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特開2021-142874運転支援制御装置及び運転支援制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-142874(P2021-142874A)
(43)【公開日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】運転支援制御装置及び運転支援制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/16 20200101AFI20210827BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20210827BHJP
   B60W 40/09 20120101ALI20210827BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20210827BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20210827BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20210827BHJP
【FI】
   B60W50/16
   B60W30/10
   B60W40/09
   B60W50/14
   G01C21/34
   G08G1/0968 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-42653(P2020-42653)
(22)【出願日】2020年3月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩出 宰門
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠一
【テーマコード(参考)】
2F129
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB22
2F129BB26
2F129DD27
2F129DD57
2F129DD65
2F129EE02
2F129EE35
2F129EE70
2F129FF04
2F129FF07
2F129GG17
3D241BA11
3D241BA51
3D241BA59
3D241BB00
3D241CC17
3D241CD07
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DB05Z
3D241DB12Z
3D241DB20Z
3D241DC34Z
3D241DC57Z
3D241DC58Z
3D241DD11Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC24
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF12
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181LL09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】運転支援制御装置において、案内経路に沿った適切な運転操作を支援する。
【解決手段】運転支援装置100は、自車の現在の位置を取得する自車位置取得部10と、ナビゲーション装置200によって設定された、自車を誘導する案内経路を取得する案内経路取得部20と、自車位置取得部10により取得された自車の現在の位置と、案内経路取得部20により取得された案内経路とに基づいて、案内経路とは異なる別経路に対応したステアリング部410への操作に対して負荷を掛ける負荷信号を出力するステアリング負荷設定部30と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の現在の位置を取得する自車位置取得部と、
前記自車を誘導する案内経路を取得する案内経路取得部と、
前記自車位置取得部により取得された前記自車の現在の位置と、前記案内経路取得部により取得された前記案内経路とに基づいて、前記案内経路とは異なる別経路に対応する、前記自車のステアリング部への操作に対して負荷を掛ける負荷信号を出力するステアリング負荷設定部と、を備えた運転支援制御装置。
【請求項2】
前記ステアリング負荷設定部は、前記ステアリング部に対して加えられた運転者による操作力を検出するステアリング操作力検出部を備え、
前記ステアリング操作力検出部が、前記ステアリング負荷設定部により出力された前記負荷信号により前記ステアリング部に掛けられた負荷を超える操作力を検出したときは、前記ステアリング負荷設定部は、前記負荷を解除するように、前記負荷信号の出力を停止する請求項1に記載の運転支援制御装置。
【請求項3】
前記自車位置取得部により取得された前記自車の現在の位置が、前記案内経路取得部により取得された前記案内経路における直近の交差点から所定の距離より手前にあって、かつ前記案内経路に従うと前記交差点を直進することとなるときは、前記ステアリング負荷設定部は、前記ステアリング部に対して、右方向への操舵及び左方向への操舵のそれぞれに対して負荷を掛けるような負荷信号を出力する請求項1又は2に記載の運転支援制御装置。
【請求項4】
前記自車位置取得部により取得された前記自車の現在の位置が、前記案内経路取得部により取得された前記案内経路における直近の交差点から所定の距離より手前にあって、かつ前記案内経路に従うと前記交差点を右折することとなるときは、前記ステアリング負荷設定部は、前記ステアリング部に対して、左方向への操舵に対して負荷を掛けるような負荷信号を出力し、前記案内経路に従うと前記交差点を左折することとなるときは、前記ステアリング負荷設定部は、前記ステアリング部に対して、右方向への操舵に対して負荷を掛けるような負荷信号を出力する請求項1又は2に記載の運転支援制御装置。
