【解決手段】回転検出システム1は、モータ201のシャフト202の回転をそれぞれ検出する磁気式回転検出装置2および光学式回転検出装置3を備えている。回転検出システム1において、磁石12〜14およびコードホイール41はシャフト202の外周部に固定されている。磁気センサ21〜23および磁気検出回路37等が設けられた磁気検出基板39は、シャフト202の外周領域の一部を占める磁気検出領域R1内に設けられている。光検出ユニット45等が設けられた光検出基板49は、シャフト202の外周領域において磁気検出領域R1と周方向において異なる部分を占める光検出領域R2内に設けられている。
前記複数の磁界検出部は、前記磁気検出基板において、前記回転体の回転軸方向における一側の面および他側の面に分かれて配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転検出システム。
前記複数の磁界検出部は、前記回転体の回転軸方向において互いに異なる位置に配置された2枚の前記磁気検出基板に分かれて配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転検出システム。
前記エンコード板は、前記少なくとも一対の磁界形成部の、前記回転軸方向の一側または他側において前記少なくとも一対の磁界形成部と隣接していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の回転検出システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(回転検出システム)
図1は本発明の実施形態の回転検出システム1、および被検出装置としてのモータ201を示している。
図1に示すように、回転検出システム1は、磁石11〜14、磁気センサ21〜23および磁気検出回路37等を有する磁気式回転検出装置2と、コードホイール41および光検出ユニット45等を有する光学式回転検出装置3とを備えている。モータ201は、回転体としてのシャフト202、および支持体としての筐体203を有している。シャフト202は筐体203に回転可能に支持されている。
図1中のAはシャフト202の回転軸を示している。磁気式回転検出装置2および光学式回転検出装置3はそれぞれシャフト202の回転を検出する。回転検出システム1によれば、電源オフ時には磁気式回転検出装置2を用いてシャフト202の回転を検出することができ、電源オン時には磁気式回転検出装置2および光学式回転検出装置3を用いてシャフト202の回転を高精度に検出することができる。
【0012】
なお、
図1においては、シャフト202の先端が上を向くようにモータ201が配置されている。モータ201の配置は限定されないが、以下、説明の便宜上、
図1に示すモータ201の配置に従い、シャフト202の回転軸Aの方向を上下方向とし、モータ201の筐体203から見てシャフト202の先端が位置する方向を上方とする。
【0013】
(磁気式回転検出装置)
図2は、
図1中の回転検出システム1およびシャフト202を上方から見た状態を示している。
図3は、
図1中の切断線III−IIIで切断した回転検出システム1およびシャフト202の断面を下方から見た状態を示している。
【0014】
回転検出システム1において、磁気式回転検出装置2は、
図2または
図3に示すように、4つの磁石11、12、13、14(二対の磁界形成部)、3つの磁気センサ21、22、23(3つの磁界検出部)、3つのヨーク対31、32、33(3つの磁界制御部)、磁気検出回路37、および磁気検出基板39を備えている。
【0015】
磁石11〜14はそれぞれ永久磁石であり、シャフト202の外周部に固定されている。また、回転検出システム1を上方から見たとき、磁石11〜14は回転軸Aの周囲に90度の間隔を置いて配列されている。磁石11〜14は、シャフト202の回転に伴って回転軸Aの周囲の軌道B上を移動する。
【0016】
また、磁石11および磁石13は、上方から見て径方向外側の面がN極となるようにシャフト202に固定されている。また、磁石12および磁石14は、上方から見て径方向外側の面がS極となるようにシャフト202に固定されている。また、磁石11〜14は、シャフト202の周方向において隣り合う磁石の極性が逆になるように、例えば上から見て反時計回り方向に磁石11、12、13、14の順番に配置されている。
【0017】
また、各磁石11〜14は、
図1に示すように、上下方向に長く、各磁石11〜14の上端部は磁気検出基板39よりも上側に位置し、各磁石11〜14の下端部は磁気検出基板39よりも下側に位置している。その結果、磁気検出基板39の上面39A(表面)に配置された磁気センサ21、および磁気検出基板39の下面39B(裏面)に配置された2つの磁気センサ22、23はいずれも、磁石11〜14が移動する領域と対向している。なお、磁石11において、上方から見て径方向外側の面の磁極の極性は、磁石11の上端部から下端部にかけて等しく、いずれもN極である。磁石13についても同様である。また、磁石12において、上方から見て径方向外側の面の磁極の極性は、磁石12の上端部から下端部にかけて等しく、いずれもS極である。磁石14についても同様である。
【0018】
磁気センサ21〜23は、磁石11〜14によりそれぞれ形成された磁界を、大バルクハウゼン効果を利用して検出するセンサである。各磁気センサ21〜23は、磁石11〜14によりそれぞれ形成された磁界に応じた磁気検出信号を出力する。
図2に示すように、磁気センサ21は磁気検出基板39の上面39Aに配置され、
図3に示すように、磁気センサ22および磁気センサ23は磁気検出基板39の下面39Bに配置されている。
【0019】
図4は磁気センサ21を示している。
図4に示すように、磁気センサ21は、磁性線材25、コイル26およびボビン27を有している。磁性線材25は大バルクハウゼン素子である。具体的には、磁性線材25は、大バルクハウゼン効果を生じる線状の強磁性体であり、一軸異方性を有する。磁性線材25は複合磁気ワイヤと呼ばれるものである。磁性線材25は、例えば鉄およびコバルトを含む半硬質磁性線材に捻りを加えることにより形成することができる。磁性線材25は、例えば樹脂等の非磁性材料により形成されたボビン27の軸部の内部に配置されている。コイル26は磁性線材25の外周側に設けられている。例えば、コイル26は、内部に磁性線材25が配置されたボビン27の軸部の外周側にエナメル線を巻回することにより形成されている。磁気センサ22および磁気センサ23も磁気センサ21と同じ構成を有している。
【0020】
また、磁性線材25の長さは例えばおよそ10mm〜20mmである。各磁気センサ21〜23において、ボビン27の内部には、磁性線材25が直線状に伸長した状態で配置されている。磁性線材25の長さに応じ、各磁気センサ21〜23の長さは、例えばおよそ10mm〜20mmである。
