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特開2021-142925遠隔操作判定装置及び遠隔操作判定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-142925(P2021-142925A)
(43)【公開日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】遠隔操作判定装置及び遠隔操作判定システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20210827BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20210827BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20210827BHJP
【FI】
   B60W30/06
   H04Q9/00 301B
   G08G1/09 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-43733(P2020-43733)
(22)【出願日】2020年3月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲川 裕一朗
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
5K048
【Fターム(参考)】
3D241AA42
3D241AA66
3D241AA74
3D241AB01
3D241BA21
3D241BA70
3D241DD01Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL09
5H181LL17
5K048AA09
5K048BA42
5K048DA01
5K048DC01
5K048EB02
(57)【要約】
【課題】遠隔操作判定装置において、自動駐車の動作中である車両に対する操作者の意識が散漫になるのを防止又は抑制する。
【解決手段】遠隔操作判定装置350は、車両200から独立して設けられたスマートフォン100に対する操作に応じて、遠隔的に、車両200に自動駐車の動作を行わせるに際して、スマートフォン100が有する加速度モジュール120が検出した加速度を受信する通信部250と、通信部250が受信した加速度に基づいて、遠隔的な車両200の自動駐車の動作の可否を判定する異常検出部340と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両から独立して設けられた遠隔操作端末機に対する操作に応じて、遠隔的に、前記車両に自動駐車の動作に行わせるに際して、前記遠隔操作端末機が有する加速度モジュールが検出した加速度を受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記加速度に基づいて、遠隔的な前記車両の自動駐車の動作の可否を判定する異常検出部と、を備えた遠隔操作判定装置。
【請求項2】
前記異常検出部は、前記遠隔操作端末機が前記加速度を検出した検出時刻と、前記通信部を介して前記加速度を受信したときの前記車両の時刻との差が、予め設定された範囲でないときは、異常と判定して、前記自動駐車の動作を中止させる、請求項1に記載の遠隔操作判定装置。
【請求項3】
前記異常検出部は、前記遠隔操作端末機から送信された前記加速度が、予め設定された設定された範囲でないときは、異常と判定して、前記自動駐車の動作を中止させる、請求項2に記載の遠隔操作判定装置。
【請求項4】
前記加速度モジュールは、互いに異なる2方向に対応した2つの加速度を検出し、
前記異常検出部は、前記遠隔操作端末機から送信された前記2つの加速度の和を算出し、前記和が予め設定された設定された範囲でないときは、異常と判定して、前記自動駐車の動作を中止させる、請求項2又は3に記載の遠隔操作判定装置。
【請求項5】
前記異常検出部は、前記遠隔操作端末機から送信された前記加速度の周期が、予め設定された設定された範囲でないときは、異常と判定して、前記自動駐車の動作を中止させる、請求項2から4のうちいずれか1項に記載の遠隔操作判定装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の遠隔操作判定装置と、
