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特開2021-14270改善された消毒特性を有するフロー型炭酸化装置およびそのような装置を有する飲料ディスペンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-14270(P2021-14270A)
(43)【公開日】2021年2月12日
(54)【発明の名称】改善された消毒特性を有するフロー型炭酸化装置およびそのような装置を有する飲料ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/07 20060101AFI20210115BHJP
【FI】
   B67D1/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-128199(P2019-128199)
(22)【出願日】2019年7月10日
(71)【出願人】
【識別番号】519244588
【氏名又は名称】リップラップ カンパニー ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】RIPRUP Company S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ドクター ビッセン モニーク
(72)【発明者】
【氏名】シュッカー ヨーゼフ
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082BB02
3E082BB04
3E082FF01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改善された効率性を有するフロー型炭酸化装置を有する飲料ディスペンサを提供する。
【解決手段】本発明は、炭酸化される飲料と二酸化炭素が流れる第1パイプ216と炭酸化されない飲料が流れる第2パイプ214と、を備え、少なくとも1つの乱流生成部材が第1パイプに設けられ第1および第2パイプが、第1パイプを滅菌するために第2パイプを流れる流体からの熱が第1パイプを加熱するように、熱接続されている、フロー型炭酸化装置を開示する。1つの実施形態において、第1および第2パイプは同心状に設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐炭酸化される飲料と二酸化炭素が流れる第1パイプと;
‐炭酸化されない飲料が流れる第2パイプと、を備え、
‐少なくとも1つの乱流生成部材が前記第1パイプに設けられ;
‐前記第1パイプおよび前記第2パイプが、前記第2パイプを流れる流体からの熱が前記第1パイプを加熱するように、熱接続されている、フロー型炭酸化装置。
【請求項2】
前記第1パイプおよび前記第2パイプが同心状に設けられる、請求項1に記載のフロー型炭酸化装置。
【請求項3】
前記第1パイプが前記第2パイプの周囲に設けられる、請求項1または2に記載のフロー型炭酸化装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの乱流生成部材が前記第1パイプの断面を縮小させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロー型炭酸化装置。
【請求項5】
‐複数の乱流生成部材が前記第1パイプの飲料の流れ方向に直列に離間して設けられ;
‐複数の乱流生成開口部が前記乱流生成部材に径方向に離間して設けられる、
のうちの少なくとも1つを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフロー型炭酸化装置。
【請求項6】
複数の乱流生成開口部が前記乱流生成部材の周囲の周りに離間して設けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフロー型炭酸化装置。
【請求項7】
前記乱流生成部材はその外周において全般的に円状の断面を有し、少なくとも1つの乱流生成開口部は前記乱流生成部材の外周における少なくとも1つの凹部により形成される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフロー型炭酸化装置。
【請求項8】
前記凹部が前記乱流生成部材の前記全般的に円状の断面の平坦部により形成される、請求項7に記載のフロー型炭酸化装置。
【請求項9】
前記凹部が、前記第1パイプの半径に直交する第1壁と前記第1壁に垂直な少なくとも1つの第2壁とにより形成される、請求項8に記載のフロー型炭酸化装置。
【請求項10】
複数の乱流生成部材が直列関係で設けられ、対向する前記乱流生成部材、前記第2パイプの外側円筒壁および前記第1パイプの内側円筒壁の間に乱流チェンバを形成する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフロー型炭酸化装置。
【請求項11】
‐直列関係で設けられる2つの乱流生成部材間の前記第1パイプの軸方向の距離は、前記第1パイプの軸方向の前記乱流生成部材の厚さの少なくとも2倍であり;
‐直列関係で設けられる2つの乱流生成部材間の前記第1パイプの軸方向の距離は、前記第1パイプの軸方向の前記乱流生成部材の厚さの約2倍から約3倍の間の範囲であり;
‐直列関係で設けられる2つの乱流生成部材間の前記第1パイプの軸方向の距離は、前記第1パイプの内径と前記第2パイプの外径の差の少なくとも2倍であり;
‐直列関係で設けられる2つの乱流生成部材間の前記第1パイプの軸方向の距離は、前記第1パイプの内径と前記第2パイプの外径の差の約2倍〜約3倍であり;
‐前記第1パイプの半径に直交する前記乱流生成部材の前記凹部の幅は、前記第1パイプの軸方向の前記乱流生成部材の厚さの約75%〜約125%の間の範囲であり;
‐前記第1パイプの径方向の前記凹部の最大高さは、前記第1パイプの軸方向の前記乱流生成部材の厚さの約0.5%〜約1.5%の間の範囲である、
のうちの少なくとも1つを特徴とする、請求項10に記載のフロー型炭酸化装置。
