH)、4.45(d、J=14.0Hz、1H、C
H)、4.27(d、J=14.0Hz、1H、CH)、1.36(s、3H、CH
。質量(ESI、負):371.68[MH]
実施例2
オクタノール−水分配係数(Log P)
【0421】
Log Pは、オクタノール−水分配係数の対数であり、特定の分子が生物学的膜を横
切る可能性があるかどうかの概算として薬物探索の初期に一般的に使用される。Log
PはChemDraw Ultraバージョン12.0.2.1016(Perkin−
Elmer、Waltham、Massachusetts 02451)を用いて計算
した。計算されたLog P値は、表1の「Log P(−0.4〜+5.6)」の列に
報告されている。リピンスキーの5つのルールは、経口バイオアベイラビリティを予測す
るための一連の基準である。経口バイオアベイラビリティのこれらの基準の1つは、Lo
g Pが、列見出し(−0.4(相対的に親水性)〜+5.6(比較的親油性)の範囲)
に示される値の間にある、またはより一般的には5未満と記されることである。SARD
設計の目標の1つは、水溶性を改善することであった。ピラゾール、ピロールなどの本発
明の単環式テンプレートは、以前の類似体よりも水溶性が高かった。例えば、アルキル−
アミン17、インドリン100、およびインドール11のような他のテンプレートからの
SARDのLogP値を、本発明の単環式化合物(1001〜1049)と比較すること
ができる。
【0422】
表1:LBD結合(Ki)、AR拮抗(IC50)、SARD活性および代謝安定性のインビトロスクリー
ニング
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】

