【解決手段】本方法は、Btk阻害剤とチェックポイント阻害剤との組合せの投与を含む。例えば、Btk阻害剤は6−アミノ−9−[(3R)−1−(2−ブチノイル)−3−ピロリジニル]−7−(4−フェノキシフェニル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン、又は医薬的に許容可能なその塩であり、チェックポイント阻害剤は、PD−1、PD−L1、及びCTLA−4から選択される阻害剤である。
PD−L1の阻害剤が、BMS−936559、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、MPDL3280A、MEDI4736、MSB0010718C、及びMDX1105−01からなる群より選択される抗PD−L1抗体である、請求項6に記載の方法。
(i)6−アミノ−9−[(3R)−1−(2−ブチノイル)−3−ピロリジニル]−7−(4−フェノキシフェニル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン、又は医薬的に許容可能なその塩若しくは水和物である、Btk阻害剤の単位投与形態;
(ii)チェックポイント阻害剤の単位投与形態;並びに
(iii)前記Btk阻害剤及び前記チェックポイント阻害剤を癌の治療に使用するための指示を含むラベル
を含む製品。
チェックポイント阻害剤が、PD−1、PD−L1、CTLA−4、PD−L2、LAG3、Tim3、2B4、A2aR、ID02、B7−H3、B7−H4、BTLA、CD2、CD20、CD27、CD28、CD30、CD33、CD40、CD52、CD70、CD80、CD86、CD112、CD137、CD160、CD226、CD276、DR3、OX−40、GAL9、GITR、HVEM、IDO1、ICOS、KIR、LAIR、LIGHT、MARCO、PS、SLAM、TIGIT、VISTA、VTCNl、及びこれらの組合せからなる群より選択されるチェックポイントタンパク質の阻害剤である、製品。
PD−L1の阻害剤が、BMS−936559、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、MPDL3280A、MEDI4736、MSB0010718C、及びMDX1105−01からなる群より選択される抗PD−L1抗体である、請求項11に記載の製品。
チェックポイント阻害剤が、PD−1、PD−L1、CTLA−4、PD−L2、LAG3、Tim3、2B4、A2aR、ID02、B7−H3、B7−H4、BTLA、CD2、CD20、CD27、CD28、CD30、CD33、CD40、CD52、CD70、CD80、CD86、CD112、CD137、CD160、CD226、CD276、DR3、OX−40、GAL9、GITR、ICOS、HVEM、IDO1、KIR、LAIR、LIGHT、MARCO、PS、SLAM、TIGIT、VISTA、及びVTCNl、及びこれらの組合せからなる群より選択されるチェックポイントタンパク質の阻害剤である、請求項15に記載のキット。
PD−L1の阻害剤が、BMS−936559、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、MPDL3280A、MEDI4736、MSB0010718C、及びMDX1105−01からなる群より選択される抗PD−L1抗体である、請求項16に記載のキット。
ヒトが、(i)少なくとも1つの抗癌治療に対して難治性であるか、又は(ii)少なくとも1つの抗癌治療による処置の後に再発を生じたか、又は(i)及び(ii)の両方である、請求項1に記載の方法。
(i)少なくとも1つの化学療法による治療に対して難治性であるか、又は(ii)化学療法による治療後に再発を生じたか、又は(i)及び(ii)の両方であるヒトを感作する方法であって、Btk阻害剤をチェックポイント阻害剤との組合せでヒトに投与することを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の記載では方法やパラメーター等の例を述べる。しかし、斯かる記載は、本発明の範囲の限定を意図するものではなく、例示的な態様の説明として供するにすぎない点に留意されたい。
【0009】
本明細書において提供されるのは、ヒトにおいて癌を治療するための方法であって、それを必要とするヒトに対して、治療有効量のBtk阻害剤と、治療有効量のチェックポイント阻害剤とを投与することを含む方法である。また、Btk阻害剤とチェックポイント阻害剤とを含む組成物(例えば医薬組成物、製剤、又は単位投与形態)、製品及びキットも提供される。更に、本願では、Btk阻害剤及びチェックポイント阻害剤の、癌の治療における使用、又は癌を治療するための薬剤の製造における使用が提供される。
【0010】
化合物
ある例によれば、Btk阻害剤は、化合物A1、又は医薬的に許容可能なその塩若しくは水和物である。化合物A1は、以下の構造を有する。
【化1】
(A1)
【0011】
ある例によれば、Btk阻害剤は、化合物A1の塩酸塩、又はその水和物である。化合物A1は、例えば米国特許第8,557,803号明細書(Yamamoto等)及び米国特許出願公開第2014/0330015号明細書に記載の方法により合成され得る。化合物A1は、(R)−6−アミノ−9−(1−(ブタ−2−イノイル)ピロリジン−3−イル)−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−8(9H)−オン又は6−アミノ−9−[(3R)−1−(2−ブチノイル)−3−ピロリジニル]−7−(4−フェノキシフェニル)−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンとして呼ばれる場合もある。
【0012】
更なるBtk阻害剤としては、これらに限定されるものではないが、(S)−6−アミノ−9−(1−(ブタ−2−イノイル)ピロリジン−3−イル)−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−8(9H)−オン、イブルチニブ(1−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]プロプ−2−エン−1−オン)、アカラブルチニブ、HM71224、CNX−774、RN486、及びCC−292(スペブルチニブ)が挙げられる。
【0013】
本明細書の方法において有用な組合せには、化合物A1、又は医薬的に許容可能なその塩若しくは水和物の医薬的に有効な量と、以下からなる群より選択されるチェックポイントタンパク質阻害剤の医薬的に有効な量とを、それを必要とするヒトに対して投与することが含まれる。
a)プログラム死1(Programmed Death 1:PD−1、CD279)の阻害剤、例えばニボルマブ(オプジーボ(OPDIVO)
(登録商標)、BMS−936558、MDX1106、又はMK−34775)、及びペンブロリズマブ(キイトルーダ(KEYTRUDA)
(登録商標)、MK−3475、SCH−900475、ランブロリズマブ、CAS登録番号1374853−91−4)、並びに米国特許第7,488,802号、米国特許第7,943,743号、米国特許第8,008,449号、米国特許第8,168,757号、米国特許第8,217、149号、国際公開第03042402号、国際公開第2008156712号、国際公開第2010089411号、国際公開第2010036959号、国際公開第2011066342号、国際公開第2011159877号、国際公開第2011082400号、及び国際公開第2011161699号各明細書に記載のPD−1ブロッキング剤;
b)プログラム死−リガンド1(Programmed Death-Ligand 1:PD−L1、別名B7−H1及びCD274)の阻害剤、例えばBMS−936559、MPDL3280A、MEDI4736、MSB0010718C、及びMDX1105−01等の抗体;並びに例えばアテゾリズマブ、デュルバルマブ、及びアベルマブ;
c)CTLA−4の阻害剤、例えばイピリムマブ(ヤーボイ(YERVOY)
(登録商標)、MDX-010、BMS−734016、及びMDX-101)、トレメリムマブ、抗体クローンBNI3(Abcam)、RNA阻害剤、例えば国際公開第1999/032619号、国際公開第2001/029058号、米国特許出願公開第2003/0051263号、米国特許出願公開第2003/0055020号、米国特許出願公開第2003/0056235号、米国特許出願公開第2004/265839号、米国特許出願公開第2005/0100913号、米国特許出願公開第2006/0024798号、米国特許出願公開第2008/0050342号、米国特許出願公開第2008/0081373号、米国特許出願公開第2008/0248576号、米国特許出願公開第2008/055443号、米国特許第6,506,559号、米国特許第7,282,564号、米国特許第7,538,095号、及び米国特許第7,560,438号各明細書(各々援用により本明細書に組み込まれる)に記載のもの;
d)PD−L2(B7−DC、CD273)の阻害剤、例えばAMP−224(Amplimune, Inc.)及びrHIgM12B7;並びに
e)チェックポイントタンパク質に対して活性な他の阻害剤、例えば:LAG3、例えばIMP321;TIM3(HAVCR2);2B4;A2aR、ID02;B7H1;B7−H3又はB7H3、例えば抗体MGA271;B7H4;BTLA;CD2;CD20、例えばイブリツモマブ・チウキセタン、オファツムマブ、リツキシマブ、オビヌツズマブ及びトシツモマブ;CD27、例えばCDX−1127;CD28;CD30、例えばブレンツキシマブ・ベドチン;CD33、例えばゲムツズマブ・オゾガマイシン;CD40;CD52、例えばアレムツズマブ;CD70;CD80;CD86;CD112;CD137;CD160;CD226;CD276;DR3;OX−40(TNFRSF
4及びCD134);GAL9;GITR;例えばTRX518;HAVCR2;HVEM;IDOl;ICOS(誘導型T細胞共刺激剤;CD278);例えばMEDI570(Medimmune LLC)及びAMG557(Amgen);KIR;LAIR;LIGHT;MARCO(コラーゲン様構造を有するマクロファージ受容体);PS(ホスファチジルセリン);SLAM;TIGIT;VISTA;及びVTCNl;又はそれらの組合せが挙げられる。
【0014】
他の例によれば、チェックポイント阻害剤は、PD−1、PD−L1、及びCTLA−4からなる群より選択されるチェックポイントタンパク質の阻害剤である。他の例によれば、チェックポイント阻害剤は、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、及び抗CTLA−4抗体からなる群より選択される。一例によれば、抗PD−1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、及びランブロリズマブからなる群より選択される。他の例によれば、抗PD−L1抗体は、BMS−936559、MPDL3280A、MEDI4736、MSB0010718C、及びMDX1105−01からなる群より選択される。更に他の例によれば、抗PD−L1抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群より選択される。他の例によれば、抗CTLA−4抗体は、イピリムマブ及びトレメリムマブからなる群より選択される。一態様によれば、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ランブロリズマブ、BMS−936559、MPDL3280A、MEDI4736、MSB0010718C、MDX1105-01、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、イピリムマブ、及びトレメリムマブからなる群より選択される。ある態様によれば、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ランブロリズマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、イピリムマブ、及びトレメリムマブからなる群より選択される。ある態様において、一態様によれば、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群より選択される。
【0015】
本明細書において提示される化合物名は、ChemBioDraw Ultra 12.0を用いて命名されたものである。当業者であれば理解するように、化合物は、種々の一般に認められている命名法及び記号を用いて命名又は特定することができる。例として、化合物は通称名、体系名、又は非体系名で命名又は特定することができる。化学分野で一般に認められている命名法及び記号としては、例えば化学情報検索サービス機関(Chemical Abstract Service:CAS)、ChemBioDraw Ultra、及び国際純正応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry:IUPAC)が挙げられる。
【0016】
また、本明細書に詳述される化合物の同位体標識形態も、本明細書において提供される。同位体で標識された化合物は、選択された原子質量又は質量数を有する原子により1又は2以上の原子が置換されてなることを除けば、本明細書に示す式により表される構造を有する。本発明の化合物に導入することが可能な同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体、例えば、これらに限定されるものではないが、
2H(重水素、D)、
3H(三重水素)、
11C、
13C、
14C、
15N、
18F、
31P、
32P、
35S、
36Cl及び
125Iが挙げられる。同位体標識された種々の本願の化合物、例えば
3H、
13C及び
14C等の放射性同位体が導入された化合物が提供される。斯かる同位体標識された化合物は、例えば代謝研究、反応動態研究、検出、又は画像化技術、例えば陽電子断層撮影法(positron emission tomography:PET)又は単光子放出コンピューター断層撮影法(single-photon emission computed tomography:SPECT)、例えば対象(例えばヒト)の放射線治療における薬物又は基質の組織分布アッセイ等に有用である。また、本明細書に記載の同位体標識化合物に関し、該当する場合には、医薬的に許容可能な塩又は水和物も提供される。
【0017】
一部の例によれば、本明細書に開示される化合物は、ある炭素原子に結合する1〜nの水素が重水素で置換されるように改変されていてもよい。ここでnは分子内の水素の数である。斯かる化合物は、代謝に対する抵抗性が上昇しうることから、哺乳類への投与時における化合物の半減期を延長するのに有用である。例えば、Foster, “Deuterium Isotope Effects in Studies of Drug Metabolism”, Trends Pharmacol. Sci. 5(12):524-527(1984)参照。斯かる化合物は、本技術分野で周知の手法により、例えば、1又は2以上の水素が重水素で置換された出発物質を用いることにより合成される。
【0018】
重水素により標識又は置換された本発明の治療用化合物は、吸収、分布、代謝及び排出(absorption, distributuion, metabolism, and excretion:ADME)に関するDMPK(薬物代謝及び薬学動態:drug metabolism and pharmacokinetics)の性質が改善され得る。重水素等の重同位体で置換することにより、例えばインビボ(in vivo)での半減期の延長、必要用量の低減、及び/又は、治療指数の改善等、代謝安定性の向上による特定の治療上の利点がもたらされ得る。
18F標識化合物は、PET又はSPECT研究に有用な場合がある。本発明の同位体標識化合物は概ね、以下に記載のスキーム、又は、以下に記載の実施例及び調製例に開示の手順を、非同位体標識されていない試薬の代わりに、容易に入手可能な同位体標識試薬を用いて実施することにより、調製することができる。なお、この場合の重水素は、本明細書で提供される化合物の置換基と見做されるものと解される。
【0019】
