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特開2021-144483操作器具、タッチパネルへの入力方法、操作器具の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-144483(P2021-144483A)
(43)【公開日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】操作器具、タッチパネルへの入力方法、操作器具の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20210827BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20210827BHJP
【FI】
   G06F3/03 400F
   G06F3/044 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-42938(P2020-42938)
(22)【出願日】2020年3月12日
(71)【出願人】
【識別番号】512109116
【氏名又は名称】株式会社ビーツーエンジン
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】及川 晃
(57)【要約】      (修正有)
【課題】手で把持していなくとも、静電容量結合方式のタッチパネル若しくはタッチパネルを構成に含む情報機器端末に安定性高く反応する情報機器端末用の操作器具を提供する。
【解決手段】静電容量結合方式のタッチパネル若しくはタッチパネルを構成に含む情報機器端末へ入力を行うための操作器具であって、絶縁性であり、内部空間を有する外殻部21と、外殻部の内面に設けられた外殻導体部211と、外殻導体部の内側に、外殻導体部に接するよう設けられた内部絶縁体22と、外殻部と外殻導体部とに接触するよう設けられ、開口部213に挿入可能な、導電性を有する複数の入力部と、を有する。外殻部と外殻導体部と内部絶縁体が、層を形成している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量結合方式のタッチパネル若しくはタッチパネルを構成に含む情報機器端末へ入力を行うための操作器具であって、
前記操作器具は、
絶縁性であり、内部空間を有する外殻部と、
前記外殻部の内面に設けられた外殻導体部と、
前記外殻導体部の内側に、該外殻導体部に接するよう設けられた内部絶縁体と、
前記外殻部及び前記外殻導体部とに接触するよう設けられ、導電性を有する入力部と、
前記外殻部と前記外殻導体部と前記内部絶縁体が層を形成していることを特徴とする、
操作器具。
【請求項2】
前記内部絶縁体が空気である、請求項1に記載の操作器具。
【請求項3】
前記入力部が前記外殻部の外面に接するよう設けられた膜材である、請求項1又は2に記載の操作器具。
【請求項4】
前記外殻部が略球形であり、
その表面に、6以上の前記入力部が互いに等間隔となるよう設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の操作器具。
【請求項5】
前記外殻導体部は、銀材料、金材料、銅材料、アルミ材料、酸化チタン材料、炭素材料から選ばれる一又は二以上の導電性材料を含む樹脂塗膜であり、
前記樹脂塗膜は前記外殻部の内面に二重に形成されており、
前記樹脂塗膜は、樹脂材料に対し導電性材料を50質量以上含み、
前記外殻部の内面の少なくとも7割以上に前記外殻導体部が形成されている、請求項1〜3の何れか一項に記載の操作器具。
【請求項6】
静電容量結合方式のタッチパネル若しくはタッチパネルを構成に含む情報機器端末への入力を行う方法であって、
絶縁性であり、内部空間を有する外殻部と、
前記外殻部の内面に設けられた外殻導体部と、
前記外殻導体部の内側に、該外殻導体部に接するよう設けられた内部絶縁体と、
前記外殻部及び前記外殻導体部とに接触するよう設けられ、導電性を有する入力部と、
前記外殻部と前記外殻導体部と前記内部絶縁体が層を形成していることを特徴とする操作器具を用い、静電容量結合方式のタッチパネルに該操作器具が有する入力部を近接及び/又は接触させることを特徴とする、タッチパネルへの入力方法。
【請求項7】
絶縁性であり、内部空間を有する外殻部の内面に、外殻導体部を形成し、
前記外殻部及び前記外殻導体部とに接触するよう、導電性を有する入力部を設けることを含む、
静電容量結合方式のタッチパネル若しくはタッチパネルを構成に含む情報機器端末へ入力を行うための操作器具の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量結合方式のタッチパネル若しくはタッチパネルを構成に含む情報機器端末用の操作器具に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量結合方式のタッチパネルは、携帯情報端末等の小型な画面に用いられている。
例えば、iPhone(登録商標)、iPod touch(登録商標)、iPad(登録商標)といった携帯情報端末には、静電容量結合方式のタッチパネルが採用されている。
【0003】
静電容量結合方式のタッチパネルは、表示装置(例えば、液晶パネル)の表面に指を近づけた(接触させた)ときの電流量を検知することで、その入力位置を特定している。
そして、携帯情報端末は、タッチパネルが特定した入力位置に関する情報に基づき、表示装置上のアイコン、ハイパーリンクを選択する動作等を実行する。
