特開2021-147595(P2021-147595A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本製紙株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-147595(P2021-147595A)
(43)【公開日】2021年9月27日
(54)【発明の名称】水系分散組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 1/10 20060101AFI20210830BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20210830BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20210830BHJP
   A61K 8/20 20060101ALI20210830BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20210830BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20210830BHJP
   A23L 29/262 20160101ALI20210830BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20210830BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20210830BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20210830BHJP
   C11D 7/44 20060101ALI20210830BHJP
   B01F 17/56 20060101ALI20210830BHJP
   C08J 3/02 20060101ALI20210830BHJP
   C08J 3/03 20060101ALI20210830BHJP
【FI】
   C08L1/10
   A61K47/02
   A61K47/38
   A61K8/20
   A61K8/73
   A61K9/10
   A23L29/262
   A23L5/00 K
   A23L29/00
   C08K3/00
   C11D7/44
   B01F17/56
   C08J3/02 ACEP
   C08J3/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-51988(P2020-51988)
(22)【出願日】2020年3月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100164161
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 彩
(72)【発明者】
【氏名】井上 一彦
(72)【発明者】
【氏名】阪後 貴之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 未来也
【テーマコード(参考)】
4B035
4B041
4C076
4C083
4D077
4F070
4H003
4J002
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LG02
4B035LG26
4B035LK12
4B035LP01
4B041LC03
4B041LD10
4B041LH11
4B041LK02
4B041LP01
4B041LP25
4C076AA16
4C076DD23
4C076EE32
4C076FF17
4C076FF36
4C083AB101
4C083AB102
4C083AD271
4C083AD272
4C083BB36
4C083CC01
4C083DD27
4C083DD39
4C083EE01
4C083EE07
4D077AA02
4D077AA04
4D077AA09
4D077AB08
4D077AB10
4D077AB11
4D077AB12
4D077AC05
4D077BA01
4D077BA07
4D077CA12
4D077DB10Y
4D077DD65Y
4D077DD65Z
4F070AA02
4F070AB03
4F070CA03
4F070CB02
4F070CB12
4H003EB42
4J002AB031
4J002AB032
4J002DD056
4J002DD066
4J002DE027
4J002DE226
4J002DE236
4J002DG046
4J002DG056
4J002DH036
4J002DH046
4J002FA042
4J002FD016
4J002GB00
4J002GB04
4J002GD00
4J002GT00
4J002HA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐塩性に優れるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを含んだ水系分散組成物の提供。
