(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-145658(P2021-145658A)
(43)【公開日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】大福最中
(51)【国際特許分類】
A23G 3/34 20060101AFI20210830BHJP
【FI】
A23G3/34 106
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2020-66294(P2020-66294)
(22)【出願日】2020年3月13日
(71)【出願人】
【識別番号】505401919
【氏名又は名称】樋代 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】樋代 敏彦
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GE13
4B014GG18
4B014GL10
4B014GP27
(57)【要約】
【課題】 最中の皮の中に餡を餅で包んだ大福餅を包囲しても、長時間食感を損うことがない大福最中を提供する。
【解決手段】 大福最中1は、餡2aの外側を餅生地2bで被覆させ大福餅2の外側は最中3の皮3aで包囲している。大福餅2の餅生地2b及び餡2aの糖度は66度〜73度(Brix糖度)としている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
餡の外側を餅生地で被覆させ大福餅の外側を最中の皮で包囲した大福最中であって、
前記大福餅の餅生地及び餡の糖度を66度〜73度(Brix糖度)としたことを特徴とする大福最中。
【請求項2】
前記餅生地は、ショ糖にトレハロースや水飴を添加し、甘味を抑制して糖度を調整してなる請求項1に記載の大福最中。
【請求項3】
前記大福餅の餅生地の外面と、前記最中の皮の内面との間を隙間なく接触させた請求項1に記載の大福最中。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大福餅の外側を最中の皮で包囲した大福最中に関する。
【背景技術】
【0002】
和菓子として、餡を餅で包んだ大福餅、皮の中に餡をいれた最中は古くから多くの人々に好んで食されてきた。一方、餡と餅の食感に最中の皮の食感を加えて新たな食感を求める人々も現れてきた。そこで、実開昭56−35290号公報に示すような、板状やサイコロ状の餅を餡で包み、その表面を最中の皮で挟んだ最中が提案されている。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56−35290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された最中は、あんころ餅の食感に、最中の食感を併せ持っている。しかしながら、最中の中に入れた餅は、時間の経過と共に硬くなり、食感が損なわれ、しかも最中自身の日持ちがしない問題があった。また、最中の中に水分を含む餡を入れることから、餡の水分が最中の皮に移行して、最中の皮が柔らかくなり、パリパリとした食感が損なわれる問題があった。さらに、餅を餡で包むことから、餅が餡の中で移動するため、餅の無い部分を食べることがあり、食べる人の期待に添えないことがあった。
【0005】
本発明の課題は、最中の皮の中に餡を餅で包んだ大福餅を包囲しても、長時間食感を損うことがない大福最中を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による大福最中は、餡の外側を餅生地で被覆させ大福餅の外側を最中の皮で包囲した大福最中であって、前記大福餅の餅生地及び餡の糖度を66度〜73度(Brix糖度)としたことを要旨としている。
【0007】
また、前記餅生地は、ショ糖にトレハロースや水飴を添加し、甘味を抑制して糖度を調整することが好ましい。
【0008】
さらに、前記大福餅の餅生地の外面と、前記最中の皮の内面との間を隙間なく接触させるようにしている。
【発明の効果】
【0009】
本発明による大福最中は、餅生地及び餡の糖度を66度〜73度(Brix糖度)としているので、餡の外側を被覆させた餅生地の水分が、最中の皮へ移行することを大幅に減少させることができ、この結果、時間が経過しても最中の皮のパリパリ感を長時間継続させることができる。また、餅生地も長時間柔軟性を保持することができ、大福餅としての食感を継続させることができる。
【0010】
また、餅生地に、甘味が比較的強いショ糖の他に、トレハロースや水飴を添加することにより、糖度が66度〜73度(Brix糖度)と高くても、甘味を抑制した適度の糖度に調整することが可能となる。
【0011】