斯かる重同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮係数により定義することができる。本発明の化合物において、具体的に特定の同位体として表示されていない原子は、斯かる原子の安定な同位体を意味するものと意図される。別途記載されない限り、ある位置が具体的に「H」又は「水素」として表示されていない場合、その位置には水素が、その天然存在度の同位体組成において存在するものと解される。従って、本発明の化合物において、具体的に重水素(D)として表示されている任意の原子は、重水素を意味するものと解される。
【0020】
ある物質について「医薬的に許容可能な」と言う場合には、斯かる物質のうち、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等を有さず、概ね安全且つ使用に適しており、合理的なリスク対効果比に見合っている物質を意味する。本明細書で使用する場合、「医薬的に許容可能な」とは、生物学的又は他の何れかの理由により不所望ではない材料、例えば患者に投与される医薬組成物に添加した場合に、顕著な不所望の生物学的作用を引き起こしたり、添加対象の組成物の他の成分の何れかと有害な相互作用を起こしたりしない材料を指す。医薬的に許容可能なビヒクル(例えば担体、アジュバント、及び/又は他の賦形剤)は、毒物学的試験及び製造試験に求められる基準を充足し、及び/又は、米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)が定める不活性成分ガイド(Inactive Ingredient Guide)に含まれていることが好ましい。
【0021】
「医薬的に許容可能な塩」とは、ある化合物(例えば化合物A又は化合物B、又はその双方)の塩であって、医薬的に許容可能であり、且つ親化合物の所望の薬理活性を保持する(或いは斯かる活性を有する形態に変換可能である)塩を意味する。斯かる塩としては、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等と形成される酸付加塩;又は有機酸、例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、オレイン酸、パルミチン酸、プロピオン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸等と形成される酸付加塩、或いは、親化合物に存在する酸性陽子が、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアルミニウム等により置換され;又は有機塩基、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン等に配位することにより形成される塩が挙げられる。「医薬的に許容可能な塩」としては、例えば、無機酸との塩や有機酸との塩が挙げられる。塩の例としては、塩酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルフィン酸塩、硝酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メシル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、及びアルカン酸塩(例えば酢酸塩、HOOC−(CH
2)
n−COOH、ここでnは0〜4)が挙げられる。更に、本明細書に記載の化合物が酸付加塩として得られる場合、その遊離塩基は、酸付加塩の溶液を塩基性化することにより得ることができる。逆に、もし産物が遊離塩基である場合、その付加塩、特に医薬的に許容可能な付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製するための従来の手順に従って、遊離塩基を適切な有機溶媒に溶解させ、得られた溶液を酸で処理することにより得ることができる。更にこの定義に含まれる物として、アンモニウムや、置換又は四級化アンモニウム塩も挙げられる。医薬的に許容可能な塩の代表的且つ非限定的なリストは、S.M. Berge et al., J. Pharma Sci., 66(1), 1-19 (1977)や、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, R. Hendrickson, ed., 21st edition, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA, (2005)の732頁の表38−5に見いだされる。これらの文献は何れも引用により本明細書に組み込まれる。当業者であれば、非毒性の医薬的に許容可能な付加塩の調製に利用可能な種々の合成方法論を知っているであろう。
【0022】
「有効量」、「医薬的に有効な量」、及び「治療有効量」という語は、所望の生物学的又は医療的な応答を生じさせるのに有効でありうる量を指す。これらの語には、疾患を治療する対象に投与した場合に、斯かる疾患の治療作用を生じさせるのに十分な化合物の量が含まれる。有効量は、化合物、疾患及びその重篤度、並びに治療される対象の年齢や体重等に応じて異なる。有効量には、複数の量の範囲が含まれていてもよい。医薬的に有効な量には、ある剤を他の剤と組み合わせた場合に有効な剤の量も含まれる。
【0023】
治療有効量は、対象、治療される疾患又は病態、対象の体重や年齢、疾患又は病態の重篤度、及び投与経路に応じて異なるが、当業者であれば容易に決定可能である。
【0024】
一部の例によれば、「治療」(treatment)又は「治療する」(treating)とは、有益又は所望の結果、例えば臨床結果を得るためのアプローチである。有益又は所望の臨床結果としては、例えば以下のうち1又は2以上が挙げられる。
(i)疾患に起因する1又は2以上の症状を低減する;
(ii)疾患の程度を軽減し、及び/又は、疾患を安定化させる(例えば疾患の悪化を遅延させる);
(iii)疾患の拡大を遅延させる;
(iv)疾患の開始若しくは再発、及び/又は、疾患の進展を遅延又は減速化する;
(v)疾患の状態を改善し、及び/又は、疾患の(部分的又は全面的な)寛解を生じさせ、及び/又は、疾患の治療に必要な1又は2以上の他の薬物治療の用量を低減する;
(vi)生活の質を改善する;
(vii)生存期間を延長する;
(iix)疾患又は病態に関連する1又は2以上の臨床症状の進行を減速又は停止させる(例えば、疾患又は病態を安定化させ、疾患又は病態の悪化又は進行を予防又は遅延し、及び/又は、疾患又は病態の蔓延(例えば、転移)を予防又は遅延する);及び/又は
(ix)疾患を軽減する、即ち、臨床症状の退行を生じさせる(例えば、疾患の状態を改善し、疾患又は病態の部分又は完全寛解を供し、他の投薬治療の効果を増強し、疾患の進行を遅延させ、生活の質を向上させ、及び/又は、生存期間を延長する)。如何なる仮説又は理論にも束縛されるものではないが、本明細書に記載の1又は2以上の剤を含む方法は、予測し得ない治療上の利益を供するものであってもよい。かかる利益としては、これらに限定されるものではないが、治療期間の短縮、癌における微小残存病変の縮小又は最小化、癌抵抗性の縮小又は最小化、生存率の向上、又は癌の発症の減速化が挙げられる。
【0025】
疾患又は病態の進行を「遅延させる」(delaying)とは、疾患又は病態の進行を延期し、妨害し、減速させ、遅滞させ、安定化させ、及び/又は、順延することを意味する。斯かる遅延の時間は、疾患又は病態の病歴、及び/又は、治療される対象に応じて様々である。疾患又は病態の進行を「遅延させる」(delays)方法とは、斯かる方法を使用しない場合と比較して、所与の時間枠における疾患又は病態の進行の可能性を低下させ、及び/又は、所与の時間枠における疾患又は病態の程度を低下させる方法である。斯かる比較は、通常は臨床試験に基づき、統計的に有意な数の対象を用いて行われる。疾患又は病態の進行は、標準的な方法、例えば定期的な身体検査、マンモグラフィー、画像化、又は生検を用いて検出することが可能である。また、進行には、当初は検出できないような疾患又は病態の進行、例えば発症、再発、及び兆候等を含めてもよい。
【0026】
本明細書において数値又はパラメーターに「約」(about)を付す場合は、斯かる数値又はパラメーター自体を対象とする態様も含まれる(また、斯かる態様も記載されている)ものとする。ある態様によれば、「約」という語には、表示される量±10%が含まれる。他の態様によれば、「約」という語には、表示される量±5%が含まれる。他の特定の態様によれば、「約」という語には、表示される量±1%が含まれる。また、「約X」という記載には、「X」に関する記載が含まれる。また、単数形の冠詞(“a”及び“the”)には、文脈上明らかに当てはまらない場合を除き、複数についての言及も含まれるものとする。即ち、例えば「前記化合物」(the compound)という記載には、複数の前記化合物が含まれ、「前記アッセイ」(the assay)という記載には、1又は2以上のアッセイ、及び、当業者に公知のその同等物が含まれるものとする。
【0027】
治療の方法
本明細書に記載のBtk阻害剤及びチェックポイント阻害剤は、組合せ治療で用いてもよい。即ち、本明細書で提供されるのは、それを必要とするヒトにおいて癌を治療するための方法であって、本明細書に記載の治療有効量のBtk阻害剤と、治療有効量のチェックポイント阻害剤とを、前記ヒトに対して投与することを含む方法である。一態様によれば、癌を治療するための方法は、それを必要とするヒトに対して、化合物A1及びニボルマブを投与することを含む。ある態様によれば、癌を治療するための方法は、それを必要とするヒトに対して、化合物A1及びペンブロリズマブを投与することを含む。ある態様によれば、癌を治療するための方法は、それを必要とするヒトに対して、化合物A1及びアテゾリズマブを投与することを含む。如何なる理論又は仮説にも拘束されるものではないが、本明細書に記載の組合せ治療は、癌治療のための所望の作用を提供しうる。本願に記載の結果は、化合物A1と抗PD−1抗体との組合せによって、腫瘍体積の低減又は腫瘍の寛解が生じたことを示している。従前の報告では、B細胞リンパ腫A20はBtk阻害剤イブルチニブに対して感受性を有しないとされてきた(Sagiv-Barfi et al., PNAS, 2015;E966-E972)。Sagiv-Barfi等及び米国特許出願公開第2015/0118222号明細書には、Btk阻害剤のチェックポイント阻害剤との組合せによる癌の治療への使用が開示されている。しかし、何れの報告も、イブルチニブ又は1−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]プロプ−2−エン−1−オンをBtk阻害剤として用いた結果を記載するものであった。
【0028】
癌
ある態様によれば、癌は、癌腫、肉腫、メラノーマ、リンパ腫又は白血病である。他の態様によれば、癌は、血液系悪性腫瘍である。ある態様によれば、癌は、白血病(例えば慢性リンパ性白血病)、リンパ腫(例えば非ホジキンリンパ腫)、又は多発性骨髄腫である。ある態様によれば、癌は、B細胞癌又はB細胞悪性腫瘍である。他の態様によれば、癌は、固体腫瘍である。
【0029】
ある例によれば、癌は、小リンパ性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、無痛性非ホジキンリンパ腫(indolent non-Hodgkin's lymphoma:iNHL)、難治性iNHL、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、免疫芽球性大細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、脾性辺縁帯B細胞リンパ腫(+/−有毛リンパ球)、節性辺縁帯リンパ腫(+/−単球様B細胞)、粘膜関連リンパ組織型の節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、節外性T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、菌状息肉腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性浸出性リンパ腫、小型非開裂細胞性リンパ腫、バーキット様(Burkitt's)リンパ腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、急性リンパ性白血病、T細胞型急性リンパ芽球性白血病、B細胞型急性リンパ芽球性白血病、B細胞前リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、若年性骨髄単球性白血病、微小残存病変、毛様細胞白血病、原発性骨髄線維症、続発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、又はワルデンストレームマクログロブリン血症(Waldenstrom's macroglobulinemia)が挙げられる。ある例によれば、癌は、微小残存病変(MRD)である。特定の例によれば、MRDは、例えばリンパ腫、白血病、非ホジキンリンパ腫又は無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、小リンパ性リンパ腫(SLL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、濾胞性リンパ腫(FL)、又はワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であってよい。
【0030】
一部の態様によれば、B細胞悪性腫瘍はB細胞リンパ腫又はB細胞白血病である。一部の例によれば、B細胞悪性腫瘍は、濾胞性リンパ腫(FL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、非胚中心B細胞リンパ腫(GCB)、又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。一部の例によれば、B細胞悪性腫瘍はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。一例によれば、DLBCLは活性化B細胞様びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL)である。別の例によれば、DLBCLは胚中心B細胞様びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB−DLBCL)である。他の例によれば、B細胞悪性腫瘍は慢性リンパ性白血病(CLL)である。他の例によれば、B細胞悪性腫瘍はマントル細胞リンパ腫(MCL)である。更に他の例によれば、B細胞悪性腫瘍はヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)である。他の例によれば、癌は、膵臓癌、泌尿器癌、膀胱癌、大腸癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌、甲状腺癌、胆嚢癌、肺癌(例えば非小細胞型肺癌、小細胞型肺癌等)、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、子宮内膜癌、食道癌、頭頸部癌、メラノーマ、神経内分泌癌、CNS癌、脳腫瘍(例えば神経膠腫、未分化希突起神経膠腫、成人多形性膠芽腫、及び成人未分化星細胞腫)、骨肉腫、軟組織肉腫、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、腹水、悪性胸水、中皮腫、ウィルムス腫瘍、栄養膜新生物、血管周囲細胞腫、カポジ肉腫、粘液性癌腫、円形細胞性癌腫、扁平上皮細胞性癌腫、食道扁平上皮細胞性癌腫、口腔癌腫、副腎皮質の癌、又はACTH産生腫瘍等である。
【0031】
対象
(治療を)必要とするヒトとは、例えば癌を有する、又はその疑いがある個人である。ある例によれば、斯かるヒトとは、癌を発症するリスクのあるヒト(例えば、遺伝的又は非遺伝的に癌を発症する素因のあるヒト)であって、癌との診断を受けたことがあるか否かにはよらない。本明細書で使用する場合、「リスクのある」(at risk)対象とは、癌(例えば血液学的悪性疾患)を発症するリスクのある対象である。斯かる対象は、検出可能な疾患を有していてもいなくてもよく、また、本明細書に記載の治療方法に先立ち、検出可能な疾患を発症していてもいなくてもよい。リスクのある対象は、1又は2以上のいわゆる危険因子を有する場合がある。危険因子とは、癌の進行と相関を有する測定可能なパラメーター、例えば本明細書に記載のパラメーターである。こうした危険因子を1又は2以上有する対象は、これらの危険因子を有しない個人よりも、癌を発症する可能性が高い。