【解決手段】カルボキシメチル化セルロースナノファイバー、セルロースI型の結晶化度を有さないカルボキシメチル化セルロース、及び無機塩を含む水系分散組成物であって、無機塩に由来する塩濃度が0.1%(w/v)以上20%(w/v)以下であることを特徴とする、水系分散組成物。さらに、前記カルボキシメチル化セルロースの、カルボキシメチル置換度が0.5超1.5未満であることを特徴とする水系分散組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシメチル化セルロースナノファイバー、セルロースI型の結晶化度を有さないカルボキシメチル化セルロース、及び無機塩を含む水系分散組成物であって、
無機塩に由来する塩濃度が0.1%(w/v)以上20%(w/v)以下であることを特徴とする、水系分散組成物。
【請求項2】
前記カルボキシメチル化セルロースの、カルボキシメチル置換度が0.5超1.5未満であることを特徴とする、請求項1に記載の水系分散組成物。
【請求項3】
前記カルボキシメチル化セルロースの、カルボキシメチル置換度が0.5超1.0以下であることを特徴とする、請求項1〜2いずれかに記載の水系分散組成物。
【請求項4】
前記カルボキシメチル化セルロースが、カルボキシルメチル置換度の異なる、少なくとも2種類以上のカルボキシメチル化セルロースを含むことを特徴とする、請求項1〜3いずれかに記載の水系分散組成物。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の水系分散組成物を含む、洗浄用組成物。
【請求項6】
請求項1〜4に記載の水系分散組成物を含む、化粧用組成物。
【請求項7】
請求項1〜4に記載の水系分散組成物を含む、食品用組成物。
【請求項8】
請求項1〜4に記載の水系分散組成物を含む、医薬用組成物。
【請求項9】
前記カルボキシメチル化セルロースナノファイバーと、前記カルボキシメチル化セルロースとを、水系溶媒に添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmの範囲で攪拌し得られる、塩濃度が0.1%(w/v)以上20%(w/v)以下であることを特徴とする水系分散組成物の製造方法。
【請求項10】
下記工程(1)〜(2)を含む、塩濃度が0.1%(w/v)以上20%(w/v)以下である水系分散組成物の製造方法。
工程(1):カルボキシメチル化セルロースナノファイバーを、水系溶媒に添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmで攪拌し、中間分散組成物を得ること。
工程(2):工程(1)で得られた中間分散組成物に、カルボキシメチル化セルロースを添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmで攪拌し、水系分散組成物を得ること。
【請求項11】
下記工程(3)〜(4)を含む、塩濃度が0.1%(w/v)以上20%(w/v)以下である水系分散組成物の製造方法。
工程(3):カルボキシメチル化セルロースナノファイバーと、カルボキシメチル化セルロースAとを、水系溶媒に添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmで攪拌し、中間分散組成物を得ること。
工程(4):工程(3)で得られた中間分散組成物に、カルボキシメチル化セルロースBを添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmで攪拌し、水系分散組成物を得ること。
(但し、カルボキシメチル化セルロースAと、カルボキシメチル化セルロースBは、異なるカルボキシメチル置換度を有する)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー、カルボキシメチル化セルロース、及び無機塩を含む水系分散組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボキシメチル化セルロースは、セルロースのグルコース残基中の水酸基の一部に、カルボキシメチル基をエーテル結合させたものである。カルボキシメチル化したセルロースは、化粧品、医薬品、食品、各種工業製品等において、増粘剤、粘結剤、バインダー、吸水材、保水材、乳化安定剤などの各種添加剤として使用されている。カルボキシメチル化したセルロースは、天然セルロース由来であることから緩やかな生分解性を有するとともに焼却廃棄が可能である環境にやさしい素材であり、用途は今後拡大すると予測される。
【0003】
カルボキシメチル化セルロースにおいて、カルボキシメチル基の量が増えると(すなわち、カルボキシメチル置換度が増加すると)、カルボキシメチル化セルロースは水に溶解するようになる。一方、カルボキシメチル置換度を適度な範囲に調整することにより、水中でもカルボキシメチル化セルロースの繊維状の形状を維持させることができるようになる。繊維状の形状を有するカルボキシメチル化したセルロースは、機械的に解繊することにより、ナノスケールの繊維径を有するナノファイバーへと変換することができる(特許文献1)。
