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特開2021-145242全方向撮像装置、狭長空間内撮像装置、その方法、およびそのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-145242(P2021-145242A)
(43)【公開日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】全方向撮像装置、狭長空間内撮像装置、その方法、およびそのシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/222 20060101AFI20210827BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20210827BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20210827BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20210827BHJP
   G03B 37/00 20210101ALI20210827BHJP
【FI】
   H04N5/222 100
   H04N5/225 800
   H04N5/232 380
   H04N5/225 200
   G03B15/00 W
   G03B37/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-43088(P2020-43088)
(22)【出願日】2020年3月12日
(71)【出願人】
【識別番号】515244276
【氏名又は名称】株式会社 映像システム
(74)【代理人】
【識別番号】100166051
【弁理士】
【氏名又は名称】駒津 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】高野 隆児
(72)【発明者】
【氏名】坂本 和彦
【テーマコード(参考)】
2H059
5C122
【Fターム(参考)】
2H059BA01
2H059CA00
5C122EA42
5C122FA02
5C122FA18
5C122FB03
5C122FC04
5C122GD01
5C122GD12
5C122GE01
5C122GE10
(57)【要約】
【課題】 カメラの支持物やカメラの操作者が映り込むことがなく、映像処理時間を低減させた全方向撮像装置、狭長空間内撮像装置、全方向撮像方法、および全方向撮像システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 撮像ユニット110では、立方体における各6面方向外側に向かって6個の撮像手段111が映像を撮像し、筐体112が6個の撮像手段111を収容し、支持手段120が6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で撮像ユニット110を部屋200から支持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間が形成された構造体内における全方向の映像を撮像する全方向撮像装置において、
立方体における各6面方向外側に向かって映像を撮像する6個の撮像手段と、前記6個の撮像手段を収容する筐体と、を有する撮像ユニットと、
前記6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で前記撮像ユニットを前記構造体から支持する支持手段と、
を備えることを特徴とする全方向撮像装置。
【請求項2】
前記支持手段は、
隣り合う前記映像手段が撮像する画角範囲を示す画角線の交点である画角交点と、前記撮像ユニットとを連結して支持する線状体であること、
を特徴とする請求項1記載の全方向撮像装置。
【請求項3】
前記画角交点は、
前記構造体との交点である構造体画角交点に設けられること、
を特徴とする請求項2記載の全方向撮像装置。
【請求項4】
前記構造体画角交点は、
前記構造体の隅部に設けられること、
を特徴とする請求項3記載の全方向撮像装置。
【請求項5】
前記支持手段は、
前記撮像ユニットよりも上方に位置する前記画角交点から前記撮像ユニットをつるして支持すること、
を特徴とする請求項2記載の全方向撮像装置。
【請求項6】
前記支持手段は、
前記撮像ユニットよりも上方に位置する前記画角交点から前記撮像ユニットをつるして支持し、かつ前記撮像ユニットよりも下方に位置する前記画角交点と前記撮像ユニットとを連結して支持すること、
を特徴とする請求項2記載の全方向撮像装置。
【請求項7】
前記撮像ユニットの周囲に配置された前記画角交点と前記撮像ユニットとを連結する線状体の長さを、それぞれ独立して増減させる線状体長調節手段、
を備えることを特徴とする請求項6記載の全方向撮像装置。
【請求項8】
前記線状体長調節手段が前記線状体の長さを増減させることで移動する前記撮像ユニットの位置を三次元座標空間内における位置座標に換算する位置座標換算手段と、
前記位置座標換算手段が換算した位置座標に応じて、前記撮像ユニットが移動する前の画角交点と、前記撮像ユニットが移動したあとの画角交点とが一定となるように前記撮像手段を制御する画角交点一定手段と、
を備えることを特徴とする請求項7記載の全方向撮像装置。
【請求項9】
内部に狭長空間が形成された構造体内における全方向の映像を撮像する狭長空間内撮像装置において、
立方体における各6面方向外側に向かって映像を撮像する6個の撮像手段と、前記6個の撮像手段を収容する筐体と、を有する撮像ユニットと、前記6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で前記撮像ユニットを前記構造体から支持する支持手段とを備える全方向撮像装置を、前記狭長空間の長手方向に複数連結させてなること、