【0021】
回転検出システム1を上方から見たとき、シャフト202の外周側を全周に亘って包囲する領域、すなわちシャフト202の外周領域は、磁気検出領域R1と光検出領域R2とに分かれている。例えば、
図2に示すように、回転検出システム1を上方から見たとき、シャフト202の外周領域の概ね右側が磁気検出領域R1であり、概ね左側が光検出領域R2である。磁気検出領域R1内には磁気検出基板39が設けられている。磁気検出基板39は概ね扇形に形成されている。磁気検出基板39は、当該磁気検出基板39の上面39Aを含む平面、および当該磁気検出基板39の下面39Bを含む平面が回転軸Aと直交するように配置されている。また、磁気検出基板39はシャフト202、磁石11〜14およびコードホイール41から離れている。また、磁気検出基板39は、
図1に示すように、ホルダ52を介して、モータ201の筐体203に、シャフト202の回転に伴って移動しないように固定されている。磁気センサ21は
図2に示すように磁気検出基板39の上面39Aに固定され、磁気センサ22および磁気センサ23は
図3に示すように磁気検出基板39の下面39Bに固定されている。
【0022】
また、各磁気センサ21〜23は、磁性線材25の軸線を含む平面が回転軸Aと直交するように配置されている。なお、磁性線材25の軸線とは、磁性線材25の横断面の中心を磁性線材25の伸長方向に貫く直線をいう。
【0023】
また、
図2および
図3に示すように、回転検出システム1を上方から見たとき、各磁気センサ21〜23は、磁性線材25の軸線のその伸長方向における中央部が、回転軸Aを中心とする円Cの円周と接するように配置されている。また、回転検出システム1を上方から見たとき、各磁気センサ21〜23は、磁石11〜14が移動する軌道Bの外周側に配置されている。また、磁気センサ21〜23は、シャフト202の回転方向においてそれぞれ異なる位置に配置されている。具体的には、回転検出システム1を上方から見たとき、磁気センサ21〜23は、シャフト202の周囲に60度の間隔を置いて配置されている。
【0024】
また、回転検出システム1を上方から見たとき、磁気センサ21〜23のうち、シャフト202の回転方向において隣り合う2つの磁気センサは互いに部分的に重なり合っている。具体的には、回転検出システム1を上方から見たとき、磁気センサ21〜23は、磁気センサ21の一方の隣側に磁気センサ22が位置し、磁気センサ21の他方の隣側に磁気センサ23が位置するように回転軸Aの周囲に並んで配置されている。そして、磁気センサ21の一端部と磁気センサ22の一端部とが互いに重なり合い、磁気センサ21の他端部と磁気センサ23の一端部とが互いに重なり合っている。なお、回転検出システム1を回転軸Aの方向(上方または下方)から見たときに、一の部分と他の部分とが「重なり合っている」とは、ここでは、一の部分と他の部分とが回転軸Aの方向(回転軸Aと平行な方向)において磁気検出基板39を挟んで互いに対向していることを意味する。
【0025】
ヨーク対31〜33は、各磁石11〜14により形成される磁界の方向を制御する機能を有している。各ヨーク対31〜33は一対のヨーク片35を有している。各ヨーク片35は、例えば純鉄、ケイ素鋼、パーロマイまたはアモルファス金属等の軟質磁性材料により板状に形成されている。また、ヨーク対31は磁気検出基板39の上面39Aに配置され、ヨーク対32およびヨーク対33は磁気検出基板39の下面39Bに配置されている。
【0026】
ヨーク対31は、
図2に示すように、磁気センサ21と、磁石11〜14が移動する軌道Bとの間に配置されている。具体的には、ヨーク対31の一方のヨーク片35は、磁気センサ21の一端部と軌道Bとの間に配置され、他方のヨーク片35は、磁気センサ21の他端部と軌道Bとの間に配置されている。また、これら2つのヨーク片35は互いに離れている。また、ヨーク対31の各ヨーク片35は、磁気検出基板39の上面39Aから当該上面39Aと直交する方向(上方)に立ち上がっている。
【0027】
ヨーク対32は、
図3に示すように、磁気センサ22と軌道Bとの間に配置されている。具体的には、ヨーク対32の一方のヨーク片35は、磁気センサ22の一端部と軌道Bとの間に配置され、他方のヨーク片35は、磁気センサ22の他端部と軌道Bとの間に配置されている。また、これら2つのヨーク片35は互いに離れている。また、ヨーク対32の各ヨーク片35は、磁気検出基板39の下面39Bから当該下面36Bと直交する方向(下方)に立ち上がっている。
【0028】
ヨーク対33は、磁気センサ23と、磁石11〜14が移動する軌道Bとの間に配置されている。また、ヨーク対33の一対のヨーク片35と磁気センサ23との配置関係は、
図3に示すように、ヨーク対32の一対のヨーク片35と磁気センサ22との配置関係と同様である。
【0029】
また、回転検出システム1を上方から見たとき、ヨーク対31〜33のうち、シャフト202の回転方向において隣り合う2つのヨーク対は互いに部分的に重なり合っている。具体的には、ヨーク対31の一方のヨーク片35は、ヨーク対32の一方のヨーク片35と部分的に重なり合っている。また、ヨーク対31の他方のヨーク片35は、ヨーク対33の一方のヨーク片35と部分的に重なり合っている。
【0030】
磁気検出回路37は、磁気センサ21〜23からそれぞれ出力された磁気検出信号に基づいてシャフト202の回転量を算出する回路である。磁気検出回路37は磁気検出基板39の下面39Bに設けられている。具体的には、磁気検出回路37は、例えば1つのチップにまとめられた集積回路として形成されており、磁気検出回路37のチップは、
図3に示すように、磁気検出基板39の下面39Bに固定されている。
【0031】
図5は磁気式回転検出装置2の動作を示している。
図5には、上方から見た磁気式回転検出装置2の6通りの状態が描かれている。すなわち、
図5においてはシャフト202が時計回りに回転しており、
図5中の左上の磁気式回転検出装置2は、シャフト202の回転角度が0°に達したときの状態を示し、その右隣の磁気式回転検出装置2は、シャフト202の回転角度が30°に達したときの状態を示し、その右隣の磁気式回転検出装置2は、シャフト202の回転角度が60°に達したときの状態を示している。さらに、
図5中の左下の磁気式回転検出装置2は、シャフト202の回転角度が90度に達したときの状態を示し、その右隣の磁気式回転検出装置2は、シャフト202の回転角度が120°に達したときの状態を示し、その右隣の磁気式回転検出装置2は、シャフト202の回転角度が150°に達したときの状態を示している。また、
