【課題】運送会社等に過度の負担を強いることなく、出荷した製品に関する物流コストを解析することのできる物流コスト解析方法、物流コスト解析プログラム、物流コスト解析プログラムが記録された記録媒体、及び、物流コスト解析装置を提供する。
【解決手段】出荷製品情報と出荷履歴情報とを含む複数の出荷データと、運搬製品情報と運搬履歴情報と運搬費用情報とを含む複数の運搬データと、に基づいて、製品の物流コストを解析する物流コスト解析方法であって、出荷製品情報及び運搬製品情報、並びに、出荷履歴情報及び運搬履歴情報を比較し、各出荷データと各運搬データとを関連付けるマッチングステップS3と、マッチングステップS3により各出荷データと関連付けられた運搬データの運搬費用情報に基づいて物流コストを解析するコスト解析ステップS6と、を含むようにした。
前記マッチングステップは、前記製品一致度及び前記履歴一致度を数値化し、前記製品一致度及び前記履歴一致度に基づくマッチング基準値が所定の閾値を超えた場合に、前記運搬データを前記出荷データと関連付ける請求項2に記載の物流コスト解析方法。
前記各運搬データの前記運搬費用情報から導出される分析用費用を従属変数とし、前記各出荷データの前記出荷製品情報から導出される少なくとも1つの分析用製品数量を独立変数とした回帰分析により、前記出荷製品情報の運搬費用に関する費用解析情報を生成する回帰分析ステップを備え、
前記コスト解析ステップは、前記指定受付ステップで指定された前記出荷データの情報について、前記マッチングステップにより前記運搬データと関連付けられた前記出荷データに関しては前記運搬費用情報に基づき、前記マッチングステップにより前記運搬データと関連付けられなかった前記出荷データに関しては前記費用解析情報に基づいて、物流コストを解析する請求項3に記載の物流コスト解析方法。
請求項6に記載の物流コスト解析プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体.
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、商店で顧客に販売した商品の配送を運送会社に依頼する場合に、商店で管理される売上伝票番号を用いて運送会社システムが提供する配送情報を取得するための配送管理方法及び配送管理プログラムが提案されている。特許文献1に記載の配送管理方法及び配送管理プログラムでは、前提として、商店が配送を依頼する商品を売上伝票番号を用いて管理し、運送会社が運送送り状により荷物の配送を管理して配送情報を提供している。
【0003】
具体的に、商店を訪問した運送会社の運搬者により、運搬者端末から連結サーバへ、契約番号、売上伝票番号、運送会社コード及び運送送り状番号に関するデータが送信され、このデータが連結サーバの連結データ記憶部に記録される。また、運搬者端末から、運送会社サーバへ、運送送り状番号、集荷場所及び送り先に関するデータが送信され、このデータが運送会社サーバの配送データ記憶部に記録される。
【0004】
連結サーバは、各商店に対応する契約番号毎に、運送会社サーバから配送経費に関するデータを取得し、売上伝票番号毎の請求金額を各商店の商店サーバに提供する。具体的に、連結サーバの管理コンピュータは、処理対象の契約番号について、連結データ記憶部から、売上伝票番号、運送会社コード及び運送送り状番号を抽出し、運送会社コードにより特定される運送会社サーバに、運送送り状番号を指定して配送経費に関するデータの送信要求を行う。
【0005】
これに応じて、運送会社サーバは、配送データ記憶部から抽出した配送経費に関するデータを連結サーバに送信する。これを受信した連結サーバの管理コンピュータは、受信したデータから配送経費に関するデータを抽出し、連結データ記憶部に記録する。
【0006】
連結サーバは、連結データ記憶部から、契約番号毎に売上伝票番号と配送経費とを抽出し、その契約番号で特定される商店サーバに売上伝票番号と請求金額とを送信する。特許文献1では、配送経費に関するデータとして、請求金額を算出するためのデータが記録されており、管理コンピュータは、この配送経費に関するデータに基づいて、売上伝票番号毎の請求金額を求めている。
【0007】
