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特開2021-147433バイオディーゼル燃料およびその製造方法ならびにこれを用いたバイオディーゼル発電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-147433(P2021-147433A)
(43)【公開日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】バイオディーゼル燃料およびその製造方法ならびにこれを用いたバイオディーゼル発電装置
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/02 20060101AFI20210830BHJP
   C10L 1/08 20060101ALI20210830BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20210830BHJP
   F02D 29/06 20060101ALI20210830BHJP
【FI】
   C10L1/02
   C10L1/08
   F02M37/00 341Z
   F02D29/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-46136(P2020-46136)
(22)【出願日】2020年3月17日
(71)【出願人】
【識別番号】520092440
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】520093377
【氏名又は名称】株式会社日本バイオディーゼル機器
(74)【代理人】
【識別番号】100166132
【弁理士】
【氏名又は名称】木船 英雄
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】下橋 英明
(72)【発明者】
【氏名】野中 順治
【テーマコード(参考)】
3G093
4H013
【Fターム(参考)】
3G093AA16
3G093AB01
4H013BA02
4H013BA03
(57)【要約】
【課題】カブレを引き起こすような有害な排気ガスを発生することがない新規なバイオディーゼル燃料およびその製造方法ならびにこれを用いたバイオディーゼル発電装置の提供。
【解決手段】カシューナッツ殻液中から漆類似成分を除去してなることを特徴とするバイオディーゼル燃料である。このように予めカシューナッツ殻液中から漆類似成分を除去したものをバイオディーゼル燃料として用いれば、漆特有のカブレなどを引き起こす有害な排気ガスの発生を抑制することができる。また、給油などの際にその燃料が皮膚に付着してもその部分がカブレるようなこともない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カシューナッツ殻液中から漆類似成分を除去してなることを特徴とするバイオディーゼル燃料。
【請求項2】
カシューナッツ殻液を40〜60℃に加温してその動粘度を低下させる第1工程と、
第1工程を経たカシューナッツ殻液中に、活性白土と無機系凝集剤とを混合・攪拌して漆類似成分を前記活性白土に吸着する第2工程と、
第2工程を経たカシューナッツ殻液を遠心分離機に投入して固形分を遠心分離して液分を回収する第3工程と、
第3工程で回収された液分を濾過する第4工程とを含むことを特徴とするバイオディーゼル燃料の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載のバイオディーゼル燃料の製造方法において、
前記活性白土と無機系凝集剤の添加量は、前記第1工程を経たカシューナッツ殻液1Lに対して、それぞれ3〜10gであることを特徴とするバイオディーゼル燃料の製造方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載のバイオディーゼル燃料の製造方法において、
前記無機系凝集剤として、硫酸アルミニウムを用いることを特徴とするバイオディーゼル燃料の製造方法。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載のバイオディーゼル燃料の製造方法において、
前記第3工程では、デカンタ型遠心分離機を用いることを特徴とするバイオディーゼル燃料の製造方法。
【請求項6】
バイオディーゼル燃料で駆動するディーゼルエンジンと、当該ディーゼルエンジンの動力で発電する発電機とを備え、
前記バイオディーゼル燃料はカシューナッツ殻液中から漆類似成分が除去されたものであることを特徴とするバイオディーゼル発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カシューナッツ殻液 (CNSL)からなるバイオディーゼル燃料およびこれを用いたバイオディーゼル発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にバイオディーゼル燃料は、植物油にメタノールを加えエステル交換反応によってグリセリンを取り除いて燃料化したものであり、軽油や重油などの液体化石燃料の代替燃料として主にディーゼルエンジンに使用可能である。良質のバイオディーゼル燃料は、CO削減効果だけでなく、硫黄などの大気汚染物質が少ないクリーンな燃料であり、しかも液体化石燃料と同等の燃費やエンジン性能を発揮できることが知られている。
