【解決手段】リニアアクチュエータ10において、シリンダ本体12に対してガイド機構18を介してスライドテーブル14が長手方向に移動自在に設けられ、該スライドテーブル14は、前記シリンダ本体12の上部に配置され長手方向に沿って延在するテーブル本体78と、該テーブル本体78の長手方向他端に連結され略直角に設けられたエンドプレート80とを備える。そして、エンドプレート80には、ガイド機構18に臨む長手方向一面80aに該ガイド機構18から離間する方向に窪んだ収納室94が設けられ、例えば、粉塵等の飛散する環境下で用いた場合に、該粉塵等から生じる固化物を前記収納室94に収納可能に構成される。
圧力流体が供給されるシリンダ室を内部に有したシリンダ本体と、該シリンダ本体の長手方向に沿って移動自在に設けられるスライドテーブルと、前記シリンダ室に沿って移動自在に設けられるピストンを有したシリンダ機構と、前記シリンダ本体に取り付けられ、通路を循環する複数の転動体の転動作用下に前記スライドテーブルを前記シリンダ本体の長手方向に沿って案内するガイド機構とを備え、前記ピストンの移動作用下に前記スライドテーブルを前記シリンダ本体に対して往復動作させるリニアアクチュエータであって、
前記スライドテーブルは、前記シリンダ本体の長手方向に沿って延在する本体部と、該本体部に対して略直角に設けられ前記シリンダ本体の長手方向端部に臨むエンド部とを備え、
前記エンド部には、前記シリンダ本体に臨む端面に開口し前記長手方向に延在して塵埃を内部に収納可能な収納部が設けられる、リニアアクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るリニアアクチュエータについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0014】
このリニアアクチュエータ10は、
図1〜
図6に示されるように、シリンダ本体12と、該シリンダ本体12の長手方向(矢印A1、A2方向)に沿って直線状に往復動作するスライドテーブル14と、前記シリンダ本体12と前記スライドテーブル14との間に介装され、一組のピン部材16を介して該シリンダ本体12に保持されるガイド機構18とを含む。
【0015】
シリンダ本体12の上面部には、長手方向(矢印A1、A2方向)に沿って延在する凹部20が形成され、該凹部20にはピン部材16が挿入される一組のピン挿入孔22が長手方向に所定間隔離間して設けられる。また、凹部20には、ピン挿入孔22に近接する部位にガイド機構18をシリンダ本体12に取り付けるための一組の取付用孔部24が貫通して形成される(
図2及び
図3参照)。
【0016】
また、シリンダ本体12の一側面には、長手方向(矢印A1、A2方向)に沿って2本のセンサ取付溝26が形成され、図示しないセンサが装着される。一方、前記一側面とは反対側となるシリンダ本体12の他側面には、後述するストッパブロック92が当接することでスライドテーブル14の移動を規制するストローク調整部材28が設けられている。
【0017】
このストローク調整部材28は、
図1、
図2及び
図4に示されるように、ブロック体30と、該ブロック体30の孔部に螺合され、ナット32を介して前記ブロック体30に固定されるスタッドボルト34と、該スタッドボルト34の長手方向一端部に装着されるダンパ部材36とから構成される。そして、ストローク調整部材28において、ブロック体30に対してスタッドボルト34を螺回させることで長手方向(矢印A1、A2方向)に進退動作させ、スライドテーブル14の長手方向への移動量を調整することができる。
【0018】
一方、シリンダ本体12の内部には、
図2、
図3、
図5及び
図6に示されるように、その長手方向(矢印A1、A2方向)に沿って延在する一組の貫通孔38が形成される。この貫通孔38は、断面円形状で略同一径に形成されると共に、長手方向と直交する幅方向(矢印B方向)に離間して平行に形成される。
【0019】
また、各貫通孔38の内部には、
図6に示されるように、外周面にピストンパッキン40及び磁性体42の装着されたピストン44と、該ピストン44に連結されるピストンロッド46とがそれぞれ収納され、前記ピストンロッド46の長手方向他端には、ねじ部材48を介してフローティングブッシュ50が連結されている。
【0020】
また、各貫通孔38の長手方向に沿った一端部には、エンドキャップ52が挿入され止め輪54によって係止されることで閉塞され、一方、前記貫通孔38の長手方向に沿った他端部には、リング体56及びカラー部材58が挿入され止め輪54によって長手方向に係止されることで閉塞される。