【請求項5】
自車の現在の位置を取得し、
前記自車を誘導する案内経路を取得し、
取得された前記自車の現在の位置と前記案内経路とに基づいて、前記案内経路とは異なる別経路に対応する、前記自車のステアリング部への操作に対して負荷を掛ける負荷信号を出力する運転支援制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援制御装置及び運転支援制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運転技術レベルが低い運転者であっても適切に駐車操作ができるように、運転者を支援することができる車両駐車誘導装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両駐車誘導装置は、運転者がタッチパネルからの入力操作により目標駐車経路を設定でき、車速センサおよびステアリングセンサに基づいて車両が実際に移動する移動進路を検出するよう構成されている。
【0003】
そして、車両駐車誘導装置は、車両が実際に移動する移動進路が目標駐車経路となるように、運転者のステリング操作に対する反力である車両のステアリング荷重を制御している。このように、ステアリング荷重を制御することで、移動進路が目標駐車経路から遠ざかる方向へのステアリング操作が行われるのを防止でき、運転者が不適切な方向にステアリング操作を行うのを抑制できるため、車両が実際に通過する移動進路が目標駐車経路から逸脱するのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−362271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術は、例えば、通常の走行中、交差点において適切に、案内経路に誘導できない可能性があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、案内経路に沿った適切な運転操作を支援することができる運転支援制御装置及び運転支援制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、自車の現在の位置を取得する自車位置取得部と、前記自車を誘導する案内経路を取得する案内経路取得部と、前記自車位置取得部により取得された前記自車の現在の位置と、前記案内経路取得部により取得された前記案内経路とに基づいて、前記案内経路とは異なる別経路に対応する、前記自車のステアリング部への操作に対して負荷を掛ける負荷信号を出力するステアリング負荷設定部と、を備えた運転支援制御装置である。
【0008】
本発明の第2は、自車の現在の位置を取得し、前記自車を誘導する案内経路を取得し、取得された前記自車の現在の位置と前記案内経路とに基づいて、前記案内経路とは異なる別経路に対応する、前記自車のステアリング部への操作に対して負荷を掛ける負荷信号を出力する運転支援制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る運転支援制御装置及び運転支援制御方法によれば、案内経路に沿った適切な運転操作を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る運転支援制御装置の一例を示すブロック図である。
図2】運転支援制御装置の具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
図3】ナビゲーション制御部によって設定された案内経路と自車の位置の一例を示す模式図である。
図4】ステアリング負荷設定部による負荷設定処理の具体的な内容を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る運転支援制御装置及び運転支援制御方法の具体的な実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(構成)
図1は本発明の一実施形態に係る運転支援制御装置100を示すブロック図である。図示の運転支援制御装置100は、ナビゲーション制御部200及びカメラ80に接続されている。
【0013】
運転支援制御装置100は、ナビゲーション制御部200及びカメラ80から取得した情報に基づいて、案内経路Rに沿った適切な運転操作を支援する。
【0014】
ナビゲーション制御部200は、自車位置算出部210と、案内経路生成部220と、誘導案内部230と、を備えている。
【0015】
自車位置算出部210は、自車300に設けられてナビゲーション制御部200に接続されたジャイロ・加速度センサ252及びGPS(Global Positioning System)受信機253によって取得された情報に基づいて、地球上における自車300の位置及び向きを算出する。
【0016】
ジャイロ・加速度センサ252は、自車300の動きによって、進行方向や加速度を検出する。GPS受信機253は、地球を周回する衛星から送信された電波を受信する。なお、GPS受信機253に代えて、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を適用してもよい。
【0017】
案内経路生成部220は、自車位置算出部210によって算出された地球上における自車300の位置及び向きを、地図DB(データベース)258に記憶されている地図と対応付けて、地図上における自車300の位置及び向きを特定する。
【0018】
案内経路生成部220は、スイッチ251に入力された信号によって、地図DB258に記憶されている地図上における目的地が設定されると、自車位置算出部210によって算出された自車300の位置及び向きと、設定された目的地とに基づいて、自車300の現在の位置から目的地に至る案内経路Rを生成する。