【0004】
カルボキシメチル化セルロースは、その増粘性、吸水性、保水性等の性質から、飲食品、化粧品、水系塗料など、様々な分野において添加剤として使用されている。また、カルボキシメチル化セルロースをナノファイバー化したカルボキシメチル化セルロースナノファイバーについても、様々な分野の添加剤として使用されることが期待されている。
【0005】
しかしながら、そのようなカルボキシメチル化セルロース類は、耐塩性に乏しく、水系分散体とした際に塩の存在下では粘度が急激に低下することが知られている(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2014/088072号
【特許文献2】特開2015−86349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2では、そのような耐塩性に優れる増粘剤として、天然植物から抽出される高分子化合物を提案されているが、カルボキシメチル化セルロースとは全く異なる高分子を用いるものであった。カルボキシメチル化セルロースナノファイバーは優れた増粘性やチキソ性、安定性・非毒性のため有用性が高く、耐塩性を改善したカルボキシメチル化セルロースナノファイバーが望まれている。
【0008】
そこで本発明は、耐塩性に優れるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを含んだ水系分散組成物を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意努力の結果、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー、セルロースI型の結晶化度を有さないカルボキシメチル化セルロース、及び無機塩を含む水系分散組成物であって、無機塩に由来する塩濃度が0.1%(w/v)以上20%(w/v)以下であることを特徴とする、水系分散組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下の〔1〕〜〔11〕である。
〔1〕カルボキシメチル化セルロースナノファイバー、セルロースI型の結晶化度を有さないカルボキシメチル化セルロース、及び無機塩を含む水系分散組成物であって、
無機塩に由来する塩濃度が0.1%(w/v)以上20%(w/v)以下であることを特徴とする、水系分散組成物。
〔2〕前記カルボキシメチル化セルロースの、カルボキシメチル置換度が0.5超1.5未満であることを特徴とする、〔1〕に記載の水系分散組成物。
〔3〕前記カルボキシメチル化セルロースの、カルボキシメチル置換度が0.5超1.0以下であることを特徴とする、〔1〕〜〔2〕いずれかに記載の水系分散組成物。
〔4〕前記カルボキシメチル化セルロースが、カルボキシルメチル置換度の異なる、少なくとも2種類以上のカルボキシメチル化セルロースを含むことを特徴とする、〔1〕〜〔3〕いずれかに記載の水系分散組成物。
〔5〕〔1〕〜〔4〕に記載の水系分散組成物を含む、洗浄用組成物。
〔6〕〔1〕〜〔4〕に記載の水系分散組成物を含む、化粧用組成物。
〔7〕〔1〕〜〔4〕に記載の水系分散組成物を含む、食品用組成物。
〔8〕〔1〕〜〔4〕に記載の水系分散組成物を含む、医薬用組成物。
〔9〕前記カルボキシメチル化セルロースナノファイバーと、前記カルボキシメチル化セルロースとを、水系溶媒に添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmの範囲で攪拌し得られる、塩濃度が0.1%(w/v)以上20%(w/v)以下であることを特徴とする水系分散組成物の製造方法。
〔10〕下記工程(1)〜(2)を含む、塩濃度が0.1%(w/v)以上20%(w/v)以下である水系分散組成物の製造方法。
工程(1):カルボキシメチル化セルロースナノファイバーを、水系溶媒に添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmで攪拌し、中間分散組成物を得ること。
工程(2):工程(1)で得られた中間分散組成物に、カルボキシメチル化セルロースを添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmで攪拌し、水系分散組成物を得ること。
〔11〕下記工程(3)〜(4)を含む、塩濃度が0.1%(w/v)以上20%(w/v)以下である水系分散組成物の製造方法。
工程(3):カルボキシメチル化セルロースナノファイバーと、カルボキシメチル化セルロースAとを、水系溶媒に添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmで攪拌し、中間分散組成物を得ること。
工程(4):工程(3)で得られた中間分散組成物に、カルボキシメチル化セルロースBを添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmで攪拌し、水系分散組成物を得ること。