図5中のW1は磁気センサ21から出力された磁気検出信号の波形を示し、W2は磁気センサ22から出力された磁気検出信号の波形を示し、W3は磁気センサ23から出力された磁気検出信号の波形を示している。
【0032】
各磁気センサ21〜23が有している磁性線材25は、当該磁性線材25に作用する外部磁界の方向が変化し、その外部磁界の強さがある閾値に達したとき、大バルクハウゼン効果により磁化方向が瞬時に反転する性質を有している。磁性線材25の磁化方向が瞬時に反転すると、磁性線材25の外周側に設けられたコイル26から電磁誘導により鋭いパルスが出力される。具体的には、磁性線材25に作用する外部磁界が一方向から他方向に変化して、その外部磁界の強さがある閾値に達したとき、磁性線材25の磁化方向が一方向から他方向に瞬時に反転して、コイル26から例えば正のパルスが出力される。また、磁性線材25に作用する外部磁界が他方向から一方向に変化して、その外部磁界の強さがある閾値に達したとき、磁性線材25の磁化方向が他方向から一方向に瞬時に変化して、コイル26から例えば負のパルスが出力される。
【0033】
磁気式回転検出装置2においては、シャフト202の回転に伴って磁石11〜14が軌道B上を移動することにより、磁気センサ21〜23のそれぞれの磁性線材25に作用する磁界が変化する。例えば、シャフト202が
図5において時計回り方向に回転している間、シャフト202の回転角度が0度に達したとき、磁石11および磁石14が磁気センサ21に接近する。このとき、磁石11および磁石14によりそれぞれ形成された磁界(磁石11により形成された磁界と磁石14により形成された磁界とが合わさった磁界)により、磁気センサ21の磁性線材25には
図5において下方向の磁界が作用する。これにより、磁気センサ21の磁性線材25の磁化方向が反転し、磁気センサ21から例えば正のパルスP1が出力される。また、磁石11から磁石14へ向かう磁力線が磁気センサ21の磁性線材25中を下方向に通るようにヨーク対31により磁界が制御されることにより、パルスP1のレベルを大きくすることができる。
【0034】
次に、シャフト202の回転角度が30度に達したとき、磁石11および磁石12が磁気センサ22に接近する。このとき、磁石11および磁石12によりそれぞれ形成された磁界により、磁気センサ22の磁性線材25には
図5において左斜め上方向の磁界が作用する。これにより、磁気センサ22の磁性線材25の磁化方向が反転し、磁気センサ22から例えば負のパルスP2が出力される。また、磁石11から磁石12へ向かう磁力線が磁気センサ22の磁性線材25中を左斜め上方向に通るようにヨーク対32により磁界が制御されることにより、パルスP2のレベルを大きくすることができる。
【0035】
次に、シャフト202の回転角度が60度に達したとき、磁石11および磁石14が磁気センサ23に接近する。このとき、磁石11および磁石14によりそれぞれ形成された磁界により、磁気センサ23の磁性線材25には
図5において左斜め下方向の磁界が作用する。これにより、磁気センサ23の磁性線材25の磁化方向が反転し、磁気センサ23から例えば正のパルスP3が出力される。また、磁石11から磁石14へ向かう磁力線が磁気センサ23の磁性線材25中を左斜め下方向に通るようにヨーク対33により磁界が制御されることにより、パルスP3のレベルを大きくすることができる。
【0036】
次に、シャフト202の回転角度が90度に達したとき、磁石11および磁石12が磁気センサ21に接近する。このとき、磁石11および磁石12によりそれぞれ形成された磁界により、磁気センサ21の磁性線材25には
図5において上方向の磁界が作用する。これにより、磁気センサ21の磁性線材25の磁化方向が反転し、磁気センサ21から例えば負のパルスP4が出力される。また、ヨーク対31による磁界の制御によってパルスP4のレベルを大きくすることができる。
【0037】
次に、シャフト202の回転角度が120度に達したとき、磁石12および磁石13が磁気センサ22に接近する。このとき、磁石12および磁石13によりそれぞれ形成された磁界により、磁気センサ22の磁性線材25には
図5において右斜め下方向の磁界が作用する。これにより、磁気センサ22の磁性線材25の磁化方向が反転し、磁気センサ22から例えば正のパルスP5が出力される。また、ヨーク対32による磁界の制御によってパルスP5のレベルを大きくすることができる。
【0038】
次に、シャフト202の回転角度が150度に達したとき、磁石11および磁石12が磁気センサ23に接近する。このとき、磁石11および磁石12によりそれぞれ形成された磁界により、磁気センサ23の磁性線材25には
図5において右斜め上方向の磁界が作用する。これにより、磁気センサ23の磁性線材25の磁化方向が反転し、磁気センサ23から例えば負のパルスP6が出力される。また、ヨーク対33による磁界の制御によってパルスP6のレベルを大きくすることができる。
【0039】
磁気センサ21から出力されたパルスP1、P4を含む磁気検出信号、磁気センサ22から出力されたパルスP2、P5を含む磁気検出信号、および磁気センサ23から出力されたパルスP3、P6を含む磁気検出信号は磁気検出回路37に出力される。磁気検出回路37は、磁気センサ21〜23からそれぞれ出力された磁気検出信号に基づいてシャフト202の回転量を算出する。このシャフト202の回転量の算出方法として、例えば、国際公開第2016/002437号に記載された方法を用いることができる。また、磁気検出回路37は、磁気センサ21〜23からそれぞれ出力された磁気検出信号に基づいて算出されたシャフト202の回転量を示す第1の回転量信号を、後述する演算処理回路51へ出力する。
【0040】
(光学式回転検出装置)
図6は光学式回転検出装置3を模式的に示している。回転検出システム1において、光学式回転検出装置3は、
図6に示すように、コードホイール41(エンコード板)、光検出ユニット45および光検出基板49を備えている。
【0041】
コードホイール41は、シャフト202の回転に応じて変化する検出光を生成する部材である。
図6に示すように、コードホイール41は、例えば樹脂等の非磁性材料により円板状に形成されている。また、コードホイール41の中心部には、コードホイール41をシャフト202に取り付けるための挿入孔42が設けられている。挿入孔42にはシャフト202が挿入される。コードホイール41は、
図1に示すように、シャフト202の外周部に固定されており、シャフト202の回転に伴って回転する。
【0042】
また、コードホイール41は、シャフト202において、磁石11〜14が固定された部分の下方に配置されている。また、コードホイール41は磁石11〜14と隣接している。また、コードホイール41の上面41A(表面)は光検出基板49の下面49Bと対向している。
【0043】
また、