車両から独立して設けられた、加速度モジュールを有する遠隔操作端末機と、を備えた遠隔操作判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作判定装置及び遠隔操作判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車外に出た運転者(操作者)が、スマートフォンの画面に表示された図形を指でなぞる操作を行うことで、遠隔的に、車両に自動駐車を行わせる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、操作者が単に遠隔操作端末機のスイッチを1回押すだけで自動駐車を開始させるようにすると、操作者は、スイッチを押した後、遠隔操作端末機も車両も一切見ない状況になり得る。この特許文献1の技術は、そのような状況を防止するものである。
【0004】
すなわち、操作者は、スマートフォンの画面に表示された図形から指が外れないように動かし続ける必要があるため、操作者に、自動駐車の動作中であることを意識させ続けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2016−538780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の技術は、スマートフォンの画面に対して意識が集中し易いため、操作者の視線は自動車から離れがちとなり、車両への注意が散漫になり易い。
【0007】
また、特許文献1に記載の技術は、スマートフォンの画面に雨滴が付着すると、画面へのタッチ操作(入力)に対する反応(出力)が正常でなくなって誤動作するおそれがある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、自動駐車の動作中である車両に対する操作者の意識が散漫になるのを防止又は抑制することができる遠隔操作判定装置及び遠隔操作判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1は、車両から独立して設けられた遠隔操作端末機に対する操作に応じて、遠隔的に、前記車両に自動駐車の動作に行わせるに際して、前記遠隔操作端末機が有する加速度モジュールが検出した加速度を受信する通信部と、前記通信部が受信した前記加速度に基づいて、遠隔的な前記車両の自動駐車の動作の可否を判定する異常検出部と、を備えた遠隔操作判定装置である。
【0010】
本発明の第2は、本発明に係る遠隔操作判定装置と、車両から独立して設けられた、加速度モジュールを有する遠隔操作端末機と、を備えた遠隔操作判定システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る遠隔操作判定装置及び遠隔操作判定システムによれば、自動駐車の動作中である車両に対する操作者の意識が散漫になるのを防止又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態である遠隔操作判定装置及び遠隔操作判定システムを示すブロック図である。
図2】車外の操作者がスマートフォンへの操作によって、車両を遠隔的に自動駐車させる様子を示す模式図である。
図3】操作者による腕を振る動作とスマートフォンに作用する加速度の向きとを関係を示す模式図である。
図4】スマートフォンに作用するy軸方向の加速度とz軸方向の加速度の時間に対する変化を示すグラフである。
図5】異常検出部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る遠隔操作判定装置及び遠隔操作判定システムの具体的な実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態である遠隔操作判定装置350及び遠隔操作判定システム400を示すブロック図である。
【0015】
図示の遠隔操作判定システム400は、車両200に設けられた駐車支援装置300を、スマートフォン100に対する操作によって遠隔的に動作させることの可否を判定するシステムである。遠隔操作判定システム400は、車両200に設けられた遠隔操作判定装置350と、車両200とは独立して設けられたスマートフォン100とを備えている。
【0016】
遠隔操作判定装置350は、異常検出部340と、通信部250と、を備える。スマートフォン100は、画面を有する表示部110と、加速度モジュール120と、演算部130と、通信部140と、を備える。
【0017】