【0004】
操作性の向上、指にはできないような複雑かつ迅速な入力等を目的として、指の代わりにタッチパネルへの入力を行う操作器具が開発されている。
ここで、操作器具の種類として、把持部(人体との接触部分)と入力部(タッチパネルとの接触部分)とを導電性物質によりつなげることで指先(体)の静電気をタッチパネルに伝えるものや、充電・電池等により操作器具内部で静電気を発生させるものなどが知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、導電性材料により形成された操作器具が記載されている。
これら指先(体)からの静電気をタッチパネルに伝える操作器具の場合、指先(体)からの静電気をタッチパネルに伝えるために、把持部(人体との接触部分)と入力部(タッチパネルとの接触部分)とを導電性物質によりつなげる必要があった。
【0006】
また、本発明者は、タッチパネルに載置した後でユーザが手を離した場合であっても、所定の時間だけ信号を発するミニマウスを発明している(特許文献2)。
ここで、特許文献2には、内側に導電性のシール材の設けられた球体状のミニマウスが開示されている(図12)。特許文献2に記載の技術において、導電性のシール材は、入力部同士を電気的に接続することを目的としていたため、入力部近傍にしか設けられていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録3146804号公報
【特許文献2】特開2016−106285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の通り、上記特許文献2に開示されたミニマウスにおいては、導電性のシール材が入力部近傍にしか設けられておらず、また、導電性のシール材が外殻に密着していなかった。そのため、上記特許文献2に開示されたミニマウスでは、タッチパネルへの入力が不安定であった。
【0009】
上記先行技術のあるところ、本発明者は、絶縁性を有する外殻の内面に特定の処理を施した操作器具が、手で把持していなくとも、静電容量結合方式のタッチパネル若しくはタッチパネルを構成に含む情報機器端末に安定性高く反応することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、新規の操作器具を提供することを課題とする。
また、本発明は、静電容量結合方式のタッチパネル若しくはタッチパネルを構成に含む情報機器端末への新規入力手法を提供することを課題とする。
また、本発明は、設計の自由度の高い操作器具を製造する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の操作器具は、
静電容量結合方式のタッチパネル若しくはタッチパネルを構成に含む情報機器端末へ入力を行うための操作器具であって、
前記操作器具は、
絶縁性であり、内部空間を有する外殻部と、
前記外殻部の内面に設けられた外殻導体部と、
前記外殻導体部の内側に、該外殻導体部に接するよう設けられた内部絶縁体と、
前記外殻部及び前記外殻導体部とに接触するよう設けられ、導電性を有する入力部と、
前記外殻部と前記外殻導体部と前記内部絶縁体が層を形成していることを特徴とする。
【0012】
このような構成を有する操作器具によれば、手で把持せずとも、タッチパネルへの入力ができる。
【0013】
また、上記構成を有する操作器具によれば、操作器具の把持部(人体との接触部分)と入力部(タッチパネルとの接触部分)とが導電性物質により繋がっていなくとも、タッチパネルへの入力ができる。
【0014】
本発明によれば、操作器具本体の外殻を導電性物質で形成する必要がないため、操作器具本体の形状や色彩、材質等の制約が少ない。したがって、本発明によれば、設計(形状や色彩)の自由度の高い操作器具を提供することが可能である。
【0015】
また、一般的に、導電性物質を含む材料は、導電性物質を含まない材料に比して、その強度が低い。すなわち、本発明によれば、内部空間を有しかつ絶縁性を有する外殻部により操作器具本体を成形できるため、耐久性の高い操作器具を提供することができる。
【0016】
上記構成を有する操作器具によれば、手で把持せずとも、より安定性高くタッチパネルへの入力ができる。
【0017】
また、上記構成を有する操作器具によれば、操作器具の把持部(人体との接触部分)と入力部(タッチパネルとの接触部分)とが導電性物質により繋がっていなくとも、より安定性高くタッチパネルへの入力ができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記内部絶縁体が空気である。
【0019】
このような構成を有する操作器具によれば、手で把持せずとも、より安定性高くタッチパネルへの入力ができる。
また、上記構成を有する操作器具によれば、操作器具の把持部(人体との接触部分)と入力部(タッチパネルとの接触部分)とが導電性物質により繋がっていなくとも、より安定性高くタッチパネルへの入力ができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記入力部が前記外殻部の外面に接するよう設けられた膜材である。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記外殻部が略球形であり、
その表面に、6以上の前記入力部が互いに等間隔となるよう設けられている。
【0022】
