【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は請求項1のフロー型炭酸化装置、請求項12のフロー型炭酸化システムおよび請求項13の飲料ディスペンサにより達成される。
【0010】
本発明は、第1パイプと第2パイプとを有するフロー型炭酸化装置を開示する。炭酸化される飲料と二酸化炭素は第1パイプを流れる。炭酸化されない飲料は第2パイプを流れる。少なくとも1つの乱流生成部材が第1パイプに設けられる。乱流生成部材は二酸化炭素が飲料に溶解するのを支援する。乱流生成部材は、二酸化炭素が飲料中により高い濃度で溶解するように、二酸化炭素の気泡をより小さい気泡に分割してよい。1つの実施形態において、飲料は水であってよい。第1および第2パイプは、第2パイプを流れる流体(液体)からの熱が第1パイプを加熱するように、熱接続されている。
【0011】
フロー型炭酸化装置は効率的に消毒されうるのは、熱水が第2パイプを通されてよく、それにより第2パイプ、第1パイプ、および少なくとも1つの乱流生成部材が、細菌、ウイルスまたは病原体が死滅するように加熱されるためである。1つの実施形態において、約60℃〜99℃の温度を有する流体(液体)は、第2パイプを5分未満の時間間隔で約50℃以上に加熱できる。
【0012】
さらに、第2パイプは炭酸化されない飲料、例えばコーヒーもしくは茶を淹れるための水または無炭酸水を運んでよい。炭酸化されない飲料が少なくとも1つの乱流生成部材を通らない場合、飲料はより迅速に、より低いポンプ能力で分配されてよいのは、第1パイプの乱流生成部材が第1パイプを流れる飲料に流れ抵抗を与えないからである。
【0013】
第1および第2パイプは同心状に設けられてよい。この構成により好適な熱接続を確実にし、所要空間が低減される。
【0014】
1つの実施形態において、第1パイプは第2パイプの周囲に設けられる。しかし、第2パイプが第1パイプの周囲に設けられることも考えられる。好ましくは、第1パイプを第2パイプの周囲に設け、より多くの乱流生成部材および/または乱流生成部材のより大きな流れ制限領域および/またはより多くの乱流生成開口部を第1パイプの飲料の流れに位置させる。
【0015】
少なくとも1つの乱流生成部材が第1パイプの断面を縮小させる。これにより、乱流生成部材を通るときに飲料の圧力が増加することで、二酸化炭素気泡が分割され、より効率的に飲料に溶解する。
【0016】
複数の乱流生成部材が第1パイプの飲料の流れ方向に直列に離間して設けられてよい。代替として、または追加として、複数の乱流生成開口部が乱流生成部材に径方向に離間して設けられる。
【0017】
好ましい実施形態において、複数の乱流生成開口部が乱流生成部材の周囲の周りに離間して設けられる。これにより、飲料の流れは第1パイプの外側部へと押し込まれ、乱流生成部材間のスペースは乱流流れを有する乱流チェンバを形成し、二酸化炭素の気泡はさらに分割され、飲料に溶解する。
【0018】
1つの実施形態において、乱流生成部材はその外周において全般的に円状の断面を有する。乱流生成部材の断面は、第1パイプの軸方向および第1パイプの飲料の流れ方向に垂直に設けられる。少なくとも1つの乱流生成開口部は、乱流生成部材の外周における少なくとも1つの凹部により形成される。これにより、飲料の流れは第1パイプの外側部へと押し込まれ、乱流生成部材間のスペースは乱流チェンバを形成する。二酸化炭素気泡は凹部の縁で分割され、乱流チェンバの飲料に溶解する。
【0019】
1つの実施形態において、凹部は乱流生成部材の全般的に円状の断面の平坦部により形成されてよい。乱流生成部材は、乱流生成部材の外周における少なくとも1つの凹部を除いて、第2パイプの外壁と第1パイプの内壁の間のあらゆる流体の流れを妨げる。
【0020】
1つの実施形態において、凹部は、第1パイプの半径に直交する第1壁と第1壁に垂直な少なくとも1つの第2壁とにより形成されてよい。
【0021】
