特開2021-146156(P2021-146156A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-146156(P2021-146156A)
(43)【公開日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】腕や肩の運動補助具
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/14 20060101AFI20210830BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20210830BHJP
【FI】
   A63B23/14
   A61H1/02 K
   A61H1/02 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】書面
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-67057(P2020-67057)
(22)【出願日】2020年3月16日
(11)【特許番号】特許第6786062号(P6786062)
(45)【特許公報発行日】2020年11月18日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】520118072
【氏名又は名称】稲田 麻見
(72)【発明者】
【氏名】稲田 麻見
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA35
4C046AA44
4C046AA46
4C046AA47
4C046BB02
4C046BB04
4C046BB05
4C046CC01
4C046CC11
4C046DD37
(57)【要約】
【課題】 一般家庭において仰臥位で「肩甲骨はがし」や「肩甲骨ほぐし」と呼ばれるストレッチ運動および横向きに寝て上になった足を曲げた姿勢で肩、胸、背中をほぐすための腕や肩のストレッチ運動やリハビリ運動を容易にかつ効果的に実施することができ、装着が簡単で所有に負担のない安全な運動補助具を提供する。
【解決手段】 手から上腕までを覆うクッション製の運動補助具であって、親指と残り4本の指をクッションの内側から外側へ出すための孔を有し、円錐らせんの形であり、前記クッションは伸縮性のある素材または塩化ビニルの素材の袋体に柔軟素材または空気を詰めた構成であり、直径の小さい方が直径の大きい方よりも重いことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕や肩のストレッチ運動やリハビリ運動時に使用する運動補助具であって、手から上腕までを覆うクッションに、指をクッションの外側へ出すための孔を設けた運動補助具。
【請求項2】
請求項1に記載の運動補助具において、円錐らせんの形を特徴とする運動補助具。
【請求項3】
請求項1に記載の運動補助具において、短辺方向の断面が円環であることを特徴とする運動補助具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の運動補助具において、前記クッションが伸縮性のある素材の袋体であって、中に綿、発泡スチロールビーズ、プラスチック小片等の柔軟素材を詰めた構成であることを特徴とする運動補助具。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の運動補助具において、前記クッションがポリ塩化ビニルの素材の袋体であって、中に空気を詰めた構成であることを特徴とする運動補助具。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の運動補助具において、直径の小さい側からの3分の1が残り3分の2より重いことを特徴とする運動補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕や肩のストレッチ運動やリハビリ運動を補助する器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、腕や肩の筋肉疲労の軽減やリハビリ等を目的としたストレッチ運動およびストレッチ運動補助具が開発されている。腕や肩のストレッチ運動のひとつに「肩甲骨はがし」や「肩甲骨ほぐし」と呼ばれる両腕を肩の真横に伸ばして腕の付け根からねじる運動がある。
【0003】