【0032】
これらの危険因子としては、例えば年齢、性別、人種、食生活、既往歴、疾患の前兆の存在、遺伝子的(例えば遺伝的)考察、及び環境暴露等が挙げられる。一部の態様によれば、癌のリスクのあるヒトとしては、例えばこの疾患を経験した親族を有するヒトや、遺伝子学又は生化学的マーカーの分析によりリスクがあると判定されたヒトが挙げられる。癌の既往歴も、癌の再発危険因子の例である。
【0033】
一部の態様によれば、本明細書では、癌(例えば血液学的悪性疾患)に関連する1又は2以上の症状を呈するヒトを治療する方法が提供される。一部の態様によれば、斯かるヒトは、早期の癌を有する。他の態様によれば、斯かるヒトは、進行期の癌を有する。
【0034】
一部の態様によれば、本明細書では、癌(例えば血液学的悪性疾患)を治療するための1又は2以上の標準療法、例えば化学療法、放射線療法、免疫療法、及び/又は、手術を受けたヒトを治療する方法が提供される。即ち、前述の態様の一部によれば、本明細書に記載のBTK阻害剤とチェックポイント阻害剤との組合せは、化学療法、放射線療法、免疫療法、及び/又は、手術の実施の前、実施と同時、又は実施の後の何れに投与してもよい。
【0035】
別の側面によれば、本明細書では、癌(例えば血液学的悪性疾患)の治療に対して「難治性」(refractory)であるヒト、又は、癌の治療の後に「再発」(relapse)を生じたヒトを治療する方法が提供される。抗癌療法に対して「難治性」の対象とは、特定の治療に対して応答しないことを意味し、抵抗性(resistant)とも呼ばれる。癌は、治療の開始時から治療に対して抵抗性であってもよく、治療の過程において、例えば治療が癌に対して幾分の、しかし寛解又は部分寛解と見做すには十分ではない程度の効果を示した後に、抵抗性となったものでもよい。「再発」を生じた対象とは、改善の期間の後、例えば治療により癌の有効な低減が見られた後、例えば対象が寛解又は部分寛解した後、癌が再度出現し、又は癌の兆候及び症状が再出現することを意味する。
【0036】
一部の例によれば、ヒトは、(i)少なくとも1つの抗癌治療に対して難治性であるか、(ii)少なくとも1つの抗癌治療による治療の後に再発したか、又は(i)及び(ii)の両方である。ある態様によれば、ヒトは、少なくとも2種、少なくとも3種、又は少なくとも4種の抗癌療法(例えば標準又は実験的な化学療法を含む)に対して難治性である。
【0037】
他の側面によれば、(i)少なくとも1つの化学療法による治療に対して難治性であるヒト、又は、(ii)化学療法による治療後に再発を生じたヒト、又は、(i)及び(ii)の両方であるヒトを感作する方法であって、本明細書に記載のBtk阻害剤を、チェックポイント阻害剤との組合せで、前記ヒトに投与することを含む方法が提供される。感作されるヒトは、本明細書に記載のBtk阻害剤とチェックポイント阻害剤との組合せによる投与を含む治療に対して反応性のヒト、又は、斯かる治療に対して抵抗性を発症していないヒトである。
【0038】
他の側面によれば、本明細書では、ヒトにおける共存症を伴う癌を治療するための方法であって、前記治療が前記共存症の治療にも有効である方法が提供される。癌に対する「共存症」(comorbidity)とは、癌と同時に生じる疾患である。
【0039】
慢性リンパ性白血病の場合、ヒトが受け得る事前の治療としては、例えば:
a)フルダラビン(Fludara
(登録商標));
b)リツキシマブ(Rituxan
(登録商標));
c)リツキシマブ(Rituxan
(登録商標))とフルダラビンとの組合せ(適宜FRと略称する);
d)シクロホスファミド(シトキサン(Cytoxan)
(登録商標))とフルダラビンとの組合せ;シクロホスファミドとリツキシマブ及びフルダラビンとの組合せ(適宜FCRと略称する);
e)シクロホスファミドとビンクリスチン及びプレドニゾンとの組合せ(適宜CVPと略称する);
f)シクロホスファミドとビンクリスチン、プレドニゾン、及びリツキシマブとの組合せ;
g)シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン(Oncovin)、及びプレドニゾンの組合せ(適宜CHOPと略称する);
h)クロラムブシルと、プレドニゾン、リツキシマブ、オビヌツズマブ、又はオファツムマブとの組合せ;
i)ペントスタチンとシクロホスファミド及びリツキシマブとの組合せ(適宜PCR)と略称する;
j)ベンダムスチン(Treanda
(登録商標))とリツキシマブとの組合せ((適宜BRと略称する);
k)アレムツズマブ(キャンパス(campath)
(登録商標));
l)フルダラビン、及び、シクロホスファミド、ベンダムスチン、又はクロラムブシル;及び
m)フルダラビン、及び、シクロホスファミド、ベンダムスチン、又はクロラムブシルと、抗CD20抗体、例えばリツキシマブ、オファツムマブ、又はオビヌツズマブとの組合せ
が挙げられる。
【0040】
治療有効量
一部の例によれば、治療有効量とは、以下に定義する治療を必要とする対象(例えばヒト)に投与した場合に、斯かる治療を有効とせしめるのに十分な量を意味する。治療有効量は、治療される対象及び病態、対象の体重及び年齢、病態の重症度、投与形式等によってことなるが、当業者であれば容易に決定することが可能である。例えば、ある例によれば、化合物A1又は医薬的に許容可能なその塩若しくは水和物の治療有効量は、Btk発現を調節し、これにより適応症を患うヒトを治療し、又は適応症の既存の症状を緩和又は軽減するのに十分な量である。一例によれば、チェックポイント阻害剤の治療有効量は、1又は2以上のチェックポイントタンパク質の活性を調節し、これにより適応症を患うヒトを治療し、又は適応症の既存の症状を緩和又は軽減するのに十分な量である。
【0041】
別の例によれば、Btk阻害剤、例えば化合物A又は医薬的に許容可能なその塩若しくは水和物の治療有効量は、Btk活性の阻害に応じて、疾患又は病態の症状を低減するのに十分な量である。
【0042】
一例によれば、Btk阻害剤の治療有効量は、10%血清とのアポトーシスアッセイの実施に使用される1nmol〜10,000nmolのBtk阻害剤に相当する用量である。これは概ね、Btk阻害剤の血漿中濃度500nmol〜2500nmolに関する。一例によれば、チェックポイント阻害剤の治療有効量は、10%血清とのアポトーシスアッセイの実施に使用される1nmol〜200nmolのチェックポイント阻害剤に相当する用量である。チェックポイント阻害剤との組合せの場合、具体例には3nM、5nM、10nM、20nM、及び30nMの濃度が含まれる。
【0043】
Btk阻害剤及びチェックポイント阻害剤の治療有効量は、例えば、アポトーシスアッセイや抗腫瘍効果試験等、本技術分野で公知のアッセイにより得られるデータに基づき決定してもよい。一例によれば、ヒトにおけるBtk阻害剤の治療有効量は、約1mg〜約200mgの用量である。他の態様によれば、ヒトにおいてBtkは約10mg〜約200mgの用量で投与される。他の態様によれば、ヒトにおいてBtkは約20mg〜約160mgの用量で投与される。他の個別の態様によれば、Btk阻害剤はヒトに対して、a)約10mg〜約100mg、b)約50mg〜約175mg、c)約20mg〜約150mg、d)約75mg〜約100mg、及びe)約100mg〜約200mgの用量で投与される。それを必要とするヒトに対して投与可能なBtk阻害剤の個別用量には、1mg、5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、901mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、175mg、及び200mgの個別用量が含まれる。Btk阻害剤の前記用量は、医療専門家の決定に従って投与でき、一日一回投与してもよく、一日二回、一日三回、又は一日四回送達してもよい。
【0044】
他の例によれば、Btk阻害剤、例えば化合物A1、又は医薬的に許容可能なその塩若しくは水和物は、ヒトに対して約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約90%、約95%、又は約99%のBtkを標的化した阻害をもたらすような用量で投与される。他の例によれば、チェックポイント阻害剤は、ヒトに対して約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約90%、約95%、又は約99%のチェックポイントタンパク質を標的化した阻害をもたらすような用量で投与される。
【0045】
ある例によれば、Btk阻害剤、例えば化合物A1、又は医薬的に許容可能なその塩若しくは水和物は、ヒトに対して40mg〜1200mg、40mg〜800mg、40mg〜600mg、40mg〜40mg、約100mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、又は約800mgの用量で投与される。ある例によれば、チェックポイント阻害剤は、ヒトに対して20〜600mg、20〜400mg、20〜200mg、約20mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、又は約800mgの用量で投与される。
【0046】
治療有効量のBtk阻害剤及びチェックポイント阻害剤は、所望の治療目標を達成する量を単回用量として供してもよく、複数回用量として供してもよい。本明細書で使用する場合、「用量」(dose)とは、ヒトが各投与時点で摂取すべき活性成分の合計量を指す。例えば上述の経口投与等で投与される用量は、毎日一回(QD)、毎日二回(BID)、毎日三回、毎日四回、又は毎日五回以上投与することができる。一部の態様によれば、Btk及び/又はチェックポイント阻害剤は、毎日一回投与することができる。一部の態様によれば、Btk及び/又はチェックポイント阻害剤は、毎日二回投与することができる。ある態様によれば、チェックポイント阻害剤は、毎週一回投与してもよく、或いはその頻度を変化させ、毎日、一日おき、五日おき、1、2、3、4、5、6又は7日間に亘り毎日、更には毎週としてもよい。或いはこれらの異なる頻度及び用量を適宜組み合わせ、最終的に耐容且つ有効な用量及び用法を達成してもよい。本明細書に記載の用法は、Btk阻害剤及びチェックポイントタンパク質阻害剤を、それを必要とするヒトに対して同時又は異なる時点に投与することを包含することを意図する。
【0047】
一例によれば、チェックポイント阻害剤の治療有効量は、抗原特異的T細胞応答を生じさせるのに十分な受容体の占有を引き起こす用量である。チェックポイント阻害剤(抗PD−1、抗PD−L1、又は抗CTLA−4抗体)の個々の用量を、それを必要とするヒトに投与することができる。チェックポイント阻害剤の用量は、医療専門家の決定に従って投与でき、二週、三週、又は四週間毎に一回投与してもよく、これらの周期で送達を最長三年、或いはそれ以上に亘り継続してもよい。他の態様によれば、投与する抗体の量は、各用量に応じて異なる。例えば、抗体の維持(又は後続)用量は、初回に投与した負荷用量と同一又はそれを超える量とすることができる。他の態様によれば、抗体の維持用量は、負荷用量と同一又はそれ未満の量とすることができる。他の態様によれば、チェックポイント阻害抗体は、毎週一回、二週又は三週おきに一回、毎月一回、或いは臨床的な有益性が観察されるまで、或いは完全な応答が得られるか、疾患の進行又は対処し得ない毒性が生じるまで投与される。
【0048】
他の例示的な態様によれば、チェックポイント阻害抗体は、約0.3〜10mg/kgで、又は最大耐量で、二週、三週、四週、又は約六週間おきに投与することが好ましい。他の態様によれば、チェックポイント阻害抗体の用量は、一定の固定用量である。ある態様によれば、1mg/kgを二週間おきに投与する。他の態様によれば、2mg/kgを三週間おきに投与する。更に他の態様によれば、3mg/kgを二週間おきに投与する。ある態様によれば、前記用量を静脈内注入により60分間かけて投与する。他の態様によれば、前記用量を静脈内注入により30分間かけて投与する。他の態様によれば、チェックポイント阻害抗体の用量を経時的に変更する。例えば、抗PD−1、抗PD−L1、又は抗CTLA−4抗体を、当初は高用量で投与し、経時的に減量することができる。他の態様によれば、チェックポイント阻害抗体を、当初は低用量で投与し、経時的に増量することができる。或いは、ある用量増加型の投薬計画によれば、チェックポイント阻害抗体を、第一の投薬量として約1mg/kg又は3mg/kgで、第二の投薬量として約5mg/kgで、及び第三の投薬量として約10mg/kgで投与することが含まれる。或いは、用量増加型の投薬計画は、チェックポイント阻害抗体を第一の投薬量として約5mg/kgで、及び第二の投薬量として約10mg/kgで投与することを含む。他の段階的用量増加型の投薬計画としては、例えばチェックポイント阻害抗体を、第一の投薬量として約1mg/kgで、第二の投薬量として約3mg/kgで、第三の投薬量として約3mg/kgで、第四の投薬量として約5mg/kgで、及び第五の投薬量として約10mg/kgで投与することが含まれる。他の側面によれば、段階的用量増加型の投薬計画は、第一の投薬量として3mg/kgで、第二の投薬量として5mg/kgで、及び第三の投薬量として10mg/kgで投与することを含んでいてもよい(Postow et al., N Engl J Med. 2015;372(21):2006-17)。他の態様によれば、投与周期は八週間であるが、必要に応じて繰り返すこともできる。他の態様によれば、治療は最長12周期からなる。
【0049】
投与
本明細書に記載のBtk阻害剤、例えば化合物A1と、チェックポイント阻害剤とは、本技術分野で公知の任意の適切な方法を用いて投与することができる。例えば、これらの化合物は、口腔内、眼内、経口、浸透圧、非経口(筋肉内、腹腔内、胸骨内、静脈内、皮下)、直腸内、局所、経皮、又は膣内の経路により投与することができる。特定の態様によれば、チェックポイント阻害剤は静脈内投与される。一態様によれば、Btk阻害剤は化合物A1又はその塩酸塩であり、これを経口により一日一回、それを必要とする対象に対して、20mg、40mg、80mg、又は150mgの用量で投与することができる。ある態様によれば、Btk阻害剤は化合物A1又はその塩酸塩であり、これを経口により一日二回、対象に対して20mg、40mg、又は75mgの用量で投与することができる。他の態様によれば、チェックポイント阻害剤はニボルマブであり、これを静脈内注射により二週間おきに一回、それを必要とする対象に対して、1mg/kg、2mg/kg、又は3mg/kgの用量で投与することができる。更なる態様によれば、チェックポイント阻害剤はペンブロリズマブであり、これを静脈内注射により三週間おきに一回、それを必要とする対象に対して2mg/kg、100mg、又は200mgの用量で投与することができる。ある態様によれば、チェックポイント阻害剤はアテゾリズマブであり、これを静脈内注射により三週間おきに一回、それを必要とする対象に対して1,200mgの用量で投与することができる。更に、特定の例によれば、本明細書に記載のBtk阻害剤は、本明細書に記載のチェックポイント阻害剤の投与の前、後、又はこれと同時の何れの時点で投与してもよい。
【0050】
医薬組成物
Btk及びチェックポイント阻害剤は、医薬組成物の形態で投与することができる。例えば、ある例によれば、本明細書に記載のBtk阻害剤は、Btk阻害剤と少なくとも1つの医薬的に許容可能なビヒクルとを含む医薬組成物中に存在するものであってもよい。一部の例によれば、本明細書に記載のチェックポイント阻害剤は、チェックポイント阻害剤と少なくとも1つの医薬的に許容可能なビヒクルとを含む医薬組成物中に存在するものであってもよい。医薬的に許容可能なビヒクルとしては、例えば医薬的に許容可能な担体、アジュバント、及び/又は、賦形剤が挙げられるが、他の成分であっても、製剤中の他の成分と適合すると共に、需要者に対して有害なものでない限り、医薬的に許容可能であると見做される。
【0051】
従って、本明細書では、本明細書に記載のBtk及びチェックポイント阻害剤と、1又は2以上の医薬的に許容可能なビヒクル、例えば賦形剤、担体、例えば不活性の固体希釈材及び充填材、希釈材、例えば無菌水性溶液及び種々の有機溶媒、透過促進剤、溶解剤及びアジュバント等を含む医薬組成物が提供される。斯かる医薬組成物は単独で投与してもよく、他の治療剤と組合せて投与してもよい。斯かる組成物は、医薬分野で周知の手法により調製することができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mace Publishing Co., Philadelphia, PA 17th Ed. (1985);及びModern Pharmaceutics, Marcel Dekker, Inc. 3rd Ed. (G.S. Banker & C.T. Rhodes, Eds.)等を参照)。
