(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-145467(P2021-145467A)
(43)【公開日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】レベルスイッチ
(51)【国際特許分類】
H02P 25/04 20060101AFI20210827BHJP
H01H 9/54 20060101ALI20210827BHJP
【FI】
H02P25/04
H01H9/54 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-42657(P2020-42657)
(22)【出願日】2020年3月12日
(11)【特許番号】特許第6831139号(P6831139)
(45)【特許公報発行日】2021年2月17日
(71)【出願人】
【識別番号】514030056
【氏名又は名称】東和制電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101568
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 真一
(72)【発明者】
【氏名】福井 晋平
【テーマコード(参考)】
5G034
5H505
【Fターム(参考)】
5G034AB02
5H505AA30
5H505BB06
5H505BB10
5H505CC05
5H505DD01
5H505EE05
5H505EE60
5H505HA06
5H505HA07
5H505HB10
5H505JJ18
(57)【要約】
【課題】堆積物の検知時に、自殺回路を構成すること無く、モーターへの供給電圧を確実に且つ完全に遮断することが出来るレベルスイッチを提供する。
【解決手段】堆積物の存在により羽根5及びシャフト4Aの回転が拘束されると、モーター4はシャフト4Aを中心として自転し、スイッチ作動棒4Bはマイクロスイッチ6のアクチュエータ部6Aに押圧を加える。この押圧により、マイクロスイッチ6はON状態からOFF状態への移行を示す第2信号S2を遅延回路7に出力し、遅延回路7は第2信号S2の受信時より遅延時間αだけ経過した時点に於いて第3信号S3を出力する。制御回路9は、半導体素子10をON状態からOFF状態に切り替えさせるレベルの第4信号S4を半導体素子10に出力する。半導体素子10はOFF状態へとスイッチングし、モーター4の供給電圧を与える第1信号S1のモーター4への印加を確実・完全に遮断する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根拘束時に於けるシャフトを中心としたモーターの自転により前記モーターがON状態からOFF状態へと移行する最初の時点より所定の遅延時間だけ経過した時点に於いて、前記モーターに印加されている電源電圧を電気的に遮断する電子回路を
備えていることを特徴とする、レベルスイッチ。
【請求項2】
羽根を有するモーターのスイッチ作動棒がマイクロスイッチのアクチュエータ部に最初に当接した時点より所定の遅延時間だけ経過した時点に於いて、前記モーターに印加されている電源電圧を電気的に遮断する電子回路を
備えていることを特徴とする、レベルスイッチ。
【請求項3】
請求項2に記載のレベルスイッチであって、
前記所定の遅延時間は、前記モーターの回転速度及び前記マイクロスイッチ内の可動接点が一方の固定接点から対向する他方の固定接点へ移動するまでの距離に基づき設定される
ことを特徴とする、レベルスイッチ。
【請求項4】
シャフトの一端部に配設された羽根及び前記シャフトの他端部に対して併設されたスイッチ作動棒を有するモーターと、
スイッチ部と、
前記スイッチ部の出力端に接続された入力端を有する遅延回路と、
前記遅延回路の出力端に接続された入力端を有するモータードライバと
を備えており、
前記モータードライバを介して、前記モーター用の電源電圧が前記モーターに印加されており、
回転している前記羽根の拘束時に於ける前記シャフトを中心とした前記モーターの自転により前記スイッチ作動棒が前記スイッチ部をON状態からOFF状態へと移行させる最初の時点で、当該時点前は前記ON状態にあった前記スイッチ部が、前記OFF状態にあることを示す出力信号を前記遅延回路の前記入力端に出力し、
前記遅延回路は、前記スイッチ部からの前記出力信号の受信時より所定の遅延時間だけ経過した時点に於いて、ON状態にある前記モータードライバをOFF状態へと切り替えさせる制御信号を前記モータードライバの前記入力端に出力し、