【表1-5】

【表1-6】

【表1-7】


表2:
【表2】


実施例3
トランス活性化アッセイ
【0423】
方法:HEK−293細胞を、示された受容体およびGRE−LUCおよびCMV−r
enilla lucでトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に細
胞を処理し、トランスフェクションの48時間後にルシフェラーゼアッセイを行った。S
ARD化合物は、AR以外の受容体の10μMまでのトランス活性化を阻害しなかった。
実験方法を以下に説明する。
【0424】
ヒトARをCMVベクター骨格にクローニングし、トランス活性化研究に使用した。H
EK−293細胞を、24ウェルプレートのウェルあたり120,000細胞でDME+
5%csFBS中に播種した。細胞を、0.25μgのGRE−LUC、0.01μgの
CMV−LUC(レニラ属ルシフェラーゼ)、および25ngのARを含むリポフェクタ
ミン(Invitrogen社、カールズバッド、CA)を用いてトランスフェクトした
。トランスフェクションの24時間後に細胞を処理し、トランスフェクションの48時間
後にルシフェラーゼアッセイを行った。トランス活性化の結果は、測定されたルシフェラ
ーゼ発光に基づき、相対光単位強度(RLU)として報告された。このアッセイは、アン
タゴニストモード(IC50)で、既知のアゴニストR1881を用いて、0.1nMの
EC50濃度で、および本発明のSARD濃度を増加させて行った。表1のいくつかの化
合物について、アゴニストモードデータ、例えば、部分アゴニストまたはエノボサームに
ついてのおよそのEC50を、定性的に報告した。アンタゴニストデータは、4つのパラ
メータロジスティック曲線から得られたIC50(nM)として表され、表1の「IC
」と表示された列に報告されている。
【0425】
結果:代表的なグラフの例を、図1A(1002)、2A(11対1002)、3A(
1003)、4A(1004)、5A(1005)、6A(1006)、8〜12(10
07〜1011)、および13A(1001)に示し、RLUをy軸に、SARD濃度(
nM)をx軸上に報告したものとして結果をプロットした。これらの図では、アンタゴニ
ストモードデータは曲線適合データとして示され、アゴニストモードデータ(存在する場
合)は曲線適合なしで報告される。弱くかつ部分的なアゴニズムしか見られなかった。イ
ンビボの薬力学は、アンドロゲン依存性組織の強力で非常に有効な拮抗作用を示す(本明
細書の実施例7および10参照)。図2は、11(黒丸)と1002(白丸)との間の拮
抗作用の直接比較である。表1に報告した他のIC50値を、同じ方法で計算した。
【0426】
1002は、11(85.1nM、図2)と同等の阻害を有する強力なアンタゴニスト
(199.36nM、表1および図1A)であり、これは経口バイオアベイラビリティを
欠く極めて強力なインドールSARDである。2倍に増加したIC50(表1)およびA
R−LBD結合の欠如(実施例4および表1を参照)にもかかわらず、1002はインビ
トロでより強力なAR分解剤であった(実施例5および表1を参照)。さらに、11とは
異なり、1002は、マウスおよびラットにおいて改善されたインビボ薬力学(本明細書
の実施例7参照)に翻訳されたマウス(表1)およびヒト肝ミクロソーム(表2)におい
てインビトロで非常に安定であった。構造的差異のみに基づいて、インビトロでのSAR
D活性の増加および代謝安定性はそれぞれ予想外の結果であった。同様に、大幅に改善さ
れたインビボ有効性は、構造的差異だけに基づいて予測され得なかった(すなわち、予想
外であった)。1012、1014、および1017はまた、インビトロで改善された代
謝安定性を示し、ピラゾール部分が、1002の予想外の安定性の原因であり得ることを
示唆している。
【0427】
後述するように、1002および1014はまた、インビボ異種移植研究(実施例8お
よび10参照)において有意な抗腫瘍活性も示し、これらの化合物のバイオアベイラビリ
ティがその意図された用途に十分であることを示唆している。
【0428】
1004(ピロール)および1006(イミダゾール)は、強い阻害(178.77n
Mおよび148.94nM、表1、図4Aおよび6A)だが弱いSARD活性を示す反面
、1005および1016は、弱い阻害だが強いSARD活性を示し、インビトロ阻害が
SARD活性と十分に相関していないことを示唆している。しかし、1010(ピロール
)、1012(ピラゾール)、および1014(ピラゾール)は、強力な阻害剤および分
解剤であった。一般に、LBD結合またはLBD依存性阻害およびインビトロSARD活
性は、分離されているが、高度に耐性のある構造活性関係であるようである。本発明の他
の化合物の値を表1および表2に報告する。
【0429】
トランス活性化の強力な阻害は、1020(192nM)、1022(92nM)、お
よび1024(464nM)についても見られた。1020は、ピラゾール1002のR
−異性体であり、1002と同様に、LBDに結合しないが、強いSARD活性を有する
。同様に、インドールSARD11および11のR−異性体は、AR−FL(LNCaP
)とAR−SV(22RV1)について、同等のSARD活性(表1および図2B)を有
する。これは、典型的にはR−異性体について100倍低いLBD結合およびアゴニスト
活性を有するエノボサームのようなプロパンアミドSARMとは対照的である(データは
示さず)。これは、以下の実施例9でより詳細に議論されるように、SARD活性がLB
Dを介して媒介されないというさらなる証拠である。実施例9は、N末端ドメイン(NT
D)を介して作用する本発明のLBDおよびSARDに結合する従来のARアンタゴニス
トとは異なる構造活性関係の基礎を提供する、NTDにおける新規結合部位を実証する。
反対の異性体(SARMとは異なり)におけるSARD活性の保持は、NTD結合部位が
そのリガンドにおいて立体特異性を必要としないことを示唆している。さらに、NTD結
合部位は、LBD結合(アゴニストおよび)アンタゴニストのために保存されているキラ
ルヒドロキシル基を必要としないようである。例えば、1024は、ヒドロキシルを欠く
が、LBD結合なしにも関わらず(表1:K:結合なし)、SARD活性(表1:AR
−FLの60%分解)およびARを阻害する能力(表1:IC50=464nM)を保持
する非キラルプロパンアミドラセミ体である。また、1029は、キラル中心をメチレン
基で置き換え、しかもなお、いくらかのSARD活性(表1:AR−FLの35%分解)
およびAR拮抗作用(表1:IC50=2124nM)を保持する。1032は、そのヒ
ドロキシル基がアシル化によって保護されており、LBDには結合しないが、ARのアン
タゴニストである。SARの別の可能な分岐は、4−シアノまたはニトロおよび3−トリ
フルオロメチルまたは3−クロロとしてLBD結合剤のために保存されているA環である
。しかし、1002のCFを1007のClに変えると、SARD活性が消失した。さ
らに、1022は新規なピリジンA環を有し、LBDに結合しないが、トランス活性化(
92nM)の強力な阻害およびSARD活性(表1)を保持している。同様に、SARD
活性は、ピリジンA環を含む1037および1041について示され(表1および図28
C)、1043は非常に強力なピリジンアンタゴニストであるが、SARD活性は弱い(
表1)。さらに、1037は、LBDに弱く結合するが(4547nM)、強力なアンタ
ゴニストであり(350.5nM)、SARD活性を保持する3−ブロモプロパンアミド
(すなわち、複素環式B環を欠いている)であり、B環が本発明のSARDについては必
ずしも必要ないことを示している(表1)。このような所見は、LBD結合データの非存
在下でSARD活性を最適化し、LBDを欠くARスプライスバリアントの分解の論理的
根拠を提供することを確認する。
実施例4
ヒトアンドロゲン受容体(hAR)リガンド結合ドメイン(LBD)親和性アッセイ
【0430】
方法:hAR−LBD(633〜919)をpGex4t.1にクローニングした。大
規模なGST標識AR−LBDを調製し、GSTカラムを用いて精製した。緩衝液A(1
0mM Tris、pH7.4、1.5mM EDTA二ナトリウム、0.25Mスクロ
ース、10mMモリブデン酸ナトリウム、1mM PMSF)中で、組換えAR−LBD
を、[H]ミボレロン(PerkinElmer、Waltham、MA)と組み合わ
せて、[H]ミボレロンの平衡解離定数(K)を決定した。タンパク質は、総結合お
よび非特異的結合を測定するために、4℃で18時間、高濃度の未標識ミルボレロンを含
むまたは含まない漸増濃度の[H]ミルボレロンとともにインキュベートした。次に非
特異的結合を全結合から差し引いて、特異的結合を決定し、1部位飽和を有するリガンド