【0019】
このとき、案内経路生成部220は、FM多重受信機254によって受信された広域VICS(道路交通情報;登録商標)及びビーコン受信機255によって受信されたVICS(登録商標)情報に基づいて、渋滞等を避けた最適な案内経路Rを生成する。
【0020】
なお、スイッチ251からの入力信号の内容は、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)部240を介して、案内経路生成部220に入力される。
【0021】
誘導案内部230は、案内経路生成部220によって生成された案内経路Rに沿って自車300を適切に誘導するために、自車300を運転する運転者に対して、スピーカ257を通じた音声による聴覚的な指示や、液晶表示装置256を通じた表示による視覚的な指示を出力する。
【0022】
運転支援制御装置100は、自車位置取得部10と、案内経路取得部20と、ステアリング負荷設定部30と、を備えている。
【0023】
自車位置取得部10は、ナビゲーション制御部200によって算出された自車300の現在の位置及び向きを取得する。案内経路取得部20は、ナビゲーション制御部200によって設定された案内経路Rを取得する。ステアリング負荷設定部30は、運転者が操作するステアリングホイールに負荷をかけて、自車300が案内経路Rから外れた別経路R1に進もうとするのを抑制する。
【0024】
具体的には、ステアリング負荷設定部30は、自車300が、取得した案内経路Rとは異なる別経路R1に対応したステアリング操作に対して、案内経路Rに対応したステアリング操作よりも大きな負荷をかけるように、自車300のステアリング部410を制御する車両制御装置400に負荷信号を出力する。
【0025】
車両制御装置400は、ステアリング負荷設定部30から負荷信号の入力を受けたときは、ステアリング部410に対して、運転者がステアリング操作をし難くする大きな負荷を作用させる。
【0026】
ここで、自車300が、ナビゲーション制御部200が誘導しようとしている案内経路において直進すべき交差点を、右折又は左折しようとする場合は、案内経路とは異なる別経路に対応したステアリング操作となる。
【0027】
また、自車300が、案内経路Rにおいて左折すべき交差点を、右折しようとする場合も、別経路R1に対応したステアリング操作となり、案内経路Rにおいて右折すべき交差点を、左折しようとする場合も、別経路R1に対応したステアリング操作となる。
【0028】
また、自車300が走行している道路が片側に複数の車線を有している場合において、自車300が進行している車線が、案内経路Rに対応した進行とは異なる指定がされているときも、別経路R1に対応したステアリング操作となる。
【0029】
例えば、自車300が走行している道路が片側に3車線を有し、その3車線のうち右寄りの1車線は右折の指定がされており、左寄りの1車線は左折の指定がされており、真ん中の1車線は直進の指定がされており、案内経路Rが直進の場合に、自車300が右折の指定がされた車線や左折の指定がされた車線に車線変更するときは、別経路R1に対応したステアリング操作となる。
【0030】
このように、右折を指定された車線であるか、直進を指定された車線であるか、又は左折を指定された車線であるかの識別は、ナビゲーション制御部200から取得した自車300の現在位置に基づいて判定してもよいが、取得した自車300の現在位置に加えて、自車300に設けられたカメラ80によって撮影された画像に基づいて判定してもよい。この場合、自車300の位置の精度を一層高めることができる。
【0031】
自車300に設けられたカメラ80は、自車300の周囲を撮影し、撮影によって得られた画像に基づいて、自車300が走行している車線の指定の別(右折の指定であるか、直進の指定であるか、右折及び直進の指定であるか、左折の指定であるか、又は直進及び左折の指定であるか、の別)を読み取ることができる。
【0032】
したがって、本実施形態の運転支援制御装置100は、カメラ80によって撮影された画像に基づいて、別経路R1に対応したステアリング操作を判定することができる。
【0033】
以上のように、本実施形態の運転支援制御装置100によれば、案内経路Rではない別経路R1に向かおうとするステアリング操作に対しては、車両制御装置400によって大きな負荷が掛かる。したがって、運転支援制御装置100は、ステアリング操作が別経路R1に向かおうとする操作であることを運転者に認識させることができ、ナビゲーション制御部200により設定された案内経路Rに沿った適切な運転操作を支援することができる。
【0034】
なお、運転支援制御装置100は、運転者が、意図的に別経路R1に向かおうとする場合や別経路R1に進まざるを得ない状況では、別経路R1に向かおうとするときに車両制御装置400に出力するステアリング部410の負荷を大きくする負荷信号の出力を解除してもよい。
【0035】
運転者が、意図的に別経路R1に向かおうとする場合とは、例えば、ステアリング部410に大きな負荷が掛かっているにも拘わらず、この負荷を超える操作力(負荷を振り切る操作力)によって、ステアリングホイールが操作された場合である。
【0036】
そこで、ステアリング負荷設定部30が、図1に示すように、ステアリング部410に掛けられていた負荷を超える操作力がステアリングホイールに掛けられたことを検出するステアリング操作力検出部31を備えた構成とすればよい。
【0037】
そして、ステアリング操作力検出部31が、ステアリング負荷設定部30によってステアリング部410に掛けられた負荷を振り切る操作力を検出したときは、ステアリング負荷設定部30は、負荷信号の出力を解除する。
【0038】