売上伝票番号と請求金額を受信した商店サーバは、売上伝票番号により特定した配送実績データに、受信した請求金額に関するデータを記録する。このようにして、商店サーバは、この請求金額に関するデータを用いて、売上伝票番号毎に請求金額の管理を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、全ての運送会社の全ての運搬者に対し、対象となる売上伝票番号について、運搬者端末での入力及び連結サーバへの送信を強いることとなり、実用的な方法とは言い難い。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運送会社等に過度の負担を強いることなく、出荷した製品に関する物流コストを解析することのできる物流コスト解析方法、物流コスト解析プログラム、物流コスト解析プログラムが記録された記録媒体、及び、物流コスト解析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、出荷された製品に関する出荷製品情報と、出荷の履歴に関する出荷履歴情報と、を含む複数の出荷データと、運搬された製品に関する運搬製品情報と、運搬の履歴に関する運搬履歴情報と、運搬費用に関する運搬費用情報と、を含む複数の運搬データと、に基づいて、製品の物流コストを解析する物流コスト解析方法であって、前記出荷製品情報及び前記運搬製品情報、並びに、前記出荷履歴情報及び前記運搬履歴情報を比較し、前記各出荷データと前記各運搬データとを関連付けるマッチングステップと、前記各出荷データに含まれる情報のうち、解析対象の情報の指定を受け付ける指定受付ステップと、前記指定受付ステップで指定された前記出荷データの情報について、前記マッチングステップにより当該各出荷データと関連付けられた前記運搬データの前記運搬費用情報に基づいて、物流コストを解析するコスト解析ステップと、を含む物流コスト解析方法が提供される。
【0012】
上記物流コスト解析方法において、前記マッチングステップは、前記出荷製品情報と前記運搬製品情報に基づき、出荷された製品と運搬された製品の一致度合いに関する製品一致度を判定する製品判定ステップと、前記出荷履歴情報と前記運搬履歴情報に基づき、出荷の履歴と運搬の履歴の一致度合いに関する履歴一致度を判定する履歴判定ステップと、を含み、前記製品一致度及び前記履歴一致度に基づいて、前記各出荷データと前記各運搬データを関連付けてもよい。
【0013】
上記物流コスト解析方法において、前記マッチングステップは、前記製品一致度及び前記履歴一致度を数値化し、前記製品一致度及び前記履歴一致度に基づくマッチング基準値が所定の閾値を超えた場合に、前記運搬データを前記出荷データと関連付けてもよい。
【0014】
上記物流コスト解析方法において、前記各運搬データの前記運搬費用情報から導出される分析用費用を従属変数とし、前記各出荷データの前記出荷製品情報から導出される少なくとも1つの分析用製品数量を独立変数とした回帰分析により、前記出荷製品情報の運搬費用に関する費用解析情報を生成する回帰分析ステップを備え、前記コスト解析ステップは、前記指定受付ステップで指定された前記出荷データの情報について、前記マッチングステップにより前記運搬データと関連付けられた前記出荷データに関しては前記運搬費用情報に基づき、前記マッチングステップにより前記運搬データと関連付けられなかった前記出荷データに関しては前記費用解析情報に基づいて、物流コストを解析してもよい。
【0015】
上記物流コスト解析方法において、前記出荷履歴情報は、製品を出荷した日付に関する出荷日情報と、製品を出荷した場所に関する出荷場所情報と、製品が納入される場所に関する納入場所情報と、を含み、前記運搬履歴情報は、運搬に際し出発した日付に関する出発日情報と、運搬に際し出発した場所に関する出発場所情報と、運搬に際し到着した場所に関する到着場所情報と、を含んでもよい。
【0016】
また、本発明によれば、コンピュータに、上記物流コスト解析方法における各ステップを実行させる物流コスト解析プログラムが提供される。
【0017】
さらに、本発明によれば、上記物流コスト解析プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0018】
さらにまた、本発明によれば、出荷された製品に関する出荷製品情報と、出荷の履歴に関する出荷履歴情報と、を含む複数の出荷データと、運搬された製品に関する運搬製品情報と、運搬の履歴に関する運搬履歴情報と、運搬費用に関する運搬費用情報と、を含む複数の運搬データと、に基づいて、製品の物流コストを解析する物流コスト解析装置であって、前記出荷製品情報及び前記運搬製品情報、並びに、前記出荷履歴情報及び前記運搬履歴情報を比較し、前記各出荷データと前記各運搬データとを関連付けるマッチング部と、前記各出荷データに含まれる情報のうち、解析対象の情報の指定を受け付ける指定受付部と、前記指定受付ステップで指定された前記出荷データの情報について、前記マッチング部により当該各出荷データと関連付けられた前記運搬データの前記運搬費用情報に基づいて、物流コストを解析するコスト解析ステップと、を含む物流コスト解析装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、運送会社等に過度の負担を強いることなく、出荷した製品の物流コストを解析することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から
図8は本発明の一実施形態を示すものであり、物流コスト解析システムの概略全体図、
