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特開2021-140298情報処理装置、制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-140298(P2021-140298A)
(43)【公開日】2021年9月16日
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/70 20170101AFI20210820BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20210820BHJP
   B60R 11/04 20060101ALI20210820BHJP
【FI】
   G06T7/70 A
   G06T7/00 660A
   B60R11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-35628(P2020-35628)
(22)【出願日】2020年3月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奈良 憲和
(72)【発明者】
【氏名】村上 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】坂田 直人
【テーマコード(参考)】
3D020
5L096
【Fターム(参考)】
3D020BA02
3D020BA06
3D020BC02
5L096BA04
5L096CA02
5L096EA35
5L096FA64
5L096FA69
5L096HA03
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】画像を切り出すための検知処理の回数を減らすこと。
【解決手段】車両3の車室内を撮像した車室内画像64を取得する車室内画像取得部21と、前記車室内画像64から人物を切り出すための切出範囲Rtを記憶する切出範囲記憶部36と、前記切出範囲記憶部36に記憶されている切出範囲Rtに基づいて前記車室内画像64から画像を切り出して切出画像62を生成する画像切出部32と、前記切出範囲記憶部36に記憶されている切出範囲Rtを、前記切出画像62から人の顔が検知されるか否かに応じて更新する切出範囲更新部38と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内を撮像した車室内画像を取得する車室内画像取得部と、
前記車室内画像から人物を切り出すための切出範囲を記憶する切出範囲記憶部と、
前記切出範囲記憶部に記憶されている切出範囲に基づいて前記車室内画像から画像を切り出して切出画像を生成する画像切出部と、
前記切出範囲記憶部に記憶されている切出範囲を、前記切出画像から人の顔が検知されるか否かに基づいて更新する切出範囲更新部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記切出範囲更新部は、
前記切出範囲記憶部に記憶されている切出範囲を、前記切出画像から人の顔を検知可能にする新たな切出範囲を含む範囲に拡張して更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
画像の中の人の顔を検知し当該画像における顔範囲を特定する顔検知部に、前記車室内画像を通信ネットワーク網を介して送信する送信部と、
前記顔範囲の特定結果を前記通信ネットワーク網を介して受信する受信部と、
前記顔範囲の検知結果に基づいて前記切出範囲を決定する切出範囲決定部と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記車室内画像は、前記車両が走行を開始した後に撮像された車室内の画像である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置の制御方法において、
車両の車室内を撮像した車室内画像を取得するステップと、
前記車室内画像から人物を切り出すための切出範囲を切出範囲記憶部に記憶するステップと、
前記切出範囲記憶部に記憶されている切出範囲に基づいて前記車室内画像から画像を切り出して切出画像を生成するステップと、
前記切出範囲記憶部に記憶されている切出範囲を、前記切出画像から人の顔が検知されるか否かに基づいて更新するステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項6】
情報処理装置を制御するプログラムであって、
前記情報処理装置を、
車両の車室内を撮像した車室内画像を取得する車室内画像取得部、
前記車室内画像から人物を切り出すための切出範囲を記憶する切出範囲記憶部、
前記切出範囲記憶部に記憶されている切出範囲に基づいて前記車室内画像から画像を切り出して切出画像を生成する画像切出部、及び、