本発明の好ましい形態の操作器具は、手で把持せずとも、タッチパネル4への入力をすることができるものである。そのため、上記形態とすることで、タッチパネル4上に転がし使用する形態として適している(図4 参照)。
【0023】
本発明の好ましい形態では、
前記外殻導体部は、銀材料、金材料、銅材料、アルミ材料、酸化チタン材料、炭素材料から選ばれる一又は二以上の導電性材料を含む樹脂塗膜である。
【0024】
本発明の好ましい形態では、
前記樹脂塗膜は前記外殻部の内面に二重に形成されており、
前記外殻部の内面の少なくとも7割以上に前記外殻導体部が形成されている。
【0025】
本発明の好ましい形態では、
前記樹脂塗膜は、樹脂材料に対し導電性材料を50質量以上含む。
【0026】
このような構成を有する操作器具によれば、手で把持せずとも、より安定性高くタッチパネルへの入力ができる。
また、上記構成を有する操作器具によれば、操作器具の把持部(人体との接触部分)と入力部(タッチパネルとの接触部分)とが導電性物質により繋がっていなくとも、より安定性高くタッチパネルへの入力ができる。
【0027】
本発明は、静電容量結合方式のタッチパネル若しくはタッチパネルを構成に含む情報機器端末への入力を行う方法であって、
絶縁性であり、内部空間を有する外殻部と、
前記外殻部の内面に設けられた外殻導体部と、
前記外殻導体部の内側に、該外殻導体部に接するよう設けられた内部絶縁体と、
前記外殻部及び前記外殻導体部とに接触するよう設けられ、導電性を有する入力部と、
前記外殻部と前記外殻導体部と前記内部絶縁体が層を形成していることを特徴とする操作器具を用い、静電容量結合方式のタッチパネルに該操作器具が有する入力部を近接及び/又は接触させることを特徴とする、タッチパネルへの入力方法でもある。
【0028】
本発明の入力方法によれば、操作器具内部で静電気を発生させる機構(充電装置・電池等)を設けなくとも、手で把持せずに、安定性高く入力をすることができる。
また、上記構成を有する操作器具によれば、操作器具の把持部(人体との接触部分)と入力部(タッチパネルとの接触部分)とが導電性物質により繋がっていなくとも、より安定性高くタッチパネルへの入力ができる。
【0029】
また、本発明は、絶縁性であり、内部空間を有する外殻部の内面に、外殻導体部を形成し、
前記外殻部及び前記外殻導体部とに接触するよう、導電性を有する入力部を設けることを含む、
静電容量結合方式のタッチパネル若しくはタッチパネルを構成に含む情報機器端末へ入力を行うための操作器具の製造方法でもある。
【0030】
本発明の操作器具の製造方法によれば、操作器具内部で静電気を発生させる機構(充電装置・電池等)を設けなくとも、手で把持せずに、より安定性高くタッチパネルへ入力できる操作器具を製造することができる。
また、上記構成を有する操作器具によれば、操作器具の把持部(人体との接触部分)と入力部(タッチパネルとの接触部分)とが導電性物質により繋がっていなくとも、より安定性高くタッチパネルへの入力ができる操作器具を製造することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、新規の操作器具を提供することができる。
また、本発明によれば、静電容量結合方式のタッチパネルへの新規入力手法を提供することができる。
また、本発明によれば、設計の自由度の高い操作器具を製造する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本実施形態に係る操作器具の外観を示す図である。
図2】a)本実施形態に係る操作器具本体の分解図である。b)本実施形態に係る操作器具本体の分解図である。
図3】a)本実施形態に係る操作器具の入力部を示す模式図である。b)本体部に入力部を取り付けた態様を示す模式図である。
図4】操作者の人体に導電部分が直接接触していない状態であっても、静電容量結合方式のタッチパネルへの入力が可能であることを示す図である。
図5】本発明の操作器具の他の形態を示す図である。
図6】a)本発明の操作器具の他の形態を示す断面模式図である。b)、c)操作者の人体に導電部分が直接接触していない状態であっても、静電容量結合方式のタッチパネルへの入力が可能であることを示す図である。
図7】本実施例の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本実施例の操作器具1について説明するが、本発明の技術的範囲は実施例に限定されないことは言うまでもない。
また、以下の説明において、特段言及がない場合には、「タッチパネル」の語は、静電容量結合方式のタッチパネルを指す。
【0034】
また、以下の説明において、特段言及がない場合には、本明細書に記載の「タッチパネル」の語には、液晶パネル(表示装置41)と位置入力装置を組み合わせた電子部品(タッチパネル)、及び、該電部品を構成に含む情報機器端末(iPhone(登録商標)、iPod touch(登録商標)、iPad(登録商標)等)も含まれる。
【0035】
図1は、本実施例の操作器具1の外観を示す図である。
図1に示すように、本実施例の操作器具1は、操作器具本体2と入力部3とを備える。
【0036】
また、図2は、本実施例の操作器具本体2の分解図である。
図2に示すように、操作器具本体2は、絶縁性であり、内部空間を有する外殻部21と、
外殻部21の内面に設けられた外殻導体部211とを備える。
【0037】
また、図2に示すように、操作器具1は、外殻導体部211の内側に、外殻導体部211に接するよう設けられた内部絶縁体22を備える。