【0003】
その一つとしてアブラヤシから得られるパーム油は、植物油の中でも生産量が多く、かつ比較的安価なことから、近年ではバイオディーゼル燃料としての利用が検討されている。例えば、以下の特許文献1ではパーム油などの植物由来油(バイオマス油)と廃食油を混合し、さらにアルコールおよび灯油を混合して60重量%以下にしたものをディーゼルエンジンの燃料として用いる技術が提案されている。また、以下の特許文献2ではパーム油などの植物油のエステル類を分解すると共に不要な化合物を除去したものをディーゼルエンジンやタービンの燃料として用いる技術が提案されている。
【0004】
その一方、パーム油は植物油の中でも融点が高く、日本のような比較的寒冷な土地では常温で固形化してしまい、そのままではディーゼルエンジンの燃料として用いることが難しい。そのため、その動粘度を下げるために上記のように予めアルコールや灯油などと混合する方法も考えられるが、そうするとコストが高くなってしまい、安価なパーム油のメリットが消滅してしまう。そこで、本発明者らは、以下の特許文献3や4に示すようにディーゼルエンジンの排熱を利用してその動粘度を液体化石燃料程度まで下げることでほぼ100%のパーム油をそのままディーゼルエンジンの燃料として用いることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−239751号公報
【特許文献2】特表2009−542851号公報
【特許文献3】特許第6092355号公報
【特許文献4】特許第6092438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本発明者らはこのパーム油に代えてあるいはこのパーム油と共に、カシューナッツの殻から得られる天然植物油であるカシューナッツ殻液(CNSL:Cashew Nut Shell Liquid)を新たなバイオディーゼル燃料として使用することを検討している。しかしながらこのカシューナッツ殻液には、漆(ウルシ)類似成分が含まれており、そのままディーゼルエンジンで燃焼させると、漆特有のカブレなどを引き起こす有害な排気ガスを発生する可能性がある。
【0007】
また、カシューナッツ殻液は植物油の中でも動粘度が比較的高いため、エンジン配管などに詰まってしまうおそれがあるが、前記パーム油のようにディーゼルエンジンの排熱を利用してもあまり変化がなく、そのままではバイオディーゼル燃料として適用するのは難しい。
【0008】
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、カブレを引き起こすような有害な排気ガスを発生することがない新規なバイオディーゼル燃料およびその製造方法ならびにこれを用いたバイオディーゼル発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明で用いるカシューナッツ殻液(CNSL:Cashew Nut Shell Liquid)は、インドやベトナム、ブラジルなどの熱帯地方で収穫されるカシューナッツの副生物であるカシューナッツの殻から採取される濃赤褐色の粘性液体であり、従来から塗料やブレーキライニング、コート剤の材料として利用されている。このカシューナッツ殻液は、その産地によって多少異なるものの、その殆どは不飽和フェノール化合物やアナカルド酸を主成分(約90%)とし、その他にカルダノールや2−メチルカルダノールなどを少量(約10%)を含んだ成分となっている。
【0010】
そして、これらの成分のうち、特に少量のカルダノールや2−メチルカルダノールのようなカルダノール類は、漆(ウルシ)のように人体の皮膚に触れるとアレルギー反応によってカブレを引き起こすことがあり、その取り扱いには注意を要する。なお、本発明ではこのカルダノールや2−メチルカルダノールのようなカブレを引き起こすおそれがある成分を漆類似成分と定義する。
【0011】
従って、上記のようにこの漆類似成分を含むカシューナッツ殻液をそのままバイオディーゼル燃料として取り扱ったりした際にこれが作業員の皮膚などに触れるとカブレを引き起こしたり、また、ディーゼルエンジンの燃料として用いた際にこの漆類似成分の一部が燃焼することなく、そのまま排気ガスと共に排出されてしまい、周囲の環境を汚染してしまう可能性がある。
【0012】
通常、軽油や重油のような液体化石燃料を使用するディーゼルエンジンの排気系には、
有害なディーゼル排気微粒子を除去するDPF(ディーゼル微粒子フィルター)や窒素酸化物(NOx)を除去する尿素SCRシステムなどが付設されているが、これらの従来の浄化装置では、前述したような漆類似成分を除去することが難しい。また、この漆類似成分がディーゼルエンジン内部および燃料配管系を腐食(酸化)させてしまい、エンジン損傷の原因ともなる。
【0013】
そこで、これらの課題を解決するために第1の発明は、カシューナッツ殻液中から漆類似成分を除去してなることを特徴とするバイオディーゼル燃料である。このように予めカシューナッツ殻液中から漆類似成分を除去したものをバイオディーゼル燃料として用いれば、漆特有のカブレなどを引き起こす有害な排気ガスの発生を抑制することができる。また、給油などの際にその燃料が皮膚に付着してもその部分がカブレるようなこともない。さらに、漆類似成分を除去することにより燃料の動粘度を低くすることもできるため、燃料配管のつまりなどを引き起こすこともない。
【0014】