図2は第1外部記憶装置に記憶されたデータの説明図、
図3は第2外部記憶装置に記憶されたデータの説明図、
図4は出荷データの例を示す説明図、
図5は管理データの例を示す説明図、
図6は運搬データの例を示す説明図、
図7は物流コスト解析装置の概略機能ブロック図、
図8は物流コスト解析方法を示すフローチャートである。
【0022】
図1及び
図2に示すように、この物流コスト解析装置100は、出荷された製品に関する出荷製品情報210と、出荷の履歴に関する出荷履歴情報220と、を含む複数の出荷データ200と、運搬された製品に関する運搬製品情報310と、運搬の履歴に関する運搬履歴情報320と、運搬費用に関する運搬費用情報330と、を含む複数の運搬データ300と、に基づいて、製品の物流コストを解析する。物流コスト解析装置100は、第1ネットワーク400を介して第1記憶装置500と接続され、第2ネットワーク410を介して第2記憶装置510と接続されている。第1ネットワーク400及び第2ネットワークは、それぞれ、有線であっても無線であってもよく、インターネット、LAN、VPN等の任意の通信網とすることができる。本実施形態においては、第1ネットワーク400はインターネット又は社内LANであり、第1記憶装置500に出荷データ200及び運搬データ300が記憶されている。また、第2ネットワーク410は社内LANであり、第2記憶装置510に、出荷に関する管理データ101、倉庫、拠点等の名称と住所に関する社内住所データ102、自社製品に関する製品データ103等が記憶されている。本実施形態においては、外部記憶装置500には、荷主企業が取り扱っている全種類の製品の出荷データ200が格納されるとともに、荷主企業が製品の運搬を依頼している全ての運送会社の運搬データ300が格納されている。
【0023】
出荷データ200は、製品を出荷する荷主企業が自社で把握している情報に基づいて生成されたデータである。本実施形態においては、出荷データ200は、荷主企業が保有している管理データ101に所定の処理が施されて生成される。
図2に示すように、本実施形態においては、出荷データ200は、出荷製品情報210と、出荷履歴情報220に加え、出荷番号情報230と、出荷先顧客情報240と、を含んでいる。出荷データ200の出荷製品情報210は、製品名称情報211と、製品数量情報212と、を含んでいる。また、出荷データ200の出荷履歴情報220は、製品を出荷した日付に関する出荷日情報221と、製品を出荷した場所に関する出荷場所情報222と、製品が納入される場所に関する納入場所情報223と、を含んでいる。
【0024】
ここで、出荷データ200の具体例を
図4に示す。
図4には、2つの出荷データ200を示している。この例では、出荷番号情報230は、「D001」及び「D002」であり、荷主企業が自社のルールで付している整理番号である。出荷先顧客情報240は、「東京商店」であり、出荷した製品を購入した顧客である。製品名称情報211は、「小型器具001」及び「小型器具002」であり、荷主企業が顧客との取引時に用いている製品の正式な名称である。製品数量情報212は、「10個」「100kg」及び「20個」「200kg」であり、製品の個数及び重量である。尚、製品数量情報212は、製品の個数と重量の一方であってもよい。出荷日情報221は、「2020年3月31日」である。出荷場所情報222は、「八王子倉庫」「八王子市A町2丁目」であり、倉庫、拠点等の名称及び出荷地の住所である。納入場所情報223は、「東京商店船橋センター」「船橋市B町3丁目」であり、顧客から指定された倉庫、拠点等の名称及び納入地の住所である。
【0025】
次に、出荷データ200の基礎となった管理データ101の具体例を
図5に示す。
図5に示すように、管理データ101では、出荷場所情報222及び納入場所情報223は、それぞれ「八王子倉庫」及び「東京商店船橋センター」であり、倉庫及び拠点の名称のみとなっている。製品数量情報212は、「10個」及び「20個」であり、製品の個数のみとなっている。本実施形態においては、後述する出荷データ生成部730により、管理データ101の出荷場所情報222及び納入場所情報223に住所に関する情報が付加されるとともに、製品数量情報212に製品の重量に関する情報が付加されることにより、出荷データ200とされる。
【0026】
一方、運搬データ300は、運送会社から荷主企業へ送付される請求明細の情報に基づいて作成されたデータである。本実施形態においては、後述する運搬データ生成部740により、運送会社から送付される紙、電子データ等の請求明細データ104を読み込むことで運搬データ300が生成される。
【0027】