【請求項12】
フロー型炭酸化システムにおいて、
‐炭酸化制御部と;
‐請求項1〜11のいずれか1項に記載のフロー型炭酸化装置と;
‐流体を前記第1パイプおよび/または第2パイプにガイドするように構成される少なくとも1つの制御バルブと、を備え、
前記炭酸化制御部は、前記フロー型炭酸化システムの第1動作モードにおいて、炭酸化される飲料が前記第1パイプにガイドされ、炭酸化されない飲料が前記第2パイプにガイドされるように、前記少なくとも1つの制御バルブを切り換えるように構成され、前記炭酸化制御部は、第2動作モードにおいて、消毒流体を前記第2パイプを通るようにガイドするように、前記制御バルブを切り換えるように構成される、フロー型炭酸化システム。
【請求項13】
請求項12に記載のフロー型炭酸化システムを備える飲料ディスペンサにおいて、
‐前記フロー型炭酸化システムを通る飲料の流れを制御するように構成される少なくとも1つの液体フローバルブおよび液体ポンプと;
‐飲料に二酸化炭素を供給するための気体インレット部への気体の流れを制御するように構成される少なくとも1つの気体バルブおよび気体ポンプと;
‐前記少なくとも1つの液体フローバルブおよび液体ポンプと前記少なくとも1つの気体バルブおよび気体ポンプを制御するように構成される制御部であって、前記制御部は、前記フロー型炭酸化システムを通る飲料が流れる間に気体が前記気体インレット部に供給されるように、前記少なくとも1つの液体フローバルブおよび液体ポンプと前記少なくとも1つの気体バルブおよび気体ポンプを制御する、前記制御部と、
をさらに備える、飲料ディスペンサ。
【請求項14】
前記気体インレット部は第1および第2気体インジェクタを有し、前記炭酸化制御部は前記第1気体インジェクタおよび前記第2気体インジェクタを制御するように構成され、少量の気体を液体に供給すべき場合、前記第1気体インジェクタのみが動作され、中量の気体を液体に供給すべき場合、前記第2気体インジェクタのみが動作され、大量の気体を液体に供給すべき場合、前記第1気体インジェクタおよび前記第2気体インジェクタが動作される、請求項13に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項15】
前記気体注入部の下流かつ前記乱流装置の上流に設けられる調節装置をさらに備える、請求項14に記載の飲料ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された消毒特性を有するフロー型炭酸化装置およびそのようなフロー型炭酸化装置を有する飲料ディスペンサに関する。飲料ディスペンサは飲料、例えば水をユーザのグラスまたはボトルに吐水する。ユーザの中には炭酸飲料、例えば炭酸水を好む人たちがいる。水は蛇口、タンク、または缶から水ディスペンサに炭酸化されていない状態で供給されるため、飲料ディスペンサは炭酸飲料を吐出する炭酸化装置を有する必要がある。
【背景技術】
【0002】
相当数の飲料ディスペンサは、水が炭酸化されるタンクを有する。水はこのタンク内で相当な時間の間滞留しなければならない。一般に滞留が望ましくないのは、滞留中に細菌が発生する場合があるからである。
【0003】
二酸化炭素流が水流に導入される、ベンチュリノズルに基づくフロー型炭酸化が知られている。
【0004】
国際特許出願公開第2012/123462A1号公報(特許文献1)は、フロー型炭酸化システムを開示している。
【0005】
欧州特許出願公開第0322925A2号公報(特許文献2)は、気体を液体に注入するノズルを開示している。
【0006】
先行技術のフロー型炭酸水化装置は、比較的低い効率性を有する。さらに、先行技術のフロー型炭酸化装置は消毒に時間を要するのは、ベンチュリノズルが消毒流体に高い流れ抵抗を与えるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際特許出願公開第2012/123462A1号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第0322925A2号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、改善された効率性を有するフロー型炭酸化装置、および効率的に消毒するそのような装置を有する飲料ディスペンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は請求項1のフロー型炭酸化装置、請求項12のフロー型炭酸化システムおよび請求項13の飲料ディスペンサにより達成される。
【0010】
本発明は、第1パイプと第2パイプとを有するフロー型炭酸化装置を開示する。炭酸化される飲料と二酸化炭素は第1パイプを流れる。炭酸化されない飲料は第2パイプを流れる。少なくとも1つの乱流生成部材が第1パイプに設けられる。乱流生成部材は二酸化炭素が飲料に溶解するのを支援する。乱流生成部材は、二酸化炭素が飲料中により高い濃度で溶解するように、二酸化炭素の気泡をより小さい気泡に分割してよい。1つの実施形態において、飲料は水であってよい。第1および第2パイプは、第2パイプを流れる流体(液体)からの熱が第1パイプを加熱するように、熱接続されている。
【0011】
フロー型炭酸化装置は効率的に消毒されうるのは、熱水が第2パイプを通されてよく、それにより第2パイプ、第1パイプ、および少なくとも1つの乱流生成部材が、細菌、ウイルスまたは病原体が死滅するように加熱されるためである。1つの実施形態において、約60℃〜99℃の温度を有する流体(液体)は、第2パイプを5分未満の時間間隔で約50℃以上に加熱できる。
【0012】
さらに、第2パイプは炭酸化されない飲料、例えばコーヒーもしくは茶を淹れるための水または無炭酸水を運んでよい。炭酸化されない飲料が少なくとも1つの乱流生成部材を通らない場合、飲料はより迅速に、より低いポンプ能力で分配されてよいのは、第1パイプの乱流生成部材が第1パイプを流れる飲料に流れ抵抗を与えないからである。
【0013】