別経路へ向かおうとするときの運転者のステアリング操作の際、運転支援制御装置100は、負荷の大きさにより、運転者に対して、案内経路から外れることを認識させる。
【0039】
しかし、その負荷を超えた操作力がステアリングホイールに掛けられて、その操作力をステアリング操作力検出部31が検出したときは、運転支援制御装置100は、別経路に向かおうとする運転者の意図を認める。そして、運転者が別経路を進もうとする意図に対して、ステアリング負荷設定部30は、車両制御装置400に対する負荷信号を停止し、ステアリング部410に掛けられていた大きな負荷を除去する。
【0040】
これにより、運転支援制御装置100は、別経路に向かおうとする運転者の意図を尊重した運転支援を行うことができる。
【0041】
また、運転者が、別経路に進まざるを得ない状況とは、例えば、ステアリング部410に大きな負荷が掛かっているにも拘わらず、進行している車線が、その大きな負荷の掛かった方向にのみ進行するように指定されていて、車線の変更が禁止されている状況である。
【0042】
具体的には、例えば、案内経路では直進で進むべき交差点の手前で、右折が指定された車線を進んでしまい、かつ、その車線が車線変更禁止の黄色線になっていた場合である。この場合、そのまま進むと、右折することになって別経路に向かうことになるが、車線変更禁止であるため、直進が指定された別の車線に変更することができない。
【0043】
そこで、この場合は、ステアリング負荷設定部30が、カメラ80で撮影された車線及び指定方向の画像に基づいて、別経路に進まざるを得ない状況であると判定して、車両制御装置400に対する負荷信号を停止し、ステアリング部410に掛けられていた大きな負荷を除去する。
【0044】
これにより、運転支援制御装置100は、交通法規に従って別経路に向かおうとする運転者の意図を尊重した運転支援を行うことができる。
【0045】
(動作)
図2は、本実施形態の運転支援制御装置100の具体的な処理の流れを示すフローチャートである。図3は、ナビゲーション制御部200によって設定された案内経路Rと自車300の位置の一例を示す模式図である。
【0046】
上述した構成により、本実施形態の運転支援制御装置100は、図2に示すように動作する。なお、この運転支援制御装置100の動作は、本発明の運転支援制御方法の一実施形態でもある。
【0047】
まず、自車位置取得部10は、ナビゲーション制御部200によって算出された自車300の現在の位置及び向き(以下、これら位置及び向きを、単に、位置と総称する)を取得する(S1)。次いで、案内経路取得部20は、ナビゲーション制御部200によって設定された案内経路Rを取得する(S2)。
【0048】
自車位置取得部10により取得された自車300の位置及び案内経路取得部20によって取得された案内経路Rは、ステアリング負荷設定部30に入力される。これにより、ステアリング負荷設定部30は、図3に示すように、案内経路Rにおける自車300の位置関係を認識する。
【0049】
次いで、ステアリング負荷設定部30は、カメラ80によって撮影された自車300の周囲の画像を取得する。そして、ステアリング負荷設定部30は、自車300が走行している周辺道路の車線情報を取得する。具体的には、ステアリング負荷設定部30は、自車300が走行している車線における走行方向の指定の別(右折の指定であるか、直進の指定であるか、右折及び直進の指定であるか、左折の指定であるか、又は直進及び左折の指定であるか、の別)を取得する(S3)。
【0050】
次いで、ステアリング負荷設定部30は、取得した自車300の位置及び案内経路Rに基づいて、自車300が、交差点から5[m]以上離れているか否かの判定を行う(S4)。ステアリング負荷設定部30は、交差点に近接した位置(本実施形態では5[m]未満)の場合(S4にてNO)は、後述するステアリング部410への負荷を解除(S20)して、運転者の任意の操舵を許容する。
【0051】
ステアリング負荷設定部30は、自車300が交差点から5[m]以上離れていると判定した場合(S4にてYES)は、状況に応じて、運転者がステアリングホイールを操舵するのに必要とされる操作力に対抗する負荷を、ステアリング部410に掛けるように、ステアリング負荷設定部30は車両制御装置400に負荷信号を出力する。ステアリング負荷設定部30が負荷信号を出力する具体的な状況については、後述する。
【0052】
ステアリング負荷設定部30が自車300と交差点と離れているか否かの判定を行う距離は、例えば、交差点の中心から自車300の前端までの距離である。また、この距離は、上述した5[m]に限定されるものではなく、5[m]未満の距離であってもよし、5[m]を超えた7〜8[m]の距離であってもよい。
【0053】
なお、この距離は、例えば、その交差点に進入した状態にあるか、又は進入しかかっている状態で、かつ周囲の車両等に対して進行方向の急激な変化となり得る範囲の距離である。
【0054】
ステアリング負荷設定部30は、自車300が交差点から5[m]以上離れていると判定したとき(S4にてYES)、自車300が走行している車線を仕切る線が白線であるか否か、の別を判定する(S5)。
【0055】
例えば、日本の法規制によると、車線を仕切る線が白線である場合(S5にてYES)は車線変更可能であり、白線でない場合(S5にてNO)、つまり線が黄色線である場合は、車線変更が禁止されているため、この判定は、実質的に、自車300が走行している車線が、車線変更できる車線であるか又は車線変更できない車線であるか、の別を判定している。
【0056】
ステアリング負荷設定部30は、自車300が交差点から5[m]未満の距離のとき(S4にてNO)は、後述するステアリング部410への負荷が既にかかっている場合には、その負荷を解除するように負荷信号を停止(S10)して、運転者の任意の操舵を許容し、処理を終了する。