を特徴とする狭長空間内撮像装置。
【請求項10】
前記狭長空間の長手方向に連結された前記全方向撮像装置のうち、両端部に配置された前記全方向撮像装置は、前記狭長空間の内部方向に向けられた前記撮像手段を省略できること、
を特徴とする請求項9記載の狭長空間内撮像装置。
【請求項11】
前記狭長空間の長手方向に連結された前記全方向撮像装置のうち、中間部に配置された前記全方向撮像装置は、前記狭長空間の長手方向に向けられた前記撮像手段を省略できること、
を特徴とする請求項9記載の狭長空間内撮像装置。
【請求項12】
内部に空間が形成された構造体内における全方向の映像を撮像する全方向撮像方法において、
撮像ユニットで、立方体における各6面方向外側に向かって6個の撮像手段が映像を撮像し、前記6個の撮像手段を筐体が収容する工程と、
前記6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で前記撮像ユニットを前記構造体から支持手段が支持する工程と、
を備えることを特徴とする全方向撮像方法。
【請求項13】
内部に空間が形成された構造体内における全方向の映像を撮像する全方向撮像システムにおいて、
立方体における各6面方向外側に向かって映像を撮像する6個の撮像手段と、前記6個の撮像手段を収容する筐体と、を有する撮像ユニットと、前記6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で前記撮像ユニットを前記構造体から支持する支持手段とを備えることを特徴とする全方向撮像装置と、
前記6個の撮像手段が撮像した映像を、それぞれ対応した方向から出力する映像出力手段と、
を備えることを特徴とする全方向撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全方向撮像装置、狭長空間内撮像装置、全方向撮像方法、および全方向撮像システムに関し、特に内部に空間が形成された構造体内における全方向の映像を撮像する全方向撮像装置、狭長空間内撮像装置、全方向撮像方法、全方向撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に2016年はVR(Virtual Reality)元年といわれており、様々なVRコンテンツが制作されている。近年ではSNS(Social Networking Service)でも上下左右360度を1枚の写真として撮像できる全天球カメラが開発されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1で開示された全天球カメラでは、魚眼レンズを含んで構成され、画像の各領域で適切なフレア補正を行うことを可能とするために、魚眼レンズにより画像を撮像素子上に形成し、撮像素子上の魚眼レンズによる画像領域の外縁の画素値を使用して取得した画素値からフレアの画素値を推定する。
【0004】
その後、推定した前記フレアの画素値から画像全体のフレア画像を生成するためのフレア係数を生成し、フレア係数およびローパスフィルタを適用した後の画像領域の画素値を使用してフレア画像を生成する。さらにその後、画像からフレア画像を減ずることにより前記画像のフレア補正を行うことでフレア補正を行った画像を形成している。
【0005】
この全天球カメラでは、魚眼レンズを含んだ複数のカメラによって撮像された画像データを合成することで全天球画像データを生成するため、撮像するカメラの環境が異なる場合には、画像データを調整する際に画質が劣化したり、合成する2つの画像データの境界部分に影が発生し両画像がなじまなかったりすることがある。
【0006】
そこで、撮像環境が大きく異なる複数のカメラにより撮像された画像データを合成して全天球画像データを生成する場合であっても、画質の劣化や合成境界部分に生じる影を抑制可能な全天球カメラが開発されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2で開示された全天球カメラでは、第1のカメラと第2のカメラによって撮像された画像データを合成して全天球画像データを生成する全天球カメラであって、第1のカメラと第2のカメラはそれぞれ、通信部と、通信部を介して同時に撮像を行う他のカメラの撮像パラメータを取得し、自己の撮像パラメータと他のカメラの撮像パラメータとの差が小さくなるように自己の撮像パラメータの補正を行う処理信号を出力する制御部と、が備えられている。
【0008】
これにより、複数のカメラ間における撮像パラメータの補正値が小さくなり、いずれかのカメラに極端な補正値が与えられる事が無くなる。このため、画質の劣化や合成境界部分に生じる影を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016−40870
【特許文献2】特開2018−182698
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、これらの全天球カメラは、撮像した画像データを補正や合成することで全天球画像データを生成するため、高画質の画像データを要求すると画像データの処理に時間がかかる。さらに静止画像だけでなく映像を処理するにはさらに多くの処理時間が必要となる。このため全天球カメラで撮像した画像や映像は、リアルタイムで視聴することができない問題があった。
【0011】
また近年では映像機器の高画質化が進んでおり、テレビもハイビジョン(約100万画素)やフルハイビジョン(約200万画素)だけでなく、さらに高画質の4K(約800万画素)や8K(約3300万画素)などの映像規格で視聴できるようになっている。
【0012】
このような高画質な映像を視聴するには、描画により多くのデータが必要になる。例えばフルハイビジョンの場合、映像ビットレートは約1.5Gbpsであり、8Kでは約72Gbps、フルスペックの8Kでは約144Gbpsの映像ビットレートが必要となる。