前記切出範囲記憶部に記憶されている切出範囲を、前記切出画像から人の顔が検知されるか否かに基づいて更新する切出範囲更新部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車室内の乗員を撮像した画像に基づいて当該乗員を検知する技術として、特許文献1が知られている。特許文献1の要約書には次の記載がある。「検知装置は、撮像装置から取得した車室内画像から、乗員の身体の第1の部位の少なくとも一部を含む第1の領域画像と、第1の部位の周辺にある車室内領域または乗員の身体の第2の部位の少なくとも一部を含む第2の領域画像とを切り出す画像切り出し部と、第1の領域画像および第2の領域画像の特徴量に基づき、乗員の身体の第1の部位の向きを検知する検知部と、を備える構成を採る。」。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−173757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、乗員の身体の部位を検知する処理を、画像の切り出しを行う度に行っている。
本発明は、画像を切り出すための検知処理の回数を減らすことができる情報処理装置、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車両の車室内を撮像した車室内画像を取得する車室内画像取得部と、前記車室内画像から人物を切り出すための切出範囲を記憶する切出範囲記憶部と、前記切出範囲記憶部に記憶されている切出範囲に基づいて前記車室内画像から画像を切り出して切出画像を生成する画像切出部と、前記切出範囲記憶部に記憶されている切出範囲を、前記切出画像から人の顔が検知されるか否かに基づいて更新する切出範囲更新部と、を備えることを特徴とする情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像を切り出すための検知処理の回数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る情報通信システムの構成を示す図である。
図2】サーバ装置の機能的構成を示す図である。
図3】車載装置を備えた車載システムの概略構成を示す図である。
図4】車室内画像、及び中間画像の一例を模式的に示す図である。
図5】人体範囲、及び顔範囲の一例を模式的に示す図である。
図6】切出範囲、及び切出画像の一例を模式的に示す図である。
図7】顔欠落が生じた切出画像の一例を模式的に示す図である。
図8】サーバ装置による人体検知処理のフローチャートである。
図9】サーバ装置による顔検知処理のフローチャートである。
図10】サーバ装置によるユーザ認識処理のフローチャートである。
図11】車載装置の動作を示すフローチャートである。
図12】ユーザ特定処理を示すフローチャートである。
図13】ユーザ特定処理を示すフローチャートである。
図14】切出範囲の拡張更新の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した情報通信システム1のシステム構成を示す図である。
情報通信システム1は、車両3に搭載された車載装置10と、車載装置10にネットワークサービスを提供するサーバ装置50とを備え、これらの装置が通信ネットワーク網5を介して相互にデータ通信可能に構成される。通信ネットワーク網5は、例えば、インターネットや、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、専用通信回線、基地局等を含む移動体通信網等によって構築される。
【0009】
本実施形態の情報通信システム1は、車両3に運転者Du(図4)として登録ユーザが乗車したことを車載装置10がサーバ装置50の機能を利用して認識し、車載装置10が登録ユーザの個人登録データ60(図2)に基づいて、車両3に設けられた電装装置17(図3)を動作させるシステムである。
【0010】
電装装置17は、車両3が備える各種の電子装置である。電装装置17の例には、オーディオ装置や、車室内の空調を制御する空気調和装置、パワーシート等が挙げられる。
また、個人登録データ60に基づく電装装置17の動作には次のようなものがあり得る。
例えば、電装装置17がオーディオ装置である場合、車載装置10が登録ユーザの好みの楽曲を個人登録データ60に基づいて特定し、当該楽曲をオーディオ装置が再生する動作があり得る。
また例えば、電装装置17が空気調和装置である場合、登録ユーザによってプリセットされた設定値を車載装置10が個人登録データ60に基づいて特定し、当該設定値にしたがって空気調和装置が空気調和する動作があり得る。
また例えば、電装装置17がパワーシートである場合、登録ユーザに適したシートの位置や背もたれの角度を車載装置10が個人登録データ60に基づいて特定し、パワーシートが当該位置や角度にシートを調整する動作があり得る。
【0011】
車載装置10が個人登録データ60に基づき電装装置17を動作させることで、登録ユーザごとに電装装置17の動作をカスタマイズしたり、登録ユーザの行動履歴によって最適化したりすることができ、利便性を高めることができる。
【0012】
情報通信システム1において、サーバ装置50は、登録ユーザ(人物)を画像認識する認識装置としての機能、及び、個人登録データ60を管理する個人登録データ管理装置としての機能を備え、これらの機能をサービスとして車載装置10に提供する。
【0013】
図2は、サーバ装置50の機能的構成を示す図である。
サーバ装置50は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random access memory)などの主記憶装置と、HDD(hard disk drive)やSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置と、通信ネットワーク網5を介して通信する通信回路(受信機、及び送信機)と、を備えたコンピュータを有する。かかるサーバ装置50は、プロセッサが主記憶装置又は補助記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することで、図2に示す機能的構成を実現する。