スマートフォン100は、車両200の駐車支援装置300の動作を起動する遠隔操作端末機の一例であり、駐車支援装置300による車両200の自動駐車を動作させるための入力を受け付ける、操作者500が携帯し得る端末機であればよい。
【0018】
車両200の駐車支援装置300は、入出力制御部310と、アクチュエータ制御部320と、自動運転制御部330と、異常検出部340と、を備えている。駐車支援装置300は、車両200に設けられた位置測位モジュール210によって検出された車両200の位置や向き、カメラモジュール220によって検出された車両200の周囲の障害物や駐車領域、及びセンサ240によって検出された駆動系、制動系及び操舵系の各アクチュエータ230の動作状態に基づいて、車両200のアクチュエータ230を制御し、車両200を自動運転により所定の駐車領域に駐車させる。
【0019】
また、駐車支援装置300は、自動駐車の動作に関して、異常検出部340によって異常が検出されたと判定したときは、自動運転制御部330に対して、自動駐車の動作を中止する信号を出力して、自動駐車の動作を終了させる。一方、駐車支援装置300は、異常検出部340によって異常が検出されていないと判定したときは、自動運転制御部330に対して、自動運転動作を継続させる。つまり、異常検出部340は、自動駐車の動作の可否を判定する。
【0020】
図2は、車外の操作者500がスマートフォン100への操作によって、車両200を遠隔的に自動駐車させる様子を示す模式図、図3は操作者500による腕510を振る動作とスマートフォン100に作用する加速度の向きとを関係を示す模式図、図4はスマートフォン100に作用するy軸方向の加速度とz軸方向の加速度の時間に対する変化を示すグラフである。
【0021】
本実施形態における駐車支援装置300は、図2に示すように、操作者500によるスマートフォン100への所定の操作によって、車両200を、遠隔的に自動駐車させるように動作させる。
【0022】
具体的には、操作者500が、一方の腕510でスマートフォン100を持ち、表示部110の画面に指511で触れた状態で、そのスマートフォン100を持った腕510のひじから先を、所定の角度で周期的に振る動作によって、駐車支援装置300は自動駐車の動作を行う。
【0023】
スマートフォン100の加速度モジュール120は、操作者500によって振られることで、スマートフォン100に作用する加速度を検出する。加速度モジュール120は、図3に示すように、例えば、表示部110の画面の縦方向(y軸方向)の加速度と、表示部110の画面の法線方向(z軸方向)の加速度とを、それぞれ所定の時間間隔(例えば、少なくとも100[msec]間隔)で検出する。
【0024】
図4のグラフから介されるように、y軸方向の加速度の変動周期とz軸方向の加速度の変動周期とは一致する。また、y軸方向の加速度が最大値を示すタイミングにおいてはz軸方向の加速度が最小値を示し、y軸方向の加速度が最小値を示すタイミングにおいてはz軸方向の加速度が最大値を示す。
【0025】
なお、スマートフォン100を、ひじを中心にして振ったとき、スマートフォン100には、ひじを中心とした半径方向の外方に向かう遠心力が作用し、また、定常的に重力も作用している。したがって、加速度モジュール120によって検出された、y軸方向の加速度及びz軸方向の加速度には、これらの遠心力及び重力もベクトル的に加算されている。
【0026】
スマートフォン100の演算部130は、指511が表示部110の画面を触っていることを前提として、加速度モジュール120が各タイミングで検出した、y軸方向の加速度とz軸方向の加速度とを加算し、その加算の結果である加算値と加速度モジュール120がこれらの加速度を検出した時刻とを対応付けて記憶する。
【0027】
スマートフォン100の通信部140は、指511が表示部110の画面を触っていることを前提として、加速度モジュール120が各タイミングで検出した、y軸方向の加速度とz軸方向の加速度とをそれぞれ、加速度モジュール120がこれらの加速度を検出した検出時刻に対応付け、さらに通信部140が送信するときの送信時刻を、y軸方向の加速度、z軸方向の加速度及び検出時刻に付加して送信する。
【0028】
車両200の通信部250は、スマートフォン100の通信部140から送信されたy軸方向の加速度、z軸方向の加速度及び検出時刻と送信時刻とを受信し、受信したこれらのデータを異常検出部340に出力する。
【0029】
図5は異常検出部340の構成を示すブロック図である。異常検出部340は、図5に示すように、時間差判定部341と、加速度データ判定部342と、異常判定部343と、を備える。