【0013】
このような高画質で上記の全天球カメラで撮像した画像や映像を出力する場合、全天球カメラで取得した高画質データを合成する処理や、高画質データを補正する処理が必要になる。
【0014】
このためハイスペックのGPU(Graphics Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)が要求され、全天球カメラによる高画質の画像や映像を出力する場合には高額の設備投資が必要となってしまう問題もある。
【0015】
さらに特許文献1や特許文献2で開示された全天球カメラのように、魚眼レンズを使用して画像や映像を撮像すると、約180度もの広い撮像領域を1つの画像データとして撮像するため、画像データの中心から外側に向かって離れるほど樽型収差と呼ばれる画像や映像の歪みが生じる。
【0016】
このため、撮像された建築物などの変形が激しくなり、特に長い廊下やトンネル内などの狭長空間で移動しながら内部を撮像する場合、樽型収差による画像や映像の歪みにより視聴者の不快感を増加させる要因となっている。
【0017】
また、特許文献1や特許文献2で開示された全天球カメラでは、全天球カメラを支持する支持物や、全天球カメラを撮像する操作者が画像や映像に写り込んでしまう問題もある。
【0018】
これらの支持物や操作者を画像を処理することにより消去することもできるが、この画像処理も相当の処理時間が必要となる。このためリアルタイムで映像を視聴することは非常に困難であった。
【0019】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、カメラの支持物やカメラの操作者が映り込むことがなく、映像処理時間を低減させた全方向撮像装置、狭長空間内撮像装置、全方向撮像方法、および全方向撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明では上記問題を解決するために、内部に空間が形成された構造体内における全方向の映像を撮像する全方向撮像装置において、立方体における各6面方向外側に向かって映像を撮像する6個の撮像手段と、前記6個の撮像手段を収容する筐体と、を有する撮像ユニットと、前記6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で前記撮像ユニットを前記構造体から支持する支持手段とを備えることを特徴とする全方向撮像装置が提供される。
【0021】
これにより、撮像ユニットでは、立方体における各6面方向外側に向かって6個の撮像手段が映像を撮像し、筐体が6個の撮像手段を収容し、支持手段が6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で撮像ユニットを構造体から支持する。
【0022】
また、本発明では、内部に狭長空間が形成された構造体内における全方向の映像を撮像する狭長空間内撮像装置において、立方体における各6面方向外側に向かって映像を撮像する6個の撮像手段と、前記6個の撮像手段を収容する筐体と、を有する撮像ユニットと、前記6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で前記撮像ユニットを前記構造体から支持する支持手段とを備える全方向撮像装置を、前記狭長空間の長手方向に複数連結させてなることを特徴とする狭長空間内撮像装置が提供される。
【0023】
これにより、撮像ユニットでは、立方体における各6面方向外側に向かって6個の撮像手段が映像を撮像し、筐体が6個の撮像手段を収容し、支持手段が6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で撮像ユニットを構造体から支持する全方向撮像装置が狭長空間の長手方向に複数連結される。
【0024】
また、本発明では、内部に空間が形成された構造体内における全方向の映像を撮像する全方向撮像方法において、撮像ユニットで、立方体における各6面方向外側に向かって6個の撮像手段が映像を撮像し、前記6個の撮像手段を筐体が収容する工程と、前記6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で前記撮像ユニットを前記構造体から支持手段が支持する工程とを備えることを特徴とする全方向撮像方法が提供される。
【0025】
これにより、撮像ユニットでは、立方体における各6面方向外側に向かって6個の撮像手段が映像を撮像し、筐体が6個の撮像手段を収容し、支持手段が6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で撮像ユニットを構造体から支持する。
【0026】
また、本発明では、内部に空間が形成された構造体内における全方向の映像を撮像する全方向撮像システムにおいて、立方体における各6面方向外側に向かって映像を撮像する6個の撮像手段と、前記6個の撮像手段を収容する筐体と、を有する撮像ユニットと、前記6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で前記撮像ユニットを前記構造体から支持する支持手段とを備えることを特徴とする全方向撮像装置と、前記6個の撮像手段が撮像した映像を、それぞれ対応した方向から出力する映像出力手段とを備えることを特徴とする全方向撮像システムが提供される。
【0027】