前記モータードライバは、前記制御信号の受信に応じて、前記ON状態から前記OFF状態へとスイッチして、前記モーター用の電源電圧を遮断する
ことを特徴とする、レベルスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パドル式(回転式)のレベルスイッチの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロスイッチを備えた種々のレベルスイッチが提案されている(例えば、特許文献1,2を参照。)。
【0003】
パドル式(回転式)のレベルスイッチに於いては、粉体・粒体等の測定物乃至は堆積物が検出されたときにモーターの供給電源を瞬時に切る回路として、「自殺回路」が採用されている。ここで、
図1は、従来のパドル式(回転式)のレベルスイッチの自殺回路100Aの構成を模式的に示すブロック図である。尚、理解の便宜上、
図1の(b)は、モーター4の側面視を模式的に示している。モーター4のシャフト4Aの一端に設けられた、シャフト4Aと共にR方向に回転している平板状の羽根5が粉体等の測定物に当接して埋もれ始めると、羽根5の回転運動が上記測定物の存在によって拘束ないしは抑止される。他方で、モーター4には、商用電源2より供給電圧が依然として印加されている。このため、モーター4のシャフト4Aの回転の抑止に応じて、モーター4は、シャフト4Aを中心軸として、その周りを自転する。そのモーター4の自転の動きに連動して、羽根5とは反対側のモーター4の部分に付属・配設されているスイッチ作動棒4Bは、シャフト4Aを中心として円弧を描く様な軌道でD方向に動くこととなり、スイッチ作動棒4Bは、マイクロスイッチ6のアクチュエータ部6Aに当接して同部6Aを押すこととなる。斯かる圧力を受けて、マイクロスイッチ6は商用電源2からの電流を瞬時に遮断する。この様に、モーター4は、測定物の存在が検出されたときに、供給電源である商用電源2の回路系統を、マイクロスイッチ6内の機械的動作を通じて自ら閉路とすることで、自らの動作を瞬時に停止することとなる。そのため、レベルスイッチの電源供給回路は、上述の通り、自殺回路100Aと称されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−340655号公報
【特許文献2】実用新案登録第3224683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロスイッチとしては、その製造会社に応じて、種々の構成を有するものが市場に出回っている。そのため、或る種の構成を有するマイクロスイッチを使用する場合に於いて、測定物の検出時に、モーターのスイッチ作動棒がマイクロスイッチのアクチュエータ部を押す力又は距離によってはマイクロスイッチが瞬時に完全なOFF状態へとは移行せずに、マイクロスイッチがOFF状態とON状態との間を繰り返すという不安定動作が発生する場合がある。斯かる不安定動作の発生により、測定物の検出時に、電源電圧からモーターに流れる電流が完全に遮断されない状態が生じる。
【0006】
ここで、
図2は、その様なマイクロスイッチ6の不安定動作が生じる不安定領域USRを模式的に示す図である。
図2に於いて、測定物の検出前の段階では、モーターのスイッチ作動棒がアクチュエータ部に当接しておらず、マイクロスイッチ6のアクチュエータ部からの押圧Fは加わっていないために、一端が固定端T1に固定されている導電性引張バネ6Bの他端に固定されている可動接点T4は、一方の固定接点T2に電気的に接続されている。この状態に於いては、電源電圧からモーターに電流が流れており、モーターの羽根は回転している。それに対して、モーターの羽根の回転運動が制止されて測定物が検出された時点では、シャフトを中心としたモーターの自転に連動したスイッチ作動棒が瞬時にアクチュエータ部に当接して当該スイッチ作動棒はマイクロスイッチ6のアクチュエータ部を押して圧力Fをアクチュエータ部に加えることとなる。その結果、マイクロスイッチ6内の導電性引張バネ6Bは瞬時に変形して、可動接点T4は一方の固定接点T2から離れて対向する他方の固定接点T3に瞬時に移動する。
【0007】
