【課題】モータの特性を取得するモータ特性取得装置またはモータ特性取得方法において、前記モータの回転数が所定回転数を超える領域でも、前記モータに流れる電流が定格電流を超えることなく、前記モータの最大出力トルクを検出可能な構成を得る。
【解決手段】モータ特性取得装置1は、モータ2に供給するd軸電流を変化させるとともに、各d軸電流において、モータ2の入力電圧が所望電圧になるようにモータ2に供給するq軸電流を制御する電流制御部20と、各d軸電流において、モータ2の入力電圧が前記所望電圧の場合におけるモータ2の出力トルクを計測するトルク計測部60と、トルク計測部60による前記各d軸電流におけるトルク計測結果の中から、モータ2の最大出力トルクを求める最大出力トルク取得部70と、を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の特許文献1以外にも、モータの最大出力トルクを求める方法が考えられる。一般的に、モータの駆動において、所定の回転数以下の領域では、定格電流が制約となり、所定の回転数を越えた領域では、定格電圧が制約となる。すなわち、モータの出力トルクと回転数との関係では、モータの回転数が所定回転数以下で、モータの最大出力トルクは一定であり、モータの回転数が所定回転数を超えると、モータの最大出力トルクは低下する。
【0006】
よって、モータの回転数が所定回転数以下の領域では、前記モータに流す電流を定格電流で且つ電流位相をスイープする電流制御を行い、モータの回転数が所定回転数を越える領域では、前記モータに印加する電圧を定格電圧で且つ電圧位相をスイープする電圧制御を行うことで、前記モータの最大出力トルクを検出することができる。
【0007】
しかしながら、モータの回転数が所定回転数を越える領域において、前記モータを上述のような電圧制御によって駆動すると、前記モータに流れる電流は制御されない状態になる。そうすると、前記モータの回転数が所定回転数を越える領域で、前記モータに印加する電圧の電圧位相をスイープした場合に、前記モータに流れる電流が定格電流を超える可能性がある。
【0008】
したがって、前記モータの回転数が所定回転数を超える領域において、前記モータに流れる電流が定格電流を超えることなく、前記モータの最大出力トルクを検出可能なモータ特性取得装置またはモータ特性取得方法が求められる。
【0009】
本発明の目的は、モータの特性を取得するモータ特性取得装置またはモータ特性取得方法において、前記モータの回転数が所定回転数を超える領域でも、前記モータに流れる電流が定格電流を超えることなく、前記モータの最大出力トルクを検出可能な構成を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係るモータ特性取得装置は、モータの特性を取得するモータ特性取得装置である。このモータ特性取得装置は、前記モータに供給するd軸電流を変化させるとともに、各d軸電流において、前記モータの入力電圧が所望電圧になるように前記モータに供給するq軸電流を制御する電流制御部と、前記各d軸電流において、前記モータの入力電圧が前記所望電圧の場合における前記モータの出力トルクを計測するトルク計測部と、前記トルク計測部による前記各d軸電流におけるトルク計測結果の中から、前記モータの最大出力トルクを求める最大出力トルク取得部と、を備える(第1の構成)。
【0011】
モータに流れるq軸電流は、前記モータの入力電圧に対して比例の関係を有する。そのため、前記q軸電流を変化させることにより、前記モータの入力電圧が所望電圧になるときのq軸電流を容易に求めることができるとともに、前記モータに流れる電流が定格電流を超えないようにq軸電流を制御することができる。
【0012】
よって、モータの特性を取得するモータ特性取得装置またはモータ特性取得方法において、前記モータの回転数が所定回転数を超える領域でも、前記モータに流れる電流が定格電流を超えることなく、前記モータの最大出力トルクを検出可能な構成を得ることができる。
【0013】
なお、モータに印加される電圧が所望電圧のときに、q軸電流及びd軸電流は、例えば楕円状の軌跡を描くように変化する。そのため、モータに流れる電流のうちq軸電流は一定でd軸電流を変化させた場合、モータに印加される電圧が前記所望電圧であるd軸電流は、複数、存在する。しかも、上述のd軸電流を変化させると、モータに印加される電圧とIdとの増減関係が反転する可能性がある。このような場合には、上述のようにd軸電流を変化させた場合に、モータに流れる電流が定格電流を超える可能性がある。