これにより、撮像ユニットでは、立方体における各6面方向外側に向かって6個の撮像手段が映像を撮像し、筐体が6個の撮像手段を収容し、支持手段が6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で撮像ユニットを構造体から支持し、映像出力手段が6個の撮像手段が撮像した映像を、それぞれ対応した方向から出力する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の全方向撮像装置、狭長空間内撮像装置、全方向撮像方法、および全方向撮像システム装置によれば、撮像ユニットでは、立方体における各6面方向外側に向かって6個の撮像手段が映像を撮像し、筐体が6個の撮像手段を収容し、支持手段が6個の撮像手段が撮像する撮像領域外である死角領域で撮像ユニットを構造体から支持するので、支持手段が撮像領域に入ることなく支持手段を取り除く映像処理が不要になる。
【0029】
また、撮像ユニットが立方体における各6面方向外側に向かって撮像するので、映像の変形を補正する処理が不要になる。よって、カメラの支持物やカメラの操作者が映り込むことがなく、映像処理時間を低減させることができ、高画質な映像を遅延なく提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1の実施の形態に係る全方向撮像装置を示す上面図および側面図である。
図2】撮像ユニットが有する撮像手段の撮像する方向の一例を示す図である。
図3】全方向撮像装置と全方向撮像装置が撮像した映像を出力する映像出力装置との接続関係全体を示すブロック図である。
図4】撮像手段が撮像する撮像領域と、撮像領域によって形成される死角領域とを示す上面図である。
図5】部屋に全方向撮像装置を設置した状態を示す斜視図である。
図6】第2の実施の形態に係る全方向撮像装置の設置例を示す斜視図である。
図7】第3の実施の形態に係る全方向撮像装置を示す上面図である。
図8】部屋に全方向撮像装置を設置した状態を示す斜視図である。
図9】第5の実施の形態に係る全方向撮像装置を示す上面図および側面図である。
図10】第5の実施の形態に係る全方向撮像装置における撮像ユニットが移動する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る全方向撮像装置を示す上面図および側面図である。
図1に示すように全方向撮像装置100は、周囲全方向を撮像するための撮像ユニット110、および撮像ユニット110を特定の位置に支持するための支持手段120を備えている。
【0032】
第1の実施の形態では、全方向撮像装置100が直方体形状の部屋200内に設置され、部屋200内に設置された全方向撮像装置100から部屋200の内部を全方向撮像する例として説明する。
【0033】
撮像ユニット110は、正面方向、背面方向、右側方向、左側方向、上面方向、および底面方向に向けられた撮像手段111と撮像手段111を収容する筐体112を備えている。
【0034】
撮像手段111は、たとえばイメージセンサー111Aと広角レンズ111Bとを備えたビデオカメラであって、撮像手段111が撮像する画角線Gが部屋200の角部Kと交わるように設定されている。
【0035】
撮像手段111は筐体112内で正面方向、背面方向、右側方向、左側方向、上面方向、および底面方向に向けられ、各撮像手段111の画角線Gが部屋200の角部Kと交わるように設定されることで、部屋200内の全方向を撮像することができる。
【0036】
具体的には、図1の上面図に示すように、撮像ユニット110が有する撮像手段111−1は部屋200の右側方向に向けられて設置されており、撮像手段111−1は水平方向に部屋200の角部K1から角部K2までの撮像領域、および角部K5から角部K6までの撮像領域で撮像することができる。
【0037】
また図1の側面図Aに示すように、右側方向に向けられた撮像手段111−1は垂直方向に、部屋200の角部K1から角部K5までの撮像領域、および角部K2から角部K6までの撮像領域で撮像することができる。
【0038】
これにより、撮像ユニット110が有する撮像手段111−1は部屋200の右側方向に向けられて設置されることで、部屋200の角部K1、K2、K5、K6の撮像領域で撮像することができる。
【0039】
同様に、図1の上面図に示すように、撮像ユニット110が有する撮像手段111−2は部屋200の背面方向に向けられて設置されており、撮像手段111−2は水平方向に部屋200の角部K1から角部K3までの撮像領域、および角部K5から角部K6までの撮像領域で撮像することができる。
【0040】
また図1の側面図Bに示すように、背面方向に向けられた撮像手段111−2は垂直方向に、部屋200の角部K1から角部K5までの撮像領域、および角部K3から角部K7までの撮像領域で撮像することができる。
【0041】
これにより、撮像ユニット110が有する撮像手段111−2は部屋200の背面方向に向けられて設置されることで、部屋200の角部K1、K3、K5、K7の撮像領域で撮像することができる。
【0042】
支持手段120は、たとえば撮像ユニット110を支持する十分な強度を備えたワイヤーであって、部屋200の角部K1、K2、K3、K4を起点にして対応する撮像ユニット110の上面部にそれぞれが結合されている。
【0043】
支持手段120と撮像ユニット110との結合点は、撮像ユニット110が有するそれぞれの撮像手段111が撮像する撮像領域の死角領域に設けられる。これにより、支持手段120は撮像手段111によって撮像されない。
【0044】
具体的には、部屋200の右側方向に向けられた撮像手段111−1の画角線Gと部屋200の背面方向に向けられた撮像手段111−2の画角線Gとの交点は、部屋200の角部K1およびK5となる。
【0045】
図1の上面図に示すように、部屋200の角部K1を起点として、撮像手段111−1および撮像手段111−2によって撮像されない死角領域(撮像手段111−1、K1、撮像手段111−2)の撮像領域に配設されて撮像ユニット110に支持手段120が結合される。
【0046】
これにより支持手段120は、撮像手段111−1および撮像手段111−2の死角領域(撮像手段111−1、K1、撮像手段111−2)に配置されるため、撮像手段111−1および撮像手段111−2によって撮像されない。