【0052】
本医薬組成物は単回用量又は複数回用量の何れで投与してもよく、同様の有用性を有する剤について認められている投与形態の何れにより、例えば直腸内、口腔内、鼻腔内、及び経皮経路により、動脈内注入により、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所投与により、吸入剤として、又は含浸又は被覆デバイス、例えばステント、又は動脈内挿入シリンダー状ポリマー等により投与してもよい。
【0053】
一部の態様によれば、本明細書に記載の医薬組成物は、単位投与形態として処方される。「単位投与形態」(unit dosage form)とは、ヒト対象への単回投与に適した物理的に分離した単位であって、各単位が、所望の治療効果を発揮するべく計算された所定量の活性成分を、適切な医薬賦形剤との組合せで含むものをいう。一部の例によれば、本明細書に記載の医薬組成物は、錠剤、カプセル、又はアンプルの形態である。
【0054】
ある態様によれば、本明細書に記載のBtk阻害剤、例えば化合物A1、又は医薬的に許容可能なその塩若しくは水和物は、錠剤として製剤化される。ある例によれば、斯かる錠剤は、化合物A1の塩酸塩を含んでいてもよい。化合物A1を含む斯かる錠剤は、例えば、本技術分野で公知の適切な方法、例えば噴霧乾燥及び造粒(例えば乾燥造粒等)により調製してもよい。
【0055】
追加の治療剤
本明細書において、ある側面によれば、本明細書に記載の組合せは更に、化学療法剤、免疫療法剤、放射線療法剤、抗新生物剤、抗癌剤、抗増殖剤、抗線維化剤、抗血管新生剤、治療用抗体、又はこれらの任意の組合せと使用し、或いはこれらと組合せてもよい。
【0056】
化学療法剤はその作用機序に基づき、例えば以下の群に分類される:代謝拮抗剤/抗癌剤、例えばピリミジン類似物(フロクスリジン(フロクスウリジン)、カペシタビン、及びシタラビン);プリン類似物、葉酸アンタゴニスト(例えばプララトレキサート)及び関連阻害性抗増殖剤/抗有糸分裂剤、例えば天然産物、例えばビンカ・アルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン)及び微小管、例えばタキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロン、ビノレルビン、及びナベルビン、エピジポドフィロトキシン(epidipodophyllotoxin)(エトポシド、テニポシド);DNA損傷剤(アクチノマイシン、アムサクリン、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド(シトキサン)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イホスファミド、メルファラン、メクロレタミン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソ尿素、プロカルバジン、タキソール、タキソテール、テニポシド、エトポシド、トリエチレンチオリン酸アミド);抗生物質、例えばダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)及びマイトマイシン;酵素(L−アスパラギナーゼ:全身にてL−アスパラギンを代謝し、自らアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を死滅させる);抗血小板剤;アスパラギナーゼ刺激剤(例えばクリサンタスパーゼ(crisantaspase)(Erwinase
(登録商標))及びGRASPA(ERY−001、ERY−ASP)等);抗増殖/抗有糸分裂性アルキル化剤、例えば窒素マスタード、シクロホスファミド及び類似物、メルファラン、クロラムブシル)、及び(ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、アルキルニトロソ尿素(BCNU)及び類似物、ストレプトゾシン)、トリアゼン−ダカルバジン(DTIC);抗増殖/抗有糸分裂性代謝拮抗剤、例えば葉酸類似物(メトトレキサート);白金配位錯体(シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトテン、アミノグルテチミド;ホルモン、ホルモン類似物(エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド)及びアロマターゼ阻害剤(レトロゾール、アナストロゾール);抗凝血剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩及び他のトロンビンの阻害剤);線維素溶解剤(例えば組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル;抗遊走剤;抗分泌剤(ブレフェルジン(breveldin));免疫阻害剤、タクロリムス、シロリムス、アザチオプリン、ミコフェノール酸;化合物(TNP−470、ゲニステイン)及び成長因子阻害剤(血管内皮成長因子阻害剤、線維芽細胞成長因子阻害剤);アンジオテンシン受容体遮断薬、酸化窒素供与体;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗体(トラスツズマブ、リツキシマブ);細胞周期阻害剤及び分化誘導剤(トレチノイン);阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤(ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ゲニポシド(eniposide)、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカン及びミトキサントロン、トポテカン、イリノテカン)、コルチコステロイド(コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン(methylpednisolone)、プレドニゾン、及びプレドニゾロン);成長因子シグナル伝達キナーゼ阻害剤;機能不全誘導剤、毒素、例えばコレラ毒素、リシン、緑膿菌外毒素、百日咳菌アデニル酸シクラーゼ毒素、又はジフテリア毒素、及びカスパーゼ活性化因子;及びクロマチンが挙げられる。
【0057】
本明細書で使用される他の剤としては、スムーズンド(smoothened:SMO)受容体阻害剤、例えばオドムゾ(Odomzo)(ソニデジブ(sonidegib)、旧名LDE−225)、LEQ506、ビスモデギブ(vismodegib)(GDC−0449)、BMS−833923、グラスデジブ(glasdegib)(PF−04449913)、LY2940680、及びイトラコナゾール(itraconazole);インターフェロンαリガンドモジュレータ、例えばインターフェロンα−2b、インターフェロンα−2aバイオシミラー(バイオジェノミクス)、ロペグ(ropeg)インターフェロンα−2b(AOP−2014、P−1101、PEG IFNα−2b)、マルチフェロン(Multiferon)(アルファナチブ(Alfanative)、ヴィラジェン(Viragen))、インターフェロンα1b、ロフェロン−A(Roferon-A)(カンフェロン(Canferon)、Ro−25−3036)、インターフェロンα−2a後続バイオロジック(Biosidus)(インムタグ(Inmutag)、インター2A(Inter 2A))、インターフェロンα−2b後続バイオロジック(バイオシダス(Biosidus)−バイオフェロン(Bioferon)、サイトフェロン(Citopheron)、ガナパー(Ganapar))(Beijing Kawin Technology−カフェロン(Kaferon))(AXXO−インターフェロンα−2b)、アルファフェロン(Alfaferone)、PEG化インターフェロンα−1b、PEGインターフェロンα−2b後続バイオロジック(Amega)、組換ヒトインターフェロンα−1b、組換ヒトインターフェロンα−2a、組換ヒトインターフェロンα−2b、ベルツズマブ(ベルツズマブ(veltuzumab))−IFNα2bコンジュゲート、ダイナバックス(Dynavax)(SD−101)、及びインターフェロンα−n1(フモフェロン(Humoferon)、SM−10500、スミフェロン(Sumiferon));インターフェロンγリガンドモジュレータ、例えばインターフェロンγ(OH−6000、Oγ 100);補体C3モジュレータ、例えばインプライムPGG(Imprime PGG);IL−6受容体モジュレータ、例えばトシリズマブ(tocilizumab)、シルツキシマブ(siltuximab)、AS−101(CB−06−02、IVX−Q−101);テロメラーゼモジュレータ、例えばテルトモチド(tertomotide)(GV−1001、HR−2802、リアバックス(Riavax))及びイメテルスタット(imetelstat)(GRN−163、JNJ−63935937);DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばテモゾロミド(CCRG−81045)、デシタビン(decitabine)、グアデシタビン(guadecitabine)(S−110、SGI−110)、KRX−0402、及びアザシチジン;DNAジャイレース(gyrase)阻害剤、例えばピクサントロン(pixantrone)及びソブゾキサン(sobuzoxane)等が挙げられる。
【0058】
本明細書で使用する場合、「化学療法剤」(chemotherapeutic agent, chemotherapeutic)(又は化学療法剤で治療する場合の「化学療法」(chemotherapy))という語は、癌の治療に有用な任意の非タンパク質性(即ち非ペプチド性)化合物を包含する意である。化学療法剤の例として、アルキル化剤、例えばチオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN
(登録商標));アルキルスルホン酸、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドパ(benzodopa)、カルボクオン(carboquone)、メツレドパ(meturedopa)、及びウレドパ(uredopa);エチレンイミン及びメチラメラミン(memylamelamine)、例えばアルトレタミン(alfretamine)、トリエチレンメラミン(triemylenemelamine)、トリエチレンリン酸アミド、トリエチレンチオリン酸アミド及びトリメチロールメラミン(trimemylolomelamine);アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトセシン(合成類似物トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼルシン及びビゼレシン合成類似物を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似物KW−2189及びCBI−TMIを含む);エリュテロビン;パンクラスタチン;サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン;窒素マスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミン酸化物、メルファラン、ノベンビシン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えばカリケアミシン、特にカリケアミシンγII及びカリケアミシンφI1、例えばAgnew, Chem. Intl. Ed. Engl, 33:183-186 (1994);ダイネミシン(dynemicin)、例えばダイネミシン(dynemicin)A;ビスホスホネート、例えばクロドロン酸(clodronate);エスペラミシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carrninomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(Adramycin)
(登録商標)(例えばモルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ぺプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えばメトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似物、例えばデモプテリン(demopterin)、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似物、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似物、例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスリジン(フロクスウリジン);アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤(antiadrenal)、例えばアミノグルテチミド、ミトテン、トリロスタン;葉酸補給剤、例えばフォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルラシル(eniluracil);アムサクリン;ヘストラブシル(hestrabucil);ビスアントレン;エダトレキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エルホルムチン(elformthine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロイコボリン;ロニダミン;メイタンシノイド、例えばメイタンシン及びアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;フルオロピリミジン;フォリン酸;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2',2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテシン(特にT−2毒素、ベラクリンA(verracurin A)、ロリジンA(roridin A)及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド("Ara-C");シクロホスファミド;チオテパ(thiopeta);タキサン系薬(taxoids)、例えばパクリタキセル(TAXOL
(登録商標)、Bristol Meyers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)及びドセタキセル(TAXOTERE
(登録商標)、Rhone−Poulenc Rorer, Antony, France);クロラムブシル;ゲムシタビン(Gemzar
(登録商標));6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似物、例えばシスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(Navelbine
(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;カペシタビン;FOLFIRI(フルオロウラシル、ロイコボリン、及びイリノテカン)、並びに上記の何れかの医薬的に許容可能な塩、酸、又は誘導体が挙げられる。
【0059】
更に「化学療法剤」の定義に入るものとしては、腫瘍に対するホルモンの作用を制御又は阻害する作用を有する抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲン剤及び選択的エストロゲン受容体モジュレータ(selective estrogen receptor modulator:SERM)、例えばタモキシフェン(例えばNolvadex
(登録商標))、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston
(登録商標));副腎でのエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(Megace
(登録商標))、エキセメスタン、フォルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール(Rivisor
(登録商標))、レトロゾール(Femara
(登録商標))、及びアナストロゾール(Arimidex
(登録商標));及び抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド(leuprohde)、及びゴセレリン;並びに上記の何れかの医薬的に許容可能な塩、酸、又は誘導体が挙げられる。
【0060】
抗血管新生剤としては、これらに限定されるものではないが、レチノイド酸及びその誘導体、2−メトキシエストラジオール、アンジオスタチン(ANGIOSTATIN)
(登録商標)、エンドスタチン(ENDOSTATIN)
(登録商標)、スラミン、スクアラミン、メタロプロテアーゼ−1の組織阻害剤、メタロプロテアーゼ−2の組織阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−2、軟骨由来阻害剤、パクリタキセル(nab−パクリタキセル)、血小板因子4、硫酸プロタミン(クルペイン)、硫酸化キチン誘導体(ズワイガニの殻から調製される)、硫酸化多糖類ペプチドグリカン複合体(sp−pg)、スタウロスポリン、基質代謝のモジュレータ、例えばプロリン類似物((1−アゼチジン−2−カルボン酸(LACA)、シスヒドロキシプロリン、d,I−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン、α−ジピリジル、フマル酸β−アミノプロピオニトリル、4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3H)−オキサゾロン;メトトレキサート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン−血清、chimp−3、キモスタチン、β−シクロデキストリンテトラデカスルフェート、エポネマイシン(eponemycin);フマギリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、d−ペニシラミン(CDPT)、β−1−抗コラゲナーゼ−血清、α−2−抗プラスミン、ビスアントレン、ロベンザリット二ナトリウム、n−2−カルボキシフェニル−4−クロロアントラニル酸二ナトリウム又は「CCA」、サリドマイド;アンジオスタチン系ステロイド、カルボキシアミノイミダゾール;メタロプロテアーゼ阻害剤、例えばBB94等が挙げられる。他の抗血管新生剤としては、以下の血管新生成長因子:β−FGF、α−FGF、FGF−5、VEGFアイソフォーム、VEGF−C、HGF/SF及びAng−1/Ang−2等に対する抗体、好ましくはモノクローナル抗体が挙げられる。Ferrara N. and Alitalo, K. "Clinical application of angiogenic growth factors and their inhibitors" (1999) Nature Medicine 5:1359-1364を参照。
【0061】
抗線維化剤としては、これらに限定されるものではないが、例えばβ−アミノプロプリオニトリル(BAPN)等の化合物、並びに、リシルオキシダーゼの阻害剤、及び、そのコラーゲンの異常沈着に関連する疾患及び病態の治療におけるその使用に関する、米国特許第4,965,288号明細書(Palfreyman等、1990年10月23日発行、発明の名称「リシルオキシダーゼの阻害剤」)に開示の化合物;米国特許第4,997,854号明細書(Kagan等、1991年3月5日発行、発明の名称「抗線維化剤、及び、隣接して位置するジアミン類似基質を用いてリシルオキシダーゼの活性をインサイチュ(in situ)で阻害する方法」)に開示の、種々の病理学的線維化状態の治療のためにLOXを阻害する化合物等が挙げられる。これらの文献は、引用により本明細書に組み込まれる。更なる阻害剤の例は、米国特許第4,943,593号明細書(Palfreyman等、1990年7月24日発行、発明の名称「リシルオキシダーゼの阻害剤」)に記載の化合物、例えば2−イソブチル−3−フルオロ−、クロロ−、又はブロモ−アリルアミン等;並びに、米国特許第5,021,456号明細書;米国特許第5,5059,714号明細書;米国特許第5,120,764号明細書;米国特許第5,182,297号明細書;米国特許第5,252,608号明細書(2−(1−ナフチルオキシメチル)−3−フルオロアリルアミンに関する);及び米国特許出願公開第2004/0248871号明細書等に記載されている。コレラの文献は引用により本明細書に組み込まれる。抗線維化剤の例としては、他にもリシルオキシダーゼの活性部位のカルボニル基と反応する一級アミンや、更に具体的には、カルボニルとの結合後に共鳴により安定化する生成物を形成するもの、例えば以下の一級アミン:エチレンジアミン、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、及びそれらの誘導体、セミカルバジド、及び尿素誘導体、アミノニトリル、例えばβ−アミノプロピオニトリル(BAPN)、又は2−ニトロエチルアミン、不飽和の又は飽和のハロアミン、例えば2−ブロモ−エチルアミン、2−クロロエチルアミン、2−トリフルオロエチルアミン、3−ブロモプロピルアミン、p−ハロベンジルアミン、セレノホモシステインラクトン等が挙げられる。また、抗線維化剤としては、細胞浸透性又は非浸透性の銅キレート剤等が挙げられる。化合物の例としては、リシルオキシダーゼによるリシル及びヒドロキシリシル残基の酸化的脱アミノ化に由来するアルデヒド誘導体を遮断する間接的阻害剤等の化合物、例えばチオールアミン、特にD−ペニシラミン又はその類似物、例えば2−アミノ−5−メルカプト−5−メチルヘキサン酸、D−2−アミノ−3−メチル−3−((2−アセトアミドエチル)ジチオ)ブタン酸、p−2−アミノ−3−メチル−3−((2−アミノエチル)ジチオ)ブタン酸、ナトリウム−4−((p−1−ジメチル−2−アミノ−2−カルボキシエチル)ジチオ)ブタンスルフレート、2−アセトアミドエチル−2−アセトアミドエタンチオールスルファネート、ナトリウム−4−メルカプトブタンスルフィネート三水和物等が挙げられる。
【0062】
免疫療法剤としては、これらに限られるものではないが、患者の治療に適している治療抗体;例えばアバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、カンツズマブ、カツマクソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ、シクスツムマブ、クリバツズマブ、コナツムマブ、ダラツムマブ、ドロジツマブ、ヂュリゴツマブ(duligotumab)、デュシギツマブ(dusigitumab)、デツモマブ、ダセツズマブ、ダロツズマブ、エクロメキシマブ、エロツズマブ、エンシツキシマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファーレツズマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フランボツマブ、フツキシマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブ、ギレンツキシマブ、グレムバツムマブ、イブリツモマブ、イゴボマブ、イムガツズマブ、インダツキシマブ、イノツズマブ、インテツムマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、ラベツズマブ、レクサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ、ルカツムマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モキセツモマブ、ナルナツマブ、ナプツモマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、パニツムマブ、パルサツズマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ピンツモマブ、プリツムマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、サツモマブ、シブロツズマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、ソリトマブ、タカツズマブ、タプリツモマブ、テナツモマブ、テプロツムマブ、ティガツズマブ、トシリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブ、ウブリツキシマブ、ベルツズマブ、ボルセツズマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、CC49及び3F8等が挙げられる。これらの例示された治療用抗体は、更に標識されていてもよく、放射性同位体粒子、例えばインジウムIn
111、イットリウムY
90、ヨウ素I
131等と組合わされてもよい。
【0063】
特定の態様によれば、追加の治療剤は、窒素マスタードアルキル化剤である。窒素マスタードアルキル化剤の限定されない例としては、クロラムブシルが挙げられる。
【0064】
リンパ腫又は白血病の治療に適した化学療法剤としては、アルデスロイキン、アルボシジブ(alvocidib)、抗新生物薬AS2−1、抗新生物薬A10、抗胸腺細胞グロブリン、アミホスチン三水和物、アミノカンプトセシン、三酸化ヒ素、β−アレチン、Bcl−2ファミリータンパク質阻害剤ABT−263、ABT−199、ABT−737、BMS−345541、ボルテゾミブ(ベルケイド
(登録商標))、ブリオスタチン1、ブスルファン、カルボプラチン、キャンパス(campath)−1H、CC−5103、カルムスチン、カスポファンギン酢酸塩、クロファラビン、シスプラチン、クラドリビン(ロイスタリン(Leustarin))、クロラムブシル(ロイケラン(Leukeran))、クルクミン、シクロスポリン、シクロホスファミド(シロキサン(Cyloxan)、エンドキサン(Endoxan)、エンドキサナ(Endoxana)、シクロスチン(Cyclostin))、シタラビン、デニロイキン・ディフティトックス、デキサメタゾン、DT PACE、ドセタキセル、ドラスタチン10、ドキソルビシン(アドリアマイシン
(登録商標)、アドリブラスチン(Adriblastine))、塩酸ドキソルビシン、エンザスタウリン、エポエチンアルファ、エトポシド、エベロリムス(RAD001)、フェンレチニド、フィルグラスチム、メルファラン、メスナ、フラボピリドール、フルダラビン(Fludara)、ゲルダナマイシン(17−AAG)、イホスファミド、イリノテカン塩酸塩、イキサべピロン、レナリドミド(レブリミド(Revlimid)
(登録商標)、CC−5013)、リンホカイン−活性化キラー細胞、メルファラン、メトトレキサート、ミトキサントロン塩酸塩、モテキサフィンガドリニウム、ミコフェノール酸モフェチル、ネララビン、オブリメルセン(Genasense)、オバトクラックス(GX15−070)、オブリメルセン、オクトレオチド酢酸塩、Ω−3脂肪酸、オキサリプラチン、パクリタキセル、PD0332991、PEG化リポソーム性ドキソルビシン塩酸塩、ペグフィルグラスチム、ペントスタチン(ニペント(Nipent))、ペリフォシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、R−ロスコビチン(ロスコビチン(roscovitine))(セリシリブ(Selicilib)、CYC202)、組換インターフェロンα、組換インターロイキン−12、組換インターロイキン−11、組換flt3リガンド、組換ヒトトロンボポエチン、リツキシマブ、サルグラモスチム、クエン酸シルデナフィル、シンバスタチン、シロリムス、スチリルスルホン、タクロリムス、タネスピマイシン、テムシロリムス(CCl−779)、サリドマイド、治療同種リンパ球、チオテパ、チピファルニブ、ベルケイド
(登録商標)(ボルテゾミブ又はPS−341)、ビンクリスチン(オンコビン(Oncovin))、ビンクリスチン硫酸塩、ビノレルビン酒石酸塩、ボリノスタット(SAHA)、ボリノスタット、及びFR(フルダラビン、リツキシマブ)、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン及びプレドニゾン)、FCM(フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン)、FCR(フルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブ)、ハイパーCVAD(過分割シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メトトレキサート、シタラビン)、ICE(イホスファミド、カルボプラチン及びエトポシド)、MCP(ミトキサントロン、クロラムブシル、及びプレドニゾロン)、R−CHOP(リツキシマブ及びCHOP)、R−CVP(リツキシマブ及びCVP)、R−FCM(リツキシマブ及びFCM)、R−ICE(リツキシマブ−ICE)、及びR−MCP(R−MCP)が挙げられる。
【0065】
一態様によれば、本明細書に記載の化合物又は組合せは、1又は2以上の追加の治療剤と使用し、或いは組み合わせてもよい。斯かる1又は2以上の治療剤としては、これらに限定されるものではないが、Ablの阻害剤、活性化CDCキナーゼ(activated CDC kinase:ACK)、アデノシンA2B受容体(A2B)、アポトーシスシグナル調節性キナーゼ(apoptosis signal-regulating kinase:ASK)、オーロラ(Aurora)キナーゼ、BET−ブロモドメイン(BRD)、例えばBRD4、c−Kit、c−Met、CDK活性化キナーゼ(CDK-activating kinase:CAK)、カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ(calmodulin-dependent protein kinase:CaMK)、サイクリン依存性キナーゼ(cyclin-dependent kinase:CDK)、カゼインキナーゼ(casein kinase:CK)、ジスコイジンドメイン受容体(discoidin domain receptor:DDR)、上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptors:EGFR)、接着斑キナーゼ(focal adhesion kinase:FAK)、FLt−3、FYN、グリコーゲンシンターゼキナーゼ(glycogen synthase kinase:GSK)、HCK、ヒストン脱アセチル化酵素(histone deacetylase:HDAC)、IKK、例えばIKKβε、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(isocitrate dehydrogenase:IDH)、例えばIDH1、ヤーヌスキナーゼ(Janus kinase:JAK)、KDR、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(lymphocyte-specific protein tyrosine kinase:LCK)、リシルオキシダーゼタンパク質、リシルオキシダーゼ様タンパク質(LOXL)、LYN、マトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloprotease:MMP)、MEK、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(mitogen-activated protein kinase:MAPK)、NEK9、NPM−ALK、p38キナーゼ、血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor:PDGF)、ホスホリラーゼキナーゼ(phosphorylase kinase:PK)、ポロ様キナーゼ(polo-like kinase:PLK)、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(phosphatidylinositol 3-kinase:PI3K)、タンパク質キナーゼ(protein kinase:PK)、例えばタンパク質キナーゼA、B、及び/又はC、PYK、脾臓チロシンキナーゼ(spleen tyrosine kinase:SYK)、セリン/トレオニンキナーゼTPL2、セリン/トレオニンキナーゼSTK、シグナル伝達及び転写(signal transduction and transcription:STAT)、SRC、セリン/トレオニンタンパク質キナーゼ(serine/threonine-protein kinase:TBK)、例えばTBK1、TIE、チロシンキナーゼ(tyrosine kinase:TK)、血管内皮成長因子受容体(vascular endothelial growth factor receptor:VEGFR)、YES、又はこれらの任意の組合せ等が挙げられる。