図2に示すように、本実施形態においては、運搬データ300は、運搬製品情報310と、運搬履歴情報320に加え、運搬費用情報330と、運搬番号情報340と、を含んでいる。運搬データ300の運搬製品情報310は、製品名称情報311と、製品数量情報312と、を含んでいる。また、運搬データ300の運搬履歴情報320は、運搬に際し出発した日付に関する出発日情報321と、運搬に際し出発した場所に関する出発場所情報322と、運搬に際し到着した場所に関する到着場所情報323と、を含んでいる。
【0028】
ここで、運搬データ300の具体例を
図6に示す。この例では、運搬番号情報340は、「T001」であり、運送会社における運搬に供されたトラックを識別するための番号である。運搬費用情報330は、「5万円」であり、運送会社が荷主企業へ請求した運搬費用である。この運搬費用には、内訳として、トラックの使用料に加え、有料道路の利用料金、燃料費等が含まれていてもよい。製品名称情報311は、「器具」であり、運送会社で運搬時に用いた製品の名称である。製品数量情報312は、「30kg」であり、製品の重量である。出発日情報321は、「2020年3月31日」である。出発場所情報322は、「八王子」であり、運送会社で運搬時に用いた出発地の名称である。到着場所情報323は、「船橋」であり、運送会社で運搬時に用いた到着地の名称である。
【0029】
物流コスト解析装置100は、例えばパーソナルコンピュータ、ワークステーション等のコンピュータからなり、入力部と、出力部と、媒体読込部と、ストレージと、メモリと、演算部と、インターフェース部と、を有し、これらはシステムバスで相互に接続されている。
【0030】
入力部は、端末使用者が操作するキーボード、マウス等を有しており、端末使用者からのプログラムの実行等に関する各種操作信号を入力する。出力部は、データ等を表示するディスプレイを有し、各種プログラムの実行経過、結果等を表示することができる。なお、入力部と出力部とは、例えばタッチパネル等のように一体型の入出力手段であってもよく、この場合にはユーザの指やペン型の入力装置を用いて所定の位置をタッチして入力を行うことができる。
【0031】
媒体読込部は、記録媒体600に記録されている情報を読み込み可能に構成される。媒体読込部は、例えばCDドライブ、DVDドライブ、USBコネクタ等からなる。本実施形態においては物流コスト解析装置100にインストールされる物流コスト解析プログラム610は、CD−ROM、USBメモリ等の記録媒体600により提供可能であり、記録媒体600から媒体読込部を介してストレージにインストールされる。
【0032】
ストレージは、ハードディスク、SSD等であり、各種プログラム、各種電子データ等が記憶される。記憶されているプログラム、データ等は、必要に応じて入出力を行うことができる。メモリは、ROM、RAM等であり、演算部によりストレージから読み出された実行プログラム等を格納する。演算部は、CPU等であり、OS等の制御プログラム、及びメモリに格納されている物流コスト解析プログラム610に基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して、物流コスト解析における各処理を実現することができる。インターフェース部は、第1ネットワーク400と接続され、第1外部記憶装置500から出荷データ200及び運搬データ300を取得することができる。
【0033】
以上のように構成された物流コスト解析システムにおける物流コスト解析装置の機能について
図7を参照して説明する。
図7に示すように、物流コスト解析装置100は、各出荷データ200と各運搬データ300を関連付けるマッチング部700と、解析対象の情報の指定を受け付ける指定受付部710と、指定受付部710で指定された情報について物流コストを解析するコスト解析部720と、を有している。また、物流コスト解析装置100は、管理データ101から出荷データ200を生成する出荷データ生成部730と、請求明細データ104から運搬データ300を生成する運搬データ生成部740と、を有している。さらに、物流コスト解析装置100は、回帰分析により出荷製品情報212の運搬費用に関する費用解析情報250を生成する回帰分析部750を有している。
【0034】
マッチング部700は、出荷製品情報210と運搬製品情報310に基づき、出荷された製品と運搬された製品の一致度合いに関する製品一致度M1を判定する製品判定部701と、出荷履歴情報220と運搬履歴情報320に基づき、出荷の履歴と運搬の履歴の一致度合いに関する履歴一致度M2を判定する履歴判定部702と、を含み、製品一致度M1及び履歴一致度M2に基づいて、各出荷データ200と各運搬データ300を関連付ける。本実施形態においては、マッチング部700は、製品一致度M1及び履歴一致度M2を数値化し、製品一致度M1及び履歴一致度M2に基づくマッチング基準値MSが所定の閾値Tを超えた場合に、出荷データ200と運搬データ300を関連付けている。
【0035】