【0047】
同様に、部屋200の角部K2を起点とした支持手段120は、右側方向に向けられた撮像手段111−1および正面方向に向けられた撮像手段111−4の死角領域(撮像手段111−1、K2、撮像手段111−4)に配設される。
【0048】
また、部屋200の角部K3を起点とした支持手段120は、背面方向に向けられた撮像手段111−2および左側方向に向けられた撮像手段111−3の死角領域(撮像手段111−2、K3、撮像手段111−3)に配設される。
【0049】
また、部屋200の角部K3を起点とした支持手段120は、左側方向に向けられた撮像手段111−3および正面方向に向けられた撮像手段111−4の死角領域(撮像手段111−3、K4、撮像手段111−4)に配設される。
【0050】
上記のように、全方向撮像装置100は、撮像ユニット110が有する撮像手段111が正面方向、背面方向、右側方向、左側方向、上面方向、および底面方向を撮像し、撮像ユニット110を撮像手段111の死角領域に配設された支持手段120で支持する。
【0051】
全方向撮像装置100によると、撮像ユニット110は支持手段120を撮像領域に含むことなく全方向を撮像することができる。
全方向撮像装置100では、撮像ユニット110は魚眼レンズを使用しなくても全方向を撮像することができるので、曲がった画像を平面に加工する映像処理を行う必要がない。また、魚眼レンズの樽型収差による画像や映像の歪みによる不快感を視聴者に与えることがない。
【0052】
また支持手段120が撮像領域に含まれないので、支持手段120を撮像映像から除去するなどの映像処理を行う必要がない。また支持手段120によって撮像ユニットが支持されるので操作者が撮像ユニット110によって撮像されることがない。
【0053】
このように、全方向撮像装置100では、カメラの支持物やカメラの操作者が映り込むことがなく、映像処理時間を低減させることができる。このため、ハイスペックのGPUやCPUが要求されることなく、撮像ユニット110が撮像した映像をそのまま映像出力装置で出力することができる。
【0054】
これにより、映像処理による遅延が低減されるので、全方向撮像装置100によって撮像した映像をリアルタイムに映像出力装置によって映像を出力し、視聴者に視聴させることができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、支持手段120を4本のワイヤーで支持する例で説明したが、撮像ユニット110を安定して支持できるのであれば、特に支持する本数は限定されない。
【0056】
また支持手段120は、ワイヤーで支持するだけでなく、たとえば強固な鉄の棒体などで角部1点や2点を起点として、結合された撮像ユニット110を支持することもできる。
【0057】
さらに撮像ユニット110が撮像した映像を転送するための通信ケーブルも、支持手段120と同じ死角領域に配設することで、支持手段120と同様に通信ケーブルが撮像ユニット110によって撮像されることなく全方向を撮像することができる。この他にも無線通信手段を使って撮像ユニット110が撮像した映像を転送するようにしてもよい。
【0058】
図2は、撮像ユニットが有する撮像手段の撮像する方向の一例を示す図である。
図2に示すように、撮像手段111は、正面方向(Z軸正方向)、背面方向(Z軸負方向)、右側方向(X軸正方向)、左側方向(X軸負方向)、上面方向(Y軸正方向)、および底面方向(Y軸負方向)に向けられて設置される。
【0059】
また撮像手段111は、たとえばイメージセンサー111Aと広角レンズ111Bとの焦点距離やレンズの向きによって、隣り合う撮像手段111の画角線Gが1点で交わるように設定される。本実施の形態では、隣り合う撮像手段111の画角線Gが部屋200内の角部Kに交わるように設定される。
【0060】
このように、撮像ユニット110は、筐体112内で撮像手段111の撮像方向を設定することで、部屋200内の正面方向、背面方向、右側方向、左側方向、上面方向、および底面方向の全方向を撮像することができる。
【0061】
図3は、全方向撮像装置と全方向撮像装置が撮像した映像を出力する映像出力装置との接続関係全体を示すブロック図である。
図3に示すように、撮像ユニット110は正面方向、背面方向、右側方向、左側方向、上面方向、および底面方向に向けられた6個の撮像手段111を備えており、各撮像手段111は通信ケーブルを介して、たとえばインターネットなどのネットワーク300に接続されている。
【0062】
全方向撮像装置100が撮像した映像を出力するための映像出力装置400は、通信ケーブルを介してネットワーク300に接続されている。映像出力装置400は、たとえばプロジェクター投影装置や液晶モニターなどが挙げられる。
【0063】
映像出力装置400は、撮像ユニット110が有する6個の撮像手段111それぞれに対応した6個の映像出力手段410を備えており、撮像手段111が撮像した映像を対応する映像出力手段410が映像を出力する。
【0064】
具体的には、正面方向に向けられた撮像手段111が撮像したデータは、ネットワーク300を介して映像出力装置400に転送され、映像出力装置400が有する正面方向の映像を出力する映像出力手段410が正面方向の映像を出力する。
【0065】
同様に、背面方向に向けられた撮像手段111が撮像したデータは、ネットワーク300を介して映像出力装置400に転送され、映像出力装置400が有する背面方向の映像を出力する映像出力手段410が背面方向の映像を出力する。
【0066】
これにより、全方向撮像装置100が撮像した全方向の映像を、ネットワーク300を介した異なる場所で、映像出力装置400が全方向の映像を出力することができ、遠隔地でもリアルタイムで全方向撮像装置100が撮像した全方向の映像を視聴することができる。