1つの実施形態において、複数の乱流生成部材が直列関係で設けられ、対向する乱流生成部材、第2パイプの外側円筒壁および第1パイプの内側円筒壁の間に乱流チェンバを形成する。
【0022】
直列関係で設けられる2つの乱流生成部材間の第1パイプの軸方向の距離は、第1パイプの軸方向の乱流生成部材の厚さの少なくとも2倍であってよい。直列関係で設けられる2つの乱流生成部材間の第1パイプの軸方向の距離は、第1パイプの軸方向の乱流生成部材の厚さの約2倍から約3倍の間の範囲であってよい。直列関係で設けられる2つの乱流生成部材間の第1パイプの軸方向の距離は、第1パイプの内径と第2パイプの外径の差の少なくとも2倍である。直列関係で設けられる2つの乱流生成部材間の第1パイプの軸方向の距離は、第1パイプの内径と第2パイプの外径の差の約2倍〜約3倍である。第1パイプの半径に直交する乱流生成部材の凹部の幅は第1パイプの軸方向の乱流生成部材の厚さの約75%〜約125%の間の範囲である。第1パイプの径方向の凹部の最大高さは、第1パイプの軸方向の乱流生成部材の厚さの約0.5%〜約1.5%の間の範囲である。
【0023】
また、本発明は、炭酸化制御部と、上記フロー型炭酸化装置と、流体を第1パイプおよび/または第2パイプにガイドするように構成される少なくとも1つの制御バルブとを有する炭酸化システムを開示する。制御部はソフトウェアが実行する組み込み型コンピュータであってよい。制御バルブはY型バルブであってよい。炭酸化制御部は、フロー型炭酸化システムの第1動作モードにおいて、炭酸化される飲料が第1パイプにガイドされるように、少なくとも1つの制御バルブを切り換え、炭酸化されない飲料が第2パイプにガイドされるように、少なくとも1つの制御バルブを切り換えるように構成される。
【0024】
炭酸化制御部は、第2動作モードにおいて、消毒流体を第2パイプを通るようにガイドするように、制御バルブを切り換えるように構成される。1つの実施形態において、消毒流体(液体)は、60℃〜99℃、好ましくは75℃〜85℃の間の範囲まで加熱される水であってよい。第2パイプを流れる熱流体は、細菌、ウイルスおよび病原体が死滅するように第1パイプ、乱流生成部材、その凹部および第1パイプの他の部材を加熱する。消毒流体および/または熱流体は、第1パイプが消毒および/または滅菌されるまで、第2パイプを流れてよい。その後、炭酸化制御部は、死滅した細菌、ウイルスまたは病原体などを除去するために、滅菌流体を第1パイプを通るようにガイドしてもよい。
【0025】
また、本発明は、上記フロー型炭酸化システムを有する飲料ディスペンサを開示する。飲料ディスペンサは、フロー型炭酸化装置を通る飲料の流れを制御するように構成される液体フローバルブおよび液体ポンプを有する。飲料ディスペンサは、飲料に二酸化炭素を供給するための気体インレット部への気体の流れを制御するように構成される気体バルブおよび気体ポンプをさらに有してよい。制御部は、液体フローバルブおよび/または液体ポンプと気体バルブおよび/または気体ポンプを制御するように構成されてよい。制御部は、フロー型炭酸化装置を通る飲料が流れる間に気体が気体インレット部に供給されるように、液体フローバルブおよび/または液体ポンプと気体バルブおよび/または気体ポンプを制御してよい。
【0026】
1つの実施形態において、気体インレット部は、気体を気体インレット部に注入するための少なくとも1つの第1気体インジェクタおよび第2気体インジェクタを有してよく、第1気体インジェクタは第1気体出力流を発生させ、第1気体インジェクタは第2気体出力流を発生させ、第2気体出力流は、第1気体流よりも少なくとも50%大きく、好ましくは70%大きく、より好ましくは80%〜120%の間で、最も好ましくは少なくとも80%大きい。これにより、液体に注入される気体の量を、より広範囲にわたって、炭酸化のための追加の処理時間を必要とすることなく制御できる。フロー型炭酸化装置は、