【0021】
カラー部材58の外周面には、環状溝を介してOリング60が装着され貫通孔38の内周面に当接すると共に、前記カラー部材58の中央には、長手方向に沿ってピストンロッド46の挿通されるロッド孔62aが貫通し、その内周面には環状溝を介してロッドパッキン64が設けられる。このロッドパッキン64は弾性材料からなり、ピストンロッド46の外周面に摺接することでシールを営む。
【0022】
一方、リング体56は、カラー部材58に対して長手方向他方側(矢印A2方向)に設けられ、その内部には長手方向に沿ってピストンロッド46の挿通されるロッド孔62bが貫通し、該ロッド孔62bの内周面には、環状溝を介して潤滑用リング66及び防塵用リング68がそれぞれ設けられている。この防塵用リング68が、貫通孔38の長手方向他方側(矢印A2方向)となり、潤滑用リング66が該防塵用リング68に対して長手方向一方側(矢印A1方向)となるように配置される。
【0023】
潤滑用リング66は、グリス等の潤滑剤が含侵され柔軟性及び圧縮性を有した材質から環状に形成されており、ピストンロッド46の外周面に摺接する。防塵用リング68は、潤滑用リング66と同様に柔軟性及び圧縮性を有した材質から環状に形成されている。なお、防塵用リング68には潤滑剤は含侵されておらず乾燥状態で用いられる。
【0024】
また、各貫通孔38の一端部及び他端部をそれぞれエンドキャップ52及びカラー部材58で閉塞することで、その内部にピストン44及びピストンロッド46の収納される一組のシリンダ室70が構成され、一方のシリンダ室70と他方のシリンダ室70とが、幅方向(矢印B方向)に延在する一対の連通路72を介して互いに連通している。
【0025】
さらに、シリンダ本体12の他側面には、一組の第1及び第2流体ポート74、76が形成され、前記第1及び第2流体ポート74、76が一方のシリンダ室70にそれぞれ接続され連通している。なお、第1流体ポート74が、シリンダ本体12の長手方向一方側(矢印A1方向)、第2流体ポート76が前記シリンダ本体12の長手方向他方側(矢印A2方向)となるように配置される。
【0026】
すなわち、上述したピストン44及びピストンロッド46が、シリンダ室70に対する圧力流体の供給作用下に長手方向に沿って移動自在なシリンダ機構として機能する。
【0027】
スライドテーブル14は、
図1〜
図8に示されるように、長手方向(矢印A1、A2方向)に沿って延在するテーブル本体(本体部)78と、該テーブル本体78の長手方向他端に対して直交するように固定されるエンドプレート(エンド部)80とから構成され、前記テーブル本体78と前記エンドプレート80とが一組のボルト82によって断面略L字状に直交した状態でねじ締結される。すなわち、エンドプレート80は、水平方向に延在するテーブル本体78に対して鉛直方向に延在するように形成されている。
【0028】
テーブル本体78は、その幅方向両端においてシリンダ本体12側(下方)へと突出した一対のガイド部86を有する断面略U字状に形成され、前記ガイド部86が長手方向(矢印A1、A2方向)に沿って延在すると共に、互いに対向するガイド部86の内壁面には、ボール転動溝110がそれぞれ前記長手方向に沿って形成される(
図5及び
図6参照)。また、テーブル本体78の上面には4個のワーク保持用孔部90が形成されている。なお、ワーク保持用孔部90の数量は4個に限定されるものではなく、例えば、スライドテーブル14のストローク量に応じた数量で適宜設定される。
【0029】
さらに、テーブル本体78の一側面には、幅方向へ突出するようにストッパブロック92が固定され、該ストッパブロック92がスライドテーブル14と一体的に移動すると共に、シリンダ本体12に設けられたストローク調整部材28に臨むように設けられる。そして、テーブル本体78を含むスライドテーブル14がシリンダ本体12に対して長手方向に沿って移動した際、ストッパブロック92がストローク調整部材28のダンパ部材36へと当接することにより、前記スライドテーブル14の長手方向に沿った移動が規制される。
【0030】
エンドプレート80は、幅方向(矢印B方向)に長尺な断面長方形状、且つ、長手方向に一定厚さを有したプレート体からなり、その下端に形成された略半円形状の孔部84を介してフローティングブッシュ50が保持されると共に、
図6及び
図8に示されるように、テーブル本体78側(矢印A1方向)となる長手方向一面(端面)80aには所定容積を有した収納室(収納部)94が形成される。