結合曲線についての非線形回帰を用いてミボレロンのKを決定した。
【0431】
SARDまたはDHT(範囲:10−12〜10−4 M)の増加する濃度は、上記の
条件を用いて、[H]ミボレロンおよびAR−LBDとともにインキュベートした。イ
ンキュベーション後、リガンド結合AR−LBD複合体をBiogelHTヒドロキシア
パタイトを用いて単離し、洗浄し、シンチレーションカクテルを加えた後、シンチレーシ
ョンカウンターで計数した。
【0432】
結果:このアッセイの結果は、「wt AR結合(K(左))」と表示された列中の
表1のK値(nM)として報告される。上述のように、また表1から明らかなように、
AR−LBD親和性とSARD活性との間には乏しい相関がある。例えば、1002、1
005、1015、1019、1020、1022について参照すると、LBDに対する
結合親和性がないにもかかわらず、インビトロSARD活性はある(表1)。
実施例5
SARD活性を決定するインビトロアッセイ
【0433】
LNCaPまたはAD1アンドロゲン受容体分解剤(全長AR):本発明の化合物を、
全長ARタンパク質発現に対するそれらの効果について試験した。方法:全長ARを発現
するLNCaPまたはAD1細胞を、6ウェルプレートのウェルあたり750,000〜
1,000,000細胞で、増殖培地(RPMI+10%FBS)中に播種した。プレー
ティングの24時間後、培地をフェノールレッドを含まないRPMI+1%csFBSに
交換し、この培地中で2日間維持した。培地を再度フェノールレッドを含まないRPMI
+1%csFBSに変え、細胞を0.1nM R1881と組み合わせたSARD(1n
M〜10mM)で処理した。24時間の処理後、細胞を冷PBSで洗浄し、採取した。3
回の凍結融解サイクルを有する塩含有溶解緩衝液を用いてタンパク質を抽出した。タンパ
ク質濃度を推定し、全タンパク質5μgをSDS−PAGEにロードし、分画し、PVD
F膜に移した。膜は、AR N−20抗体(SantaCruz社バイオテクノロジー社
、ダラス、テキサス州75220)とアクチン抗体(Sigma−Aldrich社、セ
ントルイス、MO)でプローブした。
【0434】
結果:LNCaPまたはAD1細胞における分解は、表1の「全長1、10μMで%阻
害」と表示された列に報告されている。このアッセイの結果は、ウェスタンブロットフィ
ルムの画像(化学発光露出フィルム)として、図1B(1002)、2B(11、11R
、1002、1020)、3B〜6B(1003〜1006)、7(17)、13B(1
001)、20A(1010、1012、1014、1015、1017、1019、お
よび1022)、28A(1024および1029)、28C(1037および1041
)、28D(1044および1045)に報告された。
【0435】
22RV1またはD567esアンドロゲン受容体分解剤(スプライスバリアント(S
V)AR):ARレベルに対するSARD処置の効果を、アンドロゲン耐性22RV−1
またはD567es前立腺癌細胞において測定した。方法:ARスプライスバリアント(
AR−SV)を発現する22RV1またはD567es細胞を、6ウェルプレートのウェ
ルあたり750,000〜1,000,000細胞で、増殖培地(RPMI+10%FB
S)中に播種した。プレーティングの24時間後、培地を交換し、処理した。24〜30
時間の処理後、細胞を冷PBSで洗浄し、採取した。3回の凍結融解サイクルを有する塩
含有溶解緩衝液を用いてタンパク質を抽出した。タンパク質濃度を推定し、全タンパク質
5μgをSDS−PAGEにロードし、分画し、PVDF膜に移した。膜は、AR N−
20抗体(Santa Cruz Biotechnology社、ダラス、テキサス州
75220)とアクチン抗体(Sigma−Aldrich社、セントルイス、MO)で
プローブした。
【0436】
結果:22RV1またはD567es細胞の分解は、表1の「S.V.10μMで%阻
害」と表示された列に報告されている。ウェスタンブロットフィルム(化学発光露光フィ
ルム)の画像として、D567es細胞におけるこのアッセイの結果を、図1C(100
2)および20B(1010、1012、1014〜1017、1019および1022
)に、ならびに22RV1細胞におけるこのアッセイの結果を、図2B(11、11R)
、13C(1001)および28B(1024および1029)に報告した。
実施例6
マウス肝ミクロソームによる代謝研究(DMPK(MLM))
【0437】
試験化合物の代謝安定性(インビトロ CLint)の決定:第I相代謝:このアッセ
イは、0.5mLの最終容量で2回(n=2)行った。試験化合物(1mM)を、0.5
mg/mL肝ミクロソームタンパク質を含有する100mM Tris−HCl、pH7
.5中で、37℃で10分間プレインキュベートした。プレインキュベーション後、1m
M NADPH(37℃でプレインキュベート)の添加により反応を開始した。インキュ
ベーションは3通り実施し、様々な時点(0、5、10、15、30および60分)で行
った。100mLアリコートを取り出し、内部標準を含有する100mLのアセトニトリ
ルでクエンチした。試料をボルテックス混合し、4000rpmで10分間遠心分離した
。上清を96ウェルプレートに移し、LC−MS/MS分析にかけた。対照として、NA
DPHの非存在下で行ったサンプルインキュベーションを含めた。%PCR(%親化合物
残存率)から、化合物の消失速度を決定し(勾配)、インビトロCLint(μl/分/
mgタンパク質)を計算した。
【0438】
結果:図14は、化合物1002の MLMにおける1回の実験のための生データテー
ブルとしての第I相データおよびそこから計算されたT1/2(半減期)およびCLin
(クリアランス)値を報告した。図15Aおよび16Aは、それぞれマウス肝ミクロソ
ーム(MLM)およびヒト肝ミクロソーム(HLM)における1002についての1つの
実験の生データテーブルおよびグラフデータとしての第I相データを報告する。同様に、
図17は1001のMLMデータを報告し、表1および2のT1/2(半減期)およびC
int(クリアランス)値はそこから計算した。
【0439】
第I相および第II相経路における代謝安定性
【0440】
このアッセイでは、試験化合物を肝ミクロソームと共にインキュベートし、薬物の消失
を発見グレードのLC−MS/MSを用いて測定した。第II相代謝経路(グルクロニド
化)をシミュレートするために、UDPGAおよびアラメチシンをアッセイに含めた。%
PCR(%親化合物残存率)から、化合物の消失速度を決定し(濃度対時間プロットの勾
配)、インビトロCLint(μl/分/mgタンパク質)を計算した。マウス肝ミクロ
ソーム(MLM)を利用するこのアッセイの結果は、表1の「DMPK(MLM)T1/
(分)&CLint(μL/分/mg)」と表示された列に報告されている。最初の値
は、分単位で表したMLMでの試験物質の計算された半減期(T1/2)であり、2番目
の値は、mリットル/分/mgタンパク質として表したMLMでの試験物質の固有のCL
(CLint型)である。
【0441】
結果:図14は、1つの実験のための生データテーブルとしての第I相および第II相
データ、およびそれから計算されたT1/2(半減期)およびCLint(クリアランス
)値を報告した。図15B(マウス肝ミクロソーム(MLM)を使用)および16B(ヒ
ト肝ミクロソーム(HLM)を使用)は、1002についての第I相および第II相デー
タを、別々の単一実験およびグラフ化データの生データ表として報告した。このデータは
、1002がMLMにおいて安定であり、HLMにおいて非常に安定であることを実証し
た。LC−MS/MS分析は以下のように行った。
【0442】
1002の代謝安定性および本発明の他のピラゾールは、以前のSARDの点から見て
予想外であった(100、17&11、表1を参照)。以前のSARDテンプレートとピ
ラゾールとの比較、および進行前立腺癌(実施例10)およびトリプルネガティブ乳癌(
実施例8)における代謝安定性、インビボ薬力学、インビボ血清および腫瘍濃度、および
インビボ抗腫瘍効果に関する予想外の結果については、実施例8および10も参照のこと
。さらに、非ヒドロキシ変異体である1024(表1)およびピリジンA環化合物(非カ
ルボニトリル)である1023についてのMLMデータは、どちらも60分間MLMでイ
ンキュベーションした後に代謝の欠如を明らかにした。これは、ヒドロキシル基を欠くお
よび/または代替のA環を含む、ピラゾールB環を有するものを含む本発明のSARDの
代謝安定性を実証する。
LC−MS/MS分析:
【0443】
調査中の化合物の分析は、MDS/Sciex 4000 Q−Trap(商標)質量
分析計を備えたAgilent 1100 HPLCからなるLC−MS/MSシステム