第1気体インジェクタおよび第2気体インジェクタを制御するように構成される炭酸化制御部をさらに有してよく、少量の気体を液体に供給すべき場合、第1気体インジェクタのみが動作され、中量の気体を液体に供給すべき場合、第2気体インジェクタのみが動作され、大量の気体を液体に供給すべき場合、前記第1気体インジェクタおよび前記第2気体インジェクタが動作される。中量の気体は少量の気体よりも多く、大量の気体は中量の気体よりも多いと理解されるべきである。液体に注入される二酸化炭素の量は第1および/または第2気体インジェクタの動作時間により制御されてもよい。
【0027】
好ましくは、飲料の流量は毎分1L未満、好ましくは毎分0.5L〜毎分1Lの間である。炭酸化される飲料が2℃の温度を有する場合、約5g/Lの二酸化炭素濃度を本炭酸化装置を用いて達成できる。炭酸化される飲料が8℃の温度を有する場合、約4g/Lの二酸化炭素濃度を本発明のフロー型炭酸化装置を用いて達成できる。これは約60%の効率に相当する。炭酸化装置を通して供給される飲料は約3bar〜約4barの圧力を有してよい。二酸化炭素タンクと第1気体インジェクタおよび/または第2気体インジェクタとの間に、減圧バルブ、特に調圧バルブを配置して、制御された範囲内で二酸化炭素の圧力を制御できる。第1および/または第2気体インジェクタのインレットにおける好ましい二酸化炭素圧力は約5bar〜約6barである。
【0028】
飲料ディスペンサは、気体注入部の下流かつ乱流装置の上流に設けられる調節装置をさらに有してよい。好ましくは、調節装置はフロー型調節装置である。調節装置内の液体流は層流ではなく蛇行形状を有し、これにより二酸化炭素気泡のサイズ低減を支援し、よって二酸化炭素が液体、例えば水に溶解するのを支援する。
【0029】
1つの実施形態において、注入気体の量は、乱流生成部材の構成に依存することなく、水中の所定の二酸化炭素濃度に応じて変わる時間期間にわたって気体インレット部の気体インジェクタを動作させることにより時間調整されてよい。
【0030】
また、本発明は、加圧された液体を供給する液体インレットと、炭酸化された液体を吐出する液体アウトレットと、液体インレットの下流に位置する気体インレット部と、気体が気体インレット部を流れると加圧された液体が流れる、気体インレット部の下流に位置する乱流部と、を有する代替のフロー型炭酸化装置(フロー型炭酸化部)を開示する。乱流部は、液体インレットと液体アウトレットと流体接続されている。乱流部は、外側パイプ部と内側パイプ部とを有する少なくとも1つの乱流部材を含む。外側パイプ部は、分割壁により部分的に閉止され、内側パイプ部は、部分的に開放される分割壁から延在する。内側パイプ部は、外側パイプ部内において延在する。内側パイプ部および外側パイプ部は、分割壁により接続される。凹部が、内側パイプ部の部分と外側パイプ部の部分との間に形成される。内側パイプ部および外側パイプ部は、液体インレットおよび液体アウトレットと流体接続されている。代替のフロー型炭酸化装置(部)は、上記フロー型炭酸化システムおよび/または飲料ディスペンサの一部であってよい。
【0031】
内側パイプ部は、分割壁から上流に、外側パイプ部により形成される凹部内に延在してよい。これにより、外側パイプ部により形成されるチェンバから流れる水が、外側パイプ部よりも小さい直径を有する内側パイプ部内へと形成される。本発明の発明者たちは、特定の理論に拘束されることを望むことなく、二酸化炭素気泡が外側パイプ部内へと上流に延在する内側パイプ部のオリフィスの縁で断片化され、液体に溶解することを想定している。
【0032】
使用中、飲料は内側パイプ部を通って外側パイプ部により形成されるチェンバ内へと流れる。これにより、内側パイプ部により注入される液体の一部は、内側パイプ部、外側パイプ部および分割壁の間に形成される凹部にガイドされる。本発明の発明者たちは、特定の理論に拘束されることを望むことなく、外側パイプ部により形成されるチェンバ内へ突出する内側パイプ部のオリフィスの縁で二酸化炭素気泡が断片化され、より効率的に飲料に溶解することを想定している。
【0033】
内側パイプ部は、分割壁内へと下流に、外側パイプ部により形成される凹部内に延在してよい。さらに、内側パイプ部の周りの凹部は乱流を発生させ、二酸化炭素が液体に溶解するのを支援する。