【0031】
この収納室94は、エンドプレート80の長手方向一面80aに対してテーブル本体78から離間する方向(矢印A2方向)に所定深さで窪み、ガイド機構18に臨む位置に設けられる。すなわち、収納室94は、その幅方向(矢印B方向)が少なくともガイドブロック96の幅寸法以上となるように形成されると共に、高さ方向が前記ガイドブロック96の高さ寸法以上となるように形成される。
【0032】
なお、収納室94の幅寸法及び高さ寸法は、上述したようにガイド機構18を構成するガイドブロック96の幅寸法及び高さ寸法に対応した場合に限定されるものではなく、長手方向から見た前記ガイドブロック96の断面形状よりも大きな形状で形成されていればよい。
【0033】
ガイド機構18は、
図2、
図3、
図5及び
図6に示されるように、幅方向(矢印B方向)に扁平状のガイドブロック96と、該ガイドブロック96の長手方向に沿った両端部にそれぞれ装着される一組のボールリターン部材98、カバーブロック100及びスクレーパ102と、前記ガイドブロック96をシリンダ本体12に対して位置決めして保持する一組のピン部材16とを含む。そして、カバーブロック100には、ボールリターン部材98と共にボールベアリング(転動体)104を循環させる半円状のボールリターン溝106が形成されている。
【0034】
また、カバーブロック100とスクレーパ102との間には第1防塵プレート108が挟持されている。この第1防塵プレート108は、例えば、柔軟性及び圧縮性を有した材質からプレート状に形成されると共に、その上面がスライドテーブル14におけるテーブル本体78の内面に摺接し、幅方向(矢印B方向)に沿った幅方向両端が前記スライドテーブル14のガイド部86に摺接可能に設けられる。また、スクレーパ102が、ボール転動溝88に対してわずかな隙間を有した状態、又は、摺接するように設けられることで、ガイド機構18側への粉塵等の侵入が防止される。
【0035】
一方、ガイドブロック96の幅方向となる両側面には、長手方向(矢印A1、A2方向)に沿った一対のボール転動溝110が形成され、該ボール転動溝110に対して幅方向内側となる部位には、長手方向に沿って貫通する一組のボール循環穴112が所定間隔離間して形成される。そして、スライドテーブル14におけるガイド部86のボール転動溝88、ガイドブロック96におけるボール転動溝110、ボール循環穴112及びカバーブロック100のボールリターン溝106によってボールベアリング104が循環可能な連続したボール循環通路が構成される。
【0036】
また、ガイドブロック96の両側面には、ボール転動溝110に対して上下方向となる位置に一対の第2防塵プレート114a、114bがそれぞれ設けられる。この第2防塵プレート114a、114bは、例えば、柔軟性及び圧縮性を有した材質から長手方向に沿って長尺に形成されている。そして、第2防塵プレート114a、114bは、ガイドブロック96の両側面に固定され、スライドテーブル14のガイド部86へと摺接可能に設けられる。
【0037】
そして、ガイド機構18において複数のボールベアリング104がボール循環通路に沿って転動することにより、前記ガイド機構18を覆うように設けられたスライドテーブル14がガイドブロック96に対して長手方向(矢印A1、A2方向)へ往復動作自在に保持される。また、第2防塵プレート114a、114bがスライドテーブル14のガイド部86に対して摺接することで、前記ガイド部86と前記ガイドブロック96との間へ侵入した塵埃のボール転動溝88、110への侵入が防止される。
【0038】
また、ガイドブロック96の底面には、一組のピン部材16を挿入するためのピン挿入孔(図示せず)が所定間隔離間して形成されると共に、前記ピン挿入孔に近接する部位には、ねじ溝が刻設された一組の取付用ボルト孔118が貫通して形成される(
図5参照)。そして、
図5に示されるように、シリンダ本体12の取付用孔部24に下方から挿通された固定用ボルト120が、ガイドブロック96の取付用ボルト孔118へと螺合されることで、前記ガイドブロック96を含むガイド機構18が前記シリンダ本体12の上面部(凹部20)に対して取り付けられる。
【0039】
本発明の第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、ここでは、
図6に示されるピストン44が長手方向一方側(矢印A1方向)に位置している状態を初期位置として説明する。