を用いて行った。分離は、C18ガードカートリッジシステム(4.6mm IDカラム
用、SecurityGuard(商標)ULTRA Cartridges UHPL
C、Phenomenex)で保護されたC18分析カラム(Alltima(商標)、
2.1×100mm、3μm)を用いて達成した。移動相は、チャネルA(95%アセト
ニトリル+5%水+0.1%ギ酸)およびチャネルC(95%水+5%アセトニトリル+
0.1%ギ酸)からなり、流速0.4mL/分で送達された。アセトニトリルと水の体積
比は、各分析物について最適化した。各化合物に最適化されたカーテンガス、衝突ガス、
ネブライザーガス、補助ガス、および550℃のソース温度で、複数の反応モニタリング
スキャンを行った。イオンスプレー電圧−4200V(ネガティブモード)を用いて分子
イオンを形成した。各化合物について、非クラスタ化ポテンシャル、入射ポテンシャル、
衝突エネルギー、生成イオン質量、およびセル出射ポテンシャルを最適化した。
実施例7
SARD化合物1002によって実証されたインビボ拮抗作用
【0444】
ハーシュバーガー法:オスのマウス(20〜25gの体重、n=5〜7/群)を無傷の
まま、または去勢し、図に示すように13日間処置した。去勢3日後に去勢マウスの処置
を開始した。処置の14日目にマウスを屠殺し、精嚢を取り出し、体重を測定した。精嚢
重量は、そのままで表されたか、または体重に対して正規化されて表された。
【0445】
結果:1002は、経口一日用量が、無傷(図18A)では40mg/kg、去勢(図
18B)では100mg/kgで、精嚢の重量を有意に減少させた。アンドロゲン受容体
(AR)拮抗作用の代表である精嚢の重量の減少は、1日当たり20mg/kgのエンザ
ルタミド投与のそれよりも顕著であった。1002は去勢されたマウスにおいてさえ有効
であり、去勢AR標的組織におけるいかなる残存AR活性でさえも、1002の強力な活
性によりさらに阻害されたことは、ADT処置前立腺癌患者を治療するための本発明のS
ARDの能力を十分に示唆する。これは、たとえいくつかの弱い部分的ARアゴニズムが
インビトロトランス活性化実験で観察されても、インビボにおける優勢なトーンはAR拮
抗作用であることを示唆する。さらに、1002に対する40mg/kg(40mpk)
のインビボ活性は、同等のインビトロ転写阻害効力にもかかわらず、典型的には100m
g/kg以上でしかインビボ効果を示さなかった、我々の実験室で以前に試験したSAR
Dを超える劇的な改善であった。これは、1002の予期しない代謝安定性が、臨床的に
有意な経口バイオアベイラビリティに変換されることを示唆する。
【0446】
ラットは、ARアゴニストおよびアンタゴニストのアンドロゲン活性および同化活性の
より感受性の高いモデルであることが知られているので、ラットでハーシュバーガー実験
を繰り返した。体重(165〜180g)のSprague Dawleyラットを、ビ
ヒクル、40 MPK 1002、60 MPK 1002、または20 MPKのエン
ザルタミドで経口的に処置した。処置の13日後、ラットを屠殺し、前立腺、精嚢および
肛門挙筋の重量を測定した。1002は40mg/kgで、精嚢、前立腺、および肛門挙
筋の重量を、20mg/kgのエンザルタミドとほぼ同じ程度に拮抗させ、60mg/k
gの1002はさらに、これらの組織のそれぞれの重量を去勢レベル近くまで抑えた(図
19A)。図19Aは、無傷のラットにおける絶対臓器重量の減少を示し、図19Bは、
ビヒクル処置対照と比較した%阻害の同じデータを示す。図19Bの右下のパネルは、精
嚢および前立腺の重量に対する去勢の効果を表す。1002は60mg/kgで、去勢に
よって生成されたそれぞれ90%および85%の減少と比較して、約70%まで前立腺お
よび精嚢の重量を減少させた(図示せず)。1002は、トランス活性化(IC50)に
おけるインビトロ効力が劣り、LBD(K)への結合の欠如にもかかわらず、エンザル
タミドを超えてインビボAR拮抗作用を生じるのに十分なバイオアベイラビリティを有す
る最初のSARDである。1002はインビトロで強力なSARD分解活性を有する。そ
れに対応して、エンザルタミドと比較して予想外に優れた1002のインビボ拮抗作用(
エンザルタミドのINDは、100mpkおよび30mpkが同等のインビボ有効性を示
したので、20mpk用量はおそらくEmaxに近く、ほとんど溶解しなかった)は、L
BDによるARの従来の阻害に関して説明できないが、むしろAR拮抗作用が、本発明の
化合物に特有の性質であるARの強力な分解に起因することを示唆している。
【0447】
1002のNTD結合および本発明の他のSARDを支持する複数の生物物理学的系統
の証拠については、実施例9も参照のこと。ハーシュバーガーアッセイにおける1014
の予想外の結果および他のインビボアッセイについては、実施例10も参照のこと。
実施例8
SARD化合物1002によって実証されたインビボ抗腫瘍活性
トリプルネガティブ乳癌(TNBC)患者由来異種移植片(PDX)
【0448】
患者検体採取とPDX作成:テネシー大学保健科学センター(UTHSC)の施設審査
委員会(IRB)の承認を受けたプロトコルに基づき、患者の同意を得て乳癌患者の検体
を採取した。簡潔には、検体は、ペニシリン:ストレプトマイシンおよびファンジゾン(
Thermo Fischer Scientific)を含有するRPMI培地中で手
術直後に採取し、氷上で実験室に輸送した。組織を細かく刻み、コラゲナーゼで2時間処
理した。消化した組織を無血清培地で洗浄し、メスのNod Scid Gamma(N
SG)マウスの皮下に1mmの断片として移植した。採取時にTNBCとして特徴付け
られるトリプルネガティブ患者(TNBC)、HBrT−1071およびHBrT−13
61由来の2つのそのようなPDXを卵巣切除マウスに移植した。すべての動物試験は、
UTHSC動物管理および使用委員会(ACUC)承認プロトコールのもとで実施された
。JAXラボ(Bar Harbor、ME)から購入したメスのNSGマウス(6〜8
週齢)をケージ当たり5匹の動物として収容し、水および市販の齧歯類用チャウ(Har
lan Teklad 22/5齧歯類の食事−8640)に自由に接近させた。HBr
T−1071およびHBrT−1361を、イソフルラン麻酔下で外科的に乳房脂肪パッ
ド下に移植した(1mm)。腫瘍サイズが100〜200mmに達したら、動物を無
作為化し、ビヒクル(ポリエチレングリコール−300:DMSO 85:15比)また
は1002(1日当たり60mg/kg/を経口投与)で処置した。腫瘍をカリパスを用
いて毎週3回測定し、腫瘍体積を式の長さ×幅×幅×0.5236を用いて計算した。実
験の終わりに、動物を屠殺し、腫瘍を秤量し、さらなる処理のために採取した。血液を採
取し、血清を分離し、−80°Cで保存した。
【0449】
結果:SARD化合物1002は、2つの異なるTNBC PDXモデル(図21A
よび21B)において腫瘍増殖を阻害することができたが、エンザルタミドは腫瘍増殖を
阻害しなかった(図21A)。1002は、HBrt 1071 TNBC PDXの増
殖を、65%の腫瘍増殖阻害率で有意に阻害した。同様に、1002は腫瘍重量を50%
以上阻害した(図21A)。対照的に、エンザルタミド処理動物由来の腫瘍は、ビヒクル
処理動物とサイズが見分けがたく、または腫瘍増殖を促進する傾向があった。1002は
、約50%の腫瘍成長阻害率でHBrt−1361TNBC PDXの増殖を有意に阻害
し、腫瘍重量を40%以上阻害した(図21B)。さらに、これらの腫瘍に存在するAR
の分析は、ARスプライスバリアントの高レベルを示した(図21A、1071と表示さ
れたレーン)。この観察は、NTD結合SARD(NTD結合の生物物理学的証拠につい
ては以下の実施例9を参照)である1002は、腫瘍成長を阻害することができたが、L
BD依存性ARアンタゴニストであるエンザルタミドは失敗した理由を説明するのを助け
る。これは、SARDが、例えば、AR−V7またはLBDを欠く他のARを発現するも
のなど、TNBCおよび進行前立腺癌のようなARスプライスバリアント依存性癌を阻害
することができることを示唆している(実施例10参照)。さらに、これは、例えば10
14および1010のような、本発明の1002および他のSARDの予想外の経口バイ
オアベイラビリティが、経口投与後の血清および腫瘍(実施例10も参照)レベルを、進
行および難治性のAR依存性癌の治療に十分であるようにしたことを確認する。
実施例9
アンドロゲン受容体のN末端ドメイン(NTD)のAF−1領域へのSARD結合
【0450】
核磁気共鳴(NMR):AF−1およびAF−1の種々の断片をpGex4t.1およ
びpGex6p.1ベクターにクローニングした。タンパク質を精製するために、大量の
