【課題】宿泊施設で使用されている寝具のうち、掛け布団や敷き布団のシーツは、ユーザが使用した後に、従業員が新たなシーツに交換する必要性に対し、従業員の労力や手間を削減した休息システムを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0011】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0012】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、電圧・電流といった信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0013】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0014】
1.全体構成
1.1 休息システム1
本節では、本実施形態に係る休息システム1の全体構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る休息システム1のハードウェア構成を示す概要図である。
図1に示されるように、ユーザが休息(仮眠等を含む概念)するための休息システム1は、寝具2を備える。さらに休息システム1は、制御装置3と、駆動機構4と、清掃部5とを備える。以下各構成要素についてさらに詳述する。
【0015】
1.2 寝具2
寝具2は、敷布団、ベッドマット、掛け布団といったユーザが休息する上で使用する一般的な寝具である。
図2は、寝具2の具体的なハードウェア構成を示す概要図である。
図2に示されるように、寝具2は、第1の寝具21と第2の寝具22とを備える。ここでは、第1の寝具21は、ユーザが休息する際にユーザの下面に位置する敷布団に相当し、第2の寝具22は、ユーザが休息する際にユーザの上面に位置する掛け布団に相当する。第1の寝具21及び第2の寝具22は、互いに対向し、第1の寝具21と第2の寝具22との間に休息空間2sが形成される。休息空間2sは、ユーザが配置される空間である。
図2に示されるように、本実施形態では、休息空間2sが第1の寝具21及び第2の寝具22の外部に位置している。
【0016】
特に、本実施形態に係る寝具2(第1の寝具21及び第2の寝具22)は、筒状に構成され、回転することで、ユーザとの対向面211,221を変更するように構成されることに留意されたい。一般的に宿泊施設においては、ユーザの使用ごとに寝具2の一部(例えばシーツ等)を取り替える必要があるが、本実施形態に係る寝具2は、回転することで対向面211,212を変更し、次に使用するユーザにとって清潔な寝具2を提供することができる。
【0017】
換言すると、ユーザは、第1のユーザと、第2のユーザとを含む。ここで第1のユーザは、寝具2を使用するユーザで、第2のユーザは、第1のユーザの次に寝具2を使用するユーザである。寝具2は、第1のユーザが使用を終了してから第2のユーザが使用を開始するまでの間に回転する。このような構成によって、次に使用するユーザに清潔な寝具2を提供することができる。
【0018】
寝具2の回転量については、特に限定されるものではないが、ユーザの平均的な体格を考慮し、第1のユーザに対する対向面211,221と第2のユーザに対する対向面211,221とが0.5m以上異なるように、寝具2が回転することが好ましい。具体的には例えば、(回転の移動量)=0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5,4.6,4.7,4.8,4.9,5mであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。さらに、休息システム1では、ユーザと寝具2の接触面積に基づいて、寝具2の回転量が決定されることが好ましい。例えば、体格の大きいユーザや寝返りの激しいユーザに対しては、接触面積が大きくなるため、その分回転量が大きく決定されればよい。接触面積の判定については、不図示のセンサ(圧力センサ、温度センサ、加速度センサ、ビジョンセンサ等)によって実施すればよい。また、接触面積に限らず、休息空間2sにおいてユーザが休息しているか、あるいは休息空間2sにおいてユーザが不在であるか、についても同様の手法で判定可能に実施することが好ましい。
【0019】
1.3 制御装置3
図3は、制御装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。制御装置3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有し、これらの構成要素が制御装置3の内部において通信バス30を介して電気的に接続されている。以下、各構成要素についてさらに説明する。
【0020】
通信部31は、USB、IEEE1394、Thunderbolt、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、LTE/3G等のモバイル通信、Bluetooth(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。特に、後述の駆動機構4及び清掃部5と所定の通信規格によって通信可能に構成されることが好ましい。
【0021】
記憶部32は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えばソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。また、これらの組合せであってもよい。特に、記憶部32は、受付部331が受け付けた予定時刻を記憶する(詳細は後述)。また、記憶部32は、受付プログラム、駆動制御プログラム、清掃制御プログラムを記憶する。また、記憶部32は、これ以外にも制御部33によって実行される制御装置3に係る種々のプログラム等を記憶している。
【0022】