具体的に、製品判定部701は、出荷データ200の製品名称情報211と運搬データ300の製品名称情報311の一致度合いに関する名称一致度M11を判定する名称判定部703と、出荷データ200の製品数量情報212と運搬データ300の製品数量情報312の一致度合いに関する数量一致度M12を判定する数量判定部704と、を含んでいる。本実施形態においては、名称判定部703は、出荷データ200の製品名称情報211と、運搬データ300の製品名称情報311とを比較し、両者に一致する文言が含まれる場合、もしくは、辞書データ350に登録された対応する文言が存在する場合は点数化する。例えば、
図4及び
図5に示した、出荷番号情報230が「D001」の出荷データ200及び運搬番号情報330が「T001」の運搬データ300の場合、出荷データ200の製品名称情報211の「小型器具001」と、運搬データ300の製品名称情報311の「器具」とを比較し、運搬データ300中の文言「器具」が、出荷データ200中の「小型器具001」に含まれるので、名称一致度M11に点数が与えられる。また、例えば、出荷番号情報230が「D002」の出荷データ200及び運搬番号情報330が「T001」の運搬データ300の場合、出荷データ200の製品名称情報211の「小型器具002」と、運搬データ300の製品名称情報311の「器具」とを比較し、運搬データ300中の文言「器具」が、出荷データ200中の「小型器具002」に含まれるので、名称一致度M11に点数が与えられる。
【0036】
また、数量判定部704は、出荷データ200の製品数量情報212と、運搬データ300の製品数量情報312とを比較し、それぞれの数量が近似値であれば点数化する。例えば、
図4及び
図5に示した、出荷番号情報230が「D001」,「D002」の出荷データ200及び運搬番号情報330が「T001」の運搬データ300の場合、出荷データ200の製品数量情報212の「100kg」,「200kg」と、運搬データ300の製品名称情報312の「300kg」とを比較し、これらが近似値でないため数量一致度M12に点数は与えられない。製品一致度M1の点数は、名称一致度M11と数量一致度M12の点数を足して算出される。
【0037】
また、履歴判定部702は、出荷日情報221と出発日情報321の一致度合いに関する日付一致度M21を判定する日付判定部705と、出荷場所情報222と出発場所情報322の一致度合いに関する出荷場所一致度M22を判定する出荷場所判定部706と、納入場所情報223と到着場所情報323の一致度合いに関する納入場所一致度M23を判定する納入場所判定部707と、を含んでいる。日付判定部705は、出荷データ200の出荷日と、運搬データ300の出発日を比較し、日付が一致する場合は日付一致度M21に点数が与えられる。
【0038】
出荷場所判定部706は、出荷場所情報222と出発場所情報322とを比較し、少なくとも一部が一致する場合は出荷場所一致度M22に点数が与えられる。本実施形態においては、出荷場所判定部706は、出荷場所情報222と出発場所情報322の一致レベルに応じて点数化を行う。また、本実施形態においては、出荷場所判定部706は、出荷場所情報222については住所情報に基づく判定を基本とし、倉庫、拠点等の名称情報は予備的に用いられる。例えば、
図4及び
図5に示した、出荷番号情報230が「D001」,「D002」の出荷データ200及び運搬番号情報330が「T001」の運搬データ300の場合、出荷データ200の出荷場所情報222の住所「八王子市A町2丁目」と、運搬データ300の出発場所情報322の「八王子」とを比較し、運搬データ300中の文言「八王子」が、出荷データ200中の住所「八王子市A町2丁目」に含まれるので、部分一致として出荷場所一致度M22に点数が与えられる。
【0039】
また、納入場所判定部707は、納入場所情報223と到着場所情報323とを比較し、少なくとも一部が一致する場合は納入場所一致度M23に点数が与えられる。本実施形態においては、納入場所判定部707は、納入場所情報223と到着場所情報323の一致レベルに応じて点数化を行う。また、本実施形態においては、出荷場所判定部706は、納入場所情報223については住所情報に基づく判定を基本とし、倉庫、拠点等の名称情報は予備的に用いられる。例えば、
図4及び
図5に示した、出荷番号情報230が「D001」,「D002」の出荷データ200及び運搬番号情報330が「T001」の運搬データ300の場合、出荷データ200の納入場所情報223の「船橋市B町3丁目」と、運搬データ300の到着場所情報323の「船橋」とを比較し、運搬データ300中の文言「船橋」が、出荷データ200中の「船橋市B町3丁目」に含まれるので、部分一致として納入場所一致度M23に点数が与えられる。履歴一致度M2の点数は、日付一致度M21と、出荷場所一致度M22と、納入場所一致度M23の点数を足して算出される。
【0040】