【0030】
時間差判定部341は、スマートフォン100の通信部140からデータが送信されて遠隔操作判定装置350の通信部250が受信した時刻との時間差(タイムラグ)を判定するものである。時間差判定部341は、このタイムラグが予め設定された時間(例えば、100[msec])以内であるときは、データの送受信状況は正常であると判定して、通信部250が受信したデータを、そのまま、加速度データ判定部342において、加速度の適否を判定するデータとして用いる。
【0031】
一方、時間差判定部341は、タイムラグが予め設定された時間を超えたときは、データの送受信状況は正常でない(異常である)と判定して、通信部250が受信したデータを、加速度データ判定部342において、加速度の適否を判定するデータとして用いない。そして、自動運転制御部330に対して、自動運転動作を中止させる因業を出力し、車両200を停止させる。
【0032】
なお、時間差判定部341は、スマートフォン100からy軸方向の加速度、z軸方向の加速度を受ける前に、スマートフォン100の内部時計の時刻と車両200の駐車支援装置300の内部時計の時刻との差(基準時間差)を予め記憶しておき、実際の加速度のデータの送受信の際に時間差判定部341が検出した時間差と、その記憶された基準時間差とを比較して、送受信の際の時間差が基準時間差に対して、予め設定された範囲内であるときは、データの送受信状況は正常であると判定し、予め設定された範囲でないときは、データの送受信状況は正常でないと判定すればよい。
【0033】
具体的には、スマートフォン100から車両200の遠隔操作判定装置350に、スマートフォン100の内部時計の時刻を送信する。時間差判定部341は、通信部250がスマートフォン100の内部時計の時刻を受信したときの、駐車支援装置300の内部時計の時刻との差を算出し、この差を基準時間差として記憶する。
【0034】
一方、遠隔操作判定装置350の通信部250も、スマートフォン100に、駐車支援装置300の内部時計の時刻を送信し、スマートフォン100の演算部130は、通信部140が駐車支援装置300の内部時計の時刻を受信したときの、スマートフォン100の内部時計の時刻との差を算出し、この差をスマートフォン側基準時間差として記憶する。
【0035】
この後、遠隔操作判定装置350の通信部250は、時間差判定部341に記憶された基準時間差をスマートフォン100に送信し、スマートフォン100の演算部130は、送信された基準時間差と記憶しているスマートフォン側基準時間差との和を算出する。
【0036】
そして、この和が予め設定された所定の範囲内であるときは、スマートフォン100と車両200との間の通信状態に異常はない、とスマートフォン100の演算部130は判定する。一方、この和が予め設定された所定の範囲内でないときは、スマートフォン100と車両200との間の通信状態が異常である、とスマートフォン100の演算部130は判定する。
【0037】
同様に、スマートフォン100の通信部140は、演算部130に記憶されたスマートフォン側基準時間差を遠隔操作判定装置350に送信し、遠隔操作判定装置350の時間差判定部341は、送信されたスマートフォン側基準時間差と記憶している基準時間差との和を算出する。
【0038】
そして、この和が予め設定された所定の範囲内であるときは、車両200とスマートフォン100との間の通信状態に異常はない、と時間差判定部341は判定する。一方、この和が予め設定された所定の範囲内でないときは、スマートフォン100と車両200との間の通信状態が異常である、と時間差判定部341は判定する。
【0039】
加速度データ判定部342は、スマートフォン100の演算部130及び遠隔操作判定装置350の時間差判定部341が、いずれも、通信状態に異常はないと判定したことを前提として、通信部140から出力されたy軸方向の加速度及びz軸方向の加速度が、それぞれ予め設定された所定の範囲にあるか否か、を判定する(第1の判定)。
【0040】
第1の判定は、y軸方向の加速度又はz軸方向の加速度が予め設定された範囲でない場合としては、例えば、スマートフォン100を振る振り方が不規則となって、強すぎる振りや弱すぎる振りとなった場合などである。
【0041】