第1および第2パイプは同心状に設けられてよい。この構成により好適な熱接続を確実にし、所要空間が低減される。
【0014】
1つの実施形態において、第1パイプは第2パイプの周囲に設けられる。しかし、第2パイプが第1パイプの周囲に設けられることも考えられる。好ましくは、第1パイプを第2パイプの周囲に設け、より多くの乱流生成部材および/または乱流生成部材のより大きな流れ制限領域および/またはより多くの乱流生成開口部を第1パイプの飲料の流れに位置させる。
【0015】
少なくとも1つの乱流生成部材が第1パイプの断面を縮小させる。これにより、乱流生成部材を通るときに飲料の圧力が増加することで、二酸化炭素気泡が分割され、より効率的に飲料に溶解する。
【0016】
複数の乱流生成部材が第1パイプの飲料の流れ方向に直列に離間して設けられてよい。代替として、または追加として、複数の乱流生成開口部が乱流生成部材に径方向に離間して設けられる。
【0017】
好ましい実施形態において、複数の乱流生成開口部が乱流生成部材の周囲の周りに離間して設けられる。これにより、飲料の流れは第1パイプの外側部へと押し込まれ、乱流生成部材間のスペースは乱流流れを有する乱流チェンバを形成し、二酸化炭素の気泡はさらに分割され、飲料に溶解する。
【0018】
1つの実施形態において、乱流生成部材はその外周において全般的に円状の断面を有する。乱流生成部材の断面は、第1パイプの軸方向および第1パイプの飲料の流れ方向に垂直に設けられる。少なくとも1つの乱流生成開口部は、乱流生成部材の外周における少なくとも1つの凹部により形成される。これにより、飲料の流れは第1パイプの外側部へと押し込まれ、乱流生成部材間のスペースは乱流チェンバを形成する。二酸化炭素気泡は凹部の縁で分割され、乱流チェンバの飲料に溶解する。
【0019】
1つの実施形態において、凹部は乱流生成部材の全般的に円状の断面の平坦部により形成されてよい。乱流生成部材は、乱流生成部材の外周における少なくとも1つの凹部を除いて、第2パイプの外壁と第1パイプの内壁の間のあらゆる流体の流れを妨げる。
【0020】
1つの実施形態において、凹部は、第1パイプの半径に直交する第1壁と第1壁に垂直な少なくとも1つの第2壁とにより形成されてよい。
【0021】
1つの実施形態において、複数の乱流生成部材が直列関係で設けられ、対向する乱流生成部材、第2パイプの外側円筒壁および第1パイプの内側円筒壁の間に乱流チェンバを形成する。
【0022】
直列関係で設けられる2つの乱流生成部材間の第1パイプの軸方向の距離は、第1パイプの軸方向の乱流生成部材の厚さの少なくとも2倍であってよい。直列関係で設けられる2つの乱流生成部材間の第1パイプの軸方向の距離は、第1パイプの軸方向の乱流生成部材の厚さの約2倍から約3倍の間の範囲であってよい。直列関係で設けられる2つの乱流生成部材間の第1パイプの軸方向の距離は、第1パイプの内径と第2パイプの外径の差の少なくとも2倍である。直列関係で設けられる2つの乱流生成部材間の第1パイプの軸方向の距離は、第1パイプの内径と第2パイプの外径の差の約2倍〜約3倍である。第1パイプの半径に直交する乱流生成部材の凹部の幅は第1パイプの軸方向の乱流生成部材の厚さの約75%〜約125%の間の範囲である。第1パイプの径方向の凹部の最大高さは、第1パイプの軸方向の乱流生成部材の厚さの約0.5%〜約1.5%の間の範囲である。
【0023】
また、本発明は、炭酸化制御部と、上記フロー型炭酸化装置と、流体を第1パイプおよび/または第2パイプにガイドするように構成される少なくとも1つの制御バルブとを有する炭酸化システムを開示する。制御部はソフトウェアが実行する組み込み型コンピュータであってよい。制御バルブはY型バルブであってよい。炭酸化制御部は、フロー型炭酸化システムの第1動作モードにおいて、炭酸化される飲料が第1パイプにガイドされるように、少なくとも1つの制御バルブを切り換え、炭酸化されない飲料が第2パイプにガイドされるように、少なくとも1つの制御バルブを切り換えるように構成される。
【0024】
炭酸化制御部は、第2動作モードにおいて、消毒流体を第2パイプを通るようにガイドするように、制御バルブを切り換えるように構成される。1つの実施形態において、消毒流体(液体)は、60℃〜99℃、好ましくは75℃〜85℃の間の範囲まで加熱される水であってよい。第2パイプを流れる熱流体は、細菌、ウイルスおよび病原体が死滅するように第1パイプ、乱流生成部材、その凹部および第1パイプの他の部材を加熱する。消毒流体および/または熱流体は、第1パイプが消毒および/または滅菌されるまで、第2パイプを流れてよい。その後、炭酸化制御部は、死滅した細菌、ウイルスまたは病原体などを除去するために、滅菌流体を第1パイプを通るようにガイドしてもよい。
【0025】
また、本発明は、上記フロー型炭酸化システムを有する飲料ディスペンサを開示する。飲料ディスペンサは、フロー型炭酸化装置を通る飲料の流れを制御するように構成される液体フローバルブおよび液体ポンプを有する。飲料ディスペンサは、飲料に二酸化炭素を供給するための気体インレット部への気体の流れを制御するように構成される気体バルブおよび気体ポンプをさらに有してよい。制御部は、液体フローバルブおよび/または液体ポンプと気体バルブおよび/または気体ポンプを制御するように構成されてよい。制御部は、フロー型炭酸化装置を通る飲料が流れる間に気体が気体インレット部に供給されるように、液体フローバルブおよび/または液体ポンプと気体バルブおよび/または気体ポンプを制御してよい。
【0026】
1つの実施形態において、気体インレット部は、気体を気体インレット部に注入するための少なくとも1つの第1気体インジェクタおよび第2気体インジェクタを有してよく、第1気体インジェクタは第1気体出力流を発生させ、第1気体インジェクタは第2気体出力流を発生させ、第2気体出力流は、第1気体流よりも少なくとも50%大きく、好ましくは70%大きく、より好ましくは80%〜120%の間で、最も好ましくは少なくとも80%大きい。これにより、液体に注入される気体の量を、より広範囲にわたって、炭酸化のための追加の処理時間を必要とすることなく制御できる。フロー型炭酸化装置は、