【0014】
そのため、モータの最大出力トルクを計測する際には、上述の構成のように、q軸電流を制御するのが好ましい。
【0015】
前記第1の構成において、前記電流制御部は、前記モータの各回転数で、前記d軸電流を変化させるとともに、各d軸電流において、前記モータの電圧が所望電圧になるように前記モータに供給するq軸電流を制御する。前記トルク計測部は、前記モータの各回転数で、各d軸電流において前記モータの入力電圧が前記所望電圧の場合における前記モータの出力トルクを計測する。前記最大出力トルク取得部は、前記モータの各回転数で、前記トルク計測部による前記各d軸電流におけるトルク計測結果の中から、前記モータの最大出力トルクを求める(第2の構成)。
【0016】
これにより、モータの各回転数において、最大出力トルクを求めることができる。したがって、上述の構成を有するモータ特性取得装置によって、前記モータの特性を取得することができる。
【0017】
前記第1または第2の構成において、前記モータは、IPMモータである(第3の構成)。IPMモータの場合には、d軸リアクタンスとq軸リアクタンスとが異なるため、以下のモータのトルク式で示すように、モータの出力トルクは、q軸電流だけでなくd軸電流の影響も受ける。そのため、IPMモータの最大出力トルクを検出する際には、上述の第1または第2の構成を有するモータ特性取得装置を用いるのが好ましい。
Tm=φm・Iq+(Ld−Lq)・Id・Iq
【0018】
本発明の一実施形態に係るモータ特性取得方法は、モータの特性を取得するモータ特性取得方法である。このモータ特性取得方法は、前記モータに供給するd軸電流を変化させるとともに、各d軸電流において前記モータに供給するq軸電流を変化させることにより、前記モータの入力電圧を所望電圧にする電流制御工程と、前記各d軸電流において、前記モータの入力電圧が前記所望電圧の場合における前記モータの出力トルクを計測するトルク計測工程と、前記トルク計測工程で計測された各d軸電流におけるトルク計測結果の中から、前記モータの最大出力トルクを求める最大出力トルク取得工程と、を有する。
【0019】
これにより、モータの特性を取得するモータ特性取得装置またはモータ特性取得方法において、前記モータの回転数が所定回転数を超える領域でも、前記モータに流れる電流が定格電流を超えることなく、前記モータの最大出力トルクを検出可能な構成を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態に係るモータ特性取得装置は、モータに供給するd軸電流を変化させるとともに、各d軸電流において、前記モータの入力電圧が所望電圧になるように前記モータに供給するq軸電流を制御する電流制御部と、前記各d軸電流において、前記モータの入力電圧が前記所望電圧の場合における前記モータの出力トルクを計測するトルク計測部と、前記トルク計測部による前記各d軸電流におけるトルク計測結果の中から、前記モータの最大出力トルクを求める最大出力トルク取得部と、を備える。これにより、モータの特性を取得するモータ特性取得装置またはモータ特性取得方法において、前記モータの回転数が所定回転数を超える領域でも、前記モータに流れる電流が定格電流を超えることなく、前記モータの最大出力トルクを検出可能な構成を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0023】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るモータ特性取得装置1の概略構成を示すブロック図である。モータ特性取得装置1は、モータ2の特性を取得する装置である。モータ特性取得装置1は、例えば、モータ2の最大出力トルクを取得する。モータ2は、例えば、回転子磁石が回転子コア内に配置されたIPM(Interior Permanent Magnet)モータである。モータ2は、一般的なIPMモータと同様の構成を有する。よって、モータ2の詳しい構成については説明を省略する。
【0024】