なお、スマートフォン100が手から離れて落下した場合は、表示部110の画面から指511が離れるため、通信部140から加速度のデータが送信されないが、仮に送信された場合、加速度モジュール120は、スマートフォン100が落下した瞬間、予め設定された範囲を大きく超える加速度を出力する。また、スマートフォン100が落下した後は、落下した状態で静止するため、予め設定された範囲を大きく下回る加速度を出力する。
【0042】
また、加速度データ判定部342は、通信部140から今回出力されたy軸方向の加速度、z軸方向の加速度が、それぞれ前回出力されたy軸方向の加速度、z軸方向の加速度からの各増減量が予め設定された所定の範囲にあるか否か、を判定する(第2の判定)。
【0043】
今回のy軸方向の加速度、z軸方向の加速度が、前回のy軸方向の加速度、z軸方向の加速度からの増減量が予め設定された範囲でない場合としては、例えば、スマートフォン100を振る振り方が不規則となって、強すぎる振りや弱すぎる振りとなった場合などである。
【0044】
また、加速度データ判定部342は、通信部140から出力されたy軸方向の加速度、z軸方向の加速度について、それぞれ1周期分のデータを分析して、加速度の頂点間(極大値間又は極小値間)の時間差(1周期の時間)が、予め設定された所定の範囲にあるか否かを判定する(第3の判定)。
【0045】
y軸方向の加速度、z軸方向の加速度の各1周期の時間が、予め設定された所定の範囲にない場合としては、例えば、スマートフォン100を振る振り方が速すぎたり又は遅すぎたりする場合などである。
【0046】
また、加速度データ判定部342は、通信部140から出力されたy軸方向の加速度の頂点とz軸方向の加速度の頂点との時間差(正常であれば時間差は0[msec])が予め設定された所定の範囲にあるか否か、を判定する(第4の判定)。
【0047】
y軸方向の加速度の頂点とz軸方向の加速度の頂点との時間差が予め設定された所定の範囲にない場合としては、スマートフォン100を所定の姿勢で持っていない場合や、加速度モジュール120が故障している場合などである。
【0048】
異常判定部343は、加速度データ判定部342による上述した4つの判定の全てが肯定的であると判定した(全て、予め設定された所定の範囲にあると判定された)場合は、スマートフォン100が周期的に振られている間、自動駐車動作を行うように、自動運転制御部330に、実行信号を出力する。
【0049】
これにより、駐車支援装置300は、自動運転制御部330が各アクチュエータ230を制御して、車両200を所定の駐車領域に自動駐車させる。
【0050】
一方、異常判定部343は、上述した4つの判定のいずれか1つでも否定的であると判定した(いずれか1つでも、予め設定された所定の範囲にないと判定された)場合は、スマートフォン100が振られているか否かに拘わらず、自動駐車動作を中止するように、自動運転制御部330に、停止信号を出力する。
【0051】
これにより、駐車支援装置300は、自動運転制御部330が各アクチュエータ230を制御して、車両200を停止させ自動駐車動作を中止する。
【0052】
なお、スマートフォン100の演算部130及び遠隔操作判定装置350の時間差判定部341のうち少なくとも一方が、通信状態に異常があると判定したときは、異常判定部343が、自動駐車動作を中止するように、自動運転制御部330に、停止信号を出力し、車両200を停止させ自動駐車動作を中止する。
【0053】
本実施形態の遠隔操作判定システム400は、車両200が備えた遠隔操作判定装置350により判定された結果に基づいて、スマートフォン100を振る動作の状態の適否を判定するものとして説明したが、本発明に係る遠隔操作判定システムは、スマートフォン100側でも、データの送受信の適否や、車両200の遠隔操作判定装置350の動作の適否を判定して、自動駐車動作の動作を停止させるように制御することもできる。
【0054】
すなわち、遠隔操作判定装置350の加速度データ判定部342は、スマートフォン100から送信されたy軸方向の加速度とz軸方向の加速度とを加算し、その加算の結果である加速度の和と、加速度データ判定部342がその加算を行ったときの駐車支援装置300の内部時計の時刻(加算時刻)とを対応付けて、通信部250により送信する。
【0055】
スマートフォン100の通信部140は、遠隔操作判定装置350から送信された加速度の和と加算時刻とを受信し、演算部130は、スマートフォン100の内部時計の現在の時刻と加算時刻との差を算出し、この差が予め設定された範囲内であるか否かを判定する。
【0056】