第1気体インジェクタおよび第2気体インジェクタを制御するように構成される炭酸化制御部をさらに有してよく、少量の気体を液体に供給すべき場合、第1気体インジェクタのみが動作され、中量の気体を液体に供給すべき場合、第2気体インジェクタのみが動作され、大量の気体を液体に供給すべき場合、前記第1気体インジェクタおよび前記第2気体インジェクタが動作される。中量の気体は少量の気体よりも多く、大量の気体は中量の気体よりも多いと理解されるべきである。液体に注入される二酸化炭素の量は第1および/または第2気体インジェクタの動作時間により制御されてもよい。
【0027】
好ましくは、飲料の流量は毎分1L未満、好ましくは毎分0.5L〜毎分1Lの間である。炭酸化される飲料が2℃の温度を有する場合、約5g/Lの二酸化炭素濃度を本炭酸化装置を用いて達成できる。炭酸化される飲料が8℃の温度を有する場合、約4g/Lの二酸化炭素濃度を本発明のフロー型炭酸化装置を用いて達成できる。これは約60%の効率に相当する。炭酸化装置を通して供給される飲料は約3bar〜約4barの圧力を有してよい。二酸化炭素タンクと第1気体インジェクタおよび/または第2気体インジェクタとの間に、減圧バルブ、特に調圧バルブを配置して、制御された範囲内で二酸化炭素の圧力を制御できる。第1および/または第2気体インジェクタのインレットにおける好ましい二酸化炭素圧力は約5bar〜約6barである。
【0028】
飲料ディスペンサは、気体注入部の下流かつ乱流装置の上流に設けられる調節装置をさらに有してよい。好ましくは、調節装置はフロー型調節装置である。調節装置内の液体流は層流ではなく蛇行形状を有し、これにより二酸化炭素気泡のサイズ低減を支援し、よって二酸化炭素が液体、例えば水に溶解するのを支援する。
【0029】
1つの実施形態において、注入気体の量は、乱流生成部材の構成に依存することなく、水中の所定の二酸化炭素濃度に応じて変わる時間期間にわたって気体インレット部の気体インジェクタを動作させることにより時間調整されてよい。
【0030】
また、本発明は、加圧された液体を供給する液体インレットと、炭酸化された液体を吐出する液体アウトレットと、液体インレットの下流に位置する気体インレット部と、気体が気体インレット部を流れると加圧された液体が流れる、気体インレット部の下流に位置する乱流部と、を有する代替のフロー型炭酸化装置(フロー型炭酸化部)を開示する。乱流部は、液体インレットと液体アウトレットと流体接続されている。乱流部は、外側パイプ部と内側パイプ部とを有する少なくとも1つの乱流部材を含む。外側パイプ部は、分割壁により部分的に閉止され、内側パイプ部は、部分的に開放される分割壁から延在する。内側パイプ部は、外側パイプ部内において延在する。内側パイプ部および外側パイプ部は、分割壁により接続される。凹部が、内側パイプ部の部分と外側パイプ部の部分との間に形成される。内側パイプ部および外側パイプ部は、液体インレットおよび液体アウトレットと流体接続されている。代替のフロー型炭酸化装置(部)は、上記フロー型炭酸化システムおよび/または飲料ディスペンサの一部であってよい。
【0031】
内側パイプ部は、分割壁から上流に、外側パイプ部により形成される凹部内に延在してよい。これにより、外側パイプ部により形成されるチェンバから流れる水が、外側パイプ部よりも小さい直径を有する内側パイプ部内へと形成される。本発明の発明者たちは、特定の理論に拘束されることを望むことなく、二酸化炭素気泡が外側パイプ部内へと上流に延在する内側パイプ部のオリフィスの縁で断片化され、液体に溶解することを想定している。
【0032】
使用中、飲料は内側パイプ部を通って外側パイプ部により形成されるチェンバ内へと流れる。これにより、内側パイプ部により注入される液体の一部は、内側パイプ部、外側パイプ部および分割壁の間に形成される凹部にガイドされる。本発明の発明者たちは、特定の理論に拘束されることを望むことなく、外側パイプ部により形成されるチェンバ内へ突出する内側パイプ部のオリフィスの縁で二酸化炭素気泡が断片化され、より効率的に飲料に溶解することを想定している。
【0033】
内側パイプ部は、分割壁内へと下流に、外側パイプ部により形成される凹部内に延在してよい。さらに、内側パイプ部の周りの凹部は乱流を発生させ、二酸化炭素が液体に溶解するのを支援する。
【0034】
外側パイプ部は、外側パイプ部が、飲料が内側パイプ部から流入し、かつ/または飲料がそこから内側パイプ部内へ流れる場合があるチェンバを形成してよいように、分離壁から内側パイプ部よりもさらに延在する。
【0035】
1つの実施形態において、乱流部は、直列接続された複数の乱流部材を有する。飲料は、液体インレットから複数の乱流部材を通って、直列フロー接続している液体アウトレットへと流れる。
【0036】
乱流部の部分において、2つの隣接する乱流部材の分割壁は、互いに隣接して位置してよい。乱流部の他の部分において、2つの隣接する乱流部材の外側パイプ部の端部は互いに隣接して位置してよく、内側パイプ部の端部は互いに面する。2つの外側パイプ部は、2つの内側パイプ部がチェンバの相対する側において各分割壁からその中に延在するチェンバを形成する。
【0037】
外側パイプ部と乱流部材の分割壁は円筒を形成し、内側パイプ部は分割壁において開口部を形成する。
【0038】
乱流部は、乱流部のインレットおよび乱流部のアウトレットと直列フロー接続された複数のチェンバを有する。チェンバは外側パイプ部により形成される。チェンバは分割壁により分離される。各内側パイプ部は分割壁を通って隣接するチェンバ内に延在する。凹部は、外側パイプ部内に延在する内側パイプ部の周りに形成される。複数のチェンバおよび内側パイプ部は直列流体接続で設けられるため、フロー型炭酸化装置の効率は著しく上昇する。1つの実施形態において、3〜4個のチェンバが好ましい。一般に、5個目のチェンバにより、達成される水の二酸化炭素濃度は著しく上昇しない。
【0039】