制御部33は、制御装置3に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部33は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部33は、記憶部32に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、制御装置3に係る種々の機能を実現する。具体的には受付機能、駆動制御機能、清掃制御機能が該当する。すなわち、ソフトウェア(記憶部32に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部33)によって具体的に実現されることで、受付部331、駆動制御部332、及び清掃制御部333として実行されうる。なお、
図3においては、単一の制御部33として表記されているが、実際はこれに限るものではなく、機能ごとに複数の制御部33を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0023】
1.4 駆動機構4
駆動機構4は、モータやエンコーダ等、寝具2を回転させるための機構系である。駆動機構4は制御装置3によって制御され、駆動機構4を介して第1の寝具21及び第2の寝具22が回転するように構成される。
【0024】
1.5 清掃部5
清掃部5は、例えば布団たたき、ブラシ、掃除機等が相当する。清掃部5は、ユーザが寝具2において使用した部分をユーザの非使用時に清掃する。具体的には、
図2に示されるように、清掃部5は、第1の寝具21を清掃する第1の清掃部51と、第2の寝具22を清掃する第2の清掃部52とを備える。第1の寝具21において対向面221の裏側の面に第1の清掃部51が配置され、第2の寝具22において対向面222の裏側の面に第2の清掃部52が配置される。もちろんあくまでも一例であって、ユーザの休息と干渉しない位置であれば、特に限定されるものではない。
【0025】
2.機能構成
本節では、休息システム1(特に制御装置3)の機能構成について説明する。
図4は、制御装置3における制御部33が担う機能を示す機能ブロック図である。
図4に示されるように、制御装置3は、機能構成として、受付部331と、駆動制御部332と、清掃制御部333とを備える。以下各構成要素について詳述する。
【0026】
(受付部331)
受付部331は、ソフトウェア(記憶部32に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部33)によって具体的に実現されているものである。休息システム1は宿泊施設において使用されるものであるため、前述の通り、第1のユーザ及び第2のユーザを含む多くのユーザが使用する。受付部331は、ユーザが寝具2の使用を終了する予定時刻を受け付けるように構成される。これは例えば、宿泊施設のリセプションにおいて宿泊施設の従業員によって入力されたデータでもよいし、予め予約用ウェブサイト等を介して入力されたデータでもよい。
【0027】
(駆動制御部332)
駆動制御部332は、ソフトウェア(記憶部32に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部33)によって具体的に実現されているものである。駆動制御部332は、通信部31を介して制御装置3と接続された駆動機構4を制御するように構成される。例えば、寝具2が予定時刻までは非回転に構成されるように、駆動機構4を制御する。あるいは、ユーザの使用中に寝具2が回転しないようにロックするように、駆動機構4を制御する(ロック部として機能)。そして、駆動制御部332は、寝具2を回転させる場面において、駆動機構4を制御する。
【0028】
(清掃制御部333)
清掃制御部333は、ソフトウェア(記憶部32に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部33)によって具体的に実現されているものである。清掃制御部333は、通信部31を介して制御装置3と接続された清掃部5(第1の清掃部51及び第2の清掃部52)を制御するように構成される。好ましくは、清掃制御部333は、ユーザが不在の状態において、寝具2を清掃するように清掃部5を制御する。休息空間2sに清掃部5が設けられていないものの、清掃中には騒音等が発生するため、ユーザの休息中に清掃することは好ましくないからである。
【0029】
3.休息システム1の動作の流れ
本節では、休息システム1の動作の流れについて説明する。
図5は、実施形態に係る休息システム1のアクティビティ図である。以下、本図に沿って説明する。
【0030】
[ここから]
(アクティビティA1)
受付部331が、あるユーザの予定時刻を受け付ける。入力の方法は特に限定されない。
【0031】
(アクティビティA2)
続いて、ユーザが第1の寝具21及び第2の寝具22によって構成される休息空間2sにおいて、仮眠等の休息をとる。
【0032】
(アクティビティA3)
ユーザが休息しているか、退席したかは、不図示のセンサによって判定及び検出される。このとき、予定時刻よりも前であれば、一時的な外出等が想定されるため、寝具2を非回転なまま待機させる。予定時刻ちょうど、又はこれを過ぎている場合は、アクティビティA4に進む。
【0033】
(アクティビティA4)
ユーザ(第1のユーザ)が不在となり予定時刻も過ぎていることから、次のユーザ(第2のユーザ)に清潔な対向面221,222を提供すべく、駆動制御部332が駆動機構4を制御して寝具2を回転させる。
【0034】
(アクティビティA5)
続いて、清掃制御部333が清掃部5を制御して寝具2を清掃する。
[ここまで]
【0035】
以上のアクティビティA1〜A5に係る動作は、各ユーザが使用するたびに繰り返して実施されることとなる。このような動作によって、ユーザの出入りごとに宿泊施設の従業員が寝具2の清掃をする手間が省け、より簡易に且つ効率的に宿泊施設を運営することができる。