【0040】
先ず、図示しない流体圧供給源から圧力流体を第1流体ポート74に供給すると共に、第2流体ポート76を図示しない切換装置の切換操作によって大気開放状態としておく。
【0041】
そして、第1流体ポート74からの圧力流体が、一方のシリンダ室70から連通路72を通じて他方のシリンダ室70へも供給されることで、一対のピストン44がそれぞれ長手方向他方側(矢印A2方向)へと押圧されてピストンロッド46と共に移動する。このピストンロッド46に連結されたフローティングブッシュ50を介してエンドプレート80が長手方向他方側(矢印A2方向)へと押圧される。これにより、エンドプレート80を含むスライドテーブル14が、ボール循環通路を循環するボールベアリング104の転動作用下にガイド機構18に対して長手方向他方側(矢印A2方向)へと移動する。
【0042】
このスライドテーブル14が移動する過程において、ストッパブロック92がストローク調整部材28のダンパ部材36へと当接することでさらなる長手方向への移動が規制されて移動終端位置となる。
【0043】
一方、前記とは反対方向となる長手方向一方側(矢印A1方向)へスライドテーブル14を移動させる場合には、第2流体ポート76へ圧力流体を供給すると共に、第1流体ポート74を大気開放状態とすることで、シリンダ室70へと供給された圧力流体によってピストン44が長手方向一方側(矢印A1方向)へと押圧されて移動する。このピストン44の移動に伴ってエンドプレート80及びスライドテーブル14が長手方向一方側(矢印A1方向)へと移動し、前記エンドプレート80が前記スライドテーブル14の長手方向他端へと当接することにより、
図1に示される初期位置へと復帰する。
【0044】
次に、上述したリニアアクチュエータ10を、例えば、大気中に粉塵等が飛散する環境下で使用する場合について説明する。
【0045】
このような環境下においては、リニアアクチュエータ10を構成するシリンダ本体12及びスライドテーブル14の表面に対して大気中を飛散している粉塵等が付着すると共に、前記リニアアクチュエータ10を駆動させた際、該シリンダ本体12の貫通孔38から外部へと露出するピストンロッド46の表面にも前記粉塵等が付着することとなる。
【0046】
そして、ピストンロッド46に付着した粉塵等は、該ピストンロッド46のシリンダ本体12の内部へと引き込み動作時において、最も外側に配置された防塵用リング68によって好適に掻き落とされ、シリンダ室70の内部への侵入が確実に防止される。
【0047】
また、防塵用リング68よりも内側(矢印A1方向)に設けられた潤滑用リング66によってピストンロッド46の外周面に潤滑剤が供給され、該ピストンロッド46を長手方向に沿って円滑に動作させることができると共に、防塵用リング68によって前記ピストンロッド46に塗布された潤滑剤の外側(矢印A2方向)への漏出が好適に防止される。
【0048】
さらに、ガイド機構18に設けられた第1防塵プレート108が、スライドテーブル14におけるガイド部86の内面に摺接することで、ガイドブロック96の長手方向他端と前記スライドテーブル14のエンドプレート80との間に侵入した粉塵等が、ボールリターン溝106及びボール転動溝88、110へと侵入してしまうことが防止される。さらに、第1防塵プレート108の上面が、テーブル本体78の下面に摺接することで、該下面に付着した粉塵等のガイド機構18側への侵入が防止される。また、スクレーパ102が、ボール転動溝88に対してわずかな隙間を有した状態、又は、摺接するように設けられることで、ガイド機構18側への粉塵等の侵入が防止される。
【0049】
さらにまた、ガイド機構18における両側面に設けられた第2防塵プレート114a、114bによってガイド部86の長手方向一端及び他端側からボール転動溝88、110側への粉塵等の侵入が防止されると共に、前記スライドテーブル14側及びシリンダ本体12の下方側から前記ボール転動溝88、110側への粉塵等の侵入も防止される。そのため、ボールベアリング104に対する粉塵等の付着が確実に防止される。
【0050】
またさらに、ガイド機構18及びスライドテーブル14に構成されるボール循環通路において、複数のボールベアリング104はグリス等の潤滑剤によって潤滑された状態で循環しており、例えば、この潤滑剤と粉塵等が混じることで固化して固化物(塵埃)となることがある。詳細には、固化物は、ボールベアリング104を循環可能に保持しガイド部86に臨むガイドブロック96の幅方向端部近傍に発生することがある。