モータ特性取得装置1は、電力変換部10と、電流制御部20と、トルク計測部60と、最大出力トルク取得部70とを有する。
【0025】
電力変換部10は、電流制御部20で生成されるd軸電流指令Id_ref及びq軸電流指令Iq_refに基づいて、モータ2に所定の三相交流電力を供給する。電力変換部10の詳しい構成は後述するが、本実施形態の電力変換部10は、d軸電流指令Id_ref及びq軸電流指令Iq_refに基づいて駆動制御される一般的なインバータ装置である。
【0026】
電流制御部20は、d軸電流指令Id_ref及びq軸電流指令Iq_refを生成して、電力変換部10に出力する。電流制御部20は、モータ2の回転数が所定回転数よりも低い場合には、定格電流で制限されるようにd軸電流指令Id_ref及びq軸電流指令Iq_refを生成する一方、モータ2の回転数が所定回転数以上の場合には、定格電圧で制限されるように、d軸電流指令Id_ref及びq軸電流指令Iq_refを生成する。すなわち、電流制御部20は、モータ2の回転数が所定回転数よりも低い場合には、モータ2を電流制御する一方、モータ2の回転数が所定回転数以上の場合には、モータ2を電圧制御する。
【0027】
電流制御部20は、q軸電流指令生成部30と、d軸電流設定部40と、q軸電流制御部50とを有する。
【0028】
q軸電流指令生成部30は、モータ2の入力電圧が所望電圧になるように、q軸電流指令Iq_ref1を生成する。前記所望電圧は、モータ2の回転数が所定回転数以上の場合に、モータ2の定格電圧である。この定格電圧は、モータ2の回転数が所定回転数以上の場合に、モータ2を電圧制御する際の上限値である。
【0029】
なお、電流制御部30は、モータ2の回転数が所定回転数よりも低い場合には、モータ2を電流制御する。そのため、モータ2の回転数が所定回転数よりも低い場合には、q軸電流指令Iq_refは、上位の指令によって決まる。したがって、モータ2の回転数が所定回転数よりも低い場合には、q軸電流指令Iq_refは、q軸電流指令生成部30の処理の影響を受けない。
【0030】
d軸電流設定部40は、d軸電流を定格電流までの範囲で徐々に増加させるようにd軸電流指令Id_refを生成する。d軸電流設定部40で生成されたd軸電流指令Id_refは、q軸電流制御部50及び電力変換部10に入力される。
【0031】
q軸電流制御部50は、d軸電流設定部40から出力されるd軸電流指令Id_ref及びq軸電流指令生成部30から出力されるq軸電流指令Iq_ref1の合成値がモータ2の定格電流以上の場合には、前記合成値が前記定格電流以下になるように、q軸電流指令Iq_ref1を補正する。q軸電流制御部50で補正されたq軸電流指令Iq_ref1は、q軸電流指令Iq_refとして出力される。
【0032】
トルク計測部60は、電力変換部10から出力される三相交流電力によって駆動されるモータ2の出力トルクを計測する。トルク計測部60は、モータ2の出力軸または該出力軸に接続される中間軸等のトルクを検出する。トルク計測部60の構成は、一般的なトルク計測装置の構成と同様である。よって、トルク計測部60の詳しい構成については説明を省略する。
【0033】
最大出力トルク取得部70は、トルク計測部60によって計測されたモータ2の出力トルクのうち、モータ2の各回転数において最大値を検出し、該最大値を最大出力トルクとして取得する。
【0034】
図2に、上述の構成を有するモータ特性取得装置1の電力変換部10、q軸電流指令生成部30及びq軸電流制御部50のより具体的な構成を、ブロック図で示す。
【0035】
電力変換部10は、d軸電流FB演算部11と、q軸電流FB演算部12と、d軸電流PI演算部13と、q軸電流PI演算部14と、2相3相変換部15と、三角波比較部16と、主回路17と、3相2相変換部18とを有する。
【0036】
d軸電流FB演算部11は、d軸電流指令に対して、後述する3相2相変換部18から出力されたd軸電流フィードバック値Id_fbを減算する。q軸電流FB演算部12は、q軸電流制御部50から出力されたq軸電流指令Iq_refに対して、後述する3相2相変換部18から出力されたq軸電流フィードバック値Iq_fbを減算する。
【0037】
d軸電流PI演算部13は、d軸電流FB演算部11から出力された値を、PI演算する。q軸電流PI演算部14は、q軸電流FB演算部12から出力された値を、PI演算する。