ここで、各一致度M11,M12,M21,M22,M23の点数化にあたり、評価の高い情報については、他の情報と比べて点数が高くなるように、重み付けが図られている。また、各情報単独での点数化に加え、複数の情報で一致度M11,M12,M21,M22,M23に点数が付与された場合、組み合わせ一致度M3に点数が付与され、製品一致度M1及び履歴一致度M2に組み合わせ一致度M3を加えてマッチング基準値MSが算出される。本実施形態においては、出荷場所一致度M22と納入場所一致度M23に点数が付与されている場合は、組み合わせ一致度M3の点数が高くなるよう設定されている。
【0041】
回帰分析部750は、各運搬データ300の運搬費用情報330から導出される分析用費用を従属変数とし、各出荷データ200の出荷製品情報210から導出される少なくとも1つの分析用製品数量を独立変数とした回帰分析により、出荷製品情報210の運搬費用に関する費用解析情報250を生成する。本実施形態においては、運搬に関する回帰分析であることから、分析用製品数量は、運搬の観点から複数の製品群にグループ分けし、各製品群の数量を用いることが好ましい。例えば、製品の平均ロットサイズ、同一顧客への製品運搬時の平均数量、製品の寸法、製品の荷姿等に基づいてグループ分けすることができる。尚、製品の種類毎の数量を独立変数とすることも可能だが、出荷された製品の種類が比較的多い場合、演算部に過大な負荷が加わるおそれがあり、また、次元数が多くなって機械学習等が円滑に行わないおそれがある。尚、回帰分析は、線形であっても非線形であってもよい。
【0042】
ここで、具体例として、線形の回帰分析を用いて個別製品の物流コストを算出する手順を説明する。説明のため、解析モデルを単純化し、利用している運送会社は2社で、出荷された製品を2つの製品群Aと製品群Bにグループ分けしたと仮定する。製品群Aの数量をx
1、製品群Bの数量をx
2、第1の運送会社のトータルコストをC
1、第2の運送会社のトータルコストをC
2としたとき、
C
1=α
0+α
1・x
1+α
2・x
2 (式1)
C
2=β
0+β
1・x
1+β
2・x
2 (式2)
の関係が成り立つとして、各係数α
0,α
1,α
2,β
0,β
1,β
2を求める。ここで、各製品群A,Bの数量x
1,x
2によらないα
0,β
0の項は固定費に相当し、各製品群A,Bの数量x
1,x
2によるα
1・x
1,α
2・x
2,β
1・x
1,β
2・x
2の項は変動費に相当する。例えば、荷主会社と運送会社の契約により、運搬した製品によらずトラック、船等を利用した期間・台数により費用請求される車建ての場合は固定費となり、運搬した製品ごとに費用請求される個建ての場合は変動費となる。この回帰分析に用いる数量x
1,x
2及びトータルコストC
1,C
2には、過去の実績を用いればよい。例えば、月や曜日で係数が大きく異なることが見込まれるのであれば、月別や曜日別に集計された実績を用いればよい。尚、係数α
1,α
2,β
1,β
2は過去の実績に基づいたものであり、直近の実績に基づいて各運送会社の変動費等が予想可能な場合等には、予想される変動費等に基づいて係数α
1,α
2,β
1,β
2を適宜補正してもよい。
各係数α
0,α
1,α
2,β
0,β
1,β
2が求められると、製品群Aの物流コストC
A及び製品群Bの物流コストC
Bは、
C
A=α
1・x
1+β
1・x
1 (式3)
C
B=α
2・x
2+β
2・x
2 (式4)
により求めることができる。そうすると、製品群A中の個別製品aの物流コストC
a及び製品群B中の個別製品bの物流コストC
bは、個別製品aの数量をy
1,個別製品aの数量をy
2とすると、
C
a=C
A・(y
1/x
1) (式5)
C
b=C
B・(y
2/x
2) (式6)
により求められる。
また、固定費のうち個別製品aの負担額F
a及び個別製品bの負担定費F
aは、
F
a=(α
0+β
0)/(y
1/(x
1+x
2)) (式7)
F
b=(α
0+β
0)/(y
2/(x
1+x
2)) (式8)
により求められる。
【0043】
以上のように構成された物流コスト解析装置100の物流コスト解析方法について、
図8のフローチャートを参照して説明する。
まず、初期設定として、マッチングのための出荷データ200及び運搬データ300を生成する(マッチングデータ生成ステップ:S10)。本実施形態においては、出荷データ生成部730は、第2ネットワーク410を介して第2記憶装置510から管理データ101及び社内住所データ102を読み出し、管理データ101に所定の処理を施して出荷データ200を生成した後、出荷データ200を第1ネットワーク400を介して第1記憶装置500へ記憶させる。このとき、出荷データ生成部730は、倉庫、拠点等に対応する住所が社内住所データ102に登録されていない場合、第1ネットワーク400を介して一般向けに開放されている住所データベース記憶装置800へアクセスし、住所データベース記憶装置800に記憶されている汎用住所データ810を読み出す。また、運搬データ生成部740は、請求明細データ104から運搬データ300を生成した後、運搬データ300を第1ネットワーク400を介して第1記憶装置500へ記憶させる。例えば、請求明細データ104が紙である場合はスキャナーで読み込んでマッチング可能な運搬データ300とすればよいし、電子データである場合はマッチング可能な形式に整えて運搬データ300とすればよい。