互いに面して対向する内側パイプ部の2つのオリフィス間の距離は、外側パイプ部内の内径の約50%〜約150%、好ましくは約70%〜約125%、より好ましくは約100%〜約120%に相当してよい。互いに面して対向する内側パイプ部の2つのオリフィス間の距離は、第1チェンバに延在する第1内側パイプ部と、第1チェンバに隣接する第2チェンバに延在する第2内側パイプ部とにより形成される流路の長さの約50%〜約150%、好ましくは約75%〜約125%、より好ましくは約85%〜約115%に相当してよい。内側パイプ部の直径は、外側パイプ部の直径の約5%〜約30%、好ましくは約10%〜約25%、より好ましくは約15%〜約20%に相当してよい。内側パイプ部の壁の厚さは、内側パイプ部の直径の約50%〜約100%、好ましくは約65%〜約85%、より好ましくは約70%〜約75%に相当してよい。内側パイプ部は、分割壁からチェンバ内へ、内側パイプの直径の約50%〜約400%、好ましくは約100%〜約300%、より好ましくは約150%〜約250%延在してよい。
【0040】
内側パイプ部はオリフィスで鋭く縁付けられる必要がある。好ましくは、内側パイプ部のオリフィスはドリル加工により製造される。
【0041】
互いに面して対向する内側パイプ部の2つのオリフィス間の距離は、約3.5mm〜約12mm、好ましくは約4.5mm〜約10mm、より好ましくは約6mm〜約8mmの範囲である。第1チェンバに延在する第1内側パイプ部と、第1チェンバに隣接する第2チェンバに延在する第2内側パイプ部とにより形成される流路の長さは、約3.5mm〜約12mm、好ましくは約4.5mm〜約10mm、より好ましくは約6mm〜約8mmの範囲である。内側パイプ部の直径は、約0.5mm〜約3mm、好ましくは約0.7mm〜約2mm、より好ましくは約1mm〜約1.5mmの範囲である。内側パイプ部の壁の厚さは、約0.3mm〜約1.5mm、好ましくは約0.5mm〜約1mm、より好ましくは約0.7mm〜約0.8mmの範囲である。内側パイプ部は、分割壁からチェンバ内へ、約1mm〜約3mm、好ましくは約1.5mm〜約2.5mm、より好ましくは約1.7mm〜約2.2mm延在してよい。外側パイプ部の内径は、約4mm〜約10mm、好ましくは約4mm〜約8mm、より好ましくは約5mm〜約7mmの範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下、本発明を、本発明の限定的でない実施形態を示す添付の図面を参照して、さらに詳細に説明する。
図1図1は、飲料ディスペンサの構成要素の概略図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態による乱流装置の概略断面図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態による乱流生成部材の概略断面図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態による乱流装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明を用いた飲料ディスペンサ100の概略図を示す図1を参照する。本発明は水ディスペンサ100を参照して記載されるが、本発明はいかなるタイプの飲料ディスペンサにも適用可能であると理解されるべきである。参照符号102は水源を示す。水源は蛇口、タンク、または缶などである。水源102はパイプ104によりポンプ106と接続される。ポンプ106は、約3bar〜約4barの圧力を有する水を、気体インレット部110と接続されるパイプ108に供給する。気体インレット部110は、第1気体インジェクタ124と第2気体インジェクタ126とを含む。第2気体インジェクタ126は、第1気体インジェクタと比較して約2倍の二酸化炭素を、気体インレット部を流れる水に供給できる。
【0044】
第2気体インジェクタ126の開口部は、第1気体インジェクタ124の開口部よりも大きい面積を有してよい。第2気体インジェクタ126の開口部の面積は、第1気体インジェクタ124の開口部の面積の2倍の大きさであってよい。第2気体インジェクタ126の開口部の面積は、第1気体インジェクタ124の開口部の面積よりも、少なくとも50%大きく、好ましくは70%大きく、より好ましくは80%〜120%大きく、最も好ましくは少なくとも80%大きくてよい。
【0045】
水ディスペンサ100は、パイプ114により減圧バルブまたは調圧バルブ116と接続される二酸化炭素ボトル112を有する。減圧バルブ116は、約5bar〜約6barの圧力を有する二酸化炭素を、パイプ118に供給する。パイプ118は、第1インジェクタ供給パイプ120と第1インジェクタ供給パイプ122に分岐する。第1インジェクタ供給パイプ120は第1気体インジェクタ124と接続され、第2インジェクタ供給パイプ122は第2気体インジェクタ126と接続される。
【0046】
気体インレット部110は、任意パイプ113により調節装置128、言い換えると、冷却器128と接続される。水は、冷却器128内を、冷却部材131に隣接して通る蛇行形状パイプ134を通って流れる。冷却部材131は、パワーサプライ(パイプ)130,132と接続されるペルチエ素子を含んでよい。冷却部材131は、パイプ130により供給されパイプ132により吐出される冷媒が通る熱交換器であってもよい。調節された水は任意パイプ136を通って乱流部200へと出ていくが、乱流部200の第1実施形態による図2および3を参照して、乱流部300の第2実施形態による図4を参照してさらに詳細に説明される。
【0047】
乱流部200は、炭酸化された水をユーザの容器142に分配するノズル140が接続されるパイプ138に炭酸化された水を出力する、アウトレット208を含む。
【0048】
水ディスペンサ100は、パイプ108と洗浄剤装置109との間に設けられ、少なくとも70℃、好ましくは80℃、より好ましくは90℃の温度まで水を加熱するように構成されるフロー型加熱器107をさらに有する。水は、洗浄剤が洗浄剤装置109により付加されてよい滅菌流体として働く。そこから洗浄剤は、制御部150が飲料分配モードから洗浄モードへと水ディスペンサ100を切り換える場合、気体インレット部110、フロー型調節装置128へと下流に、乱流部200を通って流れ、これらの部材を滅菌する。