また、従来の運動装置においては駆動モータによって自動的に腕や肩のストレッチ運動やリハビリ運動を行うものがある(特許文献1〜3参照)。
【0004】
ほか、支柱に組み付けられた偏心誘導板に形成された円形の案内溝に、回動ア−ムの端部に取り付けた軸芯スライド部の案内突起を嵌入させ、回動ア−ムを上方に回転させるほど回転半径が大きくなるようにしたことを特徴とした肩関節回旋器具があり、支柱に正対して高さ調節可能な椅子を設け、椅子を上下および支柱との間隔を調整することにより肩関節と軸芯との位置および肩関節の可動域を調整するようにしている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4475081号公報
【特許文献2】特許第4848514号公報
【特許文献3】特開平5−277151号公報
【特許文献4】特許第3091705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ストレッチ運動の多くは実施前および実施中に身体の動かし方や呼吸法などを適宜確認する必要がある上、慣れない運動で継続することが難しい。
【0007】
「肩甲骨はがし」や「肩甲骨ほぐし」においては仰臥位で実施するときに腕をつけ根からねじる運動が行いづらいという問題があった。それは床との摩擦が起こるうえ、腕をまっすぐに保とうとすると腕に力が入り筋肉が収縮するためである。反して力を抜きすぎると前腕の回外、回内はできても上腕をつけ根からねじることは難しい。
【0008】
座った姿勢や立った姿勢で「肩甲骨はがし」や「肩甲骨ほぐし」を実施するときは、背筋を伸ばしながら両腕を広げて肩の高さでねじるため腕を定位置で支える筋肉が必要であり、筋肉が少ない人にとってはその姿勢を維持することが難しい。
【0009】
また、従来の腕や肩の運動装置はいずれもその大きさから一般家庭が所有するには負担が大きく、使用中は周囲の安全を確保する必要があった。
【0010】
そこで、本発明では一般家庭において仰臥位で「肩甲骨はがし」や「肩甲骨ほぐし」と呼ばれるストレッチ運動および横向きに寝て上になった足を曲げた姿勢で肩、胸、背中をほぐすための腕や肩のストレッチ運動やリハビリ運動を容易にかつ効果的に実施することができ、装着が簡単で所有に負担のない安全な運動補助具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明に係る運動補助具は、手から上腕までを覆うクッション製であって、親指と残り4本の指をクッションの内側から外側へ出すための孔を有する。前記運動補助具は円錐らせんの形または短辺方向の断面が円環であり、前記クッションは、伸縮性のある素材またはポリ塩化ビニルの素材の袋体であって中に柔軟素材または空気を詰めた構成である。ここで柔軟素材とは綿や発泡スチロールビーズ、プラスチックの小片などを指す。また前記運動補助具は直径の小さい方が直径の大きい方より重いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
運動補助具に腕を通し、手から上腕まで運動補助具が巻き付いたような状態になることにより仰臥位で掌を上に向けて腕を伸ばしたときに運動補助具の厚みによって腕が床から持ち上がり床と平行に近い状態となる。
【0013】
運動補助具が円錐らせんの形で直径の小さい方が指先側に位置するため手が上腕よりも低くなる、つまり床に近くなるので腕と床は完全な平行にはならない。これは手と上腕が同じ高さである場合は腕の力を抜くと自然と肘関節が曲がろうとするのでそれを防ぐためである。これにより運動補助具に腕を通しただけで腕が伸びた状態になる。
【0014】
そのうえで親指と残り4本の指をそれぞれ設けた孔から運動補助具の外側へ出して、親指以外の4本の指に関しては場合によっては中空孔からそのまま運動補助具の外側に出して、運動補助具を軽く握ることにより小さい力で腕がまっすぐ伸びた状態を維持しながら腕を容易に動かすことができる。また、運動補助具があることで腕を動かした時に手や腕に直接何かが当たるという心配がなくなる。
【0015】
中空孔が使用者の腕より大きく運動補助具と腕の間に多少の隙間ができたとしても運動補助具の指先側を握るので問題なく使用することができる。
【0016】
孔は、らせん状の長破線となるので使用者は自分の腕に合った位置から一番近い孔より指を出すことができる、つまり使用者の腕の長さに関わらず運動補助具を使用することができる。このとき運動補助具の指先側が余ることになった場合でも使用に問題はない。また、もし運動補助具の全長が腕の長さと合った場合は親指以外の4本の指は中空孔からそのまま出して親指を付近の孔から運動補助具の外側へ出すこととなる。