【0014】
すなわち、サーバ装置50は、図2に示すように、機能的構成として、個人情報データベース52、及び認識部54を備える。さらに本実施形態のサーバ装置50は、画像中の人体範囲Rp(図5)、及び顔範囲Rf(図5)のそれぞれを画像認識により検知する人体検知装置、及び顔検知装置として機能するために、機能的構成として人体検知部56、及び顔検知部57を備える。人体範囲Rpは、画像の中の人体(頭部や顔、胴体部など)が写っている範囲である。顔範囲Rfは、画像の中の顔が写っている範囲である。
【0015】
個人情報データベース52は、登録ユーザの個人登録データ60を記録したデータベースである。個人登録データ60は、登録ユーザを一意に識別する識別情報と、当該登録ユーザの属性を示す属性情報とを含むデータである。識別情報は、ユーザIDや名前などでる。属性情報は、ユーザの年齢や、趣味、嗜好などである。図2において、ユーザIDの一例として「PersonID」が示されており、嗜好の一例として、音楽の好みに関する情報である「Music Preference」が示されている。
【0016】
かかる個人登録データ60は、ユーザ登録の際などに、登録を所望するユーザによって入力、又は外部から提供されたデータに基づいて、サーバ装置50等の適宜の装置によって生成される。また、サーバ装置50は、登録ユーザの画像認識のために、当該登録ユーザの顔を写した顔画像を登録ユーザが操作する適宜の電子機器(スマートフォン等)から取得し、当該顔画像を個人登録データ60に紐付けて予め記憶する。
【0017】
認識部54は、車両3から送信された画像に写っている登録ユーザを画像認識し、認識結果情報63を車載装置10に出力する。本実施形態において、車両3から送信される画像は、後述する切出画像62である。認識結果情報63は、画像認識により認識された登録ユーザのユーザID(すなわち識別情報)と、画像認識結果の信頼度(confidence)と、を含む情報である。信頼度は、画像に写っている運転者Duと、画像認識により認識された登録ユーザと、が同一人物であるという確からしさの度合いである。かかる信頼度は、公知または周知の適宜の手法を用いて求められる。なお、画像の中から特定の登録ユーザが認識されなかった場合、その旨を示す情報(例えば、「未登録ユーザ」など)が認識結果情報63に含められる。
【0018】
本実施形態において、認識部54は、第1学習済モデル66を記憶する記憶部67を備え、当該第1学習済モデル66を用いて画像に写っている登録ユーザを認識する。第1学習済モデル66は、登録ユーザの顔が写った顔画像を機械学習によって学習したデータである。かかる機械学習には、登録ユーザの顔が写った画像と、当該画像から特定されるべき登録ユーザの識別情報と、の組み合わせに基づいて生成された学習用データを学習する、いわゆる教師あり学習が用いられる。
【0019】
認識部54は、画像を車載装置10から受信した場合、当該画像を第1学習済モデル66に入力し、当該第1学習済モデル66の出力として、当該画像に写っている運転者Duとの合致度が高い1又は複数の登録ユーザ(より正確には、登録ユーザの顔画像又はユーザID)と、これら登録ユーザごとの信頼度と、を得る。そして認識部54は、信頼度が最も高い登録ユーザを選択し、当該登録ユーザのユーザID及び信頼度を含む認識結果情報63を車載装置10に送信する。なお、この認識結果情報63には、ユーザIDに紐付く個人登録データ60の適宜の情報を含ませてもよい。
【0020】
人体検知部56は、車載装置10から送信された画像(本実施形態では、後述する中間画像64A)の中から人体を検知し、検知結果に基づいて当該人体に相当する範囲である上記人体範囲Rp(位置や大きさなど)を特定し、特定結果を含む結果情報65を車載装置10に送信する。
顔検知部57は、車載装置10から送信された画像(本実施形態では、後述する中間画像64A、又は切出画像62)の中から人の顔を検知し、検知結果に基づいて当該顔に相当する範囲である上記顔範囲Rf(位置や大きさなど)を特定し、特定結果を含む結果情報65を車載装置10に送信する。なお、顔検知部57は、画像の中の顔が検知不能であった場合、その旨を含む結果情報65を車載装置10に送信する。
【0021】
本実施形態において、人体検知部56は第2学習済モデル68を記憶する記憶部70を備え、当該第2学習済モデル68を用いて人体を検知する。また顔検知部57は第3学習済モデル69を記憶する記憶部71を備え、当該第3学習済モデル69を用いて人の顔を検知する。
第2学習済モデル68は、不特定多数の人の人体が写った画像を機械学習によって学習したデータである。かかる機械学習には、人の人体が写ったサンプル画像と、当該サンプル画像において検知されるべき人体と、の組み合わせに基づいて生成された学習用データを学習する、いわゆる教師あり学習が用いられる。
第3学習済モデル69は、不特定多数の人の顔が写った顔画像を機械学習によって学習したデータである。かかる機械学習には、人の顔が写ったサンプル画像と、当該サンプル画像において検知されるべき顔と、の組み合わせに基づいて生成された学習用データを学習する、いわゆる教師あり学習が用いられる。
【0022】