【0038】
また、図3は、入力部3と操作器具本体2の取り付け機構を示す図である。
ここで、入力部3は、導電性を有する。
図3に示すように、導電性を有する入力部3は、外殻部21及び外殻導体部211とに接触するよう設けられている。
ここで、外殻導体部211は、外殻部21の内面に設けられた導電性部材である。
【0039】
上記構成を有する操作器具1によれば、手で把持せずとも、操作器具1とタッチパネル4とが電気的に接続され、タッチパネル4への入力をすることができる。
具体的には、本発明の操作器具1をタッチパネル4上に転がし使用した場合であっても、情報機器端末はその入力を感知し、その軌跡(入力パターン411)を表示装置41に表示することができる(図4 参照)。
これは、本発明の操作器具1が、タッチパネル4上の静電気を保持することによるものであると考えられる。
【0040】
すなわち、操作器具1は、外部電源との接続による充電機構や、操作器具1内部に電源部(電池、発電機構)を保持する電源部保持機構を有する必要がない。
そのため、本発明によれば、操作器具1内部で静電気を発生させる機構(充電装置・電池等)を設けなくとも、手で把持せずに、安定性高く入力をすることができる。
【0041】
そして、操作器具本体2が外部電源との接続による充電機構や、操作器具1内部に電源部(電池、発電機構)を保持する電源部保持機構を有する必要がないため、操作器具1の軽量化が可能である。また、本発明によれば、操作器具本体2が外部電源との接続による充電機構や、操作器具1内部に電源部(電池、発電機構)を保持する電源部保持機構を有する必要がないため、操作器具本体2の小型化を図ることができる。
【0042】
また、操作器具1内部に電源部(電池、発電機構)を保持する電源部保持機構保持させる必要がなく、また、外殻部21に導電性塗料などを塗布する必要がないため、子供であっても安全に使用できる。
【0043】
そして、本実施例の操作器具は、外殻導体部211に囲われ、外殻導体部211に接するよう設けられた内部絶縁体22を有し、
外殻部21と外殻導体部211と内部絶縁体22が層を形成している。
【0044】
上記構成を有する操作器具1によれば、手で把持せずとも、安定性高くタッチパネル4への入力をすることができる。
【0045】
そして、本実施例の操作器具1の各部材には、以下の材料を用いている。
【0046】
【表1】
【0047】
他の形態の操作器具1の外殻導体部211には、以下の材料を用いている。
【0048】
【表2】
【0049】
図6に示す他の形態の操作器具1は、外殻導体部211及び入力部3として、外殻部21にアルミ蒸着を施したものを用いている(図6 参照)。
【0050】
以下、操作器具本体2が備える各部材(外殻部21、外殻導体部211、内部絶縁体22)について、より好ましい実施の形態を説明する。
【0051】
(1)外殻部21
外殻部21は、操作器具本体2の全体形状を構成する部材である。
【0052】
本実施例の外殻部21は、ABS樹脂を材料としている(表1 参照)。
そして、本実施例の外殻部21は、絶縁性を有する。
【0053】
本発明によれば操作器具本体の外殻を導電性物質で形成する必要がないため、操作器具本体の形状や色彩、材質等の制約が少ない。したがって、本発明によれば、設計(形状や色彩)の自由度の高い操作器具を提供することが可能である。
【0054】
一般的に、導電性物質(例えば、カーボン繊維、金属粉末)を含む材料は、導電性物質を含まない材料に比して、その強度が低い。
そして、本発明によれば、外殻部21に導電性物質(例えば、カーボン繊維、金属粉末)を含む材料を用いずとも、タッチパネル4への入力が可能である。
すなわち、絶縁性を有する外殻部21とすることで、耐久性の高い操作器具1を提供することができる。
【0055】
ここで、外殻部21の材料は、例えば、ユリア樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、アクリル樹脂、ガラス、陶器、木材、合成紙であってもよい。
中でも、外殻部21の材料は、ユリア樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、アクリル樹脂、合成紙から選ばれるものであることが好ましい。
【0056】
また、本実施例において、外殻部21は、内部空間を有する。
外殻部21が内部空間を有することで、後述する外殻導体部211及び内部絶縁体22を備えることができる。そして、外殻部21が内部空間を有することで、操作器具本体2の軽量化を図ることができる。
【0057】
ここで、外殻部21の内面形状は、外殻部21の外面形状と相似するものであることが好ましい。外殻部21の内面形状が外殻部21の外面形状と相似であることで、より効率よく安定性高くタッチパネル4への入力可能な操作器具1とすることができる。
【0058】
また、外殻部21の厚みは、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、さらに好ましくは2mm以下である。
【0059】
上記構成とすることで、後述する外殻導体部211との相互作用により、操作者の人体に導電部分が直接接触していない状態であっても、タッチパネル4への入力可能な操作器具1を提供することができる。
【0060】
また、外殻部21の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、さらに好ましくは1.5mm以上である。
【0061】