(但し、カルボキシメチル化セルロースAと、カルボキシメチル化セルロースBは、異なるカルボキシメチル置換度を有する)
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、耐塩性に優れるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを含んだ水系分散組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー、セルロースI型の結晶化度を有さないカルボキシメチル化セルロース、及び無機塩を含む水系分散組成物であって、
無機塩に由来する塩濃度が0.1%(w/v)以上20%(w/v)以下であることを特徴とする、水系分散組成物である。
【0013】
<カルボキシメチル化セルロースナノファイバー>
本発明において、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー(以下、「カルボキシメチル化」を「CM化」、セルロースナノファイバーを「CNF」と略すことがある。)は、カルボキシメチル化したセルロースを、ナノメートルレベルの繊維幅まで微細化することにより得られるものであり、通常は、繊維幅が約3〜数百nm程度、例えば、4〜500nm程度の微細繊維である。アスペクト比は、限定されないが、例えば、100以上である。CM化CNFのおよび平均繊維長は、原子間力顕微鏡(AFM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、ランダムに選んだ200本の繊維を観察した結果から得られる繊維径および繊維長の平均値を算出することによって得ることができる。また、平均繊維長を平均繊維径で除すことによりアスペクト比を算出することができる。CM化CNFは、CM化セルロースに機械的な力を加えて微細化(解繊)することによって得ることができる。
【0014】
CM化セルロースは、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基の一部がカルボキシメチル基とエーテル結合した構造を有するものである。CM化セルロースは、塩の形態をとる場合もあり、本明細書でCM化セルロースという場合には、CM化セルロースの塩も含まれるものとする。CM化セルロースの塩としては、例えばCM化セルロースのナトリウム塩などの金属塩等が挙げられる。
【0015】
CM化CNFの原料となるCM化セルロースを製造するためのセルロース原料としては、例えば、植物性材料(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物性材料(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等を起源とするものを挙げることができ、それらのいずれも使用できる。好ましくは植物又は微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維である。
【0016】
CM化CNFの原料となるCM化セルロースは、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシメチル化することにより得てもよいし、市販品を用いてもよい。いずれの場合も、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度が0.01〜0.50となるものが好ましい。そのようなCM化セルロースを製造する方法の一例として次のような方法を挙げることができる。
【0017】
セルロースを発底原料にし、溶媒として3〜20質量倍の水及び/又は低級アルコール、具体的には水、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合媒体を使用する。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う。
【0018】
CM化CNFの原料となるCM化セルロースは、水に分散した際にも繊維状の形状の少なくとも一部が維持されるものであり、後述する水溶性高分子の一種であるカルボキシメチルセルロースとは区別される。「カルボキシメチル化セルロース」の水分散液を電子顕微鏡で観察すると、繊維状の物質を観察することができる。一方、水溶性高分子の一種であるカルボキシメチルセルロースの水分散液を観察しても、繊維状の物質は観察されない。また、「カルボキシメチル化セルロース」はX線回折で測定した際にセルロースI型結晶のピークを観測することができるが、水溶性高分子のカルボキシメチルセルロースではセルロースI型結晶はみられない。
【0019】
CM化セルロースを解繊することにより、CM化CNFを製造することができる。解繊に用いる装置は特に限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの装置を用いることができる。解繊の際にはCM化セルロースの分散体に強力なせん断力を印加することが好ましい。特に、効率よく解繊するには、前記分散体に50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。前記圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。また、高圧ホモジナイザーでの解繊及び分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて、前記分散体に予備処理を施してもよい。