【0049】
乱流部200の第1および好ましい実施形態を示す図2および図3を参照する。乱流部200は、炭酸化される水が乱流部200に入る第1インレット206を有する。乱流部200は、炭酸化された水が乱流部200から出ていく第1アウトレット208を有する。さらに、乱流部200は、炭酸化されない水が入る第2インレット202と、炭酸化されない水が乱流部200から出ていく第2アウトレット204とを有する。
【0050】
第1インレット206と第1アウトレット208との間に、複数の乱流生成部材210a,210b,210c,210dが設けられる。複数の乱流生成部材210a,210b,210c,210dは、第2インレット202と第2アウトレット204との間に形成される第2パイプ214と一体化して形成される。乱流生成部材210a,210b,210c,210dの周りには、第1パイプ216が延在し、第1インレット206を第1アウトレット208と接続する。
【0051】
図2および図3に見ることができるように、乱流生成部材210a,210b,210c,210dは全般的に固く、第2パイプ214から第1パイプ216に延在する。全般的に円状の乱流生成部材210a,210b,210c,210dの外周に、複数の乱流生成開口部212a,212b,212c,212dが設けられる。乱流生成開口部212aは、乱流生成部材210aの周囲に沿って設けられてよい。図3に示される実施形態において、3個の乱流生成開口部212aが乱流生成部材210aの周囲に沿って(の周りに)設けられる。他の実施形態において、より多い乱流生成開口部またはより少ない乱流生成開口部、例えば2個の乱流生成開口部、4個の乱流生成開口部またはそれより多い乱流生成開口部が、乱流生成部材210aの周囲に沿って設けられてよい。
【0052】
図3に見ることができるように、各乱流生成開口部212a,212b,212c,212dは、乱流生成部材210a,210b,210c,210dの径方向に全般的に垂直に延在する第1部220を有してよい。乱流生成開口部212a,212b,212c,212dの第1部220に垂直に、第2部218が設けられてよい。
【0053】
図2に見ることができるように、複数の乱流生成部材210a,210b,210c,210dおよび/または複数の乱流生成開口部212a,212b,212c,212dが、直列関係で、図2の矢印により示される流れ方向に設けられてよい。乱流生成部材210a,210b,210c,210dは、離間されてよく、乱流チェンバ222a,222b,222c,222d,222eを乱流生成部材210aの前、乱流生成部材210a,210b,210c,210dの間および/または乱流生成部材210dの後で、炭酸化される水の流れ方向に形成する。特定の理論に拘束されることを望むことなく、本発明の発明者たちは、二酸化炭素気泡が乱流生成開口部212a,212b,212c,212dで分割され、水に溶解することを想定している。さらに、乱流生成開口部212a,212b,212c,212dにおいて、より高い圧力が生成される結果、二酸化炭素が飲料および水それぞれに溶解する。また、乱流チェンバ222a,222b,222c,222d,222eで生成される乱流により、飲料および水のそれぞれが二酸化炭素を溶解させることになる。
【0054】
乱流生成部材210a,210b,210c,210dの厚さは、約1mm〜約3mmの間の範囲であってよい。2つの乱流生成部材210a,210b,210c,210d間の距離は、3mm〜7mmの間の範囲であってよい。第1パイプ216の内径は7mm〜10mmの間の範囲であってよく、第2パイプの外径は4mm〜6mmの間の範囲であってよい。
【0055】
図2および図3による実施形態において、第1パイプ216および第2パイプ214は同心状に記載されている。この形態である必要はなく、第1パイプ216および第2パイプ214は、熱導体、例えば銅、または熱パイプなどの好適な手段により熱接続されてよい。
【0056】
乱流部200はバルブ224と接続される。バルブ224のインレット218は、フロー型水調節装置128から飲料および水をそれぞれ運ぶパイプ136と接続される。バルブ224は制御部150と動作接続される。制御部150が水は炭酸化されないと決定する場合、インレット218でバルブ224に入る水は、バルブ224の第2アウトレットパイプ230に通され、乱流部200の第2インレット202に入る。炭酸化されない水は、茶、コーヒーを入れるための水または無炭酸水であってよい。第2パイプ214を流れる水は、どの乱流部材も通過せず、二酸化炭素が第1および第2注入バルブ124、126により注入されない。したがって、水は炭酸化されずに第2アウトレット204を出ていき、ノズル140に入る。
【0057】
制御部150が水は炭酸化されると決定する場合、二酸化炭素が第1および/または第2注入バルブ124,126により注入される。さらに、バルブ224は、バルブ224のインレット218に入る飲料および水がそれぞれバルブ224の第1アウトレットパイプ240に通されるように切り替えられ、第1アウトレットパイプ240は乱流装置200の第1インレット206と接続される。飲料および水はそれぞれ、乱流生成開口部212a,212b,212c,212dをそれぞれ有する乱流生成部材210a,210b,210c,210dを通り、上記のように、二酸化炭素気泡が分割され、飲料および水にそれぞれ溶解する。
【0058】