さらに、大福餅の餅生地の外面と、最中の皮の内面との間を隙間なく接触させることにより、隙間内の空気による乾燥や、空気内の細菌による腐敗を防止することができ、これにより、大福最中の日持ちを長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による大福最中を示す半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による大福最中は、餡の外側を餅生地で被覆させ大福餅の外側を最中の皮で包囲した大福最中であって、前記大福餅の餅生地及び餡の糖度を66度〜73度(Brix糖度)としている。
【0014】
以下、本発明による大福最中について詳細に説明する。
図1は、大福最中の実施例を示し、大福最中1は、大福餅2の外側が最中3の皮3aで包囲されている。大福餅2は、
図3に示すように、例えば、小豆やいんげん等の豆類、カボチャ等の野菜、或いは、クリーム類からなる餡2aの外側に、餅生地2bが被覆さされている。この大福餅2の餅生地2bは、最中3の皮3aで包囲されている。
【0015】
大福餅2の餡2a、及び、餅生地2bは糖度を66度〜73度(Brix糖度)の範囲内に調整されている。このように、餡2a及び餅生地2bの糖度を所定範囲にするために、餡2a及び餅生地2bには、ショ糖(主に甘みを感じる糖、砂糖の成分のほぼ97%を占める)以外に、トレハロース(砂糖の約45%の甘みを持つ)や、液糖(水飴)、白あんからなる糖を配合している。
【0016】
餅生地2bは、例えば、餅粉に対して17〜25w/w%のトレハロース、餅粉に対して77〜83w/w%のショ糖、及び、65〜76w/w%の白あんを配合することにより、餅生地2bの糖度を66度〜73度(Brix糖度)に調整することができる。また、餡2aは、例えば小豆の餡の場合は、小豆に対して77〜85w/w%のショ糖、17〜25w/w%のトレハロース、6〜13w/w%の液糖を配合することにより、餡2aの糖度を66度〜73度(Brix糖度)まで調整することができる。なお、餡2aとしては、小豆以外に、栗餡、ヨモギ餡、チョコレート餡、ミルク餡などであっても同様に、ショ糖の他に、トレハロース等を配合して糖度を66度〜73度(Brix糖度)に調整する。
【0017】
このように、餡2a及び餅生地2bの糖度を66度〜73度(Brix糖度)としているが、糖度が66度(Brix糖度)以下に調整した場合には、最中3の皮3aへの水分移行が発生し、パリパリ感が失われ、軟化してする。一方、糖度を73度(Brix糖度)以上とした場合には、餡2a及び餅生地2bにおけるショ糖やトレハロースの配合量が多くなることにより、餡、餅としての本来の味覚や食感が失われる。すなわち、糖度を上述したように調整することによって、大福餅としての味覚や食感を維持しながら、最中3の皮3aへの水分移行を防ぐことが可能な範囲である。
【0018】
そして、糖度を66度〜73度(Brix糖度)に調整された餡2aの外側に、同様に糖度を66度〜73度(Brix糖度)に調整された餅生地2bを、一般に使われる手段により、被覆することにより、例えば、円形状の一般的な形状の大福餅2が作られる。この大福餅2は、餅生地2bが所定の糖度に調整されているので、時間が経過しても、硬くならず、柔軟性を保つことができる。さらに、餡2aも同じ糖度に調整されておりので、餡2aの水分が餅生地2bに移行することが阻止されるので、一定の柔軟性を維持させることが可能となる。
【0019】
一方、最中3の皮3aは、一般に市販の皮が使用される。この皮3aは、周知のように、皿形に形成され、
図2に示すように、2個の皮の開口を合わせることにより内部に空間が形成される。そして、この皮3aの一方に大福餅2を入れ、その上から他方の皮3aを被せることにより、大福最中1が完成する。このとき、大福餅2の体積は、最中3の皮3aの空間の容積と同じかやや大きくしている。また、大福餅2は柔軟に変形することから、最中3の皮3aの空間の形状に変形する。この結果、大福餅2の餅生地2bの外面が最中3の皮3aの内面に隙間無く接触される。このように、隙間を無くすことにより、隙間内の空気による乾燥が防止されるとともに、空気内の細菌による腐敗を未然に防止することができ、大福最中の日持ちを長くすることができる。
【0020】
以上説明した大福最中において、大福餅2の柔らかい食感を保つために、トレハロースを配合することにより、餅が時間とともに硬くなるのを抑制する効果がある。また、餅生地2bの餅粉に対して、約1〜2w/w%の酵素を配合することにより、餅生地2bが時間の経過と共に硬くなるのを妨げる効果がある。これにより餅生地2bは作りたての食感が維持される。
【0021】
次に、大福最中1の製造過程に一例を説明する。大福最中は、まず、包餡機を用いて餅生地2bで餡2aを包み大福餅2を製造する。この大福餅2の製造は、職人の手により製造することもできる。ここで、包餡機を用いる利点としては、餡2aが餅生地2bの中心に位置すること、餅生地2bの厚みを均一にすることができること、薄い餅生地2bの大福ができること、及び、大量生産が可能なことである。このように製造された大福餅2は、最中3の皮3aで包囲する。なお、完成した大福最中1を梱包する際には、脱酸素剤を入れた個包装とすることが望ましい。
【符号の説明】
【0022】
1 大福最中
2 大福餅
2a 餡
2b 餅生地
3 最中
3a 皮