Luriaブロス培養物を、ODが0.6に達したときに1Mイソプロピルβ−D−1−
チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導し、25°Cで6時間インキュベートした。
細胞を採取し、溶解緩衝液(50mM Tris pH7.5、25〜250mM Na
Cl、DNase、プロテアーゼ阻害剤、グリセロール、EGTA、DTTおよびスクロ
ース)中で溶解した。タンパク質溶解物を、グルタチオンセファロースビーズを用いて、
穏やかに振動させながら4°Cで一晩インキュベートすることによって精製し、精製タン
パク質を50mMの還元グルタチオンを含有する溶出緩衝液(DNaseを含まない溶解
緩衝液)で溶出した。精製したタンパク質をAmiconまたはGEタンパク質濃縮器を
用いて濃縮した。GSTを切断する必要がある場合、PreScissionプロテアー
ゼ(GE Life Sciences)を用いてGSTを切断した。ゲル濾過(Sup
erdex 75 10/300 GL)およびイオン交換(HiPrep Q FF
16/10)カラムを備えたFPLC(GE AKTA FPLC)を用いてタンパク質
をさらに精製した。化合物を単独または精製タンパク質と組み合わせて、100%重水素
水で作製した20mMのリン酸緩衝液中で、5mMタンパク質および200〜500mM
の小分子(重水素化DMSOで作製された(DMSO−d))を入れた総容量500μ
LのH NMR(Bruker 400)で試験した。
【0451】
NMRデータは、BBO 5mm NMRプローブおよびTopSpin 3.0ソフ
トウェアを備えたBruker AVANCE III 400MHz NMR分光計(
Bruker BioSpin Co.Billerica、MA USA)を用いて収
集した。HプロトンNMRおよび飽和−移動差(STD)実験を、TopSpinライ
ブラリーの標準的なパルスシーケンスを使用して得た。スペクトル幅は中心にHOピー
クを有する16ppmに設定した。32K時間領域(TD)複素データ点および256ス
キャンをHプロトンNMRに使用し、1024スキャンをSTD取得に使用した。ST
Dについては、インターリーブ法を用いてオンおよびオフ共鳴[信号]を収集した。オン
およびオフ共鳴の照射周波数は、それぞれ0.8ppmおよび−20ppmに設定した。
STDシグナルがタンパク質−化合物複合体サンプル中のタンパク質由来であることを確
認するために、同じ設定を用いて、リガンド化合物のみを含むサンプルについてSTDを
取得した。データを室温で回収した。化学シフトは、4.70ppmのHOピークに従
って参照した。
【0452】
結果:H NMRはハイスループットスクリーンに使用され、500Da未満の小分
子の結合から5 Kdaより大きいタンパク質まで検出している。他の生物物理学的方法
とは対照的に、タンパク質への分子の結合を同定するためのハイスループット法として、
一次元NMRを用いて線幅または線広がりの変化を観察し、次いで確証的方法論として、
水リガンド−観測分光法(WaterLOGSY)または飽和−移動差(STD)NMR
を使用する方が簡単である。これらの実験は、線幅やNOEなどのNMR観測値が小分子
と大分子の間で劇的に変化するという事実に基づいている。回転相関時間の減少は、低分
子リガンドを重い標的分子に結合させると、遊離状態と比較して、H NMRにおける
リガンドピークの拡大および弱化、ならびにWaterLOGSY法における負のNOE
ピークを特徴とする異型重分子NMRの結果を生じる。いかなる親和性も存在しない場合
、標的タンパク質の存在下でさえ、小分子NMR結果が得られる(H NMRおよび正
のNOEにおける鋭いピーク)。この区別は、NMRスクリーニング実験の基礎を提供す
る。
【0453】
これらの原理を用いて、H NMRを利用してAF−1領域への1002の結合を確
認した。1002(500mM)を重水素化DMSO(DMSO−d)中に溶解し、単
独でまたは5mMのAF−1と混合してインキュベートし、タンパク質への分子の結合を
NMRによって決定した。1002単独では、遊離状態で存在するリガンドを明らかにす
る鋭いピークを示したが、AF−1と組み合わせた1002は、広い、拡散された、より
短いリガンドピークをもたらし、1002がAF−1に対する親和性を有することを明ら
かにした(図22)。1D NMR結果をさらに確認するために、1002単独またはA
F−1と組み合わせてWaterLOGSY法を実施した。1002単独では平らな陽性
シグナルが得られたが、AF−1と組み合わせた1002は、タンパク質への結合に特徴
的な陰性シグナルを示した(図22)。これらの結果は、1002がARのNTDにおい
てAF−1に結合し、AR(表1)のLBDに結合しない分子がインビトロおよびインビ
ボでARをどのように阻害し得るかを説明する証拠を提供する。
【0454】
定常状態蛍光:組換えヒスチジン標識AR−NTD(アミノ酸1〜559)およびAR
−AF1(アミノ酸141〜486)を前述のように精製した。タンパク質(1μM)単
独で、または1002(1μM、2μM、5μM、10μM、25μM、および50μM
)の濃度を増加させて滴定した後、定常蛍光スペクトルを、波長278nmで励起した後
に、Shimadzu Fluorescence分光光度計で測定した。タンパク質を
1002で30分間氷上でプレインキュベートした。結果は、2回測定した3つの独立し
た実験(n−3)を表す。
【0455】
結果:ピラゾールSARD 1002は、チロシン放出について見られる領域における
蛍光シグナルの劇的な増加を示した(図27B、307nm)。通常、チロシンシグナル
は、折りたたまれた/部分的に折りたたまれたポリペプチド中のトリプトファン残基への
エネルギー移動のため、見られない。チロシンシグナルの増加は、例えば、尿素の添加時
に、折りたたまれていない/変性したAR−NTDまたはAR−AF1に見られるものに
類似している(図27A)。しかし、トリプトファン信号に対応する「赤方偏移」(波長
の増加)はない(尿素λmax344nm〜347nmにおいて、図27Aおよび図27
Bを比較されたい)。1002は、受容体ポリペプチドを広げるが(チロシン放出をもた
らす)、トリプトファン残基を遮蔽し得る。
【0456】
ピロールSARD 1010の場合、クエンチングのいくつかの証拠が認められたが、
濃度依存性は乏しかった。しかし、より顕著には、AR−NTD/AFの折りたたみ形態
(すなわち、図27CのTMAOスペクトル、λmax344nm〜340nm)と一致
する、一貫した劇的な(より小さい波長への)「青方偏移」があった。これまでのデータ
に基づいて、1010はARポリペプチドの構造を安定化させると思われる。インドール
SARD 36を用いたデータ(図27D)は、1002を用いて見られたものと同様で
あったが、蛍光の変化はより弱かった。いずれの場合も、SARDとAR−1またはNT
Dとの間に相互作用が観察された。蛍光偏光(FP)の摂動は同一ではなかったが、SA
RDの複数のテンプレートにわたるこれらの類似の結果は、アンドロゲン受容体のN末端
との相互作用が本発明のSARDにとって保存された特徴であることを示唆している。さ
らに、1002は、LBDとの相互作用を欠いているが、強力なAR拮抗作用およびSA
RD活性を保持している。
実施例10
1014および1002などのピラゾールの代謝安定性は、インビボでのSARDの治療
可能性を明らかにする
インビトロ特性:
【0457】
トランス活性化(IC50:実施例3の方法を用いて表1に報告したように、101
4はARの強力な阻害剤であり、IC50値は205nMであり、これは1002(19
9nM)と類似している。
【0458】
LBD結合(K:実施例4の方法を用いて表1に報告したように、1014は51
2nMのK値でARのLBDに結合するが、1002はLBDに結合しない。
SARD活性:実施例5の方法を用いて表1に報告したように、1014および1002
は、全長およびスプライスバリアントアンドロゲン受容体を強力に分解することができる
【0459】
LNCaP−エンザルタミド耐性(LNCaP−EnzR)細胞MR49F増殖アッセ
:細胞を、フェノールレッド培地を含まないRPMI+1%csFBS中に、96ウェ
ルプレートのウェルにつき10,000細胞で播種した。細胞を、SARDの用量反応で
、示された培地中で処理した。3日目の終わりに培地を交換し、細胞を再処理した。6日
目の終わりに、生存細胞をCell−Titer−Glo(Promega)アッセイに
よって測定した。
【0460】
結果:1002および1014は、二重変異体F876L/T877Aを有するLNC
aP(LNCaP−EnzR)細胞株のエンザルタミド耐性変異の同等の増殖阻害を実証
し、エンザルタミドに対する耐性を付与した。1002および1014の両方が、約3μ