しかし、マイクロスイッチ6の内部構成次第では、押圧Fが導電性引張バネ6Bに加えられても、可動接点T4は他方の固定接点T3まで完全に移動せずに、その途中の不安定領域USR内で、一方の固定接点T2から離れては一方の固定接点T2に接触するというOFF状態/ON状態の繰り返し動作(チャタリング)が生じる。この様なチャタリング現象が発生する場合、商用電源からモーターに供給される電圧も、完全にOFF状態とはならずに、供給電圧のOFF状態/ON状態の繰り返し状態が継続的に生じることとなる。その結果、可動接点T4及び一方の固定接点T2の摩耗が発生することもある。更には、導電性引張バネ6Bの可動接点T4が、マイクロスイッチ6を確実に押し込めていない不安定領域USR内で停止してしまう場合が生じる。この不安定領域USRの大小は、マイクロスイッチ6のロットに応じて変化する。斯かる場合には、一方の固定接点T2と可動接点T4との間でアークが継続的に発生し、結果的に、当該アークにより両接点T2,T4が摩耗することで、導通不具合に至ることがある。この問題点は、マイクロスイッチ内部の機械的なON/OFFスイッチング動作に応じてモーターが自らその電源電圧を遮断しようとする自殺回路に付随する不具合要因であると、言える。又、斯かる問題点は、マイクロスイッチに代えて、他のスイッチ部品を、例えばリレー又はフォトカプラの様なスイッチ部品を用いて同じく自殺回路を構成する場合に於いても、同様に生じる問題点である。
【0008】
(発明の目的)
この発明はその様な導通不具合の発生という問題点に鑑みて成されたものであり、その主目的は、使用するスイッチ部品(例:マイクロスイッチ)の構成・ロットの如何に拘らず、且つ、自殺回路を構成すること無く、測定物の検出時にモーターの供給電源を確実に且つ完全に切ることが出来るレベルスイッチを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主題に係るレベルスイッチは、羽根拘束時に於けるシャフトを中心としたモーターの自転により前記モーターがON状態からOFF状態へと移行する最初の時点より所定の遅延時間だけ経過した時点に於いて、前記モーターに印加されている電源電圧を電気的に遮断する電子回路を備えていることを特徴とする。
【0010】
以下、本発明の様々な具体化を、添付図面を基に、その効果・利点と共に、詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】従来のレベルスイッチの自殺回路の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図2】レベルスイッチで用いられるマイクロスイッチの不安定領域を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係るレベルスイッチの構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
<レベルスイッチの中核部>
本実施の形態に係るレベルスイッチは、自殺回路を構成すること無く、電子回路によって遅延回路を構成した上で当該レベルスイッチのモーターの供給電源のスイッチングを電気的に制御するものである。
【0013】
即ち、本レベルスイッチが有する「電子回路」は、羽根拘束時(堆積物検出時)に於けるシャフトを中心としたモーターの自転によりモーターがON状態からOFF状態へと移行する最初の時点より所定の遅延時間だけ経過した時点に於いて、モーターに印加されている電源電圧を電気的に遮断する機能を備えている。より具体的には、本「電子回路」は、羽根を有するモーターのスイッチ作動棒が、スイッチ部であるマイクロスイッチのアクチュエータ部に最初に当接した時点より所定の遅延時間だけ経過した時点に於いて、モーターに印加されている電源電圧を電気的に遮断する機能を備えている。ここで、「所定の遅延時間」は、例えば、マイクロスイッチをスイッチ部として用いる場合には、モーターの回転速度及びマイクロスイッチ内の可動接点が一方の固定接点から対向する他方の固定接点へ移動するまでの距離に基づき設定される。
【0014】
<レベルスイッチの構成>
図3は、本実施の形態に係るパドル式(回転式)のレベルスイッチ100の電気的構成を模式的に示すブロック図である。尚、理解の便宜上、
図3の(b)は、モーターの側面視を模式的に示している。
図3に於いて、R方向に回転する平板状の羽根5を有するモーター4の構成、マイクロスイッチ6の構成、及び、測定物(図示せず。)の検出時にモーター4の付属部品であるスイッチ作動棒4BがD方向に移動してマイクロスイッチ6のアクチュエータ部6Aに接触して押圧を加える動作は、
図1に示される対応する構成要素5,4,6,4A,4B,6Aと同一であり、既述した
図1に関する記載が援用される。
【0015】