【0066】
リンパ腫又は白血病の組合せ治療
一部の化学療法剤はリンパ腫又は白血病の治療に適している。これらの剤としては、アルデスロイキン(aldesleukin)、アルボシジブ(alvocidib)、抗新生物薬AS2−1、抗新生物薬A10、抗胸腺細胞グロブリン、アミホスチン三水和物、アミノカンプトテシン(aminoカンプトセシン)、三酸化ヒ素、βアレチン(beta alethine)、Bcl−2ファミリータンパク質阻害剤ABT−263、ABT−199、BMS−345541、ボルテゾミブ(VELCADE
(登録商標))、カルフィルゾミブ(Kyprolis
(登録商標))、ベムラフェニブ(Zelboraf
(登録商標))、Omr−IgG−am(WNIG、Omrix)、ブリオスタチン1、ブスルファン、カルボプラチン、キャンパス−1H(campath-1H)、CC−5103、カルムスチン、カスポファンギン酢酸塩、クロファラビン、シスプラチン、クラドリビン、クロラムブシル、クルクミン、シクロスポリン、シクロホスファミド、シタラビン、デニロイキン・ジフチトクス、デキサメタゾン、DT−PACE(デキサメタゾン、サリドマイド、シスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、及びエトポシド)、ドセタキセル、ドラスタチン(ドラスタチン(dolastatin))10、ドキソルビシン、ドキソルビシン塩酸塩、エンザスタウリン、エポエチンα、エトポシド、エベロリムス(RAD001)、フェンレチニド(フェンレチニド)、フィルグラスチム、メルファラン、メスナ、フラボピリドール、フルダラビン、ゲルダナマイシン(17-AAG)、イホスファミド、イリノテカン塩酸塩、イキサベピロン(ixabepilone)、レナリドミド(REVLIMID
(登録商標)、CC−5013)、リンホカイン活性化キラー細胞、メルファラン、メトトレキサート、ミトキサントロン塩酸塩、モテキサフィンガドリニウム、ミコフェノール酸モフェチル、ネララビン、オブリメルセン(oblimersen)、オバトクラックス(obatoclax)(GX15-070)、オブリメルセン(oblimersen)、オクトレオチド酢酸塩、Ω−3脂肪酸、オキサリプラチン、パクリタキセル、PD0332991、PEG化リポソーム性ドキソルビシン塩酸塩、PEGフィルグラスチム、ペントスタチン、ペリホシン(perifosine)、プレドニゾロン、プレドニゾン、R−ロスコビチン(roscovitine)(セリシクリブ(seliciclib)、CYC202)、組換インターフェロンα、組換インターロイキン−12、組換インターロイキン−11、組換FLt3リガンド、組換ヒトトロンボポイエチン、リツキシマブ、サルグラモスチム、クエン酸シルデナフィル、シンバスタチン、シロリムス、スチリルスルホン、タクロリムス、タネスピマイシン、テムシロリムス(CCl−779)、サリドマイド、治療性同種リンパ球、チオテパ、チピファルニブ、ボルテゾミブ(VELCADE
(登録商標)、PS−341)、ビンクリスチン、ビンクリスチン硫酸塩、ビノレルビン二酒石酸塩、SAHA(スベロイルアニリドヒドロキサム酸、又はスベロイル、アニリド、及びヒドロキサム酸)、FR(フルダラビン及びリツキシマブ)、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン)、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン)、FCM(フルダラビン、シクロホスファミド、及びミトキサントロン)、FCR(フルダラビン、シクロホスファミド、及びリツキシマブ)、hyperCVAD(過分割シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メトトレキサート、及びシタラビン)、ICE(イホスファミド、カルボプラチン、及びエトポシド)、MCP(ミトキサントロン、クロラムブシル、及びプレドニゾロン)、R−CHOP(リツキシマブ及びCHOP)、R−CVP(リツキシマブ及びCVP)、R−FCM(リツキシマブ及びFCM)、R−ICE(リツキシマブ及びICE)、及びR-MCP(リツキシマブ及びMCP)等が挙げられる。
【0067】
修正アプローチの一つは放射免疫療法である。この場合、モノクローナル抗体は、放射性同位体粒子、例えばインジウム−111、イットリウム−90、及びヨウ素−131等と組み合わされる。組合せ療法の例としては、これらに限定されるものではないが、ヨウ素−131トシツモマブ(BEXXAR
(登録商標))、イットリウム−90イブリツモマブ・チウキセタン(ZEVALIN
(登録商標))、及びBEXXAR
(登録商標)とCHOPとの組合せが挙げられる。
【0068】
上述の療法は、幹細胞移植又は治療により補完し、又はこれらと組み合わせることもできる。治療手法としては、末梢血幹細胞移植、自家造血幹細胞移植、自家骨髄移植、抗体治療、生物学的治療、酵素阻害剤治療、全身照射、幹細胞の注入、幹細胞支援骨髄除去、インビトロ(in vitro)処理末梢血幹細胞移植、臍帯血移植、免疫酵素技術、低LETコバルト60γ線治療、ブレオマイシン、従来の手術、放射線療法、及び骨髄非破壊的同種造血幹細胞移植等が挙げられる。
【0069】
非ホジキンリンパ腫の組合せ治療
非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma:NHL)、特にB細胞由来の非ホジキンリンパ腫の治療法としては、モノクローナル抗体、標準的化学療法アプローチ(例えばCHOP、CVP、FCM、MCP等)、放射免疫療法、及びそれらの組合せ、特に抗体治療と化学療法との併合が挙げられる。
【0070】
NHL/B細胞癌の治療のための非コンジュゲート型モノクローナル抗体の例としては、リツキシマブ、アレムツズマブ、ヒト又はヒト化抗CD20抗体、ルミリキシマブ、抗TNF関連アポトーシス含有リガンド(anti-TNF-related apoptosis-inducing ligand:anti-TRAIL)、ベバシズマブ、ガリキシマブ、エプラツズマブ(epratuzumab)、SGN−40、及び抗CD74等が挙げられる。
【0071】
NHL/B細胞癌の治療に用いられる実験用抗体薬の例としては、オファツムマブ、hA20、PRO131921、アレムツズマブ、ガリキシマブ、SGN−40、CHIR−12.12、エプラツズマブ(epratuzumab)、ルミリキシマブ、アポリズマブ、ミラツズマブ、及びベバシズマブが挙げられる。
【0072】
NHL/B細胞癌のための化学療法の標準的用法の例としては、CHOP、FCM、CVP、MCP、R−CHOP、R−FCM、R−CVP、及びR-MCPが挙げられる。
【0073】
NHL/B細胞癌のための放射免疫療法の例としては、イットリウム−90イブリツモマブ・チウキセタン(ZEVALIN
(登録商標))及びヨウ素−131トシツモマブ(BEXXAR
(登録商標))が挙げられる。
【0074】
マントル細胞リンパ腫の組合せ治療
マントル細胞リンパ腫(MCL)の治療的処置としては、組合せ化学療法、例えばCHOP、hyperCVAD、及びFCM等が挙げられる。これらの用法を、モノクローナル抗体リツキシマブで補完することにより、組合せ療法R−CHOP、hyperCVAD−R、及びR−FCMを形成してもよい。MCLを治療するために、上述の療法の何れかを、幹細胞移植又はICEと組み合わせてもよい。
【0075】
MCLを治療する別のアプローチとしては、免疫療法が挙げられる。ある免疫療法では、リツキシマブのようなモノクローナル抗体を使用する。他の免疫療法では、個々の患者の腫瘍の遺伝子構造に基づく、GTOP−99等の癌ワクチンを使用する。
【0076】
MCLを治療するための修正されたアプローチとしては、放射免疫療法が挙げられる。この場合、モノクローナル抗体を、放射性同位体粒子、例えばヨウ素−131トシツモマブ(BEXXAR
(登録商標))やイットリウム−90イブリツモマブ・チウキセタン(ZEVALIN
(登録商標))と組み合わせる。他の例では、BEXXAR
(登録商標)をCHOPとの連続処置に使用する。MCLを治療するための他のアプローチとしては、自家幹細胞移植と高用量化学療法との組合せ、プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブ(VELCADE
(登録商標)又はPS−341)等の投与、又は、抗血管新生剤、例えばサリドマイド等の、特にリツキシマブとの組合せによる投与等が挙げられる。
【0077】
他の治療アプローチとしては、Bcl−2タンパク質の分解を誘導し、化学療法に対する癌細胞の感度を高める薬物、例えばオブリメルセン(oblimersen)等を、他の化学治療剤との組合せで投与することが挙げられる。更なる治療アプローチとしては、細胞成長の阻害や更には細胞死を招きうる、mTOR阻害剤の投与が挙げられる。非限定的な例としては、シロリムス、テムシロリムス(TORISEL
(登録商標)、CCI−779)、CC−115、CC−223、SF−1126、PQR−309、ボクスタリシブ(voxtalisib)、GSK−2126458、及びテムシロリムスと、RITUXAN
(登録商標)、VELCADE
(登録商標)、又は他の化学治療剤との組合せが挙げられる。
【0078】
MCLに対する近年の他の治療法も開示される。そのような例としては、フラボピリドール、PD0332991、R−ロスコビチン(roscovitine)(セリシシリブ(selicicilib)、CYC202)、スチリルスルホン、オバトクラックス(obatoclax)(GX15−070)、TRAIL、抗TRAIL死受容体DR4及びDR5抗体、テムシロリムス(TORISEL
(登録商標)、CCl−779)、エベロリムス(RAD001)、BMS−345541、クルクミン、SAHA、サリドマイド、レナリドミド(REVLIMID
(登録商標)、CC−5013)、及びゲルダナマイシン(17-AAG)等が挙げられる。
【0079】
ヴァルデンストレームマクログロブリン血症の組合せ治療
ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(waldenstrom's macroglobulinemia:WM)の治療に用いられる治療剤としては、ペリホシン(perifosine)、ボルテゾミブ(VELCADE
(登録商標))、リツキシマブ、クエン酸シルデナフィル(VIAGRA
(登録商標))、CC−5103、サリドマイド、エプラツズマブ(epratuzumab)(hLL2−抗CD22ヒト化抗体)、シンバスタチン、エンザスタウリン、キャンパス−1H(campath-1H)、デキサメタゾン、DT−PACE、オブリメルセン(oblimersen)、抗新生物薬A10、抗新生物薬AS2−1、アレムツズマブ、βアレチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン塩酸塩、プレドニゾン、ビンクリスチン硫酸塩、フルダラビン、フィルグラスチム、メルファラン、組換インターフェロンα、カルムスチン、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、エトポシド、メルファラン、ドラスタチン(dolastatin)10、インジウム−111モノクローナル抗体MN−14、イットリウム−90ヒト化エプラツズマブ(epratuzumab)、抗胸腺細胞グロブリン、ブスルファン、シクロスポリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、治療性同種リンパ球、イットリウム−90イブリツモマブ・チウキセタン、シロリムス、タクロリムス、カルボプラチン、チオテパ、パクリタキセル、アルデスロイキン(aldesleukin)、ドセタキセル、イホスファミド、メスナ、組換インターロイキン−11、組換インターロイキン−12、Bcl−2ファミリータンパク質阻害剤ABT−263、デニロイキン・ジフチトクス、タネスピマイシン、エベロリムス、PEGフィルグラスチム、ボリノスタット、アルボシジブ(alvocidib)、組換FLt3リガンド、組換ヒトトロンボポイエチン、リンホカイン活性化キラー細胞、アミフォスチン三水和物、アミノカンプトセシン、イリノテカン塩酸塩、カスポファンギン酢酸塩、クロファラビン、エポエチンα、ネララビン、ペントスタチン、サルグラモスチム、ビノレルビン二酒石酸塩、WT−1類似物ペプチドワクチン、WT1126−134ペプチドワクチン、フェンレチニド、イキサベピロン(ixabepilone)、オキサリプラチン、モノクローナル抗体CD19(例えばチサジェンレクレウス−T(tisagenlecleucel-T)、CART−19、CTL−019等)、モノクローナル抗体CD20、Ω−3脂肪酸、ミトキサントロン塩酸塩、オクトレオチド酢酸塩、トシツモマブ、ヨウ素-131トシツモマブ、モテキサフィンガドリニウム、三酸化ヒ素、チピファルニブ、自家ヒト腫瘍由来HSPPC−96、ベルツズマブ(veltuzumab)、ブリオスタチン1、PEG化リポソーム性ドキソルビシン塩酸塩、及びこれらの任意の組合せ等が挙げられる。
【0080】
WMの治療に用いられる治療手段の例としては、末梢血幹細胞移植、自家造血幹細胞移植、自家骨髄移植、抗体治療、生物学的治療、酵素阻害剤治療、全身照射、幹細胞の注入、幹細胞支援骨髄除去、インビトロ(in vitro)処理末梢血幹細胞移植、臍帯血移植、免疫酵素技術、低LETコバルト−60γ線治療、ブレオマイシン、従来の手術、放射線療法、及び骨髄非破壊的同種造血幹細胞移植等が挙げられる。
【0081】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の組合せ治療
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療に使用される治療剤としては、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン、抗CD20モノクローナル抗体、エトポシド、ブレオマイシン、WMについて列記した剤の多く、及びこれらの任意の組合せ、例えばICE及びR-ICE等が挙げられる。
【0082】
慢性リンパ性白血病の組合せ治療
慢性リンパ性白血病(CLL)の治療に使用される治療剤の例としては、クロラムブシル、シクロホスファミド、フルダラビン、ペントスタチン、クラドリビン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン、プレドニゾロン、アレムツズマブ、WMについて列記した剤の多く、並びに組合せ化学療法及び化学免疫療法、例えば以下の一般的な組合せ用法:CVP、R−CVP、ICE、R−ICE、FCR、及びFR等が挙げられる。
【0083】
骨髄線維症の組合せ治療
骨髄線維症抑制剤としては、これらに限定されるものではないが、ヘッジホッグ阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素(ヒストン脱アセチル化酵素:HDAC)阻害剤、及びチロシンキナーゼ阻害剤等が挙げられる。ヘッジホッグ阻害剤の非限定的な例としては、サリデジブ(saridegib)が挙げられる。HDAC阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、プラシノスタット及びパノビノスタット等が挙げられる。チロシンキナーゼ阻害剤の非限定的な例としては、レスタウルチニブ(lestaurtinib)、ボスチニブ、イマチニブ、ギルテリチニブ(gilteritinib)、ラドチニブ(radotinib)、及びカボザンチニブ(cabozantinib)等が挙げられる。過剰増殖性障害の組合せ治療。過剰増殖性障害の治療には、ゲムシタビン、nab−パクリタキセル、及びゲムシタビン/nab−パクリタキセルが、JAK阻害剤及び/又はPI3Kδ阻害剤との組合せで使用できる。