【0057】
なお、車線を仕切る線が白線であるか又は黄色線であるか、という色の識別は、カメラ80から入力された画像に写った車線の色に基づいて行っている。
【0058】
ステアリング負荷設定部30は、車線を仕切る線が白線でない場合(S5にてNO)は、後述するステアリング部410への負荷を解除するように負荷信号を停止(S10)して、運転者の任意の操舵を許容し、処理を終了する。
【0059】
ステアリング負荷設定部30は、車線を仕切る線が白線である場合(S5にてYES)は、自車300が走行している車線が、案内経路Rに従った走行に適合しているか否かを判定する。
【0060】
つまり、ステアリング負荷設定部30は、案内経路Rに従った場合、自車300の現在位置からの走行によって最初に通過する交差点に対する進行方向の別と、自車300が実際に走行している車線の種別とに基づいて、ステアリング部410に対し、右方向及び左方向のうち少なくとも一方への操舵に負荷が掛かるように、車両制御装置に負荷信号を出力する負荷設定処理を行う(S6)。
【0061】
なお、以下のステアリング負荷設定部30による、自車300が現在走行している車線の指定方向の識別は、車線の色の識別と同様、カメラ80から入力された画像に写った指定方向の標識に基づいて行っている。指定方向の標識に基づく指定方向の識別は、例えば、画像における指定方向の標識を画像処理して、記憶されている標識とのパターンマッチング等により行うことができる。車線が1車線の場合で指定方向が無い場合も、カメラ80から入力された画像に基づいて識別を行う。
【0062】
図4はステアリング負荷設定部30による負荷設定処理の具体的な内容を示す表である。ステアリング負荷設定部30による負荷制御処理の内容は、図4の表に示す通りであり、具体的には以下の通りである。
【0063】
(1−A)自車300が現在走行している車線が直進のみ指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が直進の場合は、右方向及び左方向への操舵に対してそれぞれ負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、右方向及び左方向への操作にそれぞれ負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0064】
(1−B)自車300が現在走行している車線が直進のみ指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が右折の場合は、左方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、左方向への操作に負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0065】
(1−C)自車300が現在走行している車線が直進のみ指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が左折の場合は、右方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、右方向への操作に負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0066】
(2−A)自車300が現在走行している車線が直進及び右折を指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が直進の場合は、右方向及び左方向への操舵に対してそれぞれ負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、右方向及び左方向への操作にそれぞれ負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0067】
(2−B)自車300が現在走行している車線が直進及び右折を指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が右折の場合は、左方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、左方向への操作に負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0068】
(2−C)自車300が現在走行している車線が直進及び右折を指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が左折の場合は、右方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、右方向への操作に負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0069】
(3−A)自車300が現在走行している車線が直進及び左折を指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が直進の場合は、右方向及び左方向への操舵に対してそれぞれ負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、右方向及び左方向への操作にそれぞれ負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0070】
(3−B)自車300が現在走行している車線が直進及び左折を指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が右折の場合は、左方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、左方向への操作に負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0071】