【0038】
2相3相変換部15は、d軸電流PI演算部13の演算結果、q軸電流PI演算部14の演算結果及びモータ2の回転角度を用いて、3相の指令信号を生成する。三角波比較部16は、2相3相変換部15から出力された3相の指令信号を、基準波である三角波と比較することにより、PWM信号を生成する。生成されたPWM信号は、主回路17に入力される。主回路17は、図示しない複数のスイッチング素子を有する。これらのスイッチング素子は、ブリッジ回路を構成している。主回路17では、前記PWM信号によって、前記複数のスイッチング素子を駆動させることにより、モータ2に対して三相交流電力が供給される。
【0039】
3相2相変換部18は、モータ2の回転角度を用いて、モータ2の入力電流から、d軸電流のフィードバック値Id_fb及びq軸電流のフィードバック値Iq_fbを生成する。生成されたd軸電流のフィードバック値Id_fbは、d軸電流FB演算部11に入力される。生成されたq軸電流のフィードバック値Iq_fbは、q軸電流FB演算部12に入力される。なお、モータ2の入力電流は、本実施形態の場合、U相の電流計19b及びW相の電流計19cによって検出される。
【0040】
q軸電流指令生成部30は、電圧FB演算部31と、電圧PI演算部32と、q軸電流リミット設定部33とを有する。電圧FB演算部31は、電圧制限値に対するモータ2の入力電圧の差を演算する。得られた電圧差は、電圧PI演算部32に入力される。電圧PI演算部32は、前記電圧差をPI演算して、q軸電流指令Iq_ref0を生成する。q軸電流リミット設定部33は、生成されたq軸電流指令Iq_ref0が0よりも小さい場合には、q軸電流指令を0にする。q軸電流リミット設定部33は、q軸電流指令Iq_ref1を出力する。なお、モータ2の入力電圧は、電圧計19aによって検出される。
【0041】
このようにq軸電流指令生成部30は、モータ2の入力電圧が電圧制限値になるようにq軸電流指令Iq_ref0を調整し、q軸電流指令Iq_ref0が0よりも小さい場合には、q軸電流指令Iq_ref0を0として出力する。なお、前記電圧制限値は、前記所望電圧である。
【0042】
これにより、モータ2の入力電圧が所望電圧(電圧制限値)になるようなq軸電流指令Iq_ref0を求めることができる。
【0043】
q軸電流制御部50は、電流リミット設定部51を有する。電流リミット設定部51は、d軸電流指令Id_refとq軸電流指令生成部30で生成されたq軸電流指令Iq_ref1とを用いて得られる合成値が定格電流よりも大きい場合に、前記合成値が定格電流になるように、q軸電流指令Iq_refを生成する。すなわち、電流リミット設定部51は、モータ2に流れる電流が定格電流を超えないように、q軸電流指令Iq_refを生成する。なお、前記合成値は、以下の式によって算出される。
合成値=((Id_ref)
2+(Iq_ref1)
2)
1/2
【0044】
(最大出力トルク測定動作)
次に、上述の構成を有するモータ特性取得装置1が、モータ2の最大出力トルクを取得する動作を、
図3を用いて説明する。
図3は、モータ特性取得装置1が、モータ2の最大出力トルクを取得する動作を示すフローチャートである。モータ特性取得装置1によるモータ2の最大出力トルクを取得する動作が、モータ特性取得方法に対応する。
【0045】
図3に示すフローがスタートする(START)と、まず、ステップS1で、モータ特性取得装置1の電流制御部20は、図示しないカウンタのカウント数Nをゼロにリセットする。その後、ステップS2で、電流制御部20は、カウンタのカウント数Nを一つ増やす。
【0046】
次に、ステップS3で、d軸電流設定部40は、カウント数Nに応じてd軸電流を設定し、d軸電流指令を生成する。具体的には、d軸電流設定部40は、定格電流をカウント数Nの最大値Nmaxで割ることにより得られる、d軸電流の刻み幅に、カウント数Nをかけることによって、d軸電流を設定する。d軸電流設定部40は、設定したd軸電流に応じたd軸電流指令を生成して出力する。
【0047】
なお、カウント数Nの最大値Nmaxは、変化させたいd軸電流の刻み幅に基づいて決められる。
【0048】