【0084】
キナーゼ阻害剤
一態様によれば、本明細書に記載の化合物を、1又は2以上の追加の治療剤と組み合わせて用いてもよい。前記1又は2以上の治療剤としては、これらに限定されるものではないが、Ablの阻害剤、活性化CDCキナーゼ(ACK)、例えばACK1、アデノシンA2B受容体(A2B)、アポトーシスシグナル調節性キナーゼ(ASK)、オーロラキナーゼ、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、BET−ブロモドメイン(BRD)、例えばBRD4、c−Kit、c−Met、CDK活性化キナーゼ(CAK)、カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ(CaMK)、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、カゼインキナーゼ(CK)、ジスコイジンドメイン受容体(DDR)、上皮成長因子受容体(EGFR)、接着斑キナーゼ(FAK)、FLt−3、ファルネソイドx受容体(FXR)、FYN、グリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK)、HCK、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)、インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)、I−κ−Bキナーゼ(IKK)、例えばIKKβε、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)、例えばIDH1、ヤヌスキナーゼ(JAK)、KDR、リシンデメチラーゼ(KDM5)、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(LCK)、リシルオキシダーゼタンパク質(LOX)、リシルオキシダーゼ様タンパク質(LOXL)、LYN、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、マイトジェン−活性化タンパク質キナーゼ(MEK)、マイトジェン−活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)、mutTホモログ(MTH)、NEK9、NPM−ALK、p38キナーゼ、血小板由来成長因子(PDGF)、ホスホリラーゼキナーゼ(PK)、ポロ様キナーゼ(PLK)、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)、タンパク質キナーゼ(PK)、例えばタンパク質キナーゼA、B、及び/又はC、PYK、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)、セリン/トレオニンキナーゼTPL2、セリン/トレオニンキナーゼ(STK)、シグナル伝達及び転写(STAT)、SRC、セリン/トレオニン−タンパク質キナーゼ(TBK)、例えばTBK1、TIE、チロシンキナーゼ(TK)、TANK結合キナーゼ(Tank-binding kinase:TBK)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、YES、又はこれらの任意の組合せ等が挙げられる。
【0085】
アポトーシスシグナル調節性キナーゼ(ASK)阻害剤
ASK阻害剤としては、ASK1阻害剤が挙げられる。ASK1阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、国際公開第2011/008709号(Gilead Sciences)及び国際公開第2013/112741号(Gilead Sciences)に記載のものが挙げられる。
【0086】
マイトジェン-活性化タンパク質キナーゼ(MEK)阻害剤
MEK阻害剤としては、セルメチニブ(selumetinib)、MT−144、ソラフェニブ、トラメチニブ(GSK1120212)、ビニメチニブ(binimetinib)、アントロキノノール(antroquinonol)、アプロセルチブ(uprosertib)+トラメチニブ等が挙げられる。
【0087】
カゼインキナーゼ(CK)阻害剤
CK阻害剤としては、CK1及び/又はCK2が挙げられる。
【0088】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤
CDK阻害剤としては、CDK1、2、3、4、及び/又は6の阻害剤等が挙げられる。CDK阻害剤の例としては、リゴセルチブ、セリネクストール(selinexor)、UCN−01、アルボシジブ(alvocidib)(HMR−1275、フラボピリドール)、FLX−925、AT−7519、アベマシクリブ、パルボシクリブ、及びTG−02等が挙げられる。
【0089】
ジスコイジンドメイン受容体(DDR)阻害剤
DDR阻害剤としては、DDR1及び/又はDDR2の阻害剤が挙げられる。DDR阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、国際公開第2014/047624号(Gilead Sciences)、米国特許出願公開第2009/0142345号(Takeda Pharmaceuticals)、米国特許出願公開第2011/0287011号(Oncomed Pharmaceuticals)、国際公開第2013/027802号(Chugai Pharmaceutical)、及び国際公開第2013/034933号(Imperial Innovations)に記載のものが挙げられる。
【0090】
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤
HDAC阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、プラシノスタット(pracinostat)、CS−055(HBI−8000)、レスミノスタット(resminostat)、エンチノスタット、アベキシノスタット(abexinostat)、ベリノスタット(belinostat)、ボリノスタット、リコリノスタット、CUDC−907、ACY−241、CKD−581、SHP−141、バルプロ酸(VAL−001)、ギビノスタット(givinostat)、キシノスタット(quisinostat)(JNJ−26481585)、BEBT−908、及びパノビノスタット等が挙げられる。
【0091】
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤
JAK阻害剤としては、JAK1、JAK2、及び/又は JAK3等が挙げられる。JAK阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、化合物A、モメロチニブ(momelotinib)(CYT0387)、ルキソリチニブ、フィルゴチニブ(GLPG0634)、ペフィシチニブ(ASP015K)、フェドラチニブ(fedratinib)、トファシチニブ、バリシチニブ、レスタウルチニブ(lestaurtinib)、パクリチニブ、XL019、AZD1480、INCB039110、LY2784544、BMS911543、及びNS018等が挙げられる。
【0092】
リシルオキシダーゼ様タンパク質(LOXL)阻害剤
LOXL阻害剤としては、LOXL1、LOXL2、LOXL3、LOXL4、及び/又はLOXL5の阻害剤等が挙げられる。LOXL阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、国際公開第2009/017833号(Arresto Biosciences)に記載の抗体等が挙げられる。LOXL2阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、国際公開第2009/017833号(Arresto Biosciences)、国際公開第2009/035791号(Arresto Biosciences)、及び国際公開第2011/097513号(Gilead Biologics)に記載の抗体等が挙げられる。
【0093】
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤
MMP阻害剤としては、MMP1〜10の阻害剤等が挙げられる。MMP9阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、マリマスタット(BB−2516)、シペマスタット(cipemastat)(Ro32−3555)、及び国際公開第2012/027721号(Gilead Biologics)に記載のもの等が挙げられる。
【0094】
ポロ様キナーゼ(PLK)阻害剤
PLK阻害剤としては、PLK1、2、及び3の阻害剤等が挙げられる。
【0095】
ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)阻害剤
PI3K阻害剤としては、PI3Kγ、PI3Kδ、PI3Kβ、PI3Kα、及び/又はパン−PI3Kの阻害剤等が挙げられる。PI3K阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ウォルトマンニン、BKM120、CH5132799、XL756、イデラリシブ(idelalisib)(Zydelig
(登録商標))、及びGDC−0980等が挙げられる。PI3Kγ阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ZSTK474、AS252424、LY294002、及びTG100115等が挙げられる。PI3Kδ阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、化合物B、化合物C、化合物D、化合物E、PI3KII、TGR−1202、AMG−319、GSK2269557、X−339、X−414、RP5090、KAR4141、XL499、OXY111A、IPI−145、IPI−443、及び国際公開第2005/113556号(ICOS)、国際公開第2013/052699号(Gilead Calistoga)、国際公開第2013/116562号(Gilead Calistoga)、国際公開第2014/100765号(Gilead Calistoga)、国際公開第2014/100767号(Gilead Calistoga)、及び国際公開第2014/201409号(Gilead Sciences)に記載の化合物等が挙げられる。PI3Kβ阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、GSK2636771、BAY10824391、及びTGX221等が挙げられる。PI3Kα阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ブパルリシブ、BAY80−6946、BYL719、PX−866、RG7604、MLN1117、WX−037、AEZA−129、及びPA799等が挙げられる。pan−PI3K阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、LY294002、BEZ235、XL147(SAR245408)、及びGDC−0941等が挙げられる。
【0096】
脾臓チロシンキナーゼ(SYK)阻害剤
SYK阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、6−(1H−インダゾル−6−イル)−N−(4−モルフォリノフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−8−アミン、タマチニブ(tamatinib)(R406)、フォスタマチニブ(fostamatinib)(R788)、PRT062607、BAY−61−3606、NVP−QAB205AA、R112、R343、及び米国特許第8450321号(Gilead Connecticut)に記載のもの等が挙げられる。
【0097】
チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)
TKIとしては、上皮成長因子受容体(EGFR)や、線維芽細胞成長因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、及び血管内皮成長因子(VEGF)の受容体を標的とするものが挙げられる。EGFRを標的とするTKIの例としては、これらに限定されるものではないが、ゲフィチニブ、ニンテダニブ、及びエルロチニブが挙げられる。スニチニブは、FGF、PDGF、及びVEGFの受容体を標的とするTKIの非限定的な例である。更なるTKIとしては、ダサチニブ、ポナチニブ等が挙げられる。
【0098】
トル(Toll)様受容体(TLR)モジュレータ
TLRモジュレータとしては、TLR−1、TLR−2、TLR−3、TLR−4、TLR−5、TLR−6、TLR−7、TLR−8、TLR−9、TLR−10、TLR−11、TLR−12、及び/又はTLR−13の阻害剤等が挙げられる。
【0099】
製品及びキット
本明細書に記載のBtk阻害剤を含む組成物(例えば製剤及び単位投与形態が挙げられる)及び本明細書に記載のチェックポイント阻害剤を含む組成物を調製し、適切な容器に入れ、適応対象の病態の治療用である旨を表示することができる。従って、本明細書に記載のBtk阻害剤の単位投与形態及びチェックポイント阻害剤の単位投与形態と、これらの化合物を使用するための指示を含むラベルとを包入した容器等の製品も提供される。一部の態様によれば、当該製品は、(i)本明細書に記載のBtk阻害剤と、1又は2以上の医薬的に許容可能な担体、アジュバント又は賦形剤との単位投与形態;及び(ii)本明細書に記載のチェックポイント阻害剤と、1又は2以上の医薬的に許容可能な担体、アジュバント又は賦形剤との単位投与形態を包入した容器である。一態様によれば、Btk阻害剤及びチェックポイント阻害剤の各単位投与形態は、何れも錠剤である。
【0100】
また、キットも考えられる。例えば、本明細書に記載のBtk阻害剤及び本明細書に記載のチェックポイント阻害剤の単位投与形態と、これらの組成物を病状の治療に使用するための指示を含む添付文書とを備えるキットが提供される。一部の態様によれば、当該キットは、(i)本明細書に記載のBtk阻害剤と、1又は2以上の医薬的に許容可能な担体、アジュバント又は賦形剤とを含む単位投与形態;及び(ii)本明細書に記載のチェックポイント阻害剤と、1又は2以上の医薬的に許容可能な担体、アジュバント又は賦形剤との単位投与形態を備える。一態様によれば、Btk阻害剤及びチェックポイント阻害剤の各単位投与形態は、何れも錠剤である。
【0101】
当該キットに使用される指示は、例えば癌の治療、例えば本明細書に更に記載されるような、血液系悪性腫瘍又は固体腫瘍等の治療に関する。
【0102】
本明細書で論じたBtk阻害剤、化合物A1を、それ自体、並びに化合物A1とタンパク質チェックポイント阻害化合物との組合せは、化学治療剤、抗癌剤、抗血管新生剤、抗線維化剤、免疫治療剤、治療性抗体、放射治療剤、抗新生物剤、抗増殖剤、又はこれらの任意の組合せと組み合わせてもよい。これらの治療剤は、化合物、抗体、ポリペプチド、又はポリヌクレオチドの形態であってもよい。一態様によれば、本願は、医薬的に有効な量の化合物A1、又は医薬的に許容可能なその塩若しくは水和物と、医薬的に有効な量の、以下に論ずる群から選択される追加の治療剤との、治療における、例えば癌を治療する方法、例えば血液学的癌や固体腫瘍等の治療における、同時、個別、又は連続的な使用のための、組合せ調製物を提供する。一態様によれば、本願は、医薬的に有効な量の化合物A1、又は医薬的に許容可能なその塩若しくは水和物と、医薬的に有効な量のチェックポイントタンパク質阻害化合物、又は医薬的に許容可能なその塩若しくは水和物と、医薬的に有効な量の、以下に論ずる群から選択される追加の治療剤との、治療における、例えば癌を治療する方法、例えば血液学的癌や固体腫瘍等の治療における、同時、個別、又は連続的な使用のための、組合せ調製物を提供する。
【0103】