消毒動作モードの第1ステップにおいて、制御部150は、熱水がバルブ224のインレット218から第2アウトレットパイプ230に流れるように、バルブ224を切り換えて、フロー型水加熱器107により加熱され、任意で洗浄剤分配器109により補われる水を第2パイプ214に通してよい。熱水は第2インレット202に入り、第2パイプ214と乱流生成部材210a,210b,210c,210d、したがって第1パイプ216も加熱する。よって、乱流部材200は効果的に消毒および/または滅菌される。すべての細菌が乱流チェンバ222a,222b,222c,222d,222eと乱流開口部212a,212b,212c,212dにおいて死滅したらすぐ、制御部150は、熱水がバルブ224のインレット218から第1パイプアウトレット240へ、したがって第1インレット206に流れ、死滅した細菌、病原体およびウイルスを乱流チェンバ222a,222b,222c,222d,222eと乱流生成開口部212a,212b,212c,212dから除去するように、第2ステップでバルブ224を切り換えてよい。
【0059】
乱流部200の第1実施形態は、乱流チェンバ222a,222b,222c,222d,222eと乱流開口部212a,212b,212c,212dによるフロー型乱流部200により効果的なフロー型の炭酸化を可能にする。乱流生成開口部212a,212b,212c,212dは液体の流れを制限するが、乱流部200を効果的に消毒および/または滅菌できるのは、熱滅菌液体が第2インレット202と第2アウトレット204の間を通されてよいからであり、第2インレット202から第2アウトレット204へ流れる液体が乱流生成部材210a,210b,210c,210dおよび第1パイプ216と熱接続されているからである。
【0060】
本発明の第3実施形態による乱流部(フロー型炭酸化装置)300の概略断面図を示す図4を参照する。乱流部300は本質的に、複数の乱流部材306a〜306hの外側パイプ部308a〜308hにより形成される4個のチェンバ318a,318b,318c,318dを有する。
【0061】
第1チェンバ318a内に、第1乱流部材306aの内側パイプ部310aが延在する。外側パイプ部308aと内側パイプ部310aとの間に凹部314aが形成される。外側パイプ部308aと内側パイプ部310aとの間に分割壁316aが設けられる。外側パイプ部308aと分割壁316aは円筒を形成してよく、内側パイプ部310aは分割壁316aを通して延在する。内側パイプ部310aは流体流路を形成し、流体は内側パイプ部310aのオリフィス312aを通して第1チェンバ318aに入る。第1乱流部材306aの外側パイプ部308aは、下流方向に第1乱流部材306aの内側パイプ部310aとしてさらに延在する。流れ方向は図4の矢印により示される。
【0062】
第1乱流部材306aに隣接して第2乱流部材306bが位置する。第2乱流部材306bは第1乱流部材306aと本質的に同じ形状を有する。よって、簡潔のために、第2乱流部材は詳細に記載されない。また、第2乱流部材は、分割壁316bにより内側パイプ部310bと接続される外側パイプ部308bを有する。第2乱流部材306bは、第2乱流部材306bの内側パイプ部310bのオリフィス312bが第1乱流部材306aの内側パイプ部310aのオリフィス312aに面するように、乱流部300に設けられる。第2乱流部材306bの内側パイプ部310bは第1チェンバ318a内へと下流に延在する。
【0063】
流体は、第2乱流部材306bの内側パイプ部310bにおけるオリフィス312bを通して入る。外側パイプ部308bは、分割壁316bから下流方向に内側パイプ部310bとしてさらに延在する。第2乱流部材306bの外側パイプ部308bと内側パイプ部310bとの間に凹部314bが形成される。
【0064】
第1乱流部材306aと第2乱流部材306bの組み合わせは、1つの実施形態において、1個のチェンバ318aを有する乱流部を形成できる。
【0065】
効率を向上させるため、複数のチェンバ318a〜318dと複数の乱流部材306a〜306hは直列フロー接続で設けることができる。
【0066】
図4に開示される実施形態において、第2乱流部材306bに隣接して第3乱流部材306cが設けられる。第3乱流部材306cは第1乱流部材306aと本質的に同じ形状を有する。第3乱流部材306cの分割壁316cは、第2乱流部材306bの分割壁316bに隣接して(面して)設けられる。したがって、第3乱流部材の内側パイプ部310cは、第3乱流部材306cの外側パイプ部308cにより形成される第2チェンバ318b内へと下流に延在する。流体は、第2乱流部材の内側パイプ部310bと第3乱流部材306cの内側パイプ部310cにより形成される流路を通り、第3乱流部材306cの内側パイプ部310cのオリフィス312cを通して第2チェンバ318bに入る。外側パイプ部308cと内側パイプ部310cとの間に凹部314cが形成される。
【0067】
第3乱流部材306cに隣接して第4乱流部材306dが位置する。第4乱流部材306dは第1乱流部材306aと本質的に同じ形状を有する。よって、簡潔のために、第4乱流部材は詳細に記載されない。また、第4乱流部材306dは、分割壁316dにより内側パイプ部310dと接続される外側パイプ部308dを有する。第4乱流部材306dは、第4乱流部材306dの内側パイプ部310dのオリフィス312dが第3乱流部材306cの内側パイプ部310cのオリフィス312cに面するように、乱流部300に設けられる。第4乱流部材306dの内側パイプ部310dは第2チェンバ318b内へと下流に延在する。
【0068】
流体は、第2チェンバ318bから第4乱流部材306dの内側パイプ部310dにおけるオリフィス312dを通して入る。外側パイプ部308dは、分割壁316dから下流方向に内側パイプ部310dとしてさらに延在する。第4乱流部材306bの外側パイプ部308dと内側パイプ部310dとの間に凹部314dが形成される。
【0069】
第4乱流部材306dに隣接して第5乱流部材306eが設けられる。第5乱流部材306eは第1乱流部材306aと本質的に同じ形状を有する。第5乱流部材306eの分割壁316eは、第4乱流部材の分割壁316dに隣接して(面して)設けられる。したがって、第5乱流部材の内側パイプ部310eは、第5乱流部材306eの外側パイプ部308eにより形成される第3チェンバ318c内へと下流に延在する。流体は、第4乱流部材の内側パイプ部310dと第5乱流部材306eの内側パイプ部310eにより形成される流路を通り、第5乱流部材306eの内側パイプ部310eのオリフィス312eを通して第3チェンバ318cに入る。外側パイプ部308eと内側パイプ部310eとの間に凹部314eが形成される。