(3−C)自車300が現在走行している車線が直進及び左折を指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が左折の場合は、右方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、右方向への操作にそれぞれ負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0072】
(4−A)自車300が現在走行している車線が右折のみ指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が直進の場合は、右方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、右方向への操作に負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。なお、左方向への操舵に負荷が掛からないため、右折のみの指定がされている車線から、左側に隣接する、右折のみが指定されている車線とは異なる他の車線に移動し、案内経路Rに従った直進を行うことができる。
【0073】
(4−B)自車300が現在走行している車線が右折のみ指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が右折の場合は、左方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、左方向への操作にそれぞれ負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0074】
(4−C)自車300が現在走行している車線が右折のみ指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路による指示(誘導)が左折の場合は、右方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、右方向への操作にそれぞれ負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0075】
(5−A)自車300が現在走行している車線が左折のみ指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路による指示(誘導)が直進の場合は、左方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、左方向への操作に負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。なお、右方向への操舵に負荷が掛からないため、左折のみの指定がされている車線から、右側に隣接する、左折のみが指定されている車線とは異なる他の車線に移動し、案内経路Rに従った直進を行うことができる。
【0076】
(5−B)自車300が現在走行している車線が左折のみ指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路による指示(誘導)が右折の場合は、左方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、左方向への操作に負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0077】
(5−C)自車300が現在走行している車線が左折のみ指定されている場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が左折の場合は、右方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、右方向への操作に負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0078】
(6−A)自車300が現在走行している道路が1車線(方向の指定なし)しかない場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が直進の場合は、右方向及び左方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、右方向及び左方向への操作に負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0079】
(6−B)自車300が現在走行している道路が1車線(方向の指定なし)しかない場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が右折の場合は、左方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、左方向への操作に負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0080】
(6−C)自車300が現在走行している道路が1車線(方向の指定なし)しかない場合であって、直近(5[m]以上離れている)の交差点に対する案内経路Rによる指示(誘導)が左折の場合は、右方向への操舵に対して負荷が掛かるように負荷信号を出力する。これにより、ステアリング部410には、右方向への操作に負荷が掛かり、自車300が別経路R1に誘導されるのを抑制する。
【0081】
なお、例えば、図3において、自車300が案内経路R上において、5[m]以上離れた直近の交差点K1の手前を走行している状況においては、案内経路Rに従うと交差点K1は直進の指示(図4のA)であるため、ステアリング負荷設定部30は、自車300が交差点K1で右折及び左折を行わないように、ステアリング部410に負荷をかける負荷信号を出力する。この負荷の掛け方は、自車300の走行している車線の区分(図4の1〜6)に従って設定される。