この判定結果が肯定的である(スマートフォン100の内部時計の現在の時刻と加算時刻との差が予め設定された範囲内である)ときは、次に、遠隔操作判定装置350から送信された加速度の和の検証を行う。
【0057】
一方、判定結果が否定的である(スマートフォン100の内部時計の現在の時刻と加算時刻との差が予め設定された範囲でない)ときは、遠隔操作判定装置の異常検出部340又はスマートフォン100の通信部140と遠隔操作判定装置350の通信部250との通信状態に異常があると、演算部130が判定する。
【0058】
演算部130が、異常であると判定したときは、スマートフォン100は、遠隔操作判定装置350に対して、異常であるとの信号を出力し、遠隔操作判定装置350の異常判定部343が、自動駐車動作を中止するように、自動運転制御部330に、停止信号を出力し、車両200を停止させ自動駐車動作を中止する。
【0059】
また、スマートフォン100の演算部130による判定結果が肯定的である(スマートフォン100の内部時計の現在の時刻と加算時刻との差が予め設定された範囲内である)とき、演算部130は、遠隔操作判定装置350から送信された加速度の和の検証を行う。この検証は、加速度モジュール120が、y軸方向の加速度とz軸方向の加速度とを検出して、演算部130がy軸方向の加速度とz軸方向の加速度とを加算して記憶しているその加算値と、遠隔操作判定装置350から送信された加速度の和とが一致するか否かを判定することにより行われる。
【0060】
スマートフォン100の演算部130がy軸方向の加速度とz軸方向の加速度とを加算して得られた加算値と、遠隔操作判定装置350の加速度データ判定部342がy軸方向の加速度とz軸方向の加速度とを加算して得られた和とは、本来一致するはずであるが、一致しない場合は、スマートフォン100及び遠隔操作判定装置350のうち少なくとも一方が、故障している等の異常状態にあると判断される。
【0061】
そして、この場合は、スマートフォン100は、遠隔操作判定装置350に対して、異常であるとの信号を出力し、遠隔操作判定装置350の異常判定部343が、自動駐車動作を中止するように、自動運転制御部330に、停止信号を出力し、車両200を停止させ自動駐車動作を中止する。
【0062】
以上、詳細に説明したように、本実施形態の遠隔操作判定装置350及び遠隔操作判定システム400によれば、スマートフォン100の表示部110の画面に指511を接触した状態で、かつ腕510を、予め設定された周期で振り続けることによって、車両200を自動駐車させることができる。
【0063】
したがって、指511を画面から離した状態、例えばスマートフォン100を落下させてしまった状態などにおいて、自動駐車の動作が継続してしまうのを防止することができる。
【0064】
また、指511を画面に接触させていた場合であっても、腕510を、予め設定された周期で振り続けないと、自動駐車の動作が中止されてしまうため、スマートフォン100を振る動作を怠るのを防止することができる、自動駐車の動作中に意識が散漫になるのを防止することができる。
【0065】
また、指511を画面に接触させていない場合に、雨滴等が画面に付着した場合であっても、腕510を、予め設定された周期で振り続ける動作を併せて行わなければ、自動駐車の動作は開始されないため、雨滴等が画面に「付着するだけで、自動駐車の動作が開始されるという誤動作を防止することができる。
【0066】
また、指511を画面に接触させて、かつ腕510を予め設定された周期で振り続ける動作は、スマートフォン100に視線を向けずに行うことができるため、自動駐車の動作が行われている車両200に視線を向けた状態とすることができ、動いている車両200に意識を集中することができる。
【0067】
本実施形態の遠隔操作判定装置350及び遠隔操作判定システム400は、スマートフォン100の表示部110の画面に指511を触れた状態で、腕510を周期的に上下に振る動作の適否を判定するものであるが、本発明に係る遠隔操作判定装置及び遠隔操作判定システムは、判定に用いる動作としては、腕を周期的に上下に振る動作に限定されず、腕を周期的に回転させる動作(1回転するごとに短時間の停止動作を加える等)や腕を周期的に左右に振る動作などを適用することもできる。
【符号の説明】
【0068】
100 スマートフォン(遠隔操作端末機の一例)
110 表示部
120 加速度モジュール
200 車両
250 通信部
340 異常検出部
350 遠隔操作判定装置
400 遠隔操作判定システム
図1
図2
図3
図4
図5