人体検知部56は、画像を車載装置10から受信した場合、当該画像を第2学習済モデル68に入力し、画像の中の人体の検知結果を出力として得る。そして人体検知部56は、検知結果に基づいて、画像の中の人体範囲Rpの位置、及び大きさの情報を含む結果情報65を生成し、当該結果情報65を車載装置10に送信する。
また顔検知部57は、画像を車載装置10から受信した場合、当該画像を第3学習済モデル69に入力し、画像の中の顔の検知結果を出力として得る。そして顔検知部57は、検知結果に基づいて、画像の中の顔範囲Rfの位置、及び大きさの情報を含む結果情報65を生成し、当該結果情報65を車載装置10に送信する。上述の通り、顔検知部57は、顔が検知できなかった場合、その旨を含む結果情報65を車載装置10に送信する。
【0023】
なお、本実施形態において、個人情報データベース52、認識部54、人体検知部56、及び顔検知部57の各機能部は、1台のサーバ装置50に設けられ、当該1台のサーバ装置50が個人登録データ管理装置、認識装置、及び、人体検知装置として機能する。しかしながら、これらの各機能部を互いに異なるコンピュータに設け、互いに異なるコンピュータがそれぞれ、個人登録データ管理装置、認識装置、人体検知装置、及び顔検知装置として機能してもよい。
【0024】
次いで、車両3の側の構成を説明する。
【0025】
図3は、車載装置10を備えた車載システム20の概略構成を示す図である。
車載システム20は、車両3に設けられたシステムである。かかる車載システム20は、上述した車載装置10、及び電装装置17の他に、無線通信部11と、カメラ13と、を備え、これらが互いにCAN(Controller Area Network)などの車載ネットワークを介して、又は、直接的に接続される。
【0026】
無線通信部11は、通信ネットワーク網5を介してサーバ装置50と双方向に無線通信する無線通信回路(無線受信回路、及び無線送信回路)を備える。車載装置10は、当該無線通信部11を通じて、サーバ装置50との間で各種のデータを送受信する。
【0027】
カメラ13は、車両3の車室内を撮像し、撮像によって得られた車室内画像64を車載装置10に出力する撮像手段である。
本実施形態において、カメラ13は、車室内のフロント側(前方)であって車幅方向の略中央に設けられ、運転席80や助手席、後部座席などの車室内の全ての座席を撮像する。このカメラ13によって、認識対象人物である運転者Duを含む車室内の全ての乗員が撮像可能となる。なお、カメラ13は、単体で設置されてもよいし、車室内のフロント側に設置されるダッシュボードやルームミラーといった部品に付設されてもよい。
【0028】
車載装置10は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどの主記憶装置と、HDDやSSDなどの補助記憶装置と、周辺機器などを接続するためのインターフェース回路と、車載ネットワークを介して他の装置と通信する車載ネットワーク通信回路と、を備えたコンピュータ(本実施形態ではECU)を有した車載型の情報処理装置である。かかる車載装置10は、プロセッサが補助記憶装置、又は主記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することで図3に示す機能的構成を実現する。
【0029】
車載装置10は、機能的構成として、車室内画像取得部21と、切出画像生成部22と、認識要求部24と、ユーザ特定部26と、サービス提供部28と、を備える。
【0030】
車室内画像取得部21は、車両3の走行期間中に撮像された車室内画像64をカメラ13から取得する。
「車両3の走行期間」は、車両3が走行を開始した後から車両3が駐車する間を意味し、例えば、車両3が交差点などで一時停車しているタイミングも含む期間である。換言すれば、「車両3の走行期間」は、サーバ装置50による画像認識の認識対象人物である運転者Duが運転席80に着座している期間とも言える。したがって、この走行期間中に車室内画像64が撮像されることで、運転者Duを確実に車室内画像64に収めることができる。
【0031】
本実施形態の車室内画像取得部21は、走行期間を、車両3の車速(車速センサの出力)に基づいて判定する。すなわち、車速がゼロでない場合、車室内画像取得部21は、走行期間中であると判定し、そのときにカメラ13によって撮像されている車室内画像64を取得する。
なお、車室内画像取得部21は、別の適宜の手法によって走行期間中を判定してもよい。例えば、車室内画像取得部21は、運転席80側のドアが閉められたときに、運転席80の座面の圧力を圧力センサによって検知し、当該検知結果に基づいて、運転者Duが運転席80に着座しているか否か(すなわち、本実施形態の走行期間中に該当するか否か)を判定してもよい。
【0032】
切出画像生成部22は、サーバ装置50に画像認識させる画像として切出画像62を車室内画像64から生成する。より具体的には、切出画像生成部22は、車室内画像64において、複数人が存在し得る乗員のうち認識対象人物である運転者Duのみが写った切出範囲Rtを切り取る(トリミングする)ことで切出画像62を生成する。
【0033】
認識要求部24は、切出画像62をサーバ装置50に無線通信部11を通じて送信し、登録ユーザの画像認識を当該サーバ装置50に要求する。また認識要求部24は、切出画像62についての認識結果情報63をサーバ装置50から無線通信部11を通じて受信する。
【0034】
ユーザ特定部26は、認識結果情報63に基づいて登録ユーザを特定する。