図6に示すように、コードホイール41の上面41Aには、複数の反射部43および複数の非反射部44が設けられている。反射部43と非反射部44とは交互に配置され、コードホイール41の中心Q(回転軸A)を中心とした円を描くように配列されている。
【0044】
光検出ユニット45は、
図6に示すように、発光素子46、受光素子47(光検出部)および光検出回路48が一体化されたユニットである。発光素子46は例えば発光ダイオードである。受光素子47は例えばフォトトランジスタである。光検出回路48は集積回路である。
【0045】
図2および
図3に示すように、回転検出システム1を上方から見たとき、シャフト202の外周領域は磁気検出領域R1と光検出領域R2とに分かれており、光検出領域R2内には光検出基板49が設けられている。光検出基板49は概ね扇形に形成されている。また、光検出基板49は磁気検出基板39とは別の基板であり、光検出基板49と磁気検出基板39とは互いに分離している。光検出基板49は、当該光検出基板49の上面49Aを含む平面、および当該光検出基板49の下面49Bを含む平面が回転軸Aと直交するように配置されている。また、光検出基板49はシャフト202、磁石11〜14およびコードホイール41から離れている。また、光検出基板49は、
図1に示すように、ホルダ52を介して、モータ201の筐体203に、シャフト202の回転に伴って移動しないように固定されている。光検出ユニット45は、
図3に示すように光検出基板49の下面49Bに固定されている。また、
図6に示すように、光検出ユニット45は、発光素子46および受光素子47がコードホイール41における反射部43および非反射部44の配列と対向するように配置されている。
【0046】
図6において、シャフト202が回転している間に、発光素子46から発せられた照射光L1は、反射部43および非反射部44の配列上に照射される。これにより、シャフト202の回転に応じて光量が変化するパルス状の検出光L2が生成される。生成された検出光L2は受光素子47に入力される。受光素子47は検出光L2を電気信号である光検出信号に変換し、当該光検出信号を光検出回路48に出力する。光検出回路48は、光検出信号に基づいてシャフト202の回転量を算出する。この光検出信号に基づくシャフト202の回転量の算出方法として、光学式エンコーダを用いてモータのシャフトの回転数または回転角度を検出する周知の方法を用いることができる。また、光検出回路48は、光検出信号に基づいて算出されたシャフト202の回転量を示す第2の回転量信号を、後述する演算処理回路51へ出力する。
【0047】
(回転検出システムの他の構成要素)
回転検出システム1は、
図1に示すように、磁気式回転検出装置2および光学式回転検出装置3に加え、演算処理回路51、内部コネクタ83〜86、外部コネクタ91〜93、接続ケーブル87、95およびホルダ52を備えている。
【0048】
演算処理回路51は、磁気検出回路37から出力された第1の回転量信号および光検出回路48から出力された第2の回転量信号に基づいてシャフト202の最終的な回転量を算出し、当該算出した最終的な回転量を示す第3の回転量信号を外部へ出力する回路である。例えば、演算処理回路51は、第1の回転量信号が示すシャフト202の回転量を、第2の回転量信号が示すシャフト202の回転量を用いて補正することにより、シャフト202の回転量を正確に示す第3の回転量信号を生成し、出力する。演算処理回路51は、例えば1つのチップにまとめられた集積回路として形成されており、演算処理回路51のチップは、
図3に示すように、光検出基板49の下面49Bに取り付けられている。
【0049】
内部コネクタ83〜86および接続ケーブル87は、磁気検出回路37と演算処理回路51との間を電気的に接続する手段である。外部コネクタ91〜93および接続ケーブル95は、演算処理回路51と、回転検出システム1の外部に設けられたモータ制御回路205との間を電気的に接続するため手段である。モータ制御回路205は、演算処理回路51から出力された第3の回転量信号に基づいてモータ201を制御する回路である。なお、磁気検出回路37と演算処理回路51との間の電気接続、および演算処理回路51とモータ制御回路205との間の電気接続等については後に詳述する。
【0050】
以上説明した通り、本実施形態の回転検出システム1においては、磁気センサ21〜23、ヨーク対31〜33および磁気検出回路37が設けられた磁気検出基板39が、シャフト202の外周領域の一部を占める磁気検出領域R1内に設けられ、光検出ユニット45が設けられた光検出基板49が、シャフト202の外周領域において磁気検出領域R1と周方向において異なる部分を占める光検出領域R2内に設けられている。この構成によれば、磁気式回転検出装置2の一部を構成する磁気センサ21〜23、ヨーク対31〜33および磁気検出回路37と、光学式回転検出装置3の一部を構成する光検出ユニット45とをシャフト202の外周側の異なる位置に分散させて配置することができる。したがって、磁気センサ21〜23、ヨーク対31〜33および磁気検出回路37と、光検出ユニット45とを上下方向(回転軸Aの方向)に積み重ねて配置する場合と比較して、回転検出システム1の上下方向の寸法を小さくすることができ、回転検出システム1の小型化を図ることができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、磁気検出基板39と光検出基板49とが互いに分離しているので、回転検出システム1を製造するに当たり、部品の組立性を良くすることができる。具体的には、磁気式回転検出装置2の一部を構成する磁気センサ21〜23、ヨーク対31〜33および磁気検出回路37の磁気検出基板39への実装と、光学式回転検出装置3の一部を構成する光検出ユニット45の光検出基板49への実装とをそれぞれ別工程で行った後、磁気センサ21〜23、ヨーク対31〜33および磁気検出回路37が実装された磁気検出基板39と、光検出ユニット45が実装された光検出基板49とをモータ201のシャフト202の外周側に組付けることにより、回転検出システム1を組み立てることができる。磁気式回転検出装置2と光学式回転検出装置3とは回転検出の原理が互いに異なるため、磁気式回転検出装置2と光学式回転検出装置3とで開発者または製造者が互いに異なることがある。本実施形態によれば、回転検出システム1を製造するに当たり、例えば磁気センサ21〜23、ヨーク対31〜33および磁気検出回路37が実装された磁気検出基板39の製造を第1の製造者が行い、光検出ユニット45が実装された光検出基板49の製造を第2の製造者が行い、磁気検出基板39および光検出基板49のモータ201への組付けを第1の製造者、第2の製造者または第3の製造者が行うといった製造方法を容易に採用することができ、回転検出システム1を効率良く製造することができる。