レベルスイッチ100の電源1は、商用電源2と、商用電源2に接続された電圧発生回路3とより構成される。ここで、電圧発生回路3は、AC90V乃至AC264Vの範囲内の交流電圧を供給する商用電源2に対応可能な電子回路である。即ち、電圧発生回路3は、1)商用電源2の供給電圧をAC/DC変換した上で例えばDC5Vの直流電圧(第2レベルの直流電源電圧)を生成し、当該DC5Vの直流電圧を後述する各構成要素6,7,9に供給すると共に、2)商用電源2の供給電圧より例えばAC24Vの交流電圧(第1レベルの交流電源電圧)を生成した上で当該交流電圧を与える第1信号S1を後述する各構成要素10,4に供給する。尚、上記の直流電圧の値DC5V及び交流電圧の値AC24Vは一例であって、直流電圧の値及び交流電圧の値は、それぞれ、任意の値に設定される。
【0016】
マイクロスイッチ6は、一方で、電圧発生回路3より上記DC5Vの直流電圧を与えられる入力端子(入力端)を備えており、当該入力端子はマイクロスイッチ6内部の既述の一方の固定接点T2(
図2参照。)に接続されている。他方で、マイクロスイッチ6は、マイクロスイッチ6内部の固定端子T1(
図2参照。)に接続された出力端子(出力端)を有しており、当該出力端子より第2信号S2を出力する。
【0017】
レベルスイッチ100の中核部を成す遅延回路7は電子回路(IC)より成り、マイクロスイッチ6の上記出力端子に接続されて第2信号S2を受信する入力端子(入力端)、及び、第2信号S2の受信時に応じて当該受信時から所定の遅延時間αを経過した時点で、第2信号S2のレベルに対応したレベルを有する第3信号(制御信号)S3を出力する出力端子(出力端)を有している。ここで、所定の遅延時間αは、既述の通り、モーター4の回転速度及びマイクロスイッチ6内の可動接点T4(
図2参照。)が一方の固定接点T2から対向する他方の固定接点T3へ横移動するまでの距離に基づき算出された時間である。当該算出された時間は、予め、所定の遅延時間αとして、遅延回路7に設定されている。例えば、所定の遅延時間αは、0.05秒〜0.1秒に設定される。
【0018】
モータードライバ8は、半導体素子(スイッチ)10のスイッチング動作を制御する電子回路(IC)である制御回路9と、スイッチング素子として機能する半導体素子10とより成る。この内、制御回路9は、遅延回路7が出力する第3信号S3を受信する入力端子(入力端)、及び、制御信号としての第4信号S4を半導体素子10に出力する出力端子(出力端)を備えている。他方、半導体素子(スイッチ)10は、例えば双方向スイッチング素子であるトライアックより成る。半導体素子10は、電圧発生回路3に接続されてAC24Vの第1信号S1を受信する入力端子(入力端)、制御回路9に接続されて第4信号S4を受信する制御端子(制御端;ベース電極乃至はゲート電極)、及び、モーター4の入力端子に接続されてモーター4にAC24Vの第1信号S1を送信する出力端子(出力端)を有する。
【0019】
<レベルスイッチの動作・利点>
A 測定物非検出時の場合
この場合、モーター4のシャフト4A及び羽根5はR方向に回転しており、マイクロスイッチ6内の可動接点T4は一方の固定接点T2に機械的に当接した状態にある。このため、マイクロスイッチ6は、DC5Vのレベルを与える第2信号S2を遅延回路7に出力している。そして、遅延回路7は、半導体素子10をON状態に維持するレベルにある第3信号S3を、モータードライバ8に出力している。このため、半導体素子10はON状態にあるスイッチとして機能し、半導体素子10に印加されているAC24Vのレベルを与える第1信号S1をモーター4の入力端子に出力しており、モーター4のシャフト4A及び羽根5はR方向へ回転し続けている。
【0020】
B 測定物検出時の場合
この場合、モーター4の羽根5が測定物(堆積物)に接触することにより、R方向への羽根5及びシャフト4Aの回転は制止乃至は抑止される。このために、モーター4のスイッチ作動棒4Bは、瞬時にD方向へ移動してマイクロスイッチ6のアクチュエータ部6Aに当接して、押圧Fをアクチュエータ部6Aに加える。この押圧Fを受けて、マイクロスイッチ6内部の導電引張バネ6Bは瞬時に変形して、可動接点T4は瞬時に一方の固定接点T2より機械的に離れる。その当接のタイミングに応じて、マイクロスイッチ6は、瞬間的に、その入力端子に印加されているDC5Vの電圧がその出力端子に与えられない非導通状態を示すレベルの第2信号S2(具体的にはマイクロスイッチ6に流れる電流I=0A)(OFFレベルの出力信号)を、遅延回路7の入力端子に出力する。カウンタ機能を有する遅延回路7は、斯かるレベルの第2信号S2の受信タイミングに瞬時に応答して、当該受信時より遅延時間αが経過するのをカウントする動作を開始する。