【0082】
また、図3において、自車300が案内経路R上において、5[m]以上離れた直近の交差点K2の手前を走行している状況においては、案内経路Rに従うと交差点K2は左折の指示(図4のC)であるため、ステアリング負荷設定部30は、自車300が交差点K2で右折を行わないように、ステアリング部410に負荷をかける負荷信号を出力する。この負荷の掛け方は、自車300の走行している車線の区分(図4の1〜6)に従って設定される。
【0083】
以上の通り、運転支援制御装置100は、自車300が案内経路Rとは異なる別経路R1に進行するのを抑制するように、ステアリング部410に負荷をかける負荷信号を出力する(S6)。しかし、上述したように、この負荷を振り切って(負荷を超える操作力を掛けて)、運転者が別経路R1を進むようにステアリングホイールに操作が行われ、ステアリング操作力検出部31が、そのステアリングホイールに加えられた、負荷を超えた操作力を検出したとき(S7にてYES)は、ステアリング負荷設定部30は、ナビゲーション制御部200に対して、設定されていた案内経路Rを、別経路R1に基づいて設定し直す要求の信号を出力する(S8)。
【0084】
次いで、ステアリング負荷設定部30は、ステアリング部410に掛かっていた負荷を解除するように、負荷信号の出力を停止し(S9)、処理を終了する。
【0085】
上述した運転支援制御装置100の処理は、自車300が案内経路Rを走行中に、常時又は所定時間間隔で繰り返し行われていて、自車300が案内経路Rに沿った運転操作を支援することができる。
【0086】
また、運転支援制御装置100は、自車300が案内経路Rを逸脱した別経路R1を進むときは、実際に別経路R1に進む前であって、ステアリング部410に掛けられた負荷を振り切った操作が行われた時点で、ナビゲーション制御部200に対して案内経路の設定をし直す要求がなさる。
【0087】
これにより、ナビゲーション制御部200は、その要求に従って、別経路R1に基づく新たに案内経路Rを設定するため、案内経路のRの設定し直しのタイミングを早めることができ、経路の案内の遅れを短縮することができる。
【0088】
本実施形態の運転支援制御装置は、自車300が案内経路Rとは異なる別経路R1に進行するのを防止又は抑制するために、別経路R1に進むためにステアリングホイールを操舵する際の負荷を高めて、その操舵が別経路R1への誘導であることを運転者に気付かせるものである。
【0089】
しかし、本発明に係る運転支援制御装置は、この実施形態に限定されるものではなく、別経路R1への誘導となる操舵であることを運転者に気付かせる構成として、ステアリング部410に負荷を掛ける構成に代えて又は付加を掛ける構成に付加して、運転者の操舵に対し、運転操作に悪影響を与えない範囲でステアリングホイールを微振動させるなどの反射動作を返すように、ステアリング負荷設定部が、車両制御装置400に信号を出力する構成であってもよい。
【0090】
これにより、運転者は、別経路R1への誘導となる操舵を行おうとしたとき、ステアリングホイールが微振動するため、運転者は、別経路R1への誘導となる操舵であることに気付くことができる。
【0091】
また、運転者は、運転操作中、車線変更や右左折といった操舵を行う場合、その操舵に先立って、方向指示灯を作動させるための方向指示器を操作する。そこで、本発明に係る運転支援制御装置は、別経路R1への誘導となる操舵であることを運転者に気付かせる構成として、運転者が相談するのに先立って操作する方向指示器に負荷を掛ける構成としてもよい。
【0092】
これにより、運転者は、別経路R1への誘導となる操舵を行うのに先立って方向指示器を操作したときに、方向指示器が負荷により操作が重くなるため、運転者は、別経路R1への誘導となる操舵であることに気付くことができる。
【0093】
本実施形態の運転支援制御装置100は、指定方向が異なる複数の車線を有する道路と1車線のみの道路との両方に対応して、ステアリング負荷を設定する負荷信号を出力するが、本発明に係る運転支援制御装置及び運転支援制御方法は、指定方向が異なる複数の車線を有する道路のみに対応してステアリング負荷を設定する負荷信号を出力するものであってもよいし、1車線のみの道路のみに対応してステアリング負荷を設定する負荷信号を出力するものであってもよい。
【0094】
本実施形態の運転支援制御装置100は、取得する案内経路Rが、自車300が搭載しているナビゲーション制御部200によって設定された案内経路であるが、本発明の運転支援制御装置及び運転支援制御方法は、自車300が搭載したナビゲーション制御部200が設定した案内経路を取得するものに限定さない。
【0095】
すなわち、本発明の運転支援制御装置及び運転支援制御方法は、自車以外の場所に設置された例えばサーバで設定された案内経路や、クラウドに記憶されている案内経路を、通信回線を介して取得するものであってもよい。
【0096】
また、本発明の運転支援制御装置及び運転支援制御方法は、自車の現在の位置についても、自車300が搭載したナビゲーション制御部200が検出した位置を取得するものに限定されず、例えば、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)におけるインフラストラクチャー(交差点や道路等)に設置された検出器等や、周囲を走行する他車からの情報に基づいて、通信回線を介して取得するものであってもよい。
【符号の説明】
【0097】
10 自車位置取得部
20 案内経路取得部
30 ステアリング負荷設定部
31 ステアリング操作力検出部
100 運転支援制御装置
200 ナビゲーション制御部
300 自車
410 ステアリング部
R 案内経路
R1 別経路
図1
図2
図3
図4