【0051】
このように固化物が発生した場合には、スライドテーブル14がシリンダ本体12に対して長手方向一方側(矢印A1方向)へ移動した際、ガイドブロック96の長手方向他端に臨み、エンドプレート80の長手方向一面80aに開口した収納室94が設けられているため、前記長手方向他端近傍で生じた固化物を好適に前記収納室94の内部へと押し込むことができる。そのため、スライドテーブル14が長手方向一方側(矢印A1方向)へと移動した際、ガイドブロック96に付着して堆積した固化物が、エンドプレート80の長手方向一面80aに対して接触してしまうことが防止され、スライドテーブル14の長手方向への移動を妨げることが防止される。
【0052】
すなわち、粉塵等が飛散する環境下でリニアアクチュエータ10を用いた場合であっても、例えば、ガイド機構18の長手方向他端近傍で発生した固化物を収納室94に収納可能としている。
【0053】
以上のように、第1の実施の形態では、リニアアクチュエータ10を構成するスライドテーブル14において、シリンダ本体12の上部に平行に設けられるテーブル本体78と、該テーブル本体78の長手方向他端に直交するように連結されるエンドプレート80とを備え、前記エンドプレート80には、前記シリンダ本体12に固定されるガイド機構18に臨むように開口し、該ガイド機構18から離間する方向(矢印A2方向)へ窪んだ収納室94を備えている。
【0054】
従って、リニアアクチュエータ10を粉塵等が飛散する環境下で使用し、例えば、ガイド機構18においてボールベアリング104を潤滑するための潤滑剤と前記粉塵等が混ざって固化物が発生した場合でも、スライドテーブル14のエンドプレート80が前記ガイド機構18側(矢印A1方向)へと移動した際に、前記ガイド機構18近傍に付着して堆積した固化物を前記収納室94へと好適に収納することができる。
【0055】
その結果、リニアアクチュエータ10を粉塵等が飛散する環境下で使用して固化物が生じた場合でも、ガイド機構18の長手方向他端近傍に付着した前記固化物を収納室94の内部へと収納することで、スライドテーブル14の移動作用下にエンドプレート80が前記固化物と接触して動作が妨げられてしまうことが防止される。そのため、上記のような環境下においても、リニアアクチュエータ10を構成するスライドテーブル14を長手方向に沿って円滑に動作させることができる。
【0056】
また、収納室94は、リニアアクチュエータ10の長手方向から見て、ガイド機構18の断面形状と略同一形状、又は、該断面形状より大きな断面形状で形成されているため、前記ガイド機構18の長手方向他端近傍で発生した固化物を確実に内部へと収納することができる。
【0057】
さらに、収納室94の長手方向に沿った深さを適宜設定することで、固化物の収納可能な容積を自在に調整することが可能となる。
【0058】
さらにまた、ガイド機構18において長手方向他端に第1防塵プレート108を設けているため、そのガイドブロック96とスライドテーブル14のエンドプレート80との間に侵入した粉塵等がボールリターン溝106及びボール転動溝88、110へと侵入してしまうことが防止されると共に、テーブル本体78の下面へと摺接することで、該下面に付着した粉塵等のガイド機構18側への侵入を防止することも可能となる。
【0059】
またさらに、ガイド機構18において幅方向両側面に一対の第2防塵プレート114a、114bをそれぞれ設けているため、ガイドブロック96の長手方向一端及び他端側からボール転動溝88、110側への粉塵等の侵入が防止されると共に、前記スライドテーブル14側及びシリンダ本体12の下方側から前記ボール転動溝88、110側への粉塵等の侵入も防止することができる。その結果、スライドテーブル14とガイド機構18との間へと粉塵等が侵入してボールベアリング104へと付着してしまうことが確実に防止され、該粉塵等の侵入に起因したリニアアクチュエータ10の動作不良を防止することができる。
【0060】
また、シリンダ本体12において、リング体56のロッド孔62bに環状の防塵用リング68を設けることで、シリンダ本体12の外部に露出したピストンロッド46の外周面に付着した粉塵等を、該ピストンロッド46の引き込み動作時に確実に掻き落とすことが可能となり、前記塵埃等のシリンダ室70内への侵入が確実に防止される。
【0061】
次に、第2の実施の形態に係るリニアアクチュエータ150を
図9〜
図11に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0062】