このように生成されたd軸電流指令は、電流制御部20で生成されたq軸電流指令とともに、電力変換部10に入力される。電流制御部20は、モータ2の入力電圧が所望電圧になるようにq軸電流指令を生成する。
【0049】
q軸電流指令が安定すると、ステップS4で、トルク計測部60は、モータ2の出力トルクを計測する。なお、モータ2の出力電圧が前記所望電圧と同じ場合には、電圧で制限される動作点での出力トルクが計測される。モータ2の出力電圧が前記所望電圧よりも小さい場合には、電流で制限される動作点での出力トルクが計測される。トルク計測部60で計測された出力トルクは、モータ特性取得装置1の図示しない記憶部に格納される。
【0050】
続くステップS5では、カウント数Nが最大値Nmaxであるかどうかを判定する。カウント数Nが最大値Nmaxである場合(YESの場合)には、ステップS6に進んで、トルク計測を終了する。この場合、最大出力トルク取得部70は、前記記憶部に格納されているトルク計測値のうち、最大値を最大出力トルクとして取得する。その後、このフローを終了する(END)。
【0051】
一方、ステップS5でカウント数Nが最大値Nmaxではないと判定された場合(NOの場合)には、ステップS2に戻って、カウンタのカウント数Nを一つ増やす。その後、モータ特性取得装置1は、上述のステップS3以降の処理を行う。
【0052】
モータ特性取得装置1は、モータ2の各回転数で、上述のフローの動作を行う。これにより、モータ2の各回転数で、最大出力トルクを取得することができる。
【0053】
なお、上述のフローにおいて、ステップS3が電流制御工程に対応し、ステップS4がトルク計測工程に対応し、ステップS5が最大出力トルク取得工程に対応する。
【0054】
本実施形態では、モータ特性取得装置1は、モータ2に供給するd軸電流を変化させるとともに、各d軸電流において、モータ2の入力電圧が所望電圧になるようにモータ2に供給するq軸電流を制御する電流制御部20と、各d軸電流において、モータ2の入力電圧が前記所望電圧の場合におけるモータ2の出力トルクを計測するトルク計測部60と、トルク計測部60による前記各d軸電流におけるトルク計測結果の中から、モータ2の最大出力トルクを求める最大出力トルク取得部70と、を備える。
【0055】
モータ2に流れるq軸電流は、モータ2の入力電圧と比例の関係を有する。そのため、前記q軸電流を変化させることにより、モータ2の入力電圧が所望電圧になるときのq軸電流を容易に求めることができるとともに、モータ2に流れる電流が定格電流を超えないようにq軸電流を制御することができる。
【0056】
よって、モータ2の特性を取得するモータ特性取得装置1において、モータ2の回転数が所定回転数を超える領域でも、モータ2に流れる電流が定格電流を超えることなく、モータ2の最大出力トルクを検出可能な構成を得ることができる。
【0057】
また、本実施形態では、モータ2は、IPMモータである。IPMモータの場合には、d軸リアクタンスとq軸リアクタンスとが異なるため、以下のトルク式で示すように、モータ2の出力トルクTmは、q軸電流Iqだけでなくd軸電流Idの影響も受ける。そのため、IPMモータの最大出力トルクを検出する際には、本実施形態の構成を有するモータ特性取得装置を用いるのが好ましい。
Tm=φm・Iq+(Ld−Lq)・Id・Iq
【0058】
ここで、Ldは、モータ2のd軸リアクタンスであり、Lqは、モータ2のq軸リアクタンスである。
【0059】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0060】
前記実施形態では、d軸電流設定部40は、定格電流をカウント数Nの最大値Nmaxで割ることにより得られる、d軸電流の刻み幅に、カウント数Nをかけることによって、d軸電流を設定する。しかしながら、d軸電流設定部は、他の方法によってd軸電流を増加させてもよいし、d軸電流を定格電流から減少させてもよい。
【0061】
前記実施形態では、モータ2は、IPMモータである。しかしながら、モータは、SPM(Surface Permanent Magnet)モータなど、他の種類のモータであってもよい。
【0062】
前記実施形態では、3相交流モータであるモータ2の特性を取得するモータ特性取得装置1の構成について説明したが、この限りではなく、3相以外の複数相の交流モータの特性を取得するモータ特性取得装置に適用してもよい。