【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は、請求項1に記載の方法および請求項13に記載の飲料ディスペンサにより達成される。
【0010】
本発明は、飲料ディスペンサの動作を制御する方法において、水レシピを複数の水レシピから選択するステップであって、各水レシピは水に溶解されるべきミネラルの設定濃度を定義するのであって、水は水レシピに基づいてミネラル化装置によりミネラル/イオンを添加することによりミネラル化されるステップを備える。本方法は、水レシピに従ってミネラル化装置によりミネラル化されるべき水のユーザにより調整可能な性質を調整することがユーザに可能になっているか否かを検証するのであって、ユーザにより調整可能な性質は、ミネラル化されるべき水の少なくとも1つの設定温度と、ミネラル化されるべき水の設定炭酸度とを有する。本方法は、ユーザにより調整可能な性質に従って少なくとも1つの水調製部材により水を調製する。本方法は、ユーザにより調整可能な性質に従ってミネラル化された水をユーザ容器に出力する。
【0011】
本方法は、ミネラル化されるべき水の設定温度を所定温度範囲に、設定温度を所定温度範囲内に適合することがユーザに可能になっている場合、適合させる温度ユーザインタフェース要素をディスプレイ上で動作させるステップをさらに備える。その代わりに、またはそれに加えて、本方法は、ミネラル化されるべき水の設定炭酸度を所定CO
2濃度範囲に、設定炭酸度を所定CO
2濃度範囲内に適合することがユーザに可能になっている場合、適合させる炭酸度ユーザインタフェース要素をディスプレイ上で動作させるステップを備える。設定ミネラル濃度は1つまたは複数のイオン、ミネラルおよび/または微量元素の濃度を含んでよい。水レシピは自動で選択されてよく、またはユーザにより選択されてよい。
【0012】
水は、少なくとも1つの水調製部材またはミネラル化装置により調製される前に濾過または脱イオン化などされてよい。
【0013】
水調製部材は調節装置を有する。本方法は、水をユーザ容器に出力する前に、水の実温度が設定温度についての所定範囲内にあるように調節装置により水を調節するステップを備える。
【0014】
水調製部材は炭酸化装置を有する。本方法は、水をユーザ容器に出力する前に、水の実炭酸度が設定炭酸度についての所定範囲内にあるように炭酸化装置により水を炭酸化するステップをさらに備える。水は二酸化炭素(CO
2)を添加することにより炭酸化されてよい。
【0015】
1つの実施形態において、水レシピのミネラル化は水レシピの目的、言い換えると、水消費の目的により決定される。水レシピの目的および/または水消費の目的は、人のためのリフレッシュメント、人のためのミネラル補充、食事との提供、朝食、調理、茶を淹れる、コーヒーを淹れる、妊娠時、哺乳、授乳、白ワインとの提供、赤ワインとの提供、蒸留酒との提供、蒸留酒を割る、などを含んでよい。
【0016】
飲用目的に基づいて、水レシピは独自のミネラル濃度を有してよい。ミネラル濃度は水の最高設定温度を決定してよい。水の最高設定温度は、ユーザが温度を適合させてよい温度範囲を決定する。温度が高すぎる場合、ミネラルは水ディスペンサ内で流出(沈殿)する場合があり、ユーザは所望の飲料を受け取らない場合がある。また、水ディスペンサの部材が損傷する場合がある。設定温度が低すぎる場合、水の冷却に時間がかかり過ぎる場合がある。
【0017】
その他方で、朝食の水、赤ワインとの提供用の水、調理用の水、コーヒーを淹れるための水および/または茶を淹れるための水は炭酸化されてはならない。この場合、炭酸度を適合させるユーザインタフェース要素は動作されないか、または表示されない。
【0018】
高設定温度が選択された場合、高CO
2濃度を達成することができないのは、高温では水には低減されたCO
2量しか溶解できないからである。他方、高CO
2濃度が選択された場合、より低い設定温度範囲のみが可能である。
【0019】
言い換えると、本方法は所定CO