MのIC50値および10μMでほぼ完全な阻害を有し(図23)、腫瘍においてこれら
のレベルを達成できれば、SARDはエンザルタミド抵抗性前立腺癌患者のために有益で
あり得るいずれかのことを示唆している。(下記の表4参照)
肝ミクロソーム代謝研究:
【0461】
材料:ミクロソームはXenotech、LLCから購入した。NADPH再生システ
ム(NRS)溶液のための溶液「A」および「B」(それぞれカタログ番号451220
および451200)は、Corning Life Sciencesから入手した。
ベラパミル、ゲニステイン、UDPGA、アラメチシンおよび塩化マグネシウムはSig
ma−Aldrichから購入した。サッカロラクトンは、Santa Cruz Bi
otechnologyから入手した。
方法:第I相
【0462】
試験化合物のストック溶液をDMSO中10mMで調製した。それらを、50%のアセ
トニトリル(ACN)/HO中で、50μMの濃度に希釈し、100倍の作業ストック
溶液を得た。肝ミクロソームを最終濃度1.0mg/mLのタンパク質で利用した。各時
点(0、5、10、30、および60分)に二連のウェルを使用した。振盪水浴中で37
°Cで反応を行い、溶媒の最終濃度を0.5%で一定に保った。各時点で100μLの反
応物を除去し、100のμLの氷冷100%ACN(プラス内部標準)を含有するサンプ
ルウェルに添加して反応を停止させた。各反応物の最終容量は200μLであり、これは
、66μLの0.2M KPO緩衝液(pH7.4)、50μLのNRS溶液、および
10μLのミクロソーム(20mg/mLストック)からなる。
【0463】
NRSは、製造者の指示に従って調製された、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナー
ゼ、NADP、MgCl、およびグルコース−6−リン酸の溶液である。各5.0m
LのNRS溶液のストックは、3.8mLのHO、1.0mLの溶液「A」、および0
.2mLの溶液「B」を含有する。陽性対照ウェル(ベラパミル、0.5μM)からの反
応は、内部標準を含有する氷冷アセトニトリルで停止させた。
第I相と第II相
【0464】
反応条件は上記と同様にした。追加の補因子も各反応に含めた。UDPGAを5.0m
Mの最終濃度で添加した。サッカロラクトン(β−グルクロニダーゼ阻害剤)およびアラ
メチシン(細孔形成ペプチド)を、それぞれ5.0mMおよび50μg/mLの最終濃度
で、それぞれの反応に添加した。200μLのミクロソーム反応の各々は、65μLの0
.2M KPO(pH7.4)、50μLのNRS混合物、66μLのUDPGA(1
5μMストック)、5.0μLのサッカロラクトン(200mMストック)、0.5μL
のアラメチシン(20mg/mL)、0.6μLのMgCl(1Mストック)、および
10μLのミクロソーム(20mg/mLストック)からなる。陽性対照ウェル(ゲニス
テイン、2.0μM)からの反応を、内部標準を含有する氷冷アセトニトリルで停止させ
た。
【0465】
サンプルを3,000rpmで10分間遠心分離して、細片および沈殿したタンパク質
を除去した。その後、約150μLの上清を新しいサンプルブロックに移して分析した。
データ分析
【0466】
半減期の決定およびクリアランスのために、非線形回帰式および一相指数関数的減衰と
共に、GraphPad Prismを用いてデータを適合させた。
【0467】
結果:肝ミクロソーム代謝研究で、1014を1002を含む他の化合物と比較した。
興味深いことに、1002がインビトロで約1時間の半減期を示す一方で、1014は同
じ試験で無限の半減期を有した。すなわち120分のインキュベーションの後、50%を
超える化合物が依然として反応中に残った(表3)。表3に見られるように、ピラゾール
1002、1014、および1022は(1023、1024についても表1を参照)、
インドール(11、34、36)およびインドリン(103)ベースの化合物(およびピ
ロール1010)(表3)と比較して、インビトロ代謝安定性をはるかに改善しながらS
ARD活性は保持していた(表1)ことを実証した。これは、1002および1014に
ついて有意なインビボバイオアベイラビリティが可能であり得ることを示唆した。
表3:
【表3】
【0468】
インビボ特性:
【0469】
1014の異種移植実験における血清および腫瘍内の薬物濃度:皮下に22RV1細胞
を移植したヌードマウスを、腫瘍が100〜200mmの間に達したときに無作為化し
た。マウスを、ビヒクル(20:80の水:PEG−400)、または1日当たり60m
g/kgのビヒクル中の1014(または示された用量の他のSARD)で21日間処置
した。21日目の終わりに、マウスを屠殺し、さらなる分析のために血液および腫瘍を採
取した。1014で処置した動物における薬物濃度の測定は、同じ実験で並列に試験した
他の分子と比較して、血清中の薬物(20.1M)および腫瘍(35.6M)(表4およ
図24)の有意な蓄積を実証した。1014のこれらのインビボレベルは、構造的に類
似のピラゾール1002および1012を考慮しても、予想外であった。さらに、これら
のレベルは、LNCaP−EnzR異種移植片における有効性を説明するのに役立つ(図
26および以下の説明を参照)。この特定の実験では、22RV1腫瘍は、おそらくアン
ドロゲン非依存性増殖のために、SARDに感受性ではなかったが、この結果はアンドロ
ゲン依存性腫瘍、例えばLNCaP−EnzRが、感受性であることを示唆する。これら
のデータからの別の観察は、腫瘍濃度が血清濃度を超えていたことであり、これは腫瘍内
の薬物の蓄積を示唆している。結果を表4および図24に示す。
表4:
【表4】
【0470】
ハーシュバーガーアッセイ:無傷のC57BL/6オスのマウス(6〜8週齢)を体重
に基づいて無作為化し、図25に示す種々の化合物で14日間処置した。14日目の終わ
りに、マウスを屠殺し、精嚢を秤量した。1014は、他の化合物と比較して精嚢重量の
最良の阻害を実証し、1002後に、これらの経口投与されたSARDが無傷の動物のア
ンドロゲン依存性組織においてARを拮抗するのに十分なレベルで存在したことを示唆し
た。インドール34および36、ピロール1010、およびピラゾール1012は、この
アッセイにおいてインビボで強力なAR拮抗作用を示さなかった。
【0471】
LNCaP−エンザルタミド耐性(LNCaP−EnzR)異種移植:RPMI+10
%FBS中のLNCaP−EnzR細胞MR49FをMatrigel(BD Bios
ciences)(1:1)と混合し、NOD SCIDガンマ(NSG)マウス(10
0μL)に皮下注射した。腫瘍が100〜200mmに達したら、動物を無作為化し、
ビヒクル(20:80、水:PEG−300)またはビヒクル中の1014(1日当たり
60mg/kg)で処置した。腫瘍体積を週2回測定した。実験の終わりに、動物を屠殺
し、腫瘍を単離し、秤量し、さらなる分析のために保存した。実験は2つの異なるバッチ
の細胞で2回実施し、その結果を図26に示す。結果:2つの別々の実験において、10
14は、ビヒクル処置動物と比較して腫瘍体積を約60〜70%減少させ、高有効腫瘍成
長阻害を達成することができた。これらの結果は、経口投与された本発明の1014およ
び他のSARDが、エンザルタミド耐性(すなわち、進行性および難治性)前立腺癌にお
いて治療的有効性があり得ることを示唆する。
【0472】
結論:これらの結果はすべて、1014が、低い代謝および腫瘍蓄積のために予想外の
特性を有することを示している。1014は構造的に1002に匹敵するが、ピラゾール
環の3位のCFの置換においてわずかに異なり(1002について対4−フルオロ)、
それは、肝ミクロソームによる代謝に対して非常に耐性があり、それにより、試験した他
のSARDに鑑みて、および従来技術では予想外である、血清、アンドロゲン依存性器官
、および腫瘍において有意な蓄積を有する。これにより、薬力学(ハーシュバーガーアッ
セイは、SARDで見られる最も有効な精嚢の重量効果を実証した)および異種移植腫瘍
成長阻害(LNCaP−EnzR異種移植)などの経口投与後の予想外のインビボ有効性
を可能にし、それは11、100、17などの我々が先に報告したSARDテンプレート
、または従来技術で公知の他のSARDでは不可能であった。
【0473】
本発明の特定の特徴が本明細書に図示され説明されてきたが、当業者には多くの修正、
置換、変更、および等価物がここで思い浮かぶであろう。したがって、添付の特許請求の
範囲は、本発明の真の精神に含まれるすべてのそのような改変および変更を包含するよう
に意図されていることが理解されるべきである。
【0474】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
式I:
【化1】