【0067】
図4は、撮像手段が撮像する撮像領域と、撮像領域によって形成される死角領域とを示す上面図である。
図4に示すように、部屋200の角部K3を起点として、撮像手段111−2および撮像手段111−3によって撮像されない死角領域(撮像手段111−2、K3、撮像手段111−3)の撮像領域に配設されて撮像ユニット110に支持手段120が結合される。
【0068】
これにより支持手段120は、撮像手段111−2および撮像手段111−3の死角領域(撮像手段111−2、K3、撮像手段111−3)に配置されるため、撮像手段111−2および撮像手段111−3によって撮像されない。
【0069】
また、支持手段120の起点は、隣接する撮像手段111の画角線Gの交点に設ける必要があり、支持手段120と撮像ユニット110との結合点は、隣接する撮像手段111の死角領域内であれば任意の箇所に結合することができる。
【0070】
また本実施の形態では、撮像ユニット110を直方体形状で説明したが、直方体形状以外にも円柱形状や、その他の形状で形成することができる。この場合にも、支持手段120と撮像ユニット110との結合点は、隣接する撮像手段111の死角領域内であれば任意の箇所に結合することができる。
【0071】
図5は、部屋に全方向撮像装置を設置した状態を示す斜視図である。
図5に示すように、部屋200の角部K1、K2、K3、K4を起点として支持手段120が撮像ユニット110に結合されている。
【0072】
このように撮像ユニット110は4箇所の角部K1、K2、K3、K4から支持手段120によって支持されるため、撮像ユニット110が傾くことなく安定して部屋200内の全方向を撮像することができる。
【0073】
また支持手段120が撮像ユニット110をすることで、撮像ユニット110の支持者が不要になり、撮像ユニット110が撮像する撮像領域に撮影者が侵入することなく部屋200内の全方向を撮像することができる。
【0074】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の全方向撮像装置は、撮像する空間が異なる以外は、第1の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0075】
図6は、第2の実施の形態に係る全方向撮像装置の設置例を示す斜視図である。
図6に示すように全方向撮像装置100は、周囲全方向を撮像するための撮像ユニット110、および撮像ユニット110を特定の位置に支持するための支持手段120を備えている。
【0076】
第2の実施の形態では、全方向撮像装置100が狭長空間であるトンネル210内に複数設置され、トンネル210内に設置された複数の全方向撮像装置100からトンネル210の内部を全方向撮像する例として説明する。
【0077】
全方向撮像装置100は、図6の左側から右側に向けて形成されたトンネル210内に所定の間隔で設置され、支持手段120によってトンネル210内の壁面から撮像ユニット110が所定の間隔で吊るされている。
【0078】
トンネル210の左側入り口には、全方向撮像装置100Aが設置され、全方向撮像装置100Aの左側に向けられた撮像手段111の撮像領域がトンネル210の左側入り口が撮像可能な撮像領域に設置される。
【0079】
また全方向撮像装置100Aの右側、つまりトンネル210の内部側には全方向撮像装置100Bが設置される。このとき、全方向撮像装置100Aの背面側、上面側、正面側、および底面側に向けられた撮像手段111の撮像領域と、全方向撮像装置100Bの左側に向けられた撮像手段111の背面側、上面側、正面側、および底面側に向けられた撮像手段111の撮像領域とが重ならないように設置される。
【0080】
なお、画角線Gの交点に設けられる支持手段120の起点においては、全方向撮像装置100Aの右背面側の支持手段120の起点と、全方向撮像装置100Bの左背面側の支持手段120の起点とが重なるように、また全方向撮像装置100Aの右正面側の支持手段120の起点と、全方向撮像装置100Bの左正面側の支持手段120の起点とが重なるようにして全方向撮像装置100Aおよび全方向撮像装置100Bを設置するとよい。
【0081】
これにより、全方向撮像装置100Aと全方向撮像装置100Bとの撮像領域が重ならず、かつ全方向撮像装置100Aと全方向撮像装置100Aとの撮像領域が密接し、トンネル210内全体を撮像することができる。
【0082】
全方向撮像装置100C以降も全方向撮像装置100Bと同様に、隣接される全方向撮像装置100と撮像領域が重ならず、また撮像領域が密接する位置でそれぞれの全方向撮像装置100を設置する。
【0083】
トンネル210の右側出口には、全方向撮像装置100Zが設置され、全方向撮像装置100Aの右側に向けられた撮像手段111の撮像領域がトンネル210の右側出口が撮像可能な撮像領域に設置される。
【0084】
以上のように、トンネル210のような狭長空間であっても、狭長空間内に全方向撮像装置100を複数設置することで、狭長空間内部における全方向の映像を全方向撮像装置100で撮像することができる。
【0085】
なお、本実施の形態の全方向撮像装置100の場合、たとえばトンネル210の入り口または出口に設置される全方向撮像装置100のトンネル210内部側に向けられた撮像手段111、トンネル210の入り口または出口を除く内部に設置される全方向撮像装置100の左側および右側に向けられた撮像手段111は、映像を出力する際に必要ないため省略することもできる。
【0086】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態の全方向撮像装置は、支持手段の支持方法が異なる以外は、第1の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0087】