【0034】
外側パイプ部は、外側パイプ部が、飲料が内側パイプ部から流入し、かつ/または飲料がそこから内側パイプ部内へ流れる場合があるチェンバを形成してよいように、分離壁から内側パイプ部よりもさらに延在する。
【0035】
1つの実施形態において、乱流部は、直列接続された複数の乱流部材を有する。飲料は、液体インレットから複数の乱流部材を通って、直列フロー接続している液体アウトレットへと流れる。
【0036】
乱流部の部分において、2つの隣接する乱流部材の分割壁は、互いに隣接して位置してよい。乱流部の他の部分において、2つの隣接する乱流部材の外側パイプ部の端部は互いに隣接して位置してよく、内側パイプ部の端部は互いに面する。2つの外側パイプ部は、2つの内側パイプ部がチェンバの相対する側において各分割壁からその中に延在するチェンバを形成する。
【0037】
外側パイプ部と乱流部材の分割壁は円筒を形成し、内側パイプ部は分割壁において開口部を形成する。
【0038】
乱流部は、乱流部のインレットおよび乱流部のアウトレットと直列フロー接続された複数のチェンバを有する。チェンバは外側パイプ部により形成される。チェンバは分割壁により分離される。各内側パイプ部は分割壁を通って隣接するチェンバ内に延在する。凹部は、外側パイプ部内に延在する内側パイプ部の周りに形成される。複数のチェンバおよび内側パイプ部は直列流体接続で設けられるため、フロー型炭酸化装置の効率は著しく上昇する。1つの実施形態において、3〜4個のチェンバが好ましい。一般に、5個目のチェンバにより、達成される水の二酸化炭素濃度は著しく上昇しない。
【0039】
互いに面して対向する内側パイプ部の2つのオリフィス間の距離は、外側パイプ部内の内径の約50%〜約150%、好ましくは約70%〜約125%、より好ましくは約100%〜約120%に相当してよい。互いに面して対向する内側パイプ部の2つのオリフィス間の距離は、第1チェンバに延在する第1内側パイプ部と、第1チェンバに隣接する第2チェンバに延在する第2内側パイプ部とにより形成される流路の長さの約50%〜約150%、好ましくは約75%〜約125%、より好ましくは約85%〜約115%に相当してよい。内側パイプ部の直径は、外側パイプ部の直径の約5%〜約30%、好ましくは約10%〜約25%、より好ましくは約15%〜約20%に相当してよい。内側パイプ部の壁の厚さは、内側パイプ部の直径の約50%〜約100%、好ましくは約65%〜約85%、より好ましくは約70%〜約75%に相当してよい。内側パイプ部は、分割壁からチェンバ内へ、内側パイプの直径の約50%〜約400%、好ましくは約100%〜約300%、より好ましくは約150%〜約250%延在してよい。
【0040】
内側パイプ部はオリフィスで鋭く縁付けられる必要がある。好ましくは、内側パイプ部のオリフィスはドリル加工により製造される。
【0041】
互いに面して対向する内側パイプ部の2つのオリフィス間の距離は、約3.5mm〜約12mm、好ましくは約4.5mm〜約10mm、より好ましくは約6mm〜約8mmの範囲である。第1チェンバに延在する第1内側パイプ部と、第1チェンバに隣接する第2チェンバに延在する第2内側パイプ部とにより形成される流路の長さは、約3.5mm〜約12mm、好ましくは約4.5mm〜約10mm、より好ましくは約6mm〜約8mmの範囲である。内側パイプ部の直径は、約0.5mm〜約3mm、好ましくは約0.7mm〜約2mm、より好ましくは約1mm〜約1.5mmの範囲である。内側パイプ部の壁の厚さは、約0.3mm〜約1.5mm、好ましくは約0.5mm〜約1mm、より好ましくは約0.7mm〜約0.8mmの範囲である。内側パイプ部は、分割壁からチェンバ内へ、約1mm〜約3mm、好ましくは約1.5mm〜約2.5mm、より好ましくは約1.7mm〜約2.2mm延在してよい。外側パイプ部の内径は、約4mm〜約10mm、好ましくは約4mm〜約8mm、より好ましくは約5mm〜約7mmの範囲である。