下限以上の厚みとすることで、製造した操作器具1の設計の自由度が上がる。
【0062】
本実施例において、外殻部21は、球形状に成形されている。
本発明の操作器具1は、手で把持せずとも、タッチパネル4への入力をすることができるものである。そのため、略球形状の外殻部21を有する操作器具1は、新規の知育玩具や、タッチパネル4上に転がし使用する形態として適している(図4 参照)。
【0063】
なお、本明細書において、上記の形状には、おおよそ上記形状に近似した形状も含まれる。
【0064】
以下、図2を参照しつつ、本実施例の外殻部21が球形状である場合の、より好ましい形態を説明する。
本実施例における外殻部21は、二つの半球体を嵌合させることにより、形成されている。
具体的には、一方の半球体には凸状嵌合部212を備え、他方の半球体は該凸状嵌合部212に対応するよう形成された凹状嵌合部(図示せず)を備えている。そして、二つの半球体の凸状嵌合部212と凹状嵌合部とがあわさるよう嵌め込むことで、外殻部21が形成されている。
【0065】
ここで、凸状嵌合部212の凸部の外面形状と凹状嵌合部の内面形状とが略一致することが好ましい。
上記形態とすることで二つの半球体を嵌め込むさいに、半球体同士のズレを軽減できる。
【0066】
ここで、外殻部21は、後述する入力部3を挿入可能な開口部213を有する形態であることが、好ましい。
【0067】
また、開口部213は、外殻部21を形成する二つの半球体に、外殻部21の割辺を基準に対称となるよう設けられていることが好ましい。
そして半球体は、少なくとも1以上、好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上の開口部213を二等分するよう、かつ二等分された開口部213の位置が外殻部21の中心を基準として点対象とならないよう、外殻部21を縦割りした形態であることが好ましい。
上記形態とすることで、縦割りされた開口部213を基準に、二つの半球体の凸状嵌合部212と凹状嵌合部とがあわさるよう嵌め込むことができるため、操作器具1の製造が容易となる。
【0068】
ただし、該外殻部21の立体形状に特に制限はなく、立方体、三角錐、ペン型(図5 参照)、直方体形型、動物(亀、ウサギ等、人体に類似したキャラクターなど図5参照)・建造物(エッフェル塔、東京タワー、城、ビルなど)、乗り物(車・船等)、日用品(コップ・食器等)等の具体的意匠の形を模した形状の何れであってもよい。
【0069】
また、図5に示すように、操作器具1を直立可能に形成することで、例えば、静電容量方式のタッチパネル4に載置し、チェスのようなボードゲームを行うことも可能である。
【0070】
なお、本明細書において、上記の形状には、おおよそ上記形状に近似した形状も含まれる。
【0071】
また、本発明の操作器具1によれば、操作器具1の把持部(人体との接触部分)と入力部3(タッチパネル4との接触部分)とが導電性物質により繋がっていなくとも、タッチパネル4への入力をすることができる。
そのため、本発明における外殻部21は、その外面に塗装、装飾等を備えていてもよい。
【0072】
(2)外殻導体部211
外殻導体部211は、外殻部21の内面に形成される部材である、
【0073】
ここで、外殻導体部211は、外殻部21の内面に密着していることが好ましい。
外殻導体部211が外殻部21の内面に略密着していることで、前述の外殻部21との相互作用により、より効率よく安定性高くタッチパネル4への入力可能な操作器具1とすることができる。
【0074】
外殻導体部211の外面形状は、外殻部21の内面形状と相似するものであることが好ましい。外殻導体部211の外面形状が外殻部21の内面形状と相似であることで、前述の外殻部21との相互作用により、より安定性高くタッチパネル4への入力可能な操作器具1とすることができる。
【0075】
本実施例において、外殻導体部211は導電性を有する塗膜により、形成されている。
外殻導体部211が導電性を有する塗膜により形成されていることで、製造コストを抑えつつ、手で把持せずとも、タッチパネル4への入力をすることができる操作器具1を製造することができる。
【0076】
上記構成を有する操作器具1によれば、前述の外殻部21との相互作用により、充電・電池等により操作器具1内部で静電気を発生させる機構を設けなくとも、手で把持せずに、より安定性高くタッチパネル4への入力ができる。
また、上記構成を有する操作器具1によれば、前述の外殻部21との相互作用により、操作器具1の把持部(人体との接触部分)と入力部3(タッチパネル4との接触部分)とが導電性物質により繋がっていなくとも、より安定性高くタッチパネル4への入力ができる。
【0077】
ここで、外殻導体部211は、導電性材料を含む塗膜であればよい。
【0078】
外殻導体部211は、銀材料、金材料、銅材料、アルミ材料、酸化チタン材料、炭素材料から選ばれる一又は二以上の導電性材料を含む。
ここで、導電性材料は、粉末状及び/又はペースト状であることが好ましい。
【0079】
また、塗膜は、樹脂塗膜であることが好ましい。
樹脂塗膜としては、アクリルポリオール樹脂塗膜を好ましく挙げることができる。
【0080】
ここで、樹脂塗膜は、樹脂材料に対し導電性材料を好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量以上、さらに好ましくは50質量%以上含む。
導電性材料の含有量を下限以上とすることで、導電性材料が外殻部21の内面全面に均一にいきわたり、安定性高くタッチパネル4への入力ができる操作器具1となる。