2濃度範囲を、水レシピおよび/または設定炭酸度により規定されるミネラル化の関数として決定できる。本方法は所定温度範囲を、水レシピおよび/または設定炭酸度により規定されるミネラル化に基づいて決定できる。これらのステップにより、ユーザには再現性を有する飲料が供給され、言い換えると、ユーザにユーザが期待する風味を有する個別化された飲料が供給されることが確実になる。また、ミネラルの水ディスペンサ内での流出(沈殿)とともに水ディスペンサの損傷を防ぐことができる。
【0020】
水レシピに基づいてミネラル化される水の性質を調整することがユーザに可能になっているか否かを検証するステップは、水レシピによりミネラル化されるべき水の設定ミネラル濃度により、設定温度を調整することがユーザに可能になっているか否かを検証するステップおよび/またはミネラル化装置により添加されるべきミネラルの少なくとも1つの量および種類に応じてユーザが設定温度を適合可能な所定温度範囲を決定するステップと、を備えてよい。検証ステップは、流出(沈殿)がミネラル化により導入されるミネラルにより生じないことを確実にすることができる。これにより、水ディスペンサの損傷を回避することができる。また、ユーザには再現可能なミネラル濃度を有する飲料が供給される。所定温度範囲を決定するステップは、ミネラル化により導入されるミネラルの流出が生じないことを考慮してよい。またこれにより、飲料ディスペンサの損傷を回避することができ、ユーザには再現可能にミネラル化された飲料および/またはミネラル化された飲料が供給される。
【0021】
本方法は、設定温度を所定温度範囲内に、水レシピによりミネラル化されるべき水の設定ミネラル濃度により設定温度を調整することがユーザに可能になっている場合、修正させる温度ユーザインタフェース要素を動作させるステップも備える。これで、ユーザは設定温度を自身の好みに従って所定設定温度範囲内に調整することが可能となる。これにより、水ディスペンサの損傷を回避することができ、ユーザには再現可能にミネラル濃度、したがって再現可能な風味を有する飲料が供給されることが確実になる。
【0022】
水レシピに基づいてミネラル化される水の性質を調整することがユーザに可能になっているか否かを検証するステップは、水レシピによりミネラル化されるべき水の設定ミネラル濃度により、設定炭酸度を調整することが可能になっているか否かを検証するステップおよび/またはミネラル化に応じてユーザが設定炭酸度を適合可能な所定CO
2濃度範囲を決定するステップと、を備えてよい。設定ミネラル濃度が朝食用の水、赤ワインとの提供、茶を淹れる、コーヒーを淹れるおよび/または調理用を飲用目的として選択された場合、CO
2は水に添加されてはならない。そのような場合、炭酸度ユーザインタフェースは動作されないか、または表示されない。
【0023】
本方法は、設定炭酸度を所定CO
2濃度範囲に、水レシピによりミネラル化されるべき水の設定ミネラル濃度により設定炭酸度を調整することが可能になっている場合、修正させる炭酸度ユーザインタフェース要素を動作させるステップも備える。水レシピに基づいてミネラル化されるべき水の性質を調整することがユーザに可能になっているか否かを検証するステップは、ユーザにより選択される設定炭酸度により、ミネラル化されるべき水の温度を調整することが可能になっているか否かを検証するステップと、設定炭酸度に応じてユーザが設定温度を適合可能な所定温度範囲を決定するステップとを備えてよい。より高い温度を有する水はより低い炭酸度でのみCO
2を溶解させることができる。水の実温度が閾値を超えて上昇させられる場合、CO
2は水から流出してしまう場合があり、これはユーザおよび飲料ディスペンサの寿命にとって望ましくない。
【0024】
水レシピに基づいてミネラル化されるべき水の性質を調整することがユーザに可能になっているか否かを検証するステップは、ユーザにより選択される設定温度により、ミネラル化されるべき水の炭酸度を調整することが可能になっているか否かを検証するステップと、設定温度に応じてユーザが設定炭酸度を適合可能な所定CO
2濃度範囲を決定するステップとを備えてよい。水の温度が高いほど、水に溶解できるCO
2濃度が低くなる。これらのステップは、ユーザに再現可能な飲料が供給されることを確実にし、飲料ディスペンサの損傷を回避することを確実にする。
【0025】