【0020】
CM化CNFは、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度(DS)が0.01〜0.50であることが好ましい。カルボキシメチル置換度が0.01未満であると、水系媒体及び油系媒体の混合物に乳化剤を添加した際に沈殿したり、また凝集を生じるなどして均一な乳化物を形成させることが困難となる場合がある。また、カルボキシメチル置換度が0.50を超えると水系媒体への溶解が起こりやすくなり、繊維形態を維持できなくなり、乳化促進効果と乳化物の安定化効果が低減する可能性がある。カルボキシメチル置換度の下限値は、より好ましくは0.10以上であり、さらに好ましくは0.20以上である。カルボキシメチル置換度の上限値は、より好ましくは0.40以下である。CM化CNFのカルボキシメチル置換度は、原料となるCM化セルロースの製造時に反応させるカルボキシメチル化剤の添加量、マーセル化剤の量、水と有機溶媒の組成比率をコントロールすること等によって調整することができる。CM化セルロースのカルボキシメチル置換度と、それを解繊して得たCM化CNFのカルボキシメチル置換度とは、通常、同じである。
【0021】
本明細書において無水グルコース単位とは、セルロースを構成する個々の無水グルコース(グルコース残基)を意味する。また、カルボキシメチル置換度(エーテル化度ともいう。)とは、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基のうちカルボキシメチルエーテル基に置換されているものの割合(1つのグルコース残基当たりのカルボキシメチルエーテル基の数)を示す。なお、カルボキシメチル置換度はDSと略すことがある。
【0022】
カルボキシメチル置換度の測定方法は以下の通りである:
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。硝酸メタノール(メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液)100mLを加え、3時間振盪して、カルボキシメチル化セルロースの塩(CMC)をH−CMC(水素型カルボキシメチル化セルロース)に変換する。その絶乾H−CMCを1.5〜2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。80%メタノール15mLでH−CMCを湿潤し、0.1N−NaOHを100mL加え、室温で3時間振盪する。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N−HSOで過剰のNaOHを逆滴定し、次式によってカルボキシメチル置換度(DS値)を算出する。
A=[(100×F’−0.1N−HSO(mL)×F)×0.1]/(H−CMCの絶乾質量(g))
カルボキシメチル置換度=0.162×A/(1−0.058×A)
F’:0.1N−HSOのファクター
F:0.1N−NaOHのファクター。
【0023】
CM化CNFにおけるセルロースI型の結晶化度は、乳化促進及び乳化物の安定化の観点から、好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは60%以上である。CM化CNFにおけるセルロースI型の結晶化度は、原料となるCM化セルロースの製造時のマーセル化剤の濃度と処理時の温度、並びにカルボキシメチル化の度合によって制御することができる。マーセル化及びカルボキシメチル化においては高濃度のアルカリが使用されるために、セルロースのI型結晶がII型に変換されやすいが、例えば、アルカリ(マーセル化剤)の使用量を調整して変性の度合いを調整することによって、所望の結晶性を維持させることができる。セルロースI型の結晶化度の上限は特に限定されない。現実的には90%程度が上限となると考えられる。CM化セルロースのセルロースI型の結晶化度と、それを解繊して得たCM化CNFのセルロースI型の結晶化度とは、通常、同じである。
セルロースI型の結晶化度の測定方法は、以下の通りである:
試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD−6000、島津製作所製)を用いて測定する。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10゜〜30゜の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6゜の002面の回折強度と2θ=18.5゜のアモルファス部分の回折強度から次式により算出する。
Xc=(I002c―Ia)/I002c×100