そして、遅延時間αが経過した時点に於いて、瞬時に、遅延回路7は、半導体素子10の状態をON状態からOFF状態へと変更させる制御レベル(具体的には電圧=0V)(切り替えレベル)を与える第3信号(制御信号)S3を、モータードライバ8の制御端子に印加する。この結果、半導体素子10は、その制御回路9の制御信号である第4信号S4に応じて、瞬時に、ON状態からOFF状態へとスイッチングして、電圧発生回路3とモーター4の入力端子間の回路を非導通状態とし、モーター4に印加されるAC24Vの供給電圧を遮断する。これにより、モーター4は確実に且つ完全にOFF状態となる。この様に、遅延回路7は、測定物検出時点に於いて瞬時にマイクロスイッチ6の出力端子より出力される第2信号S2の受信時から遅延時間αが経過する時点をカウントする状態に移行している。斯かる遅延時間αを設けることで、マイクロスイッチ6は、
図2の不安定領域USRで停止することなく、完全なOFF状態へと切り替わることが出来る。これにより、チャタリング或いはアークが継続して発生することが抑止されるため、チャタリング等の継続に起因したマイクロスイッチ6内の各接点の摩耗を確実に抑止することが出来る。そのため、遅延回路7及びモーター4の供給電源のスイッチとして機能するモータードライバ8より成る電子回路は、自殺回路を形成することなく、遅延時間αの経過後に確実且つ完全にモーター4に印加される電圧を遮断することとなる。尚、遅延回路7を設けることなく、マイクロスイッチ6の出力端子を直接にモータードライバ8の制御端子に接続してしまうと、半導体素子10はマイクロスイッチ6のチャタリングに応じてON/OFF状態の繰り返し動作を行ってしまい、自殺回路と同様の不具合が発生してしまう。その意味で、レベルスイッチ100の電子回路が遅延回路7を形成していることは、既述の問題点を克服する手段としては必須であると、言える。
【0021】
以上の記載より、本実施の形態に係るレベルスイッチ100は、以下の利点乃至は効果を奏する。
【0022】
ア レベルスイッチ100は、電子回路によってモーター4の供給電源のスイッチング及び遅延回路を形成しているので、従来の自殺回路を構成していない。そのため、レベルスイッチ100は、既述した自殺回路に付随する不具合を発生させることはなく、使用するマイクロスイッチの構成・ロットの如何に拘らず、常に測定物の検出時にモーターの供給電源を確実に且つ完全に切ることが出来る。そして、マイクロスイッチ6内の各接点の摩耗の発生を確実に抑止することが出来る。
【0023】
イ 従来のレベルスイッチに於いては、AC100V,AC200V、又はAC240Vという様に、モーターへの供給電圧の指定が必要となっている。その点、レベルスイッチ100は、電子回路より成る電圧発生回路3を用いて供給電圧を生成しているので、供給電圧の範囲を広く取れる設定になっており、実用上、AC90V〜AC264Vの電圧範囲で商用電源を使用することが出来る。
【0024】
(変形例)
(1)実施の形態1では、電圧発生回路3とモーター4の入力端子間にモータードライバ8が接続されていたが、これに代えて、モーター4の出力端子と電圧発生回路3間にモータードライバ8が接続乃至は配設されていても良い。実施の形態1に於けるモータードライバ8の配置のみならず、この変形例(1)に於けるモータードライバ8の配置をも含まれる意味で、モーター用の電源電圧は、スイッチング回路部として機能するモータードライバ8を介して、モーター4に印加されている。
【0025】
(2)実施の形態1では、マイクロスイッチ6がモーター4側の「スイッチ部」として採用されているが、マイクロスイッチ6に代わるモーター4側の「スイッチ部」として、例えばリレー又はフォトカプラの様な他のスイッチング部品を用いても良い。この様な変形例(2)に於いても、既述した実施の形態1の作用・利点と同様の作用・利点が得られる。
【0026】
(3)実施の形態1では、モータードライバ8内のスイッチング素子として半導体素子10が採用されているが、この半導体素子10に代えて、例えばリレー又はフォトカプラの様な他のスイッチング部品が採用されても良い。この場合に於いても、本変形例に係るモータードライバは実施の形態1に係るモータードライバ8と同様の作用・機能を奏し、その結果、実施の形態1と同様の利点が本変形例に於いても得られる。
【0027】
(付記)
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正及び/又は変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、例えば、粉体・粒体等の測定物の有無を検出するパドル式(回転式)のレベルスイッチに適用して好適である。