【0036】
4.変形例
本節では、本実施形態に係る休息システム1の変形例について説明する。すなわち、以下のような態様で休息システム1が提供されてもよい。
【0037】
(1)本実施形態では、寝具2は、第1の寝具21及び第2の寝具22の外部に形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、休息空間2sは、第1の寝具21及び第2の寝具22の一方の内部に位置し、且つ一方に対する他方の外部に位置してもよい。
図6は、変形例に係る寝具2の具体的なハードウェア構成を示す概要図である。
図6では、休息空間2sが、第1の寝具21の内部に位置し且つ第2の寝具22の外部に位置している。
(2)
図7は、別の変形例に係る寝具2の具体的なハードウェア構成を示す概要図である。
図7では、休息空間2sが、第2の寝具22の内部に位置し且つ第1の寝具21の外部に位置している。
(3)ユーザが休息するための休息システムの寝具を回転させる制御装置3を単体で実施してもよい。かかる場合、ユーザが休息するための休息システム1の寝具2を回転させる制御装置3は、駆動制御部332を備える。駆動制御部332は、寝具2におけるユーザとの対向面211,221を変更するように、寝具2を回転するように制御可能に構成される。
(4)コンピュータを制御装置3として機能させるプログラムを実施してもよい。そして、このようなプログラムを、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体として提供してもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供してもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させて、クライアント端末で各機能を実施可能な、いわゆるクラウド・コンピューティングを実施してもよい。
(5)
図8は、別の変形例に係る寝具2の具体的なハードウェア構成を示す概要図である。本実施形態は、第1の寝具21及び第2の寝具22と異なり、掛け布団が円筒状ではない。第3の寝具23の両端がローラ6に巻き取られている。寝床24の上でユーザUは、第3の寝具23を利用することができる。そして、ユーザUによる利用後に、ローラ6により第3の寝具23を巻き取ることで、次のユーザの使用時に清潔な部分を利用することができる。すなわち、第3の寝具23のうち、ローラ
に巻き取られた部分が回転することにより、ユーザとの対向面を変更するように構成される。
(6)
図9は、別の変形例に係る寝具2の具体的なハードウェア構成を示す概要図である。本実施形態では、第4の寝具25は、複数のベルト7により、寝床24が構成される。駆動制御部332は、複数のベルト7を1又は複数のベルト単位で個別に駆動することができる。このようにベルト7が駆動されることで、ユーザUの姿勢を変化させることができる。ユーザUが褥瘡の場合、第4の寝具25に横になっているときのユーザUの姿勢を変化させ、又は寝返りを促すことで、第4の寝具25を構成する寝床24から圧力がかかる部分が変化し、褥瘡を予防又は低減することができる。
【0038】
5.結言
以上のように、本実施形態によれば、従業員の労力や手間を削減しつつ宿泊施設を提供する休息システム1を実現することができる。
【0039】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記休息システムにおいて、前記ユーザは、第1のユーザと、第2のユーザとを含み、ここで前記第1のユーザは、前記寝具を使用するユーザで、前記第2のユーザは、前記第1のユーザの次に前記寝具を使用するユーザで、前記寝具は、前記第1のユーザが使用を終了してから前記第2のユーザが使用を開始するまでの間に回転するもの。
前記休息システムにおいて、前記第1のユーザに対する対向面と前記第2のユーザに対する対向面とが0.5m以上異なるように、前記寝具が回転するもの。
前記休息システムにおいて、前記ユーザと前記寝具の接触面積に基づいて、前記寝具の回転量が決定されるもの。
前記休息システムにおいて、前記寝具は、筒状に構成されるもの。
前記休息システムにおいて、前記寝具は、第1の寝具と第2の寝具とを備え、前記第1の寝具及び前記第2の寝具は、互いに対向し、前記第1の寝具と前記第2の寝具との間に休息空間が形成され、前記休息空間は、前記ユーザが配置される空間であるもの。
前記休息システムにおいて、前記休息空間は、前記第1の寝具及び前記第2の寝具の外部に位置するもの。
前記休息システムにおいて、前記休息空間は、前記第1の寝具及び前記第2の寝具の一方の内部に位置し、且つ前記一方に対する他方の外部に位置するもの。
前記休息システムにおいて、受付部をさらに備え、前記受付部は、前記ユーザが前記寝具の使用を終了する予定時刻を受け付けるように構成され、前記寝具は、前記予定時刻までは非回転に構成されるもの。
前記休息システムにおいて、清掃部をさらに備え、前記清掃部は、前記ユーザが前記寝具において使用した部分を前記ユーザの非使用時に清掃するもの。
前記休息システムにおいて、駆動制御部を備え、前記寝具は、複数のベルトにより寝床が構成され、前記駆動制御部は、前記ベルトを1又は複数のベルト単位で個別に駆動するように制御可能に構成されるもの。
ユーザが休息するための休息システムの寝具を回転させる制御装置であって、駆動制御部を備え、前記駆動制御部は、前記寝具におけるユーザとの対向面を変更するように、前記寝具を回転するように制御可能に構成されるもの。
プログラムであって、コンピュータを前記制御装置として機能させるもの。
もちろん、この限りではない。例えば、上述のプログラムを記憶する、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体として提供してもよい。
【0040】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。