具体的には、ユーザ特定部26は、登録ユーザのIDを認識結果情報63から取得することで登録ユーザを特定する。なお、認識結果情報63に含まれる信頼度が所定閾値以下である場合、ユーザ特定部26は、運転者Duが未登録のユーザであると見做す。この所定閾値は、運転者Duと、認識結果情報63によって示される登録ユーザと、が一致すると見做せる信頼度の値である。
【0035】
サービス提供部28は、ユーザIDに紐付いた個人登録データ60をサーバ装置50から無線通信部11を介して受信し、当該個人登録データ60に記録されている情報に基づいて電装装置17を適宜に動作させ、当該電装装置17を利用したサービスを登録ユーザに提供する。なお、運転者Duが未登録ユーザであった場合にも、サービス提供部28が、例えばデフォルト設定に基づいて電装装置17を所定動作させてもよい。
【0036】
次いで、本実施形態における上述した切出画像生成部22の構成について、より具体的に説明する。
切出画像生成部22は、図3に示すように、中間画像生成部30と、画像切出部32と、切出範囲決定部34と、切出範囲記憶部36と、切出範囲更新部38と、を備える。
【0037】
中間画像生成部30は、カメラ13から得られた原画像である車室内画像64から中間画像64Aを生成する。中間画像64Aは、図4に示すように、車室内の全座席(図示例では後部座席側を省略)を含む範囲を写した車室内画像64から助手席側の範囲A2を除去し、運転席80側の範囲A1(運転手が写っている蓋然性が高い範囲)だけを残した画像である。本実施形態において、中間画像生成部30は、車室内画像64の全範囲を運転席80側の範囲A1と助手席側の範囲A2とで左右に等分割し、運転席80側の範囲A1のみから成る画像を中間画像64Aとして生成する。
【0038】
画像切出部32は、中間画像64Aから所定の切出範囲Rt(図6)を切り出して(トリミングして)切出画像62を生成する。
また切出範囲決定部34は、この切出範囲Rtを決定する。切出範囲Rtは、専ら運転者Duだけが写っている範囲である。
本実施形態の切出範囲決定部34は、サーバ装置50が備える人体検知装置、及び顔検知装置の機能を利用して、中間画像64Aにおける運転者Duの人体範囲Rp、及び顔範囲Rfを特定し、これら人体範囲Rp、及び顔範囲Rfに基づいて切出範囲Rtを決定する。
【0039】
図5は、人体範囲Rp、及び顔範囲Rfの一例を模式的に示す図である。図6は、切出範囲Rt、及び切出画像62の一例を模式的に示す図である。
これらの図に示すように、人体範囲Rp、顔範囲Rf、及び切出範囲Rtの形状は、いずれも同一であり、本実施形態において、当該形状は矩形である。また本実施形態において、図5に示すように、人体範囲Rp、及び顔範囲Rfの位置は、中間画像64Aにおけるそれぞれの中心座標Op、Ofによって規定されており、人体範囲Rp、及び顔範囲Rfの大きさは、それぞれの幅Wp、Wfと、高さHp、Hfと、によって規定されている。
【0040】
切出範囲決定部34は、図6に示すように、大きさが人体範囲Rpの大きさ(幅Wp、高さHp)であり、中心位置(中心座標Op)を顔範囲Rfの中心位置(中心座標Of)に移動させた矩形状の範囲を求め、この範囲を切出範囲Rtに決定する。かかる切出範囲Rtで中間画像64Aが切り取られることで、運転者Duの顔が中央に位置し、当該顔の周囲に人体範囲Rpの大きさに相当するマージンが設けられた画像を切出画像62として得ることができる。また運転者Duの姿勢が多少変わり顔の位置が移動したとしても、移動後の顔の位置はマージンの範囲(人体範囲Rp)に大凡収まる。したがって、運転者Duの姿勢が変わり得る度に(例えば、運転者Duが乗車する度に)切出範囲Rtを決定し直さずとも、同じ運転者Duであれば既に決定された切出範囲Rtを用いて、運転者Duの顔が収まった切出画像62を得ることができる。
【0041】
切出範囲記憶部36は、切出範囲決定部34によって決定された切出範囲Rtを記憶する。画像切出部32は、切出画像62を生成する際、切出範囲記憶部36に記憶されている切出範囲Rtを参照し、この切出範囲Rtに基づいて中間画像64Aから画像を切り出すことで切出画像62を生成する。
【0042】
本実施形態において、車載装置10の工場出荷時や初期化時には、切出範囲記憶部36に、無効な切出範囲Rtが記憶される。「無効な切出範囲Rt」とは、運転者Duの顔が写った範囲が大凡切り出されない範囲を示している切出範囲Rt、或いは、一定の範囲を示していない切出範囲Rtを言う。かかる無効な切出範囲Rtは、切出範囲決定部34が切出範囲Rtを決定した場合に、この有効な切出範囲Rtによって置き換えられる。
なお、車載装置10の工場出荷時や初期化時においては、有効な切出範囲Rtが決定されていないことが特定可能でればよい。したがって、例えば、切出範囲Rtの代わりに、初期状態であることを示す情報(フラグなど)を切出範囲記憶部36が記憶してもよい。
【0043】
切出範囲更新部38は、切出画像62の中から人の顔が検知できるか否かをサーバ装置50から取得し、人の顔が検知できない場合、切出範囲記憶部36に記憶されている切出範囲Rtを更新する。