【0017】
この運動補助具は伸縮性のある素材の袋体であって中に柔軟素材を詰めた構成である。この構成により腕の太さに関わらず運動補助具を使用することができる。
【0018】
クッション製にすることで周囲の安全の確保が容易になるうえ、従来の運動装置に比べて小型化、軽量化しているので所有の負担もなく、さらにコストの削減もできる。
【0019】
運動補助具の指先側を重くしていることで通常よりも大きく腕を回す運動ができるうえ、筋肉を伸ばす運動の際も指先側に負荷がかかることで通常よりも筋肉を伸ばすことができる。
【0020】
前記クッションをポリ塩化ビニルの素材の袋体にして空気栓を設け、空気を詰める構造にすると持ち運びの利便性が向上する。
【0021】
腕の位置が床から上がることで肩の力が抜け可動域が広がり、運動補助具が丸みを帯びているため仰臥位での肩関節の外転と内転が容易になる。また、仰臥位での「肩甲骨はがし」や「肩甲骨ほぐし」の運動が容易になることはもちろん肩の真横以外の好みの位置でも腕をつけ根からねじる運動ができる。そして、ねじる運動を繰り返しながら肩関節の外転と内転をすることも容易である。親指と残り4本の指で補助具を軽く握ることが腕をねじる運動を容易にしている。
【0022】
さらに仰臥位で腕が耳の横にあるときに、床を軽く叩くように腕を上げ下げすると前腕から脇、広背筋までが伸びる。腕全体とりわけ指先側に運動補助具の重みがかかることで通常よりも筋肉を伸ばすことができる。
【0023】
運動補助具をつけた腕が上になるように横向きに寝て上になった足を曲げた姿勢で、胸を大きく開くように運動補助具をつけた腕を横に伸ばした場合も、さらにその状態から肩関節の外転と内転をした場合も運動補助具の重みが腕全体とりわけ指先側にかかることで通常よりも胸の筋肉を伸ばすことができる。また、同じ姿勢で腕をつけ根からねじる運動も効果があり、これも運動補助具を軽く握ることで容易にすることができる。
【0024】
上記と同じ姿勢のときに掌を上に向けた状態で腕を縮めたり伸ばしたりしながら肩関節の外転と内転をすると胸の筋肉と肩甲骨のまわりの筋肉をほぐすことができる。このとき床を滑らせるように運動補助具を動かせば運動補助具の厚みにより腕の高さを一定に維持しながら動かすことができる。
【0025】
上記と同じ姿勢で宙に円を描くように腕をつけ根から大きく回すことで肩全体をほぐすことができる。この運動も運動補助具の上部を軽く握っていることが腕をまっすぐに保ちながら回す運動を容易にしている。また運動補助具の重みが腕全体とりわけ指先側にかかることで通常よりも大きな円を描くことができる。さらに宙で腕をねじる運動をしても良い。このときも運動補助具を軽く握っていることがねじる運動を容易にしている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】使用時における本発明の運動補助具の斜視図である。
図2】本発明の運動補助具の斜視図である。
図3】本発明の運動補助具の直径の小さい側からの斜視図である。
図4】ドーナツ状のクッションを重ね合わせた場合の本発明の運動補助具の斜視図である。
図5】本発明の運動補助具の短辺方向の断面図である。
図6】ポリ塩化ビニル素材で作った場合のらせん形の本発明の運動補助具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の運動補助具について図面を用いて説明する。図1に示すのは使用時における本発明の運動補助具の斜視図である。
【0028】
図1に示すように、手から上腕までを覆う円錐らせんの形をした運動補助具である。円錐らせん形の運動補助具の直径の小さい方が指先側に位置し、直径の大きい方が上腕側に位置するように向きを整え、運動補助具の上腕側の端部が肘から約6センチメートル上に位置するように中空孔へ腕を通す。
【0029】
それから親指と残り4本の指をそれぞれ付近の孔から運動補助具の外側へ出す。このとき運動補助具の指先側が余ることになった場合でも使用に問題はない。もし運動補助具の全長が腕の長さと合った場合は親指以外の4本の指は中空孔からそのまま出して親指を付近の孔から運動補助具の外側へ出すこととなる。
【0030】
そして親指と残り4本の指とで運動補助具を軽く握って使用する。
【0031】