【0052】
また、本実施形態においては、磁気センサ21〜23が磁気検出基板39の上面39Aと下面39Bに分かれて配置されている。したがって、磁気センサ21〜23を磁性線材25の軸線を含む平面が回転軸Aと直交するように配置し、かつ回転検出システム1を上方から見たときに磁気センサ21〜23において隣り合う2つの磁気センサが互いに重なり合うように磁気センサ21〜23を配置することで、磁気センサ21〜23による回転検出の精度の保ちつつ、磁気センサ21〜23を小さい領域内に集約することができる。すなわち、磁気センサ21〜23を磁性線材25の軸線を含む平面が回転軸Aと直交するように配置することで、磁気センサ21〜23が占める領域の上下方向の寸法を小さくすることができる。そして、磁気センサ21〜23をこのように配置した場合でも、磁気センサ21〜23を磁気検出基板39の上面39Aと下面39Bに分けて配置することにより、シャフト202の周方向において互いに隣り合う2つの磁気センサを、回転検出の精度を保つことができる程度に周方向に離すことができる。さらに、回転検出システム1を上方から見たときに磁気センサ21〜23において隣り合う2つの磁気センサが互いに重なり合うように磁気センサ21〜23を配置することで、回転検出の精度を保ちつつ、磁気センサ21〜23が占める領域の左右方向または前後方向の寸法を小さくすることができる。これにより、回転検出システムの小型化を図ることができる。
【0053】
また、本実施形態においては、コードホイール41が上下方向において磁石11〜14と隣接している。このようにコードホイール41と磁石11〜14とを上下方向に接近させることで、回転検出システム1の上下方向の寸法を小さくすることができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、各磁気センサ21〜23の磁性線材25として、大バルクハウゼン素子を用いたことにより、シャフト202の回転の検出精度の高い無電源の磁気式回転検出装置を容易に実現することができる。
【0055】
(部品配置に関する変形例)
上述した回転検出システム1では、
図7(A)に示すように、磁気センサ21およびヨーク対31を磁気検出基板39の上面39Aに配置し、2つの磁気センサ22、23、2つのヨーク対32、33および磁気検出回路37を磁気検出基板39の下面39Bに配置した。また、光検出回路48および演算処理回路51を光検出基板49の下面49Bに配置した。また、コードホイール41を磁石11〜14の下方に配置した。しかしながら、回転検出システム1において、これらの部品の配置は
図7(A)に示す配置に限定されない。以下、これらの部品の配置に関し、いくつかの変形例を述べる。
【0056】
まず、
図7(A)に示す部品の配置を次のように変更してもよい。すなわち、磁気センサ21およびヨーク対31を磁気検出基板39の下面39Bに配置し、2つの磁気センサ22、23および2つのヨーク対32、33を磁気検出基板39の上面39Aに配置してもよい。また、
図7(A)において、磁気検出回路37の配置は、磁気センサ21〜23およびヨーク対31〜33の配置に拘わらず、磁気検出基板39の上面39Aに配置してもよいし、下面39Bに配置してもよい。
【0057】
また、
図7(B)に示すように、磁気検出領域R1内に2枚の磁気検出基板39を設け、これら磁気検出基板39を上下方向において互いに異なる位置に配置し、磁気センサ21およびヨーク対31を上側の磁気検出基板39の下面39Bに配置し、2つの磁気センサ22、23および2つのヨーク対32、33を下側の磁気検出基板39の上面39Aに配置してもよい。また、
図7(B)に示す部品の配置を次のように変更してよい。すなわち、磁気センサ21およびヨーク対31を下側の磁気検出基板39の上面39Aに配置し、2つの磁気センサ22、23および2つのヨーク対32、33を上側の磁気検出基板39の下面39Bに配置してもよい。また、
図7(B)において、磁気検出回路37の配置は、磁気センサ21〜23およびヨーク対31〜33の配置に拘わらず、下側の磁気検出基板39の上面39Aに配置してもよいし、上側の磁気検出基板39の下面39Bに配置してもよい。
【0058】
また、
図7(C)に示すように、磁気検出領域R1内に2枚の磁気検出基板39を設け、これら磁気検出基板39を上下方向において互いに異なる位置に配置し、磁気センサ21およびヨーク対31を上側の磁気検出基板39の下面39Bに配置し、2つの磁気センサ22、23および2つのヨーク対32、33を下側の磁気検出基板39の下面39Bに配置してもよい。また、
図7(C)に示す部品の配置を次のように変更してよい。すなわち、磁気センサ21およびヨーク対31を下側の磁気検出基板39の下面39Bに配置し、2つの磁気センサ22、23および2つのヨーク対32、33を上側の磁気検出基板39の下面39Bに配置してもよい。また、
図7(C)において、磁気検出回路37の配置は、磁気センサ21〜23およびヨーク対31〜33の配置に拘わらず、下側の磁気検出基板39の下面39Bに配置してもよいし、上側の磁気検出基板39の下面39Bに配置してもよい。
【0059】
また、
図8(A)に示すように、光検出ユニット45および演算処理回路51を光検出基板49の上面49Aに配置してもよい。また、これに代え、光検出ユニット45を光検出基板49の上面49Aに配置し、演算処理回路51を光検出基板49の下面49Bに配置してもよいし、光検出ユニット45を光検出基板49の下面49Bに配置し、演算処理回路51を光検出基板49の上面49Aに配置してもよい。また、光検出ユニット45を光検出基板49の上面49Aに配置した場合には、光検出ユニット45に設けられた発光素子46および受光素子47とコードホイール41に設けられた反射部43および非反射部44の配列とが互いに対向するように、コードホイール41を、磁石11〜14の上方に、コードホイール41において反射部43および非反射部44が設けられた面が下向きとなるように配置する。
【0060】
また、
図8(B)に示すように、光検出基板49を磁気検出基板39よりも下側に配置し、光検出ユニット45および演算処理回路51を光検出基板49の上面49Aに配置してもよい。光検出基板49の位置をこのように低くした場合には、発光素子46および受光素子47とコードホイール41との距離を適切に設定するために、コードホイール41の位置を低くしなければならない場合がある。その場合には、コードホイール41を磁石11〜14の外周部に固定してもよい。
【0061】
また、
図9(A)または