【0044】
また、マッチングデータ生成ステップS1に続く初期設定として、出荷データ200の運搬費用に関する回帰分析のための係数を算出する(係数算出ステップ:S2)。回帰分析部750は、第1ネットワーク400を介して第1記憶装置500から実績データとして所定期間の各出荷データ200及び各運搬データ300を読み出し、回帰分析に用いられる係数を算出する。算出に用いられる実績データの期間は任意であるが、概ね過去1年程度が好ましい。
【0045】
以上の初期設定が終了した後、出荷データ200と運搬データ300を関連付けるマッチング処理を行う(マッチングステップ:S3)。マッチング部700は、マッチング基準値MSが所定の閾値Tを超えた場合に、出荷データ200と運搬データ300を関連付ける。尚、マッチング部700による関連付けは、出荷データ200と運搬データ300が一対一でなされる場合のみならず、一対多、多対一、多対多でなされる場合もある。例えば、
図4及び
図5に示した、出荷番号情報230が「D001」,「D002」の2つの出荷データ200は、運搬番号情報330が「T001」の1つの運搬データ300と関連付けられる。
【0046】
本実施形態においては、マッチング部700は、出荷データ200と運搬データ300の関連付けを行う前に、ディスプレイにマッチング候補となる出荷データ200と運搬データ300を表示し、関連付けを行う否かについてユーザからの指示を受け付ける。そして、入力部から関連付けを行ってもよい旨の指示を受け付けると、出荷データ200と運搬データ300の関連付けに関するマッチングデータ360を生成し、第1ネットワーク400を介してマッチングデータ360を第1記憶装置500へ記憶させる。
【0047】
また、マッチング部700は、関連付けられた出荷データ200の製品名称と運搬データ300の製品名称が、辞書データ350に対応する文言として登録されていない文言同士である場合は、これらを対応する文言として新たに辞書データ350に登録する。
【0048】
マッチングステップS3にて、関連付けられなかった出荷データ200及び運搬データ300については、出荷データ200の運搬費用に関して回帰分析を行う(回帰分析ステップ:S4)。回帰分析部750は、係数算出ステップS2で算出された係数を用いて、関連付けられなかった各出荷データ200について出荷製品情報212の運搬費用に関する費用解析情報250を生成した後、第1ネットワーク400を介して費用解析情報250を第1記憶装置500へ記憶させる。
【0049】
出荷データ200と運搬データ300のマッチング及び回帰分析が終了すると、運搬データ300の運搬費用情報330に基づいて物流コストの解析が可能な状態となる。そして、指定受付部710はユーザによる入力部からの解析対象の情報を指定を受け付け(指定受付ステップ:S5)、物流コスト解析部720は指定された情報について物流コストを解析して解析結果をディスプレイに表示する(コスト解析ステップ:S6)。本実施形態においては、物流コスト解析部720は、マッチングデータ360を参照し、運搬データ300と関連付けられた出荷データ200に関しては運搬費用情報330に基づき、運搬データ300と関連付けられなかった出荷データ200に関しては費用解析情報250に基づいて、物流コストを解析する。
【0050】
例えば、解析対象の情報として、特定の出荷製品について特定の顧客に対する物流コストが指定された場合、この出荷製品のこの顧客に対する物流コストがディスプレイに表示される。また、例えば、解析対象の情報として、特定の出荷製品について特定の運搬ルートの物流コストが指定された場合、この出荷製品のこの運搬ルートを利用した場合の物流コストが表示される。すなわち、ユーザは、各出荷データ200及び各運搬データ300に含まれている情報であれば、任意の情報を指定して物流コストを知ることができる。
【0051】
このように、本実施形態の物流コスト解析方法によれば、運送会社等から送付される紙等の請求明細データ104から物流コストを解析することができ、従来のように運送会社等に過度の負担を強いることなく、出荷した製品の物流コストを解析することができる。