【0070】
第5乱流部材306eに隣接して第6乱流部材306fが位置する。第6乱流部材306fは第1乱流部材306aと本質的に同じ形状を有する。また、第6乱流部材306fは、分割壁316fにより内側パイプ部310fと接続される外側パイプ部308fを有する。第6乱流部材306fは、第6乱流部材306fの内側パイプ部310fのオリフィス312fが第5乱流部材306eの内側パイプ部310eのオリフィス312eに面するように、乱流部300に設けられる。第6乱流部材306fの内側パイプ部310fは第3チェンバ318c内へと下流に延在する。
【0071】
第6乱流部材306fに隣接して第7乱流部材306gが設けられる。第7乱流部材306gは第1乱流部材306aと本質的に同じ形状を有する。第7乱流部材306gの分割壁316gは、第6乱流部材の分割壁316fに隣接して(面して)設けられる。したがって、第7乱流部材の内側パイプ部310gは、第7乱流部材306gの外側パイプ部308gにより形成される第4チェンバ318d内へと下流に延在する。流体は、第6乱流部材306fの内側パイプ部310fと第7乱流部材306gの内側パイプ部310gにより形成される流路を通り、第7乱流部材306gの内側パイプ部310gのオリフィス312gを通して第4チェンバ318dに入る。外側パイプ部308gと内側パイプ部310gとの間に凹部314gが形成される。
【0072】
第7乱流部材306gに隣接して第8乱流部材306hが位置する。第8乱流部材306hは第1乱流部材306aと本質的に同じ形状を有する。また、第8乱流部材306hは、分割壁316hにより内側パイプ部310hと接続される外側パイプ部308hを有する。第8乱流部材306hは、第8乱流部材306hの内側パイプ部310hのオリフィス312hが第7乱流部材306gの内側パイプ部310gのオリフィス312gに面するように、乱流部300に設けられる。第8乱流部材306hの内側パイプ部310hは第4チェンバ318d内へと下流に延在する。
【0073】
互いに面して対向する内側パイプ部310a〜310hのオリフィス312a〜312h間の距離は、約3.5mm〜約12mm、好ましくは約4.5mm〜約10mm、より好ましくは約6mm〜約8mmの範囲である。上流チェンバ318a,318cに延在する第1内側パイプ部310a〜310hと、上流チェンバ318a,318cに隣接する下流チェンバ318b,318dに延在する第2内側パイプ部310a〜310hとにより形成される流路の長さは、約3.5mm〜約12mm、好ましくは約4.5mm〜約10mm、より好ましくは約6mm〜約8mmの範囲である。内側パイプ部310a〜310hの直径は、約0.5mm〜約3mm、好ましくは約0.7mm〜約2mm、より好ましくは約1mm〜約1.5mmの範囲である。内側パイプ部310a〜310hの壁の厚さは、約0.3mm〜約1.5mm、好ましくは約0.5mm〜約1mm、より好ましくは約0.7mm〜約0.8mmの範囲である。内側パイプ部310a〜310hは、分割壁316a〜316hからチェンバ内へ、約1mm〜約3mm、好ましくは約1.5mm〜約2.5mm、より好ましくは約1.7mm〜約2.2mm延在してよい。外側パイプ部308a〜308hの内径は、約4mm〜約10mm、好ましくは約4mm〜約8mm、より好ましくは約5mm〜約7mmの範囲である。
【0074】
以下、乱流部300の動作をさらに詳細に説明する。流体、この実施形態においては水と二酸化炭素を含む流体は、第1、第3、第5および第7乱流部材306a,306c,306e,306gのオリフィス312a,312c,312e,312gを通してそれぞれのチェンバ318a,318b,318c,318d内へ流れる。本発明の発明者たちは、特定の理論に拘束されることを望むことなく、オリフィス312a,312c,312e,312gで二酸化炭素気泡が分割され、分配され、水に溶解することを想定している。さらに、内側パイプ部310a,310c,310e,310gの周りの凹部314a,314c,314e,314gは、水が二酸化炭素を特に効率的に溶解させることができる流体の乱流を形成する。
【0075】
さらに、凹部314a,314c,314e,314gは、チェンバ318a,318b,318c,318dにおいて特別な乱流を生じさせ、二酸化炭素が水に溶解することに寄与する。
【0076】
流体は、それぞれ、第2、第4、第6および第8乱流部材306b,306d,306f,306hの内側パイプ部310b,310d,310f,310hのオリフィス312b,312d,312f,312hによりチェンバ318a,318b,318c,318dを出ていく。本発明の発明者たちは、オリフィス312b,312d,312f,312hの縁で二酸化炭素の気泡が分けられ、分割され、より効率的に水に溶解することを想定している。さらに、外側パイプ部308b,308d,308f,308hと内側パイプ部310b,310d,310f,310hとの間の凹部314b,314d,314f,314hは、チェンバ318a,318b,318c,318dにおいて流れの乱れを増加させ、炭酸化の効率性を増加させる。
【0077】
好ましくは、乱流部300を通る水の流量は毎分1L未満、好ましくは毎分0.5L〜毎分1Lの間である。炭酸化される水が2℃の温度を有する場合、5g/Lの二酸化炭素濃度を本炭酸化装置を用いて達成できる。水が8℃の温度を有する場合、4g/Lの二酸化炭素濃度を本発明のフロー型炭酸化装置を用いて達成できる。これは約60%の効率に相当する。気体インレット部110および/または乱流部300を通して供給される水は約3bar〜約4barの圧力を有してよい。
図1
図2
図3
図4