詳述すると、切出画像62の中から人の顔が検知できなくなる要因としては、中間画像64Aから切出画像62の切出時に運転者Duの顔の一部、又は全部に欠落が発生してしまった場合がある。顔の欠落が発生する主たる要因の一つは、運転者Duが先の切出範囲Rtの決定時の運転者Duと異なる場合である。この場合、両運転者Duの体格や姿勢の違い、又は、互いの運転者Duが好むシートの調整の違い、といった各種の相違により、図7に示すように、顔の欠落が切出画像62に発生する。そこで、切出範囲更新部38は、切出画像62の中から人の顔が検知できない場合、顔欠落の発生を回避するように切出範囲Rtを変更し、変更後の切出範囲Rtを切出範囲記憶部36に更新記憶させる。なお、切出範囲Rtの更新の詳細は後述する。
【0044】
次いで、本実施形態の動作について、先ずサーバ装置50の動作を説明する。
【0045】
図8は、サーバ装置50による人体検知処理のフローチャートである。
サーバ装置50は、人体検知の要求と、検知対象の画像(本実施形態では切出画像62)とを車載装置10から受信した場合(ステップSa1:Yes)、人体検知部56が画像の中から人体を検知し(ステップSa2)、検知結果に基づいて人体範囲Rpを特定する(ステップSa3)。そしてサーバ装置50は、人体検知部56によって特定された人体範囲Rpの特定結果を含む結果情報65を車載装置10に送信し(ステップSa4)、処理を終了する。
【0046】
図9は、サーバ装置50による顔検知処理のフローチャートである。
サーバ装置50は、顔検知の要求と、検知対象の画像(本実施形態では中間画像64A、又は切出画像62)とを車載装置10から受信した場合(ステップSb1:Yes)、顔検知部57が画像の中から顔を検知し(ステップSb2)、検知結果に基づいて顔範囲Rfを特定する(ステップSb3)。そしてサーバ装置50は、顔検知部57によって特定された顔範囲Rfを含む結果情報65を車載装置10に送信し(ステップSb4)、処理を終了する。
なお、ステップSb2、Sb3において、顔検知部57は、画像から顔が検知されず、顔範囲Rfが特定できなかった場合、顔が検知できなかった旨を含む結果情報65を車載装置10に送信する。
【0047】
図10は、サーバ装置50によるユーザ認識処理のフローチャートである。
サーバ装置50は、ユーザ認識の要求と、認識対象の画像(本実施形態では切出画像62)とを車載装置10から受信した場合(ステップSc1:Yes)、認識部54が画像に写った登録ユーザを画像認識する(ステップSc2)。そして、サーバ装置50は、認識部54による認識結果を含む上述の認識結果情報63を車載装置10に送信し(ステップSc3)、処理を終了する。
【0048】
次いで、車載装置10の動作を説明する。
図11は、車載装置10の動作を示すフローチャートである。
車載装置10において、車室内画像取得部21は、車両3の車速に基づいて、走行期間中であると判定した場合(ステップSd1:Yes)、運転者Duの顔が写った画像を得るべくカメラ13から車室内画像64を取得する(ステップSd2)。次いで、車載装置10は、ユーザ特定処理を実行する(ステップSd3)。ユーザ特定処理は、車室内画像64に写ったユーザ(登録ユーザ、又は未登録ユーザ)を、サーバ装置50の画像認識を利用して特定する処理である。このユーザ特定処理の詳細は後に説明する。
【0049】
ユーザ特定処理によって特定の登録ユーザが特定された場合(ステップSd4:Yes)、サービス提供部28が、登録ユーザの個人登録データ60をサーバ装置50から受信し、当該個人登録データ60に記録されている情報に基づいて電装装置17を動作させる(ステップSd5)。
一方、ユーザ特定処理によって特定の登録ユーザが特定されなかった場合(ステップSd4:Yes)、サービス提供部28は、例えば未登録ユーザ用の設定等に基づいて電装装置17を所定動作させる(ステップSd6)。
【0050】
図12、及び図13は、上述のユーザ特定処理のフローチャートである。
ユーザ特定処理では、先ず、車載装置10において、切出画像生成部22がサーバ装置50に画像認識させる切出画像62を車室内画像64から次の手順で生成する。
すなわち、中間画像生成部30が車室内画像64から助手席側を除いた中間画像64Aを生成した後、切出範囲記憶部36に有効な切出範囲Rtが記憶されていない場合(ステップSe1:Yes)、切出範囲決定部34は、有効な切出範囲Rtを決定する。
【0051】
具体的には、切出範囲決定部34は、中間画像64Aに対する人体検知、及び顔検知をサーバ装置50に要求する(ステップSe2)。サーバ装置50は、かかる要求を受信すると、上述した人体検知処理(図8)、及び顔検知処理(図9)を実行し、中間画像64Aにおける人体範囲Rp、及び顔範囲Rfの各々の位置、及び大きさを含む結果情報65を車載装置10に送信する。
【0052】
車載装置10において、切出範囲決定部34が結果情報65をサーバ装置50から受信すると(ステップSe3:Yes)、当該切出範囲決定部34は、人体範囲Rp、及び顔範囲Rfに基づいて切出範囲Rtを決定し(ステップSe4)、当該切出範囲Rtを切出範囲記憶部36に記憶する(ステップSe5)。これにより、有効な切出範囲Rtが切出範囲記憶部36に記憶される。また、この処理により、車種やカメラ13の設置位置により、車室内画像64における運転席80の位置が異なる場合でも、適切な位置に切出範囲Rtが設定される。
【0053】
次いで、車載装置10において、画像切出部32が切出範囲Rtに基づいて中間画像64Aから画像を切り出して切出画像62を生成する(ステップSe6)。
そして、認識要求部24がサーバ装置50に対し、当該切出画像62に写っている登録ユーザの画像認識を要求することでユーザ認識を行う(ステップSe7)。サーバ装置50は、かかる要求を受信すると、上述したユーザ認識処理を実行し、画像認識された登録ユーザのユーザID、及び信頼度、或いは、ユーザが未登録である旨を含む認識結果情報63を車載装置10に送信する。これにより、運転者が登録ユーザである場合には、そのIDが特定される。