本明細書に記載の化合物は、1又は2以上の以下の追加の治療剤と使用することができる。アデノシンA2B受容体(A2B)阻害剤、BET−ブロモドメイン4(BRD4)阻害剤、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)阻害剤、IKK阻害剤、タンパク質キナーゼC(PKC)活性化剤又は阻害剤、TPL2阻害剤、セリン/トレオニン−タンパク質キナーゼ1(TBK1)阻害剤、潜在的ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)を活性化又は再活性化する剤、例えばパノビノスタット又はロミデプシン、抗CD20抗体 例えばリツキシマブ、オファツムマブ、オビヌツズマブ、抗プログラム細胞死タンパク質1(anti-programmed cell death protein 1:抗PD−1)抗体、例えばニボルマブ(BMS−936558、又はMDX1106、又はMK−34775)、及びペンブロリズマブ(MK−3475、SCH−900475、ランブロリズマブ)、及び抗プログラム死リガンド1(anti-programmed death-ligand 1:抗PD−L1)抗体、例えばBMS−936559(MDX1105)、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、デュルバルマブ(MEDI-4736)、及びアベルマブ(MSB0010718C)。
【0104】
本明細書に記載の化合物と、1又は2以上の治療剤(例えばA2B阻害剤、アポトーシスシグナル調節性キナーゼ(ASK)阻害剤、BRD4阻害剤、ジスコイジンドメイン受容体1(DDR1)阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)阻害剤、ヨナスキナーゼ(JAK)阻害剤、リシルオキシダーゼ様タンパク質2(LOXL2)阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP9)阻害剤、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)阻害剤、PKC活性化剤又は阻害剤、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)阻害剤、TPL2阻害剤、又はTBK阻害剤)とは、更に化学治療剤、抗癌剤、抗血管新生剤、抗線維化剤、免疫治療剤、治療性抗体、放射治療剤、抗新生物剤、スムーズンド(smoothened:SMO)受容体阻害剤、又はこれらの任意の組合せと組み合わせて使用してもよい。
【実施例】
【0105】
以下の実施例は、本出願に開示した態様の理解を更に助ける目的で示すものであるが、これら実施例が属する分野の当業者には周知の従来法を理解していることが前提となる。以下に記載する具体的な材料及び条件は、本明細書に開示した態様の特定の側面を例示することを意図したものである。よって、本発明の合理的な範囲を限定するものと解すべきではない。当然ではあるが、アッセイ又は試験の条件(例えば試薬濃度又はインキュベーション温度等)は、種々変更してもよく、アッセイ又は試験の結果も変わりうる。一部の例では、数値は1〜3倍の範囲で変化しうる。
【0106】
実施例1
この実施例では、BTK阻害剤である化合物A1と、抗PD−1抗体(4H2)(北山ラベス株式会社)との組合せの、同系腫瘍におけるインビボでの抗腫瘍活性を評価した。
【0107】
A20細胞系(ATCC)、マウスB細胞リンパ腫を、10%FBS、1%ペニシリン−ストレプトマイシンを補充したリンパ球成長培地(lymphocyte growth medium:LGM):RPMI−1640で維持した。新鮮な1%(vol)モノチオグリセロールを更に培養物に加えた。一皿当たり2×10
6〜4×10
6細胞の細胞懸濁液を37℃、5%CO
2で培養した。細胞をPBSに懸濁させた(5×10
7細胞/mL)。
【0108】
A20担持BALB/cマウスに皮下注射を行った(動物当たり5×10
6細胞)。細胞注射(0日目)から6日目に、腫瘍体積約200mm
3のマウスを、ビヒクル(CRF−1)、化合物A1、4H2、又は化合物A1及び4H2による四つの処置群(各群当たりn=9)に無作為に割り当てた。マウスに化合物A1を含有する食餌を与えた。4H2は0日目に20mg/kg、その後は6日毎に10mg/kgずつ腹腔内投与した。化合物A1の平均用量は46mg/kg/日とした(CRF−1を0.037%)。試験の間、腫瘍体積(腫瘍の長軸×(腫瘍の短軸)
2×0.5)、腫瘍成長阻害率(TGI、ビヒクル対照群との比較)、腫瘍体積の経時変化、体重、又は食餌摂取量を測定した。腫瘍が最大3,000mm
3に達した時点で試験を終了した。
【0109】
第一の試験では、化合物A1の46mg/kg/日での作用を評価した。第一の試験は19日目に終了した。化合物A1のみで処置した群では、0日目のTGIは0.8%;2日目のTGIは14%;6日目のTGIは23%;9日目のTGIは−12%;12日目のTGIは9%;15日目のTGIは8%;及び、19日目のTGIは10%であった。4H2のみで処置した群では、0日目のTGIは0.2%;2日目のTGIは21%;6日目のTGIは24%;9日目のTGIは26%;12日目のTGIは43%;15日目のTGIは51%;及び、19日目のTGIは55%であった。4H2と化合物A1とで処置した群では、0日目のTGIは0%;2日目のTGIは17%;6日目のTGIは41%;9日目のTGIは47%;12日目のTGIは53%;15日目のTGIは63%;及び、19日目のTGIは64%であった。
【0110】
対照群の平均腫瘍体積(mm
3)(±標準誤差)は、0日目には170(±9);2日目には288(±21);6日目には429(±55);9日目には564(±82);12日目には882(±153);15日目には1536(±247);及び、19日目には2822(±432)であった。化合物A1のみで処置した群の腫瘍体積(mm
3)は、0日目には168(±11);2日目には248(±18);6日目には331(±32);9日目には632(±61);12日目には805(±104);15日目には1408(±157);及び、19日目には2553(±272)であった。4H2のみで処置した群の腫瘍体積(mm
3)は、0日目には169(±10);2日目には226(±11);6日目には325(±22);9日目には417(±38);12日目には506(±88);15日目には751(±152);及び、19日目には1282(±318)であった。4H2及び化合物A1で処置した群の腫瘍体積(mm
3)は、0日目には170(±10);2日目には238(±12);6日目には254(±29);9日目には302(±67);12日目には418(±126);15日目には567(±211);及び、19日目には1007(±377)であった。
【0111】
更に、19日間に亘って体重(g)を測定した。対照群の平均体重(g)(±標準誤差)は、0日目には19(±0.5);2日目には20(±0.5);6日目には20(±0.5);9日目には20(±0.4);12日目には21(±0.4);15日目には22(±0.4);及び、19日目には22(±0.7)であった。化合物A1のみで処置した群の平均体重(g)(±標準誤差)は、0日目には19(±0.4);2日目には19(±0.4);6日目には20(±0.3);9日目には20(±0.3);12日目には21(±0.3);15日目には21(±0.3);及び、19日目には22(±0.4)であった。4H2のみで処置した群の平均体重(g)(±標準誤差)は、0日目には20(±0.4);2日目には20(±0.4);6日目には20(±0.4);9日目には20(±0.4);12日目には21(±0.4);15日目には21(±0.4);及び、19日目には21(±0.5)であった。4H2及び化合物A1で処置した群の平均体重(g)(±標準誤差)は、0日目には19(±0.2);2日目には20(±0.3);6日目には20(±0.3);9日目には20(±0.3);12日目には21(±0.3);15日目には21(±0.3);及び、19日目には22(±0.4)であった。
【0112】
19日目において、化合物A1及び4H2で処理したマウス9頭のうち3頭は、腫瘍の寛解が観察された。他の群では腫瘍の寛解は観察されなかった。
【0113】
第二の試験では、化合物A1の15mg/kg/日(CRF−1を0.012%)及び46mg/kg/日(CRF−1を0.037%)での作用を評価した。上記と同様のプロトコールを使用した。試験(各群当たりn=12)は17日目に終了した。4H2のみで処置した群については17日目の結果は示していない。当該群の一頭のマウスは14日目に腫瘍体積が3,000mm
3を超えた。
【0114】
4H2のみで処置した群では、0日目のTGIは0.4%;3日目のTGIは0.2%;7日目のTGIは12%;10日目のTGIは29%;及び、14日目のTGIは37%であった。4H2及び化合物A1で処置した群では、0.012%、0日目のTGIは0.9%;3日目のTGIは18%;7日目のTGIは20%;10日目のTGIは40%;14日目のTGIは41%;及び、17日目では36%であった。4H2及び0.037%の化合物A1で処置した群では、0日目のTGIは0.1%;3日目のTGIは3%;7日目のTGIは4%;10日目のTGIは10%;14日目のTGIは16%;及び、17日目のTGIは19%であった。
【0115】
対照群の平均腫瘍体積(±標準誤差)は、0日目には200(±10);3日目には281(±19);7日目には536(±53);10日目には964(±115);14日目には1707(±201);及び、17日目には2999(±335)であった。4H2のみで処置した群の腫瘍体積(mm
3)は、0日目には199(±11);3日目には280(±27);7日目には474(±104);10日目には684(±165);及び、14日目には1074(±300)であった。4H2及び0.012%の化合物A1で処置した群の腫瘍体積(mm
3)は、0日目には198(±9);3日目には231(±21);7日目には427(±89);10日目には577(±144);14日目には1002(±290);及び、17日目には1912(±610)。4H2及び0.037%の化合物A1で処置した群の腫瘍体積(mm
3)は、0日目には200(±9);3日目には273(±25);7日目には517(±82);10日目には868(±170);14日目には1432(±311);及び、17日目には2440(±526)であった。
【0116】
対照群の平均体重(±標準誤差)は、0日目には19(±0.2);3日目には19(±0.3);7日目には20(±0.3);10日目には20(±0.3);14日目には21(±0.3)、及び17日目には22(±0.4)であった。4H2のみで処置した群の平均体重(±標準誤差)は、0日目には20(±0.2);3日目には20(±0.2);7日目には20(±0.2);10日目には21(±0.2);及び、14日目には21(±0.4)であった。4H2及び0.012%の化合物A1で処置した群の平均体重(g)(±標準誤差)は、0日目には19(±0.3);3日目には20(±0.3);7日目には20(±0.3);10日目には20(±0.2);14日目には21(±0.3);及び、17日目には22(±0.4)であった。4H2及び0.037%の化合物A1で処置した群の平均体重(g)(±標準誤差)は、0日目には19(±0.5);3日目には19(±0.5);7日目には20(±0.4);10日目には20(±0.5);14日目には21(±0.5);及び、17日目には23(±0.6)であった。
【0117】
17日目の時点で、化合物A1(0.012%)及び4H2で処置した群のマウスのうち4頭、並びに、化合物A1(0.037%)及び4H2で処置した群のマウスのうち2頭に、腫瘍の寛解が観察された。他の群では腫瘍の寛解は観察されなかった。
【0118】
実施例2
この実施例では、BTK阻害剤(化合物A1)と抗PD−1抗体(4H2)との組合せの、同系腫瘍におけるインビボ抗腫瘍活性を評価した。L1210細胞系(JCRB)(マウスリンパ性白血病)に対して、上述と同様のプロトコールを用いた。
【0119】
L1210担持DBA−2マウスに皮下注射した(5×10
5細胞/動物)。マウスを、ビヒクル(CRF−1)、化合物A1、4H2(6日毎に10mg/kg)、又は化合物A1及び4H2による4つの処理群(各群n=8)に無作為に割り当てた。マウスに化合物A1を含む食餌を与えた。4H2は0日目に20mg/kg、その後は6日間毎に10mg/kgずつ腹腔内投与した。化合物A1の平均用量は54mg/kg/日とした(CRF−1を0.037%)。
【0120】
試験は14日目に終了した。化合物A1のみで処置した群では、4日目のTGIは8%;7日目のTGIは30%;10日目のTGIは7%;12日目のTGIは−0.7%;及び、14日目では−0.2%であった。4H2のみで処置した群では、4日目のTGIは−5%;7日目のTGIは7%;10日目のTGIは5%;12日目のTGIは13%;及び、14日目は19%であった。4H2及び化合物A1で処置した群では、4日目のTGIは−23%;7日目のTGIは19%;10日目のTGIは22%;12日目のTGIは42%;及び、14日目のTGIは46%であった。
【0121】
対照群の平均腫瘍体積(±標準誤差)は、0日目には0(±0);4日目には78(±12);7日目には354(±20);10日目には942(±39);12日目には1838(±106);及び、14日目には3273(±224)であった。化合物A1のみで処置した群の腫瘍体積(mm
3)は、0日目には0(±0);4日目には71(±16);7日目には247(±34);10日目には874(±108);12日目には1851(±226);及び、14日目には3279(±321)であった。4H2のみで処置した群の腫瘍体積(mm
3)は、0日目には0(±0);4日目には82(±14);7日目には329(±41);10日目には892(±116);12日目には1598(±184);及び、14日目には2656(±294)であった。4H2及び化合物A1で処置した群の腫瘍体積(mm
3)は、0日目には0(±0);4日目には96(±12);7日目には286(±26);10日目には734(±52);12日目には1068(±73);及び、14日目には1774(±159)であった。
【0122】
更に、対照群の平均体重(g)(±標準誤差)は、0日目には15(±0.4);4日目には15(±0.4);7日目には15(±0.5);10日目には16(±0.5);12日目には17(±0.4);及び、14日目には18(±0.5)であった。化合物A1のみで処置した群の平均体重(g)(±標準誤差)は、0日目には15(±0.4);4日目には16(±0.4);7日目には16(±0.4);10日目には17(±0.5);12日目には18(±0.4);及び、14日目には19(±0.5)であった。4H2のみで処置した群の平均体重(g)(±標準誤差)は、0日目には15(±0.4);4日目には15(±0.3);7日目には15(±0.4);10日目には17(±0.5);12日目には17(±0.5);及び、14日目には18(±0.6)であった。4H2及び化合物A1で処置した群の平均体重(g)(±標準誤差)は、0日目には15(±0.4);4日目には16(±0.4);7日目には16(±0.4);10日目には17(±0.4);12日目には17(±0.4);及び、14日目には18(±0.3)であった。
【0123】
実施例3
この実施例では、膵臓上皮内新生組織形成(pancreatic intraepithelial neoplasia:PanIN)同所性モデル(即ち、ヒトPanIN細胞の異種移植を含む免疫不全マウス)におけるBTK阻害剤の作用を評価する。BTK阻害剤、ゲムシタビン、及び/又は、PD−1若しくはPD−L1阻害剤の組合せにより、腫瘍成長の阻害及び/又は寛解が生じうる。腫瘍細胞をマウスの膵臓内に移植又は注射する。移植又は注射から二週間後、マウスを5つの群に無作為に割り当てる(各群n=14)。試験中、FACS又はIHC分析、腫瘍サイズ/体重、バイオマーカー分析等により、作用を評価することができる。各群はそれぞれ以下の異なる処置を受ける:ビヒクル対照;ゲムシタビンのみ;ゲムシタビンとPD−1又はPD−L1阻害剤との組み合わせ;ゲムシタビンとBtk阻害剤との組み合わせ;及び、ゲムシタビンとBtk阻害剤とPD−1又はPD−L1阻害剤との組み合わせ。Btk阻害剤は化合物A1とすることができる。PD−1又はPD−L1阻害剤は抗PD−1又は抗PD−L1抗体とすることができる。試験は処置後2週、3週、又は4週間で終了することができる。