水レシピに基づいてミネラル化される水の性質を調整することがユーザに可能になっているか否かを検証するステップは、設定温度が所定温度よりも高い場合、ミネラル化装置のイオンがそれぞれ沈殿または流出する可能性があるか否かを決定するステップを備えてよい。水から沈殿するイオンは水ディスペンサとその部材を損傷する場合があり、ユーザに不適なミネラル化を有する飲料が供給されることの原因となる場合がある。その代わりに、またはそれに加えて、水レシピに基づいてミネラル化される水の性質を調整することがユーザに可能になっているか否かを検証するステップは、設定温度が所定温度よりも高い場合、炭酸化装置により添加されるCO
2が水から流出する可能性があるか否かを決定するステップを備えてよい。CO
2を流出させると水ディスペンサとその部材を損傷させる場合があり、ユーザに低すぎるCO
2濃度を有する飲料が供給されることの原因となる場合がある。水レシピに基づいてミネラル化される水の性質を調整することがユーザに可能になっているか否かを検証するステップは、設定温度が所定温度よりも高い場合、ミネラル化装置により添加されるイオンが飲料ディスペンサの少なくとも1つの構成要素を損傷させる可能性があるか否かを決定するステップを備えてよい。設定温度が所定温度よりも高い場合、飲料に溶解するイオンは飲料ディスペンサの部材、例えば封止材、導管または飲料調製部材などと反応する場合がある。これにより、水ディスペンサまたはその部材の損傷が発生する場合がある。
【0026】
「所定温度範囲」および「所定CO
2濃度範囲」の用語は、本方法は所定温度範囲および/または所定CO
2濃度範囲を個別に算出することと解釈される必要はない。
【0027】
1つの実施形態において、本方法は、デフォルト温度範囲を所定温度範囲として、かつ/またはデフォルトCO
2濃度範囲を所定CO
2濃度範囲として表示してよい。デフォルト温度範囲は最高温度範囲であってよく、かつ/またはデフォルトCO
2濃度範囲は最大CO
2濃度範囲であってよい。この実施形態において、本方法は、使用により設定温度がCO
2を添加できない値まで上昇する場合、設定炭酸度量を所定値(例えばCO
2無添加など)にリセットしてよい。また、本方法は、使用により設定炭酸度量が設定温度でCO
2を添加できない値まで上昇する場合、設定温度を所定値(例えば低い温度など)にリセットしてよい。
【0028】
また、本発明は、水源と結合されるインレットと、水源から汲み取られる水を濾過するフィルタと、濾過水をミネラル化するミネラル化装置と、濾過水を調節する調節装置と、濾過水を炭酸化する炭酸化装置と、水をユーザ容器に出力するアウトレットと、ディスプレイと、を備える飲料ディスペンサを開示する。インレット、フィルタ、ミネラル化装置およびアウトレットは直列フロー関係で配置されてよい。調節装置および炭酸化装置は、フィルタとミネラル化装置との間に配置されてよい。フィルタは脱イオン装置、例えば逆浸透フィルタであってよい。
【0029】
本発明に係る飲料装置は、上記方法による、ミネラル化装置、調節装置、炭酸化装置およびディスプレイのうちの少なくとも1つを制御するように構成される制御部を備えてよい。これにより、飲料ディスペンサとその部材の損傷を回避することができ、ユーザには再現可能なミネラル化、したがって風味を有する飲料が供給される。
【0030】
炭酸化装置はフロー型炭酸化装置であってよく、かつ/または調節装置はフロー型調節装置であってよく、かつ/またはミネラル化装置はフロー型ミネラル化装置であってよい。炭酸化装置、調節装置、およびミネラル化装置がフロー型装置であるため、これらの装置間での水または飲料の滞留が発生する場合はない。これにより飲料ディスペンサは、選択されるミネラル化、選択される温度および/または選択される炭酸度を有する、ユーザにより選択される水または飲料を調製することが可能となる。
【0031】
ミネラル化装置、調節装置、炭酸化装置およびアウトレットを通る流量は飲料調製時において等しい。このようにして、フィルタの下流で滞留が発生しない。このことは、ユーザが飲料を個別に選択でき、飲料、例えば水のパラメータを個別に適合させることができるという有利な点を有する。