【0054】
上記ステップSe1において、既に切出範囲Rtが切出範囲決定部34によって決定されており、有効な切出範囲Rtが切出範囲記憶部36に記憶されている場合(ステップSb1:No)、画像切出部32が当該切出範囲Rtに基づいて中間画像64Aから画像を切り出して切出画像62を生成する(ステップSe8)。
そして、切出画像62に対するユーザ認識処理(ステップSe7)に先だって、必要に応じて切出範囲Rtを更新するための処理が行われる。
【0055】
すなわち、先ず、切出範囲更新部38が、当該切出画像62に対する顔検知をサーバ装置50に要求する(ステップSe9)。サーバ装置50は、かかる要求を受信すると、上述した顔検知処理(図9)を実行し、結果情報65を車載装置10に送信する。この結果情報65には、上述の通り、顔範囲Rfの情報、或いは、顔が検知できなかった場合には、その旨を示す情報が含まれている。なお、サーバ装置50が顔検知処理を実行する際には、ステップSb2の顔検知が実行されればよく、ステップSb3の顔範囲Rfの特定をスキップしてもよい。
【0056】
切出範囲更新部38は、結果情報65を受信すると(ステップSe10:Yes)、切出画像62から顔が検知できたか否かを結果情報65に基づいて判断する(ステップSe11)。顔が検知できなかった場合(ステップSe11:No)、切出範囲Rtを更新するための処理が実行される。
【0057】
具体的には、先ず、切出範囲決定部34が、切出画像62の元となる中間画像64Aに対して適切な切出範囲Rtを決定する。すなわち、切出範囲決定部34は当該中間画像64Aに対する人体検知、及び顔検知をサーバ装置50に要求する(ステップSe12)。その後、切出範囲決定部34は、中間画像64Aにおける人体範囲Rp、及び顔範囲Rfの各々の位置、及び大きさを含む結果情報65をサーバ装置50から受信すると(ステップSe13:Yes)、人体範囲Rp、及び顔範囲Rfに基づいて適切な新切出範囲Rtcを決定する(ステップSe14)。
【0058】
次いで、切出範囲更新部38が、切出範囲記憶部36に記憶されている切出範囲Rtを、ステップSe14で決定された新切出範囲Rtcに基づいて更新する(ステップSe15)。
具体的には、切出範囲更新部38は、図14に示すように、新切出範囲Rtcを含むように、既に記憶されている切出範囲Rtを拡張した拡張範囲Reを求める。そして、切出範囲更新部38は、既に記憶されている切出範囲Rtを拡張範囲Reに置き換えることで更新する。切出範囲更新部38は、ステップSe5に処理手順を進め、更新後の切出範囲Rtを切出範囲記憶部36に記憶させる。
これにより、切出範囲記憶部36に記憶されている切出範囲Rtが更新されることとなる。
【0059】
その後、切出範囲記憶部36に記憶されている切出範囲Rtに基づいて画像切出部32が中間画像64Aから画像を切り出して切出画像62を生成し(ステップSe6)、認識要求部24がサーバ装置50に対し、当該切出画像62に写っている登録ユーザの画像認識を要求することでユーザ認識を行う(ステップSe7)。
切出範囲Rtは、図14に示すように、中間画像64Aに対して適切な新切出範囲Rtcを含むため、再度生成された切出画像62からは顔が検知されるようになり、ユーザを正しく画像認識できるようになる。また、更新後の切出範囲Rt(すなわち拡張範囲Re)は、更新前の切出範囲Rtを含んでいる。したがって、運転者Duが異なることが要因で顔が検知されなかった場合でも、更新前の運転者に適した切出範囲Rtが保持されることとなる。そして、かかる切出範囲Rtの更新が繰り返されることで、複数の運転者Duが同じ車両3を利用する場合でも、切出範囲Rtが、それら運転者Duの全員に対応した範囲に更新されるようになる。
【0060】
上述した実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0061】
本実施形態の車載装置10は、切出範囲Rtを記憶する切出範囲記憶部36を備え、画像切出部32は、切出範囲記憶部36に記憶されている切出範囲Rtに基づいて画像を切り出して切出画像62を生成する。
これにより、切出範囲Rtを決定するために画像(本実施形態では中間画像64A)の中の顔を検知する処理を、切出画像62の切り出しの度に行う必要がなく、かかる処理に要するリソースやコストを低減することができる。
また、車載装置10は、切出範囲記憶部36に記憶されている切出範囲Rtを、切出画像62から人の顔が検知されるか否かに応じて更新する切出範囲更新部38を備えるため、切出画像62から人の顔が検知できないような場合でも、切出範囲更新部38によって切出範囲Rtが更新され、運転者Duを適切に切り出すことができる。
【0062】
本実施形態の車載装置10において、前記切出範囲更新部38は、切出範囲記憶部36に記憶されている切出範囲Rtを、切出画像62から人の顔を検知可能にする新切出範囲Rtcを含む拡張範囲Reに拡張して更新する。
これにより、更新の前まで正常に切り出されていた運転者Duが更新後に切り出されなくなる、といったことがない。また、かかる更新が繰り返されることで、複数の運転者Duが同じ車両3を利用する場合でも、切出範囲Rtが、それら運転者Duの全員に対応した範囲に更新されるようになる。