第2の発明は、カシューナッツ殻液を40〜60℃に加温してその動粘度を低下させる第1工程と、第1工程を経たカシューナッツ殻液中に、活性白土と無機系凝集剤とを混合・攪拌して漆類似成分を前記活性白土に吸着する第2工程と、第2工程を経たカシューナッツ殻液を遠心分離機に投入して固形分を遠心分離して液分を回収する第3工程と、第3工程で回収された液分を濾過する第4工程とを含むことを特徴とするバイオディーゼル燃料の製造方法である。このよう製法によれば、漆類似成分を殆ど含まないカシューナッツ殻液を原料とする新規なバイオディーゼル燃料を効率良く生産することができる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、前記活性白土と無機系凝集剤の添加量は、前記第1工程を経たカシューナッツ殻液1Lに対して、それぞれ3〜10gであることを特徴とするバイオディーゼル燃料の製造方法である。このような製法によれば、効果的にカシューナッツ殻液中の漆類似成分を凝縮して吸着することができる。ここで、活性白土と無機系凝集剤の添加量をそれぞれ3〜10gとしたのは、3g未満では含まれる漆類似成分のほぼすべてを凝縮して吸着することが難しく、反対に10gを超えてもその効果は殆ど変わらないからである。前述したようにカシューナッツ殻液の成分比率はその産地によって多少異なるが、好ましくは、それぞれ4〜6g程度である。
【0016】
第4の発明は、第2または第3の発明において、前記無機系凝集剤として、硫酸アルミニウムを用いることを特徴とするバイオディーゼル燃料の製造方法である。硫酸アルミニウム(Al(SO)は、従来から水の浄化や製紙に使われるアルミニウムの硫酸塩であり、これを無機系凝集剤として用いることにより、効率よく漆類似成分を凝縮することができる。
【0017】
第5の発明は、第2乃至第4の発明において、前記第3工程では、デカンタ型遠心分離機を用いることを特徴とするバイオディーゼル燃料の製造方法である。このように固形物を液中から分離するための分離器として、デカンタ型遠心分離機を用いれば装置を停止することなく連続的にディーゼルエンジン燃料を生産することができる。
【0018】
第6の発明は、バイオディーゼル燃料で駆動するディーゼルエンジンと、当該ディーゼルエンジンの動力で発電する発電機とを備え、前記バイオディーゼル燃料はカシューナッツ殻液中から漆類似成分が除去されたものであることを特徴とするバイオディーゼル発電装置である。このような構成によれば、カシューナッツ殻液をバイオディーゼル燃料として発電に効率的に利用し、得られた電力を必要な場所へ給電することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、予めカシューナッツ殻液中から漆類似成分を除去したものをバイオディーゼル燃料として用いることにより、漆特有のカブレなどを引き起こす有害な排気ガスの発生を抑制することができる。また、給油などの際にその燃料が皮膚に付着してもその部分がカブレるようなこともない。さらに、漆類似成分を除去することにより燃料の動粘度を低くすることもできるため、燃料配管のつまりなどを引き起こすこともない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るバイオディーゼル発電装置100の実施の一形態を示す説明図である。
図2】バイオディーゼル燃料を精製するための生産工程の一例を示すフローチャート図である。
図3】バイオディーゼル燃料を精製するための処理工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係るバイオディーゼル発電装置100の実施の一形態を示したものである。図示するようにこのバイオディーゼル発電装置100は、ディーゼルエンジン200と、このディーゼルエンジン200の動力で発電する発電機300と、このディーゼルエンジン200にバイオディーゼル燃料を供給する燃料タンク400とから主に構成されている。
【0022】
このディーゼルエンジン200および発電機300ならびに燃料タンク400は、従来のバイオディーゼル発電装置100で用いられている汎用のものをそのまま適用することができる。例えば、ディーゼルエンジン200として現在の主流となっているコモンレール式燃料噴射システムのものを用いれば、排気ガスのクリーン化、騒音・振動の低減、出力の向上を図れるための望ましい。また、このディーゼルエンジン200からの排気ガスは浄化装置210を介して外部に排出されるようになっている。
【0023】
また、発電機300には所定の変圧器(図示せず)が備えられており、発電した電力を所定電圧(例えば400Vから6600V)に昇圧して外部に供給し、商業的に利用されている。燃料タンク400は、容量が数百から数千Lの密閉式の金属容器からなっており、溜められたバイオディーゼル燃料を燃料ポンプ410によってディーゼルエンジン200に連続して供給できるようになっている。
【0024】
そして、この燃料タンク400に供給されるバイオディーゼル燃料は、カシューナッツ殻液を主成分とする精製油からなっている。すなわち前述したように天然のカシューナッツ殻液は、不飽和フェノール化合物やアナカルド酸を主成分(約90%)と、その他にカルダノールや2−メチルカルダノールなどを少量(約10%)を含んだ成分となっているが、本発明で使用するバイオディーゼル燃料は、これらの成分のうち、カルダノールや2−メチルカルダノールのような漆類似成分であるカルダノール類を除去したからなっている。