この第2の実施の形態に係るリニアアクチュエータ150では、スライドテーブル152においてエンドプレート154の上方に開口した一対の作業孔156a、156bを備えている点で、第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10と相違している。
【0063】
このリニアアクチュエータ150は、
図9〜
図11に示されるように、スライドテーブル152を構成するエンドプレート154に高さ方向(矢印C方向)に沿って延在する一対の作業孔156a、156bが形成される。
【0064】
この作業孔156a、156bは、例えば、テーブル本体78に連結されるエンドプレート154の長手方向他面154aに形成され、且つ、幅方向(矢印B方向)に所定間隔離間して形成されると共に、断面矩形状で前記エンドプレート154の上面から内部に形成された収納室94まで一直線状に貫通して形成される。すなわち、スライドテーブル152において、一対の作業孔156a、156bを介して収納室94が外部と連通している。なお、作業孔156a、156bの数量や位置等は、上述した構成に限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すればよいものである。
【0065】
そして、上述したリニアアクチュエータ150を粉塵等が飛散する環境下で使用し、例えば、ガイド機構18のボールベアリング104を潤滑するための潤滑剤と前記粉塵等とが混ざった固化物が収納室94へと収納された際、図示しない作業者が、一対の作業孔156a、156bに対して圧縮エアを内部へ向けてそれぞれ噴射する。これにより、圧縮エアの供給作用下に収納室94内が加圧され、堆積した固化物を長手方向他面154a側となる収納室94の開口部から外部へと排出することができる。なお、圧縮エアを用いる代わりに、作業孔156a、156bへ棒状の部材を挿入して収納室94内に堆積した固化物を押し出すことも可能である。
【0066】
従って、収納室94内に収納された固化物を、スライドテーブル152を取り外したり移動させることなく、作業孔156a、156bを通じて容易且つ確実に外部へと排出させることができるため、そのメンテナンス性を高めることが可能となる。
【0067】
次に、第3の実施の形態に係るリニアアクチュエータ160を
図12〜
図17に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0068】
この第3の実施の形態に係るリニアアクチュエータ160では、スライドテーブル162のエンドプレート164に設けられた収納室(収納部)166が厚さ方向(長さ方向、矢印A1、A2方向)に貫通している点で、第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10と相違している。
【0069】
このリニアアクチュエータ160は、
図12〜
図14に示されるように、スライドテーブル162を構成するエンドプレート164に収納室166を備え、該収納室166が、例えば、同一断面形状で前記エンドプレート164の厚さ方向、すなわち、スライドテーブル162の長手方向(矢印A1、A2方向)に沿って貫通して形成される。すなわち、収納室166がエンドプレート164の長手方向他面164aに開口している。
【0070】
そして、上述したリニアアクチュエータ160を粉塵等が飛散する環境下で使用し、該粉塵等と潤滑剤とが混ざることで生成された固化物が収納室166に収納された際、例えば、図示しない作業者が、長手方向他方側(矢印A2方向)に開口した前記収納室166の開口部位168から前記固化物を外部へと容易且つ確実に取り出すことができるため、スライドテーブル162を取り外したり移動させる必要がなく、そのメンテナンス性を高めることが可能となる。
【0071】
さらに、収納室166がエンドプレート164の長手方向他面164aに開口しているため、ガイド機構18側から該収納室166へと固化物が徐々に押し込まれて堆積していった後に、該固化物が開口部位168から外部へと押し出されてエンドプレート164から排出されることとなる。すなわち、収納室166における固化物を除去するための作業が必要ないため、さらにメンテナンス性を高めることができる。
【0072】
また、
図15〜