【0081】
ここで、樹脂塗膜は、樹脂材料に対し導電性材料を好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量以下、さらに好ましくは70質量%以下含む。
導電性材料の含有量を上限以下とすることで、樹脂塗膜からなる外殻導体部211を外殻部21に密着させることができ、安定性高くタッチパネル4への入力ができる操作器具1となる。
【0082】
また、塗膜は、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルを含む形態であることが好ましい。
【0083】
ここで、塗膜により外殻導体部211を形成する場合には、該塗膜を二重とすることが好ましい。
塗膜を二重に形成することで、導電性材料が外殻部21の内面全面に均一にいきわたり、安定性高くタッチパネル4への入力ができる操作器具1となる。
【0084】
ここで、外殻導体部211は金属材料を外殻部21に蒸着させ形成したものであってもよい。
外殻部21内面に金属材料を蒸着させる場合の、金属材料としては、銀,銅,金,アルミ、マグネシウム,モリブデン,ナトリウムを挙げることができる。
なお、金属の蒸着には、当業者が通常行う手法を用いることができる。
【0085】
上記構成を有する操作器具1によれば、前述の外殻部21との相互作用により、充電・電池等により操作器具1内部で静電気を発生させる機構を設けなくとも、手で把持せずに、安定性高くタッチパネル4への入力ができる。
また、上記構成を有する操作器具1によれば、前述の外殻部21との相互作用により、操作器具1の把持部(人体との接触部分)と入力部3(タッチパネル4との接触部分)とが導電性物質により繋がっていなくとも、安定性高くタッチパネル4への入力ができる。
【0086】
ここで、本発明においては、別途成型した外殻導体部211を、外殻部21内部に配置する方法とすることもできる。
なお、本発明において、外殻導体部211は、導電性を有するものであれば、その材質、成型方法に特に制限はない。
【0087】
本発明では、本発明の効果を損なわない範囲において、外殻部21の内面に外殻導体部211が設けられていない箇所があっても良い。
具体的には、外殻部21内面の少なくとも4割以上、より好ましくは5割以上、さらに好ましくは7割以上、さらに好ましくは9割以上、特に好ましくは全面に外殻導体部211が形成されていればよい。
【0088】
本発明において、外殻導体部211は、その内側に内部絶縁体22(本実施例においては空気)が配置可能なよう、形成されていることが好ましい。
【0089】
そして、外殻導体部211の厚みは均一であることが好ましい。
外殻導体部211の厚みを均一にすることで、タッチパネル4への入力精度の分散を押さえることができる。
【0090】
また、外殻導体部211の厚みは、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、さらに好ましくは1mm以下である。
【0091】
上記構成とすることにより、前述の外殻部21との相互作用により、充電・電池等により操作器具1内部で静電気を発生させる機構を設けなくとも、手で把持せずに、安定性高くタッチパネル4への入力ができる。
また、上記構成を有する操作器具1によれば、前述の外殻部21との相互作用により、操作器具1の把持部(人体との接触部分)と入力部3(タッチパネル4との接触部分)とが導電性物質により繋がっていなくとも、安定性高くタッチパネル4への入力ができる。
【0092】
外殻導体部211の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上である。
【0093】
下限以上の厚みとすることで、前述の外殻部21との相互作用により、充電・電池等により操作器具1内部で静電気を発生させる機構を設けなくとも、手で把持せずに、より安定性高くタッチパネル4への入力ができる。
また、上記構成を有する操作器具1によれば、操作器具1の把持部(人体との接触部分)と入力部3(タッチパネル4との接触部分)とが導電性物質により繋がっていなくとも、安定性高くタッチパネル4への入力ができる。
【0094】
(3)内部絶縁体
内部絶縁体22は、操作器具本体内部に設けられた、絶縁体である。
【0095】
外殻部21と外殻導体部211の内側に、内部絶縁体22を備えることで、前述の外殻部21と外殻導体部211との相互作用により、充電・電池等により操作器具1内部で静電気を発生させる機構を設けなくとも、手で把持せずに、より安定性高くタッチパネル4への入力ができる。
また、上記構成を有する操作器具1によれば、操作器具1の把持部(人体との接触部分)と入力部3(タッチパネル4との接触部分)とが導電性物質により繋がっていなくとも、より安定性高くタッチパネル4への入力ができる。
【0096】
本実施例において、内部絶縁体22は、空気である。
【0097】
外殻部21と外殻導体部211の内側に空気を備えることで、前述の外殻部21と外殻導体部211との相互作用により、充電・電池等により操作器具1内部で静電気を発生させる機構を設けなくとも、手で把持せずに、より安定性高くタッチパネル4への入力ができる。
また、上記構成を有する操作器具1によれば、前述の外殻部21と外殻導体部211との相互作用により、操作器具1の把持部(人体との接触部分)と入力部3(タッチパネル4との接触部分)とが導電性物質により繋がっていなくとも、より安定性高くタッチパネル4への入力ができる。