図7は、第3の実施の形態に係る全方向撮像装置を示す上面図である。
図7に示すように全方向撮像装置100は、周囲全方向を撮像するための撮像ユニット110、および撮像ユニット110を特定の位置に支持するための支持手段120を備えている。
【0088】
第3の実施の形態では、全方向撮像装置100が直方体形状の部屋200内に設置され、部屋200内に設置された全方向撮像装置100から部屋200の内部を全方向撮像する例として説明する。
【0089】
撮像ユニット110は、正面方向、背面方向、右側方向、左側方向、上面方向、および底面方向に向けられた撮像手段111と撮像手段111を収容する筐体112を備えている。
【0090】
撮像手段111は、たとえばイメージセンサー111Aと広角レンズ111Bとを備えたビデオカメラであって、撮像手段111が撮像する画角線Gが部屋200の角部Kとは異なる起点P1、P2、P3、およびP4と交わるように設定されている。
【0091】
撮像手段111は筐体112内で正面方向、背面方向、右側方向、左側方向、上面方向、および底面方向に向けられ、各撮像手段111の画角線Gが部屋200の角部Kとは異なる起点P1、P2、P3、およびP4と交わるように設定されることで、部屋200内の全方向を撮像することができる。
【0092】
具体的には、図1の上面図に示すように、撮像ユニット110が有する撮像手段111−1は部屋200の右側方向に向けられて設置されており、撮像手段111−1は水平方向に部屋200内の起点P1から起点P2までの撮像領域で撮像することができる。
【0093】
同様に、部屋200の背面方向に向けられた撮像手段111−2は、部屋200内の起点P2から起点P3までの撮像領域で撮像することができ、部屋200の左側方向に向けられた撮像手段111−3は、部屋200内の起点P3から起点P4までの撮像領域で撮像することができ、部屋200の正面方向に向けられた撮像手段111−4は、部屋200内の起点P4から起点P1までの撮像領域で撮像することができる。
【0094】
さらに同様に撮像ユニット110が有する上面方向および底面方向に向けられた撮像手段111によって撮像か可能な撮像領域を加えることで、全方向撮像装置100は部屋200内の全方向を撮像することができる。
【0095】
支持手段120は、たとえば撮像ユニット110を支持する十分な強度を備えたワイヤーであって、部屋200内の起点P1、P2、P3、およびP4から対応する撮像ユニット110の上面部にそれぞれが結合されている。
【0096】
支持手段120と撮像ユニット110との結合点は、撮像ユニット110が有するそれぞれの撮像手段111が撮像する撮像領域の死角領域に設けられる。これにより、支持手段120は撮像手段111によって撮像されない。
【0097】
具体的には、部屋200の右側方向に向けられた撮像手段111−1の画角線Gと部屋200の背面方向に向けられた撮像手段111−2の画角線Gとの交点である起点P2は、部屋200の背面方向の任意の位置に設けられる。
【0098】
図7に示すように、部屋200の背面方向のP1を起点として、撮像手段111−1および撮像手段111−2によって撮像されない死角領域(撮像手段111−1、P1、撮像手段111−2)の撮像領域に配設されて撮像ユニット110に支持手段120が結合される。
【0099】
これにより支持手段120は、撮像手段111−1および撮像手段111−2の死角領域(撮像手段111−1、P1、撮像手段111−2)に配置されるため、撮像手段111−1および撮像手段111−2によって撮像されない。
【0100】
同様に、部屋200の左側背面方向のP3を起点とした支持手段120は、背面方向に向けられた撮像手段111−2および左側方向に向けられた撮像手段111−3の死角領域(撮像手段111−2、P3、撮像手段111−3)に配設される。
【0101】
また、部屋200の左側正面方向のP4を起点とした支持手段120は、左側方向に向けられた撮像手段111−3および正面方向に向けられた撮像手段111−4の死角領域(撮像手段111−3、P4、撮像手段111−4)に配設される。
【0102】
また、部屋200の正面方向のP1を起点とした支持手段120は、正面方向に向けられた撮像手段111−4および右側方向に向けられた撮像手段111−1の死角領域(撮像手段111−4、P1、撮像手段111−1)に配設される。
【0103】
上記のように、全方向撮像装置100は、撮像ユニット110が有する撮像手段111が正面方向、背面方向、右側方向、左側方向、上面方向、および底面方向を撮像し、撮像ユニット110を撮像手段111の死角領域に配設された支持手段120で支持する。
全方向撮像装置100によると、撮像ユニット110は支持手段120を撮像領域に含むことなく全方向を撮像することができる。
【0104】
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態の全方向撮像装置は、支持手段の支持方法が異なる以外は、第1の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0105】
図8は、部屋に全方向撮像装置を設置した状態を示す斜視図である。
図8に示すように、部屋200の角部K1、K2、K3、K4、K5、K6、K7、K8を起点として支持手段120が撮像ユニット110に結合されている。
【0106】
このように撮像ユニット110は8箇所の角部K1、K2、K3、K4、K5、K6、K7、K8から支持手段120によって支持されるため、撮像ユニット110が傾くことなく安定して部屋200内の全方向を撮像することができる。
【0107】
また第1の実施の形態における全方向撮像装置100とは異なり、本実施の形態の全方向撮像装置100は支持手段120によって撮像ユニット110が部屋200の8方向により支持されている。これにより、撮像ユニット110がより安定した状態で全方向を撮像することができる。