図17に示されるように、収納室166の開口部位168を覆うためのカバー部材170をエンドプレート164の長手方向他面164aに対して設けるようにしてもよい。カバー部材170は、例えば、収納室166の開口断面積よりも大きなプレート状に形成され、その四隅をカバー固定ボルト172でエンドプレート164の長手方向他面164aに対して締結することで、前記収納室166の開口部位168が覆われる。すなわち、カバー部材170は、エンドプレート164に対して着脱自在に設けられる。
【0073】
そして、上述したリニアアクチュエータ160において、通常の使用状態ではカバー部材170をエンドプレート164に取り付けた状態とすることで、収納室166の開口部位168を通じた粉塵等の内部への侵入が防止される。一方、収納室166内に堆積した固化物を取り除く場合には、カバー固定ボルト172を取り外してカバー部材170をエンドプレート164から取り外すことで、開口した収納室166から前記固化物を取り除き、作業が完了した後に再びカバー部材170で覆う。
【0074】
最後に、第4の実施の形態に係るリニアアクチュエータ180を
図18〜
図21に示す。なお、上述した第3の実施の形態に係るリニアアクチュエータ160と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0075】
この第4の実施の形態に係るリニアアクチュエータ180では、スライドテーブル182において厚さ方向(矢印A1、A2方向)に貫通した収納室(収納部)184を備えると共に、エンドプレート186に一対の作業孔188a、188bを備えている点で、第3の実施の形態に係るリニアアクチュエータ160と相違している。
【0076】
このリニアアクチュエータ180は、
図18〜
図21に示されるように、スライドテーブル182を構成するエンドプレート186の収納室184が同一断面形状で厚さ方向、すなわち、スライドテーブル182の長手方向(矢印A1、A2方向)に沿って貫通している。また、エンドプレート186は、その上面から収納室184側に向かって高さ方向(矢印C方向)に沿って延在する一対の作業孔188a、188bが形成され収納室184と連通している。
【0077】
そして、上述したリニアアクチュエータ180を粉塵等が飛散する環境下で使用し、該粉塵等と潤滑剤とが混ざることで生成された固化物が収納室184へと収納された場合に、例えば、図示しない作業者が、長手方向他方側(矢印A2方向)へ開口した収納室184の開口部位190から前記固化物を外部へと容易且つ確実に取り出すことができる。また、作業孔188a、188bを通じて圧縮エアを収納室184へと供給することで、前記収納室184の内部に堆積している固化物をより一層円滑に前から外部へと排出することができる。
【0078】
その結果、収納室184内の固化物を、その開口部位190から取り出せると同時に、作業孔188a、188bから供給される圧縮エアも利用することで、前記固化物を取り除くためのメンテナンス性を大幅に高めることが可能となる。
【0079】
また、
図22〜
図23Bに示されるように、収納室184の開口部位190及び作業孔188a、188bを同時に覆うためのカバー部材192をエンドプレート186に対して設けるようにしてもよい。
【0080】
このカバー部材192は、例えば、収納室184の開口部位190を覆う第1蓋部194と、該第1蓋部194の上端に直交するように形成された第2蓋部196とから断面L字状に形成される。そして、カバー部材192は、その第1蓋部194の四隅をカバー固定ボルト198でエンドプレート186の長手方向他面186aに締結することで、前記収納室184の開口部位190が覆われると共に、第2蓋部196が前記エンドプレート186の上面に当接して一対の作業孔188a、188bを覆う。
【0081】
そして、上述したリニアアクチュエータ180において、通常の使用状態ではカバー部材192をエンドプレート186に取り付けた状態とすることで、収納室184の開口部位190及び作業孔188a、188bを通じた粉塵等の内部への侵入が防止される。
【0082】
一方、収納室184内に堆積した固化物を取り除く場合には、カバー固定ボルト198を取り外してカバー部材192を離脱させることで、収納室184の開口部位190から前記固化物を外部へと取り出し、作業が完了した後に再びカバー部材192で覆うことで該収納室184の開口部位190及び作業孔188a、188bを通じた粉塵等の侵入が好適に防止される。
【0083】
なお、本発明に係るリニアアクチュエータは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。