[式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
AはRまたはRであり、
は、少なくとも1個の窒素原子および0、1、または2個の二重結合を有する5または6員の飽和または不飽和環であり、必要に応じてQ、Q、Q、またはQ[それぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状または分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、ベンジル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、CONHR、COORまたはCORから選択される]の少なくとも1つで置換され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SOR SOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、
イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリ
フレート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する]
の構造によって表される選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD)化合物、またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物またはこれらの任意の組み合わせ。
(項2)
式IA:
【化2】

IA
の構造によって表される、上記項1に記載の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD
)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、またはそれらの
任意の組み合わせ。
(項3)
式IB:
【化3】

IB
の構造によって表される、上記項1に記載の選択的アンドロゲン受容体分解剤(SARD
)化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、またはそれらの
任意の組み合わせ。
(項4)
式II:
【化4】

II
[式中、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
Xは、CHまたはNであり、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
AはRまたはRであり、
はピロール、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリジン、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾリジン、またはモルホリン環であり、前記環は必要に応じてQ、Q、Q、またはQ[それぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状または分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、OR、ベンジル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR、CONHR、COORまたはCORから選択される]の少なくとも1つで置換され、
はNHR、ハロゲン化物、N、OR、CF、COR、COCl、COOC
OR、COOR、OCOR、OCONHR、NHCOOR、NHCONHR
、OCOOR、CN、CONH、CONH(R)、CON(R、SR、S
、SOR SOH、SONH、SONH(R)、SON(R
、NH、NH(R)、N(R、CO(N−複素環)、NO、シアネート、
イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、メシレート、トシレート、トリ
フレート、PO(OH)またはOPO(OH)であり、
は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール
であり、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリー
ル基は任意に置換され、
ここでAがBrまたはIであり、RがCHであり、TがOHである場合、XはNであ
るか、またはアニリン環は縮合複素環を形成する]
の構造によって表される、上記項1に記載のSARD化合物、またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物またはこれらの任意の組み合わせ。
(項5)
式IIA:
【化5】

IIA
の構造によって表される、上記項4に記載のSARD化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、またはそれらの任意の組み合わせ。
(項6)
式IIB:
【化6】

IIB
の構造によって表される、上記項4に記載のSARD化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、またはそれらの任意の組み合わせ。
(項7)
式VII:
【化7】

VII
[式中、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、H、CF、F、I、Br、Cl、CN、またはC(R)であり、
ZはH、NO、CN、ハロゲン化物、COOH、COR、NHCOR、CONHRであ
り、
または、YおよびZは、5〜8員の縮合環を形成し、
は、H、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCF
であり、
TはH、OH、OR、OCOR、CH、−NHCOCH、またはNHCORであり、
または、TおよびRが3〜8炭素環式または複素環式環を形成し、
RはH、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコール、CHCHOH、CF
、CHCl、CHCHCl、アリール、F、Cl、Br、I、またはOHであり、
、Q、またはQはそれぞれ独立して水素、ケト、置換もしくは非置換の直鎖状ま
たは分枝状アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のヘテ
ロシクロアルキル、ハロアルキル、CF、置換もしくは非置換のアリール、置換もしく
は非置換のフェニル、F、Cl、Br、I、CN、NO、ヒドロキシル、アルコキシ、
OR、アリールアルキル、NCS、マレイミド、NHCOOR、N(R)、NHCOR
、CONHR、COORまたはCORから選択される]
の構造によって表される、上記項1に記載のSARD化合物、またはその光学異性体、異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、またはそれらの任意の組み合わせ。
(項8)
式VIIA:
【化8】

VIIA
の構造によって表される、上記項7に記載のSARD化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、またはそれらの任意の組み合わせ。
(項9)
式VIIB:
【化9】

VIIB
の構造によって表される、上記項7に記載のSARD化合物、またはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、またはそれらの任意の組み合わせ。
(項10)
、Q、QまたはQが、水素、CN、NO、CF、F、Cl、Br、I、
NHCOOR、N(R)、NHCOR、COR、または置換もしくは非置換のフェニル
である、上記項1〜9のいずれか一項に記載のSARD化合物。
(項11)
以下の化合物のいずれか1つの構造によって表される、上記項1に記載のSARD化合物。
【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