【符号の説明】
【0029】
100 レベルスイッチ
100A 自殺回路
1 電源
2 商用電源
3 電圧発生回路
4 モーター
4A シャフト(主軸)
4B スイッチ作動棒
5 羽根
6 マイクロスイッチ(スイッチ部)
6A アクチュエータ部
7 遅延回路
8 モータードライバ
α 遅延時間
9 制御回路(IC)
10 半導体素子(スイッチ)
【手続補正書】
【提出日】2020年10月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の主題に係るレベルスイッチは、羽根拘束時に於けるシャフトを中心としたモーターの自転により前記モーターがON状態からOFF状態へと移行する最初の時点より所定の遅延時間だけ経過した時点に於いて、前記モーターに印加されている電源電圧を電気的に遮断する電子回路を備えて
おり、前記電子回路は、前記電子回路の電気系統内に、 前記モーターがON状態からOFF状態へと移行する前記最初の時点を検出する一つのみのスイッチ部を備えており、前記電子回路は、前記電気系統内に於いて、前記一つのみのスイッチ部が出力する前記最初の時点の検出信号に応じて前記最初の時点より前記所定の遅延時間だけ電気的に遅延させた時点に於いて、前記モーターの前記電源電圧を電気的に遮断することを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根拘束時に於けるシャフトを中心としたモーターの自転により前記モーターがON状態からOFF状態へと移行する最初の時点より所定の遅延時間だけ経過した時点に於いて、前記モーターに印加されている電源電圧を電気的に遮断する電子回路を
備えており、
前記電子回路は、前記電子回路の電気系統内に、
前記モーターがON状態からOFF状態へと移行する前記最初の時点を検出する一つのみのスイッチ部を備えており、
前記電子回路は、前記電気系統内に於いて、前記一つのみのスイッチ部が出力する前記最初の時点の検出信号に応じて前記最初の時点より前記所定の遅延時間だけ電気的に遅延させた時点に於いて、前記モーターの前記電源電圧を電気的に遮断する
ことを特徴とする、レベルスイッチ。
【請求項2】
羽根を有するモーターのスイッチ作動棒がマイクロスイッチのアクチュエータ部に最初に当接した時点より所定の遅延時間だけ経過した時点に於いて、前記モーターに印加されている電源電圧を電気的に遮断する電子回路を
備えており、
前記電子回路は、前記電子回路の電気系統内に、
前記スイッチ作動棒の前記アクチュエータ部への前記最初の当接時点を検出する一つのみの前記マイクロスイッチを備えており、
前記電子回路は、前記電気系統内に於いて、前記一つのみのマイクロスイッチが出力する前記当接時点の検出信号に応じて前記当接時点より前記所定の遅延時間だけ電気的に遅延させた時点に於いて、前記モーターの前記電源電圧を電気的に遮断する
ことを特徴とする、レベルスイッチ。
【請求項3】
請求項2に記載のレベルスイッチであって、
前記所定の遅延時間は、前記モーターの回転速度及び前記一つのマイクロスイッチ内の可動接点が一方の固定接点から対向する他方の固定接点へ移動するまでの距離に基づき設定される
ことを特徴とする、レベルスイッチ。
【請求項4】
シャフトの一端部に配設された羽根及び前記シャフトの他端部に対して併設されたスイッチ作動棒を有するモーターと、
電子回路と
を備えたレベルスイッチであって、
前記電子回路は、前記電子回路の電気系統内に、
一つのみのスイッチ部と、
前記一つのみのスイッチ部の出力端に接続された入力端を有する遅延回路と、
前記遅延回路の出力端に接続された入力端を有するモータードライバと
を備えており、
前記モータードライバを介して、前記モーター用の電源電圧が前記モーターに印加されており、
回転している前記羽根の拘束時に於ける前記シャフトを中心とした前記モーターの自転により前記スイッチ作動棒が前記一つのみのスイッチ部をON状態からOFF状態へと移行させる最初の時点で、当該最初の時点前は前記ON状態にあった前記一つのみのスイッチ部が、前記OFF状態にあることを示す出力信号を前記遅延回路の前記入力端に出力し、
前記遅延回路は、前記一つのみのスイッチ部からの前記出力信号の受信時より所定の遅延時間だけ電気的に遅延させた時点に於いて、ON状態にある前記モータードライバをOFF状態へと切り替えさせる制御信号を前記モータードライバの前記入力端に出力し、
前記モータードライバは、前記制御信号の受信に応じて、前記ON状態から前記OFF状態へとスイッチして、前記モーター用の電源電圧を遮断する
ことを特徴とする、レベルスイッチ。