図2に示すように、長い丸棒のクッションを円錐らせん状に形成していくことで中空孔(2)も形成され、円錐らせんの形が崩れないように重なった部分を縫い合わせる。
【0032】
このとき全部を縫い合わせるのではなく間隔をあけながら縫っていく。この間隔をあけた部分が親指や残り4本の指を運動補助具の内側から外側へと出す孔になる。孔は親指以外の4本の指が出せるくらいの長さが必要である。また孔の数を多くするために縫い合わせる部分はできるだけ短くする。
【0033】
この運動補助具は、図5に示すように伸縮性のある素材の袋体(3)であって中に柔軟素材(4)を詰めた構成である。柔軟素材は綿や発泡スチロールビーズ、プラスチックの小片などを指す。
【0034】
意匠性から、らせん状に形成した丸棒の両端部を運動補助具が筒状の円錐台になるように処理しても良い。
【0035】
運動補助具の指先側からの3分の1と残り3分の2の重さを同程度にすることで指先側が重くなる。
【0036】
使用者が子どもや年配者、リハビリ目的である場合は必要に応じて運動補助具の指先側を重くしなくてもよい。
【0037】
運動補助具を個人用に腕を計測して作る場合は運動補助具の全長や直径、中空孔の大きさは変わってもよい。また重量も詰める素材や量によって個人の好みに設定することができる。指を運動補助具の内側から外側へ出すための孔も適当な位置に設ける。個人用であるから孔はらせん状である必要がないため長い丸棒のクッションから形成するのではなく筒状の円錐台クッションから、または図4が示すようにドーナツ状のクッションを重ね合わせて作ってもよい。
【0038】
以上の運動補助具は、図5が示すように運動補助具の短辺方向の断面が円環である。
【0039】
また図6が示すように、この運動補助具はポリ塩化ビニルの素材の袋体に空気栓(5)を設け空気を詰めてもよい。ポリ塩化ビニルの特性により空気を詰めればらせんの形状がある程度保持されるうえ、重なった部分を縫い合わせてしまうと使用者の腕の長さや太さが制限されるため縫い合わせなくてもよい。
【0040】
空気の入ったクッション製のらせんの形の運動補助具を腕に巻いていき、固定するための係合部(6、7)を運動補助具の両端に設けてもよい。係合部としては、簡便な面ファスナー(ベルクロまたはマジックテープ(登録商標))を装着するとともに、他端面に被係合部となる面ファスナーを装着することにより、より簡便に係合および着脱が可能である。さまざまな腕の太さに対応できるように被係合部(7)は係合部(6)よりも長めに設けてもよい。
【0041】
もしくは、ポリ塩化ビニルの素材で空気を詰めた構成の場合は、筒状の円錐台の形状の運動補助具に空気栓と長辺方向に係合部を設け、孔をらせん状の長破線で設けてもよい。
【0042】
空気の入った運動補助具の場合は、指先側を少し重くするためにジェルなどを運動補助具の指先側へ挿入してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 運動補助具
2 中空孔
3 袋体
4 柔軟素材または空気
5 空気栓
6 係合部
7 被係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2020年8月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕や肩のストレッチ運動やリハビリ運動時に使用する運動補助具であって、手から上腕までを覆うクッションが内部に中空孔を有する円錐らせんの形であり、指をクッションの外側へ出すための孔を先端と側面に有する運動補助具。
【請求項2】
腕や肩のストレッチ運動やリハビリ運動時に使用する運動補助具であって、全体形状が円錐台で内部に中空孔を形成するようドーナツ状のクッションを手から上腕までを覆う程度に重ね合わせ、指をクッションの外側へ出すための孔を先端と側面に有する運動補助具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の運動補助具において、前記クッションが伸縮性のある素材の袋体であって、中に綿、発泡スチロールビーズ及びプラスチック小片の少なくとも1つからなる柔軟素材を詰めた構成であることを特徴とする運動補助具。
【請求項4】
請求項1または2に記載の運動補助具において、前記クッションがポリ塩化ビニルの素材の袋体であって、中に空気を詰めるための空気栓を設けたことを特徴とする運動補助具。
【請求項5】
請求項1または2に記載の運動補助具において、直径の小さい側からの3分の1が残り3分の2より重いことを特徴とする運動補助具。