(項12)
前記化合物が、AR−スプライスバリアント(AR−SV)分解活性、全長(AR−F
L)分解活性、AR−SV阻害剤、またはAR−FL阻害活性の少なくとも1つを示す、
上記項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
(項13)
上記項1〜11のいずれか一項に記載のSARD化合物、またはその異性体、薬学的に
許容される塩、医薬品、水和物、またはそれらの任意の組み合わせ、および薬学的に許容
される担体を含む医薬組成物。
(項14)
前記組成物が局所使用のために処方される、上記項13に記載の医薬組成物。
(項15)
前記組成物が、溶液、ローション、膏薬、クリーム、軟膏、リポソーム、スプレー、ゲ
ル、フォーム、ローラースティック、クレンジングソープまたはバー、乳液、ムース、エ
アロゾル、またはシャンプーの形態である、上記項14に記載の医薬組成物。
(項16)
前立腺癌(PCa)を治療する方法または前立腺癌に罹患している男性対象の生存率を
増加させる方法であって、前記対象に、上記項1〜11のいずれか一項に記載の化合物も
しくはその異性体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、またはそれらの任意の組み
合わせの治療有効量を投与することを含む、方法。
(項17)
前記前立腺癌が、進行前立腺癌、難治性前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、
転移性CRPC(mCRPC)、非転移性CRPC(nmCRPC)、または高リスクの
nmCRPCのうちの少なくとも1つである、上記項16に記載の方法。
(項18)
アンドロゲン遮断療法(ADT)を投与することをさらに含む、上記項16または17
に記載の方法。
(項19)
前記前立腺癌が、アンドロゲン受容体アンタゴニストによる治療に対して耐性である、
上記項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
(項20)
前記アンドロゲン受容体アンタゴニストが、エンザルタミド、ビカルタミド、アビラテ
ロン、ARN−509、ODM−201、EPI−001、EPI−506、AZD−3
514、ガレテロン(galeterone)、ASC−J9、フルタミド、ヒドロキシ
フルタミド、ニルタミド、酢酸シプロテロン、ケトコナゾール、またはスピロノラクトン
の少なくとも1つである、上記項19に記載の方法。
(項21)
上記項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、またはその異性体、薬学的に許容され
る塩、医薬品、水和物、またはそれらの任意の組み合わせの治療有効量を、対象に投与す
ることを含む、前記対象におけるエンザルタミド耐性前立腺癌を治療する方法。
(項22)
上記項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、またはその異性体、薬学的に許容され
る塩、医薬品、水和物、またはそれらの任意の組み合わせの治療有効量を、前記対象に投
与することを含む、アビラテロン耐性前立腺癌を治療する方法。
(項23)
上記項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、またはその異性体、薬学的に許容される
塩、医薬品、水和物、またはそれらの任意の組み合わせの治療有効量を、対象に投与する
ことを含む、前記対象におけるトリプルネガティブ乳癌を治療する方法。
(項24)
上記項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、またはその異性体、薬学的に許容され
る塩、医薬品、水和物またはそれらの任意の組み合わせの治療有効量を対象に投与するこ
とを含む、前記対象におけるARスプライスバリアントのレベルを低下させる方法。
(項25)
前記方法が、前記対象におけるAR全長(AR−FL)のレベルをさらに低下させる、
上記項24に記載の方法。
(項26)
上記項1〜11のいずれか一項に記載の前記化合物、またはその異性体、薬学的に許容
される塩、医薬品、水和物、またはそれらの任意の組み合わせの治療有効量を、対象に投
与することを含む、前記対象におけるケネディ病を治療する方法。
(項27)
上記項13または14に記載の医薬組成物の治療有効量を、対象に投与することを含む
、前記対象におけるざ瘡を治療する方法。
(項28)
前記ざ瘡が尋常性ざ瘡である、上記項27に記載の方法。
(項29)
上記項13または14に記載の医薬組成物の治療有効量を、対象に投与することを含む
、前記対象における皮脂産生を減少させる方法。
(項30)
皮脂産生の減少が、脂漏症、脂漏性皮膚炎、またはざ瘡のうちの少なくとも1つを治療
する、上記項29に記載の方法。
(項31)
上記項13または14に記載の医薬組成物の治療有効量を、対象に投与することを含む、
前記対象における男性型多毛症または脱毛症を治療する方法。
(項32)
前記脱毛症が、アンドロゲン脱毛症、円形脱毛症、化学療法に続発する脱毛症、放射線
療法に続発する脱毛症、瘢痕によって誘発される脱毛症、またはストレスによって誘発さ
れる脱毛症のうちの少なくとも1つである、上記項31に記載の方法。
(項33)
上記項13に記載の医薬組成物の治療有効量を、女性に投与することを含む、前記女性
におけるホルモン状態を治療する方法。
(項34)
前記ホルモン状態は、思春期早発症、月経困難症、無月経、多胞性子宮症候群、子宮内
膜症、子宮筋腫、異常子宮出血、早発月経、線維嚢胞性乳腺症、子宮類線維腫、卵巣嚢腫
、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症、妊娠子癇、早産、月経前症候群、または膣乾燥症のう
ちの少なくとも1つである、上記項33に記載の方法。
(項35)
上記項13に記載の医薬組成物の治療有効量を、対象に投与することを含む、前記対象
における性的倒錯、性欲過剰、または性嗜好異常を治療する方法。
(項36)
上記項13に記載の医薬組成物の治療有効量を、対象に投与することを含む、前記対象
におけるアンドロゲン精神病を治療する方法。
(項37)
上記項13に記載の医薬組成物の治療有効量を、対象に投与することを含む、前記対象
における男性化を治療する方法。
(項38)
上記項13に記載の医薬組成物の治療有効量を、対象に投与することを含む、前記対象
におけるアンドロゲン不応症を治療する方法。
(項39)
上記項13に記載の医薬組成物の治療有効量を、動物に投与することを含む、前記動物
における排卵を増加または調節する方法。
(項40)
上記項13に記載の医薬組成物の治療有効量を対象に投与することを含む、前記対象に
おける癌を治療する方法。
(項41)
前記癌が、乳癌、精巣癌、生殖腺腫瘍および精上皮腫などの部分アンドロゲン不応症(
PAIS)に関連する癌、子宮癌、卵巣癌、卵管または腹膜の癌、唾液腺癌、膀胱癌、泌
尿生殖器癌、脳癌、皮膚癌、リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝臓癌、肝細胞癌、腎臓
癌、腎細胞癌、骨肉腫、膵臓癌、子宮内膜癌、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、胃癌
、結腸癌、肛門周囲腺腫、または中枢神経系癌のうちの少なくとも1つである、上記項4
0に記載の方法。
(項42)
前記乳癌がトリプルネガティブ乳癌である、上記項41に記載の方法。
(項43)
上記項13または14に記載の医薬組成物の治療有効量を、対象に投与することを含む
、前記対象におけるポリグルタミン(ポリQ)AR多形体のレベルを低下させる方法。
(項44)
前記ポリQ−ARが短いポリQ多形体または長いポリQ多形体である、上記項43に記
載の方法。
(項45)
前記ポリQ−ARが短いポリQ多形体であり、前記方法がさらに皮膚疾患を治療する、上記項44に記載の方法。
(項46)
前記皮膚疾患が、脱毛症、脂漏症、脂漏性皮膚炎、またはざ瘡の少なくとも1つである
、上記項45に記載の方法。
(項47)
前記ポリQ−ARが長いポリQ多形体であり、前記方法がさらにケネディ病を治療する
、上記項44に記載の方法。
(項48)
上記項13に記載の医薬組成物の治療有効量を、対象に投与することを含む、前記対象
における筋萎縮性側索硬化症(ALS)を治療する方法。
(項49)
上記項13に記載の医薬組成物の治療有効量を、対象に投与することを含む、前記対象
における子宮筋腫を治療する方法。
(項50)
上記項13に記載の医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、対象における腹部
大動脈瘤(AAA)を治療する方法。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24
図25
図26
図27-1】
図27-2】
図28-1】
図28-2】
【外国語明細書】
2021138780000001.pdf