特に、従来の技術においては、完全に一致する出荷データと運搬データを一対一で関連付けていたため、完全に一致しない出荷データについてはコストに関する情報が付与されなかった。これに対し、本実施形態の物流コスト解析方法によれば、複数の出荷データ200及び複数の運搬データ300を、日付、場所、製品名称、数量、重量等のような複数の要素の関連性に基づいて関連付けるため、出荷データ200と運搬データ300が一対一で完全に一致せずとも、確率的なコスト解析が可能となる。また、マッチングステップS3で関連付けできなかった出荷データ200については、回帰分析でコストに関する情報が補完されるため、全ての出荷データ200についてコストに関する情報を付与することができる。
【0052】
また、本実施形態の物流コスト解析方法によれば、出荷データ200の出荷場所情報222及び納入場所情報223に住所情報が含まれるようにしたので、出荷データ200と運搬データ300で場所の表現や記載の仕方が異なる場合であっても、出荷データ200と運搬データ300の関連付けを的確に行うことができる。
【0053】
また、本実施形態の物流コスト解析方法によれば、出荷データ200と運搬データ300の製品名称を比較し、両者に一致する文言が含まれる場合、もしくは、辞書データ350に登録された対応する文言が存在する場合に点数化されるようにしたので、両者で製品名称の記載が大きく異なる場合であっても関連付けを的確に行うことができる。特に、製品名称に関しては、荷主企業では正式な名称を用いる一方で、運送会社では概要が分かる程度の名称が記載されることが多く、マッチングが困難であるものの、対応関係を学習して辞書データ350に蓄積していくことで、マッチングの精度を飛躍的に向上させることができる。
【0054】
尚、前記実施形態においては、物流コスト解析部720が、運搬データ300と関連付けられた出荷データ200に関しては運搬費用情報330に基づき、運搬データ300と関連付けられなかった出荷データ200に関しては費用解析情報250に基づいて物流コストを解析するものを示したが、運搬データ300と関連付けられなかった出荷データ200に関しては解析に用いないようにしてもよく、この場合は回帰分析部750は不要となる。また、物流コスト解析部720は、全ての出荷データ200に関して費用解析情報250に基づいて物流コストを解析することも可能であり、この場合はマッチング部700は不要となる。
【0055】
また、前記実施形態においては、各出荷データ200について個別に各運搬データ300とマッチングさせるものを示したが、予め所定の複数の情報が共通する出荷データ200をグループ化しておき、グループ単位で各運搬データ300とマッチングさせるようにしてもよい。特に、日付及び場所に関する情報(前記実施形態では、出荷日情報221、出荷場所情報222及び納入場所情報223)が共通する出荷データ200については、これに対応する日付及び場所に関する情報(前記実施形態では、出荷日情報221、出荷場所情報222及び納入場所情報223)を有する運搬データ300に対応している可能性が高い。従って、マッチングデータ生成ステップS1にて各出荷データ200を日付及び場所に関する情報に基づいてグループ分けしておき、マッチングステップS3にて日付及び場所に関する情報に基づいてグループ化された各出荷情報200と運搬データ300との関連付けを行った後、補完的に製品に関する情報(前記実施形態では、製品名称情報211、製品数量情報212、製品名称情報311、製品数量情報312)に基づいて各出荷データ200と各運搬データ300との関連付けを行ってもよい。
【0056】
また、前記実施形態においては、出荷データ200及び運搬データ300の出荷製品情報210と運搬製品情報310が、それぞれ、製品の名称に関する情報と、製品の数量に関する情報を含むものを示したが、例えば、これらに製品の寸法に関する情報、製品の荷姿に関する情報等を加えてもよい。出荷製品情報210と運搬製品情報310に用いられる情報の個数及び種類は任意に設定することができる。
【0057】
また、前記実施形態においては、出荷データ200及び運搬データ300の出荷履歴情報220と運搬履歴情報320が、出荷または出発した日付に関する情報と、出荷または出発した場所に関する情報と、納入または到着した場所に関する情報を含むものを示したが、例えば、これらに受領または到着した日付に関する情報等を加えてもよい。出荷履歴情報220と運搬履歴情報320に用いられる情報の個数及び種類は任意に設定することができる。
【0058】
また、前記実施形態においては、出荷データ200及び運搬データ300が第1ネットワーク400上の外部記憶装置500に記憶されるものを示したが、例えば第2ネットワーク410上の外部記憶装置510に記憶されてもよいし、物流コスト解析装置100の記憶部に記憶されてもよく、各種データの記憶場所は任意に設定することができる。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組み合わせの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。