【0098】
ただし、本発明においては、内部絶縁体22の材質に特に制限はない。
例えば、外殻導体部211形成後の外殻部21の中空内部にユリア樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、アクリル樹脂、紙等の絶縁性材料等を充填しても構わない。
【0099】
上記構成とすることで、前述の外殻部21と外殻導体部211との相互作用により、操作者の人体に導電部分が直接接触していない状態であっても、タッチパネル4への入力が安定性高く可能となる。
【0100】
(4)入力部3
以下、本実施例の操作器具1が備える、入力部3について、より詳細を説明する。
【0101】
入力部3は、該入力部3をタッチパネル4に近接や接触させることにより、タッチパネル4への位置情報の入力をする部材である。
ここで、外殻部21、外殻導体部211と接触するよう、設けられている。
【0102】
上記構成とすることで、前述の外殻部21と外殻導体部211との相互作用により、操作者の人体に導電部分が直接接触していない状態であっても、タッチパネル4への入力が安定性高く可能となる。
【0103】
本実施例では、入力部3は、導電性材料(カーボン繊維)を含むシリコンゴムにより形成されている。
【0104】
ここで、入力部3は導電性を有するものであれば、その材質に特に制限はない。
入力部3の材質として、例えば、金属、導電性樹脂、導電性弾性体、導電性薄膜、導電性塗料、導電性不織布等を挙げることができる。
【0105】
ここで、入力部3は、可撓性を備えていることが好ましい。
入力部3が可撓性を備えることにより、入力時に、タッチパネル4本体が受ける損傷を抑えることが可能となる。
【0106】
また、本発明の操作器具1が備える入力部3の個数に、特に制限はない。
【0107】
例えば、外殻部21が球形である場合には、6以上、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、さらに好ましくは20以上、特に好ましくは22以上の入力部3が互いに等間隔となるよう設けられている形態とすることができる。
【0108】
上記形態とすることで手で把持せずとも、タッチパネル4への入力をすることができるものである。そのため、上記形態とすることで、タッチパネル4上に転がし使用することができる(図4 参照)。
【0109】
ここで、入力部3は、外殻部21に設けられた開口部213に挿入することで、操作器具本体2に保持される形態であることが好ましい。
【0110】
以下、図6を参照しつつ、入力部3の他の形態を説明する。
図6に示す入力部3は、外殻部21の外面に接するよう設けられたアルミ蒸着膜(以下、単に膜材とも表記する)である。
ここで、アルミ蒸着膜により形成された入力部3も、開口部213を介して、外殻部21、外殻導体部211と接触している(図6 参照)。
【0111】
上記形態であれば、操作器具1内部で静電気を発生させる機構(充電装置・電池等)を設けなくとも、手で把持せずに、安定性高く入力をすることができる(図6 参照)。ここで、通常、特別処理のされていない金属球は、タッチパネル上に転がし(手で把持することなく)使用しても、タッチパネル4への入力をすることはできない。
【0112】
以下、入力部3が膜材である場合のより好ましい形態を説明する。
【0113】
外殻部21外面に金属材料を蒸着させ入力部3を形成する場合の、金属材料としては、銀,銅,金,アルミ、マグネシウム,モリブデン,ナトリウムを挙げることができる。
なお、金属の蒸着には、当業者が通常行う手法を用いることができる。
【0114】
また、膜材である場合の入力部3は、導電性材料を含む塗膜であってもよい。
【0115】
導電性材料としては、銀材料、金材料、銅材料、アルミ材料、酸化チタン材料、炭素材料から選ばれる一又は二以上を挙げることができる。
本発明に用いる導電性材料は、粉末状及び/又はペースト状であることが好ましい。
【0116】
また、塗膜は、樹脂塗膜であることが好ましい。
樹脂塗膜としては、アクリルポリオール樹脂塗膜を好ましく挙げることができる。
【0117】
ここで、樹脂塗膜は、樹脂材料に対し導電性材料を好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量以上、さらに好ましくは50質量%以上、含む。
導電性材料の含有量を下限以上とすることで、安定性高くタッチパネル4への入力ができる操作器具1となる。
【0118】
ここで、樹脂塗膜は、樹脂材料に対し導電性材料を好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量以下、さらに好ましくは70質量%以下、含む。
導電性材料の含有量を上限以下とすることで、安定性高くタッチパネル4への入力ができる操作器具1となる。
【0119】
また、塗膜は、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルを含む形態であることが好ましい。
【0120】
ここで、塗膜により外入力部3を形成する場合には、該塗膜を二重とすることが好ましい。
塗膜を二重に形成することで、安定性高くタッチパネル4への入力ができる操作器具1となる。
ここで、本発明においては、別途成型した入力部3を、外殻部21外面に配置する方法とすることもできる。
なお、本発明において、入力部3は、導電性を有するものであれば、その材質、成型方法に特に制限はない。
【0121】