Xc=セルロースのI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6゜、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5゜、アモルファス部分の回折強度。
【0024】
<カルボキシメチル化セルロース>
本発明のカルボキシメチル化セルロース(以下、CMCともいう)は、結晶化度を有さないことが重要である。結晶化度を有するカルボキシメチル化セルロースナノファイバーと、結晶化度を有さないカルボキシメチル化セルロースとが共存することで、塩濃度の高い水溶液に分散とした際にも、結晶性のナノファイバーに非晶性のCMCが局在することで、相互ネットワーク化し均一な増粘効果を長期間発揮し続けられるようになると推測される。なお、CMCの結晶化度の測定も、前述の方法に準じて確認することができる。
【0025】
カルボキシメチル化セルロースのカルボキシメチル置換度(DS)は、0.5超1.5未満であることが好ましく、0.5超1.0以下であることがより好ましく、0.55以上0.8未満がさらに好ましい。CMCのDSが本範囲にあることで、水溶性に優れ結晶化度を有さない構造としやすく、本発明の効果を発揮しやすくなる。なお、DSは前述の方法に準じて確認することができる。
【0026】
そのようなカルボキシメチル化セルロースを製造するにあたっては、公知のCMCの製法を適用することができる。例えば、セルロースをマーセル化剤で処理してマーセル化セルロースを調製した後に、マーセル化セルロースにエーテル化剤を添加してエーテル化反応させることでCMCを製造することができる。
【0027】
本発明においてカルボキシメチル化セルロースは市販品であってもよい。市販品としては、例えば、日本製紙(株)製の商品名「サンローズ」が挙げられる。
【0028】
<水系分散組成物>
本発明の水系分散組成物は、前述されるカルボキシメチル化セルロースナノファイバー、及びカルボキシメチル化セルロースを、水系媒体に分散させ水系分散組成物とすることができる。水系媒体とは、水、および水と任意に混合可能な極性溶媒と水との混合溶媒をいう。水と任意に混合可能な極性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド等を挙げることができる。これらは単独で水と混合しても良いし、あるいはこれらの2種類以上を水と混合して混合溶媒としてもよい。水と極性溶媒とを混合する場合、混合割合は特に限定されず、使用する極性溶媒の種類や、用途に応じて、適宜混合割合を調整すればよい。
【0029】
CM化CNF又はCMCと、水系溶媒との混合割合は、特に限定されない。例えば、水系分散組成物におけるCM化CNF又はCMCの固形分の割合として、それぞれ0.2〜5.0%(w/v)の範囲で用いることが好ましく、0.2〜3.0%(w/v)の範囲で用いることがより好ましい。
【0030】
水系分散組成物中のCM化CNFとCMCとの固形分量の総和としては、0.4〜6.0%(w/v)の範囲が好ましく、0.5%〜5.0%(w/v)の範囲がより好ましく、0.8〜4.0%(w/v)がさらに好ましい。
【0031】
分散の際には、公知の混合、攪拌、乳化、または分散装置を用いればよい。CM化CNF及びCMCは、水系溶媒に良好に分散するため、高圧ホモジナイザーのような特殊な装置を用いることなく、攪拌機として、ミルサーや、家庭用のジューサーミキサー程度の攪拌力で分散組成物を形成することができる。そのようなミキサーとしては、例えば回転数が8,000〜30,000rpmのミキサーが挙げられる。
【0032】
よって、本発明の水系分散組成物の製造方法としては、CM化CNFと、CMCとを、水系溶媒に添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmの範囲で攪拌し水系分散組成物を得ることが好ましい。
【0033】
上記製造方法では、工程が少ないため取り扱いの簡便性に優れるため、CM化CNFの洗浄組成物、化粧用組成物、食品用組成物、及び医薬用組成物などの用途への適用に優れる。
【0034】
また、本発明の水系分散組成物の別の製造方法としては、下記工程(1)〜(2)を含む方法を挙げることができる。
工程(1):CM化CNFを、水系溶媒に添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmで攪拌し、中間分散組成物を得ること。
工程(2):工程(1)で得られた中間分散組成物に、CMCを添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmで攪拌し、水系分散組成物を得ること。
【0035】
上述される製造方法では、分散性に劣るCM化CNFを予め攪拌処理を行うため、CM化CNFの増粘効果やチキソ性がより高く発揮されやすく好ましい。また水系分散組成物とした際に、相互ネットワークをより形成しやすくなり、本発明の効果が優れて得られる。
【0036】
さらに、本発明の水系分散組成物の、もう一つの製造方法としては、下記工程(3)〜(4)を含む、水系分散組成物の製造方法を挙げることができる