図9(B)に示すように、光検出基板49に代え、光検出基板61を磁気検出領域R1および光検出領域R2に亘るように設け、光検出ユニット45および演算処理回路51を光検出基板61において光検出領域R2内に位置する部分に配置し、磁気センサ21〜23、ヨーク対31〜33および磁気検出回路37が設けられた磁気検出基板39を、磁気検出領域R1内において、光検出基板61の上方または下方に配置してもよい。この場合、光検出基板61を、例えば円板状に形成し、その中央に、磁石11〜14が固定されたシャフト202を通すための挿通孔62を形成する。
【0062】
また、
図9(C)に示すように、光検出基板61を磁気検出領域R1および光検出領域R2に亘るように設け、光検出基板61において光検出領域R2内に位置する部分には光検出ユニット45および演算処理回路51を配置し、光検出基板61において磁気検出領域R1内に位置する部分には穴63(または切り欠き)を形成し、磁気センサ21〜23、ヨーク対31〜33および磁気検出回路37が設けられた磁気検出基板39を、磁気検出領域R1内において、光検出基板61の上方(または下方)に配置し、磁気検出基板39に設けられた部材の一部(例えば磁気センサ21およびヨーク対31)を、光検出基板61に形成した穴63(または切り欠き)内に挿入してもよい。なお、この変形例では、穴63が挿通孔62と接続されている(穴63と挿通孔62とが連続して形成されている)。この変形例によれば、光検出基板61を磁気検出領域R1および光検出領域R2に亘るように設ける構成において、磁気検出基板39と光検出基板61との上下方向における距離を小さくすることができ、回転検出システム1の上下方向の寸法を小さくすることができる。
【0063】
また、
図8(B)、
図9(A)または
図9(B)に示す変形例においては、コードホイール41を磁石11〜14の外周部に固定した。これに代え、
図10に示すように、磁石11〜14をそれぞれ2つの磁石片65に分割し、各磁石11〜14の2つの磁石片65を上下方向に離して配置し、各磁石11〜14の2つの磁石片65の間にコードホイール41を配置し、コードホイール41をシャフト202の外周部に固定してもよい。
【0064】
(基板の固定に関する変形例)
上述した回転検出システム1では、
図11(A)に示すように、磁気センサ21〜23、ヨーク対31〜33および磁気検出回路37が設けられた磁気検出基板39と、光検出ユニット45および演算処理回路51が設けられた光検出基板49とがホルダ52を介してモータ201の筐体203に固定されている。ホルダ52は例えば樹脂材料または金属材料により形成されている。
【0065】
図7(B)または
図7(C)に示す変形例のように、2枚の磁気検出基板39を備えた回転検出システム1においては、
図11(B)に示すように、一方の磁気検出基板39を、ホルダ52を介してモータ201の筐体203に固定し、他方の磁気検出基板39を、支持部材67を介して一方の磁気検出基板39に固定することができる。
【0066】
また、
図9(A)、
図9(B)または
図9(C)に示す変形例のように、光検出基板61を磁気検出領域R1および光検出領域R2に亘るように設けた回転検出システム1においては、
図11(C)に示すように、光検出基板61を、ホルダ52を介してモータ201の筐体203に固定し、磁気検出基板39を、支持部材68を介して光検出基板61に固定してもよい。
【0067】
(ヨーク対の固定に関する変形例)
上述した回転検出システム1では、
図11(A)に示すように、ヨーク対31〜33が磁気検出基板39に固定されている。しかしながら、回転検出システム1において、ヨーク対31〜33の固定方法はこれに限定されない。
【0068】
例えば、
図12(A)に示すように、ヨーク対31〜33をホルダ52に直接固定してもよい。具体的には、ホルダ52を樹脂等の非磁性材料により形成し、ホルダ52の一部にヨーク対固定部71を形成する。ヨーク対固定部71は、磁気センサ21〜23と磁石11〜14の軌道Bとの間に位置するように形成する。そして、ヨーク対固定部71の内部にヨーク対31〜33を埋め込む。この変形例によれば、各ヨーク対31〜33を強固に固定することができる。また、ヨーク対31〜33を磁気検出基板39以外の部分に設けることで、磁気検出基板39に実装する部品の個数を減らすことができる。
【0069】
また、
図12(B)に示すように、各ヨーク対31〜33を磁気センサに固定してもよい。例えば、各磁気センサ21〜23のボビン27にヨーク対を支持するためのヨーク片支持部72を一体形成し、このヨーク片支持部72にヨーク対を固定する。この変形例によれば、各磁気センサ21〜23にそれに対応するヨーク対が固定されるので、各磁気センサ21〜23とそれに対応するヨーク対との位置関係(例えば両者間の間隔等)を正確に定めることができる。
【0070】
また、
図12(C)に示すように、磁気センサ21〜23およびヨーク対31〜33を例えば樹脂材料により包囲し、これらを一体化してもよい。具体的には、磁気センサ21〜23およびヨーク対31〜33を樹脂成形により一体化した成形物73を形成する。この変形例によれば、成形物73を磁気検出基板39に取り付けることにより、磁気センサ21〜23およびヨーク対31〜33を一遍に磁気検出基板39に設けることができるので、回転検出システム1の組立作業を簡素化することができる。
【0071】
(電気接続構成とその変形例)
図13は回転検出システム1の電気的な構成を示し、
図14(A)は回転検出システム1の電気的な構成を具体化するための部品間の電気接続構成を示している。
【0072】
図13に示すように、上述した回転検出システム1において、磁気センサ21〜23はそれぞれ磁気検出信号を磁気検出回路37へ出力し、磁気検出回路37は第1の回転量信号を演算処理回路51へ出力する。一方、受光素子47は光検出信号を光検出回路48に出力し、光検出回路48は第2の回転量信号を演算処理回路51へ出力する。さらに、演算処理回路51は第3の回転量信号をモータ制御回路205へ出力する。
【0073】
このような信号の入出力を実現するために、上述した回転検出システム1においては、
図14(A)に示すように、磁気センサ21〜23が、磁気検出基板39に設けられた導電パターンおよびスルーホール等の導電部81を介して磁気検出回路37に接続されている。また、磁気検出回路37は、磁気検出基板39に設けられた導電パターンおよびスルーホール等の導電部82を介して内部コネクタ83に接続されている。内部コネクタ83は、磁気検出基板39に設けられた磁気検出回路37と、光検出基板49に設けられた演算処理回路51とを接続するためのコネクタであり、磁気検出基板39に設けられている。
【0074】