【0108】
本実施の形態の全方向撮像装置100は、具体的に移動する空間を撮像する場合に有効である。たとえば部屋200の代わりに観覧車のゴンドラ内に全方向撮像装置100を設置する場合が挙げられる。
【0109】
第1の実施の形態における全方向撮像装置100では、支持手段120によって撮像ユニット110が吊られている状態なので、ゴンドラが移動したり揺れたりすると、これに伴い撮像ユニット110が大きく揺れてしまうことで、撮像ユニット110が撮像する映像も揺れてしまうことが考えられる。
【0110】
そこで本実施の形態の全方向撮像装置100では、撮像ユニット110を8箇所の角部から支持するので、たとえゴンドラが移動したり揺れたりしたとしても、8箇所の支持手段が撮像ユニット110の揺れを抑制することができ、撮像ユニット110が撮像する揺れを抑制することができる。
【0111】
〔第5の実施の形態〕
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。本実施の形態の全方向撮像装置は、撮像ユニットが移動すること以外は、第4の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第4の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0112】
図9は、第5の実施の形態に係る全方向撮像装置を示す上面図および側面図である。
図9に示すように全方向撮像装置100は、周囲全方向を撮像するための撮像ユニット110、撮像ユニット110を特定の位置に支持するための支持手段120、および撮像ユニット110を移動させるための撮像ユニット移動手段130を備えている。
【0113】
第5の実施の形態では、全方向撮像装置100が直方体形状の部屋200内に設置され、部屋200内に設置された全方向撮像装置100から部屋200の内部を全方向撮像する例として説明する。
【0114】
撮像ユニット移動手段130は、支持手段120によって支持される撮像ユニット110を移動させるためのものであって、たとえば撮像ユニット110に連結された支持手段120であるワイヤーの長さを調節可能にするワイヤー巻取り装置である。
【0115】
撮像ユニット移動手段130は、部屋200の角部に設けられた8箇所の支持手段120の起点にそれぞれ設けられ、撮像ユニット110に連結されたワイヤーの長さを、それぞれの撮像ユニット移動手段130が独立してワイヤーの長さを調節する。
【0116】
具体的には、角部K1に設けられた撮像ユニット移動手段130を駆動させて撮像ユニット110に連結されたワイヤーを巻き取ることで、撮像ユニット110はK1に近づく。
【0117】
これと同時に他の撮像ユニット移動手段130を駆動させて撮像ユニット110に連結されたワイヤーを緩めることで、各ワイヤーが破断することなく撮像ユニット110をK1に近づけることができる。
【0118】
このように支持手段120が連結された角部Kに、それぞれ独立して駆動する撮像ユニット移動手段130を設けることで、部屋200の内部で撮像ユニット110を自在に移動させることができる。
【0119】
このように撮像ユニット110を部屋200の内部で移動させながら、部屋200の全方向を撮像ユニット110が撮像することで、視聴者が部屋200の内部を移動しているかのような映像を撮像することができる。
【0120】
図10は、第5の実施の形態に係る全方向撮像装置における撮像ユニットが移動する様子を示す斜視図である。
図10に示すように、撮像ユニット移動手段130を駆動させることで、撮像ユニット110は任意の位置に移動することができる。
【0121】
なお、撮像ユニット移動手段130を駆動した場合、撮像ユニット110の移動と同時に撮像ユニット110が備える各撮像手段111のうち、隣り合う撮像手段111の画角線Gが1点で交わるように設定されなければならない。
【0122】
この場合、撮像ユニット110の移動位置によって各撮像手段111が有するイメージセンサー111Aと広角レンズ111Bとの焦点距離やレンズの向きを調節する必要がある。
【0123】
そこで全方向撮像装置100は、移動する撮像ユニット110の位置によって、隣り合う撮像手段111の画角線Gが1点で交わるように制御する図示しない制御手段140を備えることもできる。
【0124】
制御手段140は、たとえば撮像ユニット110の位置を撮像ユニット移動手段130の駆動するワイヤーの移動量から部屋200内の位置座標を算出し、その算出された位置座標から、各撮像手段のうち隣り合う撮像手段111の画角線Gが1点で交わるようにイメージセンサー111Aと広角レンズ111Bとの焦点距離やレンズの向きを調節する。
【0125】
これにより、撮像ユニット110が移動しても隣り合う撮像手段111の画角線Gが常に1点で交わり、その交点から支持手段120が撮像ユニット110を支持するため、全方向撮像装置100は死角領域内で支持手段120が撮像ユニット110を支持することができる。
【0126】
つまり撮像ユニット110が移動しても支持手段120が撮像ユニット110によって撮像されることなく、部屋200内の全方向を撮像することができ、カメラの支持物やカメラの操作者が映り込むことがなく、映像処理時間を低減させることができる。
【符号の説明】
【0127】
100 全方向撮像装置
110 撮像ユニット
111 撮像手段
111A イメージセンサー
111B 広角レンズ
112 筐体
120 支持手段
130 撮像ユニット移動手段
140 制御手段
200 部屋
210 トンネル
300 ネットワーク
400 映像出力装置
410 映像出力手段
G 画角線
K 角部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10