【0025】
図2は、このような成分のバイオディーゼル燃料を精製するための生産工程の一例を示すフローチャート、図3はその処理工程を示す説明図である。まず、予め天然のカシューナッツ殻液をバグフィルターなどで濾過して殻や絞り滓などの固形物を除去した後、これを混合タンク500に入れ、電気ヒーター510などによって40〜60℃に加温する(第1工程:ステップS100)。加温することによって動粘度が低下すると共に、後の処理や凝集剤との反応が促進されるからである。
【0026】
次に、この混合タンク500内に、カシューナッツ殻液(原液)を入れ、そのなかに活性白土と無機系凝集剤である硫酸アルミニウム(Al(SO)を投入して攪拌機520で数分程度攪拌する(第2工程:ステップS102)。この活性白土と無機系凝集剤の添加量としては、カシューナッツ殻液1Lに対して、それぞれ3〜10gで十分であり、望ましくは4〜5g程度である。この処理によってカシューナッツ殻液(原液)中の漆類似成分が凝縮して析出し、その殆どが活性白土に吸着される。
【0027】
ここで、この活性白土としては、天然のモンモリロン石を主成分とする酸性白土を硫酸や塩酸で熱処理して得られる市販のものをそのまま用いることができる。また、無機系凝集剤としては、硫酸アルミニウムの他に、PAC(ポリ塩化アルミニウム)や塩化第二鉄(FeCl)、ポリ硫酸第二鉄([Fe(OH)n(SO−n/2]m)、硫酸第一鉄(FeSO・7HO)、消石灰(Ca(OH))、低分子量のカチオン性高分子凝集剤などを用いることができる。
【0028】
次に、このようにして所定量の活性白土と無機系凝集剤を投入・混合したカシューナッツ殻液(原液)をデカンタ型遠心分離機600に連続的に供給し、液分と固形分(活性白土)とに遠心分離する(第3工程:ステップS104)。図3は、このデカンタ型遠心分離機600の基本的な構造を示したものである。図示するようにこの遠心分離機600は、略水平方向に位置する内胴スクリューコンベア610と、その周囲を覆う外胴ボウル620とから主に構成されている。
【0029】
この内胴スクリューコンベア610と外胴ボウル620とは図示しないモータによって内胴スクリューコンベア610の軸部を軸として同方向に高速回転(例えば2000〜6000rpm)し、その回転よって発生する径方向の遠心力によって、外胴ボウル620に内壁にカシューナッツ殻液(原液)を押しつけると共に、その壁面側に質量密度の高い固形分(活性白土)を堆積させ、その内側にそれよりも質力密度の低い液分を分離するように機能する。なお、その遠心力(重力)は約1,000〜3,000Gとなる。
【0030】
すなわち、この内胴スクリューコンベア610の軸部には、フィードパイプ611が連結されており、混合タンク500内のカシューナッツ殻液(原液)が供給ポンプ530によってこのフィードパイプ611を介して内胴スクリューコンベア610内に送られると共に、それがその内部通路612を通過して内胴スクリューコンベア610と外胴ボウル620との間に連続的に供給されて遠心分離されるようになっている。
【0031】
この外胴ボウル620の一端部(図中左側端部)には、その周方向に沿って円環状の堰板630が設けられており、分離した液分L(図中ハッチング部分)はその量が増えると、この堰板630をオーバーフローしてその排出口631から排出して回収される。一方、外胴ボウル620の壁面に分離・堆積した固形分S(図中黒点部分)は、内胴スクリューコンベア610の分離板613によって他端部(図中右側端部)に送られ、その外胴ボウル620の端部に形成された排出口614から外部に排出されて廃棄またはコンクリートやアスファルトなどの原材料として活用される。
【0032】
そして、このようにして分離回収された液分(精製油)を回収ポンプ615で抜き出してフィルターFで濾過し、混ざっている少量の固形分を除去した(第4工程:ステップS106)後、燃料タンク400内に供給することになる。このように本発明は、予めカシューナッツ殻液(原液)中からカルダノールや2−メチルカルダノールのような漆類似成分を除去し、これをバイオディーゼル燃料として用いたことから、漆特有のカブレなどを引き起こす有害な排気ガスの発生を抑制することができる。これによって、従来その殆どが廃棄処分されていた大量のカシューナッツ殻液をバイオディーゼル燃料として活用することができる。燃料として
【0033】
また、給油などの際にその燃料が皮膚に付着してもその部分がカブレるようなこともない優れた安全性を発揮できる。さらに、漆類似成分を除去することにより燃料の動粘度が低くなるため、燃料系配管のつまりなどを引き起こすこともない。特に、燃料系配管の周囲は100℃以上の高温になるため、天然の成分ではこのカシューナッツ殻液が硬化してしまい、詰まりの原因となるが、予め漆類似成分を除去することによりこれらの不都合を回避することができる。
【符号の説明】
【0034】
100…バイオディーゼル発電装置
200…ディーゼルエンジン
210…浄化装置
300…発電機
400…燃料タンク
410…燃料ポンプ
500…混合タンク
510…電気ヒーター
520…攪拌機
530…供給ポンプ
600…デカンタ型遠心分離機
610…内胴スクリューコンベア
611…フィードパイプ
612…内部通路
613…分離板
614、631…排出口
615…回収ポンプ
620…外胴ボウル
630…堰板
F…フィルター
L…液分
S…固形分
図1
図2
図3