本発明では、本発明の効果を損なわない範囲において、外殻部21に入力部3が設けられていない箇所があっても良い。
具体的には、外殻部21外面の少なくとも4割以上、より好ましくは5割以上、さらに好ましくは7割以上、さらに好ましくは9割以上、特に好ましくは全面に入力部3が形成されていればよい。
【0122】
なお、本実施例において、各部材は異なる部品を組み合わせることにより形成されている。
ただし、本発明の操作器具1は、各部材が一体成型されていてもよい。
【0123】
(5)操作器具1の使用方法
以下、本発明の操作器具1の使用形態を説明する。
なお、本発明の操作器具1の使用方法における、各成分や物性、形状の好ましい形態は、前述した本発明の操作器具1の説明がそのままあてはまる。
【0124】
図4は、図1図3に示した操作器具1を、情報端末のタッチパネル4上に転がし使用した状態を示す。
図4に示す通り、本発明の操作器具1は、情報端末のタッチパネル4上に転がし使用しても、その入力を感知し、その軌跡を表示するアプリケーションが実行される。
これは、本発明の操作器具1が、前述の外殻部21と外殻導体部211との相互作用により、タッチパネル4上の静電気を保持する特性から起こるものである。
そして、本発明の操作器具1がタッチパネル4上の静電気を保持することができることから、使用者が手に把持していない状態であっても、タッチパネル4への入力が検出される。
【0125】
(6)本発明の操作器具1の製造方法
以下、本発明の操作器具1の製造方法について、説明する。
なお、本発明の操作器具1の製造方法における、各成分や物性、形状の好ましい形態は、前述した本発明の操作器具1の説明がそのままあてはまる。
【0126】
(i)外殻導体部211形成工程
外殻導体部211は、外殻部21の内面に、外殻導体部211を形成する工程である。
本実施例においては、外殻部21全体をいくつかのパーツに分割し、その内面に外殻導体部211を形成している。また、本実施例では、外殻部21の内面に、導電性を有する塗料を、二回塗装することにより、外殻導体部211を形成することができる。
【0127】
(ii)操作器具本体2形成工程
配置工程は、外殻導体部211を形成した外殻部21のパーツを、組み立てることで、操作器具本体2を形作る工程である。
この際、外殻導体部211を形成した外殻部21のパーツを組み立てることで、その内部に空気層(本発明における内部絶縁体22に相当)が形成される。
【0128】
(iii)入力部3配置工程
入力部3配置工程は、外殻部21及び外殻導体部211とに接触するよう、導電性を有する入力部3を設ける工程である。
【0129】
なお、本発明においては、絶縁性であり、内部空間を有する外殻部の内面に、外殻導体部を形成し、
外殻部及び外殻導体部とに接触するよう、導電性を有する入力部を設けることを含む製造方法であれば、各工程の順序に特に制限はない。
【実施例】
【0130】
以下、本願発明の基となった試験結果を示す。
【0131】
<1> 静電容量式のタッチパネル4への応答試験
(1)タッチペンの製造
まず、絶縁性を有し、底面を有する円筒形部材(塩化ビニル製;本発明における、外殻部21に相当)を用意した(表3 参照)。
用意した円筒形部材の内面に、表3に示す組成からなる導電性塗料(本発明における、外殻導体部211に相当)を形成した(試験例 図7 A)。
また、導電性塗料を塗布しない比較例1(図7 B)。底面のみ(外殻部内面に対する塗布割合3割以下;特開2016−106285号公報に記載の技術に相当)に導電性塗料を塗布した比較例2を併せて用意した(図7 C)。
【0132】
用意した円筒形部材の底面に、表3に示す組成からなる突起部材(本発明における、入力部3に相当)を貫通させ、本実施例に用いるタッチペン(本発明における、操作器具1に相当)を製造した(表3 参照)。
【0133】
【表3】
【0134】
(2)試験及び結果
製造したタッチペンの円筒形部材(絶縁体部分)を把持し、市販のタッチパネル4(iPad(登録商標))に接触させた。
【0135】
図7に示す通り、試験例のタッチペンを用いた場合のみ、市販のタッチパネル4(iPad(登録商標))が安定性高く反応することがわかった。
【0136】
以上の通り、
絶縁性であり、内部空間を有する外殻部21と、
外殻部21の内面に設けられた導電性塗料(本発明における、外殻導体部211に相当)と、
外殻部21及び導電性塗料(本発明における、外殻導体部211に相当)とに接触するよう設けられ、導電性を有する入力部3と、
を備える構成とすることにより、操作者の人体に導電部分が直接接触していない状態であっても、タッチパネル4への入力が可能となることがわかった。
【0137】
さらに、外殻導体部211に囲われ、該外殻導体部211に接するよう設けられた内部絶縁体22を有し、
外殻部21と外殻導体部211と内部絶縁体22が層を形成している構成とすることで、操作者の人体に導電部分が直接接触していない状態であっても、タッチパネル4への入力が可能となることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、静電容量結合方式のタッチパネル4へ入力を行うための操作器具に応用することができる。
【符号の説明】
【0139】
1 操作器具
2 操作器具本体
21 外殻部
211 外殻導体部
212 凸状嵌合部
213 開口部
22 内部絶縁体
3 入力部
4 タッチパネル
41 表示装置
411 入力パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7