また、内部コネクタ83は、内部コネクタ84、接続ケーブル87および内部コネクタ85を介して内部コネクタ86に接続されている。内部コネクタ86は、磁気検出基板39に設けられた磁気検出回路37と、光検出基板49に設けられた演算処理回路51とを接続するためのコネクタであり、光検出基板49に設けられている。また、接続ケーブル87の一方の端部には内部コネクタ84が接続され、接続ケーブル87の他方の端部には内部コネクタ85が接続されている。内部コネクタ84は内部コネクタ83に挿抜可能に接続され、内部コネクタ85は内部コネクタ86に挿抜可能に接続されている。
【0075】
また、内部コネクタ86は、光検出基板49に設けられた導電パターン等の導電部88を介して演算処理回路51に接続されている。また、受光素子47は光検出ユニット45の内部に設けられた回路を介して光検出回路48に接続されている。また、光検出回路48は、光検出基板49に設けられた導電パターン等の導電部89を介して演算処理回路51に接続されている。さらに、演算処理回路51は、光検出基板49に設けられた導電パターン等の導電部90を介して外部コネクタ91に接続されている。外部コネクタ91は、回転検出システム1とモータ制御回路205とを接続するためのコネクタである。
【0076】
また、外部コネクタ91は、外部コネクタ92、接続ケーブル95、外部コネクタ93および他のコネクタ94等を介してモータ制御回路205に接続されている。また、接続ケーブル95の一方の端部には外部コネクタ92が接続され、接続ケーブル95の他方の端部には外部コネクタ93が接続されている。外部コネクタ92は外部コネクタ91に挿抜可能に接続され、外部コネクタ93は他のコネクタ94に挿抜可能に接続されている。他のコネクタ94はモータ制御回路205に接続されている。
【0077】
このように、回転検出システム1においては、磁気検出基板39に設けられた磁気検出回路37と光検出基板49に設けられた演算処理回路51とを、導電部82、88、内部コネクタ83〜86および接続ケーブル87により接続する構成とした。この構成により、磁気式回転検出装置2により検出されたシャフト202の回転量を示す第1の回転量信号と、光学式回転検出装置3により検出されたシャフト202の回転量を示す第2の回転量信号との双方を演算処理回路51に供給する電気回路を容易に形成することができる。具体的には、回転検出システム1の製造時において、例えば、磁気センサ21〜23、ヨーク対31〜33および磁気検出回路37が設けられた磁気検出基板39と、光検出ユニット45および演算処理回路51が設けられた光検出基板49とをモータ201の筐体203に取り付けた後、内部コネクタ83に内部コネクタ84を接続し、内部コネクタ86に内部コネクタ85を接続することにより、上記2つの回転量信号を演算処理回路51に供給する電気回路を簡単に形成することができる。また、回転検出システム1とモータ制御回路205との接続を一束の接続ケーブル95を用いて行うことができるので、回転検出システム1のモータ201への組付を容易に行うことができる。なお、導電部82、88、内部コネクタ83〜86および接続ケーブル87は第1の内部接続路の具体例であり、導電部89は第2の内部接続路の具体例であり、導電部90、外部コネクタ91〜93および接続ケーブル95は第1の外部接続路の具体例である。
【0078】
しかしながら、回転検出システム1における電気接続構成はこれに限定されない。例えば、
図14(B)に示すような電気接続構成としてもよい。すなわち、磁気検出基板39に外部コネクタ102を設け、磁気検出回路37と外部コネクタ102とを磁気検出基板39に設けられた導電パターンおよびスルーホール等の導電部101を介して接続する。また、光検出基板49に外部コネクタ108を設け、光検出回路48と外部コネクタ108とを光検出基板49に設けられた導電パターン等の導電部107を介して接続する。そして、外部コネクタ102を、外部コネクタ103、接続ケーブル106、外部コネクタ104および他のコネクタ105等を介してモータ制御回路205に接続すると共に、外部コネクタ108を、外部コネクタ109、接続ケーブル112、外部コネクタ110および他のコネクタ111等を介してモータ制御回路205に接続する。また、磁気検出回路37から出力された第1の回転量信号と光検出回路48から出力された第2の回転量信号とに基づいてシャフト202の最終的な回転量を算出する演算処理回路51は、回転検出システム1の外部(例えばモータ制御回路205内)に設ける。また、磁気検出基板39と光検出基板49とを接続する内部コネクタおよび接続ケーブルは設けない。この電気接続構成によれば、演算処理回路51が回転検出システム1の外部に設けられている仕様である場合に、第1の回転量信号と第2の回転量信号とを演算処理回路51に供給する電気回路を簡単に形成することができる。なお、導電部101、外部コネクタ102〜104および接続ケーブル106は第2の外部接続路の具体例であり、導電部107、外部コネクタ108〜110および接続ケーブル112は第3の外部接続路の具体例である。
【0079】
また、回転検出システム1における電気接続構成として、
図14(C)に示すような構成を採用することができる。すなわち、演算処理回路51を光検出基板49に設ける。また、導電部121、外部コネクタ122、123、124および接続ケーブル125、126、導電部127等を用いて、演算処理回路51の出力端子とモータ制御回路205とを接続する出力経路、および外部コネクタ124と演算処理回路51の入力端子とを接続する入力経路を形成する。また、導電部128、内部コネクタ129、130および接続ケーブル131を用いて、磁気検出回路37の出力端子を、外部コネクタ124を介して上記入力経路に接続する。このような電気接続構成において、磁気検出回路37から出力された第1の回転量信号は、導電部128、内部コネクタ129、130、接続ケーブル131、外部コネクタ124および上記入力経路(接続ケーブル126、外部コネクタ123、外部コネクタ122および導電部127)を介して演算処理回路51に入力される。また、演算処理回路51から出力された第3の回転量信号は上記出力経路(導電部121、外部コネクタ122〜124および接続ケーブル125等)を介してモータ制御回路205に入力される。なお、導電部127、128、外部コネクタ122〜124、内部コネクタ129、130、および接続ケーブル126、131は第1の内部接続路の具体例であり、導電部121、外部コネクタ122〜124および接続ケーブル125は第1の外部接続路の具体例である。
【0080】
また、