工程(3):CM化CNFと、カルボキシメチル化セルロースAとを、水系溶媒に添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmで攪拌し、中間分散組成物を得ること。
工程(4):工程(3)で得られた中間分散組成物に、カルボキシメチル化セルロースBを添加し、攪拌機にて回転数8,000〜30,000rpmで攪拌し、水系分散組成物を得ること。
(但し、カルボキシメチル化セルロースAと、カルボキシメチル化セルロースBは、異なるカルボキシメチル置換度を有する)
【0037】
上述される製造方法では、分散性の劣るCM化CNFの均一な攪拌を阻害しない範囲に少量カルボキシメチル化セルロースAを配合しておくことでCM化CNFの分散性が向上し攪拌が容易となりやすい。さらにカルボキシメチル化セルロースBを別添することで、CM化CNFとCMCとの相互ネットワークが強固になり、耐塩性が向上すると想定される。
【0038】
なお、カルボキシメチル化セルロースAとカルボキシメチル化セルロースBは、カルボキシメチル置換度(DS)が異なるCMCであり、カルボキシメチル化セルロースAのDS>カルボキシメチル化セルロースBのDSであることが好ましい。
【0039】
本発明の水系分散組成物は、無機塩を含んだ状態であることが重要である。無機塩は、無機酸由来の陰イオンと無機塩基由来の陽イオンがイオン結合したものである。無機塩は、公知の無機塩から適宜選択して用いることができる。
【0040】
無機塩の具体例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム及び塩化亜鉛等の金属の塩化物、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム及び硫酸亜鉛等の金属の硫酸塩、亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸ナトリウム等の金属の亜硫酸塩、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウム等の金属の炭酸塩、並びにリン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及びリン酸二水素カリウム等の金属のリン酸塩が挙げられる。
【0041】
無機塩としては、金属の塩化物、及び金属の硫酸塩が好ましく、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛及び硫酸マグネシウムがより好ましく、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛及び硫酸マグネシウムが更に好ましい。
【0042】
無機塩は、市販のものを用いることもできる。無機塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
本発明の水系分散組成物は、前述される無機塩に由来する塩濃度が、0.1%(w/v)以上20.0%(w/v)以下であることが重要である。塩濃度が0.1%(w/v)以上であると、CM化CNFやCMCは通常粘度低下を起こしやすくなるため、本発明の優れた効果を効果的に発揮することができる。塩濃度が20.0%以下であることで、本発明の構成において、耐塩性を良好に発揮し得ることができる。よって、水系分散組成物の塩濃度の下限値は、0.3%(w/v)以上が好ましく、0.5%(w/v)以上がより好ましく、0.8%(w/v)以上がさらに好ましい。上限値としては、15.0%(w/v)以下が好ましく、10.0%(w/v)以下がより好ましく、5%(w/v)以下がさらに好ましい。
【0044】
そのような本発明の塩濃度の調整方法としては、特に制限されなく、水系分散組成物となした際に所定の塩濃度であればよい。よって、1)水系溶媒中に予め無機塩を添加しておき、前述される製造方法にてCM化CNF及びCMCを攪拌・混合し水系分散組成物を得ても良いし、2)CM化CNF及びCMCを前述の製造方法にて攪拌・混合する際に、適宜無機塩を添加し、所定の塩濃度としても良い。
【0045】
本発明の水系分散組成物は、耐塩性に優れるため、様々な添加剤と併用することができる。そのような用途としては、洗浄用組成物、化粧用組成物、食品用組成物、及び医薬用組成物などを挙げることができる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例及び比較例をあげてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、部および%は質量部および質量%を示す。
【0047】
(製造例1)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーに、イソプロパノール(IPA)620部と、水酸化ナトリウム10部を水30部に溶解したものとを加え、広葉樹パルプ(日本製紙(株)製、LBKP)を100℃60分間乾燥した際の乾燥質量で100部仕込んだ。30℃で90分間撹拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に撹拌しつつIPA15部と、モノクロロ酢酸12部を添加し、30分間撹拌した後、70℃に昇温して90分間カルボキシメチル化反応をさせた。