【0063】
本実施形態の車載装置10は、人体検知部56、及び顔検知部57を有したサーバ装置50に、処理対象の画像(本実施形態では中間画像64A)を送信し、人体範囲Rp、及び顔範囲Rfの特定結果をサーバ装置50から受信する。そして、これら人体範囲Rp、及び顔範囲Rfに基づいて切出範囲決定部34が切出範囲Rtを決定する。
上述の通り、本実施形態の車載装置10によれば、切出画像62は、切出範囲記憶部36に記憶されている切出範囲Rtに基づいて生成されるため、切出範囲決定部34が切出範囲Rtの決定を行う回数が減り、サーバ装置50と車載装置10との間の各種データの送受信回数が抑えられる。これにより、データ通信量や通信費等のコストを抑え、また処理リソースの消費を低減することができる。
【0064】
本実施形態の車載装置10において、切出範囲決定部34は、中間画像64Aにおける顔範囲Rf、及び人体範囲Rpの検知結果に基づいて切出範囲Rtを決定する。
これにより、顔範囲Rfの周囲に人体範囲Rpに応じたマージンを設けた切出範囲Rtを決定することができる。このような切出範囲Rtが決定されることで、運転者Duの姿勢が多少変わり顔の位置が移動したとしても、移動後の顔の位置が大凡収まる範囲を切出範囲Rtに設定することができる。この結果、切出画像62から顔が検知できない回数が抑えられ、切出範囲Rtの更新回数も低減される。
このように切出範囲Rtの更新が減ることで、切出範囲Rtを決定する必要が生じる回数を更に減らすことができる。
【0065】
本実施形態において、車室内画像64は、車両3が走行を開始した後に撮像された車室内の画像である。
これにより、識別対象人物である運転者Duが写っていることが確実な車室内画像64を得ることができる。
【0066】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0067】
上述した実施形態において、車室内画像64が、運転席80を含む車室内の全席をカメラ13によって撮像した画像であり、切出画像生成部22は、この車室内画像64から運転席80側の範囲A1を抽出して中間画像64Aを生成する構成を例示した。
しかしながら、車室内画像64が運転席80側の範囲A1のみを撮像し、助手席側の範囲A2が車室内画像64に写っていない場合、切出画像生成部22は、中間画像64Aを生成する必要はない。
すなわち、この場合、切出画像生成部22において、切出範囲決定部34が、中間画像64Aではなく車室内画像64をサーバ装置50に送信し、当該車室内画像64における運転者Duの人体範囲Rp、及び顔範囲Rfを特定し、これら人体範囲Rp、及び顔範囲Rfに基づいて切出範囲Rtを決定する。そして、画像切出部32が、当該切出範囲Rtを車室内画像64から切り出して切出画像62を生成する。
なお、車両3のハンドル又は運転席80の位置が車室内画像64の左右のどちら側にあるかを示す情報を車載装置10が取得できる場合にも、車載装置10は、中間画像64Aを生成する必要はない。この場合、車載装置10は、車室内画像64におけるハンドル(又は運転席80)側の画像領域のみを有効な画像領域とし、当該画像領域に基づいて切出範囲Rtの決定や切出画像62の生成といった上述の各処理を行う。
【0068】
上述した実施形態において、登録ユーザ(識別対象人物)が運転者Duとして乗車する場合を例示した。しかしながら、これに限らず、登録ユーザが助手席や後部座席などの特定の座席に着座する場合にも、本発明を適用することができる。
【0069】
上述した実施形態において、サーバ装置50の顔検知部57の機能を車載装置10が備えてもよい。
【0070】
上述した実施形態において、切出範囲決定部34は、人体範囲Rpを用いずに顔範囲Rfに基づいて切出範囲Rtを決定してもよい。
【0071】
上述したユーザ特定処理(図12図13)において、切出範囲Rtを決定する対象の画像(上述の実施形態では中間画像64A)から顔範囲Rf、及び人体範囲Rpのいずれも特定されなかった場合、認識対象の人物(上述の実施形態では運転者Du)が車内に居ないものと見做し、車載装置10は、ステップSe4やステップSe14の切出範囲Rtの決定処理を行わなくてもよい。
また、人体範囲Rpが特定されたものの、顔範囲Rfが特定されなかった場合、認識対象の人物が車内に居る可能性が高いため、車載装置10は、対象の画像の中の顔検知を再度行ってもよい。
【0072】
上述した実施形態において、図2、及び図3に示す機能ブロックは、本願発明を理解容易にするために、構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、これらの構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【符号の説明】
【0073】
1 情報通信システム
3 車両
5 通信ネットワーク網
10 車載装置(情報処理装置)
11 無線通信部(送信部、受信部)
13 カメラ
21 車室内画像取得部
22 切出画像生成部
26 ユーザ特定部
30 中間画像生成部
32 画像切出部
34 切出範囲決定部
36 切出範囲記憶部
38 切出範囲更新部
50 サーバ装置
54 認識部
56 人体検知部
57 顔検知部
62 切出画像
64 車室内画像
64A 中間画像
Re 拡張範囲
Rf 顔範囲
Rp 人体範囲
Rt 切出範囲
Rtc 新切出範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14