図14(A)に示す回転検出システム1の電気接続構成においては、磁気検出基板39に設けられた磁気検出回路37と光検出基板49に設けられた演算処理回路51とを導電部82、88、内部コネクタ83〜86および接続ケーブル87を介して接続する構成としたが、これに代え、接続ケーブル87の両端を導電部82および導電部88にそれぞれはんだ付けすることによって、磁気検出回路37と演算処理回路51とを接続してもよい。また、接続ケーブル87と導電部82または88との接続にプレスフィット等の接続部材を用いてもよい。この場合には、例えば、接続ケーブル87の端部にプレスフィットをかしめ、光検出基板49に導電部88の一部としてスルーホールを形成し、プレスフィットをスルーホールに挿入することによって接続ケーブル87と導電部88とを接続する。また、磁気検出基板39に設けられた磁気検出回路37と光検出基板49に設けられた演算処理回路51との接続に基板直挿しタイプのコネクタを用いてもよい。この場合には、例えば、基板直挿しタイプのコネクタを光検出基板49に設け、当該コネクタに導電部88を接続し、一方、導電部82を磁気検出基板39の縁部まで伸ばす。そして、磁気検出基板39の当該縁部を基板直挿しタイプのコネクタに挿すことにより、磁気検出回路37と演算処理回路51とを接続する。
【0081】
また、
図14(A)に示す回転検出システム1の電気接続構成において、外部コネクタ91、92を用いずに、接続ケーブル95を導電部90にはんだ付け等により直接接続してもよい。また、
図14(B)に示す回転検出システム1の電気接続構成において、外部コネクタ102、103を用いずに、接続ケーブル106を導電部101にはんだ付け等により直接接続してもよい。また、
図14(B)に示す回転検出システム1の電気接続構成において、外部コネクタ108、109を用いずに、接続ケーブル112を導電部107にはんだ付け等により直接接続してもよい。また、
図14(C)に示す回転検出システム1の電気接続構成において、外部コネクタ122、123を用いずに、接続ケーブル125、126を導電部121、127にそれぞれはんだ付け等により直接接続してもよい。また、
図14(C)に示す回転検出システム1の電気接続構成において、内部コネクタ129、130を用いずに、接続ケーブル131を導電部128にはんだ付け等により直接接続してもよい。
【0082】
また、
図7(B)または
図7(C)に示すように、2枚の磁気検出基板39を有する回転検出システム1においては、一方の磁気検出基板39に設けられた磁気センサと、他方の磁気検出基板39に設けられた磁気検出回路37との電気接続を次のように行うことができる。例えば、
図15に示すように、上側の磁気検出基板39に内部コネクタ142を設け、磁気センサ21と内部コネクタ142とを、上側の磁気検出基板39に設けられた導電パターン等の導電部141を介して接続する。また、下側の磁気検出基板39に内部コネクタ145を設け、内部コネクタ145と磁気検出回路37とを、下側の磁気検出基板39に設けられた導電パターン等の導電部147を介して接続する。さらに、内部コネクタ142と内部コネクタ145との間を、内部コネクタ143、144および接続ケーブル146を介して接続する。これにより、上側の磁気検出基板39に設けられた磁気センサ21と、下側の磁気検出基板39に設けられた磁気検出回路37とを電気的に接続することができる。なお、導電部141、147、内部コネクタ142〜145および接続ケーブル146は第3の内部接続路の具体例である。
【0083】
また、2枚の磁気検出基板39を有する回転検出システム1において、一方の磁気検出基板39に設けられた磁気センサと、他方の磁気検出基板39に設けられた磁気検出回路37とを電気的に接続する構成(第3の内部接続路)として次のものがある。例えば、
図16(A)に示すように、2枚の磁気検出基板39に内部コネクタ148、149をそれぞれ設け、内部コネクタ148と内部コネクタ149とを直接接続することにより、上側の磁気検出基板39に設けられた磁気センサ21と、下側の磁気検出基板39に設けられた磁気検出回路37とを電気的に接続してもよい。
【0084】
また、
図16(B)に示すように、2枚の磁気検出基板39の間に導電端子151を設け、導電端子151のそれぞれの端部を2枚の磁気検出基板39に設けられた導電部141、147にはんだ付けによりそれぞれ接続することによって、上側の磁気検出基板39に設けられた磁気センサ21と、下側の磁気検出基板39に設けられた磁気検出回路37とを電気的に接続してもよい。
【0085】
また、
図16(C)に示すように、2枚の磁気検出基板39に設けられた導電部141、147を、導電材料により形成されたばね153を介して互いに接続してもよい。また、2枚の磁気検出基板39に設けられた導電部141、147を、ケーブルのはんだ付けによって接続してもよいし、ケーブルおよびプレスフィットを用いて接続してもよい。
【0086】
なお、上記実施形態において、磁気センサ21〜23が磁気検出基板39の上面39Aおよび下面39Bに分かれて配置され、かつ磁気センサ21〜23において、回転検出システム1を上方から見たときに隣り合う2つの磁気センサが互いに重なり合っている。しかしながら、磁気センサ21〜23において、回転検出システム1を上方から見たときに隣り合う2つの磁気センサを互いに重なり合うように配置せず、隣り合う2つの磁気センサを、磁気検出基板39の同一面上に配置することが困難な程度に互いに接近するように配置してもよい。2つの磁気センサを、磁気検出基板39の同一面上に配置することが困難な程度に互いに接近するように配置するとは、例えば、2つの磁気センサを、各磁気センサを基板に実装するのに要する部分や領域(各磁気センサを基板に半田付けするための領域等)が互いに干渉するほどに接近するように配置することや、2つの磁気センサを、各磁気センサへの配線に要する領域が互いに干渉するほどに接近するように配置すること等である。
【0087】
また、上記実施形態では、二対の磁石11〜14、および3つの磁気センサ21〜23を有する磁気式回転検出装置2を例にあげたが、磁石の個数および磁気センサの個数はこれに限定されない。本発明の磁気式回転検出装置における磁石は一対でもよく、三対以上でもよい。また、磁気センサの個数は2つでもよいし、4つ以上でもよい。また、磁石11〜14の間隔は90度に限定されず、磁気センサ21〜23の間隔は60度に限定されない。
【0088】
また、上記実施形態では、シャフト202の外周領域において、磁気検出領域R1の方が光検出領域R2よりも広いが、シャフト202の外周領域において、磁気検出領域R1が占める割合および光検出領域R2が占める割合はそれぞれ限定されない。
【0089】
また、上記実施形態では、光学式回転検出装置3において、反射部43および非反射部44を有する反射型のコードホイール41を採用したが、スリットを有する透過型のコードホイールを採用することもできる。この場合には、発光素子46および受光素子47を、コードホイールを挟んで対向するように配置する。
【0090】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う回転検出システムもまた本発明の技術思想に含まれる。