反応終了後、pH7になるまで酢酸で中和し、含水メタノールで洗浄、脱液、乾燥、粉砕して、カルボキシメチル置換度0.18のカルボキシメチル化セルロースを得た。
上記の工程で得られたカルボキシメチル化セルロースを水で1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で3回処理して、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー分散液を得た。得られた繊維は、平均繊維径が5nm、アスペクト比が150であった。
【0048】
得られたCM化CNF(カルボキシメチル置換度0.18、平均繊維径が5nm、アスペクト比が150)を用いて固形分濃度0.7質量%の水性懸濁液を調製し、ここにカルボキシメチルセルロース(商品名:F350HC−4、粘度(1質量%、25℃、30rpm)約3000mPa・s、カルボキシメチル置換度約0.90)を、CM化CNFに対して40質量%(すなわち、CM化CNFを100質量部としたときにカルボキシメチルセルロースが40質量部となるように)添加し、TKホモミキサー(6,000rpm)で5分間攪拌することにより、CM化CNFと水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース)と溶媒(水)の混合物を調製した。この混合物のpHは7程度であった。この混合物に、水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを9に調整した。このときの混合物の固形分(CM化CNFとカルボキシメチルセルロースを含む)は、1.4質量%であった。
次に、前記混合物(固形分1.4質量%)をドラム乾燥機(カツラギ工業社製)のドラム表面に塗布し、厚さ100〜200μm程度の薄膜を形成させ、ドラムドライヤのドラム表面温度を140℃、ドラム回転数2rpmで乾燥し、水分量5質量%の乾燥固形物である、CM化CNF組成物を得た。
【0049】
(製造例2)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーに、イソプロパノール(IPA)500部と水酸化ナトリウム40部を水80部に溶解したものとを加え、針葉樹パルプ(日本製紙(株)製、NDP−T)を100℃60分間乾燥した際の乾燥質量で100部仕込んだ。30℃で90分間撹拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に撹拌しつつモノクロロ酢酸50部を添加し、30分間撹拌した後、70℃に昇温して90分間カルボキシメチル化反応をさせた。反応終了後、酢酸でpH7程度になるよう中和し、脱液、乾燥、粉砕して、カルボキシメチル置換度0.63でセルロースI型の結晶化度を有さないカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(CMC2)を得た。
【0050】
(実施例1〜2)
水75mlに、製造例1で得られたCM化CNF組成物と、製造例2で得られたCMCとを、全固形分濃度2%となるように等量づつ添加した後、ミルサー(岩谷産業株式会社社製、製品名:ミルサー720G−W)で室温下、回転数20,000rpm/2分間攪拌処理を行った。その後、塩化ナトリウムを表1記載の濃度となるように添加し、水系分散組成物を得た。
得られた水系分散組成物は、B型粘度計(25℃、回転数30rpm)で粘度を測定した。その後保管ビンにて密封し冷蔵庫にて24時間保管を行った水系分散組成物は、再度同様にして粘度を測定した。
【0051】
(比較例1〜2)
製造例2で得られたCMC2を、固形分濃度1%となるようにした後、ミルサー(岩谷産業株式会社社製、製品名:ミルサー720G−W)で室温下、回転数20,000rpm/2分間攪拌処理を行った。その後、塩化ナトリウムを表1記載の濃度となるように添加し、水系分散組成物を得た。
得られた水系分散組成物は、B型粘度計(25℃、回転数30rpm)で粘度を測定した。保管ビンにて密封し冷蔵庫にて24時間保管を行った水系分散組成物は、再度同様にして粘度を測定した。
【0052】
【表1】
【0053】
(実施例3〜4)
水75mlに、製造例1で得られたCM化CNF組成物を固形分濃度1%となるように添加した後、ミルサー(岩谷産業株式会社社製、製品名:ミルサー720G−W)で室温下、回転数20,000rpm/2分間攪拌処理を行った。
その後、製造例2で得られたCMCを固形分濃度が1%となるように追添加した後、ミルサー(岩谷産業株式会社社製、製品名:ミルサー720G−W)で室温下、回転数20,000rpm/1分間攪拌処理を行った。
さらに、塩化ナトリウムを表1記載の濃度となるように添加し、水系分散組成物を得た。
得られた水系分散組成物は、B型粘度計(25℃、回転数30rpm)で粘度を測定した。保管ビンにて密封し冷蔵庫にて24時間保管を行った水系分散組成物は、再度同様にして粘度を測定した。
【0054】
【表2】